R 1609:2003
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実
用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録
出願にかかわる確認について,責任はもたない。
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目次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 試験装置及び器具 ············································································································ 1
4.1 高温炉 ························································································································· 1
4.2 支持具又は支持台 ·········································································································· 2
4.3 乾燥器 ························································································································· 2
4.4 曲げ試験機 ··················································································································· 2
4.5 マイクロメータ ············································································································· 2
4.6 ダイヤルゲージ ············································································································· 2
4.7 ノギス ························································································································· 2
4.8 化学天びん ··················································································································· 2
5. 試験片 ··························································································································· 2
5.1 耐酸化試験用試験片 ······································································································· 2
5.2 耐酸化試験前の曲げ強さ試験用試験片 ················································································ 2
5.3 比較用試験片 ················································································································ 2
6. 試験方法 ························································································································ 2
6.1 試験片の寸法及び質量····································································································· 2
6.2 酸化試験 ······················································································································ 2
6.3 質量変化の測定 ············································································································· 3
6.4 酸化試験後の試験片の曲げ強さの測定 ················································································ 3
6.5 高温炉の酸化状態の比較·································································································· 3
6.6 酸化試験以前の試験片の曲げ強さの測定 ············································································· 3
7. 試験結果の表し方 ············································································································ 3
7.1 数値の丸め方 ················································································································ 3
7.2 計算 ···························································································································· 3
8. 報告 ······························································································································ 3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格 JIS
R 1609:2003
非酸化物系ファインセラミックスの
耐酸化性試験方法
Testing methods for oxidation resistance
of non-oxide fine ceramics
