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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 EnMS審査の特徴 ············································································································· 3 

5 審査プロセス要求事項 ······································································································· 3 

5.1 一般 ···························································································································· 3 

5.2 認証範囲の確認 ············································································································· 3 

5.3 審査工数の決定 ············································································································· 3 

5.4 複数サイトサンプリング ································································································· 4 

5.5 審査の実施 ··················································································································· 4 

5.6 審査報告書 ··················································································································· 4 

5.7 初回認証審査 ················································································································ 4 

5.8 サーベイランス審査 ······································································································· 5 

5.9 再認証審査 ··················································································································· 5 

6 力量要求事項 ··················································································································· 5 

6.1 一般 ···························································································································· 5 

6.2 一般的な力量 ················································································································ 5 

6.3 専門的な力量 ················································································································ 6 

附属書A(規定)審査工数 ····································································································· 9 

附属書B(規定)複数サイトサンプリング················································································ 13 

附属書C(参考)エネルギーパフォーマンスの継続的改善 ·························································· 18 

Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Q 50003:2015 

(ISO 50003:2014) 

エネルギーマネジメントシステム− 

エネルギーマネジメントシステムの審査及び 

認証を行う機関に対する要求事項 

Energy management systems-Requirements for bodies providing audit and 

certification of energy management systems 

序文 

この規格は,2014年に第1版として発行されたISO 50003を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

この規格は,JIS Q 17021-1:2015と併せて使用することを意図している。JIS Q 17021-1:2015の要求事項

に加え,この規格は,審査及び認証の有効性を確実にするために必要な,エネルギーマネジメントシステ

ムの特定の専門分野を反映させた要求事項を規定している。特に,この規格は,審査計画プロセス,初回

認証審査,現地審査の実施,審査員の力量,審査工数,及び複数サイトサンプリングに関して必要な追加

の要求事項を取り上げている。 

箇条4は,EnMS審査の特徴を,箇条5は,審査プロセスの要求事項を,箇条6は,認証プロセスに関

与する要員に関する力量要求事項を規定しており,また,附属書A〜附属書Cに,JIS Q 17021-1:2015を

補完する追加の情報を記載している。この規格は,認証を目的とするEnMS審査について取り扱うが,エ

ネルギー使用量及びエネルギーの使用の系統的な分析方法の確立を目的とした,ISO 50002で規定される

エネルギー診断は取り扱わない。 

適用範囲 

この規格は,エネルギーマネジメントシステム(以下,EnMSという。)の審査及び認証を行う機関に対

する,EnMSの審査及び認証の能力,一貫性及び公平性に関する要求事項について規定する。この規格は,

EnMS審査の有効性を確実にするため,審査プロセス,認証プロセスに関与する要員の力量,審査工数及

び複数サイトサンプリングを規定する。 

この規格は,JIS Q 17021-1:2015と併せて用いることを意図している。JIS Q 17021-1:2015の要求事項は,

この規格でも適用する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 50003:2014,Energy management systems−Requirements for bodies providing audit and 

certification of energy management systems(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Q 17021-1:2015 適合性評価−マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事

項−第1部:要求事項 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 17021-1:2015,Conformity assessment−Requirements for bodies 

providing audit and certification of management systems−Part 1: Requirements(IDT) 

JIS Q 50001 エネルギーマネジメントシステム−要求事項及び利用の手引 

注記 対応国際規格:ISO 50001,Energy management systems−Requirements with guidance for use

(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 50001及びJIS Q 17021-1:2015によるほか,次による。 

ある特定の文脈において特別の意味に限定されている概念は,その定義の前の<>内に主題の分野を明

示した。 

3.1 

審査証拠(audit evidence) 

審査基準に関連し,かつ,検証できる,記録,事実の記述又はその他の情報。 

注記 審査証拠は,定性的又は定量的なものがあり得る。 

3.2 

中央事務所(central office) 

EnMS活動の全部又は一部の計画,管理又はマネジメントが行われる場所,又は複数サイト組織の現地

事務所若しくは支部(サイト)のネットワーク。 

注記 中央事務所は,必ずしも本部又は単一の所在地とは限らない。 

3.3 

EnMS有効要員(EnMS effective personnel) 

EnMS要求事項を満たすことに積極的に寄与する人々。 

注記1 EnMS有効要員は,エネルギーパフォーマンス改善方法を確立し,実施し又は維持するため

に,EnMSの適用範囲及び境界の内側でのEnMS要求事項に寄与する。 

注記2 EnMS有効要員は,エネルギーパフォーマンス又はEnMSの有効性に影響を与える。EnMS

有効要員には請負者を含めてもよい。 

注記3 附属書Aに,EnMS有効要員に関する詳細な情報を示す。 

3.4 

EnMS改善(EnMS improvement) 

マネジメントシステムの有効性の改善。 

3.5 

エネルギーパフォーマンス改善(energy performance improvement) 

エネルギーベースラインと比較した,エネルギー効率,エネルギーの使用,又はエネルギー使用量の測

定可能な結果の改善。 

Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 附属書Cに追加の情報を示す。 

3.6 

重大な不適合(major non-conformity) 

<EnMS>意図した結果を達成するマネジメントシステムの能力に影響を与える不適合。 

注記 次の事項は,重大な不適合に分類される可能性がある。 

− エネルギーパフォーマンス改善が達成されていないという審査証拠。 

− 効果的なプロセス管理が行われていることについての重大な疑い。 

− 同一の要求事項又は問題に関連する軽微な不適合が幾つかあって,一つのシステムの欠陥

であることが実証されることで,重大な不適合となるもの。 

3.7 

サイト(site) 

