Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 2
2 引用規格 ························································································································· 3
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
3.1 力量に関する要求事項に固有の用語 ··················································································· 3
3.2 温室効果ガスに関する用語······························································································· 4
3.3 要員及び組織に関する用語······························································································· 4
3.4 妥当性確認及び検証に関連する用語 ··················································································· 5
4 原則······························································································································· 7
4.1 一般 ···························································································································· 7
4.2 独立性 ························································································································· 7
4.3 高潔さ ························································································································· 8
4.4 公正な報告 ··················································································································· 8
4.5 職業人として払うべき注意······························································································· 8
4.6 職業人としての判断 ······································································································· 8
4.7 証拠に基づくアプローチ ································································································· 8
5 チームの力量 ··················································································································· 8
5.1 一般 ···························································································································· 8
5.2 知識 ···························································································································· 8
5.3 技能 ··························································································································· 10
6 セクターで求められる力量 ································································································ 11
7 GHGの妥当性確認又は検証の声明書のレビューに求められる力量 ··········································· 11
8 妥当性確認及び検証の知識及び技能の開発及び維持 ······························································· 12
8.1 一般 ··························································································································· 12
8.2 知識及び技能の実証 ······································································································ 12
8.3 知識及び技能の維持 ······································································································ 12
附属書A(参考)証拠及び職業人としての懐疑心の適用······························································ 13
附属書B(参考)妥当性確認チーム及び検証チームのメンバーの力量を評価する方法 ······················· 15
附属書C(参考)セクターで求められる力量 ············································································ 16
附属書D(参考)JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係 ······································ 18
附属書E(参考)妥当性確認チーム又は検証チームのチームメンバーとしての訓練を開始する
個人に対する前提となる初期レベルの認識の例 ··································································· 24
附属書F(参考)個人の行動 ·································································································· 25
参考文献 ···························································································································· 26
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011) 目次
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Q 14066:2012
(ISO 14066:2011)
温室効果ガス−温室効果ガスの妥当性確認チーム
及び検証チームの力量に対する要求事項
Greenhouse gases-Competence requirements for greenhouse gas
validation teams and verification teams
序文
この規格は,2011年に第1版として発行されたISO 14066を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
この規格は,温室効果ガス(以下,GHGという。)プログラムの運用者,規制当局,妥当性確認機関及
び検証機関のために,妥当性確認チーム及び検証チームの力量に対する要求事項を規定する。
国際市場における整合性を確保し,GHGの報告及びその他のコミュニケーションに対する一般社会の信
頼を維持するために,妥当性確認チーム及び検証チームの力量に対する要求事項を明確にする必要がある。
GHG妥当性確認機関及びGHG検証機関に対する要求事項は,JIS Q 14065で規定している。
JIS Q 14065は,妥当性確認機関及び検証機関に対し,妥当性確認又は検証の業務に対して指名されたチ
ームの中で妥当性確認又は検証の様々な活動を実施する要員の力量を管理するための手順を確立し,維持
することを要求している。
チームが妥当性確認又は検証プロセスを効果的に完了するために必要な力量を保持することを確実にす
ることは,妥当性確認機関又は検証機関の役割である。
この規格は,妥当性確認チーム及び検証チームの力量確保に関する原則を含めている。
これらの原則を堅持することは,妥当性確認チーム又は検証チームが実施能力をもつべき業務,及びそ
