Q 14064-3:2011 (ISO 14064-3:2006)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 4
2 用語及び定義 ··················································································································· 5
3 原則······························································································································· 9
3.1 一般 ···························································································································· 9
3.2 独立性 ························································································································ 10
3.3 倫理的行動 ·················································································································· 10
3.4 公正な報告 ·················································································································· 10
3.5 職業専門家としての正当な注意························································································ 10
4 妥当性確認及び検証に関する要求事項 ················································································· 10
4.1 妥当性確認を行う者又は検証を行う者 ··············································································· 10
4.2 妥当性確認及び検証プロセス··························································································· 10
4.3 妥当性確認又は検証の保証水準,目標,基準及び範囲 ·························································· 11
4.4 妥当性確認又は検証アプローチ························································································ 12
4.5 GHG情報システム及びその統制の評価 ············································································· 13
4.6 GHGのデータ及び情報の評価 ························································································· 13
4.7 妥当性確認又は検証の基準に照らした評価 ········································································· 14
4.8 GHGに関する主張の評価 ······························································································· 14
4.9 妥当性確認及び検証の声明書··························································································· 14
4.10 妥当性確認又は検証の記録 ···························································································· 14
4.11 妥当性確認又は検証の後に検出された事実 ······································································· 14
附属書A(参考)この規格の利用に関する手引 ········································································· 16
参考文献 ···························································································································· 39
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS Q 14064の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Q 14064-1 第1部:組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び報告のための仕
様並びに手引
JIS Q 14064-2 第2部:プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量の削減又は吸収量の増加の定量
化,モニタリング及び報告のための仕様並びに手引
JIS Q 14064-3 第3部:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引
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日本工業規格 JIS
Q 14064-3:2011
(ISO 14064-3:2006)
温室効果ガス−第3部:温室効果ガスに関する主張
の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引
Greenhouse gases - Part 3: Specification with guidance for the validation
and verification of greenhouse gas assertions
序文
この規格は,2006年に第1版として発行されたISO 14064-3を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
この規格の“注記”に記載した情報は,関連する要求事項を理解するための,又は明確にするための手
引である。
気候変動は,各国,政府,企業及び一般市民が,今後数十年間に直面する最大の課題の一つとされてい
る。気候変動は,人為的システムと自然システムとの双方に影響し,資源の利用,生産及び経済活動に重
大な変化を生じさせるおそれがある。これを受け,大気中の温室効果ガス(以下,GHGという。)の濃度
を安定化させるため,国際,地域,国内及び地方のレベルでの取組が策定され,かつ,実施されている。
このようなGHG対策には,GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化,モニタリング,報告及び検証が不
可欠である。
JIS Q 14064-1では,組織又は企業が行うGHGインベントリの設計,開発,管理及び報告に関する原則
及び要求事項が記述されている。JIS Q 14064-1には,GHGの排出量の境界の判定,組織によるGHGの排
出量及び吸収量の定量化,並びにGHG管理の改善を狙いとする具体的な企業の行動又は活動の特定に関
する要求事項が含まれる。また,インベントリの品質管理,報告,内部監査及び検証活動における組織の
責任に関する要求事項並びに手引も含む。
JIS Q 14064-2では,特にGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を目的とするGHGプロジェクト又は
プロジェクトに基づく活動に焦点を当てる。JIS Q 14064-2は,プロジェクトにおけるベースラインシナリ
オの決定,並びにベースラインシナリオに関連したプロジェクトにおけるパフォーマンスのモニタリング,
定量化及び報告のための原則及び要求事項を含むとともに,GHGプロジェクトの妥当性確認及び検証のた
めの基盤を提供する。
この規格では,GHGインベントリの検証に関する,及びGHGプロジェクトの妥当性確認又は検証に関
する原則及び要求事項を詳述する。この規格は,GHGに関する妥当性確認プロセス又は検証プロセスにつ
いて規定するとともに,妥当性確認又は検証の計画,アセスメント手順,及び組織又はプロジェクトによ
るGHGに関する主張の評価のような構成要素を特定する。この規格は,組織又は独立当事者が,GHGに
関する主張の妥当性確認又は検証に用いることができる。
JIS Q 14064-1〜JIS Q 14064-3(以下,JIS Q 14064規格群という。)の関係を,図1に示す。
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図1−JIS Q 14064規格群の各部間の関係
JIS Q 14064規格群は,GHGインベントリ又はGHGプロジェクトの定量化,モニタリング,報告及び
妥当性確認又は検証に,明確性及び一貫性を与えることによって,全世界の組織,政府,プロジェクトの
推進者及び利害関係者に有益となることが期待される。特に,JIS Q 14064規格群の利用によって,次の事
項が可能となる。
− GHGの定量化における環境の面からの完全性を高める。
− GHGプロジェクトによる排出量の削減及び吸収量の増加を含む,GHGの定量化,モニタリング及び
報告の信頼性,一貫性及び透明性を高める。
− 組織のGHGの管理戦略及び計画の策定,及び実施を促進する。
− GHGプロジェクトの開発及び実施を促進する。
− GHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加におけるパフォーマンス及び進捗状況を把握する能力
を高める。
− GHGの排出量の削減又は吸収量の増加によるクレジット付与,及び取引を促進する。
JIS Q 14064規格群の利用者は,次のような事例に適用することによって便益を得られる可能性がある。
a) 企業のリスク管理:例えば,リスク及び機会の抽出,及び管理
プログラム別
意図した利用者
のニーズに
沿った
保証水準
該当するGHG
プログラム又は
意図した利用者
の要求事項
例えば,JIS Q 14065
妥当性確認又は検証を行う
機関に対する要求事項
JIS Q 14064-3
検証プロセス 妥当性確認プロセス及び検証プロセス
JIS Q 14064-1
組織のGHGインベントリの
設計及び開発
JIS Q 14064-2
GHGプロジェクトの
設計及び実施
GHGインベントリの
文書化及び報告
GHGプロジェクトの
文書化及び報告
プログラム別
GHGに関する主張
妥当性確認及び/
又は検証
GHGに関する主張
検証
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b) 自主的取組:例えば,自主的なGHGの登録簿制度又は報告制度への参加
c) GHG市場:例えば,GHGの排出枠又はクレジットの売買
d) 規制当局/政府への報告:例えば,早期対応によるクレジット,交渉による合意又は国の報告プログ
ラム
この規格は,GHGの情報の妥当性確認及び検証を行う者に対する原則,要求事項及び手引を規定する。
この規格は,次のような幅広い潜在的利用者にとって有用となることを意図している。
− 第一者,第二者及び第三者の立場でGHGの妥当性確認を行う者及び検証を行う者
− GHGプロジェクトの開発及び委託に関わる組織及び個人
− 自らのGHGの情報の内部監査を行う組織
− GHGの妥当性確認を行う者又は検証を行う者の教育・訓練に関わる組織
− 自主的及び強制的なGHGプログラムの運用者
− 投資家,金融業界及び保険業界
− 規制当局,並びに排出量取引及び排出量又は吸収量のオフセットプログラムの認定,及び適合性評価
に関わる者
この規格の要求事項は,組織又はプロジェクトのGHGに関する主張が,完全性,正確性,一貫性及び
透明性を備え,かつ,重大な不一致がないことを,意図した利用者に保証するためのプロセスを規定する。
妥当性確認及び検証のプロセスは類似しているが,その活動の力点に違いがある。このプロセスには,内
部で適用する場合と外部で適用する場合との二つがある。内部で適用する場合は,この規格を一つの指針
として利用することができるのに対し,外部で適用する場合は,この規格を一連の要求事項として利用す
ることができる。
妥当性確認及び検証の活動の程度は,次のとおりである。
− 要求される保証水準
− 意図した利用者のニーズ
− 妥当性確認又は検証活動の目的
− 妥当性確認又は検証の基準
GHGに関する主張は,次のような,パフォーマンスの様々な側面に関する声明書である場合がある。
a) 組織におけるGHGの排出量又は吸収量の定量化
b) プロジェクトにおけるGHGの排出量の削減又は吸収量の増加の定量化
c) JIS Q 14064-1又はJIS Q 14064-2の要求事項への適合性
d) 規制された制度,又はGHGプログラムの原則及び要求事項の順守
e) 内部システム及び統制プロセスのパフォーマンス又は有効性
f)
運用プロセスのパフォーマンス又は有効性
箇条3は,妥当性確認及び検証の原則及び基礎を規定している。これらは,規格の利用者が妥当性確認
及び検証の本質を認識するために役立つとともに,GHGプロジェクトの妥当正確認,並びに組織又はGHG
プロジェクトによる主張の検証の実施に関する要求事項を規定した箇条4に必要な導入部分である。箇条
4の要求事項には,妥当性確認又は検証の目的,基準又は範囲(要求される保証水準を含む。)の設定,妥
4
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当性確認又は検証活動の調整,組織若しくはGHGプロジェクトのGHGの情報の妥当性確認又は検証のア
プローチの構築,GHGの情報の妥当性確認及び検証のための適切なサンプリング方法の確立,並びに組織
又はGHGプロジェクトの管理策のテストが含まれる。また,箇条4は,妥当性確認又は検証の声明書の
