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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 4 

2 用語及び定義 ··················································································································· 4 

3 原則······························································································································· 8 

3.1 一般 ···························································································································· 8 

3.2 適切性 ························································································································· 9 

3.3 完全性 ························································································································· 9 

3.4 一貫性 ························································································································· 9 

3.5 正確性 ························································································································· 9 

3.6 透明性 ························································································································· 9 

3.7 保守性 ························································································································· 9 

4 GHGプロジェクトの序文 ·································································································· 9 

5 GHGプロジェクトのための要求事項 ·················································································· 13 

5.1 一般要求事項 ··············································································································· 13 

5.2 プロジェクトの記載 ······································································································ 13 

5.3 プロジェクトに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 ··········································· 14 

5.4 ベースラインシナリオの決定··························································································· 14 

5.5 ベースラインシナリオのためのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 ······························· 14 

5.6 GHGの排出量及び吸収量のモニタリング又は推計のための適切なGHGの排出源,吸収源及び 

貯蔵庫の選択 ······················································································································ 15 

5.7 GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化 ·········································································· 15 

5.8 GHGの排出量の削減及び吸収量の増加の定量化 ································································· 16 

5.9 データ品質の管理 ········································································································· 16 

5.10 GHGプロジェクトのモニタリング ················································································· 16 

5.11 GHGプロジェクトの文書化 ·························································································· 16 

5.12 GHGプロジェクトの妥当性確認及び/又は検証 ······························································· 17 

5.13 GHGプロジェクトの報告 ····························································································· 17 

附属書A(参考)この規格の利用の手引 ·················································································· 18 

附属書B(参考)温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP) ············································· 32 

参考文献 ···························································································································· 33 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

JIS Q 14064の規格群には,次に示す部編成がある。 

JIS Q 14064-1 第1部:組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び報告のための仕

様並びに手引 

JIS Q 14064-2 第2部:プロジェクトにおける温室効果ガスの排出量の削減又は吸収量の増加の定量

化,モニタリング及び報告のための仕様並びに手引 

JIS Q 14064-3 第3部:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための仕様並びに手引 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Q 14064-2:2011 

(ISO 14064-2:2006) 

温室効果ガス−第2部:プロジェクトにおける温室

効果ガスの排出量の削減又は吸収量の増加の定量化,

モニタリング及び報告のための仕様並びに手引 

Greenhouse gases-Part 2: Specification with guidance at the project level 

for quantification, monitoring and reporting of greenhouse gas emission 

reductions or removal enhancements 

序文 

この規格は,2006年に第1版として発行されたISO 14064-2を基に,技術的内容及び構成を変更するこ

となく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

この規格の“注記”に記載した情報は,関連する要求事項を理解するための,又は明確にするための手

引である。 

気候変動は,各国,政府,企業及び一般市民が,今後数十年間に直面する最大の課題の一つとされてい

る。気候変動は,人為的システムと自然システムとの双方に影響し,資源の利用,生産及び経済活動に重

大な変化を生じさせるおそれがある。これを受け,大気中の温室効果ガス(以下,GHGという。)の濃度

を安定化させるため,国際,地域,国内及び地方のレベルでの取組が策定され,かつ,実施されている。

このようなGHG対策には,GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化,モニタリング,報告及び検証が不

可欠である。 

JIS Q 14064-1では,組織又は企業が行うGHGインベントリの設計,開発,管理及び報告に関する原則

及び要求事項が記載されている。この規格には,GHGの排出量の境界の判定,組織によるGHGの排出量

及び吸収量の定量化,並びにGHG管理の改善を狙いとする具体的な企業の行動又は活動の特定に関する

要求事項が含まれる。また,検証活動のための,インベントリの品質管理,報告,内部監査及び検証活動

での組織の責任における要求事項並びにその手引も含む。 

この規格では,特にGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を目的とするGHGプロジェクト又はプロジ

