R 1701-2:2016
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 試験装置························································································································· 2
5 試験片···························································································································· 3
6 試験方法························································································································· 3
6.1 一般事項 ······················································································································ 3
6.2 試験片の前処理 ············································································································· 4
6.3 測定準備 ······················································································································ 4
6.4 予備試験 ······················································································································ 5
6.5 アセトアルデヒド除去試験 ······························································································ 5
6.6 アセトアルデヒド除去試験(二酸化炭素濃度が測定できない場合) ········································· 6
7 試験結果の計算 ················································································································ 6
7.1 除去率及び除去量の計算 ································································································· 6
7.2 二酸化炭素転化率及び転化量の計算··················································································· 7
8 除去量が小さい試験片の場合の試験方法 ··············································································· 8
9 報告書···························································································································· 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 9
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
ファインセラミックス協会(JFCA),国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)及び一般財団法人日
本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標
準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS R 1701-2:2008は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS R 1701の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 1701-1 第1部:窒素酸化物の除去性能
JIS R 1701-2 第2部:アセトアルデヒドの除去性能
JIS R 1701-3 第3部:トルエンの除去性能
JIS R 1701-4 第4部:ホルムアルデヒドの除去性能
JIS R 1701-5 第5部:メチルメルカプタンの除去性能
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日本工業規格 JIS
R 1701-2:2016
ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能
試験方法−第2部:アセトアルデヒドの除去性能
Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)-
Test method for air purification performance of photocatalytic materials-
Part 2: Removal of acetaldehyde
序文
この規格は,2011年に第1版として発行されたISO 22197-2を基とし,その後に制定されたJIS R 1701-2
〜JIS R 1701-5及びJIS R 1751-1〜JIS R 1751-5と整合させるために,技術的内容を変更して作成した日本
工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,光触媒を建築材料及びその他の製品の表面に担持させた光触媒材料の空気浄化性能のうち,
気体のアセトアルデヒド(CH3CHO)の除去性能を試験する方法について規定する。
この規格は,主として太陽光の照射下において波長300〜380 nmの紫外線領域で効果を示す光触媒を対
象としている。可視光だけの照射下におけるアセトアルデヒドの除去性能を試験する場合は,この規格で
はなく,JIS R 1751-2を適用する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 22197-2:2011,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Test method for
air-purification performance of semiconducting photocatalytic materials−Part 2: Removal of
acetaldehyde(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS A 1962 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量
−ポンプサンプリング
JIS K 0055 ガス分析装置校正方法通則
JIS K 0114 ガスクロマトグラフィー通則
2
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JIS K 0151 赤外線ガス分析計
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS R 1701-1 ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒素酸化物の除
去性能
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
JIS R 1751-2 ファインセラミックス−可視光応答形光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第2部:ア
セトアルデヒドの除去性能
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8806 湿度−測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600及びJIS R 1701-1による。
4
試験装置
4.1
装置の構成 試験装置は,JIS R 1701-1の4.1(装置の構成)による。低濃度のアセトアルデヒドを
含む空気を扱うことから,吸着などによる損失が少なく,測定結果に影響を及ぼさないように配慮したも
のでなければならない。
4.2
試験用ガス供給装置 試験用ガス供給装置は,JIS R 1701-1の4.2(試験用ガス供給装置)による。
高圧容器入りのアセトアルデヒド標準ガスを用いて,所定の濃度・温度・水蒸気濃度の試験用ガスを調製
し,光照射容器に連続的に供給する。流量制御器,加湿器,ガス混合器などからなる。
4.3
光照射容器 光照射容器は,JIS R 1701-1の4.3(光照射容器)による。
4.4
光源 光源は,JIS R 1701-1の4.4(光源)による。また,試験片上表面での紫外放射照度が10.0±0.5
W/m2となるように,光照射容器までの距離を調節する。紫外放射照度の測定には,JIS R 1709に規定する
校正済みの紫外放射照度計を用いる。
4.5
汚染物質濃度測定装置 汚染物質濃度(アセトアルデヒド濃度)の測定には,ガスクロマトグラフ