のために必要な力量に基づく一般的な要求事項である。
この規格は,妥当性確認チーム及び検証チームの力量の評価及び承認の基盤として,JIS Q 14065と併せ
て利用することもできる。
この規格の利用者は,GHGの定量化及び報告について規定するJIS Q 14064-1及びJIS Q 14064-2,並び
にGHGの妥当性確認及び検証について規定しているJIS Q 14064-3を参照することも推奨される。
この規格の適用とJIS Q 14064-1〜JIS Q 14064-3(以下,JIS Q 14064規格群という。),及びJIS Q 14065
との関係を,図1に示す。
2
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1−この規格をJIS Q 14064規格群及びJIS Q 14065とともに利用するための枠組み
1
適用範囲
この規格は,温室効果ガス(GHG)の妥当性確認チーム及び検証チームの力量に対する要求事項につい
て規定する。
また,この規格は,JIS Q 14065の運用を補完する。
この規格は,いかなる特定のGHGプログラムとも関連付けられているものではない。
特定GHGプログラムを適用する場合,該当するGHGプログラムの力量に対する要求事項は,この規格
の要求事項に追加して適用する。
注記1 要員の力量の管理及び支援に対する要求事項は,JIS Q 14065:2011の箇条6に規定されてい
る。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14066:2011,Greenhouse gases−Competence requirements for greenhouse gas validation teams
and verification teams(IDT)
意図した利用者
のニーズに沿った
保証水準
該当するGHG
プログラム又は
意図した利用者
の要求事項
JIS Q 14065
妥当性確認及び検証
機関に対する要求事項
JIS Q 14064-3
検証プロセス 妥当性確認プロセス
及び検証プロセス
JIS Q 14064-1
組織のGHGインベントリの
設計及び開発
JIS Q 14064-2
GHGプロジェクトの
設計及び実施
GHGインベントリの
文書化及び報告
GHGプロジェクトの
文書化及び報告
GHGに関する主張
妥当性確認及び/
又は検証
GHGに関する主張
検証
JIS Q 14066
温室効果ガスの妥当性確認チーム及び
検証チームの力量に対する要求事項
インベントリ
プロジェクト
3
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS Q 14064-3:2011 温室効果ガス−第3部:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のため
の仕様並びに手引
注記 対応国際規格:ISO 14064-3,Greenhouse gases−Part 3: Specification with guidance for the
validation and verification of greenhouse gas assertions(IDT)
JIS Q 14065:2011 温室効果ガス−認定又は他の承認形式で使用するための温室効果ガスに関する妥
当性確認及び検証を行う機関に対する要求事項
注記 対応国際規格:ISO 14065,Greenhouse gases−Requirements for greenhouse gas validation and
verification bodies for use in accreditation or other forms of recognition(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
力量に関する要求事項に固有の用語
3.1.1
セクター(sector)
共通の特性,及び類似のGHG排出源,吸収源及び貯蔵庫を共有する専門領域。
注記 排出源,吸収源,及び貯蔵庫を意味する略語としてSSRが使われる。
3.1.2
チームリーダー(team leader)
妥当性確認チーム又は検証チームを管理する者。
3.1.3
職業人としての懐疑心(professional scepticism)
疑いをもって証拠の批判的評価を行うことを包含する態度。
注記 “保証業務に関する国際的枠組み”[16] の段落40参照。
3.1.4
力量(competence)
意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。
注記1 能力とは,妥当性確認又は検証を実施するときに,個人が適切な行動を示すことを意味する。
注記2 用語の定義は,JIS Q 19011の3.17参照。
注記3 力量を定義するに当たって,用語には,次の意味が当てられている。
− 知識とは,事実及び方法であり,“知ること”である。
− 技能とは,実際に実施することであり,“行うこと”である。
3.1.5
テスト(test)
妥当性確認又は検証の基準に照らして,GHGのデータ及び情報からサンプルとして抜き出した集団の中
4
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
で,項目の特性を調べるために用いる評価技法。
注記1 JIS Q 14064-3:2011の4.7参照。
注記2 特性には,正確性,完全性,機能性,認識情報,品質,信ぴょう(憑)性などが含まれ得る。
3.2
温室効果ガスに関する用語
3.2.1
温室効果ガス,GHG(greenhouse gas)
自然起源か人為起源かを問わず,大気を構成する気体で,地球の表面,大気及び雲によって放射される
赤外線スペクトルのうち,特定波長の放射線を吸収及び放出するもの。
注記 GHGには,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),亜酸化窒素(N2O),ハイドロフルオロカーボ
ン(HFCs),パーフルオロカーボン(PFCs)及び六ふっ化硫黄(SF6)が含まれる。
[JIS Q 14064-3:2011の2.1参照]
3.2.2
温室効果ガス(GHG)に関する主張(greenhouse gas assertion)
責任当事者が行う事実に基づく客観的な宣言。
注記1 GHGに関する主張は,ある時点に対して提示してもよいし,ある期間に対して提示してもよ
い。
注記2 責任当事者が提示するGHGに関する主張は,明確に識別が可能で,かつ,妥当性確認を行
う者又は検証を行う者が適切な基準に照らして一貫した評価又は測定を行えるものであるこ
とが望ましい。
注記3 GHGに関する主張は,GHG報告書又はGHGプロジェクトの計画書の形で提示することがで
きる。
注記4 用語の定義は,JIS Q 14064-3:2011の2.11参照。
3.2.3
温室効果ガス(GHG)情報システム(greenhouse gas information system)
GHGの情報を確定し,管理し,かつ,維持するための方針,プロセス及び手順。
[JIS Q 14064-3:2011の2.12参照]
3.2.4
温室効果ガス(GHG)プロジェクト(greenhouse gas project)
ベースラインシナリオにおいて特定された状態を変更させるようなGHGの排出量の削減,又は吸収量
の増加をもたらす活動。
[JIS Q 14064-3:2011の2.14参照]
3.2.5
温室効果ガス(GHG)プログラム(greenhouse gas programme)
組織又はGHGプロジェクトの外部に位置付けられ,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減又は吸収量
の増加を,登録,算定若しくは管理する,自主的若しくは強制的な,国際,国内若しくは地方のシステム
又はスキーム。
[JIS Q 14064-3:2011の2.16参照]
3.3
要員及び組織に関する用語
3.3.1
依頼者(client)
5
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
妥当性確認又は検証を要請した組織又は個人。
注記 依頼者は,責任当事者,GHGプログラムの運用者又はその他の利害関係者のいずれでもあり得
る。
[JIS Q 14064-3:2011の2.27参照]
3.3.2
意図した利用者(intended user)
GHG関連の情報の報告書によって特定された個人又は組織で,当該情報に基づき判断を下す者。
注記 意図した利用者は,依頼者,責任当事者,GHGプログラムの運用者,規制当局,財界又はその
他の影響を受ける利害関係者(例えば,地域社会,政府部局,非政府組織)のいずれでもあり
得る。
[JIS Q 14064-3:2011の2.26参照]
3.3.3
組織(organization)
法人であるか否か,公的であるか私的であるかを問わず,独自の機能及び管理体制をもつ会社,法人,
事業所,企業,官公庁若しくは団体,又はそれらの一部若しくは組合せ。
[JIS Q 14064-3:2011の2.23参照]
3.3.4
要員(personnel)
妥当性確認又は検証機関で業務を行う,又は機関に代わって業務を行う者。
[JIS Q 14065:2011の3.2.4参照]
3.3.5
責任当事者(responsible party)
GHGに関する主張及び裏付けとなるGHGの情報の提示に対して責任を負う人又は人々。
注記 責任当事者は,個人でも,組織又はプロジェクトの代表でもあり得るほか,妥当性確認を行う
者又は検証を行う者を採用する当事者でもあり得る。妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,
依頼人又はGHGプログラムの運用者のようなその他の当事者が採用してもよい。
[JIS Q 14065:2011の3.2.5参照]
3.3.6
技術専門家(technical expert)
妥当性確認チーム又は検証チームに,特定の知識又は専門知識を提供する者。
注記1 特定の知識又は専門知識とは,妥当性確認若しくは検証の対象となる組織若しくはプロジェ
