Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 2
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 一般要求事項 ··················································································································· 4
4.1 法的事項 ······················································································································ 4
4.2 認証の決定に対する責任 ································································································· 4
4.3 公平性のマネジメント ···································································································· 4
4.4 財務及び債務 ················································································································ 5
5 組織運営機構に関する要求事項 ··························································································· 6
5.1 マネジメント及び組織構造 ······························································································ 6
5.2 訓練に関する認証機関の組織運営機構················································································ 6
6 資源に関する要求事項 ······································································································· 6
6.1 従事者に関する一般要求事項 ··························································································· 6
6.2 認証活動に関与する従事者 ······························································································ 7
6.3 外部委託 ······················································································································ 8
6.4 その他の資源 ················································································································ 8
7 記録及び情報に関する要求事項 ··························································································· 8
7.1 申請者,候補者及び認証された要員の記録 ·········································································· 8
7.2 情報の開示 ··················································································································· 8
7.3 機密保持 ······················································································································ 8
7.4 セキュリティ ················································································································ 9
8 認証スキーム ··················································································································· 9
9 認証プロセス要求事項 ······································································································ 10
9.1 申請プロセス ··············································································································· 10
9.2 評価プロセス ··············································································································· 11
9.3 試験プロセス ··············································································································· 11
9.4 認証の決定 ·················································································································· 11
9.5 認証の一時停止,取消し又は認証範囲の縮小 ······································································ 12
9.6 再認証プロセス ············································································································ 12
9.7 証明書,ロゴ及びマークの使用 ······················································································· 13
9.8 認証の決定に対する異議申立て ······················································································· 13
