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R 1650-1 : 2002 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS R 1650の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS R 1650-1 ファインセラミックス熱電材料の測定方法−第1部:熱電能 

JIS R 1650-2 ファインセラミックス熱電材料の測定方法−第2部:抵抗率 

JIS R 1650-3 ファインセラミックス熱電材料の測定方法−第3部:熱拡散率・比熱容量・熱伝導率 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1650-1 : 2002 

ファインセラミックス熱電材料の測定方法− 

第1部:熱電能 

Testing method for fine ceramics thermoelectric materials 

Part 1 : Thermoelectric power 

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス熱電材料の室温における熱電能の測定方法について規

定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 7507 ノギス 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

JIS Z 8703 試験場所の標準状態 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。 

a) 熱電材料 (Thermoelectric material)  熱電能(ゼーベック係数)が大きく,しかも抵抗率と熱伝導率

の低い半導体で熱電変換に用いられる材料。 

b) 熱電変換 (Thermoelectric conversion)  ペルチェ効果による電子冷却又はゼーベック効果による熱

電発電。 

c) 熱電能,α (Thermoelectric power)  物質に温度差 (∆T) を与えたとき,両端に発生する熱起電力 (E) 

を温度差で除した1K当たりの値。α=E/∆T (μV/K) と定義され,絶対熱電能ともいわれる。 

d) 相対熱電能, (α12) (Relative thermoelectric power)  物質1と物質2の一端を接合して温度差を与え

たとき,開放端熱起電力 (E12) を温度差で除した1K当たりの値。α12=E12/∆T (μV/K) と定義されてい

る。物質1と物質2の絶対熱電能をそれぞれα1とα2とすると,α12=α1−α2で表される。 

4. 測定試料 

4.1 

形状 角柱又は円柱状とする。角柱の場合,1辺は3〜5mm,円柱の場合,直径3〜5mmとするのが

望ましい。長さは,温度差の付け方と温度差を測るセンサー(熱電対)の設置方法によって決める。 

4.2 

処理 測定試料表面は,酸化膜のない状態にしなければならない。 

5. 測定条件 測定はJIS Z 8703に規定する常温(温度20±15℃)で行う。 

R 1650-1 : 2002 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6. 測定装置・器具 

6.1 

寸法測定器具 JIS B 7507で規定するノギス,又はこれらと同等以上の精度をもつものを用いる。 

6.2 

熱起電力測定機器 目量が0.5μV以下のディジタル電圧計を用いる。 

6.3 

高低温ブロック 材質は銅製。熱容量を大きくするとともに接する面は測定試料に比べて十分に大

きいことが望ましい。また金めっきすることを推奨する。 

6.4 

熱電対 プローブ用熱電対の直径は0.3mm以下とする。作業性の許す限り細い熱電対を使用するほ

うがよい。 

7. 測定方法 付図1に測定の基本構成を示す。高(低温)温ブロックに測定試料を挟み温度差を与え,

高温,低温プローブの温度,発生する熱起電力から熱電能を求める。 

7.1 

高低温ブロックの温度差 10K程度とする。高温側を周囲温度+5度,低温側を周囲温度−5度,な

どとすることが望ましい。温度安定性は測定中は±0.1Kとする。安定性が得にくい場合は,電子冷却を利

用した恒温水循環装置で内部をくりぬいた高(低)温ブロックに恒温水を循環させるのがよい。 

7.2 

温度計測 温度測定プローブを高(低)温ブロックの中心を貫通して測定試料端面に接触させる手

法を推奨する(付図1)。ただし,装置の制限がある場合は, (1) 高(低)温ブロックの温度[付図2a)],

又は (2) 試料の側面に熱電対を接触させて温度を測ってもよい[付図2b)]。 (1) の場合,高(低)温ブロ

ックと試料の間の熱抵抗で温度こう配があり,試料両端の実際の温度差より大きな温度差を測る傾向にあ

る。高温と低温2か所の温度を測るのではなく,高(低)温ブロックの温度差を直接測ったほうが誤差を

少なくできてよい。 (2) の場合は,測定試料の酸化膜などを取り除くことが必要である。また,高(低)

温プローブ接点から高(低)温ブロック接点までの距離と試料の直径(又は1辺)の比は,(熱ブロックま

での距離)/(試料の直径)>1.5が望ましい。ただし,測定試料の形状の制限から困難な場合は熱流束の

均一性に注意してプローブを配置してもよい。これらの場合,プローブの熱接触の正当性確認は測定系を

真空又はHeガス置換して温度計測を実施し,両者の値が一致することでチェックできる。 

備考 一般に熱電対の接点だけを接触させて温度を測ると実際の温度より小さく測る傾向があり,熱

起電力の分かっている標準試料で温度差を確認することが望ましい。 

8. 測定手順 

a) 測定試料形状を測定する。 

b) 付図1に示すように,測定試料を高温と低温ブロック間に狭む。 

c) 測定試料側面に温度プローブを接触させる場合は,プローブからブロックまでの距離を計測する。 

d) 高温ブロックのヒータに電流を通じ,高温及び低温プローブの起電力(TH及びTL)を,ディジタル電

圧計で測定して試料の高温 (TH) 及び低温 (TL) 間温度を10K程度に保つ。 

e) 試料の熱起電力 (E) は.ディジタル電圧計を用いて高温及び低温プローブの一方の素線で測定する。

白金系熱電対を使用する場合,白金側で測定する。このとき両プローブの試料温度測定部は開放状態

にする。 

f) TH,TL及びEを式(2)に代入し,試料の相対熱電能 (αM) を求める。 

g) 試料の絶対熱電能 (α) は,白金のTHとTLにおける絶対熱電能αA,αB,TH,TL及びαMを式(2)に代入

して求める。αA=αBとして,TH及びTLの平均温度における白金の絶対熱電能を用いて近似してもよ

い。 

R 1650-1 : 2002  

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9. 計算 

9.1 

相対熱電能の計算式 相対熱電能の計算式は,次の式(1)による。 

αM=E / (TH−TL) = {αB・TL−αA・TH+α・ (TH−TL)} / (TH−TL)………………(1) 