分析法,又はDNPH誘導体化固相吸着・溶媒抽出−高速液体クロマトグラフ法(DNPH-HPLC法)を用い
る。
ガスクロマトグラフ分析法による場合は,JIS K 0114に規定する装置を用いる。カラムは,炭化水素が
分離できるものであれば,充塡カラム及びキャピラリーカラムのいずれのタイプでもよい。
なお,アセトアルデヒドの検出は,水素炎イオン化検出器(FID)で行うこととする。サンプリングル
ープを用いてガスクロマトグラフにガスを注入する場合,図1のように6方バルブを配し,試験用ガスを
採取できるようにする。サンプリングループの容量は,濃度測定装置の性能に応じて決める。ガスは,比
較的小さい流量の吸引ポンプを図1の7の位置に取り付け,採取する。分析時にはポンプを止める。サン
プリングループではなくマイクロシリンジを用いる場合は,再現性よくガスを採取できるもの(例えば,
ガスタイトシリンジなど)を用意する。
DNPH-HPLC法による場合は,JIS A 1962に規定する試薬,器具及び装置を用いる。
3
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1
試験用ガス入口
2
光照射容器
3
排出
4
キャリヤーガス
5
6方バルブ
6
サンプリングループ
7
吸引ポンプ
8
ガスクロマトグラフ
9
検出器
図1−ガスのサンプリング方法(例)
4.6
二酸化炭素濃度測定装置 JIS K 0151に規定する非分散形赤外線二酸化炭素分析計,又はメタン化
反応装置付ガスクロマトグラフを用いる。装置の校正は,JIS K 0055の規定に従う。ガスクロマトグラフ
を用いる場合のガスのサンプリング方法は,4.5による。
5
試験片
試験片は,平板状又はフィルタ状の光触媒材料で,幅49.0±1.0 mm,長さ99.0±1.0 mmとする。光照射
容器内で補助板などとの間に隙間ができる場合は,試験片を上流側に寄せるとともに,必要に応じてスペ
ーサーなどを用いて調整する。平板状材料の場合は,光触媒面以外によるガス吸着を抑制するために,試
験片の厚さは5 mm以下とする。しかし,これを超える厚さの材料でも,以上の試験条件が保たれるなら
試験できる。光照射容器の深さが十分にあれば,厚さが5 mm以上の試験片を用いることも可能であるが,
厚い試験片の場合には,側面による吸着が予想されるので,あらかじめ側面をシールしておく。フィルタ
状の場合には,厚さを20 mm以内にする。
6
試験方法
6.1
一般事項
アセトアルデヒド除去試験は,6.2〜6.5に示す手順で実施し,光照射時の除去量及び二酸化炭素転化量
を調べる。この過程におけるアセトアルデヒド及び二酸化炭素濃度の測定例を図2に示す。試験片によっ
ては二酸化炭素濃度が測定できない場合がある。この場合には6.5の代わりに6.6を使う。また,アセト
アルデヒド除去量が非常に小さく,正確な測定が困難な場合は箇条8によって,試験条件を変更すること
ができる。
4
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図2−試験操作におけるアセトアルデヒド濃度及び二酸化炭素濃度の測定例
6.2
試験片の前処理
試験片の前処理は試験片に付着又は吸着している有機物を完全に除去するため,次の手順で実施する。
この操作の直後に試験を開始しない場合には,密閉容器に入れて暗所に保管する。
a) 水洗 精製水に試験片を2時間以上浸せきした後,取り出して室温で風乾する。
なお,120 ℃を上限として,物理的・化学的な変化を生じさせない範囲で試験片を加熱乾燥しても
よい。いずれの場合も試験片が恒量になることを確認する。洗液に沈殿物などがあればその状況,乾
燥の方法などを記録する。
b) 有機物の除去 紫外線ランプを用いて12時間以上24時間未満の光照射を行う。光触媒面での紫外線
照度は10〜20 W/m2の範囲とする。光照射はゼロガス中又は清浄な密閉容器内で行う。親油性の汚れ
が予想される場合には,b),a) の順で実施してもよい。また,水洗によって試験片の諸性状に悪影響
が出る場合は,a) を省略してもよい。
6.3
測定準備
測定準備は,次による。
a) アセトアルデヒド濃度体積分率(5.00±0.25)ppm,水蒸気濃度体積分率(1.56±0.16)%,温度
25.0±2.5 ℃の試験用ガスを安定して発生できるように試験用ガス供給装置をあらかじめ調整してお
く。光照射容器入口で流量が1.00±0.05 L/min(0 ℃,101.3 kPaの標準状態において)となるように
流量制御器を設定する。このときの水蒸気濃度は,25 ℃における相対湿度(50±5)%に相当する。
湿度の測定は,JIS Z 8806によって行う。また,試験片上表面における光源からの紫外放射照度を測
定し,記録する。
b) 光照射容器内のガス流路部分の中央に試験片を設置し,窓板までの空間の厚さを5.0±0.5 mmに調整
するとともに,試験片と前後のガス流路との段差が1 mm以内となるよう,必要に応じて補助板を置
く。その後,窓板を取り付け,密閉されていることを確認する。
5
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6.4