ェクトに基づく活動に焦点を当てる。この規格は,プロジェクトにおけるベースラインシナリオの決定,

並びにベースラインシナリオに関連したプロジェクトにおけるパフォーマンスのモニタリング,定量化及

び報告のための原則及び要求事項を含むとともに,GHGプロジェクトの妥当性確認及び検証のための基盤

を提供する。 

JIS Q 14064-3では,GHGインベントリの検証,GHGプロジェクトの妥当性確認及び検証に関する原則

及び要求事項を詳述する。JIS Q 14064-3は,GHGに関する妥当性確認プロセス及び検証プロセスについ

て規定するとともに,妥当性確認及び検証の計画,アセスメント手順,並びに組織又はプロジェクトによ

るGHGに関する主張の評価のような構成要素を特定する。JIS Q 14064-3は,組織又は独立当事者が,GHG

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に関する主張の妥当性確認及び検証に用いることができる。 

JIS Q 14064-1〜JIS Q 14064-3(以下,JIS Q 14064規格群という。)の関係を,図1に示す。 

図1−JIS Q 14064規格群の各部間の関係 

JIS Q 14064規格群は,GHGインベントリ又はGHGプロジェクトの定量化,モニタリング,報告及び

妥当性確認又は検証に,明確性及び一貫性を与えることによって,全世界の組織,政府,プロジェクトの

推進者及び利害関係者に有益となることが期待される。特に,JIS Q 14064規格群の利用によって,次の事

項が可能となる。 

− GHGの定量化における環境の面からの完全性を高める。 

− GHGプロジェクトによる排出量の削減及び吸収量の増加を含む,GHGの定量化,モニタリング及び

報告の信頼性,一貫性及び透明性を高める。 

− 組織のGHGの管理戦略及び計画の策定及び実施を促進する。 

− GHGプロジェクトの開発及び実施を促進する。 

− GHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加におけるパフォーマンス及び進捗状況を把握する能力

を高める。 

− GHGの排出量の削減又は吸収量の増加によるクレジット付与及び取引を促進する。 

プログラム別 

 
  

意図した利用者 

のニーズに 

沿った 

保証水準 

該当するGHG

プログラム又は

意図した利用者

の要求事項 

例えば,JIS Q 14065 

妥当性確認又は検証を行う

機関に対する要求事項 

JIS Q 14064-3 

検証プロセス             妥当性確認プロセス及び検証プロセス 

JIS Q 14064-1 

組織のGHGインベントリの 

設計及び開発 

JIS Q 14064-2 

GHGプロジェクトの 

設計及び実施 

GHGインベントリの 

文書化及び報告 

GHGプロジェクトの 

文書化及び報告 

プログラム別 

GHGに関する主張 

妥当性確認及び/ 

又は検証 

GHGに関する主張 

検証 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS Q 14064規格群の利用者は,次のような事例に適用することによって便益を得られる可能性がある。 

a) 企業のリスク管理:例えば,リスク及び機会の抽出及び管理 

b) 自主的取組:例えば,自主的なGHGの登録簿制度又は報告制度への参加 

c) GHG市場:例えば,GHGの排出枠又はクレジットの売買 

d) 規制当局/政府への報告:例えば,早期対応によるクレジット,交渉による合意又は国の報告プログ

ラム 

GHGプロジェクト,及びこれに起因する何らかのGHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加につい

ては,意図した利用者及びGHGプログラムの間での比較を可能にするため,定量化,モニタリング及び

報告に関して標準化されたアプローチが要求されている。したがって,この規格では,一般的なGHGプ

ログラムについて中立的な枠組みを特定し,かつ,適切なGHGの方針及び制度,グッドプラクティス(good 

practice),法律並びに規格による,その他の要求事項及び手引との一貫性を保つように作られた用語及び

概念を使用する。参考文献[13]は,グッドプラクティスの手引の例である。 

この規格は,GHGプロジェクトが,それがなかった場合に起こり得ることに比べて,GHGの排出量の

削減又は吸収量の増加についてもたらした結果を要求することによって,追加性の概念を取り扱っている。

ただし,“追加性”という用語を用いることも,ベースラインの手順を規定することも,又は追加性の基準

を特定することも行っていない。この規格は,プロジェクトの推進者に対し,GHGプロジェクト及びベー

スラインシナリオに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を特定し,かつ,選択するよう要求する。

できる限り幅広いGHGプログラムとの一貫性を保つため,定量化,モニタリング及び報告に関し,どの

GHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫を考慮するかについて述べる場合には“境界”という語を使用せ

ず,適切なGHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫という概念を使用している。よって,プロジェクト