1. 適用範囲 この規格は,主として,窒化けい素,サイアロン及び炭化けい素などの非酸化物系ファイ
ンセラミックス焼結体の高温における耐酸化性の試験方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメ
ータ
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7507 ノギス
JIS H 4551 ニッケル及びニッケル合金板及び条
JIS H 4553 ニッケル及びニッケル合金棒
JIS R 1600 ファインセラミックス関連用語
JIS R 1601 ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS R 1600によるほか,次による。
a) 耐酸化性 空気中の酸素成分と反応して材料の表面が酸化することによって,強度が低下又は,崩壊
することに対する抵抗性。この規格では,酸化試験前後の質量変化及び強度変化のデータの二者で,
耐酸化性を評価する。
b) 比較用試験片 試験片の炉内における酸化状態をデータ化することを目的として使用する試験片。
4. 試験装置及び器具
4.1
高温炉 高温炉は,次の条件を満足するものを用いる。
a) 縦形管状炉,横形管状炉又は箱形抵抗加熱炉。
b) 炉内が酸素欠乏にならないように,開口部を設けているか又は空気送風を取り付けているもの。
c) 1 500 ℃程度まで昇温でき,所定の温度を±5 ℃で制御できるもの。
備考 試験片の炉内における酸化状態は,炉の種類,試験条件などによって異なると考えられる。ゆ
えに,耐酸化性を測定する高温炉については,比較用試験片を使用して炉内の酸化状態のデー
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タを測定し,そのデータを添付する。
4.2
支持具又は支持台 試験温度において試験片と付着又は化学的な反応を生じにくい材料で作られた
支持具又は支持台であり,かつ,試験片を点接触又は線接触によって支持できるもの又は試験片を垂直に
支持できるように設けた穴をもつ板。
備考 支持具又は支持台の材質は,試験片の材質が窒化けい素,サイアロンの場合には,高純度アル
ミナ又は試験片と同じ材質の窒化けい素を使用し,線接触部は,白金線を用いて直接接触しな
いようにすることが望ましい。試験片の材質が炭化けい素の場合には,反応焼結したものを除
き,高純度アルミナ又は試験片と同じ材質の炭化けい素を使用することが望ましい。
4.3
乾燥器 温度を105〜120 ℃に保つことのできる電気恒温器を用いる。
4.4
曲げ試験機 JIS R 1601に規定する材料試験機を用いる。
4.5
マイクロメータ JIS B 7502に規定する外側マイクロメータ又はこれと同等以上の精度をもつもの
を用いる。
4.6
ダイヤルゲージ JIS B 7503に規定するダイヤルゲージ又はこれと同等以上の精度をもつものを用
いる。
4.7
ノギス JIS B 7507に規定する最小読取り長さ0.05 mm又はこれと同等以上の精度をもつものを用
いる。
4.8 化学天びん 最大ひょう量100〜200 gで感度0.1 mg又はこれと同等以上の精度をもつものを用いる。
5. 試験片
5.1
耐酸化試験用試験片 JIS R 1601の4.(試験片)で規定する寸法(厚さ3.0 mm±0.1 mm,幅4.0 mm
±0.1 mm,全長36 mm以上)とする。ただし,表面粗さは,JIS B 0601に規定する全面0.20 μmRa以下で,
りょう(稜)は丸めるか又は面取りする。試験片の個数は,10本以上とする。
5.2
耐酸化試験前の曲げ強さ試験用試験片 JIS R 1601の4.(試験片)に規定するものを使用する。試
験片の個数は,10本以上とする。
5.3
比較用試験片 高純度Ni(電解Ni,JIS H 4551に規定するNLCP又はJIS H 4553に規定するNLCB)
を使用する。試験片の寸法は,耐酸化試験用試験片と同じ寸法とする。
6. 試験方法
6.1
試験片の寸法及び質量 測定用試験片は,JIS R 1601の5.1(試験片の幅・厚さの測定)によって寸
法を測定した後,十分脱脂洗浄する。105〜120 ℃で恒量になるまで乾燥し,直ちにデシケータに移す。室
温となった後,化学天びんを用いて質量を測定する。
6.2
酸化試験
a) 試験片の設置方法 試験片は,炉内中央の均熱部に設置する。隣接する試験片間及び試験片と炉壁間
とに十分な空気層をもつように留意し,支持具と試験片とが点接触又は線接触となるように保持する。
支持具として穴開け加工した板を使用する場合には,試験片と支持具との接触面積が最小となるよう
にする。
b) 試験条件 試験片を炉内に設置した後,室温で炉内流速を0〜10 cm/sの範囲に設定した乾燥空気を流
入させながら昇温し,所定の温度で100時間保持した後,放冷する。加熱温度は,窒化けい素及びサ
イアロンでは1 300 ℃,炭化けい素では1 400 ℃とする。自然通風の場合には,試験時に炉内が酸素
欠乏にならないように注意する。
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6.3
質量変化の測定 酸化試験終了後,炉内温度がおよそ100 ℃となるまで放冷し,試験片を取り出し
て速やかにデシケータに移す。室温になった後1本ずつ質量を測定して,その変化量を算出する。
6.4
酸化試験後の試験片の曲げ強さの測定 JIS R 1601の5.(試験方法)によって曲げ強さを測定する。
このとき,試験片の表面は,そのままの状態で曲げ強さを測定する。
6.5
高温炉の酸化状態の比較 比較用試験片を使用し,6.1〜6.3に準じて1 200 ℃で24時間保持し,試
験後の質量変化を測定する。
6.6
酸化試験以前の試験片の曲げ強さの測定 JIS R 1601の5.によって曲げ強さを測定する。
7. 試験結果の表し方
7.1
数値の丸め方 試験の結果は,JIS Z 8401によって丸める。
7.2
計算
a) 曲げ強さの計算 JIS R 1601の6.(計算)による。
なお,試験片の寸法は,酸化試験前の測定値を用いる。
b) 質量変化の計算 質量変化は,次の計算によって求める。
A
W
W
C
0
F−
=
ここに,
C: 単位面積当たりの質量変化 (g/cm2)
WF: 酸化試験後の質量 (g)
W0: 酸化試験前の質量 (g)
A: 酸化試験前の表面積 (cm2)
また,平均値及び標準偏差は,次の式によって求める。
なお,平均値は,有効数字3けたまで求め,標準偏差は,有効数字2けたまで求める。
n
X
X
n
i
i
∑1
=
=
(g/cm2)
(
)
1
1
2
−
−
=
=
n
X
X
S
n
i
i
∑
(g/cm2)
ここに,
X: 平均値 (g/cm2)
Xi: 測定値 (g/cm2)
S: 標準偏差 (g/cm2)
n: 試験片の個数
8. 報告 耐酸化性試験の結果は,次の項目について報告する。
a) 試験片の材質
b) 試験条件 (試験温度及び時間,送風の有無,試験時の周囲温度と湿度,強制送風した場合には,その
炉内流速の換算値)。
c) 試験炉の形式,寸法,有効内容積(開口部のある場合は,その状態。),試験炉の内壁の材質,試験片
の支持具及び支持方法,比較試験片の質量変化。
d) 試験片の個数
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 酸化後の試験片の単位表面積当たりの質量変化,平均値と標準偏差。
f)
酸化後の試験片の曲げ強さ,平均値及び標準偏差(酸化試験前の曲げ強さ,平均値及び標準偏差も併
記する。)。
備考 このほか,必要に応じて次の各項目を付け加えて報告する。
a) 酸化層の厚さ
b) 酸化層内の構成相
c) 酸化層の電子顕微鏡写真