組織がエネルギー源,エネルギーの使用及びエネルギーパフォーマンスの管理を行う区域。 

EnMS審査の特徴 

EnMSは,組織が,エネルギー効率,エネルギーの使用及びエネルギー使用量を含むエネルギーパフォ

ーマンスの継続的改善を達成するために体系的アプローチをとることを可能にする。この規格は,EnMS

の効果的な審査のために,JIS Q 17021-1:2015に追加する要求事項を規定している。 

審査プロセス要求事項 

5.1 

一般 

この規格及びJIS Q 17021-1:2015に規定する全ての要求事項を,EnMS審査プロセスに適用しなければ

ならない。 

5.2 

認証範囲の確認 

組織によってEnMSの適用範囲及び境界は定められなければならないが,認証機関は,各審査において,

その適用範囲及び境界の適切さを確認しなければならない。 

認証範囲では,EnMSに関連した活動,施設,プロセス及び(意思)決定を含め,EnMSの境界を定め

なければならない。認証範囲は,複数サイトをもつ組織の全体,組織内の一つのサイト,又はサイト内の

一つ若しくは複数の部分(例えば,建物,施設,プロセスなど)であってもよい。境界を定める場合に,

エネルギー源は,除外してはならない。 

5.3 

審査工数の決定 

5.3.1 

審査工数 

認証機関は,審査工数を決定する場合に,次の要素を含めて検討しなければならない。 

a) エネルギー源 

b) 著しいエネルギーの使用 

c) エネルギー使用量 

d) EnMS有効要員の数 

審査工数には,組織の所在地における現地審査,審査計画,文書のレビュー及び審査報告のための工数

を含む。審査工数を決定する場合に,附属書Aに規定する審査工数の表(表A.3及び表A.4参照)を使用

しなければならない。審査工数の計算方法は,附属書Aによる。実際のプロセス及び組織構造が,審査工

数の削減を正当化できるものである場合,認証機関は,その決定の根拠を示し,かつ,記録することを確

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実にしなければならない。 

組織が,EnMSを認証済みの他のマネジメントシステムに統合している場合には,審査工数を削減する

ことができる。認証済みの他のマネジメントシステムを理由とする工数の調整は,20 %の工数削減を限度

とする。 

審査人・日(audit man days)は,1日8時間を基礎とする。地方,地域又は国の法的要求事項によって,

調整が要求される場合がある。 

5.3.2 

EnMS有効要員 

附属書Aに規定するEnMS有効要員の数及び複雑さの基準を,審査工数の計算の基礎として使用する。

認証機関は,認証範囲に対して及び審査プログラムにおける各審査に対してEnMS有効要員の数を決定す

るプロセスを定め,それを文書化しなければならない。EnMS有効要員の数を決定するプロセスについて

は,EnMS要求事項を満たすために積極的に寄与する人々が含まれていることを確実にしなければならな

い。規制によって,EnMS活動の運用及び維持のための要員を特定することが要求されている場合は,こ

れらの要員をEnMS有効要員の一部にしなければならない。 

5.4 

複数サイトサンプリング 

サンプリングによって,複数サイトの認証をしてもよい。この場合,附属書Bに規定する複数サイトサ

ンプリングの要求事項に従わなければならない。 

5.5 

審査の実施 

審査員は,審査を実施する場合に,少なくとも次の事項に関連したエネルギーパフォーマンスの審査証

拠を収集し,検証しなければならない。 

− エネルギー計画(全てのセクション) 

− 運用管理 

− 監視,測定及び分析 

審査員は,JIS Q 50001の要求事項に関する不適合の分類に当たり,EnMSに関する重大な不適合の定義

(3.6参照)を使用する。 

5.6 

審査報告書 

審査報告書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) 審査の対象となるEnMSの適用範囲及び境界 

