R 1600:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 分類······························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
参考文献 ···························································································································· 52
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 54
R 1600:2011
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
セラミックス協会(CerSJ),社団法人日本ファインセラミックス協会(JFCA)及び財団法人日本規格協会
(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS R 1600:1998は改正され,
この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 1600:2011
ファインセラミックス関連用語
Glossary of terms relating to fine ceramics
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたISO 20507を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,ファインセラミックス及び関連する,ガラス,炭素などの材料に適用される主な用語及び
定義について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 20507:2003,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Vocabulary
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
分類
分類は,次による。
a) 一般
1) 共通 2) 機械的・熱的 3) 電気的・磁気的 4) 光学的 5) 生体的 6) 化学的
b) 材料・製品
1) 酸化物 2) 非酸化物 3) ガラス 4) 製品
c) 製造プロセス 1) 粉体・原材料調製 2) 粉体成形 3) 焼成 4) 単結晶 5) 成膜・塗膜
6) 加工 7) 接合 8) 複合化
d) 特性・評価
1) 粉体・プロセス 2) 機械的・熱的 3) 電気的・磁気的 4) 光学的
5) 生体的 6) 化学的
3
用語及び定義
用語及び定義は,次による。
なお,対応英語を参考として示す。
注記1 用語の下の括弧書きは読み方を示したものである。
注記2 番号に*を付してある用語は,今回新たにJISに規定した用語である。
2
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a) 一般
1) 共通
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1101
ファインセラミッ
クス
化学組成,結晶構造,微構造組織・粒界,形状,製造工程
を精密に制御して製造され,新しい機能又は特性をもつ,
主として非金属の無機物質。
fine ceramics (advanced
ceramics, engineering
ceramics, technical
ceramics, or high
performance
ceramics)
1102
酸化物セラミック
ス
酸素化合物から成るセラミックス。
注記 代表的な単一酸化物としては,アルミナ,ジルコニ
ア,シリカ,マグネシアなどがある。複合酸化物と
しては,けい酸塩,りん酸塩などがある。化学組成,
結晶系が異なる多くの種類があり,様々な用途があ
る。
oxide ceramics
1103
非酸化物セラミッ
クス
非金属元素として酸素を含まない化合物(元素)を主成分
とするセラミックス。
注記 代表的な非酸化物としては,窒化物,炭化物,ほう
化物,硫化物(CdS,MoS2など),けい化物(MoSi2)
及び炭素がある。
non-oxide ceramics
1104
炭化物セラミック
ス
物質を構成する主要構成成分の非金属元素が炭素から成
る化合物によって構成される非酸化物系セラミックス。
注記 代表的なものに,炭化けい素(SiC),炭化タングス
テン(WC),炭化チタン(TiC),炭化ほう素(B4C)
などがある。
carbide ceramics
1105
窒化物セラミック
ス
物質を構成する主要構成成分の非金属元素が窒素から成
る化合物によって構成される非酸化物系セラミックス。
注記 代表的なものに,窒化けい素(Si3N4),窒化ほう素
(BN),窒化アルミニウム(AlN),窒化チタン(TiN)
などがある。アルミナを比較的多量に含むサイアロ
ンは酸素を含む窒化物セラミックスである。
nitride ceramics
1106
ほう化物セラミッ
クス
物質を構成する主要構成成分の非金属元素がほう素から
成る化合物によって構成される非酸化物系セラミックス。
注記 代表的なものに,ほう化ランタン(LaB6),ほう化チ
タン(TiB2),ほう化ジルコニウム(ZrB2)などがあ
る。
boride ceramics
1107
ニューガラス
非晶質物質のもつ機能のうち,特定の機能に注目して,そ
の機能を最大限に発揮するように化学組成,純度,微細構
造,形態を制御して製造された無機質のガラス材料及びガ
ラス材料の結晶化によって得られる材料。
new glass
1108
ニューカーボン
原料の純度を上げ,分子制御などによって製造した,新し
い形態,性質をもつ炭素材料。熱分解炭素,ガラス状炭素,
膨張黒鉛などがその典型である。
注記 従来のカーボンは,コークスを粉砕し,バインダ(ピ
ッチ,レジンほか)を加えて混練,成形,焼成及び
黒鉛化という製法を用いて作る。
new carbon
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1109
ニューダイヤモン
ド
原料及び製造工程を目的に合わせて制御することによっ
て,高度な機能を賦与して人工的に製造されたダイヤモン
ド。炭素を高温・高圧に保って変態させる高温高圧法とメ
タン及び水素の混合ガスから気相析出させる気相合成法
とがある。
注記 立方晶窒化ほう素(cBN)をニューダイヤモンドに
含めることがある。
new diamond
1110
モノリシックセラ
ミックス
マクロなレベルで均一な組織・組成をもち,単一材料から
成るとみなせるセラミックス。
注記 セラミックス複合材料に相対する用語。
monolithic ceramics
1111
複合材料
単体ではもち合わせない新規な特性を目的として,互いに
化合しない2種類以上の相から成る材料で,異相界面をも
つ材料。
注記 分散相の形態によって繊維強化型複合材料と粒子分
散強化型複合材料に分類される。前者は,更に長繊
維強化複合材料,短繊維強化複合材料とウィスカ強
化複合材料とに分類される。また,マトリックス(母
材)の種類によって金属基複合材料,セラミックス
基複合材料,プラスチックス基複合材料などに分類
される。
composite material
1112
セラミックス基複
合材料
セラミックスをマトリックスとする複合材料。
注記 セラミックスの強度,じん(靱)性,耐摩耗性,導
電性などを向上させる目的で耐熱性のある繊維又は
粒子状を複合・添加されるものが多い。
ceramics matrix
composite
1113
繊維強化セラミッ
クス基複合材料
繊維を配合することによって強度,じん性などを強化した
セラミックス基複合材料。強化材としては長繊維又は短繊
維を分散・配合する。前者には繊維配列の違いから,単繊
維,繊維束(1次元)又は織物(2次元,3次元)などに分
けられる。
注記 繊維の引抜き,微小亀裂の偏向などが,強化機構と
して働くとされている。
fiber-reinforced
ceramics matrix
composite
1114
ウィスカ強化セラ
ミックス基複合
材料
ウィスカを配合することによって強度,じん性などを強化
したセラミックス基複合材料。
注記 ウィスカには炭化けい素(SiC),カーボンなどが使
用されている。
whisker-reinforced
ceramics
matrix composite
1115
粒子強化セラミッ
クス基複合材料
異なる材質の粒子を配合することによって強度,じん性な
どを強化したセラミックス基複合材料。析出粒子強化形及
び混合分散強化形がある。
注記 析出粒子強化形としてはジルコニア系のもの,混合
分散強化形としては炭化チタン(TiC)粒子分散が知
られている。亀裂の分岐・湾曲・偏向・微小亀裂に
よる主亀裂先端の応力遮蔽,表面圧縮応力などが,
強化機構として働くとされている。
particulate-reinforced
ceramics matrix
composite
1116
サーメット
硬さ,耐熱性,耐酸化性,耐薬品性,耐摩耗性を特徴とす
るセラミックスと,強じん性,可塑性を特徴とする金属と
を組み合わせた複合材料。
注記 代表的なものに,元素周期表4 (4A),5 (5A),6 (6A)
族遷移金属の炭化物をニッケル,コバルトを主とす
る金属で結合した超硬合金がある。
cermet
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1117
傾斜機能材料
材料内部の組成又は微細組織を徐々に変化するように配
置(傾斜分布)させた複合材料。
functionally graded
material
1118
ナノコンポジット
サブミクロンサイズの粒子,薄膜などの相を,別の材料の
粒界,粒内,層間などに分散・配置させた複合材料。
nanocomposite
1119
機能性セラミック
ス
セラミックスの光学的,電磁気的,生体的などの性質を利
用して,特有な機能を発現するセラミックス。
functional ceramics
1120
インテリジェント
セラミックス
環境条件の変化を検知して,それに応答する機能を発現す
るセラミックス。
intelligent ceramics
1121
シナジーセラミッ
クス
材料の構造制御において,極微視(原子・分子),超微視
(ナノ),微視(ミクロ)及び巨視(マクロ)の複数の階
層を同時に制御すること(高次構造制御)によって,相反
する特性の高度な両立,複数特性の融合による新機能を付
加するなどのシナジー効果を発現させたセラミックス。
synergy ceramics
1122
非晶質セラミック
ス
セラミックスを構成する原子又はイオンが無秩序に配置
した,非結晶質又は結晶性が非常に低いセラミックス。
注記 従来のガラスのような結晶化しにくい物質だけでな
く超急冷して得られるもの又は気相法で合成するも
のがある。
amorphous ceramics
1123
セラミックファイ
バ
セラミックス材料でできた非晶質又は結晶質の人造鉱物
の繊維。短繊維及び長繊維がある。
注記 太さは主として10 μm以下。シリカ−アルミナ
(SiO2-Al2O3)系繊維,アルミナ系繊維,Si-Ti-C系
繊維などがある。高温用の断熱材や複合材料の補強
材に使われる。
ceramic fiber
1124
セラミック膜
基板を覆うように形成したセラミック質の膜で,厚膜及び
薄膜がある(ceramic coatings)。又は,ろ過に使われる多孔
質で薄いセラミックス質の膜(ceramic membrane)をいう。
ceramic coatings (films),
ceramic membrane
1125
基板
その表面に形成する薄膜又は厚膜を支持し,膜の性能を発
揮させるための板状の材料。材質としてガラス,焼結品,
単結晶がある。
注記 膜との相互作用,膜との密着性,それ自身の機械的
強度,熱膨張,熱伝導,耐熱性,平滑性,平たん(坦)
性などについて,膜材質又は製品の特性によって必
要なレベルが要求される。
substrate
1126
焼き放し
焼結体の表面加工前の状態。
as-fired
1127
粒界
焼結体内の粒子の境界。不純物又は焼結助剤の偏析が起こ
りやすく,粒子とは化学組成又は構造が異なりやすく,拡
散現象に大きく影響する。セラミックスの物性(機械的,
熱的,電気的)と密接な関連をもつ。
grain boundary
1128
微粒子
粒径0.1〜数μmの粒子。
注記 一般的に粒径が小さいほど,焼結性が高いため,焼
結原料として使用される。
fine particle
1129
超微粒子
粒径が0.1 μm程度より小さい粒子。
注記 μmオーダーの粒子又はバルク状の材料に比べ,比
表面積が大きく,焼結温度の低下,表面の高活性,
単磁区の形成,微細孔の形成,紫外線の吸収などに
特異な性質をもち,電気的,磁気的,光学的性質,
反応性などの点にも特徴がある。
ultrafine particle
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1130
ウィスカ
結晶表面からその外側に向けてひげ(髭)状に成長した繊
維状の単結晶。直径が10 μm以下,アスペクト比20以上
が多いが定説はない。ひげ結晶ともいう。
whiskers
1131*
ナノガラス
ガラスを構成する材料(母材)の原子・分子レベルでの構
造制御,ガラス内部に作製された超微粒子の構造制御,及
びガラス内部に創出する物質(異質相)の位置的構造制御
を1 nm前後〜数百nmの大きさで行ったもの。
nanotechnology glass
1132*
光触媒
光をエネルギー源として,そのものは変化せずに,望まし
い化学反応を促進する物質。
注記 光エネルギー変換にも用いられるが,環境用途とし
ては,酸化・還元作用によって,汚染物質の分解・
除去,脱臭,抗菌,防汚などの諸機能を発現する物
質。酸化チタンの場合はその励起に紫外線が必要。
photocatalyst(物質),
photocatalysis(作用,
反応)
2) 機械的・熱的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1201
構造用セラミック
ス
機械的,熱的及び化学的な性質を主に利用し,各種構造部
品として使用されるセラミックス。
注記 用途に応じて,耐熱性,高強度,高硬度,高じん(靱)
性,耐熱衝撃性,断熱性などを利用する。
structural ceramics
(engineering
ceramics)
1202
高強度セラミック
ス
外部から高応力が負荷されても,変形性が小さく,破壊し
にくい特性を備えたセラミックス。
注記 耐熱合金の使用限度以上の高温で使用可能なセラミ
ックスが特に有用で注目される。窒化けい素,炭化
けい素,アルミナ,部分安定化ジルコニアなどがあ
る。
high strength ceramics
1203
高じん(靱)性セラ
ミックス
表面又は内部の欠陥からの亀裂進展が起こりにくい,破壊
に対する抵抗力を高めたセラミックス。
注記 高じん(靱)性化の機構として,亀裂の回折,粒子
引き抜き,繊維強化,相転移,応力緩和,粒界拡散
などがある。部分安定化ジルコニア,窒化けい素,
セラミックス基複合材料などがある。
toughened ceramics
1204
マシナブルセラミ
ックス
機械加工,特に切削加工が容易なセラミックス。
注記 材料に含まれる結晶の著しいへき開を利用したもの
(マイカセラミックス),粒界の選択的破壊を利用し
たもの(チタン酸アルミニウムセラミックス)など
がある。
machinable ceramics
1205
多孔質セラミック
ス
気孔率が大きいセラミックス。閉気孔を含むものは断熱
材,軽量骨材などに用いられ,開気孔を含むものは吸着材,
触媒担体,フィルタなどに用いられる。
porous ceramics
1206
低膨張セラミック
ス
熱膨張係数が20×10−7/Kより小さく,温度変化に対して
膨張及び収縮が少ないセラミックス。
注記 コーディエライト,リチウム−アルミノけい酸塩,
チタン酸アルミニウムなどがある。
low thermal expansion
ceramics
1207
赤外線放射性セラ
ミックス
赤外線の全波長域にわたって高効率に電磁波を放射する
特性をもつセラミックス。
注記 一般にセラミックスは,微弱な赤外線(約0.75 μm
〜1 mm)放射性をもつ。
infrared radiative
ceramics
6
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1208
遠赤外線放射性セ
ラミックス
遠赤外線領域(3 μm〜1 mm)で特異的に高効率に電磁波を
放射する特性をもつセラミックス。
注記 工業用,民生用加熱機器などのヒータ材料に利用さ
れる。
farinfrared radiative
ceramics
3) 電気的・磁気的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1301
電子セラミックス
セラミックスの特徴である電気的電子的機能(電気絶縁
性,誘電性,圧電性,焦電性,半導性,磁性など)を利用
し,各種電子機器部品として使用されるセラミックス。
electronic ceramics
1302
絶縁セラミックス
電気絶縁体として用いられるセラミックス。スパークプラ
グ,IC基板など幅広く利用されている。
electrical insulating
ceramics
1303
導電性セラミック
ス
電気伝導性をもつセラミックス。導電性セラミックスは,
電子伝導セラミックス及びイオン伝導セラミックスの2種
類に分類される。
electrical conductive
ceramics
1304
半導体セラミック
ス
半導体的な電気的性質を示すセラミックス。格子欠陥や添
加物を制御して製造する。主に酸化亜鉛(ZnO),チタン酸
バリウム(BaTiO3),酸化すず(SnO2),酸化ニッケル(NiO)
などをベースとして作られる。
semiconductive ceramics
1305
電子伝導セラミッ
クス
電荷の担体が電子である導電性セラミックス。電子伝導セ
ラミックスには半導体的特性を示すもの,金属的特性を示
すもの及び超電導特性を示すものがある。
electronic conductive
ceramics
1306
イオン伝導セラミ
ックス
電荷担体がイオンである伝導性セラミックス。固体電解質
セラミックスともいう。ナトリウムイオン伝導のβ-アルミ
ナ及び酸素イオン伝導のジルコニアがよく知られている。
ionic conductive
ceramics
1307
誘電セラミックス
電気抵抗の高い材料を電場下に置くと,その材料中の種々
の電荷担体が元の位置からごく僅かだけ移動し,正負両電
荷が互いに逆方向へ片寄って生じる分極を利用した機能
をもつセラミックス。
dielectric ceramics
1308
強誘電セラミック
ス
誘電セラミックスの一種で,外部電場を印加しない状態で
も電気双極子が整列しており,その双極子の方向を外部電
場によって変化できるセラミックス。電場に対して分極が
ヒステリシスを示す。
注記 ISO 20507においてもほぼ同様に定義されている。
代表的な物質としてチタン酸バリウム(BaTiO3),チ
タン酸ジルコン酸鉛[Pb(Zr,Ti)O3]などがあり,
FeRAM(強誘電体不揮発性メモリ)などに使用され
ている。
ferroelectric ceramics
1309
圧電セラミックス
印加電圧の作用によって,結晶がひずむ性質をもつセラミ
ックス。機械的エネルギーと電気的エネルギーとの相互変
換に利用される。代表的な圧電体にはペロブスカイト型構
造のチタン酸バリウム(BaTiO3),チタン酸ジルコン酸鉛
(PbZr1−xTixO3)(PZT),水晶などがあり,超音波振動子,
アクチュエータなどへの応用がある。
piezoelectric ceramics
7
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1310
焦電セラミックス
電気的自発分極をもつために,外部電場を加えなくても,
温度を変化させるだけでその表面に正負の電荷を発生す
る性質(焦電性)をもつセラミックス。分極操作によって
自発分極をもたせる必要がある。温度センサ,赤外線セン
サなどに利用され,代表的なものにはチタン酸鉛(PbTiO3)
がある。
pyroelectric ceramics
1311
磁性セラミックス
酸化鉄を主成分とする自発磁化をもつセラミックス。代表
的なものに,軟磁性体のスピネル型,ガーネット型及び硬
磁性体のマグネトプラムバイト型構造の化合物がある。
magnetic ceramics
1312*
強磁性セラミック
ス
隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列しており,全体
として大きな磁気モーメントをもつため,外部磁場がない
状態で自発磁化をもつセラミックス。
注記 酸化鉄を主成分とするフェライトの多くは強磁性を
示す。
ferromagnetic ceramics
1313*
マルチフェロイッ
クセラミックス
