Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 組織の状況 ······················································································································ 2
4.1 組織及びその状況の理解 ································································································· 2
4.2 ステークホルダーのニーズ及び期待の理解 ·········································································· 2
4.3 アセットマネジメントシステムの適用範囲の決定 ································································· 2
4.4 アセットマネジメントシステム ························································································ 3
5 リーダーシップ ················································································································ 3
5.1 リーダーシップ及びコミットメント··················································································· 3
5.2 方針 ···························································································································· 3
5.3 組織の役割,責任及び権限 ······························································································ 4
6 計画······························································································································· 4
6.1 アセットマネジメントシステムに関するリスク及び機会への取組み ········································· 4
6.2 アセットマネジメントの目標及びそれを達成するための計画策定 ············································ 4
7 支援······························································································································· 5
7.1 資源 ···························································································································· 5
7.2 力量 ···························································································································· 6
7.3 認識 ···························································································································· 6
7.4 コミュニケーション ······································································································· 6
7.5 情報に関する要求事項 ···································································································· 6
7.6 文書化した情報 ············································································································· 7
8 運用······························································································································· 8
8.1 運用の計画策定及び管理 ································································································· 8
8.2 変更のマネジメント ······································································································· 8
8.3 外部委託 ······················································································································ 8
9 パフォーマンス評価 ·········································································································· 8
9.1 監視,測定,分析及び評価 ······························································································ 8
9.2 内部監査 ······················································································································ 9
9.3 マネジメントレビュー ···································································································· 9
10 改善 ···························································································································· 10