9.9 苦情 ··························································································································· 14
10 マネジメントシステム要求事項 ························································································ 14
10.1 一般 ·························································································································· 14
Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012) 目次
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ページ
10.2 マネジメントシステムに対する一般要求事項 ···································································· 15
附属書A(参考)要員認証機関及び認証活動に関する原則 ·························································· 18
参考文献 ···························································································································· 20
Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
(3)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS Q 17024:2004は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Q 17024:2012
(ISO/IEC 17024:2012)
適合性評価−
要員の認証を実施する機関に対する一般要求事項
Conformity assessment-
General requirements for bodies operating certification of persons
序文
この規格は,2012年に第2版として発行されたISO/IEC 17024を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項であるが規定内容の理解
の促進のために補足した事項である。
この規格は,要員の認証を運営する組織のため世界的に受け入れられたベンチマークを確立し促進する
目的で作成された。要員に対する認証は,認証された要員が認証スキームの要求事項を満たしていること
を保証する手段の一つである。それぞれの認証スキームに対する信頼は,認証された要員の力量の評価及
び定期的な再評価についての世界的に受け入れられたプロセスによって達成される。
しかし,要員認証スキームが妥当とされる状況と,他の形式の資格付与のほうが適切な状況とを識別す
る必要がある。要員認証スキームの開発は,技術革新の急速な進行及び要員の専門化の高まりに応えて,
教育及び訓練におけるばらつきを補い,世界規模の雇用市場の形成に寄与することができる。公共サービ
ス,公的な又は行政の業務に関しては,依然として認証に替わる方策が必要なことがある。
他の種類の適合性評価機関,例えば,マネジメントシステム認証機関との対比において,要員認証機関
の特徴的な機能の一つは試験を行うことであり,この試験は力量の測定及び採点について客観的基準を用
いる。このような試験は,要員認証機関によって十分に計画され組み立てられているならば,運営の公平
性を確実にし利害抵触のリスクを減らす役割を大いに果たし得ると認識されているが,この規格には追加
の要求事項も含めた。
いずれにしても,国内及び国際レベルでの承認の受入れを促進するために,この規格を,要員認証機関
及び要員認証スキームの承認の基礎とすることができる。要員認証スキームを開発し維持するシステムを
整合化してこそ,相互承認及び世界的な要員の交流のための環境を確立することができる。
この規格は,要員認証スキームを運営する要員認証機関が,整合性,同等性及び信頼性のある方法で運
営することを確実にする要求事項を規定する。この規格の要求事項は,要員の認証を提供する機関に対す
る一般要求事項と考えられている。要員の認証は,認証スキームが存在して初めて行うことができる。認
証スキームは,この規格の要求事項を補足するように設計され,また,市場のニーズ若しくは要望,又は
政府による要求事項を含めるように設計される。
この規格は,認定,同等性評価,又は政府関係当局,スキームオーナ,その他による指名のための基準
文書として使用することができる。
2
Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
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1
適用範囲
この規格は,特定の要求事項に照らして要員を認証する機関に対する一般要求事項について規定し,ま
た,原則について記載する。これには,要員認証スキームの開発及び維持を含む。
注記1 この規格では,“要員認証機関”という完全な用語の代わりに“認証機関”という用語を,ま
た,“要員認証スキーム”という完全な用語の代わりに“認証スキーム”という用語を用いる。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 17024:2012,Conformity assessment−General requirements for bodies operating
certification of persons(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Q 17000 適合性評価−用語及び一般原則
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17000,Conformity assessment−Vocabulary and general principles(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 17000によるほか,次による。
3.1
認証プロセス(certification process)
要員が認証要求事項(3.3参照)を満たしていることを認証機関が確定する活動であって,申請,評価,
認証の決定,再認証,並びに証明書(3.5参照)及びロゴ又はマークの使用を含む。
3.2
認証スキーム(certification scheme)
要員の特定の職業又は技能カテゴリに関する,力量(3.6参照)要求事項及びその他の要求事項。
注記 その他の要求事項については,8.3及び8.4を参照。
3.3
認証要求事項(certification requirements)
認証を確立するか又は維持するために満たさなければならない一連の規定要求事項で,スキームの要求
事項を含む。
3.4
スキームオーナ(scheme owner)
認証スキーム(3.2参照)の開発及び維持に責任をもつ組織。
注記 この組織は,認証機関自身,政府関係当局,その他であり得る。
3.5
証明書(certificate)
この規格の規定に基づいて認証機関が発行する文書であって,記名された要員が認証要求事項(3.3参照)