草案作成及び伝達に関する要求事項も規定している。
附属書Aに記載されている手引は,GHGプログラム又は条件の下での妥当性確認及び検証に関する追
加的情報を提供する。附属書Aは,箇条4に記載する妥当性確認及び検証の要求事項に関する手引を提供
するが,要求事項として強制するものは含まれていない。
箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが採用されたのか,又は下された判断は何か
について説明するように要求するものがある。説明には,一般的に,次の事項の文書化が含まれる。
− そのアプローチはどのように採用されたか,又はその判断はどのように下されたか。
− そのアプローチはなぜ選ばれたか,又はその判断はなぜ下されたか。
箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが使用されたのか,又は下された判断は何か
について正当な根拠を示すように要求するものがある。正当な根拠には,一般的に,次の事項の文書化が
含まれる。
− そのアプローチはどのように使用されたか,又はその判断はどのように下されたか。
− そのアプローチはなぜ選ばれたか,又はその判断はなぜ下されたか。
− 他のアプローチはなぜ選ばれなかったか。
1
適用範囲
この規格は,GHGに関する主張の妥当性確認及び/又は検証を実施又は運営管理する者のための,原則
及び要求事項について規定し,また,手引の指針を示す。この規格は,JIS Q 14064-1又はJIS Q 14064-2
に従って実施するGHGの定量化,モニタリング及び報告を含む,組織又はGHGプロジェクトによる定量
化に適用することができる。
この規格は,GHGの妥当性確認を行う者/検証を行う者の選定,保証水準,目的,基準及び範囲の設定,
妥当性確認/検証のアプローチの決定,GHGのデータ,情報,情報システム及び統制の評価,GHGに関
する主張の評価,並びに妥当性確認/検証の声明書の作成に関する要求事項を規定する。
JIS Q 14064規格群は,いかなるGHGプログラムに対しても中立的である。何らかのGHGプログラム
を適用する場合,該当するGHGプログラムの要求事項は,JIS Q 14064規格群の要求事項に追加して適用
する。
注記1 JIS Q 14064規格群の要求事項を満たすことによって,組織又はGHGプロジェクトの推進者
が,GHGプログラムの要求事項を順守できなくなる場合は,該当するGHGプログラムの要
求事項を優先する。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14064-3:2006,Greenhouse gases−Part 3: Specification with guidance for the validation and
verification of greenhouse gas assertions(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
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2
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
2.1
温室効果ガス,GHG(greenhouse gas)
自然起源か人為起源かを問わず,大気を構成する気体で,地球の表面,大気及び雲によって放射される
赤外線スペクトルの内,特定波長の放射線を吸収及び放出するもの。
注記
GHGには,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),亜酸化窒素(N2O),ハイドロフルオロカー
ボン(HFCs),パーフルオロカーボン(PFCs)及び六ふっ化硫黄(SF6)が含まれる。
2.2
温室効果ガス(GHG)の排出源(greenhouse gas source)
GHGを大気中に放出する物理的単位又はプロセス。
2.3
温室効果ガス(GHG)の吸収源(greenhouse gas sink)
大気中からGHGを吸収する物理的単位又はプロセス。
2.4
温室効果ガス(GHG)貯蔵庫(greenhouse gas reservoir)
生物圏,岩石圏若しくは水圏の物理的単位又は構成要素で,GHGの吸収源(2.3)によって大気中から
吸収されたGHG,又はGHGの排出源(2.2)から分離・回収されたGHGを貯蔵又は蓄積する能力がある
もの。
注記1 特定の時点でGHG貯蔵庫に含まれる炭素の質量の合計は,貯蔵庫の炭素ストックと呼ばれ
ることがある。
注記2 GHG貯蔵庫は,別のGHG貯蔵庫にGHGを移転できる。
注記3 GHG排出源から大気中に入る前にGHGを収集し,これをGHG貯蔵庫に貯蔵することを指
して,GHGの分離・回収及び貯蔵と呼ぶことがある。
2.5
温室効果ガス(GHG)の排出量(greenhouse gas emission)
特定の期間内に大気中に放出されたGHGの質量の合計。
2.6
温室効果ガス(GHG)の吸収量(greenhouse gas removal)
特定の期間内に大気中から吸収されたGHGの質量の合計。
2.7
温室効果ガス(GHG)の排出量の削減(greenhouse gas emission reduction)
ベースラインシナリオ(2.21)とプロジェクトとの間で計算されたGHGの排出量の減少。
2.8
温室効果ガス(GHG)の吸収量の増加(greenhouse gas removal enhancement)
ベースラインシナリオ(2.21)とプロジェクトとの間で計算されたGHGの吸収量の増加。
2.9
温室効果ガス(GHG)の排出係数又は吸収係数(greenhouse gas emission or removal factor)
活動データをGHGの排出量又は吸収量に変換する係数。
注記 GHGの排出係数又は吸収係数は,酸化成分を含めることができる。
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2.10
温室効果ガス(GHG)活動データ(greenhouse gas activity data)
GHGの排出量又は吸収量をもたらす活動の定量的な測定値。
注記 GHG活動データの例としては,エネルギー,燃料若しくは電力の消費量,素材の生産量,サー
ビスの提供量又は影響を受ける土地の面積を含む。
2.11
温室効果ガス(GHG)に関する主張(greenhouse gas assertion)
責任当事者(2.24)が行う宣言又は事実に基づく客観的な声明書。
注記1 GHGに関する主張は,ある時点に対して提示してもよいし,ある期間に対して提示してもよ
い。
注記2 責任当事者が提示するGHGに関する主張は,明確に識別が可能で,かつ,妥当性確認を行
う者(2.35)又は検証を行う者(2.37)が適切な基準に照らして一貫した評価又は測定を行え
るものであることが望ましい。
注記3 GHGに関する主張は,GHG報告書(2.17)又はGHGプロジェクト(2.12)の計画書の形で
提示することができる。
2.12
温室効果ガス(GHG)情報システム(greenhouse gas information system)
GHGの情報を確立し,管理し,かつ,維持するための方針,プロセス及び手順。
2.13
温室効果ガス(GHG)インベントリ(greenhouse gas inventory)
ある組織のGHGの排出源(2.2),GHGの吸収源(2.3),並びにGHGの排出量及び吸収量。
注記 インベントリは,“目録”又は“登録簿”ともいう。
2.14
温室効果ガス(GHG)プロジェクト(greenhouse gas project)
ベースラインシナリオ(2.21)において特定された状態を変更させるようなGHGの排出量の削減(2.7),
又は吸収量の増加(2.8)をもたらす活動。
2.15
温室効果ガス(GHG)プロジェクト推進者(greenhouse gas project proponent)
GHGプロジェクト(2.14)において全般的な管理力及び責任をもつ個人又は組織。
2.16
温室効果ガス(GHG)プログラム(greenhouse gas programme)
組織又はGHGプロジェクトの外部に位置付けられ,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減(2.7)又は
吸収量の増加(2.8)を,登録,算定若しくは管理する,自主的若しくは強制的な,国際,国内若しくは地
方のシステム又はスキーム。
2.17
温室効果ガス(GHG)報告書(greenhouse gas report)
組織及びプロジェクトのGHG関連の情報を意図した利用者(2.26)に伝達することを意図した単一の文
書。
注記 GHG報告書には,GHGに関する主張(2.11)を含むことができる。
2.18
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地球温暖化係数,GWP(global warming potential)
所定の期間において,それぞれのGHGの単位質量当たりの放射強制力の影響を,二酸化炭素の相当量
で記述する係数。
2.19
二酸化炭素換算量(CO2e)(carbon dioxide equivalent)
GHGの放射強制力を二酸化炭素の相当量に換算した単位。
注記 二酸化炭素換算量は,所定のGHGの質量にそのGWP(2.18)を乗じて算定される。
2.20
基準年(base year)
GHGの排出量若しくは吸収量又はその他のGHG関連の情報を経時的に比較するために特定された過去
の期間。
注記 基準年の排出量又は吸収量は,具体的な期間(例えば,1年)に基づいて定量化しても,複数
期間(例えば,数年間)の平均をとってもよい。
2.21
ベースラインシナリオ(baseline scenario)
提案されたGHGプロジェクト(2.14)がなかった場合に起きていたであろう状況を最もよく表す仮説的
な基準となるケース。
注記 ベースラインシナリオの時間軸は,GHGプロジェクトの時間軸に一致する。
2.22
施設(facility)
単一の地理的な境界,組織単位又は生産プロセスの内で定義された,固定式若しくは移動式を問わず,
単一の設備,一連の設備又は生産プロセス。
2.23
組織(organization)
法人であるか否か,公的であるか私的であるかを問わず,独自の機能及び管理体制をもつ会社,法人,
事業所,企業,官公庁若しくは団体,又はそれらの一部若しくは組合せ。
2.24
責任当事者(responsible party)
GHGに関する主張(2.11)及び裏付けとなるGHGの情報の提示に対して責任を負う人又は人々。
注記
責任当事者は,個人でも,組織又はプロジェクトの代表でもあり得るほか,妥当性確認を行
う者(2.35)又は検証を行う者(2.37)を採用する当事者でもあり得る。妥当性確認を行う者
又は検証を行う者は,依頼人又はGHGプログラムの運用者のようなその他の当事者が採用
してもよい。
2.25
利害関係者(stakeholder)
GHGプロジェクト(2.14)の開発又は実施によって影響を受ける個人又は組織。
2.26
意図した利用者(intended user)
GHG関連の情報の報告書によって特定された個人又は組織で,当該情報に基づき判断を下す者。
注記 意図した利用者は,依頼者(2.27),責任当事者(2.24),GHGプログラムの運用者,規制当局,
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財界又はその他の影響を受ける利害関係者(2.25)(例えば,地域社会,政府部局又は非政府組
織)のいずれでもあり得る。
2.27
依頼者(client)
妥当性確認(2.32)又は検証(2.36)を要請した組織又は個人。
注記
依頼者は,責任当事者(2.24),GHGプログラムの運用者又はその他の利害関係者(2.25)の
いずれでもあり得る。
2.28
保証水準(level of assurance)
意図した利用者(2.26)が妥当性確認(2.32)又は検証(2.36)で要求する保証の程度。
注記1 保証水準は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,何らかの重大な誤り,脱漏又は不実
表示があるか否かを判断するために,妥当性確認又は検証の計画に設定する詳細度の決定に
用いられる。
注記2 保証には,二つの水準(合理的又は限定的)があり,これによって,妥当性確認又は検証の
声明書の文言が異なる。妥当性確認及び検証の声明書の例については,A.2.3.2を参照。
2.29
重要性(materiality)
個別の誤り,脱漏及び不実表示,又はその総体が,GHGに関する主張(2.11)に影響し,かつ,意図し
た利用者(2.26)の判断にも影響を与え得るという概念。
注記1 重要性の概念は,妥当性確認又は検証の計画及びサンプリング計画を設計する際,妥当性確
認を行う者又は検証を行う者が,重大な不一致(2.30)を見落とすというリスク(発見リス
ク)を極小化するために用いる実質的プロセスの種類を判定するために用いられる。
注記2 重要性の概念は,脱漏又は虚偽表示があれば,意図した利用者に対するGHGに関する主張
の著しい不実表示となり,その判断に影響を及ぼすと考えられる情報を抽出する際に用いら
れる。許容可能な重要性は,合意された保証水準に基づき,妥当性確認を行う者,検証を行
う者又はGHGプログラムが決定する。この関係についての詳細は,A 2.3.8を参照。
2.30
重大な不一致(material discrepancy)
GHGに関する主張(2.11)における実際の個別の誤り,脱漏及び不実表示,又はその総体で,意図した
利用者(2.26)の判断に影響を与えかねないもの。
2.31
モニタリング(monitoring)
GHGの排出量及び吸収量,又はその他のGHG関連のデータについての継続的又は定期的なアセスメン
ト。
2.32
妥当性確認(validation)
GHGプロジェクトの計画書におけるGHGに関する主張(2.11)を,合意された妥当性確認の基準(2.33)
に照らして評価する体系的で,独立し,かつ,文書化されたプロセス。
注記1 第一者による妥当性確認のような場合,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないこ
とによって,独立性が実証できることがある。
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注記2 GHGプロジェクトの計画書の内容については,JIS Q 14064-2の5.2で規定されている。
注記3 “バリデーション”又は“有効化審査”ともいう。
2.33
妥当性確認の基準(validation criteria)
検証の基準(verification criteria)
比較される根拠として,参照されることによって使用される方針,手順又は要求事項。
注記 妥当性確認又は検証の基準は,政府,GHGプログラム,自主的な報告制度,規格又はグッドプ
ラクティスの手引のいずれによって設定されてもよい。
2.34
妥当性確認の声明書(validation statement)