10.1 不適合及び是正処置 ····································································································· 10
10.2 予測対応処置 ·············································································································· 10
10.3 継続的改善 ················································································································· 10
Q 55001:2017 (ISO 55001:2014) 目次
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附属書A(参考)アセットマネジメントの活動に関する情報························································ 11
参考文献 ···························································································································· 12
Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工
業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済
産業大臣及び国土交通大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣,国土交通大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
Q 55001:2017
(ISO 55001:2014)
アセットマネジメント−マネジメントシステム−
要求事項
Asset management-Management systems-Requirements
序文
この規格は,2014年に第1版として発行されたISO 55001を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
この規格は,“アセットマネジメントシステム”と呼称される,アセットマネジメントのためのマネジメ
ントシステムの確立,実施,維持及び改善の要求事項について規定する。
この規格は,あらゆる組織によって使用され得る。組織は,この規格を,どのアセットに適用するのか
を決定する。
この規格は,主に,次の人々による使用を意図している。
− アセットマネジメントシステムの確立,実施,維持及び改善に従事する人々
− アセットマネジメントの活動の実践に従事する人々及びサービス提供者
− 法令,規制及び契約上の要求事項,並びに組織自体の要求事項を満たす組織の能力を評価するための
内部及び外部の団体
この規格において示している要求事項の順序は,それらの重要性を反映しているものではなく,又はそ
れらが実施される順序を意味しているものでもない。
この規格中の要求事項の適用に関する更なる指針は,JIS Q 55002に示す。
アセットマネジメントに関する一般的な情報及びこの規格に適用可能な用語に関する情報は,JIS Q
55000に示す。組織は,その原則を考慮することが,組織におけるアセットマネジメントの策定を助ける
ことを見出すことができる。
この規格は,JIS Q 31000及びJIS Q 0073に規定する“リスク”の定義を適用する。さらに,“利害関係
者”という用語ではなく,“ステークホルダー”という用語を使用する。
この規格は,組織が,そのアセットマネジメントシステムを関連するマネジメントシステムの要求事項
と整合させ,統合させることができるよう設計されている。
附属書Aは,アセットマネジメントの活動に関連する領域の追加的な情報を示す。
1
適用範囲
この規格は,組織の状況におけるアセットマネジメントシステムの要求事項について規定する。
この規格は,全てのアセットの種類に適用し,全ての種類及び規模の組織によって適用することができ
る。
注記1 この規格は,特に物的アセットを管理することに適用することを意図しているが,他のアセ
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Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
ットタイプに適用することも可能である。
注記2 この規格は,特定のアセットタイプを管理するための財務,会計又は技術的な要求事項を規
定するものではない。
注記3 JIS Q 55000,JIS Q 55002及びこの規格の目的のため,“アセットマネジメントシステム”と
いう用語は,アセットマネジメントのためのマネジメントシステムを表すものとして使われ
る。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 55001:2014,Asset management−Management systems−Requirements(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Q 55000 アセットマネジメント−概要,原則及び用語
注記 対応国際規格:ISO 55000,Asset management−Overview, principles and terminology
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 55000による。
4
組織の状況
4.1
組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的に関連し,かつ,そのアセットマネジメントシステムの意図した成果を達成する組
織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を決定しなければならない。
戦略的アセットマネジメント計画(SAMP)に含まれるアセットマネジメントの目標は,組織の目標と
整合し,一貫していなければならない。
4.2
ステークホルダーのニーズ及び期待の理解
組織は,次の事項を決定しなければならない。
− アセットマネジメントシステムに関連するステークホルダー
− それらの,ステークホルダーのアセットマネジメントに関するニーズ及び期待
− アセットマネジメントに関する意思決定の基準
− アセットマネジメントに関する財務的及び非財務的情報を記録し,内部及び外部に報告することに対
するステークホルダーの要求事項
4.3
アセットマネジメントシステムの適用範囲の決定
組織は,アセットマネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定し
なければならない。適用範囲は,SAMP及びアセットマネジメントの方針と整合していなければならない。
この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
− 4.1に規定する外部及び内部の課題