b) EnMSの継続的改善及びエネルギーパフォーマンス改善の達成に関する記述,並びにその記述を裏付

けるための審査証拠 

5.7 

初回認証審査 

5.7.1 

第一段階審査 

第一段階審査には,次の事項を含めなければならない。 

a) 認証の対象となるEnMSの適用範囲及び境界の確認 

b) 特定されたEnMSの適用範囲及び境界に関する組織の施設,設備,システム及びプロセスの図又は文

章による説明のレビュー 

c) 審査工数を確認するための,EnMS有効要員の数,エネルギー源,著しいエネルギーの使用,及び年

間エネルギー使用量の確認 

d) エネルギー計画プロセスの文書化された結果のレビュー 

e) 特定されたエネルギーパフォーマンス改善機会,並びに関連する目的,目標及び行動計画のリストの

レビュー 

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5.7.2 

第二段階審査 

第二段階審査中に,認証機関は,認証の決定に先立って,エネルギーパフォーマンス改善が実証されて

いるか否かを判定するため,必要な審査証拠を収集しなければならない。エネルギーパフォーマンス改善

の確認は,初回認証を授与するために必要となる。組織がどのようにしてエネルギーパフォーマンス改善

を実証するかの例を,附属書Cに示す。 

5.8 

サーベイランス審査 

サーベイランス審査中に,認証機関は,エネルギーパフォーマンスの継続的改善が実証されているか否

かを判定するため,必要な審査証拠をレビューしなければならない。 

5.9 

再認証審査 

再認証の決定に先立って,認証機関は,エネルギーパフォーマンスの継続的改善が実証されているか否

かを判定するため,再認証審査中に,必要な審査証拠をレビューしなければならない。再認証審査は,施

設,設備,システム又はプロセスの重大な変更も考慮に入れなければならない。エネルギーパフォーマン

スの継続的改善の確認が,再認証を授与するために求められる。 

注記 エネルギーパフォーマンス改善は,施設,設備,システム若しくはプロセスの変更,事業の変

更,又はエネルギーベースラインの変更若しくは変更の可能性があるその他の状況によって影

響を受けることがある。 

力量要求事項 

6.1 

一般 

審査員及びEnMS認証プロセスに関与するその他の要員に関する力量要求事項を,6.2及び6.3に規定す

る。 

6.2 

一般的な力量 

審査及び認証活動に関与する全ての要員は,JIS Q 17021-1:2015に規定する一般的な力量,及びこの規

格の表1に規定するEnMSの一般知識を含む,一定レベルの力量をもたなければならない。表1において,

“X”は,認証機関がその基準を定めなければならないことを示す。 

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表1−要求されるEnMSの一般知識 

知識 

認証機能 

審査チームに要求される力量を判定し,
審査チームメンバーを選定し,審査工数
を決定するための申請のレビューの実施 

審査報告書の
レビュー及び

認証の決定 

審査 

EnMSの原則 

エネルギーの専門用語 

エネルギーの基本原則 

エネルギー関連の法的要求事項及び
その他の要求事項 

エネルギーパフォーマンス指標,エ
ネルギーベースライン,関連変数及
び静的要因 

エネルギーパフォーマンス評価及び
関連の基本統計 

共通のエネルギーシステム 
例 蒸気システム,冷却システム,

モータシステム,プロセス加熱
など 

エネルギーパフォーマンス改善措置

(EPIA) 

エネルギーパフォーマンス改善技術 

一般的測定及び検証(M&V) 

エネルギーデータの測定,監視及び
分析 

6.3 

専門的な力量 

認証機関は,表1に規定する一般的な力量要求事項に加えて,表2に規定する専門分野の力量の基準を

定めなければならない。組織が表2に規定する八つの専門分野に該当しない場合には,認証機関は,専門

分野及び力量の基準を定めなければならない。 

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表2−専門分野 

専門分野 

内容 

例 

代表的なエネルギーの使用 

工業−軽工業〜
中工業 

中間製品(部品など)

(intermediates)又は最終

消費者向け製品を製造
する製造施設 

・ 衣類 
・ 消費者向け電子機器 
・ 家電製品,家具 
・ プラスチック 
・ 成形加工 
・ 特殊化学品 
・ 食品加工 
・ 水処理,下水処理 

・ プロセス加熱(電気,天然ガス,

石炭,その他のエネルギー源) 

・ 機械類の運転(ポンプ,空気圧

縮用ファン,材料処理) 

・ 蒸気システム 
・ 小規模冷却塔 
・ その他のプロセス用途 
・ 建物のエネルギー用途[照明,

HVAC(冷暖房空調),温水,携
帯機器] 

工業−重工業 

多額の投資が必要で,大
量の原材料及びエネル
ギーを消費する製造施
設 

・ 化学製品 
・ 鋼鉄,金属 
・ 石油精製 
・ 造船 
・ 紙パルプ工場 
・ 産業用機械装置 
・ 半導体 
・ セメント・セラミック 

・ プロセス加熱(電気,天然ガス,

石炭,その他のエネルギー源,
原材料,中間物) 

・ プロセス冷却(process cooling)

及び冷凍 

・ 機械類の運転(ポンプ,空気圧

縮用ファン,材料処理) 

・ タービン,コンデンサ 
・ 蒸気システム 
・ 大規模冷却塔 
・ 輸送 

建築物 

標準的商業ビルの慣行
が実施されている施設 

・ オフィス 
・ 宿泊施設 
・ 小売施設 
・ 倉庫 

・ 携帯機器 
・ 給湯 
・ 照明 
・ 冷暖房システム,関連するファ

ン 

・ ポンプシステム 

複合施設 

エネルギー源及びエネ
ルギーの使用の複雑さ
によって,業務において
特別な専門技術が要求
される施設 

・ 医療施設 
・ 研究所 
・ データセンタ 
・ 教育施設 
・ 総合的エネルギー供給

(地域冷暖房)が行われて

いる軍及び政府の施設 

・ 地方自治体 

・ 集中冷暖房システム及び地域冷

暖房システム 

・ 携帯機器 
・ 湯沸かし 
・ 照明 
・ 地域冷暖房 
・ 空気圧縮システム,材料処理シ

ステム 

・ エレベータ,リフト 

輸送 

人又は製品・積荷を輸送
するシステム又は手段 

・ 乗客サービス(車両,列

車,船舶,航空機) 

・ 地方自治体 
・ トラック輸送業務 
・ 船団 
・ 鉄道運行 
・ クルーズ船 
・ 航空会社,航空貨物 

・ 移動のためのエネルギー使用 
・ HVAC(冷暖房空調) 
・ 照明 
・ 携帯機器 
・ 材料処理 
・ エネルギー源(燃料油,電気,

石炭など) 

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表2−専門分野(続き) 