クトに関係するもの,又は言語若しくは文化に関係するものである。
注記2 技術専門家は,妥当性確認チームの妥当性確認を行う者,又は検証チームの検証を行う者と
しての活動は行わない。
注記3 用語の定義は,JIS Q 19011の3.10参照。
3.4
妥当性確認及び検証に関連する用語
3.4.1
妥当性確認(validation)
GHGプロジェクトの計画書におけるGHGに関する主張を,合意された妥当性確認の基準に照らして評
価する体系的で,独立し,かつ,文書化されたプロセス。
6
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記1 第一者による妥当性確認のような場合,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないこ
とによって,独立性が実証できることがある。
注記2 GHGプロジェクトの計画書の内容については,JIS Q 14064-2の5.2で規定されている。
注記3 用語の定義は,JIS Q 14064-3:2011の2.32参照。
3.4.2
妥当性確認を行う者(validator)
力量及び独立性を備え,妥当性確認の実施及びその結果の報告に対して責任を負う人又は人々。
注記1 妥当性確認を行う者の力量のセクターには,GHGプログラム,技術,データ及び情報の評価,
及びプロジェクト固有の要求事項が含まれる。
注記2 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.2参照。
3.4.3
妥当性確認の声明書(validation statement)
GHGプロジェクトの計画の妥当性確認の後に,責任当事者のGHGに関する主張における声明書に保証
を与える,意図した利用者に対する正式な宣言書。
[JIS Q 14065:2011の3.3.4参照]
3.4.4
検証の声明書(verification statement)
検証の後に,責任当事者のGHGに関する主張における声明書に保証を与える,意図した利用者に対す
る正式な宣言書。
[JIS Q 14065:2011の3.3.5参照]
3.4.5
検証(verification)
GHGに関する主張を,合意された検証の基準に照らして評価する,体系的で,独立し,かつ,文書化さ
れたプロセス。
注記 第一者による検証のような場合,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないことによっ
て,独立性が実証できることがある。
[JIS Q 14064-3:2011の2.36参照]
3.4.6
検証を行う者(verifier)
力量及び独立性を備え,検証プロセスの実施及びその報告に対して責任を負う人又は人々。
注記1 検証を行う者の力量の領域には,GHGプログラム,技術,データ及び情報の評価,並びにプ
ロジェクト固有の要求事項が含まれる。
注記2 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.8参照。
3.4.7
妥当性確認機関(validation body)
JIS Q 14064-3及びJIS Q 14065に従ってGHGに関する主張の妥当性確認を実施する機関。
注記1 妥当性確認機関は,個人もあり得る。
注記2 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.3参照。
3.4.8
検証機関(verification body)
7
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Q 14064-3及びJIS Q 14065に従って,GHGに関する主張の検証を実施する機関。
注記1 検証機関は,個人もあり得る。
注記2 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.3参照。
3.4.9
妥当性確認チーム(validation team)
一人以上の妥当性確認を行う者。必要な場合は,技術専門家による支援を受ける。
注記1 妥当性確認チームの中の一人の妥当性確認を行う者は,妥当性確認チームリーダーに指名さ
れる。
注記2 妥当性確認チームには,訓練中の妥当性確認を行う者を含めることができる。
注記3 チームが一人で構成されている場合は,必要な力量の全てをその者が備えているとされてい
る。
注記4 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.6参照。
3.4.10
検証チーム(verification team)
一人以上の検証を行う者。必要な場合は,技術専門家による支援を受ける。
注記1 検証チームの中の一人の検証を行う者は,検証チームリーダーに指名される。
注記2 検証チームには,訓練中の検証を行う者を含めることができる。
注記3 チームが一人で構成されている場合は,必要な力量の全てをその者が備えているとされてい
る。
注記4 用語の定義は,JIS Q 14065:2011の3.3.6参照。
3.4.11
重要性(materiality)
個別の誤り,脱漏及び不実表示,又はその総体が,GHGに関する主張に影響し,かつ,意図した利用者
の判断にも影響を与え得るという概念。
注記1 重要性の概念は,妥当性確認又は検証の計画及びサンプリング計画を設計する際,妥当性確
認を行う者又は検証を行う者が,重大な不一致を見落とすというリスク(発見リスク)を極
小化するために用いる実質的プロセスの種類を判定するために用いられる。
注記2 重要性の概念は,脱漏又は虚偽表示があれば,意図した利用者に対するGHGに関する主張
の著しい不実表示となり,その判断に影響を及ぼすと考えられる情報を抽出する際に用いら
れる。許容可能な重要性は,合意された保証水準に基づき,妥当性確認を行う者,検証を行
う者又はGHGプログラムが決定する。
[JIS Q 14064-3:2011の2.29参照]
4
原則
4.1
一般
原則の適用は,妥当性確認及び検証を行うチームメンバーの力量の評価の基礎となる。原則は,この規
格の要求事項の基本であり,かつ,適用の手引となるものである。
4.2
独立性
独立性の原則には,次の事項を含む。
− 妥当性確認又は検証の対象の活動に対して公平性を保ち,偏り及び利害抵触がない。
8
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 妥当性確認又は検証の所見及び結論が,妥当性確認又は検証の中で収集された客観的な証拠に基づく
ことを確実にするために,妥当性確認又は検証の全体を通じ,客観性を維持する。
4.3
高潔さ
高潔さの原則は,妥当性確認又は検証プロセス全体を通じ,信用があること,正直であること,勤勉さ
及び責任感をもって業務に当たること,法律を順守すること,法律及び職業人として期待される機密保持
及び情報開示を行うことによって,公正な行動を身をもって示すことを含む。
4.4
公正な報告
公正な報告の原則には,次の事項を含む。
− 妥当性確認又は検証の活動,所見,結論及び報告を,ありのまま,かつ,正確に反映する。
− 妥当性確認又は検証プロセスで遭遇した顕著な障害,及びチームメンバー,責任当事者と依頼者との
間で未解決の意見の相違についても報告する。
4.5
職業人として払うべき注意
職業人として払うべき注意の原則には,次の事項を含む。
− 自らが実施する業務に起因するリスク,及び依頼者及び意図した利用者が抱いている信頼に見合う,
正当な注意を払い,判断を下す。
− 妥当性確認又は検証を実施するために必要な力量を備える。
4.6
職業人としての判断
職業人としての判断の原則には,次の事項を含む。
− 観察結果,知識,経験,文献,及びその他の情報源に基づいて,意味のある,かつ,正確な結論を導
き出し,意見を述べ,解釈を施すことができる。
− 職業人としての懐疑心を実証している。
注記 職業人としての懐疑心の証拠及び適用に関する手引を,附属書Aに示す。
4.7
証拠に基づくアプローチ
証拠は,検証可能なものである。証拠は,情報のサンプリングに基づくものである。サンプリングを適
切に活用しているか否かは,妥当性確認及び検証の結論にどれだけの信頼をおくことができるかというこ
とと密接に関係している。
5
チームの力量
5.1
一般
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,妥当性確認又は検証の活動の実施に必要な力
量(3.1.4参照)を備えていなければならない。
注記1 JIS Q 14065:2011では,妥当性確認チーム又は検証チームに必要な力量を6.3に規定し,力量
を管理するプロセスを6.1及び6.2に規定している。
注記2 箇条6参照。附属書Cは,各セクターで求められる力量の例を示す。
5.2
知識
5.2.1
一般
妥当性確認チーム又は検証チームは,次の事項を備えていなければならない。
a) GHGプログラムに関する知識(JIS Q 14065:2011の6.3.2参照)
b) 専門知識(この規格の箇条6及びJIS Q 14065:2011の6.3.3参照)
c) データ及び情報の評価に関する知識(JIS Q 14065:2011の6.3.4参照)
9
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) チームリーダーに求められる知識(JIS Q 14065:2011の6.3.7参照)
5.2.2
GHGプログラムに関する知識
5.2.2.1
GHGプログラムに関する一般知識
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,次の事項を含むGHGプログラムに関する知
識を備えていなければならない。
a) 適格性に関する要求事項
b) 適用される法的要求事項
c) 該当する場合,異なる管轄における実施
d) 地理的所在地に関連する制約
e) 妥当性確認又は検証に関する要求事項及び指針
f)
報告の対象となるGHG排出量の範囲(妥当性確認又は検証の範囲に関する手引は,JIS Q 14064-3:2011
のA.2.3.7参照)
5.2.2.2
組織レベルの検証において追加的に求められるGHGプログラムに関する知識
検証チームは,該当する場合,適格性のあるプロセス及びセクターを含む,組織の検証において追加的
