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R 1662:2004  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本ファインセラミックス協会 

(JFCA)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が

あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

R 1662:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度 ··········································································· 2 

4.1 試験片の状態調節 ·········································································································· 2 

4.2 試験温度及び湿度 ·········································································································· 2 

5. 試験機及び測定器具 ········································································································· 2 

5.1 試験機 ························································································································· 2 

5.2 寸法測定器具 ················································································································ 3 

6. 試験片 ··························································································································· 3 

6.1 試験片の形状及び寸法 ···································································································· 3 

6.2 試験片の作製 ················································································································ 3 

6.3 試験片の数 ··················································································································· 4 

7. 操作 ······························································································································ 4 

8.  計算 ···························································································································· 4 

8.1 吸収エネルギー ············································································································· 4 

8.2 破壊エネルギー ············································································································· 5 

8.3 試験結果の丸め方 ·········································································································· 5 

8.4 標準偏差及び変動係数 ···································································································· 5 

9. 報告 ······························································································································ 5 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1662:2004 

長繊維強化セラミックス複合材料の 

破壊エネルギー試験方法 

Testing method for fracture energy of fiber-reinforced  

ceramic matrix composites 

1. 適用範囲 この規格は,長繊維強化セラミックス複合材料(以下,FRCCという。)の,シャルピー衝

撃試験機による破壊エネルギー試験方法について規定する。 

備考1. この方法による試験は,衝撃曲げ試験の一種である。すなわち,規定寸法の試験片を,単純

支持はりの状態で支持し,その中央を規定の速度及び破断に要するエネルギーによってフラ

ットワイズ衝撃し,1回の衝撃によって試験片を破断するのに要したエネルギーを測定し,

このエネルギーを破断によって試験片中央部に生じた破面正射影面積で除することによって,

試験に供したFRCCの破壊エネルギーを測定するものである。 

2. この規格に適用するFRCCは,主に一方向又は二方向積層繊維強化形態をもつセラミックス

複合材料である。ただし,この規格で規定する試験方法を用い,予備的に評価された破壊エ

ネルギーの値が1 kJ/m2より大きなFRCCは,必ずしも上記の複合強化形態をもつ必要はない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7502 マイクロメータ 

JIS B 7507 ノギス 

JIS B 7739 非金属材料用振り子形衝撃試験機 

JIS K 6900 プラスチック−用語 

JIS Z 8103 計測用語 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 6900及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

a) シャルピー衝撃試験 シャルピー衝撃試験機を用い,規定寸法に隔たっている二つの試験片支持台で

試験片を支え,振り子形ハンマで,1回の衝撃によって試験片中央部を破断し,シャルピー衝撃値を

測定する試験。 

b) 吸収エネルギー 試験片を破断するのに要したエネルギー (J)。 

c) 破壊エネルギー 衝撃破壊における吸収エネルギー (J) を試験片中央部に生じた破断面の正射影面

積で除した値 (kJ/m2)。 

d) 破断 試験片が1回の衝撃によって二つに分離すること。衝撃後,個々の破断片が強化用繊維だけで

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

つながっている場合も,破断したものとみなす。 

e) フラットワイズ衝撃 積層,一方向又は二方向長繊維強化構造をもつ板状複合材料から作製した試験

片への積層面又は繊維強化方向に垂直な方向からの衝撃。 

f) 

ひょう量 試験片衝撃位置に対するハンマのもち上げ位置での位置エネルギーの値。 

g) 試験片支持台の水平面 試験片支持台の,試験片を置く面。 

h) 試験片支持台間の距離 左右2個ある試験片支持台の支持台端部相互間の最短距離(JIS B 7739参照)。 

i) 

衝撃刃の刃縁 試験片に衝撃を与えるハンマの刃先頂部の直線部分。 

j) 

衝撃速度 ハンマが試験片を衝撃する瞬間におけるハンマの衝撃中心の線速度。 

k) 空振り 試験片支持台に試験片を載せないで,もち上げ位置からハンマを振り下ろし,振り上がり側

に振り上がらせること。 

l) 