強磁性,強誘電性,強弾性などのうち2種類以上の性質が
相互作用を示すセラミックス。
注記 単一物質[例えば,TbMnO3,ビスマスフェライト
(BiFeO3)など]が示す場合及び複数の物質を複合
(例えば,強誘電体と強磁性体とを3次元的に組み
合わせた構造)することで示す場合がある。
multiferroic ceramics
1314*
スピントロニクス
セラミックス
電子のもつ電荷(導電性)及びスピン(磁性)を利用した
新機能をもつセラミックス。
注記 スピントロニクスは電気磁気効果(magnetoelectric
effect)とも呼ばれる。例えば,GMR(巨大磁気抵抗)
効果を利用した磁気ヘッド,不揮発性のMRAM(磁
気抵抗ランダム・アクセス・メモリ)などがある。
spintronic ceramics
1315
超電導セラミック
ス
ある温度以下で電気抵抗がゼロになり,同時に反磁性を示
す性質をもつセラミックス。R-Ba-Cu-O系(R:希土類元
素),Bi-Sr-Ca-Cu-O系,Tl-Ba-Ca-Cu-O系などの酸化物が
ある。これらの酸化物は,従来の金属超電導材料に比べ著
しく高い臨界温度をもつ。
superconductive
ceramics
1316*
高温超伝導セラミ
ックス
液体窒素の沸点(77 K)以上で超伝導特性を示す超伝導セ
ラミックスの総称。
注記 ISO 20507においてもほぼ同様に定義されている。
超伝導セラミックスは,多くの場合,銅,希土類元
素,バリウム,ストロンチウム,カルシウム,タリ
ウム,水銀,鉄などの酸化物の複酸化物から成る。
high-temperature
superconductor
8
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4) 光学的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1401
光学セラミックス
セラミックスの中で,光学的機能(透明性,透光性,屈折
性,反射性,電気光学効果,磁気光学効果,光導電性,偏
光性,発光性など)の利用を目的としたセラミックス。
optical ceramics
1402
透光性セラミック
ス
光の内部散乱のため直線透過率は低いが,全体として光の
吸収が少なく透過性に優れたセラミックス。
注記 アルミナ,PLZT,イットリア−トリア,スピネルな
どの酸化物系のほか,窒化物,炭化物及び硫化物系
セラミックスにも透光性をもつものがある。
translucent ceramics
1403
透明セラミックス
光の内部散乱が少なく,光の直線透過率が高い透明なセラ
ミックス。
注記 光の散乱の基となる粒界がない単結晶,結晶方位に
よる熱膨張率の異方性がなく,粒界にクラック等が
生成しにくい立方晶の焼結体などで得られる。
transparent ceramics
1404
透明導電膜
透明で,かつ,導電性をもつセラミックス薄膜。
注記 ディスプレー用ガラスなどの透明材料の上に形成す
る。酸化すず系及び酸化インジウム系,又は両者の
固溶体であるITO(In2O3-SnO2:2133参照)などが
ある。
transparent conductive
coatings
1405
光導波路セラミッ
クス
光学セラミックス基板表面や基板上に製膜した光学セラ
ミックス薄膜に高屈折率の線状区域を設け,光の分岐又は
結合を行うような光回路を形成したもの。
注記 LiNbO3の光学単結晶基板に形成したり,光学セラミ
ックス薄膜を加工する場合がある。
ceramic optical
waveguide
1406
非線形光学セラミ
ックス
光と物質の相互作用において,物質の応答が光の電磁場に
比例せずに,2次又は3次の項によって変化するような性
質をもつセラミックスの総称。
注記 SHG(第2高調波発生)の現象,光の強度変化によ
る屈折率の変化などがある。
non-linear optical
ceramics
1407
光学単結晶
各種の光学応用を目的として作製された単結晶。
注記 サファイア,YAG(ヤグ),GGG(ジージージー),
ニオブ酸リチウムなどがある。
optical single crystal
1408
蛍光体
広義には,X線,紫外線,可視光線等が照射されることで
励起された電子が基底状態に戻る際にエネルギーを電磁
波として放出する材料。狭義には,上記のうち,励起源を
停止するとすぐに発光が消失する発光寿命が短い材料。
注記 発光寿命が長いものはりん(燐)光と呼び,蛍光と
区別される。
fluorescent substance
1409*
電気光学セラミッ
クス
電場をかけたとき屈折率が変化する誘電体セラミックス。
注記 非線形光学セラミックスの一種である。電場の強さ
に比例して屈折率が変化する効果をポッケルス効
果,2乗に比例する効果をカー効果と呼ぶ。光シャ
ッタ,光変調素子,光メモリ素子などに応用される。
強誘電性材料で,光透過性が良いことが条件で,ニ
オブ酸リチウム(LiNbO3)などの単結晶が用いられ
ることが多い。多結晶体では粒界散乱などの微構造
の影響が少ないPLZTなどが光シャッタとして実用
化されている。
electro-optic ceramics
9
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5) 生体的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1501
バイオセラミック
ス
生体親和性がよく,人工骨,人工関節,人工歯根などとし
て用いられるセラミックス。生体内で不溶性で安定な生体
不活性なものと,反応を起こす生体活性なものとがある。
bioceramics
1502
補てつ(綴)材
人工骨,義歯など,人体の主に骨及び歯の欠損を補う材料。
セラミックス,プラスチックス,金属などがある。
prosthetics
1503*
生体活性薄膜
母床骨との結合性を高めるため,人工関節などで用いる金
属などへコーティングする生体活性セラミックスなどの
薄膜。
bioactive ceramic
coating
1504
抗菌性セラミック
ス
銀,銅,亜鉛などの金属イオンを含み抗菌作用(殺菌作用
や静菌作用)を担持したセラミックス又は酸化チタンの光
触媒作用による抗菌作用を付与したセラミックス。衛生陶
器,タイル,器具などに広く使われている。
antibacterial ceramics
6) 化学的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1601*
吸着材
無機イオン,有機分子などをガス又は溶液中から吸着除去
する材料。
absorbent
1602*
光触媒材料
塗布,含浸,練り込み及び種々の製膜方法によって光触媒
を,建築材料,その他の材料の表面に担持させたもの。
photocatalytic material
b) 材料・製品
1) 酸化物
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2101
アルミナ
酸化アルミニウム(Al2O3)の総称であるが,一般にα-ア
ルミナをいう。
注記 電気絶縁性及び耐熱性に優れる。工業用アルミナと
しては,アルミナ含有量が80 %から100 %近いもの
まである。IC基板,耐熱材料,光学材料など広い用
途がある。サファイアはα-アルミナの一種で単結晶。
alumina
2102
ベータアルミナ
アルミナ及び酸化ナトリウムの化合物から成るセラミッ
クス。
注記 イオン伝導性の高い材料で,ナトリウム・硫黄(Na-S)
電池に使用される。
β -alumina
2103
ジルコニア強化ア
ルミナ
ジルコニア微粒子をアルミナマトリックス中に分散させ
た複合材料。
注記 アルミナの強度及び破壊じん(靱)性を改善できる
特徴がある。
zirconia toughened
alumina
2104
ジルコニア
二酸化ジルコニウム(ZrO2)。単斜晶系,正方晶系及び立
方晶系の3種類の多形がある。
注記 正方晶系から単斜晶系への相転移には約5 %の体積
膨張を伴い,焼成後の冷却中に亀裂が発生するため,
一般には,酸化カルシウム(CaO),酸化マグネシウ
ム(MgO),酸化イットリウム(Y2O3)などを固溶
させる。
zirconia
10
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2105
安定化ジルコニア
ジルコニア(ZrO2)に酸化カルシウム(CaO),酸化マグネ
シウム(MgO),酸化イットリウム(Y2O3)などを固溶さ
せ低温まで立方晶の構造を保持したジルコニア。通常,FSZ
と呼ぶ。
注記 安定化ジルコニアは耐火物及びコーティング材とし
て使用する。固溶によって酸素欠陥が生じ,イオン
導電性を示すので,固体電解質となる。
fully stabilized zirconia
(FSZ)
2106
部分安定化ジルコ
ニア
少量の安定化剤を加えて,焼成して得られた立方晶又は単
斜晶と正方晶から成るジルコニアで,高じん(靱)性及び
高強度で特徴づけられる。通常,PSZと呼ぶ。
partially stabilized
zirconia (PSZ)
2107*
正方晶ジルコニア
多結晶体
主として室温で準安定状態にある正方晶ジルコニアから
成るセラミックス。
注記 正方晶から単斜晶への応力誘起相変態によって高強
度,高じん(靱)性をもつ。
tetragonal zirconia
polycrystal (TZP)
2108
シリカ
二酸化けい素(SiO2)。
注記 融点1 723 ℃。非晶質,ガラス,結晶などの各種の
状態のものがある。結晶性物質として,石英,クリ
ストバライト,トリジマイトなどの多形が存在する。
silica
2109
マグネシア
酸化マグネシウム(MgO)。
注記 融点は2 800 ℃,密度3.58 g/cm3,炭酸塩,硝酸塩,
水酸化物などを熱分解して得られる。ナノサイズの
微細な高純度粉末から製造された高純度マグネシア
は,各種熱処理部材,高温超電導薄膜用基板などに
用いられている。
magnesia
2110
ベリリア
酸化ベリリウム(BeO)。
注記 融点2 570 ℃,密度3.03 g/cm3,熱伝導性及び電気絶
縁性に優れ,基板又はパッケージに用いる。また,
熱中性子吸収断面積が小さい。毒性に注意が必要。
beryllia
2111
酸化亜鉛
化学式ZnOで表す化合物。
注記 密度5.78 g/cm3,ウルツ鉱型及び岩塩型の2種類の多
形をとる。常圧下では1 720 ℃で昇華。顔料,医療
用などのほか,電子セラミックス又は蛍光体として
用いられる。
zinc oxide
2112
チタニア
二酸化チタン(TiO2)。
注記 単成分では3種類の変態がある。屈折率が高く,単
結晶は融点1 640 ℃,密度4.3 g/cm3で,宝石として
使われ,粉末は白色顔料,焼成品は誘電体として使
用される。
titania
2113
ムライト
アルミナとシリカとから成る複合酸化物セラミックス
(3Al2O3・2SiO2)。
注記 融点1 850 ℃で共有結合性が高い。高純度で粒子径
1〜2 μmの微粉末から製造されるムライトセラミッ
クスは,微細な組織をもち,高温強度及び耐クリー
プ性に優れる。多結晶体は,耐熱材料として用いら
れる。
mullite
11
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2114
スピネル
アルミナとマグネシアとから成る複合酸化物セラミック
ス(MgAl2O4)。
注記 融点1 995 ℃,密度3.55 g/cm3。天然のスピネルで濃
赤色の良質結晶は宝石になる。これと同じ結晶構造
をスピネル型と呼び,多くの化合物が存在する。JIS
R 2001参照。
spinel
2115
コーディエライト
酸化マグネシウム(2MgO)・酸化アルミニウム(2Al2O3)・
二酸化けい素(5SiO2)組成から成るセラミックス。
注記 密度2.60〜2.66 g/cm3。熱膨張係数が小さいので耐熱
衝撃性に優れ,自動車用排ガス浄化用触媒担体など
に使用される。
cordierite
2116
チタン酸アルミニ
ウム
アルミナとチタニアとから成る複合酸化物。
注記 熱膨張係数が小さく融点1 860 ℃,密度3.68 g/cm3。
自動車の排気部部品として利用される。
aluminum titanate
2117
ステアタイト
酸化マグネシウム(MgO)・二酸化けい素(SiO2)の組成
をもつ汎用の高周波用絶縁セラミックス。
注記 融点1 300 ℃以上,密度2.7〜2.8 g/cm3。
steatite
2118
フォルステライト
酸化マグネシウム(2MgO)・二酸化けい素(SiO2)の組成
をもつマイクロ波帯で低誘電損失の絶縁セラミックス。
注記 密度3.21 g/cm3。
forsterite
2119
ジルコン
ジルコニア(ZrO2)・二酸化けい素(SiO2)の組成をもち機
械的,熱的強度が大きな研削可能で耐熱性の絶縁セラミッ
クス。
注記 軟化温度850〜950 ℃で融点2 250 ℃,密度4.68
g/cm3。
zircon
2120*
水酸アパタイト
アパタイト鉱物の一種で化学式Ca10 (PO4)6 (OH)2で示す化
合物。りん(燐)灰石ともいう。脊椎動物の骨及び歯の無
機主成分である。
注記 水酸アパタイト及び炭酸含有水酸アパタイトは,生
体用セラミックス・生体分子(たんぱく質,核酸な
ど)の吸着・分離材,歯磨材として利用される。
hydroxyapatite
2121*
ハロりん酸カルシ
ウム
アパタイト鉱物の一種で化学式Ca10 (PO4)6 (F, Cl)2で示す化
合物。ふっ素アパタイト,塩素アパタイト,りん(燐)灰
石ともいう。
注記 アンチモン(Sb)とマンガン(Mn)とをドープした
ハロりん酸カルシウムは蛍光灯などの蛍光体として
利用される。
calcium halophosphate
2122*
りん酸三カルシウ
ム
化学式Ca3 (PO4)2で表す化合物。高温相のα,低温相のβ
のほかにスーパーα,γ相などが存在する。水溶液中で,α
相は速やかに,β相も時間とともに水酸アパタイトへ転化
する。
注記 α相は自己硬化型アパタイトセメント,β相は骨補
塡材に用いられる。
tricalcium phosphate
2123*
りん酸水素カルシ
ウム(第二りん酸
カルシウム)
モネタイト(化学式CaHPO4)及びその二水和物であるブ
ルッシャイト(化学式CaHPO4・2H2O)が存在する。
注記 りん酸四カルシウムと混合して自己硬化型アパタイ
トセメントに用いられる。
dicalcium phosphate
anhydrtate or
dicalcium phosphate
dihidrate
2124*
りん酸四カルシウ
ム
化学式Ca4 (PO4)2 Oで表す化合物。
注記 第二りん酸カルシウムと混合して自己硬化型アパタ
イトセメントに用いられる。
tetracalcium phosphate
12
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2125
チタン酸鉛
化学式PbTiO3で示す化合物。ペロブスカイト型構造をと
り,室温では無色の正方晶系結晶。強誘電性の物質,圧電
材料として利用。
lead titanate
2126
チタン酸バリウム
化学式をBaTiO3で表される,ペロブスカイト型構造の化
合物。キュリー点120 ℃付近で急に比誘電率が高くなり
10 000を超える。コンデンサ材料及び圧電材料として利用
する。
barium titanate
2127
タンタル酸リチウ
ム
LiTaO3の組成をもつニオブ酸リチウム(LiNbO3)型構造(三
方晶系)の強誘電性の化合物。単結晶はレーザ用非線形光
学材料,ピエゾ素子,表面波フィルタなどに用いる。
lithium tantalate
2128
ニオブ酸リチウム
組成をLiNbO3で表される三方晶系の化合物。1 210 ℃にキ
ュリー点をもつ強誘電体である。圧電体,焦電体などとし
て用いる。
lithium niobate
2129
ペロブスカイト
狭義にはCaTiO3結晶をいう。一般にペロブスカイト型結
晶は立方晶が僅かにひず(歪)んだ斜方品,単斜晶をとり,
圧電性,強磁性,強誘電性(遷移金属を含む。)など実用
上重要な機能を発現する。
perovskite
2130
チタン酸カリウム
一般式K2O・nTiO2(n=2, 4, 6, 8)で示される化合物。特に
六チタン酸カリウム(K2Ti6O13)はウィスカとして耐熱性
及び補強性に優れ,プラスチックスの強化材として応用さ
れている。
potassium titanate
2131
酸化すず膜
酸化アンチモン又はふっ素を添加して導電性を与えた
SnO2透明導電膜。
注記 スプレー法又は蒸着法によってガラス面上に形成し
て透明導電膜として使われる。発生期の水素でエッ
チングが可能である。
tin oxide coatings
2132
YAG
(やぐ)
Y3Al5O12の組成をもつガーネット構造の複酸化物の略称。
注記 名前の由来はイットリウム・アルミニウム・ガーネ
ットから。一般に,YAGというと単結晶を指すこと
が多く,ネオジム又はエルビウムのような活性なイ
オンを添加して高性能なレーザ発振材料として用い
られる。最近では,多結晶体で,単結晶のもつ性能
を超えるものも開発されている。
yttrium aluminum garnet
2133
ITO
(あいてぃーおー)
酸化すずを数パーセント含んだ透明で高い導電性をもつ
酸化インジウムの略称。
注記 透明基板表面に薄膜を形成して導電性を与える目的
で使われる。インジウム(Indium)・すず(Tin)酸
化物(Oxide)の略で,一般的には薄膜を指すことが
多い。酸でエッチングすることができる。
indium tin oxide
2134
PZT
(ぴーぜっとてぃ
ー)
ベロブスカイト型構造をもちジルコン酸鉛(PbZrO3)とチ
タン酸鉛(PbTiO3)との固溶体であるPb (Zr, Ti) O3の略称。
注記 優れた圧電性,強誘電性等をもち,Zr/Ti比によって
特性が変化する。超音波振動子,アクチュエータな
どに応用。一般にモルフォトロピック相境界
(Morphotropic Phase Boundary,MPB)で高い機能が
発現される。
lead zirconate titanate
13
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2135
PLZT
(ぴーえるぜっと
てぃー)
PZTの鉛(Pb)の一部をランタン(La)で置換した (Pb, La)
(Zr, Ti) O3セラミックスの略号。
注記 擬立方晶に由来した透光性に優れ,電気光学効果を
示す。光メモリ,ディスプレイ,光シャッタなどへ
の応用がある。
lead lanthanum zirconate
titanate
2136*
ランガサイト
La3Ga5SiO14の化学式で表される鉛を含まない圧電材料。
注記 電気機械結合係数が水晶に比べて3〜4倍大きく,周
波数温度特性にも優れ,等価直列抵抗が低い。音響
光学特性に優れているため,バルク音響波(BAW)
デバイス,表面弾性波(SAW)フィルタ用基板など
に利用されている。
langasite
2) 非酸化物
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2201
炭素
原子番号6,原子量12.011,周期律表第4族第2周期に位
置する元素であり,炭素原子から主として構成される物
質,及び材料。
carbon
2202
黒鉛
互いに平行に積層した縮合多環六角網面を構成し,三次元
の結晶規則性を示す炭素の同素体。
graphite
2203*
熱分解炭素
高温下に静置された基材に炭化水素ガスを接触させて,析
出沈積した炭素。
pyrolytic carbon
2204*
カーボンブラック
95 %以上が非晶質炭素から成るナノメートルサイズの微
粒子。
carbon black
2205*
膨張黒鉛
黒鉛層間に硫酸分子などを挿入した酸・黒鉛層間化合物
を,急激に加熱することによって層間を広げた黒鉛。
exfoliated graphite
2206*
ガラス状炭素
六角網面を基本単位とするが,非晶質でランダムな組織を
もち,微細な閉気孔構造をもつ炭素。
glassy carbon
2207
ダイヤモンドライ
クカーボン
炭化水素又は炭素の同素体から成る非晶質の硬質膜。
diamond-like carbon
2208
ダイヤモンド
炭素原子が強固な共有結合をもつ炭素の同素体の一つ。
注記 立方晶及び六方晶の二つの結晶構造がある。
diamond
2209
炭素繊維
炭素の質量含有率が90 %以上であって,有機繊維プレカー
サーを焼成して得られる繊維。
注記 炭素が黒鉛化したものは黒鉛繊維とも呼ばれる。
PAN系とピッチ系とに大別される。金属,プラスチ
ック及びセラミックスの強化材として用いる。
carbon fiber
2210*
フラーレンズ
全て炭素原子で構成され,六員環及び五員環から成る球殻
状に閉じた分子。
注記 切頭正二十面体の各頂点を60個の炭素原子が占め
たサッカーボール形のC60はフラーレンを代表する
分子で,バックミンスターフラーレンと呼ばれる。
C60のほかに,C70,C76,C78,C82,C84などの高次の
フラーレンも安定して存在する。
fullerenes
14
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2211*
