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R 1646 : 2002  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は,出願公開後の実用新案

登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1646 : 2002 

ファインセラミックスの 

キャビテーションエロージョン試験方法 

Testing method for cavitation erosion of fine ceramics 

1. 適用範囲 この規格は,高温・高圧の水,水蒸気中などで使用されるファインセラミックスの適正を

評価するためのキャビテーションエロージョン試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS B 0601 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ

ータ 

JIS B 7502 マイクロメータ 

JIS B 7507 ノギス 

JIS C 2141 電気絶縁用セラミック材料試験方法 

JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語 

JIS R 2205 耐火れんがの見掛気孔率・吸水率・比重の測定方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。 

a) キャビテーション 高圧水などの液体を取り扱う流体機器類では,流路断面の縮小,拡大などによる

流速の変化に伴い,液体中に一時的に圧力が低下する部分が生じる。圧力が液体のその温度の飽和蒸

気圧まで低下すると,圧力低下域では液体中に気泡が生じ,その下流の圧力回復域で気泡が崩壊する

現象。 

b) キャビテーションエロージョン 気泡の崩壊によるキャビテーション衝撃波などによって,液体に接

する構造部材が受ける損傷。 

4. 試験装置及び器具 試験装置及び器具は,次による。 

4.1 

試験装置 試験装置は,磁わい(歪)振動試験装置を使用し,図1及び図2に例示する直接形磁わ

い振動試験装置又は対向形磁わい振動試験装置を用いる。 

4.2 

測定器具 

a) ノギス JIS B 7507に規定する最小読取り長さ0.05mm又はこれと同等以上の精度をもつものを用い

る。 

b) マイクロメータ JIS B 7502に規定するマイクロメータ又はこれと同等以上の精度をもつものを用い

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R 1646 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

c) 乾燥器 温度を105〜120℃に保つことができる電気恒温槽を用いる。 

d) 化学天びん 最大ひょう量100〜200gで,感度0.1mg又はこれと同等以上の精度をもつものを用いる。 

図1 直接形磁わい振動試験装置の一例 

図2 対向形磁わい振動試験装置の一例 

5. 試験片 試験片は,次による。 

5.1 

試験片の形状及び寸法 試験片は,製品から切り出すか,又は別に作成する。別に作成する場合に

は,試験片は製品を代表できるようなもので,製品と同一条件で製造したものでなければならない。 

試験片の形状及び寸法は,図3に示す円板形とし,上面又は下面を評価面とする。 

なお,試験片のりょう(稜)は,丸めるか,又は面取り (0.1〜0.3mm) する。 

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R 1646 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図3 試験片の一例 

5.2 

試験片の表面粗さ 試験片の表面粗さは,JIS B 0601に規定する0.20μmRa以下とする。 

5.3 

試験片の数 試験片の数は,2個以上とする。 

6. 試験方法 試験方法は,次による。 

6.1 

試験条件 試験条件は,表1によって設定する。 

表1 試験条件 

項目 

条件 

直接形磁わい振動法 

対向形磁わい振動法 

振動子 

磁わい式 

振動数 

20±0.2kHz 

振幅(全振幅) 

0.05mm 

0.03mm 

振動子先端と試験片のすきま 

− 

0.4mm 

試験液 

純水(脱イオン水) 

試験槽容量 

600cm3以上 

液深 

40mm以上 

試験片浸せき深さ 

3〜10mm 

試験液温度 

20±1℃ 

雰囲気圧力 

大気圧 

試験時間 

5h 

20h 

6.2 

試験片の寸法の測定 試験片の寸法は,あらかじめマイクロメータ又はノギスを用いて測定する。 

6.3 

試験片の質量の測定 試験の前後においてJIS C 2141の方法によって,次の順序に従って試験片の

質量を測定する。 

a) 試験片をアセトンなどで脱脂洗浄する。 

b) 試験の前後に105〜120℃に調整した恒温槽中で試験片を1時間乾燥し,デシケータに入れて室温に達

するまで放冷した後,天びんを使用して試験片の乾燥質量を測定する。 

6.4 

試験片のかさ密度の測定 試験片のかさ密度は,試験片の体積と質量を使用して求めるか,又はJIS 

R 2205によって次の順序に従って決定する。 

a) 飽水試験片の水中質量及び飽水試験片の質量を測定する。 

b) 次の式から,かさ密度を求める。 

w

s

M

M

M

ρ

ρ

×

2

3

1

ここに, 

ρs: かさ密度 (g/cm3)  