に求められるGHGプログラムに関する知識を備えていなければならない。
5.2.2.3
プロジェクトの妥当性確認又は検証において追加的に求められるGHGプログラムに関する知識
プロジェクトの妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,次の事項を含む,プロジェク
トの妥当性確認又は検証において追加的に求められるGHGプログラムに関する知識を備えていなければ
ならない。
a) 産業セクター及び技術領域を含む,プロジェクトの境界設定及びプロジェクトの種類
b) 適用されるプロジェクトの方法論
c) 適格性のある排出量の削減又は吸収量の増加
5.2.3
専門知識
5.2.3.1
一般的な専門知識
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,(該当する場合)次の事項を含む専門知識を備
えていなければならない。
a) GHG,地球温暖化係数,活動データ,及び排出係数
b) 重要性及び重大な不一致の適用
c) 定量化及び報告の原則(例えば,完全性,一貫性,正確性,透明性,適切性)の適用
d) 該当するセクター(3.1.1参照)のGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫
e) 該当するセクターの定量化の方法論,モニタリング技術,及び校正の手順,並びにこれらがデータの
品質に与える影響
5.2.3.2
組織レベルの検証において追加的に求められる専門知識
検証チームは,チーム全体として,次の事項を設定するために,(該当する場合)基準,プロセス,手順,
及び/又は方法論を含む,組織レベルの検証において追加的に求められる専門知識を備えてなければなら
ない。
a) 組織の境界
b) 活動の境界
5.2.3.3
プロジェクトの妥当性確認又は検証において追加的に求められる専門知識
プロジェクトの妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,(該当する場合)次の事項を含
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
む,追加的に求められるプロジェクト固有の専門知識を備えていなければならない。
a) 次の原則及び概念の適用
− 保守性
− 同等性
− 追加性
− リーケージ
− 永続性
b) 次の事項に関する共通の基準,プロセス,手順,及び/又は方法論
− ベースラインの選定
− GHGプロジェクトの境界の設定
− 追加性の評価(例えば,ベンチマーキング,財務面,技術面及び政策面の障壁)
− 不確かさへの対処
c) GHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加に影響を及ぼす主な要因
d) 関連する利害関係者の見解
5.2.3.4
その他のGHGに関する主張の検証において追加的に求められる専門知識
検証チームは,チーム全体として,該当する場合,次の事項に関する適用可能な基準,プロセス,手順,
及び/又は方法論を含む,その他のGHGに関する主張の検証において追加的に求められる専門知識を備
えていなければならない。
a) カーボンフットプリント宣言の目的でのライフサイクルアセスメント(JIS Q 14040,JIS Q 14044,
ISO/TR 14047,ISO/TS 14048,ISO/TR 14049,並びに今後発行予定のISO 14045及びISO 14067参照。)
b) 環境宣言及び環境ラベル(JIS Q 14020,JIS Q 14021,JIS Q 14024及びJIS Q 14025参照。)
c) カーボンニュートラルであることの声明書,及びその他の関連する主張
5.2.4
データ及び情報の評価に関する知識
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,次の事項を含むデータ及び情報の評価に関す
る知識を備えていなければならない。
a) データ及び情報の評価の方法論
b) リスクアセスメントの方法論
c) データ及び情報のサンプリング手法
d) GHGのデータ及び情報の管理システム
e) 代表的な内部統制システム
5.2.5
チームリーダーに求められる知識
チームリーダーは,次の事項を含む,(業務に適用できる)十分な妥当性確認又は検証の知識を備えてい
なければならない。
a) 妥当性確認又は検証の範囲,基準,目的,重要性及び保証水準
b) チームメンバーの力量
c) 関連するリスクの妥当性確認又は検証
d) プロジェクト,資源,及びチームの管理
5.3
技能
妥当性確認チーム及び検証チームは,チーム全体として,妥当性確認又は検証の活動を実施するために
必要な技能を備えていなければならない。適用される技能には,次の事項を行う能力を含む。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 業務に適切な方法で,関連する情報を検索し,知識を適用する。
b) 情報の意味,転換,及び解釈について理解する。
c) 複数のインプットに対して批判的に検討し,分析する。
d) 事実と推論とを区別し,職業人としての懐疑心を発揮する。
e) 独立した調査を実施し,責任当事者又は依頼者が主張する仮定及び証拠に疑問を投げかける。
f)
妥当性確認又は検証プロセスの中で,“細部に目を向けること”と“予測される結果に対する高いレベ
ルの評価”とのバランスを見出す。
g) 特に,必要な確認が確実に実施されているというレベルで詳細を管理する(例えば,GHGプロジェク
トの計画書とGHGプロジェクトの報告書との確認,GHGインベントリとそれに対応する報告書との
確認)。
h) 情報,データ及び仮定を評価し,職業人としての判断を下す。
i)
想定された状況及び想定外の状況で,妥当性確認及び検証の方法を適用する。
j)
妥当性確認又は検証プロセス及びその結果を伝える。
注記 附属書Bは,妥当性確認チーム及び検証チームのメンバーの技能の評価に利用できる方法の
概略を示す。
6
セクターで求められる力量
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,該当するセクター(3.1.1参照)に関する知識
及び技能を備えていなければならない。セクターに関する知識は,5.2.3で規定している。
注記1 セクターで求められる力量の例を,附属書Cに示す。
それぞれのセクターについて,妥当性確認チーム又は検証チームが,チーム全体として,次の事項を行
う能力を含む専門的な力量をもたなければならない。
a) プロセスフローダイアグラム,サイトの設計図,現地審査,プロセス及び装置の図面,許認可証,又
はその他のデータ源から,GHGのSSRを特定する。
b) セクター(3.1.1参照)に該当するGHGのSSRを特定する。
c) リーケージの源を特定する。
d) 特定のプロジェクトの種類に関係するプロジェクトベースラインを特定する。
e) 典型的及び変則的な運用条件を含むなど,GHGに関する主張の重要性に影響を与え得る可能性のある
状況を特定する。
f)
ベースラインシナリオの活動,物品又はサービスの種類及びレベルとGHGプロジェクトとの間の同
等性を実証する。
g) プロジェクト及びベースラインシナリオを評価する場合に,産業に関する知識を適用する。
注記2 附属書Bは,妥当性確認チーム及び検証チームのメンバーに対してセクターで求められる
力量及び能力の評価に利用できる方法の概略を示す。
7
GHGの妥当性確認又は検証の声明書のレビューに求められる力量
妥当性確認又は検証の声明書のレビューを行う要員は,JIS Q 14065:2011の8.5に規定する機能又は活動
を実施するための力量を備えていなければならない。
注記 (たとえ,妥当性確認チーム又は検証チームの活動の全て又は一部を観察していたとしても)
レビューを行う要員は,チームリーダーの指揮下で妥当性確認又は検証の活動に参加していな
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いのであれば,妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーとはみなされない。
8
妥当性確認及び検証の知識及び技能の開発及び維持
8.1
一般
妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体の知識,技能及び能力に基づき,力量を備えているも
のである。
注記 JIS Q 14065で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,妥当性確認チーム及び
検証チームに必要とされる技能及び能力との関係を,附属書Dに示す。
8.2
知識及び技能の実証
セクターに対応した妥当性確認又は検証の活動を実施するための初期又は補助的な適格性を満たすため
に,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次のような様々な方法を通して自らの知識及び技能を実証
しなければならない。その方法には,例えば次のようなものがある。
a) 教育
b) 訓練
c) 妥当性確認又は検証の活動で要求される力量に関連する実務経験
d) 本人よりも経験を積んだスタッフによる個人指導又はメンタリング(例えば,GHGの妥当性確認チー
ム又は検証チームの他のメンバー)
注記1 この箇条は,職業人の開発を促すものである。
注記2 実務経験の例には,その専門領域における雇用勤務,コンサルティング業務,プロジェクト
の開発,又は専門的な審査業務が含まれる。
注記3 実務経験,特にチームワークが促される環境における実務経験は,経験の少ないチームメン
バーが,職業人としての懐疑心をもつ姿勢を育み,リスクアセスメントについての健全な判
断力,及び証拠が十分であり適切であるかについての適切な判断力を向上させる一助となる。
注記4 附属書Eは,妥当性確認又は検証チームのチームメンバーとして訓練を開始する段階で,個
人がもつべき前提となる初期レベルの認識の例を示す。
注記5 附属書Fは,妥当性確認を行う者及び検証を行う者の個人の行動の概略を示す。
8.3
知識及び技能の維持