専門分野 

内容 

例 

代表的なエネルギーの使用 

採鉱 

原材料の露天掘り,地下
での採掘及び流体の抽
出,輸送 

・ 鉱物の分離 
・ 湿式精錬 
・ 製錬,精錬 
・ 石油・ガス掘削作業 
・ ガス・石油パイプライン 

・ 抽出 
・ 輸送(ローダ,トラック,コン

ベヤ) 

・ 機械類の運転(ウォーターポン

プ,換気,タービン,ファン) 

・ 材料作成(破砕,粉砕,分離) 
・ 蒸気システム,コンデンサ,冷

却塔 

農業 

家畜,種子又は穀物製品 ・ 農業,畜産業 

・ 種子生産 
・ 物資運搬 
・ 動物生産 

・ 採取 
・ エネルギー源(燃料油,電気,

天然ガス,石炭など) 

・ 再生可能エネルギー(バイオマ

ス,太陽熱,地熱など) 

・ 輸送 
・ モータ 
・ 駆動(ポンプ,ファン,材料処

理) 

・ ポンプ 
・ 水処理 
・ ドライヤ 

エネルギー供給 

エネルギー生産[原子
力,CHP(コジェネレー
ション),電気,再生可
能エネルギーなど]及び
輸送(送電,配電) 

・ 発電[石炭,石油,天然

ガス,再生可能エネルギ
ー,CHP(コジェネレー
ション),IGCC(石炭ガ
ス化複合発電)など] 

・ 原材料の輸送 
・ 送電・配電用タービン 
・ 燃焼 
・ 蒸気システム 
・ コンデンサ及び冷却塔 

認証機関が,専門分野を細分化する必要があると判断した場合には,エネルギーの使用に関する追加の

基準を定めなければならない。 

認証範囲と整合した一般的な力量及び専門的な力量の要求事項を満たすために,審査員及び必要に応じ

て技術専門家で構成された審査チームを指名しなければならない。EnMSに関する専門技能を表3に示す。

表3において,“X”は,認証機関がその基準を定めることを示す。 

表3−EnMSの専門技能 

技能 

認証機能 

審査チームに要求される力量を判定し,
審査チームメンバーを選定し,審査工数
を決定するための申請のレビューの実施 

審査報告書の
レビュー及び

認証の決定 

審査 

一般的測定及び検証 

エネルギーデータの測定,監視及び
分析 

チーム(複数の審査員)によって審査が実施される場合,チーム全体で,要求される技能のレベルを維持しなけ

ればならない。 
注記 チームによって審査が実施される場合には,チームメンバー全員が全ての分野の技能をもつ必要はない。 

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附属書A 

(規定) 
審査工数 

A.1 EnMS有効要員の決定 

EnMS有効要員は,認証機関が定めるプロセスに基づいて決定される。認証機関が,EnMS有効要員の

数を決定するためのプロセスを定める場合,次を含め,EnMSに重大な影響を及ぼす要員を考慮に入れな

ければならない。 

a) トップマネジメント 

b) 管理責任者(複数でもよい。) 

c) エネルギーマネジメントチーム 

d) エネルギーパフォーマンスに影響を与える重大な変更に責任を負う人(複数でもよい。) 

e) EnMSの有効性に責任を負う人(複数でもよい。) 

f) 

目的,目標及び行動計画を含め,エネルギーパフォーマンス改善の進展,実施又は維持に責任を負う

人(複数でもよい。) 

g) 著しいエネルギーの使用に責任を負う人(複数でもよい。) 

注記 著しいエネルギーの使用に責任を負う人々は,その行動がエネルギーパフォーマンスに与え

得る影響次第で,EnMS有効要員とみなされないことがある。これらの人々をEnMS有効要

員に含める前に,その各々の役割及び影響を把握することが重要である。 

例1 自動車製造業者:EnMS有効要員は,著しいエネルギーの使用[塗装システム,HVAC(冷暖房

空調)システム],マネジメント,業務(operations),保守・施設・エンジニアリング,HVAC

システム請負業者及びエネルギーチームの支援に直接的に関与する人々である。これには,管

理要員(administrative personnel)又は組立要員は含まない。 

例2 商業用複合施設(commercial building complex):EnMS有効要員は,地域冷暖房システム,保守

及びエンジニアリング機能,施工及び修繕管理,調達,並びにエネルギーチームに関係する人々

である。それぞれの施設で働く他のスタッフ又は管理支援要員(administrative support personnel)

は,EnMS有効要員とはならない。 

A.2 EnMSの複雑さの決定 

複雑さは,次の三つの考慮事項に基づいて決定する。 

− 年間エネルギー使用量 

− エネルギー源の数 

− 著しいエネルギーの使用の数 

複雑さは,これら三つの考慮事項の全てに対する重み付け係数(weighted factor)に基づく計算値である。

複雑さを算定するために,考慮事項のそれぞれについて,次の二つの情報が必要となる。 

a) 重み付け(weight)又は乗数 

b) 範囲(range)に応じた複雑さ係数(complexity factor) 

複雑さ(C)は,次の算定式によって求める。 

C=(FEC×WEC)+(FES×WES)+(FSEU×WSEU) 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

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ここに, 

FEC: 表A.1による,年間エネルギー使用量の複雑さ係数 

FES: 表A.1による,エネルギー源の数の複雑さ係数 

FSEU: 表A.1による,著しいエネルギーの使用の数の複雑さ係数 

WEC: 表A.1による,年間エネルギー使用量に関する重み付け 

WES: 表A.1による,エネルギー源の数に関する重み付け 

WSEU: 表A.1による,著しいエネルギーの使用の数に関する重み

付け 

各考慮事項に関して,複雑さの算定に必要な重み付け及び該当する範囲における複雑さ係数を,表A.1

に示す。 

表A.1−審査工数を決定するためのエネルギーの複雑さの基準 

考慮事項 

重み付け 

範囲 

複雑さ係数 

年間エネルギー使用量 
TJ(テラジュール) 

