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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

R 1619-1995 

ファインセラミックス粉末の液相沈降 

光透過法による粒子径分布測定方法 

Testing method for size distribution of fine ceramic  

particles by liquid photosedimentation method 

1. 適用範囲 この規格は,ファインセラミックス粉末を,液相中に均一分散させた状態から沈降させ,

光透過法によって粒子径分布を測定する方法について規定する。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS R 1620 ファインセラミックス粉末の粒子密度測定方法 

JIS Z 8803 液体の粘度−測定方法 

JIS Z 8804 液体比重測定方法 

JIS Z 8820 液相沈降法による粉体の粒子径分布測定方法通則 

2. 測定の原理 液相沈降光透過法による粒子径分布測定方法は,液相中に粉末を均一に分散させた状態

から粒子を沈降させ,時間によるその濃度変化を光の透過量によって測定し粒子径分布を算出するもので,

粉末を重力場で沈降させる場合と,遠心力場で強制的に沈降させ沈降時間を短縮させる場合とがある。 

この方法は,光の透過量と粒子径及び粒子濃度の関係が,次の式で表されることに基づくものである。 

(

)

=

=

n

i

i

i

ix

N

k

CL

I

I

1

2

0

1/

log

 ···························································· (1) 

ここに, 

I1: 光の入射量 (cd) 

I0: 光の透過表量 (cd) 

C: 測定装置の光学系による係数 

ki: 粒子の吸光係数 

L: セル中の光路長さ (m) 

xi: i番目の大きさの粒子径 (m) 

Ni: xiの粒子の個数濃度 (l/m3) 

i: 粒子の大きさの順番を示す添字 

3. 装置・器具 

3.1 

液相沈降光透過法粒子径分布測定装置 液相沈降光透過法粒子径分布測定装置(以下,測定装置と

いう。)は,図1に例示する基本構成をもち,以下の条件を満たすものとする。 

(1) 沈降セルは,粒子の沈降方向に平行な透明壁面をもつこと。 

(2) 粒子の沈降方向に対して垂直方向に,沈降セルに光を透過させ,その透過光量を検出する機能を備え

ていること。 

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R 1619-1995  

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(3) 検出した透過光量から質量基準の積算粒子径分布を出力できること。 

図1 装置の基本構成 

3.2 

試料分散容器 試料を分散媒に分散させるための容器で,原則として100〜500cm3のものとする。 

3.3 

試料分散装置 超音波分散装置とする。必要に応じてかくはん(撹拝)機,乳鉢,真空脱気装置な

どを併用してもよい。 

3.4 

温度計0〜50℃の測定範囲を1℃単位で測定できるものとする。 

4. 装置の検定 装置の検定は,粒子径分布の既知の試料を使用し,測定条件を同じにして粒子径分布の

測定を行うことによる。このとき,測定結果が試料の粒子径分布と差がないことを確かめる。 

備考 粒子径分布の既知の試料は,公的機関又は同等の機関によって測定条件とともに粒子径分布が

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R 1619-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