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,関連する国内及び国際的なGHGプログラム,気候科学,及
び関連する法的要求事項を含む,GHG管理の展開について,継続して認識を深めることによって,知識及
び技能を維持することが望ましい。また,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,GHG管理における新
たな傾向と整合した,訓練を含む継続的な専門能力開発プログラムに取り組むことが望ましい。
注記1 チームメンバーの個人記録の維持に関する要求事項は,JIS Q 14065:2011の6.5参照。
注記2 JIS Q 14065:2011の6.2に規定されているように,チームメンバーのパフォーマンス(例えば,
知識及び技能の実証)を定期的にモニタリングする。
注記3 附属書Bは,チームメンバーの知識及び技能の評価に利用できる方法を示す。
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附属書A
(参考)
証拠及び職業人としての懐疑心の適用
A.1 証拠
妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,対象事案の情報に重大な虚偽記載がないかどうかにつ
いて,十分かつ適切な証拠を得るため,職業人としての懐疑心を備えた姿勢で,妥当性確認/検証を計画
し,実行する。妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,業務を計画し,実行するとき,特に,証
拠収集手順の性質,タイミング及び範囲を決定するときには,重要性,保証業務リスク,並びに入手可能
な証拠の量及び質について検討する。
妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,対象事案の情報に重大な虚偽記載を発生させる周辺状
況が存在するかもしれないということを認識し,職業人としての懐疑心を備えた姿勢で,妥当性確認/検
証を計画し,実行する。職業人としての懐疑心を備えた姿勢とは,妥当性確認チーム又は検証チームのメ
ンバーが,入手した証拠の妥当性の評価を探究心及び問題意識をもって実施し,責任当事者が提示する文
書又は表明内容と矛盾する証拠,又はそれらの信頼性に疑問を抱かせるような証拠に警戒することを意味
する。次に,例を示す。
例 職業人としての懐疑心を備えた姿勢は,妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーが,その業
務プロセス全体を通して,疑わしい周辺状況を見落とすリスク,観察結果から結論を導き出すと
きに極度に一般化してしまうリスク,証拠収集手順の性質,タイミング及び範囲の決定,並びに
証拠収集の結果の評価に間違った前提を使ってしまうリスクを低減するために必要である。
妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,証拠として使用する情報(例えば,複写,ファックス
文書,フィルム化された文書,デジタル文書,その他の電子文書)の信頼性について検討し,関連する場
合は,これらの文書の作成及び維持に対する管理策について検討することもある。妥当性確認チーム又は
検証チームのメンバーは,真偽確認の専門家となるための訓練を受けることもなければ,その期待もされ
ていないが,ごくまれ(稀)に,妥当性確認/検証には,文書類の真偽確認が含まれる場合がある。
A.2 証拠の十分性及び適切性
十分性は,証拠の量の尺度である。適切性は,証拠の質の尺度,すなわち,関連性であり,信頼性であ
る。必要な証拠の量は,対象事案の情報に重大な虚偽記載が発生するリスクの大小に左右され(このリス
クが高いほど,より多くの証拠が要求されることになる),また同時に,その証拠の質にも左右される(質
が高いほど,要求される証拠の量は少なくなる)。このため,証拠の十分性と適切性とは相互に関連してい
る。しかしながら,単により多くの証拠を収集することで,証拠の質の悪さを補完できるとは限らない。
証拠の信頼性は,その情報源及びその性質に左右され,その証拠を入手した個別の周辺状況に依存する。
様々な種類の証拠の信頼性について一般化することは可能であるが,このような一般化には常に重大な
例外が存在する。たとえ証拠が組織の外にある情報源から得られたとしても,入手したその情報の信頼性
に影響を与え得る周辺状況は,継続して存在し得る。次に,例を示す。
例1 独立した外部の情報源から入手した証拠でも,その情報源自体の知識が少なければ,その証拠
を信頼できないこともある。
例外があり得るということを認識しておけば,証拠の信頼性に関する次のような一般化には有益な面も
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ある。
− 組織の外の独立した情報源から入手する場合,その証拠の信頼性はより高くなる。
− 内部で作成された証拠は,関係する管理策が効果的であれば,より信頼性は高くなる。
− 妥当性確認チーム又は検証チームが直接入手した証拠は,間接的に得られた証拠又は推論によって得
られた証拠よりも信頼性は高い。例えば,ある管理策の適用について観察したことは,その管理策の
適用に関する聞き取りよりも信頼性が高い。
− 文書の形態で存在する証拠は,それが,紙,電子媒体,その他の媒体にかかわらず,信頼性は高くな
る。例えば,会議の進行中に記載された記録は,会議後に口頭で議論内容について説明されたことよ
りも信頼性は高い。
− 原本の文書で提示された証拠は,複写又はファックスで提示された証拠よりも信頼性が高い。
妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,通常,個別のものとみなされる証拠からよりも,様々
な情報源から得られた,又は様々な性質をもった,整合性ある証拠のほうが,より大きな保証を確保でき
る。さらに,様々な情報源から得られる証拠,又は様々な性質をもつ証拠を入手することによって,個別
の証拠が信頼できないことを指摘できる場合もある。次に,例を示す。
例2 組織から独立した情報源から入手した裏付け情報によって,妥当性確認チーム又は検証チーム
が,責任当事者による説明から得た保証を更に大きくすることもできる。
逆に,ある情報源から入手した証拠が,別の情報源から入手した証拠と整合しない場合は,妥当性確認
チーム又は検証チームは,その不整合を解決するためにはどのような追加的な証拠収集手順が必要かを決
定する。
十分かつ適切な証拠を入手するという面では,ある一時点における対象事案の情報よりも,一定期間中
の対象事案の情報のほうが,それに関する保証を確保することが一般的には難しい。さらに,プロセスに
関する結論とは,通常,その妥当性確認及び検証の業務の実施期間中に限定されたものである。すなわち,
妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,将来,そのプロセスがそこで規定されているように機能
し続けるかどうかについて結論を出すことはない。
妥当性確認チーム又は検証チームは,証拠を入手する費用と入手した情報の有用性との関係について考
慮する。しかし,証拠収集手順としてほかに選択肢がない場合は,証拠収集に関わる難しさ又は経費の問
題があっても,証拠収集手順を割愛してよいという根拠にはならない。妥当性確認チーム又は検証チーム
は,保証報告書の裏付けを充実させるため,証拠の量及び質,すなわち,証拠の十分性及び適切性を評価
する場合,職業人としての判断を下し,職業人としての懐疑心を活用する。
注記 “保証業務に関する国際的枠組み”[16] の段落39〜46参照。
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附属書B
(参考)
妥当性確認チーム及び検証チームのメンバーの力量を評価する方法
評価方法
目的
例
記録のレビュー
妥当性確認又は検証チームメンバーの知識を
検証する。
次の記録の分析−教育,要員認証,訓練,
専門職としての経験,妥当性確認又は検証
の経験
肯定的及び否定的な
フィードバック
妥当性確認又は検証チームのパフォーマンス
について,彼らの個人の行動も含めて,どの
ように受け止められたかの情報を入手する。
アンケート,質問票,信用照会,推薦状,
苦情,パフォーマンス評価,レビュー
面談
個人の行動及びコミュニケーション技能を評
価する。
情報を検証する。
知識を試す。
追加情報を得る。
対面の面談,電話による聞き取り
観察
個人の行動,並びに知識及び技能を適用する
能力を評価する。
ロールプレイ,妥当性確認/検証の立会い,
OJTのパフォーマンス
試験
個人の行動,並びに知識及び技能の適用を評
価する。
口述試験,筆記試験,心理テスト
妥当性確認/検証の
終了後のレビュー
知識又はパフォーマンスを評価する。
妥当性確認又は検証声明書のレビュー,依
頼者,責任当事者,同僚との議論,妥当性
確認及び検証チームとの議論
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
セクターで求められる力量
注記 3.1.1及び箇条6参照。
セクターの例を表C.1に示し,各セクターについて力量を記載している。このセクター,並びにGHG
の排出及び吸収の活動のリストは,あらゆる例を網羅したものではない。妥当性確認又は検証の業務によ
っては,チームに複数のセクターの力量が必要となることもある。例えば,炭素回収貯留については,チ
ームには,表C.1の2及び5に示すセクターの力量が必要となる。埋立プロジェクトについては,チーム
は,1,2(メタン燃焼を想定した場合),及び6に示すセクターの力量を備えることとなる。妥当性確認又
は検証の業務は一つ一つが異なるため,適用される力量を決定し,業務を行うチームが満たすことが求め
られる。
表C.1−各セクターで求められる力量の例
1
直接GHG排出a)(プロセスGHG排出を除く。),及びエネルギー間接GHG排出b)
このセクターで求められる力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,及びモニタリング活動に関
する知識及び理解が求められる。
