Q 17067:2014 (ISO/IEC 17067:2013)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 2
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 製品認証························································································································· 3
4.1 製品認証の概念 ············································································································· 3
4.2 製品認証の目的 ············································································································· 3
5 製品認証スキーム ············································································································· 3
5.1 基本 ···························································································································· 3
5.2 製品認証スキームにおける機能及び活動············································································· 4
5.3 製品認証スキームのタイプ ······························································································ 5
6 製品認証スキームの開発及び運用 ························································································ 7
6.1 一般 ···························································································································· 7
6.2 製品認証スキームと製品認証システムとの関係 ···································································· 7
6.3 スキームオーナ ············································································································· 8
6.4 製品認証スキームの開発 ································································································· 8
6.5 スキームの内容 ············································································································· 9
6.6 スキームの維持及び改善 ································································································ 11
6.7 スキーム文書 ··············································································································· 12
参考文献 ···························································································································· 13
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。これによって,JIS Q 0067:2005は廃止され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
Q 17067:2014
(ISO/IEC 17067:2013)
適合性評価−製品認証の基礎
及び製品認証スキームのための指針
Conformity assessment-Fundamentals of product certification
and guidelines for product certification schemes
序文
この規格は,2013年に第1版として発行されたISO/IEC 17067を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項であるが規定内容の理解
の促進のために補足した事項である。
この規格は,製品認証の基礎を説明し,製品認証スキームのための指針を提供するものである。この規
格において“製品”という用語は,“サービス”又は“プロセス”と読み替えることもできる。
製品が設計,生産,流通,使用及び最終的に処分される間に,購入者,使用者及び社会全体にとっての
懸念を生じることがあり得る。このような懸念は,安全,健康若しくは環境への影響,耐久性,両立性,
又は意図した目的若しくは明示された条件に対する適切性に関係することがある。
一般的に,これらの懸念は,規格などの規準文書に,要求される製品特性を規定することによって対処
される。
そして製品の供給者は,製品が規準文書の要求事項に適合していることを実証する責任をもつ。
供給者にとっては,製品の適合性について,自ら評価及び宣言を行えば十分かもしれないが,それ以外
に,使用者又は規制当局が,力量をもつ公平な第三者による適合性評価の実施を要求することがある。
製品の規定要求事項が満たされていることの実証についての評価及び公平な第三者の証明を製品認証と
いう。
この規格は,製品認証スキームの構築及び管理の方法について概要を示すものである。この規格は,製
品の試験,検査,監査など,製品認証の基礎となる共通の評価手法を特定する。
この規格は,製品認証に関与する者,特に製品認証スキームオーナ又は製品認証スキームオーナになろ
うとしている者が用いることを意図している。製品認証スキームオーナには,次の者を含むことができる。
a) 製品認証機関
b) 政府及び規制当局
c) 購入代理店
d) 非政府組織
e) 業界団体及び小売業組合
f)
消費者団体
この規格は指針だけを提供しており,要求事項を含んでいない。この規格は,製品認証機関に対する要
2
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求事項を規定したJIS Q 17065と共に用いることができる。
1
適用範囲
この規格は,製品認証の基礎を規定し,製品,プロセス及びサービスの認証スキームを理解,開発,運
用又は維持するための指針を示す。
この規格は,製品認証に関心をもつ全ての者,特に認証スキームオーナが用いることを意図している。
注記1 この規格において“製品”という用語は,“プロセス”又は“サービス”について個別の規定
が定められている場合を除いて,“プロセス”又は“サービス”と読み替えることもできる。
製品,プロセス及びサービスの定義は,JIS Q 17065に規定されている。
注記2 製品,プロセス及びサービスの認証は,製品認証機関が実施する第三者適合性評価活動であ
る(JIS Q 17000参照)。製品認証機関に対する要求事項は,JIS Q 17065に規定されている。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 17067:2013,Conformity assessment−Fundamentals of product certification and guidelines
for product certification schemes(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS Q 17000:2005 適合性評価−用語及び一般原則
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17000:2004,Conformity assessment−Vocabulary and general principles
(IDT)
JIS Q 17065:2012 適合性評価−製品,プロセス及びサービスの認証を行う機関に対する要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17065:2012,Conformity assessment−Requirements for bodies certifying
products, processes and services(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 17000及びJIS Q 17065によるほか,次による。
3.1
認証システム(certification system)
認証を実行するための規則,手順及びマネジメント。
(JIS Q 17000:2005の2.7を変更)
3.2
認証スキーム(certification scheme)
規定された製品に関して,同一の規定要求事項,特定の規則及び手順が適用される認証システム(3.1
参照)。
注記 製品,プロセス及びサービスの認証を実施するための規則,手順及びマネジメントは,認証ス
キームによって規定される。
(JIS Q 17065:2012の3.9を変更)
3
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3.3
スキームオーナ(scheme owner)
特定の認証スキーム(3.2参照)の開発及び維持に責任をもつ個人又は組織。
注記 スキームオーナは,認証機関自身,政府関係当局,業界団体,認証機関のグループ,その他の
