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R 1671:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 装置及び器具 ·················································································································· 2 

4.1 水透過試験装置 ············································································································· 2 

4.2 器具 ···························································································································· 3 

5. 試験液 ··························································································································· 3 

6. 試験片 ··························································································································· 3 

6.1 試験片の形状及び寸法 ···································································································· 3 

6.2 試験片の製作 ················································································································ 4 

7. 試験方法 ························································································································ 4 

8. 試験結果の表し方 ············································································································ 5 

8.1 透過率の計算 ················································································································ 5 

8.2 水力等価直径の計算 ······································································································· 5 

9. 報告 ······························································································································ 6 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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ファインセラミックス多孔体の水透過率 

及び水力等価直径試験方法 

Testing method for water permeability and hydraulic equivalent diameter of 

porous fine ceramics 

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス多孔体の水透過率及び水力等価直径(1)の試験方法につ

いて規定する。 

注(1) ファインセラミックス多孔体の平均孔径は,水力等価直径で表すことができる。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。 

JIS B 7411 一般用ガラス製棒状温度計 

JIS B 7505 ブルドン管圧力計 

JIS B 7507 ノギス 

JIS B 8342 小形往復空気圧縮機 

JIS K 3802 膜用語 

JIS M 8716 鉄鉱石ペレット−見掛密度及び気孔率の算出方法 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8710 温度測定方法通則 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 3802及びJIS R 1600によるほか,次による。 

a) ファインセラミックス多孔体 フィルタ,吸着材,触媒担体などに用いられる空げき率(気孔率)3

0〜60%の多孔質セラミックス。 

b) 透過率 液体が多孔体を透過するときの透過しやすさを表す係数。 

備考 次のダルシー(Darcy)の式で定義される係数kを指す。 

L

p

k

q

μ

=

ここに, 

q: 液体の透過流束(m・s-1) 

k: 透過率(m2) 

Δp: 圧力損失(Pa) 

μ: 液体の粘度(Pa・s) 

L: 多孔体の厚さ(m) 

c) 透過抵抗 液体が多孔体を透過するときの透過しにくさを表す係数。多孔体の厚さLを透過率kで除

したもの。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4. 装置及び器具  

4.1 

水透過試験装置 水透過試験装置は,次による。 

a) 装置の構成及び構造 窒素ガスボンベ又は空気圧縮機,気体圧力調整器,圧力容器,圧力計,試験片

ホルダ,試験片などで構成し,洗浄が容易で微粒子の混入が防げる構造とする。器具を含む装置の構

成例を,図1に示す。 

図 1 器具を含む装置の構成例 

b) 窒素ガスボンベ又は空気圧縮機 圧力供給源は窒素ガスボンベが望ましい。空気圧縮機とする場合は,

JIS B 8342に規定するものを用いる。 

c) 気体圧力調整器 示度の誤差が±5 kPaのものを用いる。 

d) 圧力計 JIS B 7505に規定する圧力計のうち,精度等級が1.0級以上のもの,又はそれと同等以上の

性能をもち,圧力範囲が0〜600 kPaのものが望ましい。低圧で試験を行う場合には,圧力レンジの低

いものでもよい。また,あらかじめ校正したものを用いる。 

e) 圧力容器 ステンレス鋼製で試験圧力に耐え,微粒子の混入が防げ,容量が5 L以上のものを用いる。

試験液を入れやすく,洗浄も容易なように,上ぶた(蓋)が付いてクランプによって密閉できる構造

が望ましい。 

f) 