予備試験
アセトアルデヒド濃度を即時に知ることができない場合は,光を照射しない暗条件における試験片への
アセトアルデヒドの吸着が飽和に達することを試験中に確認できないため,次の予備試験を行う。アセト
アルデヒド濃度を即時に把握できる場合は,予備試験を行う必要はない。
6.2及び6.3を行った後,光照射容器に試験用ガスを導入する。暗条件でのアセトアルデヒド濃度を15
分間隔で90分間後になるまで測定する。アセトアルデヒド濃度が供給濃度の90 %を超える時間を暗条件
の時間,そのときのアセトアルデヒド濃度を暗条件の濃度とする。90分間後もアセトアルデヒド濃度が供
給濃度の90 %を下回る場合には,この試験法を適用しない。
6.5
アセトアルデヒド除去試験
ゼロガス中の二酸化炭素濃度を極力低減するため,高圧容器入りなどの空気(二酸化炭素濃度<体積分
率0.1 ppm)を用い,次によって試験を行う。
a) 前処理済みの試験片を6.3 b) に従い設置する。
なお,予備試験で使用した試験片を再度使用する場合は,必ずもう一度6.2の前処理を行う。
b) 二酸化炭素を含まない空気などを試験装置内に十分流通し1),加湿器,反応容器などの試験装置内の
二酸化炭素を追い出す。
c) 二酸化炭素発生量を次の手順で測定する。水蒸気濃度体積分率(1.56±0.16)%,温度25.0±2.5 ℃の
ゼロガスを流通し,ゼロガスの二酸化炭素濃度が低く安定した状態2)であることを確認する。次に,
光源を点灯して二酸化炭素濃度を測定する。その後,光源を消灯し,二酸化炭素濃度を測定する。光
源点灯時の二酸化炭素濃度と光源消灯時の二酸化炭素濃度との差が体積分率1 ppm以下である場合は
次の操作に進む。光源点灯時に大量の二酸化炭素が発生する場合は,試験片の前処理が十分でないた
め有機物で汚染されている,光照射によってバインダーが分解されるなどの原因が考えられる。十分
な紫外線照射を行うなどの前処理を行ったにもかかわらず,前述の条件を満たさない場合は,二酸化
炭素転化量の測定は行わない。
d) 6.3 a) を行う。
e) 予備試験を行っている場合は,あらかじめ確認した暗条件の時間(ただし,この時間が30分以内の場
合は30分間)光照射容器に試験用ガスを導入し,二酸化炭素濃度を測定する。予備試験を行っていな
い場合は,次の操作を行う。光照射容器に試験用ガスを導入し,暗条件でのアセトアルデヒド濃度及
び二酸化炭素濃度を測定する。アセトアルデヒド濃度が供給濃度の90 %を超える時間を暗条件の時間,
そのときのアセトアルデヒド濃度を暗条件の濃度とする。90分後もアセトアルデヒド濃度が供給濃度
の90 %を下回る場合には,この試験法を適用しない。ここで,最後30分間の二酸化炭素濃度測定値
の平均値(2点以上)を光照射前の暗条件の二酸化炭素濃度(CCO2,Dpre)とする。
f)
光源を点灯して光照射を開始する。安定な点灯に時間を要する光源については,紫外光が試験片に当
たらないようにするための遮蔽物を設置した上であらかじめ点灯しておき,安定した後,遮蔽物を取
り除いて光照射を開始する。光照射を3時間継続し,アセトアルデヒド濃度及び二酸化炭素濃度を測
定する。アセトアルデヒドの光触媒分解が起こると,図2のようにアセトアルデヒド濃度が低下し,
二酸化炭素濃度が増加して,やがて一定になる。アセトアルデヒド濃度及び二酸化炭素濃度の測定は,
連続的に行うことが望ましいが,測定回数が限られる場合は,1時間を超えない時間に1点以上測定
することとする。また,最後の1時間(光照射後120分〜180分)は必ず3点以上測定することとす
る。除去量などの計算に用いる試験容器出口におけるアセトアルデヒド濃度(CA)及び二酸化炭素転
化量の計算に用いる二酸化炭素濃度(CCO2,L)は,最後の1時間中に測定した濃度(3点以上)の平均
6
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値とする。
g) 光照射を停止し,再び暗条件とし,二酸化炭素濃度を測定する。二酸化炭素濃度が安定した2)後,30
分間の測定値の平均値(2点以上)を光照射後の暗条件の二酸化炭素濃度(CCO2,Dpost)とする。
h) 容器への試験用ガスの供給を停止し,試験片を容器から取り出す。
注1) このとき流量は必ずしも1.0 L/minとする必要はない。大流量で流通した方がより早く系内の
二酸化炭素を追い出すことができる。
2) 安定したとは,30分間の二酸化炭素濃度変化が,体積分率0.1 ppm以下であることを目安と
する。
6.6
アセトアルデヒド除去試験(二酸化炭素濃度が測定できない場合)
アセトアルデヒド除去試験は,次による。
a) 6.2,6.3及び6.5 a) を行う。
b) 6.4を行っている場合は,予備試験で求めた暗条件の時間,光照射容器に試験用ガスを導入する。予備
試験を行っていない場合は,次の操作を行う。
光照射容器に試験用ガスを導入し,暗条件でのアセトアルデヒド濃度を測定する。アセトアルデヒ
ドの試験片への吸着が進み,アセトアルデヒド濃度が供給濃度の90 %を超える時間を暗条件の時間,