を満たしたことを示すもの。
注記 9.4.7を参照。
3
Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.6
力量(competence)
意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。
3.7
適格性(qualification)
該当する場合,実証された教育,訓練,及び業務経験。
3.8
評価(assessment)
認証スキーム(3.2参照)の要求事項を要員が満たしていることを評価するプロセス。
3.9
試験(examination)
評価(3.8参照)の一部を成す仕組みであって,候補者(3.14参照)の力量(3.6参照)を,認証スキー
ム(3.2参照)の規定に従って,筆記,口述,実技,観察などの一つ又は複数の手段で測定すること。
3.10
試験員(examiner)
試験が専門的判断を必要とする場合,試験(3.9参照)を実施及び採点する力量をもつ者。
3.11
試験監督員(invigilator)
認証機関によって権限を与えられた者で,試験(3.9参照)の運営管理又は監督を行うが,候補者(3.14
参照)の力量(3.6参照)の評価は行わない者。
注記 対応国際規格の注記では,英語の語句の語義について説明しているが,この規格では不要であ
り,削除した。
3.12
従事者(personnel)
認証機関の活動を実施する,認証機関の内部又は外部の個人。
注記 従事者には,委員会のメンバー及びボランティアを含む。
3.13
申請者(applicant)
認証プロセス(3.1参照)に入ることが認められるように申請を提出した要員。
3.14
候補者(candidate)
規定された前提条件を満たしており,認証プロセス(3.1参照)に入ることが認められた申請者(3.13
参照)。
3.15
公平性(impartiality)
客観性があること。
注記1 客観性とは,利害抵触がないか,又は認証機関の事後の活動に悪影響を及ぼすことがないよ
う,利害抵触が解決されていることを意味する。
注記2 公平性の要素を伝えるのに有用なその他の用語には,独立性,利害抵触がないこと,偏見が
ないこと,先入観がないこと,中立,公正,心が広いこと,公明正大,利害との分離,及び
4
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均衡がある。
3.16
公正(fairness)
認証プロセス(3.1参照)において各候補者(3.14参照)に与えられる,成功への同等の機会。
3.17
妥当性(validity)
測定しようと意図しているものが,評価(3.8参照)によって,認証スキーム(3.2参照)で定義された
とおりに測定されているという証拠。
注記 この規格では,妥当性の形容詞である“妥当(valid)”を用いることもある。
3.18
信頼性(reliability)
試験時間,試験場所,試験形態及び試験員(3.10参照)の違いにかかわらず,試験(3.9参照)の採点が
整合している程度を示す指標。
3.19
異議申立て(appeal)
申請者(3.13参照),候補者(3.14参照)又は認証された要員からの要請であって,その希望する認証の
地位に関し認証機関が下した決定について再考を求めること。
3.20
苦情(complaint)
認証機関の活動又は認証された要員に関し,個人又は組織が,認証機関に対して回答を期待して行う不
満の表明で,異議申立て(3.19参照)以外のもの。
注記 JIS Q 17000:2005の6.5参照。
3.21
利害関係者(interested party)
認証された要員又は認証機関のパフォーマンスによって影響を受ける,個人,グループ又は組織。
例 認証された要員,認証された要員が提供するサービスの利用者,認証された要員の雇用者,消費
者,政府関係当局
3.22
サーベイランス(surveillance)
認証スキームに引き続き適合していることを確実にするために,認証期間内において行う,認証された
要員のパフォーマンスの定期的な監視。
4
一般要求事項
4.1
法的事項
認証機関は,その認証活動に法的責任を負うことができる法人又は法人の明確な一部でなければならな
い。政府の認証機関は,その政府としての地位によって,法人であるとみなされる。
4.2
認証の決定に対する責任
認証機関は,認証の授与,維持,再認証,認証範囲の拡大及び縮小,一時停止,並びに取消しを含む,
認証に関する決定に責任を負い,権限をもたなければならず,また,これを委譲してはならない。
4.3
公平性のマネジメント
5
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4.3.1
認証機関は,公平性を管理するために,また,認証活動が公平に行われることを確実にするために,
その組織構造,方針及び手順を文書化しなければならない。認証活動において,認証機関には,公平性に
対するトップマネジメントのコミットメントがなければならない。認証機関は,認証活動における公平性
の重要性を理解し,利害抵触を管理し,認証活動の客観性を確実にすることを宣言する書面をもち,要求
がなくても一般にアクセスできるようにしなければならない。
4.3.2
認証機関は,申請者,候補者及び認証された要員との関係において,公平に行動しなければならな
い。
4.3.3
要員認証のための方針及び手順は,全ての申請者,候補者及び認証された要員の間で,公正でなけ
ればならない。
4.3.4
認証は,不当な財務的又はその他の制約条件,例えば,協会又はグループにおける会員資格の有無
によって,限定されてはならない。認証機関は,申請者及び候補者によるアクセスを不正に遅らせたり又
は妨げたりするために,手順を用いてはならない。
4.3.5
認証機関は,認証活動の公平性に責任をもち,公平性を損なう商業的,財務的又はその他の圧力を
許してはならない。
4.3.6
認証機関は,その公平性に対する脅威を継続的に特定しなければならない。これには,認証機関の
活動,認証機関の関連機関,認証機関が他との関係をもつこと,又は従事者が他との関係をもつことから
生じる脅威を含む。ただし,このような関係をもつことは,認証機関にとって必ずしも公平性に対する脅
威となるとは限らない。
注記1 認証機関の公平性に対する脅威となる関係としては,所有,統治,マネジメント,従事者,
共有資源,財務,契約,マーケティング(ブランド構築を含む。),及び売上手数料の支払い
又は新規申請者の紹介に関わるその他の誘引条件に基づく関係が挙げられる。
注記2 公平性に対する脅威は,実在するものでも,そのように認識されているものでもあり得る。
注記3 関連機関とは,認証機関と所有者とが全部若しくは一部共通であることによって関係のある
機関,役員会に共通の役員をもつ機関,契約上の取決めを結んでいる機関,共通の名称をも
つ機関,共通の従事者をもつ機関,非公式な了解事項をもつ機関,又は認証の決定における
既得権をもつような若しくはそのプロセスに影響を与える潜在的能力をもつような他の手段
をもっている機関である。
4.3.7
認証機関は,その認証活動から生じる潜在的な利害抵触を分析し,文書化し,排除又は最小化しな
ければならない。認証機関は,その脅威をどのように排除,最小化,又は管理するかを文書化し実証でき
なければならない。利害抵触が,従事者への責任の割当てのように認証機関の内部から生じるか,他の個
人,団体又は組織の活動から生じるかにかかわらず,特定される利害抵触の全ての潜在的な発生源を網羅
しなければならない。
4.3.8
認証活動は,公平性が確保されるように組織され,管理されなければならない。これには,利害関
係者(3.21参照)による均衡のとれた関与を含まなければならない。
4.4
財務及び債務
認証機関は,認証プロセスの運営に必要な財務資源をもたなければならない。また,関連する債務を担