30 % 

200 TJ以下 

1.0 

200 TJ超え 

2 000 TJ以下 

1.2 

2 000 TJ超え 10 000 TJ以下 

1.4 

10 000 TJ超 

1.6 

エネルギー源の数 

30 % 

一つ〜二つのエネルギー源 

1.0 

三つのエネルギー源 

1.2 

四つ以上のエネルギー源 

1.4 

著しいエネルギーの使用

(SEU)の数 

40 % 

五つ以下のSEU 

1.0 

6〜10のSEU 

1.2 

11〜15のSEU 

1.3 

16以上のSEU 

1.4 

認証機関は,この規格で規定されている基準への追加の基準を使用してもよい。追加

の基準は,文書化し,その基準を適用した記録を保持しなければならない。 

算定式を用いて複雑さ(C)の値を算定した場合,その値は,表A.2に基づいてEnMSの複雑さのレベ

ルを決定するときに使用する。 

表A.2−EnMSの複雑さのレベル 

複雑さの値 

EnMSの複雑さ 

1.35超 

高 

1.15〜1.35 

中 

1.15未満 

低 

A.3 審査工数の決定 

最小審査工数は,EnMS有効要員の数と複雑さとの組合せに基づいて決定される。初回認証(第一段階

及び第二段階)の最小審査工数を表A.3に示す。認証機関によるプロセスは,第一段階において審査工数

をレビューし,確認することを確実にしなければならない(例参照)。 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.3−初回認証の最小審査工数 

単位 人・日 

EnMS有効要員の数 

(人) 

最小審査工数 

複雑さ 

低 

中 

高 

1〜 15 

16〜 25 

7.5 

26〜 65 

5.5 

8.5 

66〜 85 

6.5 

9.5 

86〜175 

10 

176〜275 

7.5 

9.5 

10.5 

276〜425 

8.5 

11 

12.5 

426以上 

認証機関は,EnMS有効要員の数が425を超える場合の審査工数を定め
てもよい。その期間は,この表の数列に従うことが望ましい。 

例 初回認証における最小審査工数の例 

ABC認証機関によって決定されたXYZ社のEnMS有効要員の数は,32である。 

報告された年間エネルギー使用量は12 TJであり,表A.1による複雑さ係数は1.0,重み付けは

30 %である。 

エネルギー源(天然ガス,電力及びディーゼル)の数は3であり,表A.1による複雑さ係数は

1.2,重み付けは30 %である。 

著しいエネルギーの使用の数は三つであり,表A.1による複雑さ係数は1.0,重み付けは40 %

である。 

したがって,複雑さ(C)の値は,次のとおり算定される。 

C=(0.3×1.0)+(0.3×1.2)+(0.4×1.0) 

C=0.3+0.36+0.4 

C=1.06 

表A.2による複雑さのレベルは,複雑さ(C)の値が1.15未満であるため,“低”である。 

表A.3による第一段階審査及び第二段階審査の最小審査工数は,5.5人・日となる。 

表A.4によるサーベイランス審査の最小審査工数は2人・日となり,再認証審査の最小審査工

数は4人・日となる。 

サーベイランス審査及び再認証審査に関する最小審査工数を表A.4に示す。認証プロセスは,EnMS,

著しいエネルギーの使用,施設,設備,システム又はプロセスの変更の結果として,必要な審査工数につ

いてレビューが行われることを確実にしなければならない。 

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12 

Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.4−サーベイランス審査及び再認証審査の最小工数 

単位 人・日 

有効要員の

数(人) 

最小審査工数 

複雑さ 

低 

中 

高 

サーベイランス 

再認証 

サーベイランス 

再認証 

サーベイランス 

再認証 

1〜 15 

16〜 25 

1.5 

2.5 

26〜 65 

2.5 

66〜 85 

5.5 

86〜175 

176〜275 

2.5 

3.5 

6.5 

3.6 

276〜425 

3.5 

426以上 

認証機関は,EnMS有効要員の数が425を超える場合の審査工数を定めてもよい。その期間は,
この表の数列に従うことが望ましい。 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