カーボンナノチュ
ーブ
炭素六角網面を円筒形に継ぎ目なく閉じてできる,外径が
サブナノメートルから50 nmの針状で,中心部が空洞をも
つ分子。
注記 チューブの先端には一つの端当たり6個の五員環が
導入され閉じている。単層ナノチューブと,多層の
炭素六角網面が同軸円筒状に積み重なった多層ナノ
チューブとがある。
carbon nanotube
2212
炭化けい素
化学式SiCで示す化合物。
注記 共有結合性が高く約2 830 ℃で分解。密度3.22
g/cm3,熱膨張係数は4.5×10−6/K。高熱伝導性で,
良好な耐摩耗性を示す。半導性を利用して発熱体又
はバリスタに利用される。また,メカニカルシール,
耐火物などに利用される。高強度の構造用部品を対
象にも開発が進行中。また,シリコンウェーハの熱
処理用ジグとしても利用。
silicon carbide
2213
炭化チタン
化学式TiCで示す化合物。
注記 立方晶系で密度4.94 g/cm3,モース硬度8〜9。優れ
た耐摩耗性を示し,切削工具材として利用。通常,
TiC-Ni-Mo系又はWC-TiC-Co系の焼結体として用い
られることが多く,サーメットの代表である。
titanium carbide
2214
炭化タングステン
化学式WCで示す化合物。
注記 立方晶系で密度15.50 g/cm3と重く,モース硬度9。
高硬度で優れた耐摩耗性を示し,切削工具材として
利用する。タングステンカーバイト−コバルト
(WC-Co)系が主成分の焼結体を超硬合金と呼ぶ。
tungsten carbide
2215
窒化ほう素
化学式BNで示す化合物。
注記 多形があり,炭素とよく似ている。六方晶窒化ほう
素(hBN)は快削性を示し,耐熱及び耐食材に使用
する。立方晶窒化ほう素(cBN)は高圧合成され,
硬く,工具材として用いる。
boron nitride
2216
立方晶窒化ほう素
立方晶系の窒化ほう素。
注記 cBN(シービーエヌ)とも呼ぶ。ダイヤモンド構造
をもち,その基本的性質もダイヤモンドに酷似して
いる。通常,超高圧法によって合成し,切削及び研
削工具として利用。
cubic boron nitride
2217
パイロリティック
ボロンナイトラ
イド
熱分解により作製された層状の六方晶窒化ほう素。
注記 三塩化ほう素(BCl3)などのハロゲン化ほう素及び
アンモニア(NH3)を原料として,2 000 ℃前後の高
温減圧CVD法などによって気相から析出される。ガ
リウムひ素(GaAs)などの化合物半導体のるつぼ又
はボードとして用いる。
pyrolytic boron nitride
(PBN)
2218
窒化アルミニウム
化学式AlNで示す化合物。
注記 六方晶系,ウルツ鉱型構造で,密度は3.26 g/cm3。
2 200 ℃前後で分解する。熱伝導率が高く電気絶縁
性に優れる。IC,LSIの基板,パッケージ又はヒー
トシンクに適用。緻密化には酸化イットリウム
(Y2O3),酸化カルシウム(CaO)などの焼結助剤を
使用する。
aluminum nitride
15
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2219
窒化けい素
化学式Si3N4で示す化合物。
注記 α型及びβ型の2相が存在する。共有結合性が高く
1気圧下では約1 800 ℃で分解する。密度3.19 g/cm3,
熱膨張係数3×10−6/K前後。酸化イットリウム−ア
ルミナ(Y2O3-Al2O3)を加えた焼結体は強度及びじ
ん(靭)性に優れる。エンジン部品などの構造用材
料として利用される。
silicon nitride
2220
サイアロン
Si-Al-O-N系化合物の総称。
注記 窒化けい素(Si3N4)のSi,N位置に,Al,Oがそれ
ぞれ置換型固溶したβ-サイアロンと,この置換型固
溶と同時に結晶格子間に特定な金属原子が侵入型固
溶したα-サイアロンとがある。特性は窒化けい素の
もつ低熱膨張率,高強度に加え,耐食性も優れる。
sialon (silicon aluminum
oxynitride)
2221
窒化チタン
化学式TiNで示す化合物。
注記 密度5.4 g/cm3,立方晶で融点が2 950 ℃の硬質化合
物。サーメット工具に分散したり,超硬合金の上に
被覆して用いる。黄金色を呈するので装飾用にも使
用される。
titanium nitride
2222
ほう化チタン
化学式TiB2で示す化合物。
注記 融点3 225 ℃,高い硬度をもち,導電性に優れた物
質。特に高硬度を生かして耐摩耗部材として用いる。
titanium boride
2223
ほう化ジルコニウ
ム
化学式ZrB2で示す化合物。
注記 密度6.09 g/cm3,融点3 245 ℃の硬質物質。金属への
耐食性も優れることから耐摩耗部材又は鉄,アルミ
ニウム溶融金属用部材として用いる。
zirconium boride
2224
ほう化ランタン
化学式LaB6で示す化合物。
注記 熱電子放射性に優れる化合物。単結晶を加工し,精
度のよい電子放射体として電子顕微鏡又はVLSIの
回路作製に利用する。
lanthanum boride
2225
けい化モリブデン
モリブデン(Mo)及びけい素(Si)の化合物。
注記 二けい化モリブデン(MoSi2)が実用化されている。
融点1 870 ℃で1 700 ℃まで空気中で使える発熱
体,IC回路作製マスク用などに使用。
molybdenum silicide
3) ガラス
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2301
シリカガラス
石英ガラスともいう。二酸化けい素の網目状構造だけによ
って構成されるガラス。
注記 密度2.20 g/cm3,熱膨張係数5.5×10−7/K。水晶,け
い石,けい砂の融解や四塩化けい素の高温気相分解
などで合成する。耐熱性,化学安定性,光透過特性
に優れている。光ファイバ,エレクトロニクス用基
板,耐熱材料などとして使用される。
silica glass
2302
ソーダ石灰ガラス
シリカ(SiO2),酸化ナトリウム(Na2O),酸化カルシウム
(CaO)を主成分とする最も普通のガラス。
注記 耐アルカリ性が低いという欠点があるが製造・加工
が容易であるため汎用ガラスとして使用される。
soda lime glass
16
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2303
ほうけい酸塩ガラ
ス
シリカ(SiO2),無水ほう酸(B2O3)によって網目状構造
が形成されているガラス。
注記 低アルカリのほうけい酸ガラスは膨張係数が小さく
比較的硬く耐食性が大きいため,理化学用ガラス又
は基板ガラスとして使用される。
borosilicate glass
2304
アルミノけい酸塩
ガラス
シリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)とによって網目状構造
が形成されているガラス。
注記 膨張係数が低く,軟化点が高い。耐熱性,耐水性に
優れている。これらの特徴によって液晶基板が代表
的な用途である。
aluminosilicate glass
2305
りん酸塩ガラス
主に酸化りんによって網目状構造が形成され網目修飾イ
オンとして酸化カルシウム,アルカリなどを含有するガラ
ス。
注記 光学ガラスとして実用化されているが,このガラス
にはけい酸塩ガラスでは見られない特徴があり,バ
イオセラミックス用ガラス,オプトエレクトロニク
ス用ガラス,低融点ガラスなどの用途がある。
phosphate glass
2306
鉛ガラス
酸化鉛及びシリカを主成分とするガラス。
注記 高屈折率,高分散,高電気抵抗,低加工温度などの
性質をもっているため,クリスタルガラス,光学ガ
ラス,電子管用ガラス,X線遮蔽用ガラスなどに用
いられる。
lead glass
2307
オキシナイトライ
ドガラス
酸化物ガラス中の酸素の一部を窒素で置き換えた組成を
もつガラス。
注記 元のガラスに比べて弾性率,硬さ及び化学的耐久性
が向上する。窒素の含有率は,3〜15質量%程度であ
る。
oxynitride glass
2308
カルコゲナイドガ
ラス
硫化物,セレン化物,テルル化物又はこれらの混合系から
成る非酸化物ガラス。
注記 赤外線透過性及び半導体としての性質が注目され,
赤外線ファイバ材料,メモリ・スイッチ材料などの
用途がある。
chalcogenide glass
2309
ふっ化物ガラス
金属ふっ化物から成るガラス。
注記 重金属ふっ化物ガラスは,光透過性がよく,紫外線
から赤外線まで広い波長範囲で光をよく通す。
ZrF4-LaF3-BaF2-AlF3系が代表的。
fluoride glass
2310
無アルカリガラス
ナトリウム(Na),カリウム(K)などのアルカリ金属を含
まないガラス。
注記 半導体と接触するガラスでは,アルカリの存在は半
導体の劣化の原因となるので,無アルカリガラスが
望まれる。
non-alkali glass
2311
無鉛ガラス
鉛を含まないガラス。
注記 一般に封着用のガラスには融点を低くするため酸化
鉛を加えているが,還元性雰囲気で使用すると着色
するので,こうした用途には無鉛ガラスが使用され
る。
なお,環境問題で鉛が規制の対象になっている。
non-lead glass
17
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2312
低融点ガラス
300〜700 ℃で軟化流動するガラス。
注記 電子部品などの封着,被覆,結合などに使用される。
主成分が酸化鉛(PbO)と無水ほう酸(B2O3)とか
ら成るものが代表的で,封着後もガラス状態のもの
と,結晶化するものとがある。
なお,無鉛化のために新しい組成が検討されてい
る。
low melting glass
2313
低膨張ガラス
熱膨張係数αの小さいガラス。
注記 耐熱性が高い。α=32×10−7/Kのほうけい酸ガラス,
α=5.5×10−7/Kのシリカガラス,α=0×10−7/Kのチ
タニア添加シリカガラスが代表的。
low expansion glass
2314
基板ガラス
種々の機能素子をその表面上に載せ,いろいろな働きをさ
せる平らなガラス。
注記 必要性能としては,無欠点表面,平たん(坦)性,
表面清浄性,強度,耐久性などがある。主要な用途
としては,ディスプレイ用,太陽電池用,IC基板用,
IC製造用フォトマスク用,光・磁気ディスク用など
がある。
substrate glass
2315
導電性ガラス
ガラスに電気を流すために表面に導電性の膜を形成し導
電性をもたせたガラス。
注記 導電膜は銀ペースト,金の蒸着膜,酸化インジウム
(InO2)膜,酸化すず(SnO2)膜などが用いられる。
導電性ガラスは平面ディスプレイ用ガラス基板,ア
モルファスシリコン太陽電池基板などに用いられて
いる。
electrical conductive
glass
2316
超イオン伝導ガラ
ス
含まれている銀イオン(Ag+)又はリチウムイオン(Li+)
の移動によって非常に高いイオン伝導性を示すガラス。
superionic conductive
glass
2317
ガラス遅延線
電気信号を,弾性波である超音波に圧電変換器によって変
換し,ガラス媒体中を一定距離伝ぱ(播)させた後,再び
変換器によって電気信号に変えて信号を遅延させる機能
をもたせる素子。
注記 媒体中を伝ぱ(播)する超音波の速度が電磁波に比
べて非常に小さいことを利用している。テレビジョ
ン,ビデオカメラなどの映像機器に主として画質改
善の目的で用いられる。ガラス材料には遅延時間の
温度変化の小さい鉛ガラスが使われる。
glass delay line
2318
屈折率分布ガラス
屈折率が軸対称に直径方向に放物線状に変化しているガ
ラス。
注記 屈折率の勾配形成法としてイオン交換法,CVD(シ
ーブイディー)法,分子スタッフィング法,ゾル−
ゲル法などがある。光ファイバの結合用レンズ,複
写機などの像伝送用レンズアレーなどに使用され
る。
graded index glass
2319
微小光学系レンズ
用ガラス
半導体レーザのような微小光源,光ファイバのような細口
径伝送路などを結ぶ微小光学系レンズ用ガラス。
注記 屈折率分布ガラス,球レンズなどがある。
micro-optical lens glass
18
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2320
ガラス光導波路
ガラス基板に光の伝達,分岐,合流などの働きをする導波
路を組み込んだガラス素子。
注記 光がガラス中を伝わるためには,中心部の屈折率が
高いファイバを基板表面に埋め込むか,イオン交換
法,CVD法,スパッタリング法などによって基板表
面に中央部の屈折率が高い薄板部を作る。光導波路
は分岐,結合,光スイッチ,光アイソレイタなどと
して用いられる。
optical waveguide glass
2321
感光性ガラス
金,銀,銅などの金属イオンを増感材とともに添加・溶解
した無色のガラス。
注記 光を照射した後加熱すると光を受けた部分に金属コ
ロイドが生成,着色することができる。さらに,そ
の部分を選択的に結晶化させることもできる。ガラ
スの組成を選択し化学的耐久性の悪い結晶を析出さ
せ,その部分を酸で処理し除去することによって精
密な形状の部品を製造することができる。
photosensitive glass
2322
フォトクロミック
ガラス
光の照射によって着色し,照射をやめると元の状態に戻る
性質をもつガラス。
注記 ハロゲン化銀結晶を含むフォトクロミックガラスは
着色の濃度及び着色・退色の速度が大きく,また,
着色及び退色を繰り返しても疲労がないなどの特徴
があり,実用化されている。
photochromic glass
2323
レーザガラス
レーザ発振によって強力な単色光をつくるガラス。
注記 ガラスはレーザとしては,優れた光学的均一性及び
高透明性をもち,大口径からファイバまで自由に成
形できる長所がある。一方,熱的強度及び熱伝導度
は結晶質に比べて小さいのが短所である。Ndドープ
ガラスが代表的である。
laser glass
2324
相変化型光メモリ
用ガラス
結晶相とアモルファス相との間で光学定数が変化する現
象をメモリとして応用するガラス。
注記 メモリ用ガラスとしてはカルコゲナイド系ガラス膜
が利用されている。
optical memory glass of
phase transition type
2325
非線形光学ガラス
光吸収係数,屈折率などの光学定数が光の強度によって変
化する特性をもつガラス。
注記 この現象を利用して光で光自身を制御する光スイッ
チング素子又は光双安定素子を作ることができる。
非線形光学ガラス材料としては半導体超微粒子を分
散させたガラスなどがある。
non-linear optical glass
2326
多孔質ガラス
ガラスの分相現象を利用して作られる,無数の互いに連続
した細孔をもっているガラス。
注記 細孔の径は4 nm〜20 μmと広い範囲で制御すること
ができ,また,細孔表面積も1 g当たり数百m2と非
常に大きいので,ろ(濾)過材,表面吸着材などい
ろいろな用途が考えられている。
porous glass
2327
放射性廃棄物固化
ガラス
高レベルの放射性廃棄物を多量に溶かし込んで閉じ込め,
固化体にしたガラス。
注記 溶融温度が低いことと化学耐久性に優れていること
が要求される。ほうけい酸ガラスである。
radioactive waste
solidification glass
19
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2328
生体用ガラス
生体組織の損傷を修復するのに用いる結晶化ガラス。
注記 結晶化ガラスは硬いので,主に骨,歯などの硬い組
織の修復材料として用いられる。樹脂,金属などに
比べてガラスは一般によい生体親和性を示すため注
目されている。
bio-glass
2329
結晶化ガラス
加熱処理によってガラス内部から均一に析出した微細結
晶粒子が緻密に集合した固体。
注記 結晶化ガラスは析出結晶の種類を適切に選ぶことに
よってガラスの熱的性質,電磁気的性質,化学的性
質などを変えることができ,母体ガラスより優れた
物性をもつものが実用化されている。
glass-ceramics
2330
低膨張結晶化ガラ
ス
膨張係数が非常に小さい結晶化ガラス。
注記 Li2O-Al2O3-SiO2系の低膨張結晶化ガラスは膨張係数
がほとんどゼロのものもあり,精密機械部品や熱器
具の材料として適している。
low expansion
glass-ceramics
2331*
けい酸塩ガラス
シリカ(SiO2)を主成分とするガラス。
注記 アルカリ酸化物,アルカリ土類酸化物,酸化鉛,ア
ルミナ,ほう酸などを添加して,用途に適する性質
をもたせた多成分系ガラスは,実用ガラスの大部分
を占める。
silicate glass
2332*
ほう酸塩ガラス
酸化ほう素(B2O3)を主成分とするガラス。
注記 高屈折低分散ガラス,低融点ガラス,γ線線量計用
ガラス,中性子遮蔽ガラスなどに用いられる。
borate glass
4) 製品
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2401
セラミック触媒担
体
触媒を担持する化学的に安定な物質で,セラミックス材質
のもの。一般には,触媒反応は流体との界面で起きるため,
幾何学的表面積が大きな多孔質体,ナノ粒子の集合体など
が使用される。
ceramic catalyst carrier
2402
セラミックハニカ
ム
蜂の巣状に孔の開いたセラミックスで,触媒担体,フィル
タ,及び熱交換器蓄熱体として用いられる。
注記 材料は,一般に,耐熱性,耐熱衝撃性,耐食性が要
求され,コーディエライト,ムライト,チタン酸ア
ルミニウムなどがある。
ceramic honeycomb
2403
等方性黒鉛
互いに直角をなす3方向から採取した試験片の特性値の比
が,1:1.0〜1.1の範囲にある黒鉛を称す。
isotropic graphite
2404*
可とう(撓)性黒鉛 層間化合物が生成したうろこ(鱗)状黒鉛などを800〜
1 200 ℃で加熱処理することによって得られた膨張黒鉛粉
を,シート状に圧縮成形して作られる,厚さ0.2〜2 mm程
度のシート状の黒鉛材料。
flexible graphite
2405
C/C(シーシー)コ
ンポジット
炭素繊維強化炭素複合材料。
carbon-carbon
composite
2406*
製鋼用黒鉛電極
電気製鋼用アーク炉の導電体として使用される人造黒鉛
電極。
graphite electrode for
electric arc furnace
2407*
カソードカーボン
アルミニウム電解製錬用の陰極材(ブロック状の)。
cathode carbon for
aluminum reduction
20
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2408*
リチウムイオン二
次電池用負極活
物質
リチウムイオン二次電池において,リチウムイオンが電池
内の電気伝導を担う際に負極として用いられる材料。
注記 負極活物質としては炭素,黒鉛等があり,充電時に
はコバルト酸リチウム等の正極から出たリチウムは
負極に入る。放電時には逆にリチウムは負極から出
て正極に入る。
anode material for
lithium ion secondary
battery
2409
セラミック基板
LSI等の機能素子及び各種の受動素子を搭載し,これら相
互の配線回路,入出力端子などを形成するためのセラミッ
クス製の基板。
注記 電気絶縁性,高熱伝導性,低誘電率,高気密性,低
熱膨張性,耐熱衝撃性などが要求される。アルミナ,
ベリリア,ガラスセラミックス,ムライト,窒化ア
ルミニウムなどを用いる。用途に応じて,薄膜用セ
ラミック基板,厚膜用セラミック基板,グレーズ基
板などに分類される。
ceramic substrate
2410
厚膜用基板
厚膜法によって回路,受動素子を形成しハイブリッドIC
等を製造するための基板。
注記 基板表面の平滑性,耐熱性,耐薬品性,機械的強度,
各種ペーストとの接合力などが必要な特性。一般に
純度96〜97 %のアルミナ,ガラスセラミックス,窒
化アルミニウムなどを用いる。
substrate for thick film
2411
薄膜用基板
薄膜法によって配線及び薄膜デバイスを形成するための
セラミック基板。
注記 真空蒸着,スパッタリングなどによって1 μm程度
又はそれ以下の厚さの膜を作るため,表面状態(表
面粗さ,ピンホールなど)の制御が必要。一般にア
ルミナ基板,グレーズ基板,ガラス基板などを用い
る。
substrate for thin film
2412
グレーズ基板
アルミナ基板の上にガラス層を形成し,表面粗度を改善し
た基板。
注記 高信頼性の薄膜回路,薄膜抵抗又は薄膜コンデンサ
素子などを形成するために用いられる。通常,軟化
点が500〜800 ℃程度のガラスを用いる。サーマル
ヘッド用基板ではグレーズ層が低熱伝導率であるこ
とを利用して蓄熱層として利用する。
glazed substrate
2413
積層基板
シート成形によって作製した基板層を多重に積み上げた
積層状基板。基板層間には導体,誘電体及び抵抗体を配置