ことがある。
(JIS Q 17065:2012の3.11参照)
4
製品認証
4.1
製品認証の概念
4.1.1
製品認証とは,規定要求事項が満たされていることの実証についての評価及び公平な第三者の証明
をいう。製品認証は,製品認証機関によって実施される。この機関は,JIS Q 17065に適合していることが
望ましい。製品に対する規定要求事項は,一般的に,規格又は他の規準文書に定められる。
4.1.2
製品認証は,例えば,製品の性能,安全性,相互操作性(interoperability),持続可能性を含む規定
要求事項に製品が適合していることの信頼を消費者,規制当局,業界及び他の利害関係者に与える,確立
された適合性評価活動である。
4.1.3
製品認証によって,製品の売買,市場参入,公正競争及び消費者による受入れを,国家レベル,地
域レベル及び国際レベルで促進することができる。
4.2
製品認証の目的
4.2.1
製品認証の基本的な目的は,次のとおりである。
a) 規定要求事項を満たしていることに関する信頼を与えることによって,消費者,使用者,及びより一
般的には全ての利害関係者のニーズに対処する。
b) 自身の製品が規定要求事項を満たしていることが公平な第三者機関によって証明されたことを,供給
者が市場に示すことができるようにする。
4.2.2
製品認証は,次のとおりであることが望ましい。
− 規定要求事項を満たしていることに関心をもつ者のために信頼を与える。
− 供給者が効果的に製品を販売できるように十分な価値を提供する。
5
製品認証スキーム
5.1
基本
5.1.1
製品認証スキームは,JIS Q 17000:2005の附属書Aに示す機能的アプローチをとることが望まし
い。その機能は次のとおりである。
− 選択 これには,その後に行われる確定機能に必要な全ての情報及びインプットを収集又は作成する
ための,計画及び準備の活動を含む。
− 確定 これには,製品要求事項に関する情報をレビュー及び証明機能へのインプットとして提供する
ための,試験,測定,検査,設計評価,サービス及びプロセスの評価,監査などの適合性評価活動を
含んでもよい。
− レビュー これは,規定要求事項を満たしていることに関する選択活動及び確定活動並びにこれらの
活動の結果の,適切性,十分さ及び有効性の検証を意味する(JIS Q 17000:2005の5.1参照)。
− 認証の決定
− 証明 これは,レビュー後の決定に基づいて,規定要求事項を満たしていることが実証されたという
4
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適合の表明を発行することを意味する(JIS Q 17000:2005の5.2参照)。
− サーベイランス(必要な場合) これは,適合の表明の有効性を維持する基礎としての,適合性評価
活動の系統だった反復を意味する(JIS Q 17000:2005の6.1参照)。
注記1 これらの機能の詳細は,JIS Q 17000に示されている。
注記2 JIS Q 17065では,“選択”の機能と“確定”の機能とを組み合わせて“評価(evaluation)”
と呼んでいる。
注記3 JIS Q 17065では,“証明”の機能は,“認証文書”の規定に関連する(JIS Q 17065:2012の7.7
参照)。
5.1.2
製品認証が行われる場合には,必ず認証スキーム(3.2参照)が存在する。
5.2
製品認証スキームにおける機能及び活動
5.2.1
製品認証スキームは,5.1.1に示す機能のうち該当する各機能について,具体的な活動を規定する
ことによって構築される。表1は,これらの機能を用いて製品認証スキームを構築する方法を示し,また,
製品認証が採用されている様々な分野において用いられている活動の組合せの概要を示す。表1に示す製
品認証スキームのタイプについては,5.3に詳しく示す。
5.2.2
箇条6には,与えられた状況に対して用いる活動を決定するプロセス,及びその決定に当たって考
慮する要因を示す。
5
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表1−製品認証スキームの構築
製品認証スキームにおける適合性評価の機能及び活動a)
製品認証スキームのタイプb)
1a
1b
2
3
4
5
6
N c), d)
I
選択 該当する場合,計画及び準備の活動,規準文書など
の要求事項の特定,並びにサンプリングを含む。
x
x
x
x
x
x
x
x
II
特性の確定 該当する場合,次による。
a) 試験
b) 検査
c) 設計評価
d) サービス又はプロセスの評価
e) その他の確定活動(例えば,検証)
x
x
x
x
x
x
x
x
III
レビュー
規定要求事項が満たされたかどうかを実証するための,確
定段階で得た適合性の証拠の調査
x
x
x
x
x
x
x
x
IV
認証の決定
認証の授与,維持,拡大,縮小,一時停止又は取消し
x
x
x
x
x
x
x
x
V
証明,ライセンスの授与
a) 認証書又はその他の適合の表明の発行(証明)
x
x
x
x
x
x
x
x
b) 認証書又はその他の適合の表明の使用権の授与
x
x
x
x
x
x
x
c) 製品のバッチに対する認証書の発行
x
d) サーベイランス(VI参照)又はバッチの認証に基づ
く適合マークの使用権の授与(ライセンスの授与)
x
x
x
x
x
x
VI
サーベイランス 適用可能な場合,次による(5.3.4〜5.3.8