検証の声明書(verification statement)
責任当事者のGHGに関する主張(2.11)における声明書に保証を与える,意図した利用者(2.26)に対
する正式な宣言書。
注記 妥当性確認を行う者又は検証を行う者による宣言は,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減又
は吸収量の増加の主張を対象とすることができる。
2.35
妥当性確認を行う者(validator)
力量及び独立性を備え,妥当性確認の実施及びその結果の報告に対して責任を負う人又は人々。
注記1 この用語は,妥当性確認を行う機関を指すために用いることができる。
注記2 “バリデータ”ともいう。
2.36
検証(verification)
GHGに関する主張(2.11)を,合意された検証の基準(2.33)に照らして評価する,体系的で,独立し,
かつ,文書化されたプロセス。
注記
第一者による検証のような場合,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないことによ
って,独立性が実証できることがある。
2.37
検証を行う者(verifier)
力量及び独立性を備え,検証プロセスの実施及びその報告に対して責任を負う人又は人々。
注記 この用語は,検証を行う機関を指すために用いることができる。
2.38
不確かさ(uncertainty)
定量化の結果に関係するパラメータで,定量化の対象に合理的に当てはめることができる数値のばらつ
きを特徴付けるもの。
注記
通常,不確かさの情報には,数値のばらつき度合いの定量的な推計,及びばらつきを起こす
可能性に関する定性的な説明が示される。
3
原則
3.1
一般
原則の適用は,妥当性確認及び検証の基礎となる。原則は,この規格の要求事項の基本であり,かつ,
10
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
適用を手引するものである。
3.2
独立性
妥当性確認又は検証の対象の活動から独立した立場にあり,偏り及び利害抵触がない。妥当性確認又は
検証の所見及び結論が,妥当性確認又は検証中に収集された客観的な証拠に基づくことを確実にするため
に,妥当性確認又は検証中,終始一貫して客観性を維持する。
3.3
倫理的行動
妥当性確認又は検証プロセス中,終始一貫して信用があり,誠実であり,機密を保持し,かつ,分別を
もつことによって,倫理的行動を実証する。
3.4
公正な報告
妥当性確認又は検証の活動,所見,結論及び報告をありのままに,かつ,正確に反映する。妥当性確認
又は検証中に遭遇した顕著な障害,及び妥当性確認を行う者又は検証を行う者,責任当事者と依頼者との
間で解決に至らない意見の食い違いについても報告する。
3.5
職業専門家としての正当な注意
自らが実施する業務の重要性,並びに依頼者及び意図した利用者が抱いている信頼に見合う,職業専門
家としての正当な注意を払い,かつ,判断を下す。妥当性確認又は検証を実施するために必要な技能及び
力量を備える。
注記 独立性,倫理的行動,公正な報告及び職業専門家としての正当な注意に関する原則は,JIS Q
19011から引用し,この規格の文脈を反映するように変更した。
4
妥当性確認及び検証に関する要求事項
4.1
妥当性確認を行う者又は検証を行う者
妥当性確認及び検証活動を実施するために選定された妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次によ
る。
a) 自らの役割及び責任に見合う力量,並びに職業専門家としての正当な注意を実証しなければならない。
b) 独立した立場にいなければならない。
c) 責任当事者とGHG情報の意図した利用者との間の,実際の又は潜在的な,いかなる利害抵触も回避
しなければならない。
d) 妥当性確認及び検証中,終始一貫して,倫理的行動を実践しなければならない。
e) 妥当性確認及び検証の活動,結論及び報告書は,ありのままに,かつ,正確に反映しなければならな
い。
f)
適用する規格,又は責任当事者が同意するGHGプログラムの要求事項を満たさなければならない。
注記 妥当性確認を行う者及び検証を行う者に適切な知識,技能,並びに力量に関するより一般的な
手引を,A.2.2に示す。JIS Q 14065は,第三者の立場で妥当性確認を行う者又は検証を行う者
に関する要求事項を規定している。
4.2
妥当性確認及び検証プロセス
箇条4の要求事項に基づいてGHG情報の妥当性確認又は検証を完了するプロセスを,図2に示す。箇
条4の要求事項に関する追加的な手引を,附属書Aに示す。
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図2−妥当性確認及び検証のプロセス
4.3
妥当性確認又は検証の保証水準,目標,基準及び範囲
4.3.1
保証水準
妥当性確認又は検証の保証水準は,妥当性確認又は検証プロセスの開始時に,依頼者と合意しなければ
ならない。
4.3.2
目的
妥当性確認を行う者及び依頼者は,妥当性確認プロセスの開始時に,妥当性確認の目的に関して合意し
なければならない。
GHGプロジェクトの妥当性確認では,妥当性確認の目的は,責任当事者が表明するように,計画した
GHGプロジェクトの実施によってGHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加をもたらすという,見込
みの評価を含まなければならない。
検証を行う者及び依頼者は,検証プロセスの開始時に,検証の目的に関して合意しなければならない。
次に関する合意 (4.3)
−保証水準
−目標
−基準
−範囲
−重要性
妥当性確認又は検証アプ
ローチの開発策定 (4.4)
−妥当性確認又は検証の計画
−サンプリング計画
妥当性確認又は検証の記録
(4
.1
0
)
GHGに関する主張の評価 (4.8)
妥当性確認又は検証の声明書
の発行 (4.9)
基準に照らした評価 (4.7)
GHGのデータ及び情報の評価 (4.6)
GHG情報システム統制の評価 (4.5)
(4.10)
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4.3.3
基準
妥当性確認を行う者又は検証を行う者,及び依頼者は,妥当性確認又は検証プロセスの開始時に,妥当
性確認又は検証の基準に関して合意しなければならない。基準について合意する際,適用する規格又は責
任当事者が同意するGHGプログラムの原則を適用しなければならない。
注記 妥当性確認又は検証の基準には,JIS Q 14064-1又はJIS Q 14064-2に規定する基準を含めても
よい。
4.3.4
範囲
妥当性確認を行う者又は検証を行う者,及び依頼者は,妥当性確認又は検証プロセスの開始時に,妥当
性確認又は検証の範囲に関して合意しなければならない。妥当性確認及び検証の範囲には,最低限,次の
事項を含めなければならない。
a) 組織の境界,又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシナリオ
b) 組織又はGHGプロジェクトの物理的インフラ,活動,技術及びプロセス
c) GHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫
d) GHGの種類
e) 期間
4.3.5
重要性
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の目的,保証水準,基準及び範囲を考慮
し,意図した利用者が要求する重要性を確立しなければならない。
4.4
妥当性確認又は検証アプローチ
4.4.1
一般
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次の事項の評価を行うために,組織又はプロジェクトのGHG
情報のレビューを実施しなければならない。
− 依頼者に代わって実施する妥当性確認又は検証活動の性質,規模及び複雑さ
− 責任当事者のGHG情報及びGHGに関する主張の信頼性
− 責任当事者のGHG情報及びGHGに関する主張の完全性
− 該当する場合,責任当事者がGHGプログラムに参加することの適格性
責任当事者が提供した情報が,組織又はプロジェクトのGHG情報のレビューを実施するには不十分な
場合は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証を始めてはならない。
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,その後の妥当性確認又は検証活動に向けて,潜在的な誤り,
脱漏及び不実表示の発生源及び重大さを評価しなければならない。評価の対象となる潜在的な誤り,脱漏
及び不実表示の分類は,次の事項を含めなければならない。
a) 重大な不一致が発生する固有リスク
b) 組織又はGHGプロジェクトの管理策によって重大な不一致を予防又は発見できないリスク
c) 組織又はGHGプロジェクトの管理策によって是正されなかった重大な不一致を,妥当性確認を行う
者又は検証を行う者が発見できないリスク
4.4.2
妥当性確認又は検証の計画
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,最低限,次の事項を含む妥当性確認又は検証の計画書を策定
しなければならない。
a) 保証水準
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b) 妥当性確認又は検証の目的
c) 妥当性確認又は検証の基準
d) 妥当性確認又は検証の範囲
e) 重要性
f)
妥当性確認又は検証の活動及びスケジュール
妥当性確認又は検証の計画書は,妥当性確認又は検証プロセス中,必要に応じて改訂しなければならな
い。妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の計画書を依頼者及び責任当事者に通
知しなければならない。
4.4.3
サンプリング計画書
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次の事項を考慮したサンプリング計画書を策定しなければな
らない。
a) 依頼者と合意した保証水準
b) 妥当性確認又は検証の範囲
c) 妥当性確認又は検証の基準
d) 合意した保証水準の達成に必要な(定性的及び定量的)証拠の量及び種類
e) 代表的なサンプルを決定する方法論
f)
潜在的な誤り,脱漏又は不実表示のリスク
サンプリング計画書は,妥当性確認又は検証プロセスを通じて発見される,誤り,脱漏及び不実表示に
つながる可能性のあるあらゆる新たなリスク又は重大な懸念に基づき,必要に応じて,修正しなければな
らない。
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の計画書を策定するためのインプットと
して,サンプリング計画書を利用しなければならない。
4.5
GHG情報システム及びその統制の評価
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次の事項を考慮して,潜在的な誤り,脱漏及び不実表示の発
生源に対する組織又はプロジェクトのGHG情報システム及びその統制を評価しなければならない。
a) GHGのデータ及び情報の選択及び管理
b) GHGのデータ及び情報の収集,処理,連結及び報告のプロセス
c) GHGのデータ及び情報の正確性を確実にするシステム及びプロセス
d) GHG情報システムの設計及び保守保全
e) GHG情報システムを支援するシステム及びプロセス
f)
入手可能で,かつ,適切な場合は,以前に実施した評価の結果
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,必要であれば,GHG情報システム及びその統制の評価結果を
用いて,サンプリング計画書を修正しなければならない。
4.6
GHGのデータ及び情報の評価
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,組織又はプロジェクトのGHGに関する主張の評価の証拠を
そろえるために,GHGのデータ及び情報を評価しなければならない。この評価は,サンプリング計画書に
基づいて行わなければならない。妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,必要であれば,この評価結果
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
を用いてサンプリング計画書を修正しなければならない。
4.7
妥当性確認又は検証の基準に照らした評価
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,組織又はGHGプロジェクトが妥当性確認又は検証の基準に
適合しているかどうかを確認しなければならない。
重大な不一致を評価する場合,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,適用する規格又は責任当事者
が同意するGHGプログラムの原則を考慮しなければならない。
4.8
GHGに関する主張の評価
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,統制,GHGのデータ及び情報,並びに適用されるGHGプロ
グラムの基準の評価において収集した証拠が十分であるかどうかを評価し,かつ,その証拠がGHGに関
する主張を裏付けるものであるかどうかを評価しなければならない。妥当性確認を行う者又は検証を行う
者は,収集した証拠を評価する場合,重要性についても考慮しなければならない。
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,GHGに関する主張に重大な不一致がないかどうか,及び,そ
の妥当性確認又は検証活動が,妥当性確認又は検証プロセスの開始時に合意した保証水準を満たしている
かどうかを結論付けなければならない。
注記 規格(例えば,JIS Q 14065)及びGHGプログラムの中には,第三者による妥当性確認又は検
証の場合,妥当性確認又は検証活動を実施した者とは異なる者が,GHGに関する主張の結論を
出すことを要求しているものがある。
責任当事者がGHGに関する主張を修正する場合,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,修正され
たGHGに関する主張を評価し,証拠によって裏付けられているかどうかを判断しなければならない。
4.9
妥当性確認及び検証の声明書
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の完了時に,責任当事者に妥当性確認又
は検証の声明書を発行しなければならない。妥当性確認又は検証の声明書は,次の事項を含まなければな
らない。
a) GHGに関する主張における意図した利用者に提示する。
b) 妥当性確認又は検証の声明書の保証水準を記載する。
c) 妥当性確認又は検証の目的,範囲及び基準を記載する。
d) GHGに関する主張を裏付けるデータ及び情報が,その性質において,仮定に基づくものかどうか,推