試験機のエネルギー損失 もち上げ位置とハンマを空振りさせたときの振り上がり位置を,置き針に

よって測定し,これから計算した二つの位置間における位置エネルギーの差。 

4. 試験片の状態調節並びに試験温度及び湿度  

4.1 

試験片の状態調節 試験片は,次に示す試験時の温湿度に12時間以上保管することによって状態調

節を行う。 

4.2 

試験温度及び湿度 試験は,通常,温度20±5 ℃及び湿度(50±20)%の室内で行う。 

5. 試験機及び測定器具  

5.1 

試験機 衝撃試験を行う試験機は,JIS B 7739に規定するシャルピー衝撃試験機でなければならな

い。シャルピー衝撃試験機の一例を図1に示す。 

図 1 シャルピー衝撃試験機の一例 

もち上げ位置 

 も

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備考1. 試験機は,その主要部分の分解・再組立て,模様替えを行った場合には,改めて精度に関

する検査を行い,JIS B 7739の規定に適合することを確認した後使用する。 

2. 1.に該当しないときでも,使用頻度に応じ,一定期間ごとに精度の再確認を行うことが

望ましい。 

3. 試験機は,その使用前後においてJIS B 7739の6.9(ハンマのエネルギー損失の検査)

の (2)で規定する試験機のエネルギー損失の検査を行うことが望ましい。 

5.2 

寸法測定器具  

5.2.1 

マイクロメータ マイクロメータは,試験片の幅及び厚さを測定するもので,JIS B 7502に規定す

るマイクロメータで,測定範囲0〜15 mmのもの,又は,これと同等以上の精度をもつものとする。 

5.2.2 

ノギス ノギスは,試験片の長さ及び試験片支持台間の距離を測定するものであり,JIS B 7507に

規定する,最大測定長300 mm,最小読取値0.05 mmをもつノギス,又はこれと同等以上の精度をもつも

のとする。 

6. 試験片  

6.1 

試験片の形状及び寸法 フラットワイズ衝撃試験片の形状及び寸法を図2に示す。試験片は,長さ

(L) (80±1) mm,幅(B) (10.0±0.2) mm,厚さ(積層板厚さ)(W) (3.0±0.2) mmとする。試験片中央部には,

板厚方向に,深さ(a) (1.50±0.05) mm,スリット幅 (0.3±0.1) mmの片側切欠き(1)が施されている。 

注(1) 破断位置を試験片中央部に限定させることを目的に,片側切欠きは施されている。破壊力学的

な意味をもつものではない。したがって,切欠き先端部形状はV字,U字又はその他の形状で

あってもよい。 

図 2 片側切欠き付きフラットワイズ衝撃試験片及び衝撃方向 

6.2 

試験片の作製 試験片は,他の関連する規格又は受渡当事者間の協定によって,各種の成型・焼結法

によって作製された板材から機械加工によって作る。複合板材固有の異方性があるため,機械加工におけ

る,試験片の採取方法及び採取方向は受渡当事者間の協定による(2)。機械加工に当たっては,切削熱,ク

ラックの発生などによって材料の性質が変化しないように,十分に注意しなければならない。 

注(2) 試験片の作製方法は,評価される破壊エネルギーに大きく影響を及ぼすので,他の関連する規

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格又は受渡当事者間の協定による方法及び条件に従わなければならない。 

6.3 

試験片の数 試験片の数は,それぞれの条件ごとに,通常10個とする。ただし,試験する材料の破

壊エネルギーにばらつきが少ない(3)ときには,5個の試験片でもよい。また,受渡当事者間の協定によっ

てもよい。 

注(3) ばらつきの少ないことの目安は,試験結果の変動係数が10 %以内であることとする。 

7. 操作 操作は,次による。 

a) 衝撃試験機はハンマを自由に下げたとき,指針が0°を示すよう試験機ベッドの水平合せを行う。ま

た,試験片の破断時に振動その他の不都合なことが生じないように,ベッドを強固に据え付けて使用

しなければならない。 

b) 使用する試験機のひょう量は,予備試験の結果を基にして,試験片を破断するのに要するエネルギー

がひょう量の (10〜80) %(4)になるように選ぶ。 

注(4) 可能ならば,試験の実際の諸条件から,ひょう量の (10〜70) %で行うことが望ましい。 

c) 衝撃速度は,毎秒 (3.8±0.38) mとする。 

d) 試験片の中央に施した切欠き部での幅B及び厚さWを±0.01 mmの精度で測定する。 

e) 切欠き深さaを±0.01 mmの精度で測定する(5)。 

注(5) 切欠き深さの測定には測長機能を備えた読取り顕微鏡又は拡大写真を用い,試験片の両側面で

測定した切欠き深さの算術平均値としてaを求める。 

f) 