− 4.2に規定する要求事項
− 他のマネジメントシステムが使用されている場合は,それらとの相互作用
3
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組織は,アセットマネジメントシステムの適用範囲に含まれるアセットポートフォリオを明確にしなけ
ればならない。
アセットマネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にしておかなけれ
ばならない。
4.4
アセットマネジメントシステム
組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,アセットマネジ
メントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。
組織は,SAMPを策定しなければならない。SAMPには,アセットマネジメントの目標の達成を支援す
るに当たっての,アセットマネジメントシステムの役割の文書化を含める。
5
リーダーシップ
5.1
リーダーシップ及びコミットメント
トップマネジメントは,次に示す事項によって,アセットマネジメントシステムに関するリーダーシッ
プ及びコミットメントを実証しなければならない。
− アセットマネジメントの方針,SAMP及びアセットマネジメントの目標を確立し,それらが組織の目
標と整合することを確実にする。
− 組織の事業プロセスへのアセットマネジメントシステムに関する要求事項の統合を確実にする。
− アセットマネジメントシステムのための資源が利用可能であることを確実にする。
− 有効なアセットマネジメント及びアセットマネジメントシステムに関する要求事項への適合の重要性
を伝達する。
− アセットマネジメントシステムがその意図した成果を達成することを確実にする。
− アセットマネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を指揮し,支援する。
− 組織の中での機能横断的な協力を促進する。
− 継続的改善を促進する。
− その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を
支援する。
− アセットマネジメントにおけるリスクを管理するアプローチが,組織のリスクを管理するアプローチ
と整合していることを確実にする。
注記 この規格で“事業”という場合,それは,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意
味で解釈され得る。
5.2
方針
トップマネジメントは,次の事項を満たすアセットマネジメントの方針を確立しなければならない。
a) 組織の目的に対して適切である。
b) アセットマネジメントの目標設定のための枠組みを示す。
c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d) アセットマネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
アセットマネジメントの方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
− 組織の計画と一貫したものである。
− 他の関連する組織の方針と一貫したものである。
− 組織のアセット及び運用の性質及び規模に対して適切である。
4
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− 文書化した情報として利用可能である。
− 組織内に伝達する。
− 必要に応じて,ステークホルダーが入手可能である。
− 実施され,定期的にレビューされ,必要に応じて,更新される。
5.3
組織の役割,責任及び権限
トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限を割り当てられ,組織内に伝達されるこ
とを確実にしなければならない。
トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
a) アセットマネジメントの目標を含むSAMPを確立し,更新する。
b) アセットマネジメントシステムが,SAMPの実施を支援することを確実にする。
c) アセットマネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
d) アセットマネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を確実にする。
e) アセットマネジメント計画を確立し,更新する(6.2.2参照)。
f)
アセットマネジメントシステムのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する。
6
計画
6.1
アセットマネジメントシステムに関するリスク及び機会への取組み
アセットマネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,4.1に規定する課題及び4.2に規定する
要求事項を考慮し,次の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。
− アセットマネジメントシステムが,その意図した成果を達成できるという保証を与える。
− 望ましくない影響を防止又は低減する。
− 継続的改善を達成する。
組織は,次の事項を計画しなければならない。
a) 上記によって決定したリスク及び機会への取組み。その際,これらのリスク及び機会が経時的にどの
ように変化し得るかを考慮する。
b) 次の事項を行う方法
− その取組みのアセットマネジメントシステムプロセスへの統合及び実施
− その取組みの有効性の評価
6.2
アセットマネジメントの目標及びそれを達成するための計画策定
6.2.1
アセットマネジメントの目標
組織は,関連する機能及び階層において,アセットマネジメントの目標を確立しなければならない。
アセットマネジメントの目標を確立するときは,組織は,アセットマネジメントの計画策定のプロセス
において,関連するステークホルダーの要求事項,並びに他の財務,技術,法令,規制及び組織の要求事
項を考慮しなければならない。
アセットマネジメントの目標は,次の事項を満たさなければならない。
− 組織の目標と一貫し,整合している。
− アセットマネジメントの方針と整合している。
− アセットマネジメントの意思決定基準(4.2参照)を用いて確立され,更新されている。
− SAMPの一部として確立され,更新されている。
− (実行可能な場合)測定可能である。
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− 適用される要求事項を考慮に入れる。
− 監視する。
− 関連するステークホルダーに伝達する。
− 必要に応じて,レビューし,更新する。
組織は,アセットマネジメントの目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。
6.2.2
アセットマネジメントの目標を達成するための計画策定
組織は,アセットマネジメントの目標を達成するための計画策定と,財務,人的資源,その他支援機能
を含む,組織の他の計画策定の活動とを統合しなければならない。
組織は,アセットマネジメントの目標を達成するために,アセットマネジメント計画を確立し,文書化
し,維持しなければならない。これらのアセットマネジメント計画は,アセットマネジメントの方針,及
びSAMPと整合していなければならない。