− 化石燃料の定常燃焼によるエネルギー生成
− 再生可能エネルギー源からのエネルギー生成(該当する場合)
− 化石燃料及びバイオ燃料の燃焼に通常付随する可動型設備の排出源(該当する場合)
− 漏えい(洩)排出源及びベンティングの排出源(該当する場合)
− フレアによる排出源(該当する場合)
− コジェネレーション(該当する場合)
注記1 このセクターには,例えば,石油採取,ガス採取,製造,鉱業,金属生産,建設,パイプライン,エ
ネルギー生成などがある。
注記2 可動型排出源には,例えば,航空機,道路輸送,鉄道,海上輸送,オフロード走行輸送などが含まれ
得る。
2
プロセスGHG排出(非燃焼,化学反応,その他)
このセクターに対する力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,及びモニタリング活動に関する
知識及び理解が求められる。
− 工業プロセス排出(HFC類,PFC類,SF6,N2O,オゾン層破壊物質など)の回避・代替・分解・変質・軽減を
伴う,化学生成,製造,石油及びガスの精製,非燃焼プロセスなど。
− 炭素回収貯留(例えば,アミン溶液回収システム)に付随する精製プロセス。
3
農業,林業,その他の土地利用(AFOLU)からのGHGの排出及び吸収
このセクターに対する力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,吸収又は吸収の増加,及びモニ
タリング活動に関する知識及び理解が求められる。
− バイオマス及び植物の炭素固定
− 植物の成長速度及び穀物収量の推算
− 降雨/蒸発・蒸散プロセス
− 生物の窒素固定プロセス,穀物中の窒素残留物,N2O排出
− 土壌有機炭素貯蔵
注記 このセクターには,例えば,森林再生,森林伐採,森林管理,農業,耕作地/土壌の管理,草原管理,
再緑化,森林伐採回避,湿地帯,堆積物などが含まれる。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
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表C.1−各セクターで求められる力量の例(続き)
4
家畜からのGHG排出
このセクターに対する力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,及びモニタリング活動に関する
知識及び理解が求められる。
− 家畜/腸内発酵,及び家畜の管理の変化によるGHGの変動。
5
地層貯蔵庫内での炭素貯留
このセクターに対する力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,及びモニタリング活動に関する
知識及び理解が求められる。
− 貯留に適した場所の評価
− 地層中の炭素貯留(例えば,貯蔵庫)
− 炭素貯留からの漏えい(洩)(例えば,永続性)
6
廃棄物の分解からのGHG排出
このセクターに対する力量として,次の事項に伴うGHGの排出,削減又は回避,及びモニタリング活動に関する
知識及び理解が求められる。
− 例えば,ごみ埋立地,堆肥製造施設,排水処理場,堆肥管理,その他の廃棄物管理プロセスによる処分。
注a) “直接的な温室効果ガス(GHG)の排出量”は,JIS Q 14064-1:2010の2.8で定義されている。
b) “エネルギー起源の間接的な温室効果ガス(GHG)排出”は,JIS Q 14064-1:2010の2.9で定義されている。
18
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
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附属書D
(参考)
JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び
検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係
JIS Q 14065:2011の6.3.2〜6.3.6で規定している妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,妥当性
確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係を,表D.1に示す。
注記 この附属書の策定に当たっては,“UFE候補の力量マップ:UFEで評価した職業人の力量の理
解”[17] を情報源の一つとして参照。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.2
妥当性確認又は検証チームの知識
妥当性確認又は検証チームは,該当するGHGプロ
グラムについて,次の事項を含む詳細な知識をも
たなければならない。
a) 適格性に関する要求事項
b) 該当する場合,異なる管轄における実施
c) 妥当性確認又は検証に関する要求事項及び指
針
− 評価対象の資料に適用するのに最もふさわしい規則又は
方針を特定する。
妥当性確認又は検証チームは,妥当性確認又は検
証に関係する事項について,適切な言語を用いて,
効果的なコミュニケーションができなければなら
ない。
− 書面によるコミュニケーション(報告書,書簡,メモ,電
子メール)によって,関連情報を共有及び配信する。
− 口頭でのコミュニケーションを適切な言語で,かつ職業人
としてふさわしい方法で行う。
− 全ての関係者がよく理解できる書式で,書面又は図表によ
って,情報を効果的に提示する。
19
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係(続き)
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.3
妥当性確認又は検証チームの技術的専門
知識
妥当性確認又は
検証チームは,
GHGプロジェ
クト又は組織に
ついて,次の事
項を評価するた
めの十分な技術
的専門知識をも
たなければなら
ない。
a) 固有のGHG活動及び技術
− 主要な業務の中で,その組織のGHGの排出量に影響を与
えるのは何かを明確にし,理解する。
− 使用されている実際の業務プロセスを理解する。
b) GHGの排出源,吸収源又は
貯蔵庫の特定及び選定
− プロジェクト又は組織のGHGパフォーマンスに影響を与
える主要な業務を特定し,理解する。
− 使用されている実際の業務プロセスを理解する。
c) 関係する技術上及びセクタ
ー上の問題を含む定量化,
モニタリング及び報告
− 検証の必要がある情報を明確にする。
− 測定機器及び校正機器の選定,使用及び保守を評価する。
− 分析で使用された情報の完全性,正確さ及び信頼性の妥当
性確認を実施する上で必要なテストの範囲を判断する。
− 情報に関する確かな結論を導き出す能力を強化するため
の裏付け情報を明確にする。
− 完了した作業に基づいて,情報の受け入れ若しくは,却下,
又はテストの変更か否かに対する結論を出す。
− 定量化の目的,及び精密な算定値,推定値,予測値又は予
想値が必要とされているかどうかを明確にする。
− (算定に予測値又は予想値が含まれる場合),その算定の
目的を達成するために必要な裏付け事実,データ,及び傾
向に関する知識を明確化し,主要な仮定を提示する。
d) 典型的及び変則的な運用条
件を含む,GHGに関する主
張の重要性に影響を与え得
る状況
− 多様な情報源から入手した情報を使って,例えば,次に示
す組織の業務環境の理解を深める。
− 利害関係者
− 産業界/セクターに関する重要成功要因
− 不確かさが生じる可能性の大小(例えば,政治的,財務的,
技術的など)
− 組織に影響を与える可能性のある環境変化(例えば,成長
市場の動向,法規制の変更など)
− チームが独立した立場から実施する,プロジェクト又は組
織のリスクアセスメントに基づき,例えば,虚偽リスク要
因など,対象事案の重大な不実表示につな(繋)がる可能
性のある個々のリスクを明確にする。
− 個々のリスクレベルの評価を行う。
− その後に実施する保証の性質,タイミング及び範囲に対す
る,リスクアセスメントの影響を評価する。
− 重要性に影響を与える要因を特定する。
− 計画策定段階での重要性のレベルを判断する。
妥当性確認又は検証チームは,GHGに関する主張
に関係するあらゆる法的要求事項を含む,GHGプ
ロジェクト又は組織の境界に影響を及ぼすかもし
れない財務的,運営的,契約上又はその他の合意
の影響を評価するための専門知識をもたなければ
ならない。
− 組織の活動を取り巻く法的枠組みについて精通する。
− 日常的な活動及び意思決定,並びに長期的な活動及び意思
決定に関わる関連規制の影響を評価する。
− GHGに関する主張に影響を与える可能性のある財務上,業
務上,契約上,その他の合意事項などの業務を組織が実施
する上で基本的な法的概念を理解し,それを適用する。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係(続き)
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.4
データ及び情報の評価のための妥当性確
認又は検証チームの専門知識
妥当性確認又は
検証チームは,
GHGプロジェ
クト又は組織の
GHGに関する
主張を評価する
ために,次の事
項を実施するた
めの能力を含
む,データ及び
情報の評価のた
めの専門知識を
もたなければな
らない。
a) プロジェクトの推進者又は
組織が信頼できるGHGに
関する主張を確立するため
に必要なデータを,効果的
に特定,収集,分析及び報
告しているかどうか,並び
に関係するGHGプログラ
ム又は規格の要求事項に関
係するあらゆる不適合を取
り扱うための是正処置を体
系的に講じているかどうか
を判断するためのGHG情
報システムを評価する。
− 情報を収集し,又は問題を調査する目的を特定する。
− 必要な情報を入手又は構築するために適切な方法を用い
る(例えば,内部又は外部の資源,文書レビュー,活動の
観察,面談など)。
− 分析の目的,並びに検討すべき情報又は見解及び資料を特
定する。
− 様々な情報源から得た見解及び情報を統合する。
− 特定した目的を達成するため,必要に応じて,内部又は外