保できる適切な処置(例えば,保険又は準備金)を講じなければならない。
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5
組織運営機構に関する要求事項
5.1
マネジメント及び組織構造
5.1.1
認証機関の活動は,公平性が確保されるように組織され,管理されなければならない。
5.1.2
認証機関は,経営層,認証に関わる従事者及び全ての委員会の,責務,責任及び権限について記述
した組織構造を,文書化しなければならない。認証機関が,ある法人の明確な一部である場合,その組織
構造を示す文書には,同じ法人内における権限系統及び他の部門との関係を含まなければならない。
次の事項に責任をもつグループ又は個人を特定しなければならない。
a) 認証機関の運営に関する方針及び手順
b) 方針及び手順の実施
c) 認証機関の財務
d) 認証活動のための資源
e) 認証スキームの開発及び維持
f)
評価活動
g) 認証の授与,維持,再認証,拡大,縮小,一時停止及び取消しを含む,認証の決定
h) 契約上の取決め
5.2
訓練に関する認証機関の組織運営機構
5.2.1
訓練の修了を,認証スキーム(8.3参照)の規定要求事項としてもよい。認証機関が訓練を認知又
は承認することで,公平性を損なうことになったり,評価及び認証要求事項を軽減したりしてはならない。
5.2.2
教育及び訓練を,認証を受ける資格を得るための前提条件とする場合,認証機関は,これらの教育
及び訓練に関する情報を提供しなければならない。ただし,認証機関は,特定の教育・訓練サービスを用
いれば,認証が簡単,容易,又は廉価になると明示又は暗示してはならない。
5.2.3
同じ法人内で要員に対する訓練及び認証の両方を行うことは,公平性に対する脅威となる。認証機
関は,訓練を行う法人の一部である場合,次の事項を行わなければならない。
a) 公平性への関連する脅威を継続的に特定し,文書化する。これらの脅威をどのように排除し又は最小
化するかを実証する,文書化したプロセスをもつ。
b) 機密保持,情報セキュリティ及び公平性を損なわないことを確実にするために,認証機関が行う全て
のプロセスが訓練とは独立していることを実証する。
c) 訓練及び認証の両方のサービスを用いることが,申請者に何らかの利益をもたらす印象を与えない。
d) 同等の成果をもたらす代替の教育又は訓練がある場合,排他的な前提条件として,候補者に認証機関
自身の教育又は訓練を修了することを要求しない。
e) 従事者が訓練活動を行った場合,それが終了してから2年間は,自身が訓練を行った特定の候補者の
試験員とならないことを確実にする。公平性を損なわないと認証機関が実証する場合,この期間を短
縮してもよい。
6
資源に関する要求事項
6.1
従事者に関する一般要求事項
6.1.1
認証機関は,認証プロセスに関与する全ての従事者のパフォーマンスを管理し,責任をもたなけれ
ばならない。
6.1.2
認証機関は,認証機能を遂行するために,業務の種類,範囲及び量に対応して必要な力量をもつ,
十分な数の従事者を利用できなければならない。
7
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6.1.3
認証機関は,認証プロセスに関与する従事者の力量要求事項を定めなければならない。従事者は,
それぞれの特定の業務及び責任について力量をもたなければならない。
6.1.4
認証機関は,従事者に対し,その責務及び責任を記述した指示書を提供しなければならない。これ
らの指示書は,最新の状態に保たれなければならない。
6.1.5
認証機関は,例えば,適格性,訓練,経験,専門的所属,専門的地位,力量,既知の利害抵触など
の関連情報を含む,従事者の最新の記録を維持しなければならない。
6.1.6
認証機関のために活動する従事者は,法律で要求される場合,又は申請者,候補者若しくは認証さ
れた要員から認められた場合を除き,機関の認証活動の実施の過程で得られた又は生じた全ての情報につ
いて機密を守らなければならない。
6.1.7
認証機関は,従事者に対し,認証機関が規定する規則の順守を誓約する文書に署名することを要求
しなければならない。この規則には,機密保持,公平性及び利害抵触に関する事項を含む。
注記 法律によって認められる場合,電子的署名を含む他の方法でもよい。
6.1.8
認証機関は,自身が雇用している要員を認証する場合,公平性を維持するための手順を採用しなけ
ればならない。
6.2
認証活動に関与する従事者
6.2.1
一般
認証機関は,従事者に対し,候補者との潜在的な利害抵触がある場合は,その旨を申告するように要求
しなければならない。
6.2.2
試験員に対する要求事項
6.2.2.1
試験員は,認証機関の要求事項を満たさなければならない。選定及び承認プロセスは,試験員が
次の事項を満たすことを確実にするものでなければならない。
a) 関係する認証スキームを理解している。
b) 試験の手順及び文書を適用できる。
c) 試験する分野について力量をもっている。
d) 試験に用いる言語に関して,筆記及び口述が流ちょう(暢)である。通訳又は翻訳者を用いる場合,
認証機関は,試験の妥当性に影響を与えないことを確実にする手順をもっていなければならない。
e) 公平な判断が行われることを確実にするために,既知の利害抵触が特定されている。
6.2.2.2
認証機関は,試験員のパフォーマンス及び試験員の判断の信頼性を監視しなければならない。欠
点が見つかった場合は,是正処置をとらなければならない。
注記 試験員に対する監視手順には,例えば,現地での観察,試験員の報告書のレビュー,候補者か
らのフィードバックを含むことができる。
6.2.2.3
候補者の試験において,試験員に潜在的な利害抵触がある場合,認証機関は,試験の機密保持及
び公平性を損なわないことを確実にするための手段をとらなければならない。これらの手段は,記録しな
ければならない。
6.2.3
評価に関与する試験員以外の従事者に対する要求事項
6.2.3.1
認証機関は,評価プロセスに関与する試験員以外の従事者(例えば,試験監督員)の責任及び適
格性について記述した文書をもたなければならない。
6.2.3.2
候補者の試験において,評価に関与する試験員以外の従事者に潜在的な利害抵触がある場合,認
証機関は,試験の機密保持及び公平性を損なわないことを確実にするための手段をとらなければならない。
これらの手段は,記録しなければならない。
8
Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.3
外部委託
6.3.1
認証機関は,認証プロセスに関わる外部委託業務を提供する各機関との間に,機密保持及び利害抵
触を含む各種取決めを内容とする,法的に拘束力のある合意を結んでいなければならない。
注記 この規格では,“外部委託”と“下請負契約”という用語は,同義語であるとみなす。
6.3.2
認証機関が認証に関わる業務を外部委託する場合,認証機関は,次の事項を行わなければならない。
a) 外部委託した全ての業務に対し全面的な責任を負う。
b) 外部委託した業務を実施する機関が,力量をもち,この規格の該当する規定に適合することを確実に
する。
c) 外部委託した業務を実施する機関のパフォーマンスを,文書化された手順に従って評価及び監視する。
d) 外部委託した業務を実施する機関が,外部委託した業務に関する全ての要求事項を満たすことを実証
するための記録を残す。
e) 外部委託した業務を実施する機関のリストを維持する。
6.4
その他の資源
認証機関は,認証活動の実施に当たって,試験会場,機器及び資源を含む適切な施設を用いなければな
らない。
7
記録及び情報に関する要求事項
7.1
申請者,候補者及び認証された要員の記録
7.1.1
認証機関は,記録を維持しなければならない。記録には,認証された要員の地位を確認する手段を