参照)。
a) 市場からのサンプルの試験又は検査
x
x
x
b) 工場からのサンプルの試験又は検査
x
x
x
c) 製品の生産,サービスの提供又はプロセスの運用の評
価
x
x
x
x
d) 無作為試験又は無作為検査と組み合わせたマネジメ
ントシステム監査
x
x
注a) 適用可能な場合,活動は,申請者のマネジメントシステムの初回評価及びサーベイランス(ISO/IEC Guide
53に例が示されている。),又は生産プロセスの初回評価と組み合わせることができる。評価を実施する順
番は変わってもよく,その順番はスキームで定められる。
b) よく使用されて実証済みの製品認証スキームのモデルが,ISO/IEC Guide 28に示されている。それはスキ
ームタイプ5に対応する製品認証スキームである。
c) 製品認証スキームは,少なくともI〜IV及びV a)の活動を含む。
d) 記号Nを追加したが,これは種々の活動に基づいて今後作成されるスキームのための未定義な番号である。
5.3
製品認証スキームのタイプ
5.3.1
一般
5.3.2〜5.3.8に示す製品認証スキームの例は,全てのタイプを表しているわけではない。これらは,様々
な種類の要求事項とともに用いてもよく,また,種々の適合の表明を活用してもよい(JIS Q 17000:2005
の5.2の備考1.参照)。製品認証スキームのタイプは全て,選択,確定,レビュー,決定及び証明を含む。
製品及び規定要求事項を考慮して,表1に示す確定活動の中から一つ以上を選択することが望ましい。表
1に示すスキームのタイプは,どのサーベイランス活動(該当する場合)を実施するかによって異なる。
スキームタイプ1a及び1bでは,確定活動の対象となった製品だけに対して証明が行われるため,サーベ
イランスは不要となる。他のスキームタイプについては,様々なサーベイランス活動の用い方及びそれら
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を適用できる状況の概要を,5.3.4〜5.3.8に示す。
5.3.2
スキームタイプ 1a
このスキームでは,製品の一つ以上のサンプルが確定活動の対象となる。製品の種類別に認証書又はそ
の他の適合の表明(例えば,書状)が発行され,その特性が,認証書又は認証書で言及される文書の中で
詳述される。その後に生産されるもの(item)は,認証機関の適合証明の対象外である。
サンプルは,その後に生産されるものを代表するものであり,製造業者は,その後に生産されるものが,
認証された形式に従って製造されていると述べることができる。
認証機関は,その後に生産されるものが規定要求事項に適合していることを製造業者が宣言する根拠と
して,形式認証書又はその他の適合の表明(例えば,書状)の使用権を,製造業者に授与してもよい。
5.3.3
スキームタイプ 1b
このスキームでは,スキームで規定された選択及び確定を経た後,製品のバッチ全体が認証される。試
験対象となる製品の割合は,適切な場合は,例えば,バッチ内のものの均質性及びサンプリング計画の適
用に基づき,バッチ内の全てを試験する場合(全数試験)もある。確定,レビュー及び決定の結果,適合
している場合には,バッチ内の全てのものに認証されたと記述してもよく,また,スキームで許されてい
る場合には,適合マークを貼付してもよい。
5.3.4
スキームタイプ 2
このスキームのサーベイランスでは,市場から定期的に製品のサンプルを取り,初回の証明の後に生産
されたものが規定要求事項を満たしていることを確認するために確定活動を行う。
このスキームでは,流通経路が適合性に及ぼす影響が明らかになることもあるが,必要な経営資源が甚
大になり得る。また,重大な不適合が見つかった場合,製品が既に市場に流通しているため,効果的な是
正措置が限定されることもある。
5.3.5
スキームタイプ 3
このスキームのサーベイランスでは,生産現場から定期的に製品のサンプルを取り,初回の証明の後に
生産されたものが規定要求事項を満たしていることを確認するために確定活動を行う。サーベイランスは,
生産プロセスの定期的な評価を含む。
このスキームでは,流通経路が適合性に及ぼす影響が示されない。重大な不適合が見つかった場合,市
場に広く流通する前に不適合を解決する機会が存在することもある。
5.3.6
スキームタイプ 4
このスキームのサーベイランスでは,生産現場から市場までの間,又は両方の決められたところから定
期的に製品のサンプルを取り,初回の証明の後に生産されたものが規定要求事項を満たしていることを確
認するために確定活動を行う。サーベイランスは,生産プロセスの定期的な評価を含む。
このスキームでは,流通経路が適合性に及ぼす影響を示すこと,及び市販される前に重大な不適合を特
定し解決する仕組みを提供することの両方が可能である。流通プロセスにおける適合性への影響がない製
品の場合,相当な労力の重複が生じることがある。
5.3.7
スキームタイプ 5
このスキームのサーベイランスでは,生産現場から市場までの間,又は両方の決められたところから定
期的に製品のサンプルを取り,初回の証明の後に生産されたものが規定要求事項を満たしていることを確
認するために確定活動を行う。サーベイランスは,生産プロセスの定期的な評価及び/又はマネジメント
システムの監査を含む。表1に示す四つのサーベイランス活動をどの程度行うかは,スキームに定められ