試験片ホルダ ステンレス鋼製で試験片を収納し,水漏れのない構造とする。試験片ホルダの一例を

図2に示す。 

参考 市販品として,アドバンテック株式会社製の試験片ホルダLS-25が利用できる。これは,この

規格の使用者の便宜のために,一般に入手できるものとして掲げたが,これを推奨するわけで

はない。同じ効果を得られることを証明することができれば,これと同等の他のものを用いて

もよい。 

g) 試験片 6.による。 

上ぶた 

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図 2 試験片ホルダの構成例 

4.2 

器具  

a) 透過液受け器 全累積透過液を受け入れる容積とする。試験液量に応じて適切な容量の容器を用いる。 

b) 天びん 透過液の全累積量を計量できる性能をもち,0.01 gの精度をもつものを用いる。 

c) ストップウォッチ 0.1秒の精度をもつものを用いる。 

d) 温度計 JIS B 7411に規定する50 Mのもので,あらかじめJIS Z 8710によって校正したものを用い

る。 

e) ノギス JIS B 7507に規定するM形又はCM形を用いる。 

5. 試験液 水道水をイオン交換し,次いで蒸留水製造装置によって蒸留し,得られた蒸留水を孔径が試

験片と同等又はそれより小さい孔径の高分子膜でろ過した水を用いる。 

6. 試験片  

6.1 

試験片の形状及び寸法 試験片の形状は円板形とし,試験片ホルダに収容可能な寸法とする。図3

に試験片の寸法例を示す。 

なお,非対称の複層構造をもつ試験片を使用する場合は,支持層部の厚さを調整し,ち密層も含めた厚

さとすることが望ましい。 

試験片挿入位置

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直 径 φD:25mm 

厚 さ  L: 3mm 

図 3 試験片の寸法例 

6.2 

試験片の製作 試験片の製作は,実体品と同一の原料を用い,同一の製造条件で製作しなければな

らない。 

ただし,実体品と形状が異なり同一の成形条件を満足できない場合は,この限りではない。 

非対称の複層構造をもつ試験片の測定には,支持層だけの試験及び各ち密層までの試験が必要であるた

め,試験に応じた構造の試験片を製作する。 

例 支持層+中間層+ち密層の場合,次に示す3種類を製作し試験する。 

a) 支持層単体 

b) 支持層+中間層 

c) 支持層+中間層+ち密層 

7. 試験方法 試験方法は,次による(試験片の水透過試験装置の概略は,図1による。)。 

a) 試験片を水透過セルである試験片ホルダにセットする前に,水透過面の直径に相当するガスケットの

内径をノギスで測定し,正確な水透過面積Aを求める。 

b) 試験片ホルダに試験片を測定すべき透過面を上にしてセットする。 

c) 試験片をセットした試験片ホルダを,図1のようにそれぞれの機器とともに配管する。このとき,試

験片の透過面が水平に保たれるように試験片ホルダを設置する。 

d) 圧力容器の上ぶたを開け,透過させる試験液を注入する。このとき,試験液の物性を求めるために試

験液温度を温度計で測定する。 

e) 圧力容器に試験液を注入した後,上ぶたを置きクランプによって密閉する。 

f) 

本試験に入る前に,気体圧力調整器によって,気体圧力を想定最高透過圧力(300 kPa以下)に調整し,

試験片であるファインセラミックス多孔体の空げきを試験液で置換するため,ファインセラミックス

多孔体全体積の約5倍の試験液を予備透過させる。 

なお,予備透過から本試験への移行は圧力を開放することなく,連続して試験を実施する。 

g) 本試験においては,まず気体圧力調整器によって,気体圧力をΔp=20〜300 kPaの範囲で任意の一定

圧力に調整する。そのとき,まず想定最低透過圧力から試験を開始し,段階的に順次圧力を上げなが

ら試験する。 

h) 一定圧力に調整した後,圧力容器へのバルブを開け,ストップウォッチを使い一定時間内に試験片を

透過する透過液質量の経時変化を天びんでひょう(秤)量し記録する。 

なお,測定する透過水量は試験片全体積の約100倍とし,全体で10点ほど測定する。透過液質量と

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時間との関係が直線にならない場合には,再度試験を行う。 

以上の試験を想定最低透過圧力から順次圧力を上げながら行う。 

8. 試験結果の表し方  

8.1 

透過率の計算 透過率は,個々の試験片の測定から次のダルシー(Darcy)の式によって算出し,JIS 

Z 8401によって有効数字3けたまで求める。 

p

L

q

k

=μ ·················································································· (1) 

ここに, 

k: 透過率(m2) 

q: 試験液の透過流束(m・s-1) 

μ: 試験液の粘度(Pa・s) 

L: 試験片の厚さ(m) 

Δp: 圧力損失(Pa) 

透過率の計算においては,まず,透過液の質量をその密度で除して透過液体積V(m3)に変換する。 

透過液量V対時間θの関係を普通グラフ上にプロットし,その直線こう(勾)配から透過流束 

[q=(1/A)・(dV/dθ)]を求める。ここに,A(m2)は透過面積である。 

8.2 

水力等価直径の計算 水力等価直径は,均質膜及び非対称膜の各々の場合について,次の式(3)及び

式(5)によって算出し,有効数字3けたまで求める。 

8.2.1 

均質膜の場合 ファインセラミックス多孔体の毛細管内部を試験液が層流で流動するとき,その透

過流束q(m・s-1)は,ハーゲン−ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)式に基づいて,次の式で表される。 

L

p

L

L

d

q

μ

ε

=

2

e

2e

)

/

32(

 ····································································· (2) 

ここに, 

ε: ファインセラミックス多孔体の空げき率 

de: 水力等価直径(m) 

Δp: 圧力損失(Pa) 

Le: 毛細管の長さ(m) 

L: 試験片の厚さ(m) 

μ: 試験液の粘度(Pa・s) 

なお,ファインセラミックス多孔体の空げき率(気孔率)εの算出方法については,JIS M 8716を参照さ

れたい。 

ファインセラミックス多孔体の空げき内の毛細管流れ方向が,膜への流入方向軸に対して平均45°の角

度をもつと仮定すると,

2

/

e

L

L

と近似される。さらに,この関係式を式(2)に適用し,式(1)に代入する

ことによって,水力等価直径de(m) に関する次の式が導出される。 

ε

k

d

8

e=

 ················································································ (3) 

8.2.2 

非対称膜の場合 非対称性のファインセラミックス多孔体は,通常,何層かの多層膜構造によって

構成される。多層膜の全試験液透過抵抗が,各層における試験液透過抵抗の単純加算和として与えられる

と仮定すると,第n層の試験液透過率kn(m2) は,次の式で表される。 

=

=

)

/

(

/

1

n

1

i

i

i

n

n

k

L

q

p

L

k

μ

 ·························································· (4) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ここに, 

Li: 試験片の第i層の厚さ(m) 

Δp: 圧力損失(Pa) 

μ: 試験液の粘度(Pa・s) 

q: 試験液の透過流束(m・s-1) 

n: 多層膜の構成層数 

ki: 第i層の透過率(m2) 

各層における水力等価直径den(m)は,次の式で表される。 

n

n

en

8εk

d

=

 ············································································· (5) 

ここに, 

kn: 第n層の透過率(m2) 

εn: 第n層の空げき率 

9. 報告 水透過率及び水力等価直径試験の結果は,次の各項目について報告する。 

a) 試験片  

1) 製造業者名 

2) 材質 

3) 均質・非対称の別 

4) 厚さ(非対称の場合は各層の厚さ) 

5) 空げき率 

6) 製品番号 

b) 試験条件  

1) 試験日時 

2) 試験者名 

3) 試験液温 

4) 試験液密度 

5) 試験液粘度 

6) 試験圧力 

7) 使用ホルダ名 

c) 試験結果  

1) 式(1)又は式(4)で算出した透過率 

2) 式(3)又は式(5)で算出した水力等価直径