含めなければならない。記録は,特に申請書,評価報告書(試験記録を含む。),並びに認証の授与,維持,
再認証,認証範囲の拡大・縮小,一時停止及び取消しに関するその他の文書について,認証又は再認証の
プロセスが効果的に実施されたことを実証するものでなければならない。
7.1.2
記録は,業務プロセスの完全性及び情報の機密性を確実にする方法で識別し,管理し,処分しなけ
ればならない。記録は,適切な期間,少なくとも一つの完全な認証周期の間,又は承認の取決め,契約上,
法律上,若しくはその他の義務で要求される場合はその期間,保持しなければならない。
7.1.3 認証機関は,認証要求事項を継続的に満たす要員の能力に影響を与える可能性のある事項について,
認証された要員が,認証機関に対し遅滞なく通知することを要求する,拘束力のある取決めをもたなけれ
ばならない。
7.2
情報の開示
7.2.1
認証機関は,ある個人の認証が最新かつ有効かどうか,及びその認証の範囲を,要請に応じて検証
し,情報を提供しなければならない。ただし,そのような情報を開示しないことが法律で要求されている
場合を除く。
7.2.2
認証機関は,認証スキームの範囲及び認証プロセスの一般的な記述に関する情報を,要求がなくて
も一般に入手できるようにしなければならない。
7.2.3
認証スキームの全ての前提条件はリスト化し,そのリストは要求がなくても一般に入手できるよう
にしなければならない。
7.2.4
認証機関が提供する情報は,広告を含め,正確でなければならず,誤解を招くものであってはなら
ない。
7.3
機密保持
7.3.1 認証機関は,情報の維持及び開示についての文書化された方針及び手順を確立しなければならない。
9
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.3.2
認証機関は,法的に拘束力のある合意を通じて,認証プロセスの過程で得られた全ての情報を機密
にしなければならない。これらの合意は,全ての従事者を対象としなければならない。
7.3.3
認証機関は,法律によって情報の開示が要求される場合を除き,認証プロセスの過程で得られた情
報,並びに申請者,候補者及び認証された要員以外の情報源から得られた情報を,その個人(申請者,候
補者又は認証された要員)の書面による同意なしで権限を与えられていない者に開示しないことを確実に
しなければならない。
7.3.4
認証機関が法律によって機密情報の開示を求められた場合,認証機関がどのような情報を提供する
かについて,法律によって禁止されない限り該当する要員に知らせなければならない。
7.3.5
認証機関は,関連機関の活動が機密保持を損なわないことを確実にしなければならない。
7.4
セキュリティ
7.4.1
認証機関は,認証プロセス全体を通じてセキュリティを確実にするために必要な方針及び手順を開
発し,文書化しなければならない。また,セキュリティへの違反が生じたときに是正処置をとるための手
段をもたなければならない。
7.4.2
セキュリティの方針及び手順は,次の事項を考慮し,試験材料のセキュリティを確実にする規定を
含まなければならない。
a) 材料の場所(例えば,輸送,電子的配送,廃棄,保管,試験会場)
b) 材料の種類(例えば,電子媒体,紙媒体,試験機器)
c) 試験プロセスの各段階(例えば,開発,運営管理,結果報告)
d) 試験材料の反復使用から生じる脅威
7.4.3
認証機関は,次の事項を行うことによって,不正な試験が行われることを防止しなければならない。
a) 候補者に対し,機密の試験材料を開示せず,不正な試験の実施に加担しないというコミットメントを
示した,機密保持又はその他の合意書に署名することを要求する。
b) 試験監督員又は試験員に,試験への立会いを要求する。
c) 候補者の本人確認を行う。
d) 認められていない支援手段が,試験が実施される場所に持ち込まれることを防止するための手順を実
施する。
e) 候補者が試験中に認められていない支援手段を利用することを防止する。
f)
不正行為を示唆するものがないか,試験の結果を監視する。
8
認証スキーム
8.1
認証の各カテゴリについて,認証スキームがなければならない。
8.2
認証スキームは,次の要素を含まなければならない。
a) 認証の範囲
b) 職務及び業務の内容
c) 要求される力量
d) 能力(該当する場合)
e) 前提条件(該当する場合)
f)
行動規範(該当する場合)
注記1 能力には,視覚,聴覚,機動性などの身体的能力が含まれ得る。
注記2 行動規範は,スキームによって要求される倫理的な又は個人的な行動について記述したもの
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である。
8.3
認証スキームは,次の認証プロセス要求事項を含まなければならない。
a) 初回の認証及び再認証のための基準
b) 初回の認証及び再認証のための評価方法
c) サーベイランスの方法及び基準(該当する場合)
d) 認証の一時停止及び取消しのための基準
e) 認証の範囲又は等級を変更するための基準(該当する場合)
8.4
認証機関は,認証スキームの開発及びレビューにおいて,次の事項が含まれていることを実証する
ための文書をもたなければならない。
a) 適切な専門家の関与
b) 重要な関係をもつ全ての関係者の利害を,何らかの利害が支配的になることなく,公正に代表する適
切な構造の使用
c) 前提条件の特定,及び該当する場合には,力量要求事項との整合
d) 評価の仕組みの特定及び力量要求事項との整合
e) 次の事項のために実施及び更新される,職務分析又は実務分析
− 首尾よいパフォーマンスのための業務を特定する。
− 各業務に必要な力量を特定する。
− 前提条件を特定する(該当する場合)。
− 評価の仕組み及び試験の内容を確認する。
− 再認証の要求事項及び間隔を特定する。
注記 認証機関以外のものによって認証スキームが開発されている場合,職務分析又は実務分析は,
このような作業の一部として既に利用できることがある。この場合,認証機関は,検証のため
に,スキーム文書から詳細を得ることができる。
8.5
認証機関は,認証スキームが継続的かつ系統的にレビュー及び妥当性確認されていることを確実に
しなければならない。
8.6
認証機関自身が,実施する認証スキームのスキームオーナでない場合,認証機関は,箇条8に規定
する要求事項が満たされていることを確実にしなければならない。
9
認証プロセス要求事項
9.1
申請プロセス
9.1.1
認証機関は,申請時に認証スキームに従って認証プロセスの概要を利用できるようにしなければな
らない。この概要には,少なくとも,認証のための要求事項,認証範囲,評価プロセスの記述,申請者の
権利,認証された要員の責務及び料金を含めなければならない。
9.1.2
認証機関は,認証を求める申請者に対し,申請書に漏れなく記入し,署名することを要求しなけれ
ばならない。申請書には,少なくとも次の事項を含む。
a) 氏名,住所及び認証スキームが要求するその他の情報のような,申請者を特定するために必要な情報
b) 申請者が求める認証範囲
c) 申請者が,認証要求事項に適合し,評価に必要な全ての情報を提供することに同意することの表明
d) スキームの前提条件に適合していることを客観的に実証するための支援情報
e) 妥当な範囲で,特別な要望への配慮の要請を表明する機会があることの,申請者に対する通知(9.2.5
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参照)
注記 法律によって認められる場合,電子的署名を含む他の方法でもよい。
9.1.3
認証機関は,申請者が認証スキームの申請要求事項に適合していることを確認するために,申請書
をレビューしなければならない。
9.2
評価プロセス
9.2.1