M1: 乾燥質量 (g)  

M2: 飽水試験片の水中質量 (g)  

M3: 飽水試験片の質量 (g)  

ρw: 水の密度 (g/cm3)  

備考 飽水試験片とは,乾燥質量をひょう量した後,煮沸槽の水面下に沈め,3時間以上煮沸し,室

温まで冷却した試験片。 

R 1646 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.5 

試験片の取付け方法 試験片は,接着剤などを用いて,試験片ホルダに取り付けて,試験中に脱落

しないようにする。 

7. 計算 損傷質量及び損傷体積は,次の式によって算出し,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸め

る。 

7.1 

試験片の損傷質量の計算 

Md=Mo*−Mt* 

ここに, 

Md: 試験片の損傷質量 (mg)  

Mo*: 試験体の試験前の質量 (mg)  

Mt*: 試験体の試験後の質量 (mg)  

7.2 

試験片の損傷体積の計算 

s

d

d

M

ρ

υ=

ここに, 

υd: 試験片の損傷体積 (mm2)  

Md: 試験片の損傷質量 (mg)  

ρs: 試験片のかさ密度 (g/cm3)  

8. 報告 キャビテーションエロージョン試験結果は,a)〜f)の項目について報告する。 

なお,必要に応じて,g)〜j)も報告する。 

a) 試験装置 

b) 試験条件 試験条件が表1と相違する項目があるときは,その理由も示す。 

c) 試験片の材質,形状,寸法,表面粗さ及びかさ密度 

d) 試験片の数 

e) 損傷質量 

f) 

損傷体積 

g) 損傷面の損傷形態 

h) 損傷面の表面粗さ 

i) 

損傷面の電子顕微鏡写真 

j) 

試験片素材の製法 

R 1646 : 2002  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS R 1646(ファインセラミックスのキャビテーションエロージョン試験方法) 

原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 渋 谷 寿 一 

東京工業大学 

○ 岩 田 宇 一 

財団法人電力中央研究所 

○ 本 田   整 

岡野バルブ製造株式会社 

○ 春 木 仁 朗 

関西電力株式会社 

○ 山 本   力 

日本ガイシ株式会社 

○ 岡 部 永 年 

愛媛大学 

○ 黒 崎 晏 夫 

電気通信大学 

○ 佐久間 俊 雄 

財団法人電力中央研究所 

○ 小 川 光 恵 

財団法人ファインセラミックスセンター 

○ 梶   正 己 

京セラ株式会社 

○ 松 山 豊 和 

東芝セラミックス株式会社 

小 林 禧 夫 

埼玉大学 

西 田 俊 彦 

京都工芸繊維大学 

東 田   豊 

財団法人ファインセラミックスセンター 

中 山   明 

京セラ株式会社 

平 井 隆 己 

日本ガイシ株式会社 

大 林 和 重 

日本特殊陶業株式会社 

加賀田 博 司 

松下電器産業株式会社 

高 木   斉 

株式会社村田製作所 

安 田 栄 一 

東京工業大学 

宮 原   薫 

石川島播磨重工業株式会社 

石 川 敏 弘 

宇部興産株式会社 

大 石   学 

株式会社東レリサーチセンター 

野 尻 邦 夫 

三菱重工業株式会社 

太 田 健 一 

大阪大学 

宇佐見 初 彦 

名城大学 

阪 口 修 司 

名古屋工業技術研究所 

福 原 幹 夫 

東芝タンガロイ株式会社 

鈴 木   孝 

株式会社レスカ 

石 川 隆 司 

航空宇宙技術研究所 

武 田 展 雄 

東京大学 

八 田 博 志 

宇宙科学研究所 

守 屋 勝 義 

石川島播磨重工業株式会社 

渋 谷 昌 樹 

宇部興産株式会社 

亀 田 常 治 

株式会社東芝 

梅 澤 正 信 

日本カーボン株式会社 

○ 戸 井 朗 人 

通商産業省生活産業局 

○ 八 田   勲 

通商産業省工業技術院 

○ 橋 本   進 

財団法人日本規格協会 

○ 菅 野 隆 志 

ファインセラミックス国際標準化推進協議会 

○ 渡 辺 一 志 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

(事務局) 

○ 高 橋   孝 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ○印は小委員会委員を兼ねる。 

(文責 原案作成小委員会)