測に基づくものかどうか,及び/又は過去の履歴に基づくものかどうかについて記載する。
e) 責任当事者のGHGに関する主張に添付されている。
f)
何らかの付帯条件又は限定条件があれば,それを含む,GHGに関する主張に対する妥当性確認を行う
者又は検証を行う者の結論を含める。
注記
GHGプログラムの中には,特定の期間中に組織又はGHGプロジェクトが達成したGHGの
パフォーマンスに対して,検証を行う者による認証の付与を要求するものがある。
4.10 妥当性確認又は検証の記録
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,この規格の要求事項への適合性を実証するために,必要に応
じて,記録を維持しなければならない。妥当性確認又は検証に関する記録は,妥当性確認又は検証に参加
する当事者間の合意に基づき,妥当性確認又は検証の計画書,並びに適用されるGHGプログラム及び契
約上の要求事項に従って,保管又は廃棄しなければならない。
4.11 妥当性確認又は検証の後に検出された事実
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の声明書の日付までに,十分な証拠を入
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手し,関連する情報を特定しなければならない。この日付の後に,妥当性確認又は検証の声明書に重大な
影響を与える可能性がある事実が検出された場合,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,適切な処置
を検討しなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
この規格の利用に関する手引
A.1 一般
この附属書は,この規格に含まれる妥当性確認及び検証の要求事項に関する手引を提供する。この附属
書は参考であり,要求事項として強制するものは含まれていない。
A.2 妥当性確認及び検証の要求事項に関する手引
A.2.1 一般
妥当性確認及び検証は,公平な立場の妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,責任当事者(通常は,
組織又はGHGプロジェクトの経営層)が作成したGHGに関する主張について,明確化し,かつ,適切な
基準に照らして,客観的に評価して実施する。そのうえで,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,そ
のGHGに関する主張に,重大な誤り,脱漏又は不実表示が含まれていないことについての結論を,合意
された保証水準で,意図した利用者に表明する。
a) 依頼者は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,その業務を実施する能力及び力量を自らが備え
ているかどうかを判断できるように,妥当性確認を行う者又は検証を行う者に十分な情報を提供する。
依頼者は,妥当性確認又は検証の実施を,妥当性確認を行う者又は検証を行う者に委託する。
b) 組織又はGHGプロジェクトの推進者(責任当事者)は,GHGに関する主張を作成し,そのGHGに
関する主張を,それを裏付けるために必要なあらゆる情報とともに,客観的な立場の妥当性確認を行
う者又は検証を行う者に提供する責任をもつ。
c) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認の報告書,又は妥当性確認若しくは検証の声明
書の形式で,所見及び結論をまとめ,依頼者との契約で特定した当事者に配布する。
d) 情報の意図した利用者は,依頼者,責任当事者,GHGプログラムの運用者,規制当局,金融界,又は
その他の影響を受ける利害関係者(例えば,地域社会,政府部局又は非政府組織)のいずれでもあり
得る。
妥当性確認及び検証の役割及び責任を,図A.1に示す。
A.2.2 妥当性確認を行う者又は検証を行う者
A.2.2.1 一般
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次の事項によって,妥当性確認チーム又は検証チーム全体の
力量を確実にする。
a) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,妥当性確認又は検証の目的,範囲及び基準に含まれるあら
ゆるGHGプログラムの下で活動することを認定されていることがGHGプログラムの要求事項である
場合,そのことを確認する。
b) 妥当性確認又は検証の目的を達成するために必要な知識,技能及び力量を特定する。
c) 必要な知識,技能,並びに力量を備えたチームリーダー及びチームメンバーを選定する。
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図A.1−役割及び責任
A.2.2.2 妥当性確認を行う者及び検証を行う者の個人的特質
妥当性確認チームメンバー又は検証チームメンバーは,箇条3に記載した妥当性確認又は検証の原則に
従って行動できる個人的特質を備えていることが望ましい。
注記 JIS Q 19011:2003の7.2に記載した監査員の個人的特質は,妥当性確認を行う者及び検証を行う
者に適用することもできる。
A.2.2.3 妥当性確認チーム又は検証チーム全体としての知識及び技能に関する要求事項
妥当性確認又は検証チームは,合意した妥当性確認又は検証の範囲に対して,1名のチームリーダー,
及び妥当性確認を行う者又は検証を行う者及び/又は独立した専門家の適切な組合せによって構成するこ
とが望ましい。
妥当性確認又は検証に関わる,妥当性確認チーム又は検証チームのメンバーは,チーム全体として,次
の事項に精通していることが望ましい。
a) 妥当性確認又は検証の実施に適用される法的規則(例えば,法的文書又はGHGプログラムの運用者
と責任当事者との間で合意した契約にあるパラメータ)
b) 妥当性確認又は検証の範囲内にある規格,又はGHGプログラムの特定の原則若しくは要求事項
c) 業務を実施する妥当性確認を行う者又は検証を行う者に義務的に課される認定上の要求事項
d) GHGの排出するプロセス,並びにGHGの排出量の定量化,モニタリング及び報告に関連する技術的
課題
e) GHGの吸収量に影響を与える生物学的システム,並びにGHGの吸収量の定量化,モニタリング及び
報告に関連する技術的課題
f)
組織又はGHGプロジェクトが使用している,GHGの排出量又は排出量の削減の定量化,モニタリン
グ及び報告の方法論
g) 該当する場合,組織の境界又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシナリオの決定,並びにGHG
プロジェクトの計画書の確認
h) 組織又はGHGプロジェクトが使用している,GHGの吸収量又は吸収量の増加の定量化,モニタリン
グ及び報告の方法論
i)
保証水準,重要性及び妥当性確認又は検証の計画書を含む,GHGのデータ及び情報の評価並びにデー
意図した利用者
責任当事者
説明責任
保証
GHGに関す
る主張
妥当性確認を行う者/
検証を行う者
独立性
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タサンプリングの方法論
j)
リスクアセスメントの方法論
k) 妥当性確認又は検証の業務を遂行するための妥当性確認又は検証機関の手順(業務手順,その他の手
順)
妥当性確認チームメンバー又は検証チームメンバーの少なくとも1名は,関連する実務経験に基づいて,
上記分野のそれぞれについて詳細な知識を備えていることが望ましい。
上記の内容に加え,妥当性確認チーム又は検証チームは,チーム全体として,次の事項に関する経験が
あり,教育・訓練を受け,最新の知識をもっていることが望ましい。
− GHGの報告システムの欠陥,及びそれが組織又はGHGプロジェクトのGHGに関する主張に与える
影響を特定するために必要な活動
− 組織又はGHGプロジェクトが選択したGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫の根拠及び種類
− 組織又はGHGプロジェクトが使用するGHGの定量化の方法論
− GHGプログラムに固有のその他の力量(例えば,京都議定書におけるGHGプロジェクトに関する政
治的及び法的な専門知識)
− 当該分野における現行のベストプラクティス(best practice)
妥当性確認を行う者及び検証を行う者の業務の管理責任を担う要員は,妥当性確認を行う者及び検証を
行う者の力量の評価に関する一般的な手引として,JIS Q 14065の箇条6を参照することが望ましい。
A.2.2.4 専門家の利用
妥当性確認チーム又は検証チームが,必要な知識,技能及び力量を完全に備えていない場合は,独立し
た専門家がそれらを提供してもよい。専門家は,チームリーダーの指揮の下で活動することが望ましい。
専門家が,特にデータの評価の分野の専門知識を備えている場合は,その技術専門家を妥当性確認チーム
メンバー又は検証チームメンバーとして利用してもよい。
特定の妥当性確認又は検証について専門家を評価するときは,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,
次の事項を考慮することが望ましい。
a) 専門家の専門知識,力量及び完全性
b) 妥当性確認又は検証の目的に対する専門家の専門知識の妥当性
c) GHGプログラムの要求事項との関連で,専門家の客観性及び独立性の適切な程度
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,自らと専門家との間で,それぞれの役割及び責任について適
切に理解していることを確信していることが望ましい。
A.2.2.5 内部ピアレビュー
現行のベストプラクティスには,妥当性確認チームリーダー又は検証チームリーダーの指名と同時に,
内部の客観的な立場の者をピアレビュアーに指名し,妥当性確認又は検証のプロセス及び成果を評価する
ことがある。また,ベストプラクティスには,客観的な立場のピアレビュアーを指名し,その者が,チー
ムリーダー及び妥当性確認又は検証チームの業務を,依頼者との最初の接触から妥当性確認又は検証のプ
ロセスの完了まで評価することによって,妥当性確認及び検証のリスクを大幅に低減できることを示して
いる。
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A.2.3 妥当性確認又は検証の保証水準,目的,基準及び範囲
A.2.3.1 一般
妥当性確認又は検証の目的は,GHGに関する主張に重大な不一致がないかどうかについて,妥当性確認
を行う者又は検証を行う者が,妥当性確認又は検証の声明書を発行できるようにすることである。
A.2.3.2 保証水準
プロジェクト又は組織のGHGに関する主張に関連する妥当性確認又は検証プロセスの開始時に,意図
した利用者のニーズを考慮して,依頼者が求める保証水準を確定する。保証水準は,結論を下すために,
妥当性確認を行う者又は検証を行う者が必要とする信頼性の程度に影響を与える。判断,テストの実施,
統制に内在する限界,及び定性的性質をもつ証拠などの要因のため,絶対的保証を達成することは不可能
である。妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,収集した証拠を評価し,妥当性確認又は検証の声明書
に結論を表明する。
保証水準には,一般的に,次に示す二つがある。
− “合理的保証業務”
− “限定的保証業務”
合理的保証水準では,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,責任当事者のGHGに関する主張が十
分に正しいものであることについて,合理的ではあるが絶対的ではない水準の保証を提供する。
例1 合理的保証水準を表明する妥当性確認又は検証の声明書は,次のような文言で表現されること
がある。
実施したプロセス及び手順に基づき,このGHGに関する主張は,
− その重要性において十分に正しいものであり,GHGのデータ及び情報を公正に表示してい
る。
− GHGの定量化,モニタリング及び報告について関係する国際規格に従って,又は関連する
国内規格若しくはグッドプラクティスに準じて作成されている。
限定的保証水準は,GHGに関する主張を裏付けるために提供されたGHGのデータ及び情報に対する詳
細なテストを重要視しないという点で,合理的保証水準と区別できる。限定的保証水準では,妥当性確認
を行う者又は検証を行う者は,意図した利用者が,合理的保証水準が提供されていると誤解させないこと
が必要不可欠である。
例2 限定的保証水準を表明する妥当性確認又は検証の声明書は,次のような文言で表現されること
がある。
実施したプロセス及び手順においては,このGHGに関する主張が次のようなものであること
を示す証拠はなかった。
− 実施したプロセス及び手順に基づき,このGHGに関する主張は,その重要性において十
分に正しいものではなく,GHGのデータ及び情報を公正に表示していないことを示す証拠
はない。
− GHGの定量化,モニタリング及び報告について関係する国際規格に従って,又は関連する
国内規格若しくはグッドプラクティスに準じて作成されていないことを示す証拠はない。
GHG情報についての責任当事者のGHGに関する主張の編集を支援することは,独立性への違反とみな
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されるので,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,いかなる種類の保証も提供することは望ましくな
い。
必要とされる保証水準は,GHGプログラムによって決められることが望ましく,要求される重要性につ
いて考慮することが望ましい。
注記 妥当性確認又は検証の声明書への付帯条件に関する手引については,A.2.9.2を参照。
A.2.3.3 GHGプロジェクトの妥当性確認の目的
妥当性確認を行う者は,妥当性確認の目的について依頼者と合意する場合,次の事項を考慮することが
望ましい。
a) 妥当性確認の範囲内の関連する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項を含む,適用される
妥当性確認の基準への適合
b) GHGプロジェクトの計画書の確立,正当化及び文書化
c) GHGプロジェクトで計画している管理策
妥当性確認を行う者は,計画されているGHGプロジェクトの実施によって,責任当事者が表明又は主
張するように,GHGの排出量の削減又は吸収量の増加が実現する蓋然性を評価することが望ましい。
A.2.3.4 GHGプロジェクトの検証の目的
検証を行う者は,検証の目的について依頼者と合意する場合,次の事項を考慮することが望ましい。
a) 検証の範囲内の関連する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項を含む,適用される検証の
基準への適合
b) プロジェクト,ベースライン,品質保証及び品質管理,リスクマネジメント,モニタリング及び報告