認証機関は,認証スキームの規定に従って,特定の評価の方法及び仕組みを実施しなければならな
い。
9.2.2
認証スキームにおいて追加の評価を必要とする変更が生じた場合,認証機関は,認証された要員が
変更された要求事項に適合していることを検証するために必要な,特定の方法及び仕組みを文書化し,要
求がなくても一般にアクセスできるようにしなければならない。
注記 この検証を行うために,再認証を利用することができる。
9.2.3
評価は,候補者の力量を確認するために得られた証拠文書によって,スキーム要求事項を客観的か
つ体系的に検証することを確実にするように計画し,構成しなければならない。
9.2.4
認証機関は,候補者を評価する方法を検証しなければならない。この検証では,各評価が公正かつ
妥当であることを確実にしなければならない。
9.2.5
認証機関は,妥当な範囲で,かつ,評価の完全性が損なわれない場合は,国の規制を考慮して特別
な要望[9.1.2 e)を参照]を検証し,配慮しなければならない。
9.2.6
別の機関によって実施された作業を認証機関が考慮する場合,結果が同等かつ認証スキームで定め
られた要求事項に適合していることを実証するために,適切な報告書,データ及び記録をもたなければな
らない。
9.3
試験プロセス
9.3.1
試験は,スキームに基づき,これと整合して,筆記,口述,実技,観察又はその他の信頼できる客
観的な手段で,力量を評価するように設計しなければならない。試験で要求する事項の設計は,合否決定
の妥当性を含め,内容及び難易度に関して,各試験の結果に同等性のあることを確実にするものでなけれ
ばならない。
9.3.2
認証機関は,一貫性のある試験の運営管理を確実にするための手順をもたなければならない。
9.3.3
試験を運営管理するための条件に関する基準を確立し,文書化し,監視しなければならない。
注記 条件には,照明,気温,候補者同士の分離,騒音,候補者の安全などが含まれる。
9.3.4
試験プロセスで技術的機器を用いる場合,必要に応じて,機器の検証又は校正を行わなければなら
ない。
9.3.5
各試験の公正さ,妥当性,信頼性及び一般的パフォーマンス,並びに特定された全ての欠点が是正
されることを,正当な規定の間隔で再確認するために,適切な方法論及び手順(例えば,統計的なデータ
の収集及び維持)を文書化し,実施しなければならない。
9.4
認証の決定
9.4.1
認証プロセスの過程で収集した情報は,次の目的にとって十分なものでなければならない。
a) 認証機関が,認証の決定を行う。
b) 例えば,異議申立て,苦情などの場合にトレーサビリティがある。
9.4.2
認証の授与,維持,再認証,認証範囲の拡大及び縮小,一時停止並びに取消しに関する決定は,外
部委託してはならない。
9.4.3
認証機関は,認証スキームの要求事項に関わる事項だけに限定して,認証の決定を行わなければな
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らない。
9.4.4
候補者の認証の決定は,認証プロセスの過程で収集された情報に基づき,認証機関だけが行わなけ
ればならない。認証の決定を行う従事者は,当該候補者の試験又は訓練に携わった者であってはならない。
9.4.5
認証の決定を行う従事者は,認証要求事項が満たされているかどうかを確定するのに十分な,認証
プロセスに関する知識及び経験をもたなければならない。
9.4.6
全ての認証要求事項が満たされるまでは,認証を授与してはならない。
9.4.7
認証機関は,全ての認証された要員に証明書を交付しなければならない。認証機関は,証明書の唯
一の所有権者であることを維持しなければならない。証明書は,認証機関の責任者によって署名又は承認
された,書状,カード又は他の媒体の形式でなければならない。
9.4.8
証明書は,少なくとも次の情報を含まなければならない。
a) 認証された要員の氏名
b) 固有の識別
c) 認証機関の名称
d) 認証スキーム,規格又はその他の関連文書の引用。該当する場合は,その発行日を含む。
e) 認証範囲。該当する場合は,有効性に関する条件及び制約事項を含む。
f)
認証の発効日及び失効日。
9.4.9
証明書は,偽造のリスクを低減するようにデザインしなければならない。
9.5
認証の一時停止,取消し又は認証範囲の縮小
9.5.1
認証機関は,認証の一時停止,取消し,又は認証範囲の縮小に関する方針及び文書化された手順を
もち,その方針及び手順において,その決定に引き続く処置を規定しなければならない。
9.5.2
一時停止の原因となった問題が,認証機関が定めた期間内に解決されないときは,認証の取消し又
は認証範囲の縮小をしなければならない。
9.5.3
認証機関は,認証を一時停止する場合,認証が一時停止されている間,認証された要員がその認証
について宣伝を控えることを確実にする拘束力のある取決めを,認証された要員との間でもたなければな
らない。
9.5.4
認証機関は,認証を取り消す場合,認証された要員が認証された地位に対する全ての言及を控える
ことを確実にする拘束力のある取決めを,認証された要員との間でもたなければならない。
9.6
再認証プロセス
9.6.1
認証機関は,認証スキームの要求事項に従って再認証プロセスを実施するための,文書化された手
順をもたなければならない。
9.6.2
認証機関は,再認証プロセスの過程で,認証された要員が継続して力量をもち,最新のスキーム要
求事項に適合していることを確認することを確実にしなければならない。
9.6.3
再認証の周期は,スキーム要求事項に基づかなければならない。再認証の周期の根拠は,該当する
場合,次の事項を考慮しなければならない。
a) 規制要求事項
b) 規準文書の変更
c) 関連するスキーム要求事項の変更
d) 認証された要員が従事する業界又は分野の性質及び成熟度
e) 力量のない要員に起因するリスク
f)
技術及び認証された要員に対する要求事項の継続的変化
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g) 利害関係者の要求事項
h) スキームで要求される場合は,サーベイランス活動の頻度及び内容
9.6.4
選択した再認証活動は,認証された要員が継続して力量をもっていることを確認するための公平な
評価が行われることを確実にするために,適切でなければならない。
9.6.5
認証機関による再認証は,認証スキームに従って,少なくとも次の事項を考慮しなければならない。
a) 現地での評価
b) 専門能力開発
c) 組み立てられた面談
d) 継続して成功裏に業務を行っていることの確認及び業務経験の記録の確認
e) 試験
f)
力量に関連する身体的能力の確認
注記 “身体的能力”は,医療専門家,又は身体的な技能(器用さ,体力,持久力など)及び認証に
必要な技術的パフォーマンスの技能を評価する資格を与えられた専門家による評価が要求され
る場合がある。
9.7
証明書,ロゴ及びマークの使用
9.7.1
認証マーク又はロゴを提供する認証機関は,使用のための条件を文書化し,使用及び表示の権利を
適切に管理しなければならない。
注記 JIS Q 17030は,第三者マークの使用に関する要求事項について規定している。
9.7.2
認証機関は,次の理由のため,認証された要員が合意書に署名するよう要求しなければならない。
a) 認証スキームの関係条項に従う。
b) 授与された認証範囲に関してだけ,認証に関する主張を行う。
c) 認証機関の社会的評価を損なうような方法で認証を用いず,また,誤解を招く又は認められていない
と認証機関がみなす表明を認証に関して行わない。
d) 認証の一時停止又は取消しがあった場合は,認証機関又は認証への言及を含む全ての主張を中止し,
認証機関の発行した証明書を返却する。
e) 誤解を招きやすい方法で証明書を用いない。
注記 法律によって認められる場合,電子的署名を含む他の方法でもよい。