の推進者は,追加性の基準及び手順を採用する,又は適切な法律,方針,GHGプログラム及びグッドプラ

クティスと一貫した境界を設定し,かつ,使用してもよい。 

プロジェクトにおけるGHGの排出量,吸収量,排出量の削減,吸収量の増加の定量化及びモニタリン

グが困難なのは,実際のプロジェクトのパフォーマンスが,GHGプロジェクトがなかった場合を想定した

仮説的なベースラインシナリオに沿って評価されるためである。このため,ベースラインシナリオのGHG

の排出量,吸収量及び/又は貯蔵量を検証することは難しい。よって,GHGの排出量の削減及び/又は吸

収量の増加に信ぴょう(憑)性があり,かつ,過大評価されていないという信頼水準を高めるためには,

ベースラインシナリオが保守性及び正確性を含め,この規格の原則と一貫していることを実証することが

重要となる。ベースラインシナリオは,一般的に,代替的なシナリオの評価を基にして決定される。プロ

ジェクトとベースラインシナリオとの双方に関して,GHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫によるGHGの排

出量,吸収量及び/又は貯蔵量の定量化,モニタリング及び報告は,プロジェクトの推進者が開発したか,

又は一般に認められた公的機関から採用した手順に基づくものとなる。 

この規格では,妥当性確認を行う機関及び/又は検証を行う機関,又は妥当性確認を行う者及び/又は

検証を行う者が,GHGプロジェクトのGHGに関する主張又は請求に沿って保証を行う場合の要求事項を

特定していない。その要求事項は,該当するGHGプログラムを運営する当局によって特定されてもよい

し,又はJIS Q 14064-3に基づくことも可能である。認証されたGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を

GHG単位,クレジット又はオフセットとして認識するプロセスは,GHGプロジェクトのサイクルの延長

線上にある。認証,及びクレジットのプロセスは,GHGプログラムを運営する公的機関の下にあってもよ

く,かつ,GHGプログラムによって異なってもよいため,これもこの規格の仕様には含めていない。 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書Aには,国連気候変動枠組み条約(UNFCCC),京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)

又は共同実施(JI)メカニズムへの適合を望むプロジェクトの推進者向けに,追加の情報を掲載している。 

箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが使用されたのか,又は下された判断は何か

について説明するように要求するものがある。説明には一般的に,次に示す事項の文書化が含まれる。 

− そのアプローチはどのように使用されたか,又は判断はどのように下されたか。 

− そのアプローチはなぜ選ばれたか,又は判断はなぜ下されたか。 

箇条の中には,この規格の利用者に対し,どのアプローチが使用されたのか,又は下された判断は何か

について正当な根拠を示すように要求するものがある。正当な根拠には一般的に,次の文書化が含まれる。 

− そのアプローチはどのように使用されたか,又は判断はどのように下されたか。 

− そのアプローチはなぜ選ばれたか,又は判断はなぜ下されたか。 

− 他のアプローチはなぜ選ばれなかったのか。 

適用範囲 

この規格は,プロジェクトにおけるGHGの排出量の削減又は吸収量の増加をもたらすことを意図した

活動の定量化,モニタリング及び報告のための原則並びに要求事項について規定し,かつ,手引を示す。

この規格には,GHGプロジェクトの計画,プロジェクト及びべースラインシナリオに適切なGHGの排出

源,吸収源及び貯蔵庫の特定及び選択,GHGプロジェクトのパフォーマンスのモニタリング,定量化,文

書化及び報告,並びにデータ品質の管理に関する要求事項を含む。 

JIS Q 14064規格群は,いかなるGHGプログラムに対しても中立的である。何らかのGHGプログラム

を適用する場合,該当するGHGプログラムの要求事項は,JIS Q 14064規格群の要求事項に追加して適用

する。 

注記1 JIS Q 14064規格群の要求事項を満たすことによって,組織又はGHGプロジェクトの推進者

がGHGプログラムの要求事項を順守できなくなる場合は,該当するGHGプログラムの要求

事項を優先する。 

注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14064-2:2006,Greenhouse gases−Part 2: Specification with guidance at the project level for 

quantification, monitoring and reporting of greenhouse gas emission reductions or removal 

enhancements(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

温室効果ガス,GHG(greenhouse gas) 

自然起源か人為起源かを問わず,大気を構成する気体で,地球の表面,大気及び雲によって放射される

赤外線スペクトルのうち,特定波長の放射線を吸収及び放出するもの。 

注記 GHGには,二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),亜酸化窒素(N2O),ハイドロフルオロカーボ

ン(HFCs),パーフルオロカーボン(PFC)及び六ふっ化硫黄(SF6)が含まれる。 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.2 

温室効果ガス(GHG)の排出源(greenhouse gas source) 

GHGを大気中に放出する物理的単位又はプロセス。 

2.3 

温室効果ガス(GHG)の吸収源(greenhouse gas sink) 

