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R 1651 : 2002 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1651 : 2002 

ファインセラミックスの焦電係数の測定方法 

Method for measurement of pyroelectric coefficient of fine ceramics 

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス焦電材料の焦電係数pの測定方法について規定する。

焦電材料の適用範囲は,セラミックス,単結晶及び高分子を対象とし,薄膜セラミックスについては適用

しない。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7502 マイクロメータ 

JIS B 7507 ノギス 

JIS C 0010 環境試験方法−電気・電子−通則 

JIS C 0025 環境試験方法(電気・電子)温度変化試験方法 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほかは,次による。 

a) 自発分極 (Ps)  電気的双極子モーメント 

b) 焦電電流 (Ip)  温度変化で焦電効果によって生じる電流 

c) 焦電効果 温度変化によって電荷を発生する現象 

d) 焦電材料 ニオブ酸リチウム単結晶 (LiNbO3),タンタル酸リチウム単結晶 (LiTaO3),チタン酸鉛セラ

ミックス (PbTiO3),ポリマー (PVDF) など 

e) 分極処理 自発分極を変える操作 

f) ∆T 微少な温度変化 

g) ∆t 微少な時間変化 

4. 測定環境 

4.1 

標準状態 試験及び測定は,特に規定がない限り,JIS C 0010の5.3[測定及び試験のための標準大

気条件(標準状態)]による標準状態(温度15〜35℃,相対湿度25〜85%,気圧86〜106kPa)の下,電磁

的に十分遮へい(蔽)され,機械的振動のない環境の下で行う。 

4.2 

基準状態 基準状態は,JIS C 0010の5.1[標準基準大気条件(基準状態)]による基準状態(温度

20℃,気圧101.3kPa)とする。 

なお,焦電型赤外線センサ特性と関連づける場合は,温度25℃,相対湿度65%,気圧101.3kPaとする。

ただし,いずれの場合も温度だけをもって基準状態としてもよい。 

R 1651 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 測定装置及び器具 

5.1 

恒温槽 恒温槽は,JIS C 0025の定速温度変化試験に規定する測定槽で温度変化の割合が15℃/min

の上昇,降下のできるものが望ましい。 

5.2 

微少電流計 微少電流計は,測定電流値が10−12A以下の精度をもつものを用いる。制御装置との信

号送受信が可能な機能をもつものが望ましい。 

5.3 

温度測定装置 温度測定装置は,JIS Z 8704に規定するB級測定方式の精度又は同等以上の精度を

もつものを用いる。測温体は,熱電対又は測温抵抗体を用いる。測温体の検温部は,熱容量の小さい形状

とし,試料にできる限り近い位置に設置する。 

温度計測器は,ディジタル温度計・ディジタル電圧計などとし,制御装置との信号送受信が可能な機能

をもつものが望ましい。 

5.4 

制御装置 制御装置は,時間計測のため時間機能をもつものを用いる。また,微少電流計や温度測

定装置との信号送受信機能,演算機能,演算処理結果を外部出力する機能をもつものが望ましい。 

5.5 

形状寸法測定器具 形状寸法測定器具は,JIS B 7502に規定する外側マイクロメータ,JIS B 7507

に規定する最小読取値0.05mmのノギス又はこれらと同等以上の精度をもつものを用いる。 

5.6 

試料容器 試料容器は,湿度,電気ノイズ及び振動に影響されず,恒温槽からの熱変化を速やかに

伝達できるものを用いる。試料容器から微少電流計への信号取出しには,トライアキシャルコネクタ 

(TNC) 又はBNCコネクタを用いる。 

6. 試料 電気伝導のよい電極が全面に形成されたセラミックスを試料片とする。試料片は,3個以上用

意する。 

6.1 

形状 試料形状は,10mm×10mm程度の角,又は同程度の面積をもつもの,厚さは0.5mm以下が望

ましい。試料寸法はマイクロメータなどによって測定し,試験結果とともに形状,寸法を明記する。 

6.2 

電極 電極は,試料の両面に熱伝導のよい(例えば,Au,Ag,Pt)材料を試料の厚みより十分に小

さい厚みで,かつ,一定の厚みに形成する。電極形状は,試料形状と同一であることが望ましい。電極面

積は顕微鏡,マイクロメータなどで測定し,また,電気伝導は抵抗計などで測定し,試験結果とともに電

極材料,電極形状,電極面積及び導電率を明記する。 

7. 試験方法 

7.1 

測定原理 自発分極をもつファインセラミックスは,温度変化に伴う焦電効果によって焦電電流 

(Ip) が発生する。この現象は,次の式によって表される。 

Ip=A× (dPs/dt)  

  =A× (dPs/dT) × (dT/dt)  

  =A×p× (dT/dt)  

ファインセラミックスの焦電係数pは 

p=dPs/dT 

で定義されるので,焦電係数pは 

)

/

(

dt

dT

A

I

p

p

となる。 

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R 1651 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

焦電係数の測定は,上記式を基本にしている。焦電電流 (Ip),電極面積 (A) を測定し,温度こう配 (dT/dt) 