の手順,及び基準を含む,GHGプロジェクトの計画策定に関する情報及び文書類
c) 前回の報告期間以降又はプロジェクトの妥当性確認以降の,GHGプロジェクトの手順又は基準に対す
る全ての著しい変更
d) 報告されたGHGプロジェクト及びベースラインの,排出量,吸収量,排出量の削減及び吸収量の増
加
e) 前回の報告期間以降又はプロジェクトの妥当性確認以降の,GHGプロジェクト及びベースラインの排
出量,吸収量,排出量の削減及び吸収量の増加に対する全ての著しい変化
f)
GHGプロジェクトで実行されている管理策
A.2.3.5 組織のGHGの検証の目的
検証を行う者は,検証の目的について依頼者と合意する際,次の事項を考慮することが望ましい。
a) 検証の範囲内の関連する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項を含む,適用される検証の
基準への適合
b) GHGの排出量及び吸収量に関する組織のGHGインベントリ
c) 前回の報告期間以降,組織のGHGインベントリに対する全ての著しい変更
d) 組織のGHG関連の統制
A.2.3.6 妥当性確認又は検証の基準
複数の当事者が,妥当性確認又は検証の基準を設定することがある。基準を設定する当事者には,次の
事項が含まれる場合がある。
a) 国又は地域の規制要求事項の一環として,GHGパフォーマンスに関する固有の基準を設定する政府
b) GHGの排出量取引プログラムを含む,GHGプログラムで,適格性又はプログラムへの登録に関する
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要求事項の一環として,基準を設定するもの
c) 自主的な報告書作成の取組で,参加又はプログラムへの登録に関する要求事項の一環として,基準を
設定するもの
d) 基準を設定する他の関連する規格又は議定書を開発する組織
A.2.3.7 妥当性確認又は検証の範囲
妥当性確認又は検証の範囲を決定するとき,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,次の事項を含む,
妥当性確認又は検証プロセスの範囲及び境界について考慮することが望ましい。
a) 法的,財務的,経営的及び地理的境界を含む,組織又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシ
ナリオ
b) 組織又はGHGプロジェクトの物理的インフラ,活動,技術及びプロセス
c) 対象となるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫
d) 対象となるGHGの種類
e) 対象となる期間
f)
GHGプロジェクト又は組織のGHGプログラムの期間中に必要な後続の検証プロセスの頻度
g) 妥当性確認の報告書,及び妥当性確認又は検証の声明書の発行時期,及び意図した利用者
h) GHGプロジェクト又はGHGインベントリの相対的な量(二酸化炭素換算量による)
A.2.3.8 重要性
GHGの情報に関するあらゆる妥当性確認又は検証の目的は,組織又はGHGプロジェクトのGHGに関
する主張が,重要な側面の全てにおいて,内部のGHGプログラム又は同意しているGHGプログラムの意
図に従って作成されているか否かに関する意見を,妥当性確認又は検証機関が表明できるようにすること
である。何が重大であるかの評価は,専門的判断による。重要性の概念は,責任当事者のGHGに関する
主張が,内部の要求事項又は同意しているGHGプログラムの要求事項に従って適正に表示されている場
合,ある事項が,単体又は集合体として,重要なものとなることを認識することである。
GHGに関する主張の中にある個別の不一致,又は全ての不一致の総体が重大であるとみなされるのは,
周囲を取り巻く状況の中で,そのGHGに関する主張を信頼し,事業及びGHG活動についてかなり知識を
もつ者(意図した利用者)の意思決定が,その個別の不一致,又は全ての不一致の総体によって,変化す
る,又は影響を受ける可能性がある場合である。
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,GHGに関する主張に対する意図した利用者のニーズを自ら理
解したうえで,重要性を決定することが要求されるが,その意図した利用者が誰になるのか,又は既知の
利用者であってもその具体的なニーズは何かを,確信をもって予測することは極めて難しい。重要性につ
いては最終利用者と協議することが望ましい場合があり,そうでない場合は,重要性に関する意思決定は,
妥当性確認を行う者又は検証を行う者の職業専門家としての判断の課題になる。受容可能な重要性は,合
意した保証水準に基づいて,そのGHGプログラムにおける妥当性確認を行う者又は検証を行う者が判断
する。合意した保証水準が高いほど,一般的に,重要性は低くなることを意味する。
一貫性を確保し,想定外の差別を回避するため,GHGプログラム又は内部プログラムの中には,重要性
のしきい(閾)値を含めることによって,この意思決定プロセスを支援するものもある。このしきい(閾)
値は,例えば,組織又はGHGプロジェクトのGHGの排出量の5 %というように,全体的なレベルとして
設定することができる。また,このしきい(閾)値は,例えば,組織全体の総レベルでは5 %,施設レベ
ルでは7 %,かつ,GHG排出源レベルでは10 %というように,レベルを分割して値を変えることもでき
る。さらに,ある分割レベルで識別された個別の誤り又は脱漏の数々[個別では,重要性のしきい(閾)
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値以下のもの]も総合すると,しきい(閾)値を超えることもあり,その結果,重大とみなされることも
ある。識別された脱漏又は誤りの量が,設定されたしきい(閾)値よりも大きい場合,“重大な不一致”と
方向付けられ,すなわち,不適合となる。
重要性の判断は,定量的な考慮だけでなく,定性的な考慮も含む。これらの考慮が相互に作用した結果,
比較的小さな量の不一致でも,GHGに関する主張に重大な影響を与える可能性がある。
A.2.4 妥当性確認又は検証のアプローチ
A.2.4.1 一般
妥当性確認を行う者又は検証を行う者によるレビュープロセスは,妥当性確認及び検証の計画作成の基
盤であり,妥当性確認チーム又は検証チームが,責任当事者のGHGの情報及びGHGに関する主張の完全
性,一貫性,正確性及び透明性を評価する最初の実質的な機会を提供するものである。このレビューは,
顕在化している誤り,潜在的な誤り,脱漏及び不実表示の発生源,並びにそれらが責任当事者のGHGの
情報及びGHGに関する主張において重要性に関わる課題を引き起こす可能性があるリスクの水準の評価
を含むことが望ましい。
固有リスク,統制リスク及び発見リスクの逆相関関係を利用して,サンプル設計及び実質的な手順の性
質,範囲及び時期を決定することが望ましい。
A.2.4.2 妥当性確認又は検証の計画書:GHGプロジェクトの妥当性確認
GHGプロジェクトの妥当性確認のためのレビューは,次の情報及び文書類を含むことが望ましい。
a) 責任当事者のGHGに関する主張
b) 重要性のしきい(閾)値及びパフォーマンスの目標のような既定の定量的要求事項を含む,GHGプロ
ジェクトが順守する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項
c) GHGプロジェクトの計画書又は文書類
d) ベースラインを特定し,選択し,かつ,正当化するためのプロセス
e) GHGの情報の品質,完全性及びセキュリティを確保するために責任当事者が実施する運用手順及び管
理手順
f)
効果的な妥当性確認の実行に影響を与える可能性がある,言語,文化又は社会上のあらゆる課題
A.2.4.3 妥当性確認又は検証の計画書:GHGプロジェクトの検証
GHGプロジェクトの検証のためのレビューは,次の情報及び文書類を含むことが望ましい。
a) 責任当事者のGHGに関する主張及び以前に行った関連するあらゆる主張
b) 重要性のしきい(閾)値及びパフォーマンスの目標のような既定の定量的要求事項を含む,GHGプロ
ジェクトが順守する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項
c) GHGプロジェクトの計画書又は文書類
d) 法的,財務的,経営的又は地理的境界の変更を含む,前回の検証期間以降若しくは妥当性確認以降の
GHGプロジェクトの計画,又はこれらの文書類に加えられた著しい変更
e) 提供された保証水準を含む,GHGプロジェクトの妥当性確認の報告書及び声明書
f)
以前の妥当性確認の報告書及び声明書,検証の声明書,又は認証書
g) GHGプロジェクトの報告書又はGHGの情報
h) GHGの情報の品質,完全性及びセキュリティを確保するために責任当事者が実施する運用手順及び管
理手順
i)
責任当事者のGHGの情報の収集,照合,転送,処理,分析,訂正又は調整,集計(又は分割),及び
蓄積するために利用されるGHGの情報管理システムのプロセス
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
j)
提供されたGHGの情報を裏付けるあらゆる文書類の収集及びレビューに利用されたプロセス
k) 以前に実施した妥当性確認又は検証で提示された勧告の結果として導入された変更点があれば,それ
らを示すあらゆる証拠
l)
効果的な検証の実行に影響を与える可能性がある,言語,文化又は社会上のあらゆる課題
m) 責任当事者のGHGに関する主張に,関係するプロジェクトのGHGの排出量,吸収量,排出量の削減
又は吸収量の増加に関する声明を含んでいる報告書
A.2.4.4 妥当性確認計画書又は検証の計画書:組織のGHGの情報の検証
組織のGHGの情報の検証のレビューは,次の情報及び文書類を含むことが望ましい。
a) 組織のGHGに関する主張及び以前に行った関連するあらゆる主張
b) 重要性のしきい(閾)値及びパフォーマンスの目標のような既定の定量的要求事項を含む,組織が順
守する規格,又はGHGプログラムの原則及び要求事項
c) 以前の検証の報告書,声明書又は認証書
d) 法的,財務的,経営的又は地理的境界の変更を含む,前回の検証期間以降の組織又は業務の境界に加
えられた著しい変更
e) 組織のGHGインベントリ又はGHGの情報
f)
GHGの情報の品質,完全性,及びセキュリティを確保するために組織が実施する運用手順及び管理手
順
g) 組織のGHGの情報の収集,照合,転送,処理,分析,訂正又は調整,集計(又は分割),及び蓄積す
るために利用されるGHGの情報管理システムのプロセス
h) 提供されたGHGの情報を裏付けるあらゆる文書類の収集及びレビューに利用されたプロセス
i)
以前に実施した検証で提示された勧告の結果として導入された変更点があれば,それらを示すあらゆ
る証拠
j)
効果的な検証の実行に影響を与える可能性がある,言語,文化又は社会上のあらゆる課題
k) 組織のGHGに関する主張に関係する,GHGの排出量又は吸収量に関する声明を含んでいる報告書
A.2.4.5 妥当性確認又は検証の計画書の作成
A.2.4.5.1 妥当性確認又は検証の計画書の作成の範囲は,次の事項によって異なる。
a) 組織又はGHGプロジェクトの規模又は複雑さ
b) 組織又はGHGプロジェクトに関する,妥当性確認チーム又は検証チームの経験及び知識
c) 妥当性確認又は検証の複雑さ
d) セクター
e) 使用されている技術又はプロセス
A.2.4.5.2 妥当性確認又は検証の計画書の設計プロセスは,次の事項によって構成する。
a) 識別した,又は潜在的な,あらゆるGHGの情報の誤り,脱漏,重要性に関わる課題,又は統制にお
ける欠陥及び弱点の根本的な原因を理解するための予備調査の所見の評価
b) 以前に実施したあらゆる妥当性確認又は検証,及び/又は比較可能な類似の組織又はGHGプロジェ
クトの妥当性確認又は検証の参照及び検討
c) 採用されているアプローチの論理的根拠を含む,サンプリング計画書
d) GHGに関する主張の中で起こり得る,潜在的な重大な不一致の種類の識別
e) 重大な不一致を引き起こす可能性のあるリスクの考慮
f)
重大な不一致が発生したかどうか,又は誤り若しくは脱漏が生じたかどうかをテストする適切な方法
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論の設計
g) 妥当性確認又は検証プロセス中,終始一貫して顕在化している又は潜在的な誤り,脱漏,重要性に関
わる課題,及び統制の全般的なパフォーマンスに関連するあらゆる新たな証拠を考慮して,妥当性確
認又は検証の計画書に加えられる修正
妥当性確認又は検証の計画書において考慮されるリスクは,次の事項である。
− 固有リスク
− 統制リスク
− 発見リスク
A.2.4.5.3 妥当性確認又は検証の全体的な計画書を作成する際に,妥当性確認チーム又は検証チームが考
慮する事項には,レビューで出された所見及び次の事項を含むことが望ましい。
a) 次の事項を含む,責任当事者の事業に関する妥当性確認を行う者又は検証を行う者の知識
− GHGの排出量,吸収量,排出量の削減又は吸収量の増加に関する,組織又はGHGプロジェクトの
報告,及び情報開示のレベルに影響を与える産業界の状況
− 妥当性確認又は前回の検証期間以降の変化を含む,組織又はGHGプロジェクトの特徴,事業,GHG
パフォーマンス,及びGHG報告に関する要求事項
− GHG情報に関する外部への報告要求事項
− 統制全般の堅ろう(牢)性及び成熟度
− 組織又はGHGプロジェクトの経営層,並びにGHGに関する主張を裏付けるGHGの情報の収集,
転送,処理,分析,集計,分類,蓄積及び報告に責任を負う者の全般的な力量のレベル
b) 次の事項を含む,GHGの情報収集及び内部統制システムの理解
− 多様なGHGの情報収集の範囲及び内部統制システムに関して妥当性確認又は検証機関が累積した
知識,並びに責任当事者が採用したアプローチに従って相対的に重視されることが予想される統制
及び具体的手順のテスト
c) 次の事項に基づくサンプリング計画書
− 固有リスク及び統制リスクの評価,並びに発見リスクが生じる可能性
− 報告のための重要性のレベルの設定
− 過去の期間における経験を含む,重大な不一致が生じる可能性
− GHGの定量化に関する複雑な要求事項の特定(例えば,複雑な変換係数又は方法論の利用によって,
組織又はGHGプロジェクトによるGHGの情報にばらつきが生じる可能性がある場合)
− 適切で,認知され,かつ,最新の外部の排出係数へのアクセス及び利用可能性の決定
d) 次の事項を含む,調整,指示,監督及びレビュー
− 妥当性確認又は検証の構成要素の数(例えば,施設,GHG,製造プロセス,統制,コンピュータ情
報システム,子会社,支社及び部門の数)
− 全体的な妥当性確認又は検証プロセスへの専門家の関与,及びその貢献の重要性
− チームメンバーの人数,役割及び責任
− 効果的な妥当性確認又は検証プロセスの実施に必要な訓練及び/又は力量の数
e) 次の事項を含む,その他の事項
− 第三者の存在,合弁又は外部委託契約のような,特に注意が必要な条件
− 依頼者との契約の条件(例えば,納期),並びにGHGプログラムに関するあらゆる責任及び力量に