た状況によって異なってもよい。サーベイランスにマネジメントシステムの監査が含まれる場合は,初回
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の評価でもマネジメントシステムの監査が必要となる。
5.3.8
スキームタイプ 6
このスキームは,主としてサービス及びプロセスの認証に適用する。
サービスは一般的に無形と考えられるが,確定活動は,無形の要素(例えば,組織の手順の有効性,遅
延及び管理層の対応)の評価に限定されない。ある状況では,関係するプロセス,資源及び管理の評価に
よって示されたサービスの有形の要素が,適合性の証拠を裏付けることができる場合がある。例えば,公
共交通機関の品質における車両の清潔さの検査である。
プロセスについても状況は類似している。例えば,溶接プロセスに関する確定活動は,該当する場合,
溶接したサンプルの試験及び検査を含み得る。
サービス及びプロセスの両方について,このスキームのサーベイランスは,マネジメントシステムの定
期的な監査,及びサービス又はプロセスの定期的な評価を含むことが望ましい。
6
製品認証スキームの開発及び運用
6.1
一般
箇条6は,製品認証スキームの開発及び運用についての指針を示す。これは,特に,スキームを確立し
ようとする又はステークホルダとして行動する人及び組織(例えば,製造業者,サービス提供者,認証機
関,顧客又は公的機関)に関係する。
6.2
製品認証スキームと製品認証システムとの関係
製品認証スキームでは,規定された規則,手順及びマネジメントを用いる。これらは,スキームに固有
なことも,複数のスキームに適用される製品認証システムで定められていることもある。製品認証スキー
ムをもつことは常に必要であるが,複数のスキームに対して同一の規則,手順及びマネジメントが用いら
れる場合には,製品認証システムを別に定義することが必要となる。図1に,製品認証スキームと製品認
証システムとの関係を示す。
a) 固有の製品認証スキーム
b) 複数の製品認証スキームに関する製品認証システム
図1−製品認証スキームと製品認証システムとの関係
製品認証スキーム
特定の規定要求事項に関する
規則,手順及びマネジメント
製品認証システム
規則,手順及びマネジメント
製品認証スキームB
特定の規定要求事項Bに
対するシステムの適用
製品認証スキームA
特定の規定要求事項Aに
対するシステムの適用
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6.3
スキームオーナ
6.3.1
スキームオーナの主な種類は,次のとおりである。
a) 自身の依頼者だけに対して用いるために製品認証スキームを開発する,認証機関
b) 規制当局,業界団体などの認証機関ではない組織。この製品認証スキームには,一つ以上の認証機関
が参加している。
注記 異なる国の認証機関のグループが,共同で認証スキームを構築することができる。この場合,
認証機関は,スキームの共同所有者として,参加する全ての認証機関がスキームを効果的に運
用できるように,マネジメント構造を構築することが必要となる場合がある。
6.3.2
スキームオーナが複数のスキームを運用する場合,共通の手順及びマネジメントを組み合わせて製
品認証システムとしてもよい。この場合,スキームオーナは,システムオーナとなり,システムのマネジ
メント及びシステムの中で運用されるスキームに対して責任を負うことになる。
6.3.3
スキームオーナは,法人であることが望ましい。
注記 政府のスキームオーナは,その政府としての地位によって,法人であるとみなされる。
6.3.4
スキームオーナは,スキームの目的,内容及び完全性に対して全ての責任を負えることが望ましい。
6.3.5
スキームオーナは,スキームを維持し,必要な場合に指針を提供することが望ましい。
6.3.6 スキームオーナは,スキームの運用及びマネジメントのための組織構造を構築することが望ましい。
6.3.7
スキームオーナは,スキームの内容を文書化することが望ましい。
6.3.8
スキームオーナは,スキームが技術及び適合性評価の両面において力量を備えている人物によって
開発されることを確実にすることが望ましい。
6.3.9
スキームオーナは,スキームに関与する当事者から提供された情報の機密を保護するための取決め
をすることが望ましい。
6.3.10 スキームオーナは,自身の活動から生じるリスク及び/又は債務を評価し,管理することが望まし
い。
注記 リスクの評価は,JIS Q 31000に従ったリスクアセスメントを意味するものではない。
6.3.11 スキームオーナは,自身の活動から生じる債務を担保できる適切な備え(例えば,保険又は準備金)
をもつことが望ましい。この備えは,例えば,実施される活動及びスキームの範囲に対して,また,スキ
ームが運用される地域において,適切であることが望ましい。
6.3.12 スキームオーナは,財政上の安定性及びスキームの運用における自身の役割を果たすために必要な
経営資源をもつことが望ましい。
6.4
製品認証スキームの開発
6.4.1
製品認証スキームは,様々な目的で開発され得る。例えば,健康,安全又は環境保全の成果を達成
するために,規制当局がスキームを確立する場合がある。他のスキームでは,市場における製品の差別化
及び納得した購買の決定において,依頼者及び消費者を支援する場合もある。
6.4.2
目的にかかわらず,スキームオーナは,スキームを継続的に確立し,運用し,維持することに伴う