明示されたファインセラミックス粒子であることが望ましい。 

5. 分散媒及び分散剤 分散媒の選択,分散媒の密度及び粘度の測定,並びに分散剤及びその量は,次に

よる。 

(1) 分散媒の選択 分散媒は,粒子とぬれ性のよいものを選択する。標準的には,次の基準による。ただ

し,それらが適切でない場合には,JIS Z 8820に規定の6.4(試料の分散)による。 

(a) 酸化物など,水に不溶性の粉末の場合には,蒸留水又はイオン交換水とする。 

(b) 水と反応する粉末の場合には,アルコールとする。 

(2) 分散媒の密度及び粘度の測定 分散媒の密度はJIS Z 8804の規定によって,分散媒の粘度はJIS Z 

8803の規定によって測定する。 

備考 分散媒の密度及び粘度は,化学便覧(日本化学会編,改訂4版,平成5年)による物性表の値

を用いてもよい。 

(3) 分散剤及びその量 分散剤は,分散媒を蒸留水又はイオン交換水とする場合には,ヘキサメタりん酸

ナトリウムとし,その量は,分散媒に対する質量濃度で0.02〜0.2%とする。ただし,他の分散剤を使

用する場合には,JIS Z 8820に規定の6.5(分散状態の判定)によって分散状態を判定して,分散がよ

い分散剤の量を決定する。 

備考 ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液は,測定日に調製するものとする。 

参考 代表的なファインセラミックス粉末に対する分散剤を参考表1に示す。 

参考表1 ファインセラミックス粉末に対する分散剤 

粉末 

分散剤 

アルミナ 

ヘキサメタりん酸ナトリウム 

ジルコニア 

ヘキサメタりん酸ナトリウム 

炭化けい素 

りん酸三ナトリウム12水和物 

チタン酸バリウム 

ヘキサメタりん酸ナトリウム 

窒化けい素 

ヘキサメタりん酸ナトリウム 

6. 試料 試料の粒子密度の測定,縮分及び試料懸濁液の調製は,次による。 

(1) 試料の粒子密度の測定 試料粉末の粒子密度の測定は,JIS R 1620に規定する方法による。 

(2) 試料の縮分 測定用にサンプリングする試料に偏析のおそれがある場合は,あらかじめ測定に必要と

する量よりも多めの試料を準備し,適当な縮分法によって偏りを生じないように,必要な量になるま

で縮分する。 

備考 縮分の目安としては,平均粒子径が1μm程度の粉末で,1.0g以下まで行う。 

参考 試料を縮分する方法としては,円すい四分法,縮分機を使用する方法などがある。 

(3) 試料懸濁液の調製 試料懸濁液の調製は,次による。 

(a) 分散剤を分散媒に溶解させる。 

(b) 縮分した粉末試料を,試料分散容器中で(a)の分散媒に懸濁させる。 

(c) 懸濁液に超音波を照射し,試料を均一に分散させる。このとき,超音波の照射は,20分以内とし,

測定前に液温を測定温度に合わせる。 

備考1. 分散が困難な場合には,あらかじめ乳鉢による解砕又はかくはん機による分散を行ってもよい。 

2. 粉末に気泡が付着していると思われる場合には,真空デシケータに入れて脱気する。 

3. 超音波分散装置の液量は最も振動の強くなる量とする。 

R 1619-1995  

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7. 測定手順 測定手順は,次による。 

(1) 測定開始の15分以上前に光透過測定装置の電源を入れる。 

(2) 5.(1)によって,分散媒の選択を行う。 

(3) 5.(2)によって,分散媒の測定温度における密度及び粘度を求める。 

(4) 5.(3)によって,分散剤及びその量を決定する。 

(5) 6.(1)によって,試料の粒子密度の測定を行う。 

(6) 6.(2)によって,試料の縮分を行う。 

(7) 6.(3)によって,懸濁液の調製を行う。 

(8) (3)〜(5)の結果及び装置条件を測定装置に入力する。 

(9) 重力場による測定を行うか,遠心力場による測定を行うか,又は併用するかを決定する。 

(10) 沈降セルに分散媒だけを入れ,そのときの光の透過量を測定装置に記憶させる。 

(11) 測定装置の最適条件に適合するよう試料濃度を調量する。 

(12) 懸濁液を沈降セルに分取し,測定装置にセットして粒子が沈降を開始すると同時に,沈降時間 (t) に

対する光の透過量 (In) を測定する。 

(13) 測定は2度繰り返し,差がないことを確かめる。 

8. 計算 測定結果から次の計算を行う。 

(1) 測定結果から,沈降時間t=0及びt=∞に対する光の透過量I0及びI∞を求める。 

(2) 沈降時間tに対応する粒子径xnを,次の式(2)又は式(3)を使用して計算する。 

重力場における粒子の沈降の場合 

6

2

1

1

10

)

(

18

×

=

gt

h

x

p

n

ρ

ρ

μ

 ····························································· (2) 

ここに, 

xn: 最大粒子径 (μm) 

μ: 分散媒の粘度 (Pa・s) 

ρp: 試料の粒子密度 (kg/m3) 

ρ1: 分散媒の密度 (kg/m3) 

g: 重力加速度 (m/s2) 

h: 液表面から測定点までの距離 (m) 

t: 沈降開始からの時間 (s) 

遠心力場における粒子の沈降の場合 

6

2

1

2

1

1

2

10

)

(

)

/

(

1

18

×

=

t

r

r

n

x

p

n

ω

ρ

ρ

μ

 ·························································· (3) 

