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R 1676:2007  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験装置及び器具 ············································································································· 2 

4.1 試験装置 ······················································································································ 2 

4.2 試験器具 ······················································································································ 2 

4.3 試験片 ························································································································· 2 

5 試験方法 ························································································································· 2 

5.1 試験片の寸法測定 ·········································································································· 3 

5.2 熱衝撃試験方法 ············································································································· 3 

5.3 曲げ試験 ······················································································································ 3 

5.4 最大許容温度差の推定 ···································································································· 3 

6 報告······························································································································· 4 

6.1 必す(須)項目 ············································································································· 4 

6.2 補足項目 ······················································································································ 4 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1676:2007 

ファインセラミックス多孔体の熱衝撃試験方法 

Testing method for thermal shock resistance of porous fine ceramics 

適用範囲 

この規格は,フィルタ,触媒担体などに使用される場合のファインセラミックス多孔体の耐熱衝撃性を

評価するための試験方法について規定する。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0621 幾何偏差の定義及び表示 

JIS B 7502 マイクロメータ 

JIS B 7507 ノギス 

JIS C 1602 熱電対 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

JIS R 1664 ファインセラミックス多孔体の曲げ強さ試験方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS R 1600によるほか,次による。 

3.1 

ファインセラミックス多孔体 

フィルタ,触媒担体,湿度センサなどに用いられる気孔率30 %〜60 %の多孔質セラミックス。 

3.2 

熱衝撃 

急激な加熱又は冷却によって,材料中に激しい温度変化が生じて,衝撃的な熱応力が生じる現象。 

3.3 

熱衝撃温度差 

材料が熱衝撃を受けるときの材料の温度と周囲の温度との差。 

3.4 

残存曲げ強さ 

熱衝撃試験後の未破断試験片の曲げ強さ。 

3.5 

残存強度低下率 

熱衝撃を与えていない試験片の平均曲げ強さと熱衝撃後の平均曲げ強さとの差を,熱衝撃を与えていな

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

い試験片の平均曲げ強さで除した値。 

3.6 

最大許容温度差 

試験片に熱衝撃を加えたとき,試験片の残存曲げ強さが低下しない最大の熱衝撃温度差。 

試験装置及び器具 

4.1 

試験装置 

試験装置は,試験片投入形の水中急冷法による熱衝撃試験装置とし,次による。 

a) 加熱装置 試験片の加熱装置は,電気炉を用いる。複数の試験片を同時に加熱する場合は,試験片の

設置位置の温度が一様にできる加熱装置とする。 

b) 冷却水槽 冷却水槽は,水温を一定温度に制御できる装置をもつものとし,水槽内の上部及び下部で

温度差がないよう配慮する。 

c) 温度測定装置 電気炉内の試験片の温度測定及び電気炉制御に用いる温度測定装置は,試験片にでき

るだけ近い位置に温度センサ(熱電対など)を設置したものとする。 

4.2 

試験器具 

試験器具は,次による。 

a) ノギス ノギスは,JIS B 7507に規定する最小読取り長さ0.05 mm又はこれと同等以上の精度をもつ

ものを用いる。 