ここに, αM: 試料の相対熱電能 
 

E: 試料に温度差 (∆T=TH−TL) を与えたときの熱起電力測定端

子間に発生する熱起電力 (V) 

TH: 高温側温度 (K) 

TL: 低温側温度 (K) 

αA: 高温側温度測定用熱電対の一方の熱電対線の絶対熱電能(1) 

(μV/K) 

αB: 低温側温度測定用熱電対の一方の熱電対線の絶対熱電能(1) 

(μV/K) 

α: 試料の絶対熱電能 [3.c)] 

注(1) 熱起電力及び温度の測定においては,相対熱電能のデータが豊富に整っている白金系熱電対を

使用し,熱起電力の測定リード線に白金線を利用することが望ましい。 

9.2 

絶対熱電能の計算式 絶対熱電能の計算式は,次の式(2)による。 

α=αM+ (αA・TH−αB・TL) / (TH−TL)……………………………………………(2) 

10. 報告 報告は,次の項目による。 

a) 測定した材料の種類 

b) 使用熱電対の精度 

c) 測定温度 

d) 絶対熱電能又は相対熱電能 測定値が,絶対又は相対熱電能であるかを明記すること。また,絶対熱

電能を求める際には,利用した測定リード線の物質名及び絶対熱電能を明記すること。相対熱電能の

場合には,どの物質に対する相対熱電能であるかを明記すること。 

e) 試料外形寸法 

f) 

高(低)温プローブ接点から高(低)温ブロック接点までの距離[付図2b)の測定の場合] 

g) 使用測定器の分解能と確度 

h) 測定の再現性の有無と測定結果 

i) 

測定年月日 

j) 

その他必要と判断される事項 

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R 1650-1 : 2002 

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付図1 測定方法の構成例 

付図2 測定方法の構成例 

R 1650-1 : 2002  

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JIS R 1650-1(ファインセラミックス熱電材料の測定方法− 

第1部:熱電能) 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

◎ 杉 原   淳 

湘南工科大学材料工学科 

(委員) 

竹 中   正 

東京理科大学 

一ノ瀬   昇 

早稲田大学 

山 本   孝 

防衛大学 

伊 藤   聡 

株式会社村田製作所 

加 藤 和 昭 

株式会社富士セラミックス 

柴 田 賢 一 

三洋電機株式会社 

高 山 良 一 

松下電器産業株式会社 

松 島   巧 

日本セラミックス株式会社 

○ 熊 代 幸 伸 

横浜国立大学 

○ 西 田 勲 夫 

金属材料技術研究所 

○ 堀   康 彦 

財団法人電力中央研究所 

○ 今 泉 久 朗 

小松エレクトロニクス株式会社 

○ 安 積 忠 彦 

真空理工株式会社 

○ 中 村 恭 之 

住友特殊金属株式会社 

神 谷 秀 博 

東京農工大学大学院 

菜 嶋 健 司 

計量研究所 

中 平 兼 司 

財団法人ファインセラミックスセンター 

小 嶋   勝 

株式会社村田製作所 

杉 山 紀 幸 

株式会社INAX 

矢 崎 利 昭 

英弘精機株式会社 

宮 本   勲 

東機産業株式会社 

田 中 英 彦 

日本ガイシ株式会社 

○ 戸 井 朗 人 

通商産業省生活産業局ファインセラミックス室 

○ 八 田   勲 

通商産業省工業技術院標準部(H11/4〜H11/6月) 

○ 福 井 正 弘 

通商産業省工業技術院標準部(H11/7〜H12/3月) 

○ 橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

○ 菅 野 隆 志 

ファインセラミックス国際標準化推進協議会 

○ 渡 辺 一 志 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

(事務局) 

○ 高 橋   孝 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ◎及び○印は,原案作成小委員会委員を兼ねる(◎小委員会主査)。 

(文責 原案作成小委員会) 

R 1650-1 : 2002 

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日本工業標準調査会標準部会 窯業技術専門委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員会長) 

松 尾 陽太郎 

東京工業大学大学院理工学研究科 

(副委員会長) 

植 松 敬 三 

長岡技術科学大学 

(委員) 

井 田 全 彦 

板硝子協会 

小 田 喜 一 

独立行政法人産業技術総合研究所 

黒 木 俊 之 

東邦テナックス株式会社三島事業所 

阪 井 博 明 

日本ガイシ株式会社中央研究所 

佐 々   正 

石川島播磨重工業株式会社技術開発本部 

長   恵 祥 

株式会社大林組総合企画室 

松 尾   晃 

品川白煉瓦株式会社技術グループ 

松 田 邦 男 

川崎製鉄株式会社技術総括部 

山 川 正 行 

株式会社マグ製造部