組織は,アセットマネジメント計画が,アセットマネジメントシステムの外部に起因する,関連した要
求事項を考慮していることを確実にしなければならない。
組織は,アセットマネジメントの目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定
し,文書化しなければならない。
a) アセットマネジメント計画及びアセットマネジメントの目標を達成するため,活動及び資源の意思決
定を行い,また,優先順位付けを行うための方法及び基準
b) ライフサイクルにわたってアセットを管理するために採用されるプロセス及び方法
c) 実施事項
d) 必要な資源
e) 責任者
f)
達成期限
g) 結果の評価方法
h) アセットマネジメント計画に対する適切な期間
i)
アセットマネジメント計画の財務的及び非財務的な影響
j)
アセットマネジメント計画のレビュー周期(9.1参照)
k) 次の事項のためのプロセスを確立することによる,アセットの管理に伴うリスク及び機会への取組み。
その際,これらのリスク及び機会が経時的にどのように変化し得るかを考慮しなければならない。
− リスク及び機会の特定
− リスク及び機会のアセスメント
− アセットマネジメントの目標を達成することにおけるアセットの重要性の決定
− リスク及び機会に対する適切な対応,及び監視の実施
組織は,アセットマネジメントに関連するリスクが,危機管理計画を含む,組織のリスクマネジメント
のアプローチにおいて考慮されることを確実にしなければならない。
注記 リスクマネジメントに関する更なる指針は,JIS Q 31000を参照する。
7
支援
7.1
資源
組織は,アセットマネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を決定し,提
供しなければならない。
6
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組織は,アセットマネジメントの目標を達成し,アセットマネジメント計画に規定された活動を実施す
るために必要とされる資源を提供しなければならない。
7.2
力量
組織は,次の事項を行わなければならない。
− 組織のアセットのパフォーマンス,アセットマネジメントのパフォーマンス及びアセットマネジメン
トシステムのパフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を
決定する。
− 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
− 該当する場合には,必ず,必要な力量を身につけるための処置をとり,とった処置の有効性を評価す
る。
− 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
− 現在及び将来の力量の必要性及び要求事項を定期的にレビューする。
注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,メンタリン
グの実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契
約締結などもあり得る。
7.3
認識
組織の管理下で働き,アセットマネジメントの目標の達成に影響を与え得る人々は,次の事項に関して
認識をもたなければならない。
− アセットマネジメントの方針
− アセットマネジメントのパフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,アセットマネジメント
システムの有効性に対する自らの貢献
− 業務活動,それに伴うリスク及び機会,並びにそれらの相互の関連性
− アセットマネジメントシステムの要求事項に適合しないことの意味
7.4
コミュニケーション
組織は,次の事項を含む,アセット,アセットマネジメント及びアセットマネジメントシステムに関連
する内部及び外部のコミュニケーションの必要性を決定しなければならない。
− コミュニケーションの内容
− コミュニケーションの実施時期
− コミュニケーションの対象者
− コミュニケーションの方法
7.5
情報に関する要求事項
組織は,アセット,アセットマネジメント,アセットマネジメントシステム及び組織の目標の達成を支
援するために,情報に関する要求事項を決定しなければならない。これを行うときは,次の事項を考慮し
なければならない。
a) 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
− 特定されたリスクの重要性
− アセットマネジメントのための役割及び責任
− アセットマネジメントのプロセス,手順及び活動
− サービス提供者を含む,組織のステークホルダーとの情報の交換
− 組織の意思決定に対する,情報の質,可用性及びマネジメントの影響
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b) 組織は,次の事項を決定しなければならない。
− 特定された情報の属性に関する要求事項
− 特定された情報の質に関する要求事項
− 情報を収集し,分析し,評価する方法及び実施時期
c) 組織は,情報を管理するためのプロセスを規定し,実施し,維持しなければならない。
d) 組織は,組織全体を通じてアセットマネジメントに関連する財務的及び非財務的な用語の整合性のた
めの要求事項を決定しなければならない。
e) 組織は,そのステークホルダーの要求事項及び組織の目標を考慮しつつ,法令及び規制上の要求事項
を満たすために必要とされる程度まで,財務的なデータと,技術的なデータと,その他の関連する非
財務的なデータの間との一貫性及びトレーサビリティがあることを確実にしなければならない。
7.6
文書化した情報
7.6.1
一般
組織のアセットマネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
− この規格が要求する文書化した情報
− 適用可能な法令上及び規制上の要求事項のための文書化した情報
− 7.5に規定するアセットマネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化
した情報
注記 アセットマネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次の理由によって,それぞ
れの組織で異なる場合がある。
− 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
− プロセス及びそれらの相互作用の複雑さ
− 人々の力量
− アセットの複雑さ
7.6.2
作成及び更新
文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
− 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
− 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
− 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
7.6.3
文書化した情報の管理
アセットマネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にす
るために,管理しなければならない。
a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失か
らの保護)。