そのときのアセトアルデヒド濃度を暗条件の濃度とする。90分後もアセトアルデヒド濃度が供給濃度
の90 %を下回る場合には,この試験法を適用しない。
c) 光源を点灯し(安定な点灯に時間を要する光源については,光が試験片に当たらないようにするため
の遮蔽物を設置した上であらかじめ点灯しておき,安定した後,遮蔽物を取り除く。)光照射を3時間
継続する。アセトアルデヒドの光触媒分解が起こると,図2のように濃度が低下して,やがて一定に
なる。アセトアルデヒド濃度測定は,連続的に行うことが望ましいが,DNPH-HPLC法による場合な
ど測定回数が限られる場合は,1時間を超えない時間に1点以上測定することとする。また,最後の1
時間(光照射後120分〜180分)は必ず3点以上測定することとする。除去量の計算に用いる試験容
器出口におけるアセトアルデヒド濃度(CA)は,最後の1時間中に測定した濃度(3点以上)の平均
値とする。
d) 容器への試験用ガスの供給を停止し,試験片を容器から取り出す。
7
試験結果の計算
7.1
除去率及び除去量の計算
試験容器出口におけるアセトアルデヒド濃度CAが式(1)を満たさない場合は試験不成立とし,次の計算
は行わない。アセトアルデヒド除去率RAは式(2)によって計算する。除去率RAの計算値の処理は,JIS Z 8401
によって小数点以下1桁に丸める。RAが5.0 %未満又は95.0 %以上となる場合は,“5.0 %未満”又は“95.0 %
以上”とし,これを除去率とする。次に,1時間当たりのアセトアルデヒド除去量QAを式(3)を用いて計
算する。除去量QAの計算値の処理は,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
計算に用いるアセトアルデヒド濃度は,水分補正を行わない実測値とする。また,試験ガス流量fとし
ては0 ℃,101.3 kPa換算の実測値を用いる。除去率RAが5.0 %未満,又は95.0 %以上の場合は,RAに5.0
又は95.0を代入し,得られた値に“未満”又は“以上”を付け,これを除去量とする。
なお,除去率RAが5.0 %未満の試験片については,箇条8によって試験条件を緩和した測定を行うこと
ができる。
7
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05
.0
A,0
d
A,
A
×
−C
C
C≦
································································· (1)
100
A,0
A
A,0
A
×
−
=
C
C
C
R
································································· (2)
4.
22
100
60
A,0
A
A
×
×
×
×
=
f
C
R
Q
································································ (3)
ここに,
CA: 試験容器出口におけるアセトアルデヒド濃度
(体積分率ppm)
CA,d: 暗条件のアセトアルデヒド濃度(体積分率ppm)
CA,0: アセトアルデヒドの供給濃度(体積分率ppm)
RA: 試験片によるアセトアルデヒドの除去率(%)
QA: 試験片による1時間当たりのアセトアルデヒドの除去量
(μmol/h)
f: 標準状態(0 ℃,101.3 kPa)に換算した試験用ガス流量
(L/min)
7.2
二酸化炭素転化率及び転化量の計算
二酸化炭素濃度を式(4)によって求めたのち,二酸化炭素転化率RCを式(5)によって計算する。RCの計算
値の処理は,JIS Z 8401によって小数点以下1桁に丸める。この値が5.0 %未満,又は95.0 %以上となる
場合は,“5.0 %未満”又は“95.0 %以上”とし,これを転化率とする。次に,1時間当たりの二酸化炭素転
化量QCを式(6)を用いて計算する。QCの計算値の処理は,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
転化率RCが5.0 %未満又は95.0 %以上の場合はRCに5.0又は95.0を代入し,得られた値に“未満”又
は“以上”を付け,これを転化量とする。
D
,
CO
L,
CO
CO
2
2
2
C
C
C
−
=
································································· (4)
ここに,
CCO2,L: 紫外線照射時の試験容器出口における二酸化炭素濃度
(体積分率ppm)
CCO2,D: 暗条件の試験容器出口における二酸化炭素濃度
(体積分率ppm)
CCO2: 紫外線照射によって発生した二酸化炭素濃度
(体積分率ppm)
100
2
A,0
CO
C
2
×
×
=
C
C
R
······································································ (5)
4.