して,積層し,これを一体焼結して高密度集積素子を作製
する。
multilayer substrate
2414
高熱伝導性基板
アルミナより熱伝導率の大きな物質(ベリリア,炭化けい
素,窒化アルミニウムなど)の基板。ベリリアは熱伝導性
に優れ,高周波での誘電特性がよい。炭化けい素は熱伝導
性はベリリアと同等であるが,誘電率が大きいため高周波
用には制約がある。窒化アルミニウムはベリリアと同等の
熱伝導率を示し熱膨張係数がシリコン素子に近いという
利点をもつのでパワーデバイスなどに応用されている。
highly thermal
conductive substrate
2415
セラミックコンデ
ンサ
誘電体がセラミックスであるコンデンサ。BLコンデンサ,
積層コンデンサなどがある。
ceramic capacitor
21
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2416
厚膜コンデンサ
厚膜印刷法によって,コンデンサペースト(誘電体ペース
ト)をセラミック基板上にパターニングし,これを焼成し
たコンデンサ。ペーストとしては,酸化物粉末,ガラスフ
リットを用いる。
thick film capacitor
2417
積層コンデンサ
誘電体セラミックスのグリーンシートに金属電極パター
ンを印刷し,これを積層して焼成した後に,各層を並列接
続するように外部電極を付けたチップ型キャパシタ。
注記 積層することで容量/体積の比率を高めている。英
語名を省略してMLCCとも呼ばれる。雑音抑制及び
電源供給の補助の目的で利用される。
multilayer ceramic
capacitor
2418*
薄膜キャパシタ
スパッタリング,蒸着などの薄膜技術を使って,誘電層と
金属層とを積層して形成した小型で薄いキャパシタ。
multilayer thin film
capacitor
2419*
積層インダクタ
フェライト又はセラミックスのグリーンシートに数分の1
ターンのコイルを印刷し,層間に穴をあけて電気的に接続
し,これを積層して焼成した小型インダクタ。
注記 エネルギー効率よりも小型化や高周波特性が重要視
される高周波回路用インダクタ用に開発された。
multilayer ceramic
inductor
2420*
薄膜インダクタ
スパッタリング,蒸着などの薄膜技術を使って,磁性層,
誘電層及び金属膜を積層して形成した小形で薄いインダ
クタ。
multilayer thin film
inductor
2421
厚膜抵坑体
厚膜印刷法によって抵抗体ペーストをセラミック基板上
にパターニングし,これを焼成した抵抗体。
thick film resistor
2422
厚膜導体
厚膜印刷法によって,導体ペーストをセラミック基板上に
パターニングし,これを焼成した導体。
注記 スクリーン印刷などの印刷技術が転用される。
thick film conductor
2423
抵抗体ペースト
厚膜印刷法によって,セラミック基板などの表面又は内部
に抵抗体を形成するときに用いるペースト。
注記 Pd-Ag系,RuO2系,Bi2Ru2O7系などがある。
resistive paste
2424
導体ペースト
厚膜印刷法において,セラミック基板などの表面又は内部
に導体を形成するときに用いるペースト。
注記 厚膜を形成する基材にはセラミックグリーンシー
ト,焼結セラミック板などの基板の場合又は素子の
上に形成する場合もある。Ag,Ag-Pd,Au,Pt-Pd
系,Ni,Cu系,Mo系などがある。
conductive paste
2425
セラミックセンサ
計測対象の温度,圧力,湿度,ガスの存在,光量などの物
理量(状態量,特性値など)を別の物理量に変換するセラ
ミックス製の素子。
注記 様々なセンサがあるが,セラミックスに特有なもの
としてはセラミック粒子の半導性,磁性,誘電性な
どの特性が計測対象のガスなどが粒界や気孔部に吸
着することで大きく変化することを利用したものが
ある。
cerarmic sensor
2426
セラミックヒータ
セラミックスの導電性又は半導体的性質を利用した発熱
体。
注記 金属発熱体の使用温度範囲(1 200 ℃程度以下)よ
りも高い(最高1 800 ℃程度)領域で使用できる。
炭化けい素,けい化モリブデン,ランタンクロマイ
トのほかチタン酸バリウムを主成分とするPTCサー
ミスタを用いたハニカムヒータなどが実用化されて
いる。
ceramic heating resistor
22
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2427
バリスタ
印加電圧が小さいと高抵抗であるが,ある電圧以上で抵抗
が急激に小さくなり良導体になる非直線性のセラミック
抵抗体。
注記 バリスタ特性を示すセラミックスの代表例に酸化ビ
スマス等を添加した酸化亜鉛バリスタがある。電子
回路素子の過電圧保護に利用される。
varistor
2428
PTC(ピーティーシ
ー)セラミックス
抵抗の温度係数が正(positive temperature coefficient)のセ
ラミック抵抗素子の総称。
注記 チタン酸バリウム(BaTiO3)にSm2O3,Y2O3等を添
加するとPTC効果が出現する。PTC特性は,BaTiO3
が強誘電相から常誘電相へ相転移するキュリー温度
Tc以上で顕著に現れる。ハニカムセラミックヒータ
などに用いる。
positive temperature
coefficient ceramics
2429
NTC(エヌティーシ
ー)セラミックス
抵抗の温度係数が負(negative temperature coefficient)の電
子伝導セラミック抵抗素子の総称。
注記 Mn-Co-Ni系酸化物焼結体が広く使われ,各種温度セ
ンサとして普及している。
negative temperature
coefficient ceramics
2430
リラクサ
ある種の鉛系複合ペロブスカイト強誘電体の誘電特性は
イオン配列の不規則性に起因して強誘電相転移が散漫に
行われる。このような強誘電体をリラクサ強誘電体と呼
ぶ。Pb (Mg1/3Nb2/3) O3 (PMN) が代表的なリラクサ型強誘電
体である。リラクサは高性能な積層セラミックコンデンサ
などに用いられる。
注記 測定周波数により最も高い誘電率を示す温度がシフ
トすることに特徴がある。
relaxor
2431
フェライト
狭義には亜鉄酸(H2Fe2O4)の金属塩を指していたが,最近で
は鉄を含む複合酸化物の総称。結晶構造によってa) スピネル
型フェライト,b) ペロブスカイト型フェライト,c) ガーネッ
ト型フェライト,d) マグネトプラムバイト型フェライトに分
類される。磁性材料として重要な地位を占める。
注記 マグネット関連のほか,電波吸収材としても応用が
ある。
ferrite
2432
バリウムフェライ
ト
化学式BaFe12O19で示されるマグネトプラムバイト型フェ
ライト。代表的な永久磁石材料である。
注記 結晶構造に由来する強い異方性に特色がある。
barium ferrite
2433
マンガン亜鉛フェ
ライト
Mn,Znを含むスピネル型フェライト。高透磁率,高磁束
密度の磁性材料。低損失の磁心の代表的な材料である。単
結晶フェライトも磁気ヘッド用として用いる。
manganese-zinc ferrite
2434
ニッケル亜鉛フェ
ライト
Ni,Znを含むスピネル型ソフトフェライト。マンガン亜鉛
フェライトよりも抵抗率が高く,より高周波帯域用に適し
ている。
nickel zinc ferrite
2435
ソフトフェライト
ヒステリシス曲線が細く保磁力が小さく,外部の弱い磁界
に対しても敏感に磁化されるフェライト。
soft ferrite
2436
ハードフェライト
ヒステリシス曲線が幅広く,保磁力が大きい。外部磁界に
対し磁化されにくいフェライト。
hard ferrite
23
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2437*
磁気ヘッド
ハードディスク記憶装置のデータ書き込み,読み出しに用
いる素子。
注記 磁気ヘッドは微小なギャップをもった電磁石で,磁
性体が用いられている。記録密度の向上のために,
ギャップを狭く,磁化を大きくする必要がある。従
来の読み出しは,データ記録部上を読み出し用のヘ
ッドを通過させ,電磁誘導による電流を計測する。
しかし,記録密度が高くなると,電磁誘導による電
流が小さくなるため,磁界の変化によって電気抵抗
値も変化する性質である磁気抵抗効果
(magneto-resistive effect)等を利用した読み出しヘ
ッドが用いられる。
magnetic head
2438
光ファイバ
屈折率の高いコア層を屈折率の低いクラッド層が取り囲
んだ構造をもち,全反射の原理によって光が外部にもれな
いようにした光伝ぱ(播)用ファイバ。通信用,画像伝送
用,エネルギー伝送用のものがある。
optical fiber
2439
セラミックス光学
薄膜
透明基板上に形成して,光の透過,吸収,反射を波長別に
制御することができるセラミック質の薄膜。一層又は多層
の膜から成り,各層の材料の選択と膜厚構成で多様のもの
が製作可能。膜の一層の厚さは光の数分の1波長から1波
長のオーダーである。
ceramic optical coatings
2440
レーザ用セラミッ
クス
レーザ光の発振機能をもつセラミックス。単結晶としての
ルビーレーザ,YAG(ヤグ)レーザなどがある。YAG及び
酸化イットリウム(Y2O3)は立方晶であるため,多結晶体
でもレーザー発振が可能である。
laser ceramics
2441
シンチレータ
荷電粒子又はγ線が物質中を通り抜けるとき,物質中の電
子を励起して,そのエネルギーの一部が光として放出され
発光する現象の顕著な物質。単結晶ではタングステン酸カ
ドミウム(CdWO4),Bi4Ce3O12,多結晶体ではGd2O2S:Pr,
(Gd, Y) 2O3:Euがある。
注記 最近ではCe(添加ガーネット多結晶体)も注目され
ている。
scintillator
2442
核燃料
中性子を吸収して核分裂を起こし,大量のエネルギーを放
出する物質。235ウラン(U),239プルトニウム(Pu),241
プルトニウム(Pu)などがある。実用原子炉においては,
金属及びそれらの酸化物,炭化物,窒化物などが用いられ
る。
注記 プルサーマル炉及び高速増殖炉では,二酸化プルト
ニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜた
ものであるMOX燃料を用いる。
nuclear fuel
2443
中性子減速材
核分裂によって発生する中性子のエネルギーを低下させ,
いわゆる熱中性子に変換するために使用する材料。低原子
番号の元素が適し,一般には中性子照射損傷が小さい高密
度等方性黒鉛がよく用いられる。
neutron moderator
24
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2444
セラミックフィル
タ
振動体に圧電セラミックスを用いたろ波器。振動体の共振
を利用し,これを圧電的に発振及び受振する素子を共振子
といい,共振子を組み合わせて特定の周波数だけをろ波す
るデバイスをフィルタという。一方,セラミックス内に多
数の微細貫通孔をもち,気体及び液体の透過機能をもつも
のもフィルタという。
注記 通常のバルクフィルタのほか,表面波の特性をいか
した表面波フィルタ,更にバルクではあるが,薄膜
化したFBAR等に分類される。
cerarmic filter
2445
ターゲット材
スパッタリングにおいて膜形成物質をたたき出すために,
イオン照射を受ける物質をターゲット材と呼ぶ。広義に
は,イオン及び電子などで照射される物質のことをいう。
target material
2446*
リチウムイオン二
次電池
非水電解質二次電池の一種で,電解質中のリチウムイオン
が電気伝導を担い,かつ,金属リチウムを電池内に含まな
い二次電池。
注記 リチウムイオン電池,リチウムイオンバッテリー,
Li-ion電池ともいう。リチウムイオンポリマー二次
電池は,電解質として電解液の代わりに高分子ゲル
を使うリチウムイオン電池の一種である。
lithium-ion rechargeable
battery
2447*
燃料電池
水素などの燃料及び酸素などの酸化剤を供給し続けるこ
とで継続的に電力を取り出すことができる化学電池の総
称。
注記 熱エネルギー又は運動エネルギーの形態を経ない
で,化学エネルギーから電気エネルギーを得るため,
熱機関特有のカルノー効率に依存せず発電効率が高
い。主として水の電気分解の逆反応(2H2+O2 →
2H2O)を用いて電力を取り出すことが多い。高温で
稼働することから,電解質などの部材にセラミック
スが用いられる。
fuel cell
2448*
熱電発電
熱電変換素子を用いて熱を電力に変換する発電方法。
注記 ゼーベック効果を用いることで,温度差を電力に変
換できる。熱電変換素子は,基本的に温度計測用の
熱電対と同じ原理であるが,区別して熱電変換素子
と呼ばれる。地熱,工場の排熱,宇宙空間における
排熱及び太陽光による熱を利用して発電できる。
thermoelectric power
generation
2449*
電子加熱,
電子冷却
ペルチェ効果(Peltier effect)を利用した板状の半導体素子
で,直流電流を流すと一方の面が吸熱し,反対面に発熱す
ることを利用して行う加熱又は冷却。
注記 加熱,冷却効率は悪いが,高精度の温度制御が可能,
小型などの特徴をもつ。効率よく排熱を行う必要が
ある。
thermoelectric heating,
thermoelectric cooling
25
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2450*
セラミック湿度セ
ンサ
セラミック多孔体表面に雰囲気中の水分が吸脱着するこ
とによる電気抵抗の変化を利用したセンサ。
注記 焼結した半導性酸化物の表面の細孔に水分子が付着
すると電気抵抗が変化することを利用している。実
際には,加熱することで付着水分子をクリーニング
するリフレッシュ動作型,又は基材に水分子を拡散
させて表面をきれいにしておくノンリフレッシュ構
造型になっている。電気抵抗の温度依存性が強いた
め,NTCサーミスタと併用して温度補償を行ってい
る。
ceramic humidity sensor
2451*
セラミック酸素セ
ンサ
安定化ジルコニアなどの酸化物イオン導電性のセラミッ
クスを用いた酸素濃度センサ。
注記 二酸化ジルコニウム(ZrO2)又は酸化セリウム
(CeO2)に希土類元素を固溶させると,酸素空孔の
生成によって酸化物イオン導電性が得られる。酸化
物イオン導電体の両面を異なる酸素分圧の雰囲気に
接触させると,ネルンストアインシュタインの式に
従った起電力が発生する。このとき,一方の酸素分
圧を既知のものとすると,他方の酸素分圧を求める
ことができる。このほかに,センサの流入側の酸素
拡散量を多孔質で制限して,固体電解質に電圧を印
加して酸化物イオン電流値を測定することで酸素濃
度を求める限界電流式などがある。
ceramic oxygen sensor
2452*
セラミックガスセ
ンサ
セラミック多孔体表面に各種のガスが吸脱着することに
よる電気抵抗の変化を利用したセンサの総称。
注記 目的ガスが半導性酸化物表面のネック部に吸着する
とその部分の電気抵抗値が大きく変化することを利
用している。
ceramic gas sensor
2453*
MRAM(磁気抵抗
ランダム・アクセ
ス・メモリー)
記憶部に磁性体を用い電子のスピンをメモリ素子として
利用するスピントロニクスメモリ。
注記 DRAMにおけるキャパシタ部分を磁気トンネル接
合(MTJ:magnetic tunnel junction)素子に置き換え
た構造をしている。原子数個程度の厚さの絶縁体薄
膜を2層の磁性体薄膜で挟み,両側から加える磁化
方向(磁石の磁力線の向き)を変化させると抵抗値
が変化する“TMR効果”を応用している。
Magnetoresistive
Random Access
Memory
2454*
半導体光触媒
通常は絶縁体であるが,外部からの刺激を受けて導電性を
示すような電子バンド構造に起因して,光触媒作用を発現
する物質。
注記 酸化チタンのような金属酸化物又は硫化物が該当す
る。半導体ではない光触媒として,金属錯体などが
ある。
semiconducting
photocatalyst
2455*
ハイブリッド光触
媒
光触媒の機能を補完・強化するために,他の機能性物質を
組み合わせた光触媒(材料)。
注記 光がない条件でも機能するよう,吸着剤,抗菌剤な
どを組み合わせた空気浄化材料及び抗菌材料があ
る。
hybrid photocatalyst
26
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2456*
可視光応答形光触
媒
可視光によって作用を発現する光触媒。
注記 従来の酸化チタン光触媒でも短波長の可視光で励起
されるものがあるが,紫外線の少ない室内環境で有
効に機能する酸化チタン改変及び酸化チタン以外の
光触媒を意味することが多い。
visible-light-responsive
photocatalyst
2457
骨充塡材
骨組織の欠損部又は空隙部に充塡することによって,その
周辺に可及的,かつ,速やかに骨組織を再生させることを
目的とする材料。
注記 多孔体又はか(顆)粒状のヒドロキシアパタイト及
びりん酸三カルシウムがある。
bone filler
c) 製造プロセス
1) 粉体・原材料調製
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3101
粉砕
固体を細かく砕く操作。
注記 粉砕生成物の大きさによって粗砕(grinding),中間
粉砕,微粉砕(milling)及び超微粉砕に分類される。
grinding,
milling
3102
噴霧熱分解法
溶液を高温雰囲気中へ噴霧することによって,溶媒の蒸発
と溶質の熱分解を同時に起こし,粉体状の製品を得る方
法。
spray pyrolysis
3103*
火炎加水分解法
金属ハロゲン化物等の原料を酸水素火炎中に通して,加水
分解によって酸化物粉体又は堆積物を得る方法。
注記 SiCl4+2H2O=SiO2+4HClの反応で高純度石英ガラ
スや光ファイバ母材の製造がある。
flame hydrolysis
3104*
プラズマ法
熱源にプラズマ生成場を用いて原料を通過させ,気化・凝
縮析出によって粉体等を得る方法。金属,炭化物,窒化物,
合金など幅広い材質の粒子合成が可能。
plasma process
3105
共沈法
単独では沈殿しない物質を沈殿する物質によって同伴さ
れて沈殿する共沈現象を利用した粒子合成・沈殿回収法。
チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末などの合成に適用。
coprecipitation method
3106*
超臨界合成法
二酸化炭素,水などを,臨界点以上の温度,圧力状態にし
て粉体,薄膜等を合成する方法。超臨界状態では,気体の
拡散性,液体の溶解性などをもつため,液相法,気相法と
は異なる化学反応が起こる。
supercritical field
synthesis method
3107
ゾル−ゲル法
金属アルコキシドなどを加水分解,縮重合させてコロイド
粒子が分散したゾルを作り,溶媒除去によってゲル化さ
せ,乾燥,加熱によりガラス又はセラミックス粉末を合成
する方法。
sol-gel process
3108
ガラス結晶化法
結晶化及びガラス化成分を混合溶融後,冷却して生成した
アモルファス状の薄帯を再加熱して結晶化させた後,ガラ
ス成分を酸洗いなどによって除去し,結晶質の超微粒子粉
末を得る方法。
glass crystallization
method
3109
1次粒子
外表面で囲まれ明確な界面をもつ単独の粒子。粉体,凝集
体など粒子集合体の基本単位。核生成・成長によって最初
に生成した粒子を意味することもある。
primary particle
3110
2次粒子
1次粒子が複数個凝集して形成された粒子。
注記 凝集粒子とも呼ばれるが,英語では凝集体の強度等
で異なる表現があるのに対し,日本語では総称で表
現される。
secondary particle,
agglomerated particle
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R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3111
造粒
粉体,溶融液,懸濁液,水溶液などから流動性及び付着性
を制御するため,目的の形状及び大きさの粒状体を製造す
る操作。
granulation
3112
か(顆)粒
造粒操作によってつくられた粒子集合体。原料粉末の付着
性を低減し,流動性及び加圧成形性の改善を目的に製造さ
れる。
granule
3113
スラリー
細かい粉末が液体中に分散している濃厚な懸濁液。湿式成
形に用いる。泥しょう(漿),スリップともいう。
slurry
3114
前駆体
有機金属化合物,アルコキシド,誘導体などから重合反応
等によって得られる重合体又は反応中間体。後処理によっ
て繊維,膜,粉体などの固形体を得る。