大気中からGHGを吸収する物理的単位又はプロセス。 

2.4 

温室効果ガス(GHG)貯蔵庫(greenhouse gas reservoir) 

生物圏,岩石圏若しくは水圏の物理的単位又は構成要素で,GHGの吸収源(2.3)によって大気中から

吸収されたGHG,又はGHGの排出源(2.2)から分離・回収されたGHGを貯蔵又は蓄積する能力がある

もの。 

注記1 特定の時点でGHG貯蔵庫に含まれる炭素の質量の合計は,貯蔵庫の炭素ストックと呼ばれ

ることがある。 

注記2 GHG貯蔵庫は,別のGHG貯蔵庫にGHGを移転できる。 

注記3 GHG排出源から大気中に入る前にGHGを収集し,これをGHG貯蔵庫に貯蔵することを指

して,GHGの分離・回収及び貯蔵と呼ぶことがある。 

2.5 

温室効果ガス(GHG)の排出量(greenhouse gas emission) 

特定の期間内に大気中に放出されたGHGの質量の合計。 

2.6 

温室効果ガス(GHG)の吸収量(greenhouse gas removal) 

特定の期間内に大気中から吸収されたGHGの質量の合計。 

2.7 

温室効果ガス(GHG)の排出量の削減(greenhouse gas emission reduction) 

ベースラインシナリオ(2.19)とプロジェクトとの間で計算されたGHGの排出量の減少。 

2.8 

温室効果ガス(GHG)の吸収量の増加(greenhouse gas removal enhancement) 

ベースラインシナリオ(2.19)とプロジェクトとの間で計算されたGHGの吸収量の増加。 

2.9 

温室効果ガス(GHG)の排出係数又は吸収係数(greenhouse gas emission or removal factor) 

活動データをGHGの排出量又は吸収量に変換する係数。 

注記 GHGの排出係数又は吸収係数は,酸化成分を含めることができる。 

2.10 

温室効果ガス(GHG)に関する主張(greenhouse gas assertion) 

責任当事者が行う宣言又は事実に基づく客観的な声明書。 

注記1 GHGに関する主張は,ある時点に対して提示してもよいし,ある期間に対して提示してもよ

い。 

注記2 責任当事者が提示するGHGに関する主張は,明確に識別が可能で,かつ,妥当性確認を行

う者(2.27)又は検証を行う者(2.29)が適切な基準に照らして一貫した評価又は測定を行え

るものであることが望ましい。 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記3 GHGに関する主張は,GHG報告書(2.15)又はGHGプロジェクト(2.12)の計画書の形で

提示することができる。 

2.11 

温室効果ガス(GHG)情報システム(greenhouse gas information system) 

GHGの情報を確立し,管理し,かつ,維持するための方針,プロセス及び手順。 

2.12 

温室効果ガス(GHG)プロジェクト(greenhouse gas project) 

ベースラインシナリオ(2.19)において特定された状態を変更させるようなGHGの排出量の削減(2.7),

又は吸収量の増加(2.8)をもたらす活動 

2.13 

温室効果ガス(GHG)プロジェクト推進者(greenhouse gas project proponent) 

GHGプロジェクト(2.12)において全般的な管理力及び責任をもつ個人又は組織。 

2.14 

温室効果ガス(GHG)プログラム(greenhouse gas programme) 

組織又はGHGプロジェクト(2.12)の外部に位置付けられ,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減(2.7)

又は吸収量の増加(2.8)を,登録,算定若しくは管理する,自主的若しくは強制的な,国際,国内若しく

は地方のシステム又はスキーム。 

2.15 

温室効果ガス(GHG)報告書(greenhouse gas report) 

組織及びプロジェクトのGHG関連の情報を意図した利用者(2.22)に伝達することを意図した単一の文

書。 

注記 GHG報告書には,GHGに関する主張(2.10)を含むことができる。 

2.16 

影響を受ける温室効果ガス(GHG)の排出源,吸収源又は貯蔵庫(affected greenhouse gas source, sink or 

reservoir) 

関連する製品若しくはサービスについての市場での需要又は供給の変化を通して,又は物理的な移動を

通して,プロジェクトの活動によって影響を受けるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫。 

注記1 関連するGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫は,GHGプロジェクトと物理的に結び付いてい

る一方で,影響を受けるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫は,市場での需要及び供給の変

化によってだけ,GHGプロジェクトと結び付いている。 

注記2 影響を受けるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫は,一般的にプロジェクトのサイト以外の

ところにある。 

注記3 影響を受けるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫によってオフセットされるGHGの排出量の

