R 1642-1 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は,出願公開後の実用新案
登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS R 1642の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS R 1642-1 第1部:自由減衰ねじり振子法
JIS R 1642-2 第2部:曲げ共振法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 1642-1 : 2002
ファインセラミックスの高温内部摩擦試験方法−
第1部:自由減衰ねじり振子法
The test method for internal friction test of fine ceramics at elevated
temperatures−
Part 1 : Free decay method by the torsion pendulum
1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックスの内部摩擦試験方法のうち,棒状,円柱状,又は板状
の試験片をねじり振動させた際の自由減衰によって室温から1 500℃までの高温における内部摩擦を測定
する方法について規定する。
この規格では,材料に外部から振動を与えたときの1周期中のエネルギー損失の比を求める方法を規定
し,その値を内部摩擦 (Q−1) と表す。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ
ータ
JIS B 0621 幾何偏差の定義及び表示
JIS C 1602 熱電対
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。
a) 内部摩擦 固体に機械的振動を与えたとき,振動が次第に減衰する現象又はその大きさを表す量。減
衰した振動のエネルギーは固体内で熱に変わって消散する。
4. 装置及び器具
4.1
ねじり振子試験機 ねじり振子法による自由減衰曲線から内部摩擦を測定するための試験機は,次
による。図1にねじり振子法,図2に逆つりねじり振子法の装置の基本構成図を示す。
備考 試料の上部及び下部を硬い材料で保持し,片方に重りなどの慣性体を取り付け試料にねじり応
力を加えた後,その力を解放することで試験片にねじり自由振動を与える機構をもつ装置を用
いる。
a) 最大ねじり振動角度0.5度以上を具備する。
2
R 1642-1 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
b) ねじり角度分解能は0.001度以上の精度をもつものとする。
c) 試験片に引張り,圧縮及び曲げなどのねじり以外のひずみがかからないようにすることが望ましい。
d) ねじり振子装置は,外部からの振動や衝撃を避けるように設置しなければならない。外部振動が測定
結果に影響しないように除振台などに設置することが望ましい。
e) 試験片保持具は,セラミックス,合金鋼など硬い材料で試験片の剛性に比べて,十分大きな剛性をも
つものとする。
図2 逆つりねじり振子法
4.2
ねじり振動振幅測定装置 振動振幅は,光学的方法,電気的方法などによって非接触で検出する装
置を用いる。振動振幅は,各振動の振幅を誤差3%以内で測定しなければならない。
3
R 1642-1 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.3
加熱装置 加熱装置は,試験片及び試験片保持部を加熱し,試験片を均一に加熱できることが望ま
しい。
4.4
温度測定装置
4.4.1
計測器 計測器は,測定精度が定格値の±0.5%以内でJIS Z 8704に規定するB級測定方式の精度
を満足するものを用いる。
4.4.2
熱電対 熱電対は,次による。
a) 温度測定は,JIS C 1602に規定する熱電対を用いる。
b) 熱電対の測温接点は,試験片近傍の最高温度位置に設置し,熱的に接触しなければならない。
c) 熱電対以外の方法で温度測定をする場合には,熱電対と同等又はそれ以上の精度をもつものでなけれ
ばならない。
5. 試験片
a) 試験片 試験片は,棒状,円柱状又は板状試験片を用いる。
b) 表面粗さ 表面粗さは,JIS B 0601に規定する0.4μmRa以下とする。それ以外の場合には,加工法を
報告に記載する。
c) 平行度 試験の平行度は,JIS B 0621に規定する平行度0.5%以下にする。
6. 試験方法
6.1
試料の装着 ねじり振動軸を試料の中心軸と合わせ装着し,緩み,がたなどがないように固定する。