部の情報源から得た情報を比較する。
− 論理的な推論を立てる。
− 特定した目的,収集した情報,及びその情報の分析に配慮
しつつ,ある事項の結果,又はある状況に対する情報の影
響について意見をまとめる。
b) 適切に合意された保証水準
に基づくサンプリング計画
を設計する。
− 一連の周辺状況について,次の事項を決定する。
− GHGに関する主張を裏付けるために必要な証拠の形式,範
囲及び質。
− 証拠を入手する上で最も効率的なテスト手順(例えば,統
制に対するテスト及び/又はその手順)。
− 証拠を収集する上でIT専門家の必要性,又はコンピュー
タ支援された審査技法利用の必要性。
− 関連する利害関係者にサンプリング計画を伝える。
− サンプリング計画で考慮されていない周辺状況の変化に
ついて注意を喚起し,適切に調整する。
c) データ及びデータシステム
の利用に関係するリスクを
分析する。
− 重大なリスクの発生源を特定するために,データ,データ
収集源,適用されるプロセス,及び統制を評価する。
− 組織では,システムの可用性,完全性,及びセキュリティ
を確保するため,データシステム/IT環境,プロセス,及
び新規技術に関わるリスクをどのように管理しているか
を明確にし,次に示す事項を分析し,議論する。
− 組織は,IT環境に関わるリスクをどのように管理している
か。
− 組織は,各アプリケーションに関わるリスクをどのように
管理しているか。
− 組織は,新技術の導入をどのように管理しているか。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係(続き)
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.4
データ及び情報の評価のための妥当性確
認又は検証チームの専門知識
d) データ及びデータシステム
における障害を特定する。
− サンプリング計画で規定した手順を実行する。
− 虚偽情報(すなわち,不正)の可能性を常に意識し,適切
なレベルの懐疑心を発揮する。
− 主要な統制を明確にし,理解する。
− ITの統制が機能するかどうかをテストする。
− 明確化された欠陥の意味合いを理解し,改善点を明らかに
する。
− 実施した妥当性確認又は検証の各手順で,妥当性確認又は
検証の業務中に出てきた重大な所見又は問題との明確な
つな(繋)がりを,確実に文書に残すようにする。
− 実施した妥当性確認又は検証手順の性質,タイミング,範
囲,及びその手順の結果の裏付けとなる十分な情報を,確
実に文書に残す。
− 実施した妥当性確認又は検証の手順がその目的を達成し
たかどうかについて,結論を出す。
− 必要に応じて,作業/サンプリングの計画を変更する。
e) GHGに関する主張の重要
性に対し,様々なデータの
流れが及ぼす影響を評価す
る。
− 証拠及び/又は分析結果の十分性及び意義を評価する。
− 矛盾点,予期していなかった周辺状況,予期していなかっ
た所見,又は不正若しくは誤りの可能性を示す所見を明確
にする。
− 対象が,評価で使用した規則,規格又は方針に適合してい
るかどうかを見極める。
− 妥当性確認若しくは検証の範囲又は保証/業務の計画に
対して,所見が与える影響を明確にする。
− 文書の妥当性を評価する。
− 事業の性質,その期間中の運用,及び妥当性確認又は検証
の手順の結果を踏まえて,対象に対する結論が理にかなっ
ているかを分析し,決定する。
− 重要性の観点から,誤りの影響を分析し,証拠を追加して
収集する必要,又は手順の範囲を広げる必要があるか否か
を分析する。
− GHGに関する主張が報告されている場合,適用される基準
に従って,その結論の適切性について評価する。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係(続き)
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.5
GHGプロジェクトの妥当性確認チーム固
有の力量
6.3.2〜6.3.4に規
定する要求事項
に加え,妥当性
確認チームは,
次の事項を行う
ために用いるプ
ロセス,手順及
び方法論を評価
するための専門
知識をもたなけ
ればならない。
a) 前提となる仮定を含むベー
スラインシナリオを選択
し,正当化し,定量化する。
− ベースラインシナリオを選定し,その正当性の根拠を示
し,定量化するために,評価の目的,及び検討しなければ
ならない情報(プロセス,手順及び方法論を含む)を明確
にする。
− ベースラインシナリオを決定するために使用された基準
/仮定を評価する。
− ビジネスアズユージュアル(BAU)/そのセクターでの一
般的な動向に関する知識も含めて,ベースラインシナリオ
の構築に使われた定量化の方法論に精通する。
− 情報を分析し,論理的な推論を立てる。
b) ベースラインシナリオの保
守性を判断する。
− ベースラインシナリオの保守性を判断するため,評価の目
的,及び検討すべき情報(プロセス,手順及び方法論を含
む)を明確にする。
− ベースラインシナリオの保守性を判断するために使用さ
れた基準を評価する。
− 情報を分析し,論理的な推論を立てる。
c) ベースラインシナリオ及び
GHGプロジェクトの境界
を決定する。
− 評価の目的,及び検討すべき情報(プロセス,手順及び方
法論を含む)を明確にする。
− ベースラインシナリオ及びプロジェクトの境界を明確に
するために使用された基準を評価する。
− ビジネスアズユージュアル(BAU)/そのセクターでの一
般的な動向に関する知識も含めて,ベースラインシナリオ
の構築に使われた定量化の方法論に精通する。
− プロジェクトの境界のレビュー及び確認を行う(例えば,
目視による検査,プロセスフローダイアグラムのレビュ
ー)。
− 情報を分析し,論理的な推論を立てる。
d) 活動,製品又はサービスの
種類及びレベルについて,
ベースラインシナリオと
GHGプロジェクトとの間
の同等性を実証する。
− 機能面の同等性を見極めるため,評価の目的,及び検討し
なければならない情報(プロセス,手順及び方法論を含む)
を明確にする。
− 機能面の同等性を判断するために使用された基準を評価
する。
− 情報を分析し,論理的な推論を立てる。
e) GHGプロジェクトの活動
が,ベースラインシナリオ
の活動に対し追加的である
ことを実証する。
− GHGプロジェクトの活動が,ベースラインシナリオの活動
に対して追加性があることを実証するため,評価の目的,
及び検討しなければならない情報(プロセス,手順及び方
法論を含む)を明確にする。
− 追加性を判断するために使用された基準/仮定を評価す
る。
− 情報を分析し,論理的な推論を立てる。
f) 該当する場合,リーケージ
及び永続性のようなGHG
プログラムの要求事項への
適合を実証する。
− GHGプログラムの要求事項を明確にする。
− 特定化されたGHGプログラムの要求事項に対するプロジ
ェクトの適合性を評価する。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表D.1−JIS Q 14065:2011で規定する妥当性確認及び検証の力量に関する要求事項と,
妥当性確認チーム及び検証チームが必要とする技能及び能力との関係(続き)
JIS Q 14065:2011 力量要求事項
妥当性確認チーム又は検証チームの技能及び能力
6.3.2〜6.3.4に規定する要求事項に加え,妥当性確
認チームは,ベースラインシナリオの選択に影響
を及ぼし得る,関係するセクターの傾向について
の知識をもたなければならない。
− 運用される環境/セクターについて(過去の教育又は経験
を通し)理解を深める。
− ベースラインシナリオの選定に影響を与える可能性のあ
るセクターの動向を明確にする。
− ベースラインシナリオの選定プロセスを理解する。
6.3.6
GHGプロジェクトの検証チーム固有の力
量
6.3.2〜6.3.4に規
定する要求事項
に加え,プロジ
ェクトの検証チ
ームは,次の事
項を行うために
用いるプロセ
ス,手順又は方
法論を評価する
ための適切な専
門知識をもたな
ければならな
い。
a) 妥当性確認を終えたGHG
プロジェクトの計画とその
GHGプロジェクトの実施
との間の一貫性の評価
− プロジェクト計画とプロジェクトの実施との整合性を評
価するため,評価の目的,及び検討すべき情報(プロセス,
手順及び方法論を含む)を明確にする。
− プロジェクト計画と実施されたGHGプロジェクトとの比
較ができるような情報を収集し,評価する。
− データ及び情報を分析し,計画どおりにプロジェクトが実
施されてきたかどうかを確認する。
− プロジェクトを目視によって検査し,及び/又は観察し,
妥当性が確認されたプロジェクト計画に従ってプロジェ
クトが実施されてきたかどうかを評価する。
b) ベースラインシナリオ及び
前提となる仮定を含む,妥
当性確認を終えたGHGプ
ロジェクトの計画が,継続
的に適切であることの確認
− 妥当性が確認されたプロジェクト計画が,適切性を維持し
ていることを評価するため,評価の目的,及び検討すべき
情報(プロセス,手順及び方法論を含む)を明確化する。
− 適切性が維持されていることの確認ができるような情報
を収集し,評価する。
− データ及び情報を分析し,プロジェクト計画が現時点でも
適切かどうか確認する。
その他の力量要求事項
妥当性確認又は検証の結果の報告に対する妥当性
確認又は検証チームの専門知識
− (適切な場合)報告書作成を管理する責任を担う管理者
層,及び他の利害関係者と適時に議論を行うための情報
を,発表形式又は報告書形式で準備する。
− 妥当性確認手順又は検証の手順の結果。
− プロセス,統制などへの改善の明確化。
− 虚偽情報(すなわち,不正)に起因する不実表示。
− 誤りに起因する不実表示。
− 妥当性確認又は検証の業務の性質上必要とされる他のあ
らゆる項目(例えば,適用される規制要求事項)。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
妥当性確認チーム又は検証チームのチームメンバーとしての訓練を
開始する個人に対する前提となる初期レベルの認識の例
E.1
一般
妥当性確認チーム又は検証チームのチームメンバーとしての訓練を開始する個人(以下,訓練生という。)