複数サイトサンプリング 

B.1 

一般 

この附属書は,サイトのネットワークをもつEnMS組織の審査及び認証に関する要求事項を規定する。

規定されたアプローチは,実施する審査が,全てのサイトにおけるEnMSの適合性に十分な信頼を与える

こと,及びその審査が運営面で実際的で,実施可能で,かつ,経済的であることを確実にする。 

ある組織の,エネルギー源,エネルギーの使用及びエネルギー使用量に関連する活動が認証の対象とな

っており,そうした活動が,異なるサイトにおいても,類似の方法で,その組織の権限及び管理の下で実

施される場合には,認証機関は,初回認証審査,サーベイランス審査及び再認証審査において,サイトを

サンプリングする適切な手順を実施してもよい。 

これらの要求事項からの逸脱は,その正当性が示され,記録されることを条件として,検討してもよい。

正当性は,審査の開始に先立って,全てのサイトにおけるEnMSの適合性に同じレベルの信頼が得られる

ことを実証できるものでなければならない。 

B.2 

適用 

B.2.1 サイト 

場所を特定することが実際的でない場合(例えば,サービス),認証がカバーする範囲に,サービスの提

供に加え,組織の本部の活動を考慮することが望ましい。該当する場合,認証機関は,認証審査を組織が

そのサービスを提供している場所で実施すること,及びその中央事務所を特定し,審査することを決定し

てもよい。 

B.2.2 一時的サイト 

一時的サイトは,特定の業務又はサービスを実施するために,組織によって一定の期間設置され,常設

サイトにならないものである(例えば,建設サイト)。一時的サイトが組織のエネルギーの使用及びエネル

ギー使用量の重要な要素を構成しているときは,これらを含めなければならない。 

B.2.3 複数サイト組織 

複数サイト組織は,特定された中央事務所,及び一定の活動を全面的に又は部分的に行う地方事務所又

は支店(サイト)のネットワークをもつ組織と定義される。 

複数サイト組織は,単独の法人である必要はないが,全てのサイトは,中央事務所との法的又は契約に

基づいたつながりをもち,共通のEnMSの対象でなければならない。複数サイト組織は,EnMSを,確立

し,実施し,維持し,かつ,認証機関による継続的サーベイランス審査及び中央事務所によって計画する

内部監査の対象でなければならない。中央事務所は,必要に応じて是正処置の実施をサイトに要求する権

限をもたなければならない。 

例 フランチャイズで運営している組織,販売事務所のネットワークをもつ製造会社,類似のプロセ

ス又は著しいエネルギーの使用がある製造サイト,類似のサービスを提供する複数サイトをもつ

サービス会社,複数の支店をもつ会社 

B.2.4 組織のサンプリングの適格性 

サイトにおける著しいエネルギーの使用及びエネルギー使用量に関するプロセスは,実質的に同一であ

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

るか,又は類似の方法若しくはプロセスを用いて運用される類似のサブセットに体系化されなければなら

ない。検討されているサイトの一部が,類似だがほかより少ないプロセスをもっている場合,最もエネル

ギー集約的なプロセスを実施しているサイトが,より頻繁な審査の対象となっていれば,複数サイト認証

にこれらのサイトを含むことが適格になり得る。サイトのエネルギーパフォーマンスについては,個別に

又は全体としてこれを考慮することができる。これは,認証機関のプロセス又は複数サイト組織のサンプ

リング計画の根拠において定めなければならない。 

組織のEnMSは,中央で統制及び管理されるエネルギー計画プロセスの下に置かれ,中央のマネジメン

トレビューの対象になっていなければならず,認証機関が審査を開始する前に一回はマネジメントレビュ

ーを終えていなければならない。関連サイト(中央の運営管理機能を含む。)は,認証機関が審査を開始す

る前に,組織の中央管理された内部監査プログラムの対象とならなければならない。 

組織の中央事務所がEnMSを確立し,審査の適用範囲に置かれた組織全体がEnMS要求事項を満足して

いることが,実証されなければならない。 

EnMSの適用範囲及び境界に含まれる全てのサイトからデータを収集し,分析する中央事務所の能力は,

実証されなければならない。組織がサンプリングに適格であるためには,次の要求事項を満たし,また,

中央事務所に適用していなければならない。 

a) 次に示す,マネジメントシステム要求事項 

− 中央事務所によって承認されたシステム文書化及びシステム変更 

− 全てのサイトをまとめたマネジメントレビュー 

− 是正処置の評価 

− 内部監査計画及び結果の評価 

− 法的要求事項及びその他の要求事項に関する情報を収集する権限の実証,並びに必要な場合に組織

の変更を開始する権限の実証 

− サイトに関する内部監査の結果 

b) 次に示す,エネルギーパフォーマンス要求事項 

− 一貫性のあるエネルギー計画プロセス 

− ベースライン,関連変数,及びエネルギーパフォーマンス指標(以下,EnPIという。)の決定及び

調整のための一貫性のある基準 

− 目的及び目標の確立並びにサイト行動計画の策定のための一貫性のある基準 

− 行動計画及びEnPIの適用性及び有効性を評価するための中央管理されたプロセス 

− 組織の広範なエネルギーパフォーマンスを示すために,適宜,中央で集計されたエネルギーパフォ

ーマンスデータ 

B.2.5 認証機関の責任 

B.2.5.1 一般 

サンプリングの基礎として,認証機関の手順は,初回の契約内容の確認にEnMSの対象となる活動の複

雑さ及び規模の評価が含まれること,並びにこの規格の基準及び全ての箇条が満たされることを確実にし

なければならない。サンプリングに影響を与え得る違いとして,次の事項を考慮してもよい。 

a) エネルギーパフォーマンス 

b) 著しいエネルギーの使用 

c) エネルギー源 

d) 監視,測定及び分析 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) エネルギー使用量 

f) 