precursor
3115
凍結乾燥
液体に分散した原料を凍結し,低温減圧下で液体成分を昇
華させて除去・乾燥する方法。
freeze drying
3116
スプレードライ
熱風中にノズル又は回転ディスクから粒子等を含む液滴
を噴霧して乾燥するプロセス。乾燥と同時に造粒物を得る
目的で行われることが多い。
spray dry
3117
脱気
配合物を減圧下に保持し,内部の気体を除去する操作。
deairing
3118
分級
粉体粒子を粒子径によって幾つかの粒子群に分ける操作。 classification
3119*
バインダー
焼結前のセラミックス成形体を高密度化,高強度化し,ハ
ンドリング及び加工をしやすくするための添加剤。
注記 主として有機化合物が用いられる。
ISO 20507参照。
binder
3120*
セラミック小板
主として単結晶から成る板状セラミックス。
注記 セラミックスマトリックス複合材の補強材として用
いられ,この場合は厚さ50 μm以下のものが多い。
ISO 20507参照。
ceramic platelet
2) 粉体成形
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3201
成形
原料粉体を,所定の形状,充塡密度,充塡構造に固め,流
動化しない自立した状態にする操作。
forming,
shaping
3202
乾式加圧成形
乾燥した粉体,又はか(顆)粒体を金型や冷間等方圧成形
(CIP,シップ)で圧力を加え成形する方法。
dry pressing
3203
CIP(シップ)
原料となる粉体又はか(顆)粒をゴムなどの伸縮性をもつ
成形型に充塡し,加熱せずに,圧力伝達液を介し,静水圧
によって等方的に加圧して粉体を固化させる成形法。冷間
静水圧成形,冷間等方圧プレス成形,静水圧プレスともい
う。
cold isostatic pressing
(CIP)
3204
湿式成形法(キャス
ティング)
セラミックス粉末,有機バインダ,溶剤などから成るスラ
リー(スリップ)から成形体を作成する方法。
casting
3205
押出し成形
適度に可塑性を与えた混練原料をシリンダ内のピストン
又はスクリューを利用して所定の断面形状をもつ口金か
らその断面形状を維持したまま押し出し,切断して成形体
を得る方法。
注記 代表例としてコーディエライトなどのハニカム構造
成形体の製造法がある。
extrusion
3206
射出成形
粉体原料に,熱可塑性又は熱硬化性の成形助剤を添加した
後,シリンダ内で加熱して流動性を付与し,成形型内へ射
出し,固化させる成形法。
injection molding
28
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3207
鋳込み成形
泥しょう(漿)をせっこうなどの鋳込型に流し込み,固化
させる成形法。
slip casting
3208
チクソトロピー鋳
込み
鋳込んだ泥しょう(漿)を排泥せずに型の中でそのまま固
化させる固形鋳込み成形法。解こう剤,遅凝固剤,その他
でチクソトロピーを増加させ,高充塡密度での成形を可能
とする。
thixotropic casting
3209
振動成形
チクソトロピー性をもつ原料に振動を加えながら鋳込む
方法。原料の配合水分率を低下させることができる。固形
鋳込みが一般的であるが,一軸加圧成形にも用いられる。
vibration forming
3210*
ゲルキャスティン
グ
スラリーの溶媒をゲル化して保形性を付与し,ゲルを除去
して成形体を得る方法。
gel casting
3211
シート成形
セラミックスのグリーンシート(テープ)を作る方法。又
はシートを用いた成形方法。
sheet forming
3212
ドクターブレード
法
セラミックスをシート状に成形する方法の一つ。キャリヤ
(キャリヤフィルム,エンドレスベルト)上に形成される
スリップの厚さをナイフエッジ(ドクターブレード)とキ
ャリヤとの間隔等を調節することによって精密に制御す
る。
doctor blade
3213
グリーンシート
薄板状に成形したセラミックスの未焼成体。セラミックス
原料粉末,有機結合剤,可塑剤,溶剤などの混合スラリを
ドクターブレード法又はカレンダー法で薄板状に成形し
たもの。
green sheet
3214
シート積層
セラミックスのグリーンシート又は厚膜印刷によって配
線の施されたグリーンシートを複数枚積み重ね,熱圧着し
て一体化したもの。
注記 積層コンデンサ,積層圧電体,多層配線基板などの
製造に用いられる。
sheet lamination
3215
ニアネットシェー
プ
型の形状及び材質を改善して,仕上げの研削・研磨を減ら
すため,できるだけ最終製品に近い形状にする成形法。
near net shaping
3) 焼成
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3301
焼成
粉末成形体を加熱し,収縮,緻密化させて,一定形状,強
度の焼結体を得る工程。
firing
3302
仮焼
原料粉末のガス化成分を除去,分解し,適切な特性をもつ
粉体とする熱処理工程。
calcination
3303
脱脂
成形に用いた有機(物)結合剤を加熱除去する操作。
dewax (debinder)
3304
焼結
粉体系を融点以下又は少量の液相の存在する温度で加熱
し,焼き固める工程。
sintering
3305*
後焼結
原料粒子の結合処理後に行う焼結。
注記 例えば,後焼結反応焼結窒化けい素
post-sintering
3306
焼結助剤
焼結を促進させるための添加剤。
注記 酸化アルミニウム(Al2O3)に対する酸化マグネシウ
ム(MgO),二酸化けい素(SiO2),窒化けい素(Si3N4)
に対する酸化イットリウム(Y2O3),酸化アルミニ
ウム(Al2O3),酸化マグネシウム(MgO)など。
sintering aids
3307
液相焼結
液相の共存によって緻密化を促進する焼結法。
注記 炭化けい素,窒化けい素の焼結などに広く用いられ
ている。
liquid-phase sintering
29
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3308
粒成長
加熱中に粉体及び焼結体を構成する粒子が成長する現象。 grain growth
3309
常圧焼結
大気圧の雰囲気下での焼結法。
pressureless sintering
3310
反応焼結
特定の原料を組み合わせることによって,加熱中に化学反
応と焼結とを同時に行わせる焼結法。
注記 窒化けい素(Si3N4)ではSi粉末の加圧成形体を窒素
を含む非酸化性雰囲気下において加熱し,窒化させ
ながら焼結をさせる。
reaction sintering
3311
ホットプレス
カーボン,アルミナなどの耐熱型内に粉末を充塡し,加圧
下で加熱し,形状付与と焼結を同時に行う焼結法。
hot pressing
3312
HIP(ヒップ)
高温下で圧力媒体を介して等方的に加圧し,粉体・粉末成
形体又は予備焼結体の緻密化を促進する装置又は操作。熱
間静水圧プレス又は熱間等方圧焼結ともいう。
hot isostatic pressing
(HIP)
3313
ガス圧焼結
加圧したガス雰囲気下で焼結する方法。
注記 窒化けい素又はサイアロン系の焼結に用いられる。
gas pressure sintering
3314
雰囲気焼結
焼成時の雰囲気を調整した焼結法。
注記 アルミナの焼結を水素雰囲気で行い,高密度化を達
成する。
controlled-atmospheric
sintering
3315
還元焼成
還元雰囲気又は低酸素分圧に制御しながら焼成する方法。
注記 雰囲気焼結の一種で,材料が酸化しないように焼成
する目的で行う。
reduction firing
3316
自己燃焼焼結
発熱を伴う化学反応を利用して,化合物を構成する元素の
混合圧粉体(ガスを反応源とするものも含む。)から直接
緻密な焼結体を得る方法。
self combustion
sintering
3317
低温焼成法
特定の材料を通常焼結する温度よりも低温で焼結させる
方法。
注記 液相を生成する焼結助剤を添加する方法,原料粉体
の活性を高め,低温で焼結させる方法などがある。
low-temperature firing
3318
相分離
ガラスをガラス転移点よりやや高い温度に加熱したとき,
組成の異なる2種類のガラス相に分離する現象。
注記 ほうけい酸塩ガラスから多孔質ガラスを作るのに利
用する。
phase separation
3319
超急冷法
溶湯状態の金属,酸化物などを毎秒105〜106 K程度の速い
冷却速度で急冷凝固させる方法。
注記 結晶の核生成及び成長速度よりも速くガラス転移温
度以下に冷却させることによって,アモルファス材
料を得ることができる。リボン,線,粉末などの製
造に適用。
splat cooling
3320
同時焼成
セラミックスと塗布された金属電極などとを同時に焼成
する方法。
注記 セラミック基板,積層セラミックコンデンサなどの
製造に用いられる。Cuなどの卑金属を用いた場合,
低温で同時焼成を行う必要がある。
co-firing,
co-fire metallization
3321
固相焼結
固体粉末の圧密集合体を溶融点以下の温度で加熱して焼
き固める過程で,固相状態だけで物質移動が起こり焼結す
る方法。
注記 加熱中に溶融物が生成して緻密化する液相焼結と区
別される。粉体のもつ表面エネルギーが駆動力とな
って焼結が進む。炭化けい素の焼結は,この代表例
である。
solid state sintering
30
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3322
ひけ
a) 施ゆう(釉)のうわぐすりが薄過ぎたり,焼き過ぎた
りして素地が露出している欠点。
注記 製品の縁部に生じやすい。
b) 乾燥,焼成,冷却などの過程で外部が早く固まり,内
部に収縮による空隙又は亀裂が生じた欠点。引け巣。
a) burn-off
b) blow-hole
3323
ボイド
素地又は焼結体の内部に生じる大きな空隙。
注記 加圧時の圧力伝ぱ(播)のむら,鋳込み成形時の気
泡の巻込みなどの原因で生じる。個々の構成粒子間
の非接触部による気孔(pore)と区別される。
void
3324
電鋳
調合原料を電気炉の高熱によって完全に溶融し,鋳型に注
入して所定形状にすること。
注記 溶融アルミナ及びマグネシアがこの方法で製造され
る。
electrocast
3325
アーク炉
炭素又は黒鉛質電極間のアーク(弧状)放電によって生じ
る高熱を直接又は間接に利用する電気炉。
注記 密閉及び解放その他種々の形式のものがある。
2 000 ℃以上の高融点セラミックスの溶融に用いら
れる。
(electric) arc furnace
3326
高周波誘導炉
高周波電流を利用した炉。
注記 加熱炉,溶解炉などがある。高周波であるため2次
側が環路を作らなくても誘導作用が大きくて速やか
に加熱できる。通常は,円筒形るつぼの周囲に1次
線輪を巻き,2次側はるつぼ内の被熱物(多くは金
属)が成り,その間で誘起された電流で被熱物自ら
が熱せられる。
high-frequency
induction furnace
3327
マイクロ波加熱
マイクロ波を用いて加熱する方法。
注記 波長が1 mm〜1 mの領域の電波をマイクロ波とい
い,この電界の中に絶縁物(誘電体)を置くと誘電
体構成分子は分極を起こし,交番電界であるので分
子は回転又は振動し,摩擦熱によって発熱する。物
質自体が発熱体となり内部も外部も一様に加熱で
き,加熱が速く効率も良いので素地の乾燥や焼結に
用いられている。
microwave heating
3328
プラズマ焼結
直接又は高周波によるアーク放電によって被熱物を包む
気体を電離して高温のプラズマを作り(プラズマトーチと
いう。),この中で圧粉体を焼結すること。
注記 比較的雰囲気が自由に得られ,また,加熱時間が短
く粒成長の少ない焼結体が得られる。
plasma sintering
3329
放電プラズマ焼結
型枠とその中に充塡された粉体との間にパルス状の直流
電流を通電し,そのとき発生する熱及び加圧により焼結す
る手法。
注記 SPS法とも呼ばれる。ホットプレス,HIPとともに
緻密焼結の手法として注目されている。パルス通電
焼結法(PECS),パルス通電加圧焼結法(PECPS),
FAST法とも呼ばれる。
spark plasma sintering
3330
黒鉛化
非晶質の炭素材を六方晶の黒鉛結晶にする工程。
注記 工業的には,炭素質焼結体を通電加熱によって
2 500 ℃以上に加熱して行う。
graphitization
31
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3331*
高純度処理
黒鉛の純度を高めるための処理,又は方法をいう。
注記 約2 000 ℃以上の加熱下に置かれた被処理物にハロ
ゲンガスを接触させ,黒鉛中の不純物を低沸点のハ
ロゲン化合物にして蒸発させ,高純度化する熱化学
的方法。
high purity treatment
4) 単結晶
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3401
水熱合成法
高温高圧の水に目的化合物を溶解し,温度勾配の元で,種
子結晶の表面に結晶を成長させる結晶育成方法。
注記 大型単結晶の育成に当たっては,高温高圧水で満た
された加圧容器の上下に温度勾配をつけ,下部で原
料を溶解し,上部の種子結晶上に新しい結晶を析出
成長させる。水熱育成法ともいう。
hydrothermal synthesis
3402
引上げ法
るつぼ中で融解した原料融液に種子結晶を浸して,回転さ
せながら,僅かな温度勾配の下で,徐々に引き上げて単結
晶を成長させる結晶育成方法。
注記 大形のSi単結晶の育成に用いられている。チョクラ
ルスキ法,又はCZ(シーゼット)法ともいう。
crystal pulling method
3403
フラックス法
無機塩を溶媒として,原料を高温で溶解し,飽和状態から
徐冷することで結晶を析出させる結晶育成方法。
注記 用いる無機塩をフラックスと呼び,原料中にフラッ
クス成分が固溶しない系を選択する必要がある。通
常は微細な単結晶が得られる。
flux method
3404
ブリッジマン法
高温で融解した原料に温度勾配をつけて,低温部から結晶
を成長させる結晶育成方法。
注記 るつぼ中で原料を融解し,るつぼの端から徐々に固
化させるか,温度勾配をつけた電気炉中をるつぼを
徐々に移動させて結晶を成長させる。
Bridgman method
3405
ベルヌーイ法
酸水素炎の倒立バーナー中に原料粉末を一定量ずつ落下
させ,半溶融状態にして種子結晶上に堆積させる結晶育成
方法。
注記 種子結晶のほかに,耐火支持棒上に生成した核を用
いることもある。
Verneuil method
3406
浮遊帯溶融法
多結晶棒の一部分を加熱し融解した帯状の部分を移動さ
せる結晶育成方法。
注記 単結晶の育成と同時に,不純物を融液中に集めるこ
とで高純度化も可能である。浮遊帯の英語名
(Floating Zone)からFZ(エフゼット)法とも呼ば
れる。
floating zone melting
method
3407
ブール
ベルヌーイ法又は引上げ法で作った円柱状の人工単結晶。
火炎加水分解で作った光ファイバ母材も指す。
boule
32
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5) 成膜・塗膜
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3501
CVD(シーブイディ
ー)法
気化した原料から化学反応を伴って粉末又は固体薄膜を
作製する方法の総称。
注記 化学気相成長法ともいう。気化した原料にエネルギ
ーを与える方法によって,熱CVD,プラズマCVD,
光CVDなどに分類される。また,反応部の圧力に
よって,減圧CVD,大気圧CVDなどとも分類され
る。
chemical vapor
deposition
3502
PVD(ピーブイディ
ー)法
原料を気化したのち固体化する方法の中で,物理的状態の
変化を利用する製膜方法の総称。
注記 物理気相成長法ともいう。スパッタリング法,真空
蒸着法,PLD法などがある。化学反応を伴う方法で
もこれらの装置を用いるときはPVD法に分類する
ことも多い。
physical vapor
deposition
3503
蒸着法
減圧下で原料物質を加熱蒸発させ,基板上に凝縮する製膜
方法。
注記 蒸発の方法によって,真空蒸着,EB(エレクトロン
ビーム)蒸着,又は高真空で微量の蒸着をする場合
はMBE(分子線ビーム蒸着)などと呼ぶ。
vapor deposition
3504
スパッタリング
10〜10−1Paの雰囲気中で,プラズマ状態を発生させ,気相
中に存在するガスをイオン化し,ターゲットに衝突させ,
飛び出した分子又は原子を基板上に堆積させる薄膜形成
法。
注記 ターゲット表面を清浄化する場合にも用いられる。
イオン化させるガスはスパッタガスと呼ばれ,Ar,
Krなどの不活性ガスを用いることが多い。プラズマ
の発生方式で,DCスパッタ,RFスパッタ,ECRス
パッタなどに分類される。
sputtering
3505
メタライズ法
金属を主成分とする薄い層を材料表面に形成し,これを加
熱して金属被膜とする方法。
注記 メタライズ膜形成,電極形成,配線形成,接着,気
密封着などに応用される。皮膜形成の方法として,
高融点金属法,金属酸化物法,活性金属法などがあ
る。メタライジングともいう。
metallizing
3506
溶射
棒状又は粉末状の金属又はセラミックスを高温の火炎中
に送り込み,これを溶融状態の微小液滴として噴射し,目
的物に衝突させ,その表面に被覆層を形成する方法。
thermal spraying
3507
イオンプレーティ
ング
真空容器内の低圧ガスに電界をかけてプラズマを発生さ
せ,これによって蒸発源からの蒸発粒子をイオン化して基
板表面に蒸着させる薄膜形成法。付着力が通常の蒸着法よ
り強いことに特長がある。
ion plating
3508
イオン注入法
イオン化された粒子を電場で加速してターゲットに打ち
込むことによってターゲットの格子中に新たな元素を加
える方法。主として表面を改質するために用いられる手
法。
注記 通常,イオン注入によって導入された欠陥を高速熱
処理によって注入層を活性化させるプロセスが必要
とされる。近年では,素子の小型化に対応し,10 nm
以下の極浅領域へのイオン注入が着目されている。
ion implantation
33
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3509
ディッピング
基板を溶液又はスラリに浸し,引き上げてから,乾燥・焼
成し,被膜を形成する方法。厚膜及び薄膜が形成できる。
dipping
3510
スピンコーティン
グ
基板に塗布液を滴下し,スピンコータによって高速回転
し,遠心力によって塗膜を均一な薄膜にする方法。簡便な
薄膜形成法であり,膜厚を回転速度塗膜の性質によって精
度よく制御できる。ゾル−ゲル法コーティングなどに用い
られる。
spin coating
3511
ゾル−ゲル法コー
ティング
ゾル−ゲル法によるセラミックスを薄膜化又は被覆する
方法。前駆体溶液を基板や被塗布物にディップコーティン
グ又はスピンコーティングによって塗膜し,加熱処理する
ことによってセラミックス薄膜の形成を行う方法。
sol-gel coating
3512
電気泳動法
微粒子の懸濁液又はコロイドに直流電流を加え,粒子を移
動させる方法。この方法を用いてガラス又はセラミックス
のコロイド溶液から基板上にガラス若しくはセラミック
スの薄膜を形成することができる。
electrophoretic
deposition
3513
厚膜法
広義には,ペースト(インク)状にした粉体を基板上に印
刷又は塗布(ディッピング)後,乾燥,焼成して,所定厚
さ(約 数μm〜100 μm)及び所定形状をもった膜の形成方
法。狭義には,スクリーン印刷法によって,セラミック基
板上に機能素子パターンを作り,これを焼成して電子回路
基板を作る方法。
注記 一般には10 μm以上を厚膜とすることが多い。
thick film processing
3514
スクリーン印刷法
謄写版と同じ原理によって,所定のスクリーンパターン
を,厚膜ペースト(インク)を用いてグリーンシート又は
焼結セラミック板上に転写する方法。IC基板の回路配線,
コンデンサ及び圧電体の電極又は機能素子の形成に用い
る。
screen printing
3515
厚膜印刷法
スクリーン印刷法を用いて,厚膜ペーストをグリーンシー
ト又は焼結セラミック板上に印刷してパターンを形成す
る方法。厚膜印刷によって形成された回路を,厚膜回路と
いう。
thick film printing
3516
印刷積層法
スクリーン印刷法によって,基板上に性質の異なる厚膜ペ
ーストを交互に繰り返し印刷することによって積層体を
作る方法。厚膜回路の形成に用いる。
printing lamination
3517
カバーコート
セラミック基板上に実装された機能素子及び配線の劣化,
機能低下の防止のために,これらの表面に,印刷法,ディ
ッピングなどによって形成した,緻密なセラミックス又は