b) マイクロメータ マイクロメータは,JIS B 7502に規定する外側マイクロメータ又はこれと同等以上

の精度をもつものを用いる。 

c) 熱電対 熱電対は,JIS C 1602に規定するKクラスの1熱電対又はこれと同等以上の精度をもつもの

を用いる。 

4.3 

試験片 

4.3.1 

形状・寸法 

試験片は,製品から切り出すか,又は別に作製したものを用いる。別に作製する場合は,試験片が製品

を代表できるようなもので,製品と同一条件で製造されたものでなければならない。試験片の形状は,断

面が長方形の角柱とする。試験片の標準寸法は,幅b=8.0±0.1 mm,厚さh=6.0±0.1 mm,長さL=70 mm

以上とする。試験片上下面の平行度は,JIS B 0621に規定する0.02 mm以下とする。試験片は,800番以

上の粒度のと(砥)石によって仕上げ加工を行う。また,試験片長手方向の四つのコーナー部は,0.1 mm

〜0.3 mmの面取り加工をする。ただし,粒径が0.1 mm以上の場合,面取りは省略できる。 

4.3.2 

前処理 

研削加工時に用いられるワックスなどの残留が予想される場合には,有機溶剤による洗浄,又は500 ℃

1時間の加熱処理などを行い,除去する必要がある。 

4.3.3 

試験片の本数 

試験片の本数は,一温度条件に対して5本以上とする。 

試験方法 

熱衝撃試験方法は,2種類以上の材料の耐熱衝撃性をJIS R 1664に規定する曲げ強さ試験によって相対

的に比較するための試験方法である。したがって,得られた残存曲げ強さなどの値を製品の耐熱衝撃性設

計に用いることはしない。試験方法は,次による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1 

試験片の寸法測定 

試験片の幅b,厚さh及び長さLは,あらかじめノギス又はマイクロメータを用いて測定する。 

5.2 

熱衝撃試験方法 

5.2.1 

熱衝撃の印加 

冷却媒体である水の温度を20±3 ℃に保つ。試験片を加熱装置内の均熱帯に設置した後に,約10 ℃/

分の昇温速度で試験温度まで加熱する。その後,所定の温度で15分間以上保持した後に,試験片を冷却水

槽に素速く投入して急冷する。試験片を1本ずつ取り出して冷却水槽に投入する場合には,試験片を取り

出した後,少なくとも10分間以上間隔をとり,冷却水槽の温度が安定してから次の試験片を取り出す。水

中で5〜10秒間冷却後,試験片を取り出す。 

5.2.2 

最大許容温度差を求めるための熱衝撃の印加 

残存曲げ強さの平均値が低下しない熱衝撃温度差から,段階的に毎回適切な温度だけ増加させながら残

存曲げ強さの平均値の低下率が30 %以上となる熱衝撃温度差まで,5.2.1の試験を繰り返して行い,各温

度差ごとに5本以上の試験片に熱衝撃を印加する。 

5.3 

曲げ試験 

熱衝撃を与えた試験片に対して,110 ℃,2時間の乾燥処理を行う。次にJIS R 1664に規定する4点曲

げ試験を行い,熱衝撃試験後の残存曲げ強さを測定し,平均値を算出する。 

5.3.1 

曲げ強さ 

曲げ強さは,4点曲げ試験で得られた破壊荷重の測定値Pから,次の式によって計算する。 

(

)

2

1

2

b

2

3

bh

L

L

P

=

σ

······································································  (1) 

ここに, σb: 4点曲げ強さ (MPa) 
 

L1: 4点曲げ試験における上部支点間距離 (mm) 

L2: 4点曲げ試験における下部支点間距離 (mm) 

P: 試験片が破壊したときの最大荷重 (N) 

b: 試験片の幅 (mm) 

h: 試験片の厚さ (mm) 

5.3.2 

曲げ強さの平均値 

曲げ強さの平均値σmは,算術平均によって計算する。 

5.4 

最大許容温度差の推定 

耐熱衝撃性の評価指標となる最大許容温度差∆Tcは,図1に示すように残存強度の低下率が10 %〜15 %

低下した熱衝撃温度差∆T2と低下率が5 %以内の熱衝撃温度差∆T1との平均値とする。残存強度の低下率σ*

は,次の式によって計算する。 

mo

mth

mo

*

σ

σ

σ

σ

=

 ········································································· (2) 

ここに, 

mo

σ: 熱衝撃を与えていない試験片の曲げ強さの平均値 (MPa) 

mth

σ

: 熱衝撃後の試験片の残存曲げ強さの平均値 (MPa) 

最大許容温度差∆Tcは,次の式によって計算する。 

2

1

2

c

T

T

T

+

=

 ········································································ (3) 

なお,残存強度の低下率が10 %〜15 %の範囲に入らない場合でも,前後の熱衝撃温度差での残存強度の

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

低下率から内挿した熱衝撃温度差を,残存強度の低下率が10 %〜15 %であるものとして用いてもよい。た

だし,この場合,近傍の熱衝撃温度差は,50 K間隔で測定していることが好ましい。 

熱衝撃温度差∆T/K 

図1−熱衝撃温度差∆T1及び∆T2の求め方 

報告 

6.1 

必す(須)項目 

熱衝撃試験の結果は,次の項目について報告する。 

a) この規格の番号 

b) 試験条件(冷却水槽の大きさ,水温及び試験片の加熱温度) 

c) 試験片の材質,形状及び寸法 

d) 各熱衝撃温度差における試験片の本数 

e) 各熱衝撃温度差における残存曲げ強さの平均値 

f) 

各熱衝撃温度差における残存強度の低下率 

g) 熱衝撃温度差に対する残存強度低下率の図 

h) 最大許容温度差∆Tc 

6.2 

補足項目 

熱衝撃試験の結果には,次の項目を付け加えて報告することが望ましい。 

a) 材料の製造業者及び製造年月日 

b) 材料の添加物の種類及び焼結方法 

c) 材料の化学成分,気孔率及び平均気孔径 

d) 試験片の採取方法及び加工方法 

e) 試験環境条件(室温,湿度など) 

f) 

試験年月日,試験場所及び試験者名 

熱衝撃温度差ΔT/K 

0

1

2

3

4

5

6

7

0

50

100

150

200

250

300

350

400

強度低下率5 %以内 

強度低下率10 %以上 

∆T1 

∆T2 

熱衝撃なし 

σmo 

σ

b

/M

P