22
100
60
2
A,0
C
C
×
×
×
×
×
=
f
C
R
Q
····························································· (6)
ここに,
RC: 除去されたアセトアルデヒドの二酸化炭素転化率(%)
QC: 除去された1時間当たりのアセトアルデヒドの二酸化炭
素転化量(μmol/h)
ここで,暗条件の二酸化炭素濃度(CCO2,D)は,紫外線照射前後の二酸化炭素濃度の平均[式(7)]とす
る。また,暗条件の二酸化炭素濃度は,紫外線照射前後を通じて体積分率1.0 ppm以上変化してはならな
い。
2
Dpost
,
CO
Dpre
,
CO
D
,
CO
2
2
2
C
C
C
+
=
························································· (7)
ここに, CCO2,Dpre,CCO2,Dpost: それぞれ紫外線照射前後の暗条件の試験容器出口におけ
る二酸化炭素濃度(体積分率ppm)
8
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8
除去量が小さい試験片の場合の試験方法
平板状の試験片の測定において,得られた除去率RAが5.0 %未満で,除去量を正確に測定できないこと
が予想される場合は,試験片の枚数及び試験用ガス流量の両方を同時に表1のとおり変更して測定するこ
とができる。この場合,試験片の前にガス流路部分を100 mm以上確保する。
なお,試験条件を変更した場合,報告書に記載するアセトアルデヒド除去量及び二酸化炭素転化量は,
式(3)及び式(6)から求められる値の1/2とする。また,試験条件を変更した場合,変更した試験条件におけ
る暗条件の時間を確認する必要がある。
表1−試験条件の変更
変更できる試験条件
変更後の値
試験用ガス流量
0.500±0.025 L/min
試験片の枚数
2枚
9
報告書
試験報告書には,通常次の項目を記載する。
a) 一般事項
1) この規格の番号
2) 試験年月日
b) 試験機関
1) 試験機関の名称及び所在地
2) 試験責任者名
c) 試験片に関する情報
1) 試験片の種類,製造番号など
2) 材質,形状及び寸法
3) 試験片の選択プロセス(抜取り方法など)
4) 試験機関到着日,包装から取り出した日時及び試験片を準備した日時
d) 結果
1) 試験片による1時間当たりのアセトアルデヒドの除去量及び二酸化炭素転化量
2) 参考値として,アセトアルデヒド除去率及び二酸化炭素転化率
e) 試験条件
1) アセトアルデヒド供給濃度,試験ガス流量,水蒸気濃度,温度
2) 箇条8適用の有無(試験用ガス流量及び試験片枚数の変更)
3) 光照射条件(光源の種類,紫外放射照度)
4) 前処理条件(水洗及び乾燥の条件,紫外放射照度及び照射時間)
f)
試験装置
1) 試験装置の形式及び仕様
2) アセトアルデヒド濃度分析装置,二酸化炭素濃度分析装置,ガスサンプリング方法,照度計,紫外
放射照度計などの種類
g) その他必要な事項
試験状況及び試験後の試験片に関しての特記事項
9
R 1701-2:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS R 1701-2:2016 ファインセラミックス−光触媒材料の空気浄化性能試験方法
−第2部:アセトアルデヒドの除去性能
ISO 22197-2:2011,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−
Test method for air-purification performance of semiconducting photocatalytic materials
−Part 2: Removal of acetaldehyde
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
一致
2 引用規格
3 用語及び
定義
3
一致
−
−
4
計算で使用する記号の一
覧。ガス流量fは乾きガ
ス基準。
削除
JISは記載なし。
JISは流量fの乾きガス基準を
廃止した(6.3参照)。
流量fの定義をISO規格の改正時に
変更するよう提案する。理由は6.3
参照。
−
−
5
試験の目的及び原理が記
載されている。
削除
JISは記載なし。
規格本文に記載する必要性がない
ため削除した。
4.2 試験用
ガス供給装
置
JIS R 1701-1による。
6.2
流量は標準状態(0 ℃,
101.3 kPa,乾きガス基準)
に換算する。
変更
JISは乾きガス基準を廃止した
(6.3参照)。
ISO規格改正時に変更を提案する
(6.3参照)。
4.3 光照射
容器
JIS R 1701-1による。
6.3
JIS R 1701-1とほぼ同じ
だが,ガスの流れを乱す
構造及び試験片の前にガ
ス流路部分を100 mm以