削減又は吸収量の増加は,リーケージと呼ばれることが多い。 

2.17 

管理される温室効果ガス(GHG)の排出源,吸収源又は貯蔵庫(controlled greenhouse gas source, sink or 

reservoir) 

財務,方針,経営又はその他の手段によって,操業がプロジェクトの推進者(2.13)の指揮下及び影響

下にあるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫。 

注記 管理されるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫は,一般的にプロジェクトのサイトにある。 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.18 

関連する温室効果ガス(GHG)の排出源,吸収源又は貯蔵庫(related greenhouse gas source, sink or reservoir) 

材料若しくはエネルギーのプロジェクトへの流入,プロジェクトからの流出,又はプロジェクト内部で

の流れを伴うGHGの排出源,吸収源若しくは貯蔵庫。 

注記1 関連するGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫は,一般的に,プロジェクトの上流又は下流に

あり,かつ,プロジェクトのサイトの内部又は外部にあり得る。 

注記2 関連するGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫には,プロジェクトの設計,構築及び廃止に関

連する活動を含んでもよい。 

2.19 

ベースラインシナリオ(baseline scenario) 

提案されたGHGプロジェクトがなかった場合に起きていたであろう状況を最もよく表す仮説的な基準

となるケース。 

注記 ベースラインシナリオの時間軸は,GHGプロジェクト(2.12)の時間軸に一致する。 

2.20 

地球温暖化係数,GWP(global warming potential) 

所定の期間において,それぞれのGHGの単位質量当たりの放射強制力の影響を,二酸化炭素の相当量

で記載する係数。 

注記 気候変動に関する政府間パネル(以下,IPCCという。)が作成した地球温暖化係数(以下,GWP

という。)を,附属書Bに示す。 

2.21 

二酸化炭素換算量,CO2e(carbon dioxide equivalent) 

GHGの放射強制力を二酸化炭素の相当量に換算した単位。 

注記1 二酸化炭素換算量は,所定のGHGの質量にそのGWPを乗じて算定される。 

注記2 IPCCが作成したGWPを,附属書Bに示す。 

2.22 

意図した利用者(intended user) 

GHG関連の情報の報告書によって特定された個人又は組織で,当該情報に基づき判断を下す者。 

注記 意図した利用者は,依頼者,責任当事者,GHGプログラムの運用者,規制当局,財界又はその

他の影響を受ける利害関係者(2.23)(例えば,地域社会,政府部局又は非政府組織)のいずれ

でもあり得る。 

2.23 

利害関係者(stakeholder) 

GHGプロジェクト(2.12)の開発又は実施によって影響を受ける個人又は組織。 

2.24 

保証水準(level of assurance) 

意図した利用者(2.22)が妥当性確認(2.26)又は検証(2.28)で要求する保証の程度。 

注記1 保証水準は,妥当性確認を行う者又は検証を行う者が,何らかの重大な誤り,脱漏又は不実

表示があるか否かを判断するために,妥当性確認又は検証の計画に設定する詳細度の決定に

用いられる。 

注記2 保証には,二つの水準(合理的又は限定的)があり,これによって,妥当性確認又は検証の

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

声明書の文言が異なる。妥当性確認及び検証の声明書の例については,JIS Q 14064-3の

A.2.3.2を参照。 

2.25 

モニタリング(monitoring) 

GHGの排出量及び吸収量,又はその他のGHG関連のデータについての継続的又は定期的なアセスメン

ト。 

2.26 

妥当性確認(validation) 

GHGプロジェクト(2.12)の計画書におけるGHGに関する主張(2.10)を,合意された妥当性確認の

基準に照らして評価する体系的で,独立し,かつ,文書化されたプロセス。 

注記1 第一者による妥当性確認のような場合,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないこ

とによって,独立性が実証できることがある。 

注記2 GHGプロジェクトの計画書の内容については,この規格の5.2で規定されている。 

注記3 “バリデーション”又は“有効化審査”ともいう。 

2.27 

妥当性確認を行う者(validator) 

力量及び独立性を備え,妥当性確認の実施及びその結果の報告に対して責任を負う人又は人々。 

注記1 この用語は,妥当性確認を行う機関を指すために用いることができる。 

注記2 “バリデータ”ともいう。 

2.28 

検証(verification) 

GHGに関する主張(2.10)を,合意された検証の判断基準に照らして評価する,体系的で,独立し,か

つ,文書化されたプロセス。 

注記 第一者による検証のような場合には,GHGのデータ及び情報の開発のための責任がないことに

よって,独立性が実証できることがある。 

2.29 

検証を行う者(verifier) 