前提,影響及び結果を理解することが望ましい。
6.4.3
スキームの開発に当たって,スキームオーナは,スキームの目的,並びにスキームの必要性及び受
入れの基礎となる前提を明確に理解することが望ましい。そのためにスキームオーナは,ステークホルダ
を特定し,スキームの開発に関する意見及び参加を求めることが望ましい。
6.4.4
スキームの具体的な内容(6.5参照)を開発する前に,スキームの基本原則についてステークホル
ダの合意を得ることが望ましい。この基本原則には,次を含む場合がある。
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− オーナーシップの確認
− 統治及び意思決定のメカニズム(ステークホルダが直接関与する場合とそうでない場合とがある。)の
確認
− 基礎となる事業及び資金調達モデルの確認
− スキームの監視及び定期的レビューの概要の提供
6.4.5
スキームを開発したら,スキームオーナは,透明性,理解及び受入れを確実にするために,スキー
ムに関する情報が一般に利用できることを確実にすることが望ましい。スキームオーナは,ステークホル
ダが参画するプロセスに従って,スキームの目的を満たしていることの確認を含め,スキームを定期的に
レビューすることを確実にすることが望ましい。
6.5
スキームの内容
6.5.1
一般
製品認証スキームは,次の要素を規定することが望ましい。
a) 対象とする製品の種類を含む,スキームの適用範囲
b) 規格,他の規準文書などの,製品の評価に用いる要求事項。曖昧さを除くために要求事項を詳しく説
明することが必要な場合には,力量をもつ者がその説明を準備し,全ての利害関係者に提供できるよ
うにすることが望ましい。
注記1 規定要求事項の作成に関する指針は,ISO/IEC 17007に示されている。
c) スキームの目的及び適用範囲に対して適切な,適合性評価活動の選択(表1参照)。製品認証スキーム
は,少なくとも表1のI〜IV及びV a)に示す機能及び活動を含むことが望ましい。
d) 依頼者が満たすべき他の要求事項。例えば,規定要求事項を満たしていることの実証が,認証された
製品の継続的な生産に対しても有効であることを保証するための,マネジメントシステム又はプロセ
ス管理活動の運用。
e) 認証プロセスに関与する認証機関及び他の適合性評価機関に対する要求事項。これらの要求事項は,
適合性評価機関に対して適用される規格の要求事項と矛盾しないことが望ましい。
f)
スキームに関与する適合性評価機関(例えば,試験所,検査機関,製品認証機関,製造業者のマネジ
メントシステムを監査する機関)が,認定,同等性評価への参加,又は他の方法で適格とされること
が必要かどうか。適合性評価機関に対して認定を要求する場合には,例えば,認定機関が認定機関間
の相互承認協定のメンバーであるといった,適切な参考基準を示すことが望ましい。
g) 適合性評価機関及び認証プロセスに関与する他の組織が,適合性評価プロセスの結果の完全性及び一
貫性を保証するために用いる方法及び手順
h) 認証の申請者が認証機関に提供する情報
i)
適用する製品を明確に特定した,適合の表明(例えば,認証書)の内容
j)
依頼者が適合の表明又は適合マークを用いてもよい条件
k) 適合マークを用いる場合,マークの所有権,使用及び管理。JIS Q 17030を適用することが望ましい。
l)
スキームの運用に必要な資源。これには,要員(内部及び外部)の公平性及び力量,評価のための資
源,並びに下請負業者の使用を含む。
m) 確定(評価)段階及びサーベイランス段階の結果を報告する方法,並びに認証機関及びスキームオー
ナがそれを用いる方法
n) 認証要求事項(製品要求事項を含む。)に対する不適合の取扱方法及び解決方法
o) サーベイランスを含むスキームの場合,サーベイランスの手順
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Q 17067:2014 (ISO/IEC 17067:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
p) 適合性評価機関及び依頼者のスキームへのアクセスに対する基準
q) 認証機関又はスキームオーナが公表する,認証された製品の登録簿の内容,条件及び責任
r) 例えば,スキームオーナと認証機関との間,スキームオーナと依頼者との間,及び認証機関と依頼者
との間の,契約の必要性及び内容。契約では,様々な当事者の権利,責任及び債務を規定することが
望ましい。
注記2 認証機関と依頼者との間の契約の例が,ISO/IEC Guide 28:2004の附属書Bに示されてい
る。
s)
認証の授与,維持,継続,範囲の拡大及び縮小,一時停止,並びに取消しに関する一般的な条件。こ
れには,認証が一時停止,取消し又は終了となった場合の,広告の中止,認証文書の返却及びその他
の処置に対する要求事項を含む。
t)
依頼者の苦情の記録の検証を含むスキームの場合,それを検証する方法
u) 依頼者が自身の広報資料の中でスキームについて言及する方法
v) スキームオーナ及び認証機関による記録の保管
6.5.2
サンプリング
該当する場合,スキームは,選択及びサーベイランスの両方の段階について,認証の対象となる製品の
サンプリングが要求される範囲及びサンプリングの基準を規定することが望ましい。スキームは,サンプ
リングが要求される時期及びそれを実施することが認められる者を規定することが望ましい。