文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければな
らない。
− 配布,アクセス,検索及び利用
− 読みやすさが保たれていることを含む,保管及び保存
− 変更の管理(例えば,版の管理)
− 保持及び廃棄
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アセットマネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情
報は,必要に応じて識別し,管理しなければならない。
注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,文書化した情報の閲覧及び変
更の許可及び権限に関する決定などを意味する。
8
運用
8.1
運用の計画策定及び管理
組織は,次の事項の実施によって,要求事項を満たすため,及び6.1で決定した取組み,6.2で決定した
アセットマネジメント計画,並びに10.1及び10.2で決定した是正処置及び予測対応処置を実施するため
に必要なプロセスを計画し,実施し,かつ,管理しなければならない。
− 必要とされるプロセスに関する基準の設定
− その基準に従った,プロセスの管理の実施
− プロセスが計画どおりに実施されたと確信し,証拠とするのに必要な程度の,文書化した情報の保持
− 6.2.2に規定したアプローチを用いたリスクへの対応及び監視
8.2
変更のマネジメント
アセットマネジメントの目標の達成に影響を及ぼし得る,計画した変更に伴うリスクは,それが恒常的,
又は一時的なものであっても,その変更を実施する前に評価しなければならない。
組織は,そのようなリスクが,6.1及び6.2.2に従ってマネジメントされることを確実にしなければなら
ない。
組織は,計画した変更を管理し,必要に応じて有害な影響を緩和する処置をとり,変更の意図しない結
果をレビューしなければならない。
8.3
外部委託
組織は,アセットマネジメントの目標の達成に影響を与え得る活動を外部委託するときは,それに伴う
リスクを評価しなければならない。組織は,外部委託したプロセス及び活動が管理されることを確実にし
なければならない。
組織は,これらの活動をどのように管理し,組織のアセットマネジメントシステムに統合するかを決定
し,文書化しなければならない。組織は,次の事項を決定しなければならない。
a) 外部委託するプロセス及び活動(外部委託するプロセス及び活動の範囲及び境界並びにそれらと組織
自体のプロセス及び活動とのインタフェースを含む。)
b) 外部委託したプロセス及び活動を管理するための組織内の責任及び権限
c) 組織と契約したサービス提供者との間で,知識及び情報を共有するためのプロセス及び範囲
活動を外部委託するときは,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
− 外部委託した資源が7.2,7.3及び7.6の要求事項を満たす。
− 外部委託した活動のパフォーマンスを,9.1に従って監視する。
9
パフォーマンス評価
9.1
監視,測定,分析及び評価
組織は,次の事項を決定しなければならない。
a) 監視及び測定が必要な対象
b) 該当する場合には,必ず,妥当な結果を確実にするための,監視,測定,分析及び評価の方法
9
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c) 監視及び測定の実施時期
d) 監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期
組織は,次の事項について評価し,報告しなければならない。
− アセットのパフォーマンス
− 財務的及び非財務的なパフォーマンスを含む,アセットマネジメントのパフォーマンス
− アセットマネジメントシステムの有効性
組織は,リスク及び機会を管理するためのプロセスの有効性について評価し,報告しなければならない。
組織は,監視,測定,分析及び評価の結果の証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければなら
ない。
組織は,監視及び測定によって,組織が4.2の要求事項を満たすことを可能にすることを確実にしなけ
ればならない。
9.2
内部監査
9.2.1
組織は,アセットマネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関して決定することを助ける情
報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施しなければならない。
a) 次の事項に適合している。
− アセットマネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
− この規格の要求事項
b) 有効に実施され,維持されている。
9.2.2
組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 頻度,方法,責任,及び計画に関する要求事項及び報告を含む,監査プログラムの計画,確立,実施
及び維持。監査プログラムは,関連するプロセスの重要性及び前回までの監査の結果を考慮に入れな
ければならない。
b) 各監査について,監査基準及び監査範囲を明確にする。
c) 監査プロセスの客観性及び公平性を確保するために,監査員を選定し,監査を実施する。
d) 監査の結果を関連する管理層に報告することを確実にする。
e) 監査プログラムの実施結果及び監査結果の証拠として,文書化した情報を保持する。
9.3
マネジメントレビュー
トップマネジメントは,組織のアセットマネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効であ
ることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,アセットマネジメントシステムをレビューしなけ
ればならない。
マネジメントレビューは,次の事項を考慮しなければならない。
a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
b) アセットマネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化
c) 次に示す事項の傾向を含めた,アセットマネジメントのパフォーマンスに関する情報
− 不適合及び是正処置
− 監視及び測定の結果
− 監査結果
d) アセットマネジメントの活動
e) 継続的改善の機会
f)
リスク及び機会のプロファイルの変化
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Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
マネジメントレビューからのアウトプットには,継続的改善の機会,及びアセットマネジメントシステ
ムのあらゆる変更(8.2参照)の必要性に関する決定を含めなければならない。
組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
10 改善
10.1 不適合及び是正処置
アセット,アセットマネジメント又はアセットマネジメントシステムに不適合又はインシデントが発生
した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a) 不適合又はインシデントに対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