力量及び独立性を備え,検証プロセスの実施及びその報告に対して責任を負う人又は人々。 

注記 この用語は,検証を行う機関を指すために用いることができる。 

2.30 

不確かさ(uncertainty) 

定量化の結果に関係するパラメータで,定量化の対象に合理的に当てはめることができる数値のばらつ

きを特徴付けるもの。 

注記 通常,不確かさの情報には,数値のばらつき度合いの定量的な推計及びばらつきを起こす可能

性に関する定性的な説明が示される。 

原則 

3.1 

一般 

原則の適用は,GHG関連の情報が,正確かつ公正な報告であることを確実にする基礎となる。原則は,

この規格の要求事項の基本であり,かつ,適用を手引するものである。 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.2 

適切性 

意図した利用者のニーズに適したGHGの排出源,GHGの吸収源,GHG貯蔵庫,データ及び方法論を選

択する。 

3.3 

完全性 

適切なGHGの排出量及び吸収量の全てを含める。基準及び手順を支える全ての適切な情報を含める。 

3.4 

一貫性 

GHG関連の情報について,有意義な比較を可能にする。 

3.5 

正確性 

実行可能な限りバイアス及び不確かさを減らす。 

3.6 

透明性 

意図した利用者が合理的な確信をもって判断を下せるように,十分かつ適切なGHG関連の情報を開示

する。 

3.7 

保守性 

GHGの排出量の削減又は吸収量の増加が過大に評価されないことを確実にするように,保守的な仮定,

数値及び手順を使用する。 

GHGプロジェクトの序文 

GHGプロジェクトのサイクルは,一般的に,計画の段階及び実施の段階の二つの大きな段階に分けられ

ている。GHGプロジェクトのサイクルのステップは,プロジェクトの規模,及び適用される法律,GHG

プログラム又は規格を含む特定の状況によって異なる。この規格が,GHGプロジェクトの定量化,モニタ

リング及び報告についての要求事項を規定しているという事実から見れば,典型的なGHGプロジェクト

のサイクルには,図2に示すような,追加的な要素を含めてもよい。 

background image

10 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 全てのGHGプログラムが図2に含まれた全ての要素を要求するものではない。 
注記2 GHGのユニットとは,GHGの算定に使用される単位である。GHGプロジェクトのためのよく知られている

GHGのユニットは,認証された排出削減単位(CER),排出削減単位(ERU),クレジット及びオフセットで
ある。GHGのユニットは,通常,CO2eトンで示される。 

図2−典型的なGHGプロジェクトのサイクル 

GHGプロジェクトの推進者は,まず,プロジェクトの概念を特定し,プロジェクトを設計するとともに

その実施可能性を評価し,利害関係者と相談し,かつ,GHGプログラムの適格性に関する要求事項の評価

を行うことができる。適切であれば,プロジェクトの推進者は,該当するGHGプログラム又は政府の所

管官庁に対し,プロジェクトの受入れの承認書を申請することもできる。 

この規格は,計画の段階のために,GHGプロジェクトの確立及び文書化に関する要求事項を規定する。

GHGプロジェクトを計画する場合,プロジェクトの推進者は,次の事項を行う。 

− プロジェクトを記載する。 

− プロジェクトのために適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を特定し,かつ,選択する。 

− ベースラインシナリオを決定する。 

− GHGの排出量,吸収量,排出量の削減及び吸収量の増加を定量化し,モニタリング及び報告する手順

を策定する。 

プロジェクトの実施に先立ち,GHGプログラムは,GHGプロジェクトの計画の公式な登録,妥当性確

認及び公な配布を要求してもよい。 

GHGプログ
ラムによる
プロジェク

トの獲得 

GHGプロ
ジェクト

の計画 

プロジェ
クトの登

録 

GHGプログラムによ
るGHGのユニットの
定期的な検証,認証

及び承認 

最終的な
GHG報告書

の提出 

最終的なGHG
の排出量の削
減及び吸収量

の増加の検証 

最終的なGHG
の排出量の削
減及び吸収量

の増加の認証 

この規格に含まれる要求事項 

 
プロジェクトの記載,ベースラ
インシナリオの決定,GHGの排
出量,吸収量,貯蔵量,排出量
の削減及び吸収量の増加のモニ
タリング,定量化及び報告する
ための手順の確立,並びにGHG
プロジェクトの妥当性確認 
 