9.7.3
認証機関は,認証マーク又はロゴのいかなる誤用に対しても,是正手段をもって対応しなければな
らない。
9.8
認証の決定に対する異議申立て
9.8.1
認証機関は,異議申立てを受領し,評価し,異議申立てに関して決定するための文書化されたプロ
セスをもたなければならない。異議申立て処理プロセスは,少なくとも次の要素及び方法を含まなければ
ならない。
a) 異議申立ての受領,妥当性の確認,及び調査に関するプロセス,並びに以前の同様な異議申立ての結
果を考慮して,今回の異議申立てに対してとるべき処置の決定のプロセス
b) 異議申立てを解決するためにとられた処置を含む,異議申立ての追跡経過及びその記録
c) 該当する場合,適切な修正及び是正処置が行われることを確実にする。
9.8.2
全ての異議申立てが建設的,公平,かつ,適時な方法で処理されることを確実にする,方針及び手
順をもたなければならない。
9.8.3
異議申立て処理プロセスの概要は,要求がなくても一般にアクセスできなければならない。
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9.8.4
認証機関は,異議申立て処理プロセスの全ての段階の全ての決定に対して責任を負わなければなら
ない。認証機関は,異議申立て処理プロセスの決定を行う者が,異議申立ての対象となっている決定に関
与した者と異なることを確実にしなければならない。
9.8.5
異議申立ての提出,調査及び異議申立てに関する決定が,申立者に対する差別的行動につながって
はならない。
9.8.6
認証機関は,申立者に対し異議申立ての受領を通知し,進捗状況報告及びそれまでに決まった事項
を提供しなければならない。
9.8.7
認証機関は,申立者に対し異議申立て処理プロセスの終了を正式に通知しなければならない。
9.9
苦情
9.9.1
認証機関は,苦情を受領し,評価し,苦情に関して決定するための文書化されたプロセスをもたな
ければならない。
9.9.2
苦情処理プロセスの概要は,要求がなくてもアクセスできなければならない。この手順は,全ての
関係者を公正かつ公平に扱わなければならない。
9.9.3
全ての苦情が建設的,公平,かつ,適時な方法で取り扱われ,処理されることを確実にする,方針
及び手順をもたなければならない。苦情処理プロセスは,少なくとも次の要素及び方法を含まなければな
らない。
a) 苦情の受領,妥当性の確認及び調査に関するプロセス,並びに苦情に対してとるべき処置についての
決定のプロセス
b) 苦情に対してとられた処置を含む苦情の追跡経過及びその記録
c) 該当する場合,適切な修正及び是正処置が行われることを確実にする。
9.9.4
認証機関は,苦情を受領したときには,それが認証機関が責任を負う認証活動に関連するものかど
うかを確認し,関連があれば,相応に対応しなければならない。
9.9.5
認証機関は,可能な場合には必ず,申立者に対し苦情の受領を通知し,進捗状況報告及びそれまで
に決まった事項を提供しなければならない。
9.9.6
苦情を受領する認証機関は,苦情の妥当性を確認するために必要な全ての情報の収集及び検証に責
任をもたなければならない。
9.9.7
認証機関は,可能な場合には必ず,苦情処理プロセスの終了を申立者に対し正式に通知しなければ
ならない。
9.9.8
認証された要員に関する裏付けのある苦情は,認証機関からも適切な時期にその認証された要員に
問い合わせなければならない。
9.9.9
苦情処理プロセスは,苦情申立者及び苦情の内容に関係するため,機密保持に関する要求事項に従
わなければならない。
9.9.10 申立者に伝達される決定は,以前に苦情の対象に関与していなかった者が,行うか又はレビューし
承認しなければならない。
10 マネジメントシステム要求事項
10.1 一般
認証機関は,この規格の要求事項の一貫した達成を支援及び実証できるマネジメントシステムを確立し,
文書化し,実施し,維持しなければならない。箇条4〜箇条9の要求事項に適合することに加え,認証機
関は,次の選択肢A又は選択肢Bに従ってマネジメントシステムを実施しなければならない。
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− 選択肢A:10.2の要求事項を満たすマネジメントシステム
− 選択肢B:この規格の要求事項を一貫して満たすことを支援し,かつ,実証できるマネジメントシス
テムを,JIS Q 9001の要求事項に従って確立及び維持している認証機関は,10.2に規定するマネジメ
ントシステム要求事項を満たしている。
10.2 マネジメントシステムに対する一般要求事項
10.2.1 一般
認証機関は,この規格の要求事項の一貫した達成を支援及び実証することが可能となるように,マネジ
メントシステムを確立し,文書化し,実施し,維持しなければならない。
認証機関のトップマネジメントは,機関の活動のための方針及び目標を確立し,文書化しなければなら
ない。
トップマネジメントは,この規格の要求事項に従ったマネジメントシステムを開発し実施することに対
するコミットメントの証拠を提供しなければならない。トップマネジメントは,この方針が認証機関の全
ての階層において理解,実施及び維持されることを確実にしなければならない。
認証機関のトップマネジメントは,他の責任と関わりなく,次の事項を含む責任及び権限をもつ,管理
層の中のメンバーを任命しなければならない。
a) マネジメントシステムに必要なプロセス及び手順が確立され,実施され,維持されていることを確実
にする。
b) マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善の必要性に関して,トップマネジメントに報告する。
10.2.2 マネジメントシステム文書
この規格の該当する要求事項は,文書化しなければならない。認証機関は,このマネジメントシステム
文書が全ての関係する従事者に提供されることを確実にしなければならない。
10.2.3 文書管理
認証機関は,この規格を満たすことに関係する文書(内部及び外部文書)を管理するための手順を確立
しなければならない。手順は,次の事項に必要な管理策を定めなければならない。
a) 発行前に,適切かどうかの観点から文書を承認する。
b) 文書をレビューする。また,必要に応じて更新し,再承認する。
c) 文書の変更の識別及び現在の改訂版の識別を確実にする。
d) 該当する文書の適切な版が,必要なときに,必要なところで提供されることを確実にする。
e) 文書が読みやすく,容易に識別可能な状態であることを確実にする。
f)
どの文書が外部で作成された文書であるかを明確にし,その配布が管理されていることを確実にする。
g) 廃止文書が誤って使用されないようにする。また,これらを何らかの目的で保持する場合には,適切
な識別をする。
注記 文書化は,いかなる形式又は媒体でもよい。
10.2.4 記録の管理
認証機関は,この規格を満たすことに関係する記録の識別,保管,保護,検索,保管期間及び廃棄に関
して,必要な管理方法を規定するための手順を確立しなければならない。
認証機関は,その契約上及び法的義務と整合する期間,記録を保管するための手順を確立しなければな
らない。これらの記録へのアクセスは,機密保持の取決めに整合しなければならない。
注記 申請者,候補者及び認証された要員に関する記録の要求事項については,7.1も参照。
10.2.5 マネジメントレビュー
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10.2.5.1 一般
認証機関のトップマネジメントは,この規格を満たすことに関係する明示された方針及び目標を含めて,
マネジメントシステムが,引き続き適切で,妥当で,かつ,有効であることを確実にするために,あらか