適用範囲の変更 

認証機関は,認証活動の提供について,法的拘束力のある合意を行う組織の中央事務所を特定しなけれ

ばならない。 

認証機関は,認証及び審査の対象に含まれる各サイトに関して,箇条6に規定する力量要求事項が満た

されていることを確実にするため,確認を行わなければならない。認証の対象となる活動を実施している

組織のサイトの準備ができていない場合,認証の対象に含めるサイト及び除外されるサイトは,認証機関

に事前に通知しなければならない。 

B.2.5.2 審査 

認証機関は,自身の複数サイトプログラムの下で行う審査を取り扱う,文書化した手順をもたなければ

ならない。この手順は,全てのサイトの活動をつかさどる同じEnMSが,全てのサイトに実際に適用され

ており,また,B.2.4に規定する全ての適格性基準が満たされていることに関して,認証機関が確認する方

法を取り決める。組織の内部監査又は認証機関のどちらによる場合でも,3.6及びJIS Q 17021-1:2015に規

定する不適合が,あるサイトで発見された場合は,その他のサイトにも影響があるかどうかを決定するた

めの調査を行わなければならない。認証機関は,その他のサイトに対して修正又は是正処置を適用する必

要があると判断した場合,組織が不適合を見直すよう要求しなければならない。そのレビュー結果及び正

当性の記録は,保持しなければならない。 

認証機関は,管理が再確立されたと納得できるまで,必要に応じて,サンプリングの頻度又はサンプル

の数を増やす。認証の決定の段階では,いずれかのサイトに重大な不適合がある場合,満足な是正処置の

完了まで,認証は,サイトの全ネットワークに対して拒否されなければならない。1か所のサイトにおけ

る重大な不適合の存在によって提起される障害を克服することを目的に,認証プロセスの過程において,

組織が“問題”サイトの除外を求めることは,受け入れられない。 

B.2.6 認証文書 

認証範囲に含まれるそれぞれのサイトが,認証機関によって個別に審査された場合,又はこの規格に記

載するサンプリング方法を用いて審査された場合に,複数サイトを包含する認証文書を発行することがで

きる。認証機関は,認証機関が選択する手段によって,組織に対して認証文書を提供しなければならない。

認証がカバーする各サイトに対して,認証文書を発行してもよい。ただし,認証範囲が同じであること,

又はその認証範囲内で狭めた範囲の記載があること,及び主たる認証文書を明確に引用していることが条

件となる。中央事務所又はいずれかのサイトが,認証の維持のために必要な規定を満たしていない場合,

認証文書は,全体が取り消される。認証機関は,サイトのリストを最新のものにしておかなければならな

い。この情報の正確さを確実にするための一助として,認証に含まれるいずれかのサイトの閉鎖があれば,

組織が認証機関にその通知をするよう,認証機関は,組織に依頼しなければならない。組織がこの通知を

しなかった場合,認証機関は,認証が誤用されたとみなす。サーベイランス若しくは再認証活動の結果又

は認証範囲の拡大の結果として,追加のサイトを既存の認証に追加することができる。認証機関は,新し

いサイトを追加する文書化した手順をもっていなければならない。 

B.3 

サンプリング 

B.3.1 サンプリング方法 

サンプルは,次に示す要因に基づき,抜取りによって選定することが望ましく,ある代表的な範囲の,

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

異なるサイトを選定することが望ましい。サンプルの少なくとも25 %は,ランダムに選定することが望ま

しい。その他のサンプルは,認証の有効期間にわたって選定されるサイト間の違いが,できるだけ大きく

なるように選定することが望ましい。 

サイトの選定には,エネルギー源のレビュー及びエネルギー使用量を含めなければならず,また,特に

次の事項を含めることが望ましい。 

a) サイトでの内部監査及びマネジメントレビューの結果,又は以前の認証審査の結果 

b) サイトの規模の有意な差異 

c) シフトパターンの差異,及び作業プロセス又は手順の差異 

d) マネジメントシステムの複雑さ 

e) 異なるサイトで実施されるプロセス 

f) 

前回の認証審査以後の変更 

g) マネジメントシステムの成熟度及び組織の知識 

h) エネルギー源,エネルギーの使用及びエネルギー使用量の複雑さ 

i) 

文化,言語,法的要求事項及びその他の要求事項の相違 

j) 

地理的な分散 

この選定は,審査プロセスの開始時点で行う必要はない。中央事務所での審査を完了してから行うこと

もできる。いずれにせよ,中央事務所へは,サンプルに含めるサイトについて連絡しなければならない。

これは,比較的直前の通知でもよいが,審査の準備のための適切な時間を与えることが望ましい。 

B.3.2 サンプルの数 

認証機関は,複数サイト組織の審査及び認証の一部としてサイトを審査する場合,選定しようとするサ

ンプルを決定する文書化した手順をもたなければならない。これには,この規格に規定する要因を考慮し

なければならない。認証機関は,複数サイトサンプリングの個々の適用について,認証機関がこの規格に

従って業務を行っていることを正当化する記録をもたなければならない。中央事務所は,初回認証審査及

び再認証審査において審査しなければならず,また,サーベイランスの一部として少なくとも年一回,審

査を行わなければならない。 

中央事務所の審査には,組織全体の認証に含まれる全てのサイトに関する,エネルギーパフォーマンス

調査のレビューを含めなければならない。認証の対象であるマネジメントシステムによってカバーされて

いる活動について,認証機関がリスク分析を行い,次のような事項が特別な状況であることが示された場

合,サンプルの数及び頻度を増やすことが望ましい。 

a) サイトの規模及びEnMS有効要員の数 

b) 作業慣行の差異(例えば,シフト) 

c) 行っている活動の差異 

d) エネルギーの使用及びエネルギー使用量,特に著しいエネルギーの使用の差異 

e) エネルギーの使用の複雑さ 

f) 

是正処置及び予防処置の記録 

g) 多国間の法的要求事項又はその他の要求事項 

h) 内部監査及びマネジメントレビューの結果 

i) 