ここに, 

xn: 最大粒子径 (μm) 

μ: 分散媒の粘度 (Pa・s) 

ρp: 試料の粒子密度 (kg/m3) 

ρ1: 分散媒の密度 (kg/m3) 

r1: 回転の中心から液面までの距離 (m) 

r2: 回転の中心から測定面までの距離 (m) 

t: 沈降開始からの時間 (s) 

ω: 回転の角速度 (rad/s) 

(3) 沈降時間tにおける光の透過量Inを測定結果から求める。 

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R 1619-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 各粒子径xnに対する面積基準の積算粒子径分布は,次の式で計算する。 

100

)

/

log(

)

/

log(

0

×

=

I

I

I

I

Q

n

A

 ································································ (4) 

ここに, 

QA: 粒子径xn以下の面積基準の積算粒子量 (%) 

I0: 沈降開始時の懸濁液の光の透過量 (cd) 

In: 懸濁液の光の透過量 (cd) 

I∞: 分散媒だけになったときの光の透過量 (cd) 

(5) 各粒子径xnに対する質量基準の積算粒子径分布は,次の式で計算する。 

100

)

/

log(

)

/

log(

1

1

1

×

=∑∑

=

=

i

i

i

i

i

i

n

i

i

m

I

I

x

I

I

x

Q

 ························································ (5) 

ここに, 

Qm: 粒子径xn以下の質量基準の積算粒子量 (%) 

Ii: 懸濁液の光の透過量 (cd) 

xi: i番目の大きさの粒子径 (μm) 

i: 粒子の大きさの順番を示す添字 

参考 粒子の吸光係数は粒子径,材質などによって異なり,関数の形で式に代入することは困難であ

る。この規格を作成する際に行った調査研究において,3種類の測定装置を用いて球状シリカ

に対する補正係数(装置の光学系の係数C及び吸光係数kiを含む。)を得た。それを参考図1

に示す。補正する場合は,式(4)及び式(5)の値を,各粒子径に対して補正係数で除して積算量を

補正する。 

参考図1 球状シリカに対する補正係数 

9. 報告 測定の結果は,次の項目について報告する。 

(1) 試料名 

R 1619-1995  

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(2) 粒子密度 

(3) 測定装置名 

(4) 分散媒名,測定時の液温,密度及び粘度 

(5) 分散剤名及び濃度 

(6) 分散装置名,超音波出力及び分散時間,又はその他の分散条件 

(7) 各粒子径に対する質量基準の積算量,必要な場合には,面積基準の積算量 

(8) (7) の結果に基づく粒子径分布図 

原案作成委員会 構成表(敬称略,順不同) 

氏名 

所属 

(委員長) 

奥 田   博 

財団法人ファインセラミックスセンター 

○ 谷   重 男 

通商産業省生活産業局 

○ 地 崎   修 

工業技術院標準部 

◎ 内 海 良 治 

工業技術院名古屋工業技術研究所 

○ 鈴 木 和 夫 

工業技術院名古屋工業技術研究所 

○ 椿   淳一郎 

財団法人ファインセラミックスセンター 

○ 中 澤 哲 夫 

株式会社日立製作所 

○ 亀 田 常 治 

株式会社東芝 

○ 井 手 亮 一 

電気化学工業株式会社 

○ 長谷川   光 

昭和電工株式会社 

○ 松 田 耕一郎 

株式会社堀場製作所 

○ 佐々木 良 樹 

株式会社セイシン企業 

○ 竹 内   和 

株式会社島津製作所 

西 川 友 三 

京都工芸繊維大学 

小 梶   彰 

京セラ株式会社 

野 瀬 哲 朗 

新日本製鐵株式会社 

神 谷 信 雄 

株式会社豊田中央研究所 

安 藤 元 英 

日産自動車株式会社 

岡 路 正 博 

工業技術院計量研究所 

井 土 正 也 

工業技術院計量研究所 

塩 見 光 生 

東ソー・セラミックス株式会社 

安 積 忠 彦 

真空理工株式会社 

沖 野 孝 之 

株式会社島津製作所 

宮 地   達 

京セラ株式会社 

(事務局) 

吉 川 豊 祐 

社団法人日本ファインセラミックス協会 

備考 ◎印は主査,○印は分科会委員 

文責 分科会