じめ定められた間隔でレビューする手順を確立しなければならない。このレビューは,少なくとも12か月
に1回は実施し,文書化しなければならない。
10.2.5.2 マネジメントレビューへのインプット
マネジメントレビューへのインプットには,次に示す情報を含まなければならない。
a) 外部及び内部監査の結果(例えば,認定機関の審査)
b) この規格を満たすことに関係する申請者,候補者,認証された要員,及び利害関係者からのフィード
バック
c) 公平性の確保
d) 予防処置及び是正処置の状況
e) 前回までのマネジメントレビューの結果に対するフォローアップ
f)
目標の達成状況
g) マネジメントシステムに影響を及ぼす可能性のある変更
h) 異議申立て及び苦情
10.2.5.3 マネジメントレビューからのアウトプット
マネジメントレビューからのアウトプットには,少なくとも,次の事項に関する決定及び処置を含まな
ければならない。
a) マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善
b) この規格を満たすことに関係する認証サービスの改善
c) 資源の必要性
10.2.6 内部監査
10.2.6.1 認証機関は,この規格の要求事項が満たされ,また,マネジメントシステムが有効に実施及び維
持されていることを検証する,内部監査に関する手順を確立しなければならない。
注記 JIS Q 19011は,内部監査の実施に関する指針を提供している。
10.2.6.2 監査プログラムは,前回までの監査の結果だけでなく,監査対象のプロセス及び領域の重要性を
考慮して計画されなければならない。
10.2.6.3 内部監査は,少なくとも12か月に1回は実施しなければならない。認証機関は,マネジメント
システムがこの規格に従って継続して有効に実施されていること,及び実績に基づく安定性を実証する場
合は,内部監査の頻度を減らしてもよい。
10.2.6.4 認証機関は,次の事項を確実にしなければならない。
a) 内部監査は,認証プロセス,監査及びこの規格の要求事項に関して十分な知識をもち,力量のある者
によって実施する。
b) 監査員は,自らの仕事は監査しない。
c) 監査対象に責任を負う従事者に,監査の結果について知らせる。
d) 内部監査の結果生じる処置を,適時かつ適切な方法で行う。
e) 改善の機会があれば明確にする。
10.2.7 是正処置
認証機関は,その運営における不適合の特定及び管理のための手順を確立しなければならない。また,
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認証機関は,必要な場合,不適合の再発を防止するため,不適合の原因を除去する処置をとらなければな
らない。是正処置は,直面した問題の影響に対して適切でなければならない。手順は,次に示す事項に対
する要求事項を定めなければならない。
a) 不適合の特定
b) 不適合の原因の特定
c) 不適合の修正
d) 不適合が再発しないことを確実にする処置の必要性についての評価
e) 必要とされる処置の適時の決定及び実施
f)
とられた処置の結果の記録
g) 是正処置の有効性のレビュー
10.2.8 予防処置
認証機関は,潜在的不適合の原因を除去する予防処置をとるための手順を確立しなければならない。と
られた予防処置は,潜在的問題から予測される影響に対して適切でなければならない。予防処置の手順は,
次に示す事項に対する要求事項を定めなければならない。
a) 潜在的不適合及びその原因の特定
b) 不適合の発生を予防する処置の必要性についての評価
c) 必要とされた処置の決定及び実施
d) とられた処置の結果の記録
e) とられた予防処置の有効性のレビュー
注記 是正処置及び予防処置の手順は,必ずしも別である必要はない。
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Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
要員認証機関及び認証活動に関する原則
A.1 一般
A.1.1 この規格は,起こり得る全ての状況に対して特定の要求事項を提供するものではない。この附属書
に示す原則は,要求事項ではないが,不測の状況において意思決定を行う必要がある場合の指針として適
用することが望ましい。
A.1.2 要員認証の全般的な目的は,業務又は職務を遂行する個人の力量を認知することである。
A.1.3 認証機関は,力量を実証した要員だけが認証を授与されることを確実にする責任をもつ。
A.1.4 要員の認証は,公衆の信頼及び信用を通じて価値を提供する。公衆の信頼は,規定の間隔で再確認
される,第三者による力量の妥当な評価に依存する。
A.1.5 認証機関は,その能力,公平性及び誠実性について利害関係者に信頼を与えるような,責任ある行
動をとることが望ましい。
A.2 公平性
A.2.1 要員の認証は,認証機関が公正で,妥当で,信頼性のある評価を通じて得た,他の利害又は他の関
係者の影響を受けていない,客観的証拠に基づくことが望ましい。
A.2.2 認証機関及びその従事者が,その活動及び結果に信頼性を与えるためには,公平であること及び公
平であると認識されることが必要である。
A.2.3 公平性に対する脅威には次の事項を含むが,これに限らない。
a) 自己の利害関係による脅威 個人又は機関が,自己の利益のために行動することから生じる脅威。
b) 主観性による脅威 個人の偏見が,客観的証拠を覆してしまうことから生じる脅威。
c) 親密さによる脅威 個人が他の者と親密になっている又は信用していることから生じる脅威。例えば,
試験員又は認証機関の従事者が候補者と関係を築き,それが客観的判断に至る能力に影響を与える場
合。
d) 威嚇による脅威 候補者又はその他の利害関係者に対する恐怖によって,認証機関又はその従事者が
客観的に行動することを妨げる脅威。
e) 財務による脅威 認証機関の収入源は,公平性に対する脅威となることがある。
A.3 力量
認証機関の従事者の力量は,信頼を与える認証を提供するために必要である。
A.4 機密保持及び透明性
機密保持と透明性との間の均衡を管理することは,利害関係者の信用及び認証活動に対する価値の認識
に影響を与える。
A.5 苦情及び異議申立てへの適切な対応
苦情及び異議申立ての効果的な解決は,認証機関及び利害関係者を,過失,怠慢又は不合理な行動から
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Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
守る重要な手段である。
A.6 責任
認証機関は,認証の決定の根拠となる,十分な客観的証拠を入手する責任をもつ。
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Q 17024:2012 (ISO/IEC 17024:2012)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項
注記 対応国際規格:ISO 9001,Quality management systems−Requirements(IDT)
[2] JIS Q 19011 マネジメントシステム監査のための指針
注記 対応国際規格:ISO 19011,Guidelines for auditing management systems(IDT)
[3] JIS Q 17030 適合性評価−第三者適合マークに対する一般要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 17030,Conformity assessment−General requirements for third-party
marks of conformity(IDT)