樹脂の被覆膜。
cover coat
6) 加工
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3601
切削加工
バイトなどの切削工具を工作物と相対運動をさせて,切り
くずを出しなから行う除去加工。
注記 強制切り込み加工の一種で,旋盤加工,フライス盤
加工及びボール盤加工に細分される。セラミックス
では,主に,成形体加工のときに使われる。
cutting
34
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3602*
成形体加工
成形体を所定の形状にするための除去加工。
注記 セラミックスの焼結体を加工することは,一般的に,
時間及び費用がかかるので,成形体の段階で,最終
製品に近い形状・寸法にまで仕上げておくために行
われる。主に,切削加工が使われる。
green machining
3603
研削加工
研削といしなどの研削工具を高速回転させ工作物に切り
込ませて,切りくずを出しながら行う除去加工。
注記 通常,研削盤のように,といしを用いた強制切り込
み加工のことを指すが,ホーニング盤,超仕上げ盤
などのといしを用いた圧力切り込み加工を含める場
合もある。主に,工作物を所定の寸法,形状及び仕
上げ面をもつ部品に仕上げるために使われ,セラミ
ックスの焼結体の代表的な加工法の一つである。
grinding
3604
研磨加工
遊離と(砥)粒又は半固定と(砥)粒によって,切りくず
を出しながら行う除去加工。
注記 遊離と(砥)粒を用いた加工はラッピング及びポリ
ッシングに細分され,半固定と(砥)粒を用いた加
工は,主に研磨布紙加工を指す。加工物表面を僅か
ずつ削り取っていくので,セラミックス焼結体の表
面仕上げに用いられる。
polishing
3605*
ラッピング
ラップ盤の形状を加工物に転写することを目的とした遊
離と(砥)粒を用いた研磨加工。
注記 通常,平板状のラップ盤を用い,平面研削を終えた
セラミックスの焼結体表面の僅かな凹凸又はうねり
を除去することを目的として行われる。このほかに,
レンズ,プリズムの精密形状仕上げなどにも用いら
れる。ポリッシングの前工程という位置付けから,
粗研磨としてみなされる場合もある。
lapping
3606*
ポリッシング
ラッピングから得られた形状精度を維持しながら,鏡面化
させたり,加工変質層を除去して,物理的・化学的に完全
に近い表面を得ることを目的とした遊離と(砥)粒を用い
た研磨加工。
注記 ポリッシングでは,と(砥)粒による機械的作用で
表面が除去される以外に,溶去,皮膜形成などの化
学的作用も無視できないとされている。この化学的
作用を積極的に活用したケミカルポリッシング又は
メカノケミカルポリッシングという研磨法もある。
polishing
3607
ダイヤモンド工具
刃部にダイヤモンドを使用した工具。
注記 ダイヤモンドは地球上に存在する物質で一番硬く,
熱伝導性も良いことから,最も優れた研削材である。
天然ダイヤモンドのほかに,人造ダイヤモンド,ダ
イヤモンド焼結体も用いられる。
diamond tool
3608
ダイヤモンドペー
スト
ダイヤモンドのと(砥)粒を分散剤で練ったペースト状の
研磨材。
注記 金属,セラミックスなどのラッピングに用いられる。
diamond paste
3609
ダイヤモンドホイ
ール
金属又は樹脂製円盤の外周部にダイヤモンドと(砥)粒を
埋め込んだ切断用又は研削用のといし車。
注記 セラミックス,石材,ガラス,超硬金属などぜい(脆)
性材料の加工に適する。鉄系の金属には使えない。
diamond wheel
35
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3610
超音波加工
超音波周波数帯で振動する工具と加工物との間にと(砥)
粒及び加工液を入れ,切りくずを出しながら行う圧力切り
込みによる除去加工。
ultrasonic machining
3611
放電加工
電気絶縁性の液体中において,工具電極と加工物(電極)
とを微小間隙で対向させ,両電極間にパルス電流を繰り返
し供給することによって,間欠的なアーク放電を発生さ
せ,加工物の表面を少しずつ溶融飛散させる除去加工。
electrical discharge
machining
3612
レーザ加工
レーザビームを加工物に照射して,その表面を蒸発飛散さ
せる除去加工。
注記 トリミング,スクライビングなどエレクトロニクス
部品の加工に用いられる。
laser beam machining
3613
メカノケミカル加
工
化学反応性の高い加工液及びと(砥)粒を用い,機械的エ
ネルギーによって加工物表面での化学反応を誘起させて
行う除去加工。
注記 メカノケミカルポリッシングが代表例で,高い精度
で損傷の少ない表面を得ることができる。
mechanochemical
polishing
3614*
電子ビーム加工
高真空下で熱陰極から放出した電子線を高電圧で加速し,
電磁レンズで収束して加工物に照射して,微細な穴やスリ
ットを作製する除去加工。
electron beam
machining
3615
ツーリング
といし回転軸に対するといし作用面の振れ,又は摩耗によ
るといしの目詰まり又は形状公差からのずれの低減を目
的としたといしの形状又は表面状態を修正する作業。
注記 形出し作業に限定した作業を,ツルーイング(truing)
と呼ぶ。
tooling
3616
ドレッシング
ツーリング後又は研削性能の低下したといしに対して,と
(砥)粒を傷めないようにして結合材だけを除去して,研
削性能を回復させる作業。
注記 目出し作業とも呼ぶ。
dressing
3617
面取り
加工したガラス又はセラミックスのりょう(稜)を斜めに
少量削り取る操作。
注記 曲げ強さ試験片では,りょう(稜)に欠けが残って
いると曲げ強さが低下するので,面取りを行うこと
が規定されている。
chamfering
3618
加工変質層
加工によって,加工物の構成物質と異なる状態に変化した
表面層。
注記 加工時の熱,圧力,反応,雰囲気などによって,組
織,結晶構造,機械的・電気的性質が変化した表面
層を指す。
work affected layer,
work damaged layer
3619
チッピング
加工時に,セラミックス製品又は試験片のりょう(稜)が
局所的に欠けたり,剝離したりする現象。
chipping
3620
超塑性加工
セラミックスの超塑性変形を利用した変形加工。
注記 微細な組織をもつセラミックスでは,高温下で高速
で大変形するものがあり,これを超塑性変形という。
超塑性加工の例としては,微細粒子から成るジルコ
ニア製のスピーカの振動子がある。
superplastic forming
3621
超音波洗浄
洗浄液中に洗浄物を浸し,超音波源からの振動を与えて,
洗浄物表面の付着物を除去する操作。
ultrasonic cleaning
36
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3622*
エッチング
物理的又は化学的作用によって,試料表面の特定の構成相
又は特定の状態の物質を除去する操作。
注記 エッチング液との化学反応を利用するものをケミカ
ルエッチング,加熱による拡散現象を利用するもの
をサーマルエッチング,減圧下でのガスプラズマの
衝突を利用するものをプラズマエッチングと呼ぶ。
粒界を顕在化させたり,転位芯の位置を同定するの
に用いられる。
etching
3623*
イオン研磨
イオンビームを試料に照射して,試料表面をはじき飛ばし
て,薄片を作製するための除去加工。
注記 機械研磨及びディンプリングによって予備加工を行
ったTEM用の薄片に,低角度からArイオン線を照
射し,数原子層の厚みをもったTEM観察が可能な
領域を形成するのに用いられる。
ion milling,
ion thinning
3624*
収束イオンビーム
加工
収束イオンビームを試料に照射して,試料の余分な部分を
mm単位ではじき飛ばして,薄片を作製するための除去加
工。
注記 FIB加工とも呼ばれ,通常,行われているイオン研
磨では,破壊したり,損傷を受けたりするような場
合にもTEM用の薄片を作ることができる。
focused ion beam
machining
3625
分極処理
自発分極の方向をそろえることを目的として,圧電セラミ
ックスにその抗電界を超える電界を加える処理。
注記 焼結後の圧電セラミックスでは,自発分極がランダ
ムに配向しているので,自発分極をそろえて,圧電
特性を発現させるために行う。室温処理,キュリー
点以上の加熱処理,油中加熱処理,エージング処理
などの方法がある。
poling
7) 接合
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3701
拡散接合
固相接合法の一種で,接合物の融点以下の温度で拡散現象
を用いて接合する方法。
注記 本来,無加圧で接合する場合を指すが,ホットプレ
ス又はカプセルHIPを使って加圧接合することを含
める場合もある。
diffusion bonding
3702
摩擦圧接
固相接合法の一種で,接合物の接合面を互いに加圧しなが
ら相対運動を行わせ,発生した摩擦熱によって接合する方
法。
注記 摩擦接合とも呼ばれ,中間層を必要としない直接接
合法の一種である。
frictional bonding
3703
焼きばめ
機械的接合法の一種で,接合物の熱膨張・収縮の違いを利
用して結合する方法。
注記 通常,軸物部品と穴物部品との接合に使われる。穴
物部品を加熱して,その内径を広げておき,これに
軸物部品をはめ込んでから常温に戻し,穴物部品の
収縮による熱応力によって両者を結合する方法。
shrink fit,
shrinkage fitting
3704
鋳ぐるみ
(いぐるみ)
機械的接合法の一種で,セラミックスの周辺を金属の溶湯
でくるむようにして鋳込み,金属とセラミックスとの熱膨
張係数の差による熱応力を利用して両者を結合する方法。
cast bonding,
insert
37
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
3705
はんだガラス付け
法
ろう付け法の一種で,低融点のはんだガラスを用いる接
合・封着方法。
注記 酸化物ソルダー法とも呼ばれ,ガラス,セラミック
ス,金属間の接着に使われる。通常,粉末ガラスを
有機材料で練って必要箇所に塗布して加熱接合す
る。
なお,低融点(450 ℃以下)のろう材のことをは
んだと呼ぶ。
glass soldering
3706
銀焼付け法
銀を主成分とした厚膜ペーストを用いて基板表面を銀で
メタライズする方法。
注記 厚膜ペーストを印刷,ディップ,スプレーなどの方
法によって基板上に塗布し,これを加熱処理してペ
ースト中の無機成分(銀,ガラスなど)を焼結又は
溶融させて銀を基板に接合させる。
silver metallizing
3707
ガラス封着
ガラスを用いて,ガラス,セラミックス及び金属間を気密
封着すること。
注記 接合物の熱特性(熱膨張性,軟化性)に適合したガ
ラスが使われる。タングステン又はモリブデンを封
着するSiO2-B2O3-Al2O3-Na2O系ガラス,ブラウン管
又はアルミナパッケージを封着するはんだガラスが
ある。
glass seal
3708
酸化物ソルダー法
ろう付け法の一種で,低融点のはんだガラスを用いた接
合・封着方法。
注記 はんだガラス付け法とも呼ばれる。ガラス,セラミ
ックス及び金属間の接合・封着をする方法。
oxide soldering
3709
高融点金属法
高融点金属(Mo,Wなど)を主成分とした厚膜ペースト
を用いて,セラミックス表面をメタライズする方法。
注記 ろう付け法によって,セラミックスと金属又はセラ
ミックス同士を接合するための予備処理として用い
られ,Mo−Mn法が代表例である。メタライズした
後に,ニッケルめっきを行い,相手材とろう付けす
ることまでを含めて,高融点金属法という場合もあ
る。
metallizing with
refractory metal paste
3710
Mo−Mn法(モリブ
デン−マンガン)
高融点金属法の代表例で,セラミックス表面に,MoとMn
の混合粉ペーストを塗布し,加湿フォーミングガス(N2/H2)
中で1 300〜1 700 ℃で高温焼成してメタライズする方法。
注記 高融点金属法,Telefunken法とも呼ばれる。シリカ
を含むアルミナのメタライジングに重用される。
Mo-Mn metallizing
3711
活性金属法
ろう付け法の一種で,TiやZrを含むNi,Cu,Ag系共晶
組成のろう材を用いて,セラミックスと金属又はセラミッ
クス同士を高真空中で直接接合する方法。
注記 金属ソルダー法とも呼ばれ,高純度アルミナ,窒化
けい素の接合に適する。メタライズなどの前処理が
なくても接合することができる。
active metal soldering,
active metal brazing
38
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8) 複合化
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3801
インフィルトレー
ション法
気相又は液相状態を介して目標物質を空隙内に浸透させ,
固相として析出・含浸させる方法。
注記 多孔体の緻密化又は複合化を目的として行われる。
通常,化学反応を伴う場合が多い。液相状態を介す
る場合は,インプレグネーション(impregnation)と
呼ばれることもある。
infiltration
3802
プリプレグ
短繊維又は長繊維強化複合材料の製造に際し,あらかじめ
強化繊維集合体にマトリックス前駆体を含浸させた成形
体。
注記 プリインプレグネーション(pre-impregnation)の略
で,長繊維強化複合材料のプリプレグの作製には,
主に,スラリを用いたフィラメントワインディング
法が用いられる。
prepreg
3803
層間剝離
積層材において,単層板と単層板との間で剝離する現象。
注記 長繊維強化複合材料における繊維束とマトリックス
との界面で剝離する現象を指すこともある。
delamination
d) 特性・評価
1) 粉体・プロセス
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4101
粒子径
粉体を構成する粒子の大きさ。
particle size
4102
平均粒子径
粉体を構成する粒子群の粒子径の平均値を代表する粒子
の大きさ。
mean particle size
4103
粒子径分布
粉体を構成する粒子径分布。JIS R 1619参照。
particle size distribution
4104
比表面積
粉体の単位質量当たりの総表面積。JIS R 1626参照。
specific surface area
4105
アスペクト比
粒子の長径と短径との比。
aspect ratio
4106
真密度
空孔を含まない固体そのものの密度。
注記 理論密度とも呼ぶ。
true density
4107
かさ密度
多結晶体,粉体層,成形体で,外気と通じた空孔(開気孔)
及び内部に閉じ込められた空孔(閉気孔)を含めた密度。
注記 粉体,成形体,焼結体などの質量をそのかさ体積で
除した値。
bulk density
4108
相対密度
かさ密度を真密度で除した値。
注記 通常,パーセントで表す。
relative density
4109
タップ密度
一定条件で容器をタッピングして得られる粉体のかさ密
度。
tapped density
4110
安息角
粉体層の自由表面が限界応力状態にある場合,その面と水
平面との間の角。
注記 水平面上に漏斗などから粉体を落下させて角度を測
定する注入法のほか,排出法,傾斜法などの測定方
法がある。
angle of repose
4111
ゼータ電位
液体中で移動する固体の滑り面の電位。
注記 ζ電位は電解質の種類及び濃度に敏感であり,実質
上コロイド溶液の安定性を左右している。セラミッ
クス原料の分散系の性質を支配する因子として重要
であり,ζ電位の絶対値が大きい分散系は安定であ
る。
zeta-potential
39
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4112
気孔率
成形体及び焼結体中に気孔が占める体積分率。
注記 気孔には,外気に通じている開気孔及び閉じている
閉気孔があり,それぞれの気孔率を開気孔率,閉気
孔率と呼ぶ。
porosity
4113
細孔径分布
粉体粒子及び多孔質焼結体中の細孔径の分布割合。
注記 測定には,水銀圧入法,気体吸着法がある。
pore size distribution
4114
結晶性
結晶の完全性の程度を示すことば。
注記 現実の結晶は格子欠陥が存在して格子配列の規則性
が一部失われている。完全結晶に近いものを結晶性
が高いという。一般には,X線回折のピーク広がり
の程度から,結晶性を知ることができる。
crystallinity
2) 機械的・熱的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4201
表面粗さ
物体の表面の凹凸の程度を示す尺度。
注記 狭義には,凹凸の周期の大きいものをうねり,小さ
いものを粗さといって区別する。表面粗さの表示方
法としては最大高さRmax,十点平均粗さRz,中心線
平均粗さRaがある。JIS B 0601参照。
surface roughness
4202
弾性率
弾性体におけるひずみに対する応力の比。
elastic modulus,
modulus of elasticity
4203
ヤング率
弾性体における垂直ひずみに対する垂直応力の比。
Youngʼs modulus
4204
剛性率
弾性体におけるせん断ひずみに対するせん断応力の比。
modulus of rigidity
4205
ポアソン比
弾性体に垂直応力を負荷したときの横ひずみに対する縦
ひずみの比に,−1を乗じて正値に直したもの。
注記 JIS R 1602参照。
Poissonʼs ratio
4206
内部摩擦
固体に機械振動を与えたとき,応力とひずみとに位相差が
生じて,固体内でエネルギー散逸が起こる現象。
注記 格子欠陥,転位,粒界が有限の移動速度をもつため,
ある振動数以上では外力に追随できないために生じ
る。
internal friction
4207
曲げ強さ
曲げモーメントが負荷された試験片において,最大引張り
応力の作用点周辺を起点として引張り破壊が巨視的に起
きたときの最大引張り応力。
注記 JIS R 1601及びJIS R 1604参照。
bending strength,
flexural strength,
modulus of rupture
4208
引張強さ
引張荷重が負荷された試験片において,引張型破壊が巨視
的に起こったときの最大引張り応力。
注記 通常,最大荷重を試験前の試験片断面積で除した公
称応力を用いて表示する。金属では,応力/ひずみ
線図の最大応力から求めた値を極限強さと定義する
が,このことを引張り強さと呼ぶこともある。JIS R
1606参照。
tensile strength
4209
圧縮強さ
圧縮荷重が負荷された試験片において,圧縮型破壊が巨視
的に起こったときの最大圧縮応力。
注記 通常,最大荷重を試験前の試験片断面積で除した公
称応力を用いて表示する。試験片と加圧板との接触
面における摩擦拘束の影響を受けやすいので注意を
要する。JIS R 1608参照。
compressive strength
40
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4210
せん断強さ
せん断荷重が負荷された試験片において,せん断型破壊が
巨視的に起こったときの最大せん断応力。
注記 近似的には薄肉円筒のねじり試験によって測定され
る。長繊維強化複合材料の場合は,ショートビーム
試験(スパンの短い曲げ試験)又は特殊なノッチ材
によって評価される。
shear strength
4211*
球圧子押込み強さ
多孔体試験片の荷重点に球圧子による圧縮荷重を加えた
とき,試験片が破壊するまでに得られた最大荷重。試験方
法は,JIS R 1681を参照。
注記 強さは一般に応力で定義されるが,JISにおいては
球圧子押込み強さのように,応力以外の物理量で強
さを定義するものもある。例えば,溶接ボルトの接
着強さ(JIS B 1195)は荷重,人工股関節用セラミッ
クス骨頭の衝撃強さ(JIS T 0308)は衝撃エネルギー
で定義されている(ほかにJIS K 6854,JIS K 7110,
JIS R 3420など)。これは,ISO(ISO 179-1)及び
ASTM(ASTM-D903,ASTM-D256-05)でも同様で
ある。
sphere indentation
strength
4212
硬さ
試験片表面にダイヤモンドで作った圧子を一定の荷重で
圧入し,圧入荷重及び除荷後の圧痕の表面積又は投影面積
から計算された,試験片の変形抵抗を表すための相対的尺
度。
注記 セラミックスでは,ビッカース硬さ及びヌープ硬さ
が用いられる。最近では,ダイナミック硬さという
特性評価も用いられつつある。JIS R 1610及びJIS R
1623参照。
hardness
4213
破壊エネルギー