注記 サンプリングに関する有用な情報が,例えば,ISO 10576-1,ISO 2859-10,ISO 3951-1,ISO
22514-1に示されている。
6.5.3
適合性評価結果の受入れ
依頼者が,認証の申請に先立って,試験,検査,監査などの確定活動の結果を得ている場合がある。こ
のような場合,その適合性評価結果は,認証機関の契約上の管理の及ばないところから得ている場合があ
る。スキームは,このような適合性評価結果を認証プロセスで考慮できるかどうか,及び考慮できる条件
を規定することが望ましい。
6.5.4
適合性評価活動の外部委託
試験,検査,監査などの適合性評価活動の外部委託(下請負契約)を認める場合,スキームは,これら
の機関に,関連する規格の該当する要求事項を満たすよう要求することが望ましい。試験についてはJIS Q
17025,検査についてはJIS Q 17020,及びマネジメントシステムの審査についてはJIS Q 17021の該当す
る要求事項を満たすことが望ましい。スキームは,スキームオーナ又はスキームに基づき製品の認証を受
ける依頼者から得る必要のある,外部委託の必要性に対する事前の合意の程度を明示することが望ましい。
6.5.5
スキームオーナに対する苦情及び異議申立て
スキームオーナは,苦情及び異議申立てのプロセス,並びにその実行責任者を規定することが望ましい。
認証機関の決定に対する異議申立て及び認証機関に関する苦情は,最初に,認証機関に提出することが
望ましい。
認証機関によって解決されない又は解決できない異議申立て及び苦情は,スキームオーナに提出するこ
とができる。
6.5.6
ライセンスの授与及びマークの管理
スキームで認証書,マーク又はその他の適合の表明を用いる場合,その使用を管理するためのライセン
ス又は他の拘束力のある合意があることが望ましい。ライセンスは,認証された製品について伝達するに
当たっての認証書,マーク又はその他の適合の表明の使用に関する規定,及び認証が有効でなくなった場
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Q 17067:2014 (ISO/IEC 17067:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
合に満たすべき要求事項を含むことができる。このようなライセンスは,次の二者以上の間で結んでもよ
い。
− スキームオーナ
− 認証機関
− 認証機関の依頼者
6.5.7
サーベイランス
サーベイランスを含むスキームの場合,サーベイランス機能を構成する一連の活動(表1の機能VI参
照)を規定することが望ましい。適切なサーベイランス活動を決定するに当たり,スキームオーナは,製
品の性質,不適合製品の影響及び発生確率,並びにサーベイランス活動の頻度を考慮することが望ましい。
6.5.8
不適合製品
スキームは,製品のリコール,市場への情報提供などのような,製品が認証要求事項を満たさない場合
に適用する要求事項を規定することが望ましい。
注記 ISO Guide 27も参照。
6.5.9
スキームオーナへの報告
スキームオーナへの報告を要求する場合,報告させる内容及び頻度を規定することが望ましい。報告の
目的は,スキームの改善,管理及び依頼者が適合している程度の監視のための場合がある。
6.5.10 スキームの運用における下請負契約
スキームオーナがスキームの運用の全部又は一部を別の当事者に下請負契約する場合,スキームオーナ
は,両者の義務及び責任を定めた法的に拘束力のある契約を結ぶことが望ましい。政府のスキームオーナ
は,法令によってスキームの運用を下請負契約できる。
6.5.11 マーケティング
スキームは,認証機関及び依頼者がスキームについて言及できる程度を含め,マーケティングに関する
方針及び手順を規定することが望ましい。
6.5.12 認証に関する不正な主張
スキームに基づく認証が不正に主張(claim)された場合の処置及びその責任を決めておくことが望まし
い。
6.6
スキームの維持及び改善
6.6.1
スキームの運用のレビュー
スキームオーナは,スキームの有効性を確認し,改善が求められる側面を特定するために,ステークホ
ルダからのフィードバックを考慮して,スキームの運用を定期的にレビューするプロセスを規定すること
が望ましい。これには,スキーム要求事項が一貫した方法で適用されていることを確実にするための規定
を含むことが望ましい。
6.6.2
規定要求事項の変更
スキームオーナは,スキームで用いる規定要求事項を定めた規格及びその他の規準文書の作成を監視す
ることが望ましい。スキームオーナは,これらの文書に変更が生じた場合に,スキームについても必要な
変更を行い,認証機関,依頼者及び必要な場合は他のステークホルダによる変更の実施(例えば,移行期
間)を管理するためのプロセスをもつことが望ましい。
6.6.3
スキームに対するその他の変更
スキームオーナは,スキームの規則,手順及びマネジメントに対するその他の変更の実施を管理するた
めのプロセスを規定することが望ましい。
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Q 17067:2014 (ISO/IEC 17067:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.7
スキーム文書
