2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
R 1306-1987
化学分析用磁器燃焼ボート
Porcelain Combustion Boats for Chemical Analysis
1. 適用範囲 この規格は,主として硫黄,炭素,灰分などの化学分析に用いる磁器燃焼ボート及びボー
トカバー(以下,ボート及びカバーという。)について規定する。
引用規格:
JIS B 7507 ノギス
JIS K 8001 試薬試験方法通則
2. 種類,記号及び使用温度 ボート及びカバーの種類,記号及び使用温度は,表1のとおりとする。
表1
種類
記号
使用温度 ℃
用途
磁器燃焼ボート1種
CB1
1 450
主として硫黄,炭素定量用
磁器燃焼ボート3種
CB3
1 000
主として灰分定量用(うわぐすりを施したもの)
磁器燃焼ボートカバー1種
CBC1
1 450
主として硫黄,炭素定量用
備考 使用温度とは,空気中で長時間の使用に耐える温度をいう。
3. 品質
3.1
外観 ボート及びカバーは,形状が正しく,使用上有害なき裂,ひび割れ,くすりはげ,付着物な
どがあってはならない。
3.2
特性 ボート及びカバーの特性は,5.によって試験し,表2の規定に適合しなければならない。
表2
特性
規定内容
適用する種類の記号
耐急熱急冷性
き裂又は割れを生じないこと。
全種
耐侵食性
内容物が外部にしみ出ないこと。
CB1,CBC1
融着性
接触部のうわぐすりの表面に著しい融着の跡がないこと。
CB3
硫黄量
ボート及びカバーそれぞれ1個当たりの硫黄量が0.02mg以下。
CB1,CBC1
炭素量
ボート及びカバーそれぞれ1個当たりの炭素量が0.05mg以下。
CB1,CBC1
4. 形状及び寸法 ボート及びカバーの形状は,図1及び図2のとおりとし,寸法は表3及び表4のとお
りとする。
2
R 1306-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1
表3
単位 mm
記号
CB 1
CB 3
寸法
幅
a
16.0
13.5
17.0
許容差
±1.5
±1.5
高さ
b
12
10
13
許容差
±1
±1
長さ
c
80
80
80
許容差
±2
±2
孔径
d
5
5
5
許容差
±1
±1
図2
表4
単位 mm
形状
A形
B形
寸法
幅
a1
22
16
a2
18.5
9
許容差
±1
長さ
b
60
60
許容差
±2
5. 試験方法
5.1
外観 外観は,目視によって調べる。
3
R 1306-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2
寸法測定 ボートの幅,高さ,長さ及び孔径並びにカバーの幅及び長さは,JIS B 7507(ノギス)に
規定する最小読取値0.05mmのノギス又はこれと同等以上の精度をもつ測定器を用いて行う。
5.3
耐急熱急冷試験 ボート及びカバーを,表1に示す使用温度の炉内に速やかに入れ,5分間保った後,
取り出し,常温の耐火板に載せて放冷する。この操作を2回操り返し,目視によって異常の有無を調べる。
5.4
耐侵食試験 炭素約0.5%を含有する炭素鋼の削り粉1gを入れたボートを,表1に示す使用温度に
保った燃焼管に速やかに入れ,毎分1 500mlの割合で5分間酸素を送入した後,これを取り出し,放冷後
侵食状態を調べる。
5.5
融着試験 ボートの側面から長さ約2cm,幅約1cmの試験片を切り取り,この試料を1 000℃の炉内
へ2枚を積み重ねて入れ,10分間保った後取り出し放冷後,融着状態を調べる。
5.6
硫黄定量試験 1 450℃で10分間から焼きしたボート及びカバーをそれぞれ1 450℃に保持した燃焼
管に入れ,毎分1 500mlの割合で酸素を10分間送入し,発生ガス中の二酸化硫黄を過酸化水素水(1)に吸収
させ,メチルレッド・メチレンブルー混合指示薬(2)を用いて0.01mol/l水酸化ナトリウム溶液(3)で滴定する。
硫黄量は,次の式によって算出する。
硫黄量 (mg) =V×f×0.32
ここに,
V: 001mol/l水酸化ナトリウム溶液使用量 (ml)
f: 0.01mol/l水酸化ナトリウム溶液のファクター
注(1) 過酸化水素水 (30%) 3.5mlを取り,水で1 000mlに薄める。この一定量を取り,メチルレッド・
メチレンブルー混合指示薬を用いて0.01mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定し,その結果によっ
て原液に0.01mol/l水酸化ナトリウム溶液の計算量を加えて褐色瓶に保存する。
(2) メチルレッド0.125gとメチレンブルー0.083gをエタノール(95)に溶解し100mlに薄める。
(3) 1mol/l水酸化ナトリウム溶液を作りファクターを標定した後,使用の都度,二酸化炭素を含ま
ない水で正しく100倍に薄める。1mol/l水酸化ナトリウム溶液の調製,標定及び保存方法はJIS
K 8001(試薬試験方法通則)の4.4(20.1)による。
5.7
炭素定量試験 1 350℃で10分間から焼きしたボート及びカバーをそれぞれ1 350℃に保持した燃焼
管に入れ,毎分200〜300mlの割合で酸素を5分間送入し,発生ガス中の二酸化炭素を0.01mol/l水酸化ナ
トリウム溶液(3)に吸収させ,フェノールフタレイン溶液(4)を指示薬として0.005mol/l硫酸溶液(5)で滴定す
る。空試験としてボート及びカバーを入れずに,同様操作を行う。炭素量は,次の式によって算出する。
炭素量 (mg) = (V1−V2) ×f×0.12
ここに,
V1: 空試験における0.005mol/l硫酸溶液使用量 (ml)
V2: 0.005mol/l硫酸溶液使用量 (ml)
f: 0.005mol/l硫酸溶液のファクター
注(4) フェノールフタレイン0.5gをエタノール(95)100mlに溶解する。
(5) 0.05mol/l硫酸溶液を作りファクターを標定した後,水で正しく10倍に薄める。
0.05mol/l硫酸溶液の調製及び標定は,JIS K 8001の4.4(28.4)による。
6. 検査 ボート及びカバーの検査は,合理的な抜取方法によって試料を採取し,3.及び4.について5.に
よって試験を行い,合否を決定する。
7. 製品の呼び方 ボートの呼び方は,種類又は記号,幅,高さ及び長さによって,カバーの呼び方は,
種類又は記号,幅,長さ及び形状による。
例: 磁器燃焼ボート1種 16×12×80mm
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R 1306-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
又はCB1 16×12×80mm
磁器燃焼ボートカバー1種 22×18.5×60mmA形
又はCBC1 22×18.5×60mmA形
8. 表示 ボート及びカバーは,一包装ごとに次の事項を明記する。
(1) 種類又は記号
(2) 寸法
(3) 製造業者名又はその略号