試験片に曲げ荷重を負荷し,準静的に全断面破壊させたと
きの外力がなした仕事を破壊表面積(リガメント面積の2
倍)で除した値。
注記 元々は破壊表面エネルギーとして始まった概念であ
るが,後に,不可逆過程によるエネルギー散逸が破
壊において無視できないことから,有効破壊エネル
ギーと呼ばれるようになった。破壊エネルギーはそ
の略称である。さらに,1980年代から,米国の研究
者を中心に,この概念がwork of fracture(破壊仕事)
と呼ばれることが多くなったが,fracture energyとい
う呼び方も,依然として,学術雑誌で使われている。
通常,長繊維強化複合材料の破壊抵抗性の平均値的
な目安として用いられ,値が大きいほどエネルギー
吸収能力に優れているとされる。
なお,シャルピー衝撃試験から求めた長繊維強化
複合材料の吸収エネルギーを破壊表面積(リガメン
ト面積の2倍)で除した値を,JISでは破壊エネル
ギーと呼んでいる。
fracture energy
41
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4214
疲労
破壊応力未満の応力であっても繰り返し負荷したときに
は,材料中に亀裂が発生・伝ぱ(播)し,ある繰返し数(疲
労寿命)の後に巨視的に破壊する現象。
注記 元々,ガラス又はセラミックスにおける疲労現象は,
静疲労(定荷重破断時間)と広義の動疲労とに大別
され,更に,広義の動疲労は,動疲労(破壊応力の
負荷速度依存性)と繰返し疲労(ここでの疲労)に
細分されていた。ただし,JIS用語では,金属での
用語法と対応させるように用語の名称を変更してい
る。スロークラックグロース(ゆっくりした亀裂成
長,低速亀裂進展)だけによる疲労は,時間依存型
の疲労と呼ばれている。時間依存型疲労ではない疲
労のことを,繰返し数依存型の疲労と呼ぶが,まだ,
十分解明されていない。
fatigue
4215*
動疲労
試験片に一定の負荷速度で荷重を負荷した場合,負荷速度
が遅くなると破壊応力が低下する現象。
注記 空気中での破壊試験では,空気中の水分による応力
腐食割れによって,スロークラックグロース(ゆっ
くりした亀裂成長,低速亀裂進展)が起こり,動疲
労が起こると理解されている。そのため,曲げ強さ
の試験では,スロークラックグロースの影響を無視
できるクロスヘッド速度で実験することが規定され
ている。ISO 20507参照。
dynamic fatigue
4216*
スロークラックグ
ロース
応力拡大係数KIが破壊じん(靱)性KIC以下であっても,
亀裂がゆっくり進展する現象。
注記 スロークラックグロースの和訳としては,ゆっくり
した亀裂成長,低速亀裂進展が使われるが,臨界以
下での亀裂進展という観点では,subcritical crack
growthとも呼ばれる。また,空気中の水分による応
力腐食割れということを強調する場合は,stress
corrosion cracking (SCC) という用語が好まれる。通
常,亀裂進展速度vと,応力拡大係数KIとの間には,
v=A(KI)nという関係で整理され,パリス則という。
ISO 20507参照。
slow crack growth
4217
定荷重破断
材料に一定の荷重を負荷したとき,負荷した瞬間には破壊
しないが,ある程度,時間が経過してから破壊する現象。
注記 空気中での破壊試験では,空気中の水分による応力
腐食割れによって,スロークラックグロース(ゆっ
くりした亀裂成長,低速亀裂進展)が起こり,定荷
重破断が起こると理解されている。遅れ破壊,静疲
労とも呼ばれる。
rupture under constant
load
4218
耐衝撃性
極めて速い負荷速度で荷重を負荷したときに材料が示す
破壊抵抗性。
注記 シャルピー衝撃試験によるシャルピー衝撃値又はア
イゾット法によるアイゾット衝撃値が工業的には使
われている。このほかに,衝撃破壊が始まったとき
の応力を求めるホプキンソンバー法なども研究上で
は使われている。
impact resistance
42
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4219
破壊じん(靭)性
材料の不安定亀裂進展開始を規定する応力拡大係数の値。
注記 試験片の大部分が弾性変形しているとみなせる場合
には,不安定破壊が発生する臨界条件は,亀裂先端
近傍の応力場を特徴付ける応力拡大係数Kの大きさ
で決まる。その臨界値を臨界応力拡大係数又は破壊
じん(靱)性という。開口型の変形モード(モード
I)で,かつ,平面ひずみ条件を満足する場合の臨界
応力拡大係数をKICと表し,これを平面ひずみ破壊
じん(靭)性という。JIS R 1607及びJIS R 1617参
照。
fracture toughness
4220
SEPB法
BI法(Bridge Indentation)で予亀裂を導入した曲げ試験片
に荷重を負荷し,その破壊荷重,予亀裂長さ,試験片寸法
及び曲げ支点間距離から平面ひずみ破壊じん(靭)性を求
める方法。
注記 SENB(single edge notoched beam)法の一種。予亀裂
を導入する方法には,疲労亀裂を用いる方法,くさ
びを用いる方法などがあるが,特に,BI法で予亀裂
を導入するものをSEPB法と呼ぶ。JIS R 1607参照。
single edge precracked
beam method
4221
圧子圧入法
試料にビッカース圧子を押し込み,圧痕の四隅から発生す
る亀裂の長さから破壊じん(靭)性を求める簡便評価方法。
注記 JIS R 1607参照。
なお,ISO 26602では,圧子圧入法で求めたK値
を破壊抵抗と呼ぶことになっているので注意を要す
る。
indentation fracture
method
4222
クリープ
一定の負荷応力下で,時間とともに非弾性変形が増加する
現象。
注記 一般に,クリープ速度は,応力,温度及び試験片の
粒径に依存する。クリープ変形と時間とをプロット
したクリープ曲線は,1次クリープ(遷移クリープ),
2次クリープ(定常クリープ),3次クリープ(加速
クリープ)の三つの段階で整理される。JIS R 1612,
JIS R 1631及びJIS R 1632参照。
creep
4223
ワイブル分布
最弱リンク説に基づく破壊確率分布の一種。
注記 ぜい(脆)性材料の強さ,機械や人間の寿命,ソフ
トウェアの故障など,極値の統計現象の解析に用い
られる分布関数である。ワイブル分布を規定する
種々のパラメーターのうち,特に,形状母数mはワ
イブル係数とも呼ばれ,破壊源の形状・寸法を反映
した,強さの測定値のばらつきの程度を示す。JIS R
1625参照。
Weibull distribution
4224
非破壊検査
部材ないしは製品中の欠陥を,種々の物理的方法によって
非破壊的に検出する方法。
注記 浸透探傷法,磁気探傷法,超音波探傷法,X線CT
スキャン法などがある。
non-destructive
inspection,
non-destructive testing
4225
耐摩耗性
摩擦によって固体表面が連続的に除去されていくときの
除去に対する抵抗性。
注記 定量的に議論する場合には,単位摩擦距離当たりの
摩耗量の逆数を用いる。
wear resistance
43
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4226
摩擦係数
二つの固体が接触して相対運動をするとき,運動を妨げよ
うとして接触面間に作用する摩擦力を接触面に垂直に作
用する垂直抗力で除した無次元量。
注記 摩擦係数は,静止摩擦係数及び運動摩擦係数に大別
され,運動摩擦係数は滑り摩擦係数及び転がり摩擦
係数に細分される。どの摩擦係数も,表面状態に依
存し,物質定数ではない。JIS R 1613参照。
coefficient of friction
4227
熱膨張係数
圧力一定の条件下で熱によって物体が膨張するとき,単位
温度変化当たりの長さ又は体積の変化率。
注記 長さ変化を示す線膨張係数,体積変化を示す体膨張
係数があり,固体材料では,通常,前者を指す。JIS
R 1618参照。
coefficient of thermal
expansion
4228
熱伝導率
熱の伝わる方向に垂直にとった等温平面の単位面積を通
って,単位時間に流れる熱量と,この方向の温度勾配との
比。
注記 熱の放射又は対流によらず,物質の移動も伴わない
熱の移動を熱伝導という。
thermal conductivity
4229
熱拡散率
物質の熱伝導率を,その物質の密度及び比熱容量で除した
値。
注記 温度伝導率ともいう。熱伝導方程式を変形すると,
温度に関する拡散方程式に直すことができ,その時
の拡散係数の相当する量が熱拡散率となる。JIS R
1611参照。
thermal diffusivity
4230
放射率
物体の熱放射の放射発散度(物体の単位面積から出る放射
束)と,同じ温度の黒体の熱放射の放射発散度との比。無
次元数で0と1の間の値をとる。
注記 波長,放射の方向,偏光成分などによって異なる。
分光放射率及び全放射率に区別される。ふく(輻)
射率ともいう。
emissivity
4231
比熱容量
単位質量の物質の温度を単位温度だけ上昇させるのに要
する熱量。
注記 圧力を一定にして求めたものを定圧(又は等圧)比
熱容量,体積を一定にして求めたものを定積比熱容
量といって区別するが,固体では,定圧比熱容量が
一般的である。単位物質量当たりの比熱容量をモル
比熱容量という。この物理量は,これまで比熱と呼
ばれていたが,最近,国際的には比熱容量という呼
び方に統一されているので注意を要する。JIS R
1611及びJIS R 1650-3参照。
specific heat capacity
4232
ガラス転移点
ガラス化可能な物質を高温で溶融してから温度を下げて
きたとき,原子又は分子のミクロな運動が緩慢になり,巨
視的流動性を失って,液体的性質から固体的性質に変化す
る温度。
注記 ガラス状態は準安定な非平衡状態であり,ガラス転
移点において,比体積,熱膨張係数,比熱容量など
に屈曲が現れる。ガラス転移点は,粘性係数で
1 012.5 Pa・sに相当する温度といわれている。
glass transition
temperature
44
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4233
相転移
温度,圧力,外部磁場,組成などの変化によって物質が異
なる相に移る現象。
注記 相変化ともいう。相転移には第一種相転移と第二種
相転移とがある。
phase transition
4234
レーザフラッシュ
法
平板状(通常は円板状)の固体試料の片面にパルス状のレ
ーザ光を均一に照射し,それによる裏面の温度変化から熱
特性(熱拡散率,比熱容量,熱伝導率)を測定する方法。
注記 温度上昇曲線から熱拡散率,最大温度上昇値から比
熱容量が求められ,これらと密度の積から熱伝導率
が求められる。JIS R 1611参照。
laser flash method
4235
耐熱衝撃性
試験片に急熱又は急冷で熱衝撃を与えたときに,試験片に
亀裂の生成若しくは強さ変化,又は損傷が起こらないこと
を示す破壊抵抗性。
注記 JISでは,亀裂発生頻度の統計処理によって決定し
た亀裂発生確率10 %時の亀裂発生温度差∆Tc(精密
法)及び残存強さの変化から決定した最大許容温度
差∆Tc(相対法)の二つのパラメーターが規定されて
いる。JIS R 1648参照。
thermal shock resistance
4236
熱疲労
材料への加熱,冷却が繰り返されることによって,材料の
初期強さより低い応力で材料が破壊する現象。
注記 加熱,冷却の過程で発生する過渡的熱応力によって,
材料中の初期欠陥から微小亀裂が進展して,材料が
劣化するために起こる現象と考えられている。
thermal fatigue
4237
耐酸化性
酸化性雰囲気において酸化成分と材料とが反応して,質量
又は強さに変化が生じる場合の材料劣化に対する抵抗性
を示す尺度。
注記 JIS R 1609参照。
oxidation resistance
4238
耐食性
酸,アルカリ,ハロゲン,高温ガス,溶融塩,溶融金属な
どの化学反応によって生じる材料劣化現象に対する抵抗
性を示す尺度。
注記 JIS R 1614参照。
corrosion resistance
4239
気体透過性
物体を通して気体が透過する場合,一定温度における単位
面積及び単位時間に,その気体の単位分圧差当たりの気体
透過量。
注記 通気性ともいう。
gas permeability
3) 電気的・磁気的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4301
絶縁耐力
絶縁材料が電圧に耐える能力を示す一般的な用語で,絶縁
破壊電圧,絶縁破壊強さ及び耐電圧の総称。
注記 絶縁破壊電圧は電圧印加で絶縁材料が破壊される最
小電圧,絶縁破壊の強さは絶縁破壊電圧を電極間の
距離(試験片の厚さ)で除した値,耐電圧は絶縁体
が破壊しないで一定時間耐えることのできる最高の
電圧をいう。
dielectric strength,
electric strength
45
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4302
比誘電率
誘電体のもつ誘電率を真空の誘電率で除した値。
注記 誘電体を挟む電極板に電界Eを印加したとき,電束
密度DとEとの比(ε=D/E)を誘電率と呼び,真空
の誘電率をε0としたとき,誘電体の比誘電率εrはε/ε0
で表される。JIS R 1627参照。
relative permittivity,
relative dielectric
constant
4303
誘電正接
誘電体に交流電界を印加したときに生じるエネルギー損
失の大きさの指標。tanδで表す。
注記 このエネルギー損失は電界の変化に対する分極の遅
れによることが多い。δを誘電損失角と呼び,tanδ
を誘電正接という。誘電損失をW,誘電率をε,真
空の誘電率をε0,電界をE0,角周波数をω (=2πf) と
すると,Wはε・ε0E02ωtanδに比例する。JIS R 1627
参照。
tangent delta,
dielectric loss tangent,
dissipation factor
4304
キュリー温度
一般的に強誘電体が常誘電体に転移する温度をいい,Tcで
表す。強磁性体の常磁性体への転位温度に対しても用いら
れる。
注記 強誘電体の誘電率はキュリー・ワイスの法則[ε=
C/ (T−Tc)]に従って温度変化をし,Tcにおいて常誘
電体に転移する。
Curie temperature
4305
周波数定数
圧電体の各振動モードでの共振周波数とそのモードでの
音波の伝ぱ(播)方向の寸法の積をいう。
注記 PZT系の材料では1 500〜2 000 Hz・mであり,応用
部品の寸法設計に利用される。
frequency constant
4306
電気機械結合係数
圧電特性評価の一つの目安で,圧電体の電極間に加えた電
気エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率を表す
定数。Kで表す。
注記 電気機械結合係数は,“生じた機械的エネルギー”と
“与えた電気的エネルギー”,逆に“生じた電気的エ
ネルギー”と“与えた機械的エネルギー”との比の
平方根で定義される。
electromechanical
coupling factor
4307
電気機械品質係数
共振の鋭さを示す量。位相角1ラジアン当たりに失われる
振動エネルギー(内部摩擦)の逆数。
electromechanical
quality factor
4308
機械的品質係数
固有振動数で振動する圧電振動子の共振特性の鋭さ(共振
の強さ)を表す定数。Qmで表す。
注記 共振物質の質を表し,“共振系が蓄積している振動エ
ネルギーと単位時間当たりに外界と出入りするエネ
ルギーとの比”と表現することができる。振動によ
る弾性損失係数の逆数Qm=1/tanδm。
mechanical quality
factor
4309
焦電係数
焦電性の大きさの指標で,単位体積当たり,電界一定の条
件で,単位温度の変化が与える分極の変化。Pで表す。
注記 単位はC/m2・K。優れた焦電材料は,入射線の熱エネ
ルギーによる温度変化が大きい,すなわち体積比熱
cが小さく,大出力を得るため焦電係数pが大きく,
誘電率が小さいことが望ましく,キュリー点Tcはあ
る程度高いほうがよい。
pyroelectric coefficient
46
R 1600:2011
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
4310*
焦電気
結晶の温度を変えたときに自発分極の温度依存性に由来
してその変化分に相当する電荷が結晶表面に現れる現象。
注記 焦電体では結晶内の正電荷の重心と負電荷の重心と
が一致せず,応力又は電界がない状態でも電気分極
(自発分極)が存在するが,この自発分極による表
面電荷は通常は表面に付着したイオン,電気伝導,
双晶などのため観測できない。しかし,自発分極は
温度の関数であるため,温度変化による分極の変化
分は表面電荷が消滅するまで観測できる。
pyroelectricity
4311
移動度
気体,溶液,固体中でイオン,電子,コロイド粒子などの
荷電粒子が単位電場のもとで示す平均的な移動速度。μで
表す。溶液中ではuで表すこともある。
注記 移動度μは電場Eのもとで移動速度Vとして
V=μE
で定義される。
mobility
4312
ゼーベック係数
2種類の導体(A, B)の一端を電気的に接続し,AB接続点
(測温接点T1)と他端(基準接点T2)との間に温度差を与
えたとき,ゼーベック効果によって,両接点間には温度差
及び物質による起電力EABが発生する。次の式で規定され
る係数。その符号は,高温側の端子の電圧が高いときを正
とする。
1
AB
2
1
AB
AB
d
d
lim
2
1
T
E
T
T
E
S
T
T
=
−
=
→
注記 熱電変換素子として,ゼーベック係数を含んだ性能
指数Z=S2σ /κ(σ:電気伝導率,κ:熱伝導率)や無
次元性の指数ZT(T:絶対温度)などが性能評価に
用いられる。
Seebeck coefficient
4313*
ペルチェ効果
異なる金属又は半導体(p型,n型)を接合し,電圧をか
けると,接合部の片側からもう片側へ熱が移動する効果。
注記 ゼーベック効果(温度差から起電力が生成),トムソ
ン効果(一つの金属上の温度差がある2点間に電流
を流すと,吸熱・発熱する効果)とともに熱電効果
の一つである。
Peltier effect
4314
透磁率
磁束密度(B)と磁界(H)との比(μ=B/H)。磁性体の磁
気特性を示す量で,一般に初透磁率と最大透磁率が用いら
れる。
magnetic permeability
4315
磁化率
磁化(M)と磁場(H)との比(x=M/H)。透磁率(μ),真
空の透磁率(μ0)とはx=μ−μ0の関係がある。
magnetic susceptibility
4316
飽和磁化
物質にかけた磁界を増加していくとその物質の磁化も増
加するが,磁界がある程度を超すと磁化の値が一定値とな
り磁気的な飽和状態になるときの磁化。
saturation magnetization
4317*
巨大磁気抵抗効果
(GMR効果)
磁界の変化によって電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果
(magneto-resistive effect)の一種で,通常の磁気抵抗効果
が数%であるのに対し,数十%以上の磁気抵抗比を示す現
象(巨大磁気抵抗効果,giant magneto-resistive effect)。
注記 金属の磁気抵抗効果は数%程度だが,1 nm程度の強
磁性薄膜と非強磁性薄膜とを重ねた多層膜では,数
十%以上の磁気抵抗比を示し,磁気ヘッドなどに応
用されている。
giant magneto-resistive
effect
47
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4318
超電導転移
常電導から超電導への転移。この転移は2次相転移であり,
秩序・無秩序転移ということもできる。
superconductive
transition
4319
臨界温度
多くの金属,ある種の金属酸化物などの物質の直流抵抗の
ある状態(常電導状態)から超電導状態へ転移する温度。
注記 酸化物超電導体は遷移幅が大きいので,電気抵抗が
常電導状態の値から外れ始める温度Tcon(超電導開
始温度),電気抵抗がゼロを示す温度(Tc0)及び抵
抗が50 %に低下する温度(Tcmid)などで定義される。
critical temperature
4320
臨界磁場
超電導体に外部から磁場Hを加えたとき,超電導から常電
導へ変わる境目の磁場。
critical magnetic field
4321
臨界電流
超電導体を流れる電流を強くしていき超電導状態が壊れ
て常電導状態になる限界の電流の強さ。
critical current
4322
マイスナ効果
超電導体に磁場を加えたとき,磁場の強さが臨界磁場より
小さい限りにおいて,磁力線が超電導体の内部に侵入しな
い現象。
Meissner effect
4323*
イオン導電率
電解質中のイオンの電荷の絶対値,移動度及びファラデー