エネルギーパフォーマンス改善及びEnMS改善を実証する能力 

審査に当たりに訪問するサイトの最小限の数は,次のとおりとする。 

− 初回認証審査 サンプルの数(Y)は,遠隔サイトの数(x)の平方根(x)を切り上げた整数とす

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

− サーベイランス審査 年間サンプルの数(Y)は,遠隔サイトの数(x)の平方根に係数0.6を乗じ(0.6 

x),切り上げた整数であることが望ましい。 

− 再認証審査 サンプルの数(Y)は,初回審査と同じであることが望ましい。ただし,3年を超えてそ

のマネジメントシステムが効果的であることが分かっている場合,サンプルの数(Y)は,遠隔サイ

トの数(x)の平方根に係数0.8を乗じ(0.8x),切り上げた整数に減じることができる。 

注記 サンプリングに関する上記の方法は,IAF MD1によるものである。 

新規サイトが,既に認証されている複数サイトのネットワークに加わることを選択した場合,新規サイ

トごとに,それをサンプルの数の決定のための単独のセットとみなすことが望ましい。認証書に新規サイ

トを含めた後は,その新規サイトは,既存のサイト数に加算され,その後のサーベイランス審査又は再認

証審査に関するサンプルの数が決定されることが望ましい。 

B.4 

中央事務所の審査工数 

審査プログラムにおける合計審査工数は,各サイト及び中央事務所における審査工数の合計である。審

査工数の割当てに関する総合方針の観点から,認証機関は,複数サイトの審査に費やす工数の正当性を示

す用意ができていなければならない。中央事務所を含め,選択された各サイトの審査工数は,附属書Aに

規定する表を用い,各サイトに対して計算しなければならない。中央事務所及び審査の最小審査工数は,

認証機関が決定し,その決定の根拠を記録しなければならない。 

実際のプロセス及び初回認証の間に又はサーベイランス若しくは再認証の前に収集された情報によって

は,サンプリング情報に基づく工数の調整を行うことができる。認証機関は,その決定の根拠を示し,記

録することを確実にしなければならない。 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

エネルギーパフォーマンスの継続的改善 

エネルギーパフォーマンス改善は,EnMS固有の要求事項である。適合性評価機関の審査員は,エネル

ギーパフォーマンス改善を認証決定の一部とみなす。この附属書は,審査中に審査員が遭遇する可能性の

あるエネルギーパフォーマンス改善の例を示す。 

例1 時間の経過とともに総エネルギー使用量が減少する場合。 

EnMSの適用範囲及び境界における生産量は同様のレベルにとどまっているにもかかわらず,

過去12か月間に測定された総エネルギー使用量(kWh)が減少する。このデータは,過去12

か月間のエネルギーパフォーマンスの継続的改善を実証するために,組織及びその組織のEnPI

で使用される。 

例2 総エネルギー使用量は増加したが,組織が定義しているエネルギーパフォーマンスの測定値は

改善する場合。 

商業ビルにおいて保険支払い請求を処理している組織が,業務拡大によって追加のコンピュ

ータを導入し,その追加のコンピュータによって電力負荷が増加し,総エネルギー使用量も増

加した。しかし,この組織が定義している保険支払い請求1件当たりのエネルギー使用量のEnPI

は減少し,エネルギーパフォーマンスの改善が実証された。 

例3 設備については,老巧化に伴うエネルギーパフォーマンスの低下が予想される。適正な業務管

理及び保守管理に伴うパフォーマンス低減曲線(performance reduction curve)の遅延又は低減

によって,組織のEnPIを基に定義されたエネルギーパフォーマンスの改善を実証することがで

きる。 

商業ビルの空調システムは,設備の老巧化に伴い性能も低下する。この経年の性能損失は,

具体的にエネルギー使用量(kWh/m2)によって確認できるが,これは,故障,機械的損傷又は

フィルターの目詰まりによる伝熱効率の低下のような,様々な要因によるものである。組織は,

エネルギーパフォーマンスと自らの保守プログラムとを関連付け,EnPIを通じて,長期的に安

定したシステムの性能を実証する。 

例4 時間の経過とともにエネルギーベースラインが上昇する傾向にある場合,例えば,次第に資源

が枯渇する採鉱活動などの場合には,エネルギーパフォーマンス改善は,ベースラインの上昇

に照らして実証することができる。 

注記 エネルギーパフォーマンスの測定に関する詳細な説明は,ISO 50002,ISO 50006,及びISO 50015

に示されている。 

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Q 50003:2015 (ISO 50003:2014) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献  

[1] ISO 50002,Energy audits−Requirements with guidance for use 

[2] ISO 50004,Energy management systems−Guidance for the implementation, maintenance and improvement of 

an energy management system 

[3] ISO 50006,Energy management systems−Measuring energy performance using energy baselines (EnB) and 

energy performance indicators (EnPI)−General principles and guidance 

[4] ISO 50015,Energy management systems−Measurement and verification of energy performance of 

organizations−General principles and guidance 

[5] ISO/IEC TS 17022,Conformity assessment−Requirements and recommendations for content of a third-party 

audit report on management systems 

[6] ISO/IEC TS 17023,Conformity assessment−Guidelines for determining the duration of management system 

certification audits 

[7] IEC 60027 (all parts),Letter symbols to be used in electrical technology 

[8] IAF MD1:2007,Certification of Multiple Sites Based on Sampling 

入手先:<http://www.iaf.nu/articles/Mandatory̲Documents̲/38>