 
GHGの排出量,吸収量,貯蔵量,排出量の削減及び吸収量の
増加のモニタリング,定量化及び報告の手順の実施,並びに
GHGの排出量の削減,吸収量の増加及び報告書の検証 

時間 

プロジェク
トの概念/
実現可能性
/プログラ
ムの評価 

計画 

GHGプロジ
ェクトの計
画の策定の
前後に利害
関係者との
相談 

GHGプロ
ジェクト
の妥当性
確認 

実施 

プロジェクトの活動の着手 

プロジェ
クトの活

動の開始 

プロジェクトの期間 

GHGプログラム
によるGHGのユ

ニットの承認 

プロジェ
クトの終

了 

background image

11 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この規格は,実施の段階のために,GHGの排出量,吸収量,排出量の削減及び吸収量の増加の定期的な

データ品質の管理,モニタリング,定量化及び報告のための基準及び手順の選択並びに適用に関する要求

事項を規定する。GHGプロジェクトの実施は,特定の活動(例えば,着手,実施,従事,又は別のやり方

で開始する行為)によって始めることができ,かつ,特定の終結の活動(例えば,完了,閉鎖,廃止,又

は別のやり方で公式にプロジェクトを終える行為)によって終えることができる。報告の期間及び頻度は,

GHGプロジェクト及び/又はGHGプログラムの特定の要求事項によって異なってもよい。プロジェクト

の実施中にモニタリングし,かつ,収集した実際のデータ及び情報に基づき,定量化されたGHGの排出

量,吸収量,排出量の削減及び吸収量の増加を検証してもよい。プロジェクトの推進者は,当該GHGプ

ログラム内で認められたGHGのユニットを作り出すために,検証されたGHGの排出量の削減又は吸収量

の増加をGHGプログラムに提出するかもしれない。GHGのユニット(例えば,クレジット)の認証及び

承認は,この規格の適用範囲を超えるものである。 

異なる種類及び規模のGHGプロジェクトに幅広く,かつ,柔軟に適用できるよう,この規格は,特定

の基準及び手順を定めるのではなく,原則を確立し,かつ,プロセスの要求事項を規定している。したが

って,図3に示すとおり,適切な法律,GHGプログラム,グッドプラクティス及び規格による追加的な要

求事項,基準及び手引は,この規格の適用の信頼性のために非常に重要である。 

図3−この規格の使用のための枠組み 

この規格の要求事項について,プロジェクトの計画の段階と実施の段階との関係を示したのが図4であ

る。この規格の適用において,利用者は線形のステップごとのアプローチをとるよりも,全ての要求事項

を全体論的かつ反復的に考慮するよう促される。 

この規格 

(すなわち,監査可能な 

標準的な要求事項) 

適用可能な 

GHGプログラム 

(例えば,追加的な要求 

事項,基準,規則及び方針)

プロジェクトの推進者は, 

これら関係を考慮し,GHG

プロジェクトの定量化,モ

ニタリング及び報告を計画

し,かつ,実施してもよい。 

グッドプラクティス 

の手引 

(例えば,認められた基

準,方法論,ツール 

及び手引) 

利害関係者との相談 

(例えば,利害関係者と
のコミュニケーション) 

その他の適切な規格 

(例えば,認められた 

基準,規則,方法論 

及び装置) 

適切な法律 

(例えば,規制上の 

要求事項) 

GHGのユニットのため 

の取引市場 

background image

12 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

  

計画の段階 

実施の段階 

策定 

更新 

基準及び手順の 

選択又は確立並びに適用 

---- 

  

基準及び手順の 

選択又は確立並びに適用 

更新 

  

基準及び手順の 

選択又は確立並びに適用 

---- 

  

基準及び手順の 

選択又は確立並びに適用 

---- 

  

基準及び手順の 

選択並びに確立 

基準及び手順の 

適用 

  

基準及び手順の 

選択又は確立 

基準及び手順の 

適用 

  

基準及び手順の 

選択又は確立 

基準及び手順の 

適用 

  

基準及び手順の 

選択又は確立 

基準及び手順の 

適用 

  

基準及び手順の 

確立 

基準及び手順の 

適用 

  

GHGプロジェクトの 

妥当性確認 

排出量の削減又は吸収量の増加の 

検証 

  