は,妥当性確認又は検証に関心を抱き,妥当性確認チーム又は検証チームに参加するのにふさわしい個人
の行動を示すことが望ましい。E.2及びE.3は,訓練生が,訓練プロセスの開始時点で,保持し得る前提
条件的な認識及び能力の例を示す。
注記 この附属書は,チームに加わる可能性がある専門家には適用されない。
E.2
認識
認識には,次の事項を含むことができる。
a) プロジェクト及び組織に関連するGHG排出量と,気候変動に関する知識との相互作用に関する一般
的な理解
b) 代表的なGHG排出源,吸収源及び貯蔵庫,並びにGHGの排出係数及び定量化の例
c) その訓練生がチームメンバーとして参加するであろう妥当性確認又は検証の種類に適用されるGHG
プログラムに関する一般的な理解
d) 組織の運営管理に適用される一般的な法的構造
e) GHG情報システムの代表的な運用及び管理
E.3
能力
能力には,次の事項を含むことができる。
a) 問題意識をもって考えること,及び複数のインプットを分析する能力
b) 外部の文化的制約要因及び規範を自ら考慮しようとし,考慮できる
c) 職業人としての懐疑心を発揮できる
d) 独立した立場で調査を実施し,責任当事者又は依頼者が主張する前提及び証拠に疑問を投げかける能
力
e) 妥当性確認プロセス又は検証プロセスの中で,“細部に目を向けること”と“予測される結果に対する
高いレベルの評価”とのバランスを見出す能力
f)
特に,必要な確認が確実に実施されているというレベルで詳細を管理及び体系化する能力(例えば,
GHGプロジェクトの計画書とGHGプロジェクトの報告書との確認,GHGインベントリとそれに対応
する報告書との確認)。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書F
(参考)
個人の行動
GHGの妥当性確認/検証活動に関与する要員は,箇条4に記載した妥当性確認及び検証の原則に従って
行動できるように,必要な資質を備えていることが望ましい。要員は,妥当性確認及び検証の活動を実施
するとき,次の事項を含む,職業人としての行動を示すことが望ましい。
a) 倫理的である。すなわち,公正である,信用できる,誠実である,正直である,そして分別がある。
b) 心が広い。すなわち,別の考え方又は視点を自ら考慮する。
c) 外交的である。すなわち,人と上手に接する。
d) 観察力がある。すなわち,物理的な周囲の状況及び活動を積極的に観察する。
e) 知覚が鋭い。すなわち,状況を認知し,理解できる。
f)
適応性がある。すなわち,異なる状況に容易に合わせる。
g) 粘り強い。すなわち,根気があり,目的の達成に集中する。
h) 決断力がある。すなわち,論理的な理由付け及び分析に基づいて,時宜を得た結論に到達する。
i)
自立的である。すなわち,他人と効果的なやりとりをしながらも独立して行動し,役割を果たす。
j)
き(毅)然とした態度で行動する。すなわち,その行動が,ときには受け入れられず,意見の相違又
は対立を招くことがあっても,自ら責任をもち,倫理的に行動する。
k) 計画的である。すなわち,効果的な時間管理,優先順位を付け,計画策定及び効率性を示す。
l)
改善を受け入れる。すなわち,状況から学びとり,よりよい評価結果のために努力する。
m) 文化の違いに配慮できる。すなわち,受審組織の文化的伝統を観察し,尊重する。
n) チームプレイヤーである。すなわち,妥当性確認/検証チームの他のメンバーと協調して業務ができ
る。
注記 JIS Q 19011参照。
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Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1]
JIS Q 14020:1999 環境ラベル及び宣言−一般原則
注記 対応国際規格:ISO 14020:1998,Environmental labels and declarations−General principles(IDT)
[2]
JIS Q 14021:2000 環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示)
注記 対応国際規格:ISO 14021:1999,Environmental labels and declarations−Self-declared
environmental claims (Type II environmental labelling)(IDT)
[3]
JIS Q 14024:2000 環境ラベル及び宣言−タイプI環境ラベル表示−原則及び手続
注記 対応国際規格:ISO 14024:1999,Environmental labels and declarations−Type I environmental
labelling−Principles and procedures(IDT)
[4]
JIS Q 14025:2008 環境ラベル及び宣言−タイプIII環境宣言−原則及び手順
注記 対応国際規格:ISO 14025:2006,Environmental labels and declarations−Type 3 environmental
declarations−Principles and procedures(IDT)
[5]
JIS Q 14040 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み
注記 対応国際規格:ISO 14040:2006,Environmental management−Life cycle assessment−Principles
and framework(IDT)
[6]
JIS Q 14044 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−要求事項及び指針
注記 対応国際規格:ISO 14044:2006,Environmental management−Life cycle assessment−
Requirements and guidelines(IDT)
[7]
ISO 14045 1),Environmental management−Eco-efficiency assessment of product systems−Principles,
requirements and guidelines
[8]
ISO/TR 14047,Environmental management−Life cycle impact assessment−Examples of application of ISO
14042
[9]
ISO/TS 14048,Environmental management−Life cycle assessment−Data documentation format
[10] ISO/TR 14049,Environmental management−Life cycle assessment−Examples of application of ISO 14041
to goal and scope definition and inventory analysis
[11] JIS Q 14064-1 温室効果ガス−第1部:組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及
び報告のための仕様並びに手引
注記 対応国際規格:ISO 14064-1:2006,Greenhouse gases−Part 1: Specification with guidance at the
organization level for quantification and reporting of greenhouse gas emissions and removals(IDT)
[12] JIS Q 14064-2 温室効果ガス−第2部:プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量の削減又は吸
収量の増加の定量化,モニタリング及び報告のための仕様並びに手引
注記 対応国際規格:ISO 14064-2:2006,Greenhouse gases−Part 2: Specification with guidance at the
project level for quantification, monitoring and reporting of greenhouse gas emission reductions or
removal enhancements(IDT)
[13] ISO 14067 1) Carbon footprint of products
[14] JIS Q 19011:2012 マネジメントシステム監査の指針
注記 対応国際規格:ISO 19011:2011,Guidelines for auditing management systems(IDT)
[15] ISAE 3000,Assurance engagements other than audits or reviews of historical financial information
27
Q 14066:2012 (ISO 14066:2011)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
[16] International Framework for Assurance Engagements, Handbook of International Auditing, Assurance and
Ethics Pronouncements, 2008 Edition, Part I, published by the International Federation of Accountants
[17] UFE Candidates' Competency Map: Understanding the Professional Competencies Evaluated on the UFE,
2007, Canadian Institute of Chartered Accountants
注1) 作成中