上確保することは明記さ
れていない。
追加
ISO規格でも図示されているた
め技術的な差異はない。
規格利用者の理解促進のため。ISO
規格の改正時に,修正したISO
22197-1を参照するよう提案する。
5 試験片
試験片の寸法許容差は±
1.0 mm。
7
寸法許容差は±0.5 mm。
変更
JISでは試験片の寸法許容差が
大きい。
ほかの試験条件の許容差と比べて
寸法に関する許容差が厳しかった
ため。ISO規格の改正時に変更を提
案する。
2
R
1
7
0
1
-2
:
2
0
1
6
10
R 1701-2:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6.2 試験片
の前処理
水洗して乾燥した後,10
〜20 W/m2除去の強度の
紫外線照射で12時間以
上24時間未満の有機物
除去を行う。逆の順序で
もよいし,水洗は省略し
てもよい。
8.2
15 W/m2以上の強度の紫
外線照射で16〜24時間
の有機物除去を行う。
選択
水洗に関する記述が追加され
た。また,JISの方が紫外線照
射の強度と時間の範囲が広く
設定されている。
JIS R 1751-1〜-5に整合させるとと
もに,手順を柔軟にするため。
ISO規格改正時に変更を提案する。
6.3 測定準
備
流量が1.00±0.05 L/min
(0 ℃,101.3 kPaの標準
状態において)。
8.3
流量が1.0 L/min(0 ℃,
101.3 kPa,乾きガス基準
の標準状態において)。
変更
JISは流量に許容差を追加し,
1.00±0.05 L/minとした。JISも
ISO規格も標準状態に換算した
流量を用いるが,JISは水蒸気
を含めた流量(湿りガス基準)
を用い,ISO規格は水蒸気を除
いた流量(乾きガス基準)を用
いる。
許容差が必要であり,5 %の許容差
を追加した。乾きガス基準廃止によ
り水蒸気濃度に相当する1.6 %の差
が生じるが,その他の影響に比べて
小さく,簡略化のために廃止した。
ISO規格改正時に変更を提案する。
6.4 予備試
験
暗条件でのアセトアルデ
ヒド濃度を15分間隔で
90分間後になるまで測定
する。
8.4
暗条件でのアセトアルデ
ヒド濃度を15分間隔で
90分間後になるまで測定
する。30分以内に供給ガ
ス濃度になったら,その
時間を暗条件の時間とし
てもよい。
削除
JISは30分での判定を削除し
た。もともと判定できない場合
の試験手順であり,削除しても
ISO規格と差異はない。
ISO規格改正時に修正を提案する。
7 試験結果
の計算
アセトアルデヒド濃度が
式(1)を満たさない場合
は試験不成立とする。f
としては0 ℃,101.3 kPa
換算の実測値を用いる。
9
fは標準状態(0 ℃,101.3
kPa,乾きガス基準)に換
算した流量で,水蒸気補
正ファクター1.016を乗
じる。
変更
試験の成立を判定する式(1)が
追加された。JISは流量計算に
おける乾きガス基準を廃止し
た(6.3参照)。
吸着作用を光触媒作用として評価
しないために式(1)を追加した。ISO
規格改正時に変更を提案する。
8除去量が
小さい試験
片の場合の
試験方法
変更後の流量は0.500±
0.025 L/min。
10
変更後の流量は1.5
L/min。
追加
許容差を追加した。
許容差が必要であり,5 %の許容差
を追加した。ISO規格改正時に追加
を提案する。
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R
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0
1
-2
:
2
0
1
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R 1701-2:2016
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
9 報告書
ISO規格の報告項目に加
え,試験責任者名及び試
験片の前処理条件を記載
する。
11
JISの報告項目に加え,署
名,各ページ番号を記載
する。
変更
JISでは前処理条件を記載す
る。
JIS R 1701-1〜-5において前処理の
重要性が高まり,記載事項として前
処理条件が追加され,整合を図るた
めに追加した。ISO規格改正時に変
更を提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 22197-2:2011,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択 ················ 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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