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関する要求事項
− 同意しているあらゆるGHGプログラムの運用者を含む,依頼者,責任当事者,又は情報の意図し
た利用者への報告若しくはその他のコミュニケーションの性質及び時期
− 内部の依頼者の要求事項,規制当局及び他の利害関係者のニーズ,並びに組織又はGHGプロジェ
クトが同意しているあらゆるGHGプログラムを満たすために実施されることが望ましい妥当性確
認若しくは検証の頻度
A.2.4.5.4 妥当性確認チーム又は検証チームのリーダーは,次の事項を行うために,依頼者の経営層,及
び/又は,該当する場合,GHGインベントリ又はGHGプロジェクトに責任を負う者との効果的なコミュ
ニケーションを確実にすることが望ましい。
− 妥当性確認又は検証の目的,範囲及び基準を含む,妥当性確認又は検証の計画書の確認
− 妥当性確認又は検証活動がどのように実施されるかに関する依頼者への説明
− 連絡窓口の確認
− 依頼者が質問をする機会の提供
注記 検証の場合,初回会議がこのようなコミュニケーションの場になることが多い。
A.2.4.6 サンプリング計画書
A.2.4.6.1 組織又はGHGプロジェクトが収集した全てのGHGの情報を評価することは,一般的に非効率
的であるため,リスクに基づいたアプローチを用いて,期待される保証水準を確保する十分な証拠を収集
するためのサンプリング計画書を決定することが望ましい。リスクに基づいたアプローチの代表的なステ
ップを,図A.2に示す。
図A.2−サンプリング計画書の策定のためのリスクに基づいたアプローチ
プロジェクト又は組織の性質,規模
及び複雑性を理解する
主要な報告リスクを洗い出す
リスク管理のために設けた統制
システムを理解する
残存リスクの分野を洗い出す
監査での評価のために,サンプリング
計画の中に残存リスクを含める
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A.2.4.6.2 報告リスク及び統制リスクの例を次に示す。
a) 完全性の欠如:例えば,重大な排出源の除外,誤って設定された境界,漏えい(洩)の影響
b) 正確さの欠如:例えば,ダブルカウント,大量の主要なデータの手書きによる転記,排出係数の不適
切な使用
c) 一貫性の欠如:例えば,前年まで用いていたGHGの排出量又は吸収量の算定方法から変更したこと
が文書化されていない
d) データの運用管理及び統制の弱点:例えば,原本から,及び集計表の間で,データを手書きで転記し
た際の不十分なチェック,内部監査の未実施又はレビュープロセスの不在,一貫性に欠けるモニタリ
ング,主要なプロセスにおけるパラメータ及び測定器の校正及び維持の未実施
例
妥当性確認のためのリスクに基づいたアプローチは,次の事項における,設定された仮定及
び用いられたGHGの情報に伴う主要なリスクを特定することが望ましい。
−
プロジェクトの設計
−
ベースラインの決定(例えば,シナリオ,方法論,推計)
−
プロジェクト及びベースラインのGHGの定量化の手順
−
GHGの排出量の削減又は吸収量の増加の推計
−
GHG貯蔵庫の永続性
−
品質及びモニタリングの計画書,又は手順
−
環境影響分析(該当する場合)
A.2.4.6.3 GHGプロジェクトによるGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を推計する際に,不確かさの
主な原因となるのは,通常,次の二つである。
a) ベースラインの不確かさ:特に,おそらく起こる可能性がない一連の状況を想定している場合,ベー
スラインシナリオの策定に使われる仮定に関連する不確かさがある。(例えば,ベースラインにおける
技術及び燃料,ベースラインにおける技術のパフォーマンス,交換の時期及び時間枠の長さ,並びに
サービスの同等性)
b) データの不確かさ:GHGの排出量の削減又は吸収量の増加の推計に必要なパラメータの決定及び測定
に関連する技術的不確かさ(例えば,出力,装置又はネットワークの効率,排出係数,稼働率)があ
る。また,人為的な誤りによる偶発的な報告の誤り,又は報告の日常作業手順における問題もあり得
る。
ベースラインでは,本来,決して起こることのない一連の状況を想定するものであるため,GHGの排出
量の削減又は吸収量の増加の推計において,最も大きな不確かさを生み出す可能性がある。ベースライン
の策定のために設定された仮定に関連する不確かさを,完全に排除することはできない。この種の不確か
さを定量化する適切な手段がない場合,保守的であるが合理的なベースラインを選択することが望ましい。
ベースラインにおける保守性の程度は,不確かさの程度と均衡を保っていることが望ましい。したがって,
不確かさが大きいベースラインは,非常に保守的であることが望ましい。不確かさを小さくすることは,
保守性も同等に小さくすることを可能にする。
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A.2.4.6.4 リスクに基づいたアプローチには,GHGの情報のサンプリング計画書を策定するために組み合
わせて使われることが一般的な選択手法が数多くある。こうした方法は,次の事項に基づくサンプルを含
む。
− GHGの排出源
− GHGの吸収源
− GHG貯蔵庫
− GHGの種類
− 組織,施設及び事業所
− GHGプロジェクト
− GHGプロセス
妥当性確認又は検証中に,統制,GHGの情報,及び重要性に関わる問題における弱みが特定された場合,
サンプリングアプローチ又は選択した情報サンプルを変更する必要があるので,サンプリング計画書の作
成は,反復的なプロセスとして扱うことが望ましい。サンプリング計画書を改訂する際は,組織又はGHG
プロジェクトのGHGに関する主張を裏付ける統制の証拠と併せて,テスト方法論から得られる証拠の十
分性及び適切性を考慮することが望ましい。
A.2.5 GHGの情報及び情報システムの統制の評価
A.2.5.1 一般
A.2.5.1.1 妥当性確認を行う者及び検証を行う者は,可能な場合,GHG情報システムに関する次の統制を
レビューすることが望ましい。
a) 組織の境界,又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシナリオを決定し,モニタリングするた
めのプロセス及びその正当性の根拠の証明
b) GHGプログラムの要求事項の特定及びモニタリングの方法
c) 報告に関する要求事項を特定するための方法
d) 基準年を決定するための方法
e) ベースラインシナリオを決定するための方法
f)
GHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を選択するための方法
g) GHGを選定するための方法
h) 測定技術及びデータ収集源を特定するための方法
i)
選定したGHGの定量化の方法論の選択,その正当性の根拠の証明及び適用
j)
GHGの情報の収集,処理及び報告に用いられたプロセス並びにこれらのツールの選択及び適用
k) 変更が他の関連するシステムに与える影響を評価するための方法
l)
情報システムへの変更を正式に承認し,認定し,かつ文書化するための手順
A.2.5.1.2 妥当性確認を行う者及び検証を行う者は,可能な場合,GHG情報システム及びその完全性に関
する次の情報をレビューすることが望ましい。
a) GHG情報の管理に影響を与える方針
b) GHGの情報及び報告に関する経営層の指示及び指導
c) GHGのリスクの特定,モニタリング及び受入れに対する経営層のアプローチ
d) GHGの報告に関する要求事項についての経営層の認識
e) 境界に関する文書化及びモニタリングの手順
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f)
GHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫の文書類
g) GHGの情報を収集,処理及び報告するためのプロセス
h) GHGデータのモニタリング及び測定に関連する機器の適切な校正及び維持を確実にする方法
i)
報告された情報及び管理システムのパフォーマンスおける欠陥を特定し,報告するための方法
j)
特定された欠陥に対して,適切な是正処置の実施を確実にする方法
k) 重要な記録にアクセスする手順
l)
最新情報へのアクセス及び更新を確実にする方法
m) 情報管理システムに関連する機器の適切な維持を確実にする方法
n) 記録及び文書の保管手順
o) 情報セキュリティの違反を特定し,かつ,予防する方法
A.2.5.1.3 妥当性確認を行う者及び検証を行う者は,可能な場合,次のGHGに関連する資源の供給につい
ての情報をレビューすることが望ましい。
− 役割及び責任を割り当てるためのアプローチ
− 要員の力量を確立するためのアプローチ
− 時間及び資源の配分を決定するための方法
A.2.5.2 誤りのチェックの日常的な作業手順
妥当性確認を行う者及び検証を行う者は,可能な場合,GHG情報システムに対する次の統制をレビュー
することが望ましい。
− インプット,変換及びアウトプットの誤りのチェックの日常的な作業手順
− 異なるシステム間の情報の転送の確認
− 突合せプロセス
− 定期的な比較
− 内部監査の活動
− マネジメントレビューの活動
GHGの情報を確認する方法は数多くあり,これらは,インプットの統制,変換の統制及びアウトプット
の統制に分類できる。
a) インプットの統制は,測定又は定量化された値からハードコピーまでのデータをチェックする行為で
ある。
b) 変換の統制は,インプットデータの照合,転記,処理,計算,推計,集計,分類又は調整のプロセス
中に,誤りのチェックを実施することである。
c) アウトプットの統制は,GHGの情報の配布,及びインプット情報とアウトプット情報との比較に関連
する統制である。
潜在的な誤りをチェックするテスト及び統制を,表A.1に要約する。
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表A.1−潜在的な誤りをチェックするテスト及び統制
誤りのチェック区分
可能なテスト及び制御
入力
レコード・カウント
有効数字テスト
欠測値テスト
限界・合理性テスト
エラー再実行制御
変換
対照テスト
一貫性テスト
照合テスト
限界・合理性テスト
ファイル管理
マスタ・ファイル管理
出力
出力分布管理
入出力テスト
A.2.6 GHGのデータ及び情報の評価
A.2.6.1 一般
妥当性確認及び検証チームは,次の事項を配慮して,組織又はプロジェクトのGHGの情報を評価する
ことが望ましい。
a) 未処理のデータの出所を含む,GHGの情報の完全性,一貫性,正確性,透明性及び妥当性,及び(必
要に応じて)保守性
b) 選定されたGHGの推計及び定量化の方法論の適切性
c) 選択されたベースラインシナリオ及びGHGのベースラインの定量化の方法論の適切性(該当する場
合)
d) 個別の施設又はGHGプロジェクト(同じ妥当性確認又は検証の範囲の中で,複数のプロジェクトの
評価が行われている場合)が,GHGの情報の照合,転送,処理,分析,集計,分類,調整及び蓄積に
ついて,異なるデータ管理アプローチを用いているかどうか,及びGHGの情報の報告プロセスにお
いてこれらの相違がどのように取り扱われているか
e) 他の定量化の方法論による,GHGの情報のクロスチェック
f)
データ収集源又はGHGの定量化の方法論の相違から生じるGHGの情報の不確かさ
g) GHGプログラムによって,GHGに関する主張が順守すべき重要性のしきい(閾)値が特定されてい
る場合,GHGの情報の正確さ及び不確かさ
h) 該当する場合,要求される報告の正確さを満たすための機器の精度の確認を含む,GHGの排出量又は
吸収量のモニタリング及び測定に使われる機器の維持及び校正プログラム,並びに報告されたGHG
の情報及びGHGに関する主張に重大な影響を与える可能性がある,維持及び校正プログラムへのあ
らゆる変更
i)
GHGの情報に著しい影響を与える可能性があるその他の要因
A.2.6.2 証拠の収集
A.2.6.2.1 妥当性確認及び検証活動は,通常,妥当性確認又は検証の計画書に概略された次のステップに
従って,3種類の証拠(物理的証拠,文書類の証拠及び証言による証拠)を収集することに重きをおく。
a) 物理的証拠とは,燃料計若しくは公共料金のメータ,排出量モニタリング機器,又は校正機器のよう
な,目に見えたり又は触れたりできるものをいう。物理的証拠は,直接,機器又はプロセスを観察す
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ることによって収集されるもので,検証の対象となる組織が,関連するデータを実際に収集している
ことを実証するため,説得力がある。
b) 文書類の証拠とは,紙に書かれた又は電子的に記録された証拠で,運営手順及び管理手順,業務日誌,
検査シート,請求書,並びに分析結果を含む。
c) 証言による証拠とは,技術,操作,管理又は経営に関わる要因との面談によって収集される。証言に
よる証拠は,物理的情報及び文書類による情報を理解するための背景を提供するが,その信頼性は,
面談した相手の知識及び客観性に依存する。
妥当性確認又は検証への正しいアプローチを見つけることは,依頼者が要求する正確性及び信頼性の程
度(すなわち,保証水準)に大きく影響される。例えば,単に,自主的なGHGプログラムの一環として,
自らのGHGの排出量又は吸収量を理解し,報告しようとする組織よりも,排出量取引又はカーボンオフ
セット市場でGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を売却しようとする組織のほうが,より高い正確性
及び信頼性を要求する。
A.2.6.2.2 検証テストは,脱漏又は転記の誤りを発見するためのデータの追跡,工学的計算を確認するた
めの排出量の推計値の再算定,又はある活動を証明する文書のレビューのような,幅広い活動を含む。
例
検証テストの種類は,次の事項を含む。
a) 伝票突合せ:このテストは,報告されたGHGの情報の中の誤りを見つけ出し,書類の足跡を
生データまでたどることを含む。例えば,CO2排出量の計算に使用された燃料油の購入量の報
告がある場合,その燃料油の供給者からの請求書を点検するために,仕入先勘定部門まで追跡
することもある。このプロセスによって,報告された情報の全てが裏付けられていることを検
証する。
b) 再算定:このテストは,算術計算の正確性を点検するものである。例えば,排出量が測定され
ている可能性が低い,フレアからのCO2及びメタンの排出量の結果を再計算することもある。
c) データの見直し:このテストは,報告されている情報の中の脱漏を発見し,あらゆる結果が適
切に報告されていることを確実にするために,基となるデータの記録をレビューすることを含
む。例えば,継続的にモニタリングしている多数の排出源からのGHGの排出量がレビューさ
れることもある。これによって,検証を行う者は,インベントリが全ての排出源が含まれてい
ることを検証することになる。
d) 裏付け:このテストは,客観的な立場の第三者から,書面による確認を求めるものである。こ