スキームオーナは,スキームの運用,維持及び改善のために適切な文書を作成,管理及び維持すること
が望ましい。文書では,スキームの規則及び運用手順,並びに特にスキームの統治に対する責任を定める
ことが望ましい。
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Q 17067:2014 (ISO/IEC 17067:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] ISO 2859-10,Sampling procedures for inspection by attributes−Part 10: Introduction to the ISO 2859 series of
standards for sampling for inspection by attributes
[2] ISO 3951-1,Sampling procedures for inspection by variables−Part 1: Specification for single sampling plans
indexed by acceptance quality limit (AQL) for lot-by-lot inspection for a single quality characteristic and a
single AQL
[3] ISO 10576-1,Statistical methods−Guidelines for the evaluation of conformity with specified requirements−
Part 1: General principles
[4] ISO/IEC 17007,Conformity assessment−Guidance for drafting normative documents suitable for use for
conformity assessment
[5] JIS Q 17020 適合性評価−検査を実施する各種機関の運営に関する要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17020,Conformity assessment−Requirements for the operation of various
types of bodies performing inspection(IDT)
[6] ISO/IEC 17021規格群,Conformity assessment−Requirements for bodies providing audit and certification of
management systems
[6a] JIS Q 17021 適合性評価−マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17021,Conformity assessment−Requirements for bodies providing audit
and certification of management systems(IDT)
[7] JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and calibration
laboratories(IDT)
[8] JIS Q 17030 適合性評価−第三者適合マークに対する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17030,Conformity assessment−General requirements for third-party
marks of conformity(IDT)
[9] ISO 22514-1,Statistical methods in process management−Capability and performance−Part 1: General
principles and concepts
[10] JIS Q 31000 リスクマネジメント−原則及び指針
注記 対応国際規格:ISO 31000,Risk management−Principles and guidelines(IDT)
[11] ISO Guide 27:1983,Guidelines for corrective action to be taken by a certification body in the event of misuse
of its mark of conformity
[12] ISO/IEC Guide 28:2004,Conformity assessment−Guidance on a third-party certification system for products
[13] ISO/IEC Guide 53,Conformity assessment−Guidance on the use of an organization's quality management
system in product certification
[14] ISO/IEC Guide 68,Arrangements for the recognition and acceptance of conformity assessment results