を制御することで焦電係数 (p) を求める。dT/dtは,微少時間内 (∆t) の微少温度変化 (∆T) を計測するこ

とによって求める。 

7.2 

試験装置の構成 図1を基本構成とする。 

図1 試験装置の構成例 

7.3 

測定準備 測定の準備は,次による。 

a) 電極面積の算出 試料の電極面積 (A) を,電極形状を計測することによって算出する。 

b) 試料の設置 試料は,試料容器内中央部に端子に接続して設置する。そして,その近傍に熱電対を配

置する。 

c) 試料容器 あらかじめ湿気の影響を取り除くため,フロロカーボン液を満たしておく。試料容器が真

空容器の場合は,真空状態を保てるように脱気を行う。 

7.4 

測定 

a) 恒温槽の温度範囲 0〜50℃の範囲を目安とする。 

b) 昇降温度速度 (∆T/∆t)  ±4℃/分とする。 

c) ∆T,∆t測定 ∆Tだけ温度変化したときの時間∆tを計測するか又は∆t時間経過したときの温度変化∆T

を計測する。∆tは,30秒以下が望ましい。 

d) 焦電電流 (Ip) 測定 ∆T間又は∆t間で任意の回数で測定しこの間の焦電電流の平均値とする。 

e) 昇降温測定順序 いずれからでもよく,後の平均計算では両方での測定を含むことが望ましい。 

f) 

電流計オフセット 測定開始前に試料の温度が一定になるまで焦電電流が流れるため電流計の電流値

が安定するまで静置する。 

8. 計算 

8.1 

算出方法 測定温度X℃での焦電係数p [C/ (m2・K)] は,記録した温度変化率,焦電電流をもとに次

の式によって算出する。 

)

(/)

(

1

2

1

2

x

x

x

x

p

t

t

T

T

A

I

p

ここに, 

Tx1: 任意の温度 (℃)  

tx1: 任意の時間 (sec)  

Tx2: (Tx1+∆T) (℃)  

tx2: (tx1+∆t) (sec)  

|Ip|: ∆T又は∆t間でのn回 (n≧2) 測定の焦電電流値の平均値 (A)  

X: 測定温度 X= (Tx2+Tx1) /2 (℃)  

R 1651 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A: 電極面積 (m2)  

8.2 

測定結果 試料の焦電係数pは,20〜30℃の間で算出されたpの平均値,又は,20〜30℃の間の任

意の温度で算出されたpとし,温度を明記することが望ましい。これ以外の温度での焦電係数pは,その

温度を明記して焦電係数pを示す。 

9. 報告 

9.1 

次の項目を報告する。 

a) 測定年月日 

b) 測定機関,部署及び測定者 

c) 試料材質 

d) 試料の形状及び寸法 

e) 試料の電極材質 

f) 

測定条件 

1) 測定温度 

2) 零囲気 

3) 測定温度範囲 

4) 温度変化率 

g) 測定結果 

1) 焦電係数 

2) 焦電電流値(昇温測定及び降温測定) 

3) 測定回数 

9.2 

次の項目についての記録を,付記することが望ましい。 

a) 試料 

1) 製造業者名 

2) 種類又は記号 

3) 化学成分 

b) 測定条件 

1) 測定装置の形式 

2) 試料保持部の構造 

R 1651 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS R 1651(ファインセラミックスの焦電係数の測定方法) 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

杉 原   淳 

湘南工科大学材料工学科 

(委員) 

◎ 竹 中   正 

東京理科大学 

○ 一ノ瀬   昇 

早稲田大学 

○ 山 本   孝 

防衛大学 

○ 伊 藤   聡 

株式会社村田製作所 

○ 加 藤 和 昭 

株式会社富士セラミックス 

○ 柴 田 賢 一 

三洋電機株式会社 

○ 高 山 良 一 

松下電器産業株式会社 

○ 松 島   巧 

日本セラミックス株式会社 

熊 代 幸 伸 

横浜国立大学 

西 田 勲 夫 

金属材料技術研究所 

堀   康 彦 

財団法人電力中央研究所 

今 泉 久 朗 

小松エレクトロニクス株式会社 

安 積 忠 彦 

真空理工株式会社 

中 村 恭 之 

住友特殊金属株式会社 

神 谷 秀 博 

東京農工大大学院 

菜 嶋 健 司 

計量研究所 

中 平 兼 司 

財団法人ファインセラミックスセンター 

小 嶋   勝 

株式会社村田製作所 

杉 山 紀 幸 

株式会社INAX 

矢 崎 利 昭 

英弘精機株式会社 

宮 本   勲 

東機産業株式会社 

田 中 英 彦 

日本ガイシ株式会社 

○ 戸 井 朗 人 

通商産業省生活産業局ファインセラミックス室 

○ 八 田   勲 

通商産業省工業技術院標準部(H11/4〜H11/6月) 

○ 福 井 正 弘 

通商産業省工業技術院標準部(H11/7〜H12/3月) 

○ 橋 本   進 

財団法人日本規格協会技術部 

○ 菅 野 隆 志 

ファインセラミックス国際標準化推進協議会 

○ 渡 辺 一 志 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

(事務局) 

○ 高 橋   孝 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ◎及び○印は,原案作成小委員会委員を兼ねる(◎小委員会主査)。 

(文責 原案作成小委員会) 

R 1651 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業標準調査会標準部会 窯業技術専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

松 尾 陽太郎 

東京工業大学大学院理工学研究科 

(副委員会長) 

植 松 敬 三 

長岡技術科学大学 

(委員) 

井 田 全 彦 

板硝子協会 

小 田 喜 一 

独立行政法人産業技術総合研究所 

黒 木 俊 之 

東邦テナックス株式会社三島事業所 

阪 井 博 明 

日本ガイシ株式会社中央研究所 

佐 々   正 

石川島播磨重工業株式会社技術開発本部 

長   恵 祥 

株式会社大林組総合企画室 

松 尾   晃 

品川白煉瓦株式会社技術グループ 

松 田 邦 男 

川崎製鉄株式会社技術総括部 

山 川 正 行 

株式会社マグ製造部