6.2
ねじり振動の与え方 ねじり振動以外の振動モードが入らないように振動させる。
6.3
ねじり振動振幅測定方法 振動振幅は,光学的方法,電気的方法などによって非接触で検出しなけ
ればならない。その振動は,図3のような自由減衰曲線になる。
6.4
温度制御方法 加熱は,連続的に行うか又は所定の温度に保持する。温度制御は,昇温又は降温速
度一定で連続的に行うか若しくは所定の温度に保持する。
6.5
雰囲気 高温測定における雰囲気は,真空中,大気中,窒素ガス中又はその他試験片及び保持部に
影響を及ぼさない雰囲気中で行い報告書に記載する。
7. 内部摩擦の計算方法 内部摩擦は,次の式で計算し,JIS Z 8401によって有効数字2けたに丸める。
図3に示すような自由減衰振動曲線のn番目の振幅をAn,n+1番目の振幅をAn+1とすると内部摩擦 (Q
−1) は
=
+
−
1
1
n1
1
n
n
A
A
Q
π
ここに,
π: 円周率
となる。
測定では隣合うn番目とn+1番目では誤差が大きくなるのでnよりも5以上大きなm番目 (m>n+5) の
振幅を用いる。m番目の振幅をAmとする,と内部摩擦 (Q−1) は
−
=
−
m
n
A
A
n
m
Q
n
1
)
(
1
1
π
4
R 1642-1 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
となる。
測定ではm−nの値として5から200程度を用いる。
図3 自由減衰振動曲線
8. 報告
8.1
次の項目を報告する。
a) 試験片材質
b) 試験片の形状及び寸法
c) 試験条件
1) 試験温度
2) 測定周波数
3) m−n値
4) 雰囲気
5) 最大ねじり角度
d) 試験結果
1) 内部摩擦の値又は内部摩擦・温度曲線
8.2
次の項目についての記録を報告することが望ましい。
a) 試験片
1) 製造業者名
2) 種類又は記号
3) 化学成分
4) 加工法
5) 熱処理の有無及び熱処理条件
b) 試験条件
1) 試験機の形式
2) 加熱装置の形式及び温度測定方式
5
R 1642-1 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3) 昇温速度及び降温速度
4) ねじり振動角度検出方式
5) 試験片温度分布
c) 試験結果
1) ねじり角度又はねじりひずみと内部摩擦の関係
2) 代表的な自由減衰曲線
6
R 1642-1 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS R 1642-1(ファインセラミックスの高温内部摩擦試験方法−第1部:自由減衰ねじり振子法)
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
○ 安 田 栄 一
東京工業大学
○ 太 田 健 一
大阪大学
○ 宇佐見 初 彦
名城大学
○ 阪 口 修 司
名古屋工業技術研究所
○ 福 原 幹 夫
東芝タンガロイ株式会社
○ 鈴 木 孝
株式会社レスカ
小 林 禧 夫
埼玉大学
東 田 豊
財団法人ファインセラミックスセンター
中 山 明 京セラ株式会社
平 井 隆 己
日本ガイシ株式会社
大 林 和 重
日本特殊陶業株式会社
加賀田 博 司
松下電器産業株式会社
高 木 斉 株式会社村田製作所
西 田 俊 彦
京都工芸繊維大学
宮 原 薫
石川島播磨重工業株式会社
石 川 敏 弘
宇部興産株式会社
大 石 学
株式会社東レリサーチセンター
野 尻 邦 夫
三菱重工業株式会社
石 川 隆 司
航空宇宙技術研究所
武 田 展 雄
東京大学
八 田 博 志
宇宙科学研究所
守 屋 勝 義 石川島播磨重工業株式会社
渋 谷 昌 樹
宇部興産株式会社
亀 田 常 治
株式会社東芝
梅 澤 正 信
日本カーボン株式会社
渋 谷 寿 一
東京工業大学
岩 田 宇 一
財団法人電力中央研究所
本 田 整
岡野バルブ製造株式会社
春 木 仁 朗
関西電力株式会社
山 本 力
日本ガイシ株式会社
岡 部 永 年
愛媛大学
黒 崎 晏 夫
電気通信大学
佐久間 俊 雄
財団法人電力中央研究所
小 川 光 恵
財団法人ファインセラミックスセンター
梶 正 己
京セラ株式会社
松 山 豊 和
東芝セラミックス株式会社
○ 戸 井 朗 人
通商産業省生活産業局
○ 八 田 勲
通商産業省工業技術院
○ 橋 本 進
財団法人日本規格協会
○ 菅 野 隆 志
ファインセラミックス国際標準化推進協議会
○ 渡 辺 一 志
社団法人日本ファインセラミックス協会
(事務局)
○ 高 橋 孝
社団法人日本ファインセラミックス協会
備考 ○印は小委員会委員を兼ねる。
(文責 原案作成小委員会)