のテストは,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,流量計の校正のように,実際に状況を
観察できない場合に用いられることがある。
A.2.6.2.3 GHGの情報自体にあると考えられる内在的な正確性及び信頼性の程度は,データ収集源,並び
にそのGHGの情報の収集,計算,転送,処理,分析,集計又は分類,及び蓄積の方法に依存する。GHG
の情報の収集源を分類することによって,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,様々な収集源から得
られたGHGの情報の正確性又は信頼性にどの程度依存できるかを理解することができる。
表A.2は,GHGの排出及び吸収の分類及び定量化の方法論に応じて,GHGの排出量及び吸収量の検証
の際にレビューする情報の種類の説明に役立つ実例を示すものである。
A.2.6.2.4 標準的な業務環境,又は定常時の状態におけるGHGの排出源の点検に加えて,妥当性確認を行
う者及び検証を行う者は,操業開始時,閉鎖時,緊急時,又はその施設若しくはGHGプロジェクトの定
常時の業務範囲外の新たな手順のような,非定常時の状況から生じる排出量を評価することが望ましい。
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A.2.6.3 GHGの情報のクロスチェック
多くの場合,GHGの定量化は複数の方法によって実施できるか,又は生データの収集源が他にもある。
これらは,GHG定量化の“クロスチェック”に利用でき,これによって,報告されている情報を予測でき
る範囲に入っていることのより高い保証を提供する。クロスチェックの種類には,次の事項を含む。
− プロセスの中での内部チェック
− 組織の中での内部チェック
− セクターの中でのチェック
− 国際的な情報に照らしたチェック
例
GHGの情報のクロスチェック:石炭火力発電所
ある発電企業は,A,B及びCという事業所に,3基の発電施設を所有している。
A事業所では,発電施設の運転制御の一環として,投入される石炭の質量を継続的に測定してい
る。石炭の炭素及びエネルギーの含有量は,定期的にサンプリングしている。フライアッシュの質
量及び,堆積した炭素を定期的に測定している。この情報及び化学量論的質量収支の方程式から,
排出されるCO2の質量を計算できる。
a) クロスチェック1:運転制御の一環として,発電機では,発電した電力をメガワット時(MW
h)で測定しており,過去のデータ(例えば,昨年の算定量)から,この企業は,排出される
tCO2/MW hの推計を行う。この値を現在の強度と照らしてチェック,著しいかい(乖)離が
ないか調査する。さらに,発電機メーカの仕様書には,既知の維持条件の下での予測される
出力量が記載されているので,著しいかい(乖)離の調査と併せて,これを内部の二次チェ
ックに利用することができる。
b) クロスチェック2:B事業所でも,この企業は同じような情報を集計しており,AとBとの
事業所で,排出量が同等かどうかをチェックできる。B事業所では,発電施設の設計及び/
又は原料がA事業所とは異なっているかもしれないが,この企業は,B事業所のほうが,通
常,排出強度がA事業所よりも4 %高いことを把握している。この計算値の差から著しいか
い(乖)離がある場合,A事業所及びB事業所を調査することができる。
c) クロスチェック3:この企業は,全国電力系統網の中で操業しており,その全国電力系統網
の運営を統括する当局は,毎年,系統網内の地域ごとに強度の数値を算定している。この企
業は,A事業所〜C事業所の値が,それぞれの地域の平均値に近いかどうかをチェックする
ことができ,著しいかい(乖)離がある場合,調査又は説明させることができる。
d) クロスチェック4:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のような国際機関では,既知の
技術について,典型的な排出強度の数値を作成している。これらの数値を使って,A事業所
〜C事業所について計算した排出量のおおよその量をチェックすることができ,著しい乖離
がある場合は,説明又は調査させることができる。
注記 上記の企業又は事業所自らが行うこれらのクロスチェックは,どれもデータ収集源
に代替されるものではないが,総体的な誤りを検出し,定量化の手順の中の通常と
は異なる部分又は高いリスクをもたらす部分を際立たせるのに役に立つものであ
る。これらのクロスチェックの実施によって,より高い保証が提供される。
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表A.2−GHGの排出量及び吸収量の推計の検証において,レビューされる情報の例
GHGの排出・除去分類
情報種類の例示
燃焼
燃料の種類
燃料の消費量
排出されたGHGの種類
燃焼効率
酸化要素
各排出GHGに用いられたGWP
機器の校正
プロセス
排出源
操業時間又は出力量
無制御GHGの排出量(及びそのGWP)
制御装置の効率と信頼性
出力時間又は生産単位当たり正味排出量
化学分析的な手法及び記録
継続した排出量のモニタリングの結果
漏えい(洩)
蒸気の成分
リークテスト結果又は保守実施
機器の種類及び総数
排出量の履歴
化学分析的な手法及び記録
排出された各種GHGのGWP
搬入エネルギーによる排出
発生源
発生電力(キロワット時)の関数としての排出GHG(排出係数)
送電・配電ロス
消費電力(キロワット時)
蒸気と熱の搬入には等量情報が必要
生物学的吸収源
GHG貯蔵庫の定義及び仮定
サンプリング方法論
成長モデル
バイオマス/炭素モデル
空間的境界
永続性評価
A.2.7 妥当性確認又は検証の基準に対する評価
プロジェクトの推進者又は組織が,特定の規格又はGHGプログラムに同意している場合,妥当性確認
を行う者又は検証を行う者は,該当する場合,その組織又はGHGプロジェクトの推進者について,次の
事項を評価することが望ましい。
a) そのGHGプログラムに参加する資格があるか。
b) その規格若しくはGHGプログラムが承認した,又はその規格若しくはGHGプログラムの要求事項を
満たした,GHGの推計,定量化,モニタリング及び報告のアプローチ及び方法論を今後使用する予定
であるか,又は既に使用しているか。
c) そのGHGプログラムの運用者が特定若しくは同意した,又はその規格が要求する,GHGのパフォー
マンスに関する要求事項又は目標を,今後満たす予定であるか,又は既に満たしているか。
d) 完全性,一貫性,正確性及び透明性を備えたGHGの情報を,今後報告する予定であるか,又は既に
報告しているか。
e) その規格又はGHGプログラムの原則及び要求事項について十分に理解し,これらに適合する力量が
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あるか。
f)
その規格又はGHGプログラムの原則及び要求事項と整合する保証水準を,依頼者を通じて,特定し
ているか。
g) 前回の妥当性確認又は検証期間以降に加えられた変更で,その組織又はプロジェクトのGHGの排出
量,吸収量,排出量の削減又は吸収量の増加に重大な変化を引き起こし,そのGHGプログラムの原
則,要求事項又はGHGのパフォーマンス目標に適合する組織又はGHGプロジェクトの能力に影響を
与える,組織の境界又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシナリオに対する著しい変更につ
いて,その正当な根拠を示し,文書化しているか。
組織又はGHGプロジェクトが,参加資格について特定の要求事項を規定しているGHGプログラムに参
加しようとしている場合,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,その組織又はGHGプロジェクトは,
そのGHGプログラムに既に登録している,又はその登録基準を満たしていることの証拠を求めることが
望ましい。このような場合,妥当性確認又は検証機関は,GHGプログラムにおける組織又はGHGプロジ
ェクトの登録を確保する際に,自らが担う役割及び責任について確実に精通しているようにすることが望
ましい。
検証の目的,範囲及び基準に,GHG又はパフォーマンス目標を管理する組織内の取組への言及が含まれ
ている場合,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,必要に応じて,次の事項を確認し,決定すること
が望ましい。
− GHGの管理に関する内部の取組は,組織が文書化している方針,手順及び行動規範に従っているかど
うか。
− あらゆる目標に対する組織のパフォーマンス。
− 組織の経営層及びスタッフは,GHGの管理に関する組織内の取組の目的及び目標について十分に理解
しているかどうか。
− 依頼者が特定した保証水準は,GHGの管理に関する組織内の取組の狙いと整合しているかどうか。
− 組織は,GHGの管理に関する組織内の取組を実現するための自らの能力に影響を与える可能性のあ
る,組織境界に対する著しい変更,又はGHGの排出量若しくは吸収量の境界に対する著しい変更の
全てについて,その正当な根拠を示し,文書化しているかどうか。
A.2.8 GHGに関する主張の評価
妥当性確認又は検証チームは,次の事項を含む,様々なパフォーマンスの基準と,組織又はGHGプロ
ジェクトのGHGに関連するパフォーマンスとを比較することによって,GHGに関する主張を評価するこ
とが望ましい。
a) 妥当性確認又は検証について,合意した目的,範囲及び基準
b) 規格若しくはGHGプログラムの原則若しくは要求事項,又は同意したあらゆるGHGパフォーマンス
の目標に照らした,責任当事者のパフォーマンス
c) 組織又はGHGプロジェクトのGHGに関する主張が,実際のパフォーマンスを反映し,完全性,一貫
性,正確性及び透明性を備えたGHGの情報によって裏付けられていることを示す,妥当性確認又は
検証中に収集された客観的な証拠によって提供された証明のレベル
この評価の結果に基づいて,妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認及び検証の声明書を
作成することが望ましい。
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A.2.9 妥当性確認及び検証の声明書
A.2.9.1 一般
A.2.9.1.1 妥当性確認又は検証の声明書の様式及び内容には,ある程度の統一性をもたせることが望まし
い。これによって,読者の理解を促進し,通常とは異なる状況が発生した場合に,これを識別しやすくす
るからである。
妥当性確認又は検証の声明書には,次の事項を含めることが望ましい。
a) 責任当事者及び/又は依頼者の名称,住所,及びその他の関連する連絡先の情報
b) その妥当性確認又は検証が,この規格に従って実施されているという声明
c) 次の内容を含む冒頭又は序文
1) 妥当性確認又は検証の対象となった,組織又はGHGプロジェクトのGHGに関する主張の識別
2) 組織又はGHGプロジェクトの経営層の役割及び責任,並びに妥当性確認を行う者又は検証を行う
者の役割及び責任の記載
d) 次の内容を含む適用範囲
1) 妥当性確認又は検証の際に基準とした,関連する規格又はGHGプログラムの原則及び要求事項へ
の言及
2) 要求される保証水準を含む,依頼者との間で合意した,妥当性確認又は検証の範囲,目的及び基準
への言及
3) GHGの情報及び関連するGHGに関する主張のテストに使用した技術及びプロセスを含む,妥当性
確認又は検証チームが実施した業務の記載
e) 次の内容を含む結論
1) GHGの報告に関する枠組み若しくは規格,又は(該当する場合)GHGに関する主張の作成で使用
されたGHGプログラムの要求事項への言及
2) 妥当性確認又は検証が実施されたGHGの情報又はパフォーマンス(例えば,プロジェクト計画書,
ベースラインのGHGの排出量又は吸収量,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減,吸収量の増加)
3) 合意した妥当性確認又は検証の範囲,目的及び基準と整合する,妥当性確認又は検証によって提供
される保証水準
4) もしあれば,付帯条件の説明
5) 結論に対する限定又は付帯条件を含む,GHGに関する主張についての結論
f)
妥当性確認又は検証の声明書の日付
g) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者の連絡先の詳細
h) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者による正式な署名
A.2.9.1.2 取決めによっては,上記に列挙した声明書の内容よりも広範にわたる報告を要求することがあ
る。これは,例えば,GHGプログラムにおける報告の要求事項又は意図した利用者からの要求事項に応じ
た責任当事者のニーズに依存することがある。報告の範囲は,依頼者と合意することが望ましいが,最低
限,A.2.9.1.1に示した内容を含むことが望ましい。
A.2.9.1.3 妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の声明書の草案を作成し,依頼
者及び/又は責任当事者に送付し,記載事実の正誤を確認してもらうことが望ましい。責任当事者が,妥
当性確認又は検証の声明書の記載事実が正しいと納得している場合,妥当性確認又は検証機関は,その妥
当性確認又は検証の声明書を最終版として発行することができる。責任当事者が,声明書の草案に対して
著しい修正を要求する場合,発行前に,修正内容について,チームリーダーと合意することが望ましい。
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A.2.9.1.4 GHGプロジェクトの妥当性確認の場合,GHGプロジェクトが委託されるまで,又は開始状態
になるまでは,全ての課題が解決されるわけではない。この状況は,GHGプロジェクトが開始に達した時
点で無効になる限定又は付帯条件という形で,妥当性確認の声明書に反映することが望ましい。
A.2.9.2 妥当性確認又は検証の声明書への付帯条件
A.2.9.2.1 妥当性確認又は検証の声明書には,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が次のいずれかの状
況にある場合,その状況を明確に表示することが望ましい。
− GHGの情報の一つ,複数又は全ての側面が,合意した妥当性確認又は検証の基準に適合していないと
いう見解
− 責任当事者のGHGに関する主張が,合意した妥当性確認又は検証の基準との関係で,不適切である
という見解
− 合意した妥当性確認又は検証の基準及び責任当事者のGHGに関する主張に伴った,GHGの情報に関
する,一つ又は複数の側面の適合性について評価するための,十分な,適切で,かつ,客観的な証拠
を入手することができない。
− 意見を限定する又は意見に付帯条件を付ける必要があるという判断
A.2.9.2.2 妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,妥当性確認又は検証の声明書に付帯条件を付ける必