試験片支持台間の距離を,(60±0.5) mmに設定する。また,試験片支持台の状態がJIS B 7739の条件

を満たすように試験片支持台の位置を調整する。試験片支持台に載せられた試験片に接触したときの

ハンマの刃縁の位置は,ハンマを自由に下げたときの刃縁の位置と一致するようにする。このとき,

試験片支持台の水平面上に載せられた試験片上下方向(試験片幅方向)の中央とハンマ刃縁の中点と

の食い違いは,1 mm以内でなければならない。 

g) 試験片支持台の水平面上に試験片の長手方向が水平となるように試験片を載せる。このとき,試験片

中央片側切欠き部の背面中央がハンマの刃縁の位置に一致するようにする。 

h) 衝撃試験機の支持装置でハンマを所定のもち上げ位置に保持し,置き針をハンマ回転軸に取り付けら

れた置き針駆動金具に接触させる。 

備考 ハンマのもち上げ角度は,通常,150°とする。 

i) 

ハンマの支持を静かに外してハンマを振り下ろし,1回の衝撃で試験片を破断させ,そのときの振り

上がり角度を読み取る。 

8.  計算  

8.1 

吸収エネルギー 吸収エネルギーは,式 (1) によって算出する。 

(

)(

)

cos

cos

cos

cos

EWR

αβ

β

α

α

ααα

=

+

+

 ················· (1) 

ここに, E:吸収エネルギー (J) 
 

WR:ハンマの回転軸回りモーメント (N・m) 

α:ハンマのもち上げ角度 (°) 

α′:ハンマをもち上げ角度αから空振りさせたときの振り上がり

角度 (°) 

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β:試験片破断後のハンマの振り上がり角度 (°) 

8.2 

破壊エネルギー シャルピー衝撃試験から求める破壊エネルギーは,式 (2) によって算出する。 

3

10

2(

)

E

BWa

γ=

×

 ······························································ (2) 

ここに, γ:破壊エネルギー (kJ/m2) 
 

E:吸収エネルギー (J) 

Β:試験片の中央部の幅 (mm) 

W:試験片中央部の厚さ (mm) 

a:切欠き深さ (mm) 

8.3 

試験結果の丸め方 破壊エネルギー γ (kJ/m2) は,各試験片ごとに算出し,その平均値をJIS Z 8401

によって有効数字2けたに丸める。 

8.4 

標準偏差及び変動係数 標準偏差及び変動係数は,式 (3) 及び式 (4) によって算出し,JIS Z 8401

によって有効数字2けたに丸める。 

2

(

)

1

xx

s

n

=

 ··································································· (3) 

100

x

s

CV=

×

 ······································································ (4) 

ここに, s:標準偏差 
 

CV:変動係数 (%) 

x:個々の測定値 

x:測定値の平均値 

n:測定値の数 

9. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記録する。 

a) 試験した複合材料の種類,等級及び製造業者名 

b) 試験片を構成するマトリックス及び強化繊維の種類並びに強化繊維の体積含有率 

c) 試験片の採取方向 

d) 試験片の作製方法 

e) 試験片の形状及び寸法 

f) 

試験した試験片の数 

g) 試験片の状態調節の温度,湿度及び保管時間 

h) 試験室の温度及び湿度 

i) 

試験機の性能(ひょう量,衝撃速度,ハンマのもち上げ角度など) 

j) 

試験結果(個々の試験片について,得られた吸収エネルギー及び破壊エネルギー,平均値,測定値の

範囲又は標準偏差及び変動係数,破断しなかった試験片の有無,層間はく離の有無,破断面の性状観

察など) 

k) 試験年月日その他特筆すべき事項 
 

関連規格 JIS K 7061 ガラス繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法 

JIS K 7077 炭素繊維強化プラスチックのシャルピー衝撃試験方法 

JIS K 7111 プラスチック・シャルピー衝撃強さの試験方法 

JIS Z 2242 金属材料衝撃試験方法 

R 1662:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方