− その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
− その不適合によって起こった結果に対処する。
b) その不適合又はインシデントが再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,
その不適合又はインシデントの原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
− その不適合又はインシデントをレビューする。
− その不適合又はインシデントの原因を明確にする。
− 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。
c) 必要な処置を実施する。
d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。
e) 必要な場合には,アセットマネジメントシステムの変更を行う(8.2参照)。
是正処置は,検出された不適合又はインシデントのもつ影響に応じたものでなければならない。
組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
− 不適合又はインシデントの性質及びそれに対してとったあらゆる処置
− 是正処置の結果
10.2 予測対応処置
組織は,アセットのパフォーマンスにおける潜在的な不具合を事前に特定するプロセスを確立し,予測
対応処置の必要性を評価しなければならない。
潜在的な不具合が特定された場合は,組織は10.1の要求事項を適用しなければならない。
10.3 継続的改善
組織は,アセットマネジメント及びアセットマネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性を継続
的に改善しなければならない。
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Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
附属書A
(参考)
アセットマネジメントの活動に関する情報
他の公開されている国際,地域又は国の規格によって扱われている関連したアセットマネジメントの対
象となる領域は次を含むが,これらに限定されるものではない。
− データマネジメント(Data management)
− 状態監視(Condition monitoring)
− リスクマネジメント(Risk management)
− 品質マネジメント(Quality management)
− 環境マネジメント(Environmental management)
− システム及びソフトウェア工学(Systems and software engineering)
− ライフサイクルコスティング(Life cycle costing)
− ディペンダビリティ(可用性,信頼性,保全性,保全支援)[Dependability (availability, reliability,
maintainability, maintenance support)]
− 構成マネジメント(Configuration management)
− 設備の総合工学(Tero-technology)
− 持続可能な開発(Sustainable development)
− 検査(Inspection)
− 非破壊試験(Non-destructive testing)
− 圧力装置(Pressure equipment)
− 財務マネジメント(Financial management)
− 価値マネジメント(Value management)
− 衝撃・振動(Shock and vibration)
− 音響(Acoustics)
− 要員の資格及び評価(Qualification and assessment of personnel)
− プロジェクトマネジメント(Project management)
− 財産及び財産マネジメント(Property and property management)
− ファシリティマネジメント(Facility management)
− 機器マネジメント(Equipment management)
− 委任プロセス(Commissioning process)
− エネルギーマネジメント(Energy management)
JIS Q 55000,JIS Q 55002及びこの規格の使用者は,組織全体でアセットマネジメントの一貫した実施
を確実にするため,可能な限りこのような規格も参照することが望ましい。
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Q 55001:2017 (ISO 55001:2014)
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注記 対応国際規格:ISO 9004,Managing for the sustained success of an organization−A quality
management approach
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注記 対応国際規格:ISO 14001:2004,Environmental management systems−Requirements with
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注記 対応国際規格:ISO 19011,Guidelines for auditing management systems
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注記 対応国際規格:ISO 22301,Societal security−Business continuity management systems−
Requirements
[13] JIS Q 31000 リスクマネジメント−原則及び指針
注記 対応国際規格:ISO 31000,Risk management−Principles and guidelines
[14] ISO 37500,Guidance on outsourcing
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注記 対応国際規格:ISO 55002,Asset management−Management systems−Guidelines for the
application of ISO 55001
[16] JIS Q 0073 リスクマネジメント−用語
注記 対応国際規格:ISO Guide 73,Risk management−Vocabulary
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[18] ISO/IEC 19770-1,Information technology−Software asset management−Part 1: Processes and tiered
assessment of conformance
[19] JIS Q 31010 リスクマネジメント−リスクアセスメント技法
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