要がある状況は様々なものであるが,次の二つのグループに分類することができる。
a) GHGに関する主張が,次の事項を含めて,GHGプログラムによって特定されている要求事項からの
逸脱によって影響を受けている。
− 不適切な取扱い(例えば,報告期間中,誤ったGWPを適用している。)
− GHGに関する主張の中で,GHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫の不適切な推計又は定量化(例えば,
炭素ストックの過大な見積り)
− 必要不可欠な情報の非開示,又は適切な方法による情報提示の不履行(例えば,GHG貯蔵庫の永続
性に関する不十分な説明)
b) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,GHGプログラムによって特定されている要求事項からのか
い(乖)離の有無を判断するための十分な,かつ,適切な証拠を入手できない。このような状況では,
妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,その状況で必要と考えられるテスト及び手順を必ずしも全
て適用できてはいない。その結果,GHGに関する主張がGHGプログラムの要求事項に従って公正に
提示されているかどうかに関する意見をまとめるための十分な,かつ,適切な証拠がそろっていない。
このような限定的状態は,次の状況を含む,様々な状況で発生する。
− 妥当性確認を行う者又は検証を行う者の業務の時期に関係する状況(例えば,予定外の保守保全の
作業中に検証が実施され,このため,運転作業又は稼働中のモニタリング装置を観察できない。)
− 組織若しくはGHGプロジェクト,又は妥当性確認を行う者若しくは検証を行う者にはどうするこ
ともできない状況(例えば,火災でGHGの情報が焼失する。)
− 組織又はGHGプロジェクトに起因する,又は作り出された限定状況(例えば,十分なGHG記録を
維持していない。)
A.2.9.2.3 GHGプログラムの要求事項からのかい(乖)離がある,又は範囲に限定がある場合,妥当性確
認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の声明書にいかなる種類の付帯条件又は修正を加え
るのが適切かについて意思決定する必要がある。重要性に加えて,妥当性確認を行う者又は検証を行う者
は,次の事項を考慮することが望ましい。
− その課題は,GHGに関する主張の有用性をどの程度損なっているか。
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− GHGに関する主張に対するその課題の影響は,どの程度の広がりがあると判定されるか。
− GHGに関する主張は,たとえ妥当性確認を行う者又は検証を行う者の声明書と併せて読んだとして
も,誤解を招く,又は誤解を招く可能性があるかどうか。
付帯条件の付いた妥当性確認又は検証の声明書は,GHGに関する主張と併せて読まれる場合,通常,意
図した利用者に,そのGHGに関する主張の何らかの欠陥又は潜在的な欠陥を知らせることに十分な役割
を果たす。
A.2.9.2.4 妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,付帯条件が必要という結論を下した場合,妥当性確
認又は検証の声明書は,それに修正を加えることによって,その付帯条件に対する注意を明確に喚起する
ことが望ましい。声明書は,次の事項を含むことが望ましい。
a) 声明書における範囲の事項と意見の事項との間に付帯条件の項目を挿入し,その項目に次を含む。
− 全ての付帯条件
− それぞれの付帯条件の理由に関する十分な説明
− GHGに関する主張が,どのように,及び合理的に決定可能な場合は,どの程度,影響を受けるかの
明確な表示
− その付帯条件の原因になった課題がGHGに関する主張に与える影響が合理的に判断できない場合,
そのことの記載及びそのような判断を下した理由
b) 意見の項目は,次の事項を含むことが望ましい。
− 付帯条件の種類に関する適切な文言
− その付帯条件の言及
さらに,付帯条件が範囲の限定に起因する場合,範囲の事項は付帯条件への言及を含むことが望ましい。
A.2.9.3 妥当性確認又は検証の反対意見声明書
妥当性確認を行う者又は検証を行う者の判断として,付帯条件を付すことが適切ではないとした場合,
妥当性確認又は検証の反対意見声明書が発行する(例えば,GHGに関する主張が,GHGプログラムの要
求事項に従って公正に提示されていない。),又は妥当性確認を行う者若しくは検証を行う者が,GHGに関
する主張がGHGプログラムの要求事項に従って公正に提示されているかどうかに関する意見を形成する
ために十分に適切な証拠を入手することができなかったという声明を発行することもある。
A.2.9.4 GHGのパフォーマンスの認証
GHGプログラムの中には,組織又はGHGプロジェクトが,特定された期間中に,責任当事者が主張し
たとおりのGHGのパフォーマンス(例えば,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減,吸収量の増加)を
達成したという保証書を公平な立場で検証を行う者が発行する場合,GHGの認証証を交付することがある。
この認証プロセスの結果は,GHGプログラムの運用者が,責任当事者に対して発行する,正式な宣言書で
あることもしばしばある。
A.2.10 妥当性確認又は検証の記録
A.2.10.1 調書,審査履歴,並びに文書の統制及び管理
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の声明書を裏付ける証拠,及び妥当性確
認又は検証の合意された範囲及び目的,並びにGHGプログラム又は規格に関連する原則及び要求事項に
従って,妥当性確認又は検証が実施されたことを示す証拠を提示するうえで重要な事項を文書化すること
が望ましい。
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妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,そのプロセスに関する全般的な理解を促すために,十分に完
全性を備えた詳細な文書を作成することが望ましい。必要に応じて,妥当性確認を行う者又は検証を行う
者は,最低限,次の種類の文書,及び妥当性確認又は検証の証拠を作成し,記録することを検討すること
が望ましい。
− 背景に関する文書
− プロセスに関する文書
− コミュニケーション及び報告に関する文書
A.2.10.2 背景
背景に関する文書は,次の事項を含むことが望ましい。
a) 組織又はプロジェクトのGHGに関する主張
b) 組織又はGHGプロジェクトの活動を取り巻く,産業界,GHGの報告の環境,及び規制環境に関する
情報
c) 組織の境界,又はGHGプロジェクト及びそのベースラインシナリオに関する情報
d) GHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫の識別及び選定に関する情報
e) GHGの排出量,吸収量,排出量の削減又は吸収量の増加を定量化する手順
f)
選定されたGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫に関する質量又はエネルギーの流れの特徴を示す注釈
付きのプロセスフロー図
g) 選定されたGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫に関する質量収支,エネルギー収支,及び/又はその
他の定量的な収支
h) 重要な合意書及び契約書の抜粋又はコピー,並びに該当する場合,排出量取引及びカーボンオフセッ
トの記録の抜粋又はコピー
A.2.10.3 背景
プロセスに関する文書は,次の事項を含むことが望ましい。
a) 予定される及び実際の目的,範囲,基準,及び妥当性確認又は検証のプログラムの中で実施された活
動の詳細を含む計画作成プロセスの証拠
b) 妥当性確認又は検証中に採用したアプローチ並びに使用した方法論の説明及びその正当性の根拠を含
むGHGの情報のサンプリング計画の詳細
c) 将来の妥当性確認又は検証の一貫性を検証するために必要な,関連する裏付け情報を含む,報告され
たGHGの情報で,妥当性確認又は検証が実施されたものの詳細
d) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,組織又はGHGプロジェクトのGHG情報マネジメント及び
内部統制システムを明確に理解していることを示す証拠
e) 妥当性確認を行う者又は検証を行う者の力量及びパフォーマンスの評価,チームの選定,並びに力量
の維持及び向上を含む,妥当性確認又は検証チームの要員に関する記録
f)
リスクアセスメント及び重要性の分析の結果
g) GHGパフォーマンスレベルの変化に影響するものを含む,GHGの情報における著しい比率及び傾向
の分析
h) 固有リスク及び統制リスクの評価の証拠
i)
GHGの情報のインプット,定量化,並びに集計及び分割の方法論の分析
j)
実施した分析テスト,追跡された妥当性確認及び検証の証跡,並びにそれらの論拠を含む,実施した
活動の性質,時期及び範囲(技術専門家を起用した場合はそれを含む。)。また,その活動の結果の記
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録
k) 誰がその活動を完了したか,いつその活動を実施したか,及びこれらの活動はどのように妥当性確認
又は検証の所見及び結論に寄与したかについての記録
l)
専門的判断の行使を必要する全ての顕著な課題に関する,妥当性確認を行う者又は検証を行う者によ
る理由付け及び論理的根拠
m) 証拠の入手の結果,妥当性確認又は検証の計画書,並びに関連する活動及び分析テストに変更を加え
た場合は,その変更の全て
n) 妥当性確認又は検証の結果及び所見
o) 例外事項及び通常とは異なる事項があった場合,それらをどのように解決したか,又はどのように取
り扱ったかを含む,妥当性確認又は検証の重要な側面に関して,妥当性確認を行う者又は検証を行う
者が導き出した結論。依頼者が,そのGHGの情報の中の重大な不一致のリスクを低減又は除去する
ために,当初のGHGに関する主張及びGHGの情報を変更する場合,その理由を記録することが望ま
しい。
A.2.10.4 コミュニケーション及び報告
コミュニケーション及び報告文書は,次の事項を含むことが望ましい。
a) 依頼者,技術専門家,及びその他の利害関係者との書面によるコミュニケーションのコピー
b) 依頼者,技術専門家,及びその他の利害関係者との口頭による重要なコミュニケーションの記録
c) 妥当性確認又は検証の契約条件,及び内部統制の重大な弱みを含む,妥当性確認又は検証に関与した
全ての当事者との口頭及び書面による重要なコミュニケーションの記録のコピー
d) 脱漏又は誤りが重大とみなされ,その結果,当初のGHGの情報が修正される状況を含む,指摘され
たあらゆる不適合,並びにそれに関連する予防処置プログラム及び是正処置プログラム
e) 妥当性確認又は検証のフォローアップ報告書(該当する場合)
f)
GHGプログラムに報告された,責任当事者のGHGに関する主張のコピー,並びに,(適切な場合)
妥当性確認又は検証の報告書及び声明書のコピー
妥当性確認を行う者又は検証を行う者は,妥当性確認又は検証の文書に関する適切な機密保持及び安全
な保管を維持し,かつ,依頼者,責任当事者及び同意したGHGプログラムのニーズを満たすのに十分な
期間で,記録の保管に関する法的及び業務上の要求事項に従ってそれらを保管するための,適切な手順を
適用することが望ましい。
妥当性確認又は検証の文書は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者の所有物である。妥当性確認を行
う者又は検証を行う者の判断によって,妥当性確認又は検証の文書の一部又は抜粋を,依頼者及び/又は
組織又はGHGプロジェクト(又は,特定の情報開示要求事項がある場合,同意するGHGプログラム)が
利用することが可能となる場合がある。このように開示された文書は,組織又はGHGプロジェクトのGHG
に関する記録に代わるものとしてみなされないことが望ましい。
いかなる情報の公開も,妥当性確認又は検証の範囲及び目的,並びに妥当性確認又は検証の実施に関す
るGHGプログラムの規則に応じて,依頼者及び/又は責任当事者と合意されていることが望ましい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS Q 14064-1 温室効果ガス−第1部: 組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及
び報告のための仕様並びに手引
注記 対応国際規格:ISO 14064-1:2006,Greenhouse gases−Part 1: Specification with guidance at the
organization level for quantification and reporting of greenhouse gas emissions and removals(IDT)
[2] JIS Q 14064-2 温室効果ガス−第2部:プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量の削減又は吸
収量の増加の定量化,モニタリング及び報告のための仕様並びに手引
注記 対応国際規格:ISO 14064-2:2006,Greenhouse gases−Part 2: Specification with guidance at the
project level for quantification, monitoring and reporting of greenhouse gas emission reductions or
removal enhancements(IDT)
[3] JIS Q 14065 温室効果ガス−認定又は他の承認形式で使用するための温室効果ガスに関する妥当
性確認及び検証を行う機関に対する要求事項
注記 対応国際規格:ISO 14065:2007,Greenhouse gases−Requirements for greenhouse gas validation
and verification bodies for use in accreditation or other forms of recognition(IDT)
[4] JIS Q 19011:2003 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査のための指針
注記 対応国際規格:ISO 19011:2002,Guidelines for quality and/or environmental management
systems auditing(IDT)
[5] ISAE 3000:2004, Assurance Engagements Other than Audits or Reviews of Historical Financial Information