定数を乗じた値。
注記 イオンの移動度をu,ファラデー定数をFとすると
き,λ=Fuをイオンのイオン当量伝導率と呼び,イ
オンの電荷をzとするとき,イオン導電率は|z|λ=
|z|Fuで示される。
ionic conductivity
4) 光学的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4401
透光性
物質を光が透過して他面から出ること。
注記 透視性は必要ない。透光性は直線透過率,拡散透過
率,全透過率などの測定によって評価される。透光
性セラミックスは気孔,クラック,介在物を排除し
た緻密な微細構造制御によってつくられる。光学異
方性のない結晶性物質のほうが優れた透光性を示
す。
translucency
4402
光透過率
物体への入射光強度I0と物体の透過光強度Iとの比率。
注記 物体の厚さをx,反射率をR,見掛けの吸収係数をμ
(真の光吸収及び光散乱を含む。)としたとき,光透
過率Tは,次の式で表される。
T=I / I0=(1−R)2 exp(−μ x)
optical transmittance
4403
反射率
入射光のエネルギーに対する反射光のエネルギーの割合。
注記 通常は平たん(坦)面又は鏡面からの正反射に対す
るものを取り扱い,散乱する反射光に対しては拡散
反射率がある。
reflectance
4404
光吸収係数
媒質中を光が通過するときの強度の減衰の度合を表す数。
注記 透過率をT,光吸収係数をμ,媒質の厚さをtとする
と,次の関係がある。
T=exp (−μ t)
absorption coefficient
4405
偏光
光波(電気ベクトル)の振動方向が規則的な光。
注記 直線偏光,円偏光及びだ円偏光がある。
polarized light
48
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4406
複屈折
光学的異方体に光が入射するとき,一般に二つの屈折光が
現れる現象。
注記 応力によって生じる複屈折を光弾性効果,電場によ
って生じるものを電気複屈折,磁場によって生じる
ものを磁気複屈折という。
birefringence
4407
光学分散
屈折率が光の波長によって変化する現象。
optical dispersion
4408
アッベ数
可視域光のガラスの屈折率の分散の度合を表す数。
注記 アッベ数が大きいほど分散が小さく,屈折率の波長
による変化が小さい。ヘリウムのd線に対する屈折
率をnd,水素のF線,C線に対する屈折率をそれぞ
れnF,ncとするとアッベ数νは次の式で表される。
ν =(nd−1) / (nF−nc)
Abbe's number
4409
開口数
光学レンズ又は光ファイバに入射可能な光の最大入射角
を示す値。
注記 光ファイバでは,開口数
(NA)=sinθmax=n1sinθc=(n12−n22)1/2
θcは全反射角,n1とn2はそれぞれコア及びクラッ
ドの媒体の屈折率。n1>n2をもつファイバの光学系
の中心軸と入射光とのなす角が最大値θmaxを超える
光は,その光学系に入らない。
numerical aperture
4410
散乱損失
物体に入射した光の強度が,物体内に分散した微粒子など
による光の散乱現象によって減少する度合。
scattering loss
4411
伝送帯域
光又は電磁波を変調して伝送するとき,変調振幅の大きな
減衰を起こさずに出力側に伝えることのできる最低と最
大との周波数の間をいう。
注記 光ファイバの場合,出力振幅の最大値から6 dB小さ
くなるまでの間の周波数とする。
transmission band
4412
伝送損失
光,電気,音などのエネルギーが伝送線路で失われるエネ
ルギーの量。
注記 損失の程度は,単位距離当たりの減衰量とし,次の
式で定義されるデシベル(dB)で表される。
損失 (dB)=[10 log10 (P1/P2)] /L
ここに, L: 伝送路の長さ
P1: 入力パワー
P2: 出力パワー
transmission loss
4413
光弾性定数
透明物質が応力によって弾性変形を受けて複屈折を生じ
る度合を表す数。
注記 ひずみの解析に用いられる。その点の直交する主応
力方向の屈折率の差による光路差を∆,光弾性定数
をC,応力の大きさをF,光の通過距離をIとする
と次の関係がある。
∆=C×F×I
stress-optical coefficient,
photoelastic constant
4414
電気光学効果
電場の影響を受けて,物質の光学的性質が変化する現象の
総称。典型的には,屈折率,吸光度などの変化が観測され
る。
注記 屈折率変化が電界強度の1乗に比例するポッケルス
効果,2乗に比例するカー効果,旋光性が変化する
電気旋光効果などがある。効果が大きな材料として,
PLZT,リチウムニオベート(LiNbO3)などがあり,
光シャッタ,光変調素子,光メモリ素子などに応用
される。
electro-optic effect
49
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4415
磁気光学効果
磁場中に置いた透明物体に光を入射したとき物体からの
反射光,透過光の振幅,位相,偏光状態が,元の入射光と
異なる現象。
注記 この現象にはコットン−ムートン効果(フォークト
効果),ファラデー効果,磁気カー効果の3種類があ
る。材料として,テルライトガラス,Y3Fe5O12など
があり,光アイソレータなどに適用される。
magneto-optic effect
4416
音響光学効果
圧縮によって屈折率が大きく変わる透明材料に,縦波の超
音波の定在波を発生させ,その結果生じる屈折率の変化に
よる回折格子によって,偏光させる現象。
注記 材料として酸化テルル(TeO2),モリブデン酸鉛
(PbMoO4)などがある。
acousto-optic effect
4417
レーザ損傷特性
電気光学物質に,強力なレーザを入射すると,その部分の
屈折率が入射エネルギーに応じて変化し,光の散乱,集束,
消光比の低下などが生じる現象。
注記 集束は熱エネルギーによる破壊を発生させ,また,
光吸収の大きな不純物が含まれると,同様に熱破壊
が生じる。
laser damage
4418*
紫外線
波長400 nm以下の光。
注記 酸化チタン光触媒の励起に必要な光。化学反応を引
き起こす作用があり,化学線とも呼ばれる。生物へ
の作用に基づいてUV-A, B, Cと分類されることがあ
る(それぞれ,>315 nm,290〜315 nm,<290 nm)。
ultraviolet ray
4419*
可視光線
目に見える波長の光。
注記 波長範囲の一例は380 nm〜780 nmであるが,分野に
よってその定義は異なる。
visible ray
4420*
放射照度
単位面積が受ける光のエネルギー。単位:W/m2
irradiance
5) 生体的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4501
生体適合性
損傷を受けた生体組織の修復などのために,セラミックス
などの材料を用いる場合,その材料が生体内で,毒性,発
がん性などの為害作用を示さず生体組織器官と共存でき
る性質。
biocompatibility
4502
生体活性
セラミックスなどの材料が生体組織の修復に用いられる
場合,生体組織との間に被膜の生成がなく直接結合する性
質。アパタイトは骨組織と直接結合する。
bioactivity
4503
生体不活性
セラミックスなどの材料が生体組織の修復に用いられる
場合,生体組織との間にほとんど化学反応を示さず薄い膜
を介在して結合する性質。
注記 アルミナセラミックスはこの性質を利用して人工歯
根,人工骨などの生体の硬組織(骨及び歯)の修復
材料として広く用いられている。
bioinert
4504*
生分解性
狭義には,セラミックスなどの材料が,化学的又は生化学
的に分解してなくなる性質を指す。広義には,生体吸収性
を含む。
注記 ポリ乳酸の分解が狭義の生分解性(生体内では加水
分解,土壌中ではバクテリアによる分解も加わる。)
である。
biodegradability
50
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4505*
生体吸収性
セラミックスなどの材料が生体内に埋入されたとき,溶解
又は食細胞による貪食で吸収される性質。生体材料が,炎
症性の反応又は異物反応によらずに食細胞によって吸収
される場合には,厳密にはbioresorbabilityを用いる。
注記 例えばβ -りん酸三カルシウムは単純な溶解吸収
(bioabsorption)だけでなく,破骨細胞による吸収
(bioresorption)も受けるとされている。
bioabsorbability/bioresor
bability
4506*
擬似体液
生命機能維持又は動物細胞を培養するためなどに,イオン
濃度又は有機物含有量を調製した溶液。
注記 狭義には,生体材料の生体活性の指標の一つである
非化学量論的水酸アパタイトナノ結晶の材料表面へ
の形成速度と量を評価するために,ヒト血しょう
(漿)の無機イオン濃度とほぼ等しいイオン濃度を
もつように調製された緩衝溶液を指す。組成及び調
製方法はISO 23317を参照。
simulated body fluid
4507*
抗菌性
材料の表面において,細菌の増殖を抑制する性質。
注記 無機・有機の殺菌剤,光触媒による酸化分解作用な
どが利用される。
antibacterial action
4508*
抗菌活性値
抗菌加工した平板状製品及び無加工製品に細菌を接種し,
試験後の生菌数を測定したときの,無加工製品及び抗菌加
工製品の生菌数の対数値の差。
注記 光触媒加工製品では光照射後の生菌数を測定する
(JIS R 1702参照)。この値には,光を照射しない条
件で得られる生菌数の減少分も含まれる。
antibacterial activity
value with film
adhesion method
4509*
静菌活性値
抗菌加工した繊維製品及び標準布に細菌を接種し,試験後
の生菌数を測定したときの,標準布及び抗菌加工製品の生
菌数の対数値の差。
注記 光触媒加工製品では光照射後の生菌数を測定する
(JIS R 1702参照)。この値には,光を照射しない条
件で得られる生菌数の減少分も含まれる。
antibacterial activity
value with glass
adhesion method
4510*
抗かび性
材料の表面において,かび胞子の発芽・発育活性を抑制す
る性質。
注記 抗かび剤,紫外線,光触媒などが用いられる。
antifungal action
4511*
生残胞子数
抗かび試験後光照射又は暗所保存後の試験片上に存在す
る発芽・発育が可能なかび胞子の数。
注記 光触媒加工製品では光照射試験を行う(JIS R 1705
参照)。
number of fungal
survival spores
(colonies)
4512*
抗かび活性値
抗かび加工した平板状製品及び無加工の平板状製品にか
び胞子を接種し,試験後の生残胞子数を測定したときの,
無加工の平板状製品及び抗かび加工製品の生残胞子数の
対数値の差。
注記 光触媒加工製品では,光照射後の生残胞子数を測定
する(JIS R 1705参照)。この値には,光を照射しな
い条件で得られる生残胞子数の減少分も含まれる。
antifungal activity value
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R 1600:2011
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6) 化学的
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4601*
照度
単位面積が受ける光束。単位:lx
注記 光束は,標準視感度曲線(380 nm〜780 nm)に基づ
いて重み付けされている。
illuminance
4602*
室内照明条件
照明器具からの光を含む,室内での光照射条件。
注記 可視光応答形光触媒の試験に適用するために,幾つ
かの代表的な波長又は照度を設定したもの。
indoor lighting condition
4603*
紫外線放射照度計
400 nm以下の波長の放射量を測定する放射照度計。
注記 光触媒の試験では通常,A領域紫外線(UV-A)用の
放射照度計を用いる。
UV radiometer
4604*
空気浄化
空気に含まれる汚染物質を除去・分解することをいう。
注記 ファインセラミックス分野では吸着剤による除去に
加えて,触媒又は光触媒による分解が利用される。
air purification
4605*
水質浄化
水に含まれる汚染物質を除去・分解することをいう。
注記 ファインセラミックス分野では吸着剤による除去に
加えて,触媒又は光触媒による分解が利用される。
water purification
4606*
セルフクリーニン
グ効果
建築材料などの表面に付着した汚れ物質を分解したり,容
易に脱離されるような表面加工を施した材料が発現する,
表面の清浄度を維持する機能。
注記 光触媒加工材料では,光照射下で材料表面に付着し
た汚れ物質を分解する作用,及び同時に発現する親
水性によって,雨水又は水を掛けたときに,汚れが
洗い流される現象のいずれか又は両方を利用して,
表面を汚れにくくしている。親水化機能だけ,又は
はっ(撥)水性を利用した材料もある。
self-cleaning effect
4607*
親水性
材料の表面において,水とのぬ(濡)れの性質。
hydrophilicity
4608*
接触角
固体,液体及び気体(一般には空気)の接する点から,液
体の曲面に接線を引いたとき,この接線と固体表面とのな
す液体側の角度。液体が水の場合,水接触角という。
contact angle
4609*
限界接触角
光触媒材料が最も親水化したときの接触角。
final contact angle
4610*
紫外線蛍光ランプ
紫外放射領域(波長が400 nm以下)の放射が,少なくと
も全放射出力の80 %を占める蛍光ランプ。
注記 光触媒の試験用の光源として,JIS R 1709に規定さ
れている。
fluorescent UV lamp
4611*
活性酸素種
酸化力の大きな酸素化合物。ヒドロキシル(OH)ラジカ
ル,スーパーオキシド(O2−)イオンなどがある。
active oxygen species
4612*
量子収率(量子効
率)
光化学反応において,吸収された光子(フォトン)数に対
する反応分子数の割合。光の波長に依存する。
quantum yield (quantum
efficiency)
4613*
光子効率(光子利用
率)
光化学反応における入射光子数に対する反応分子数の割
合。散乱などによって吸収光子数を見積もることができな
い場合に用いる。見掛けの量子収率ともいう。
photonic efficiency
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R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
JIS B 0601 製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメー
タ
JIS B 1195 溶接ボルト
JIS K 6854-1 接着剤−はく離接着強さ試験方法−第1部:90度はく離
JIS K 6854-2 接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離
JIS K 6854-3 接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離
JIS K 6854-4 接着剤−はく離接着強さ試験方法−第4部:浮動ローラ法
JIS K 7110 プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法
JIS R 1601 ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法
JIS R 1602 ファインセラミックスの弾性率試験方法
JIS R 1604 ファインセラミックスの高温曲げ強さ試験方法
JIS R 1606 ファインセラミックスの室温及び高温引張強さ試験方法
JIS R 1607 ファインセラミックスの室温破壊じん(靱)性試験方法
JIS R 1608 ファインセラミックスの圧縮強さ試験方法
JIS R 1609 非酸化物系ファインセラミックスの耐酸化性試験方法
JIS R 1610 ファインセラミックスの硬さ試験方法
JIS R 1611 ファインセラミックスのフラッシュ法による熱拡散率・比熱容量・熱伝導率の測定方法
JIS R 1612 ファインセラミックスの曲げクリープ試験方法
JIS R 1613 ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩耗試験方法
JIS R 1614 ファインセラミックスの酸及びアルカリ腐食試験方法
JIS R 1617 ファインセラミックスの高温破壊じん(靱)性試験方法
JIS R 1618 ファインセラミックスの熱機械分析による熱膨張の測定方法
JIS R 1619 ファインセラミックス粉末の液相沈降光透過法による粒子径分布測定方法
JIS R 1623 ファインセラミックスの高温ビッカース硬さ試験方法
JIS R 1625 ファインセラミックスの強さデータのワイブル統計解析法
JIS R 1626 ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法
JIS R 1627 マイクロ波用ファインセラミックスの誘電特性の試験方法
JIS R 1631 ファインセラミックスの引張クリープ試験方法
JIS R 1632 ファインセラミックスの定荷重曲げ破断試験方法
JIS R 1648 ファインセラミックスの熱衝撃試験方法
JIS R 1650-3 ファインセラミックス熱電材料の測定方法−第3部:熱拡散率・比熱容量・熱伝導率
JIS R 1681 ファインセラミックス多孔体の球圧子押込み試験方法
JIS R 1702 ファインセラミックス−光照射下での光触媒抗菌加工製品の抗菌性試験方法・抗菌効果
JIS R 1705 ファインセラミックス−光照射下での光触媒抗かび加工製品の抗かび性試験方法
JIS R 1709 ファインセラミックス−紫外線励起形光触媒試験用光源
JIS R 2001 耐火物用語
JIS R 3420 ガラス繊維一般試験方法
53
R 1600:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS T 0308 人工股関節用セラミック骨頭の衝撃試験方法
ISO 179-1,Plastics−Determination of Charpy impact properties−Part 1: Non-instrumented impact test
ISO 23317,Implants for surgery−In vitro evaluation for apatite-forming ability of implant materials
ISO 26602,Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−Silicon nitride materials for rolling
bearing balls
ASTM-D903-98,Standard Test Method for Peel or Stripping Strength of Adhesive Bonds
ASTM-D256-05,Standard Test Methods for Determining the Izod Pendulum Impact Resistance of Plastics
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS R 1600:2011 ファインセラミックス関連用語
ISO 20507:2003 Fine ceramics (advanced ceramics, advanced technical ceramics)−
Vocabulary
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇
条ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番
号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及
び定義
2
用語及び定義
追加
JISとして必要な用語の追加。
点線の下線を施してある箇所
は対応国際規格に準じて説明
を追加した事項であり,側線
を施した箇所は対応国際規格
にはない事項である。
JISとして追加した用語は国際規格
への提案を検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 20507:2003,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
R
1
6
0
0
:
2
0
11