基準及び手順の 

確立 

基準及び手順の 

適用 

図4−計画と実施との要求事項の関係 

5.12 GHGプロジェクトの妥当性確
認及び/又は検証 

5.11 GHGプロジェクトの文書化 

5.3 プロジェクトに適切なGHGの排
出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 

5.4 ベースラインシナリオの決定 

5.10 GHGプロジェクトのモニタリ
ング 

5.9 データ品質の管理 

5.8 GHGの排出量の削減及び吸収量
の増加の定量化 

5.7 GHGの排出量及び/又は吸収量

の定量化 

5.5 ベースラインシナリオのための
GHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の
特定 

5.6 GHGの排出量及び吸収量のモニタリ
ング又は推計のための適切なGHGの排
出源,吸収源及び貯蔵庫の選択 

5.13 GHGプロジェクトの報告 

5.2 プロジェクトの記載 

5.1 一般要求事項 

13 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

GHGプロジェクトのための要求事項 

5.1 

一般要求事項 

プロジェクトの推進者は,GHGプロジェクトが,何らかのGHGプログラムの傘下にある場合,適格若

しくは承認基準,適切な法律,又はその他の要求事項を含んだ適切な要求事項に従っていることを確実に

しなければならない。 

箇条5の詳細な要求事項を充足させる場合,プロジェクトの推進者は,適切な現行のグッドプラクティ

スの手引を特定し,考慮し,かつ,利用しなければならない。一般に認められた出所からの確立された基

準及び手順がある場合,プロジェクトの推進者は,これらの基準及び手順を適切な現行のグッドプラクテ

ィスの手引として選択し,かつ,適用しなければならない。 

プロジェクトの推進者が一般に認められた出所からの適切な現行のグッドプラクティスの手引による基

準及び手順を用いる場合,プロジェクトの推進者は,それらの基準及び手順を逸脱したときには,その正

当な根拠を示さなければならない。 

一般に認められた出所からのグッドプラクティスの手引が複数存在する場合,プロジェクトの推進者は,

選択した一般に認められた出所を使用する理由の正当な根拠を示さなければならない。 

一般に認められた出所からの適切な現行のグッドプラクティスの手引がない場合,プロジェクトの推進

者は,この規格の要求事項を満たす基準及び手順を確立し,その正当な根拠を示し,かつ,適用しなけれ

ばならない。 

5.2 

プロジェクトの記載 

プロジェクトの推進者は,GHGプロジェクトの計画書に,次の事項を含むプロジェクト及びその状況を

記載しなければならない。 

a) プロジェクトの名称,目的及び目標 

b) GHGプロジェクトの種類 

c) プロジェクトの特定の範囲をただ一つに特定及び確定する地理的かつ物理的な情報を含んだプロジェ

クトの所在地 

d) プロジェクトの実施前の状況 

e) プロジェクトがGHGの排出量の削減及び/又は吸収量の増加をどのように達成するのかについての

記載 

f) 

プロジェクトの技術,製品,サービス及び期待される活動の水準 

g) GHGプロジェクトから生じると思われるGHGの排出量の削減及び吸収量の増加のCO2eトンで示し

た総計 

h) プロジェクトのGHGの排出量の削減又は吸収量の増加に対して,実質的に影響する可能性のあるリ

スクの特定 

i) 

プロジェクトの推進者,その他のプロジェクトへの参加者,適切な規制当局,及び/又はGHGプロ

ジェクトが傘下にある場合のGHGプログラムの管理者の連絡先を含めた役割及び責任 

j) 

法律的,技術的,経済的,部門的,社会的,環境的,地理的,プロジェクトの実施場所に特定的かつ

一時的な情報を含む,GHGプログラムにおけるGHGプロジェクトの適格性,及び排出量の削減又は

吸収量の増加の定量化のために適切な情報 

k) 適用される法律又は規則によって環境影響の評価が要求されている場合には,環境影響の評価の要約 

l) 

利害関係者との相談の適切な結果,及び継続的なコミュニケーションのための仕組み 

m) GHGプロジェクトのサイクルのそれぞれの段階における適切なプロジェクトの活動を含む,プロジェ

14 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

クトの活動の開始日,プロジェクトの終了日,モニタリング及び報告の頻度,及びプロジェクト期間

に関する時系列的な計画 

5.3 

プロジェクトに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトによって管理されるか,関係するか,又は影響を受けるGHG

の排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定,及び評価のための基準及び手順を選択するか,又は確立しなければ

ならない。 

選択又は確立された基準及び手順に基づき,プロジェクトの推進者は,次のいずれかによって,GHGの

排出源,吸収源及び貯蔵庫を特定しなければならない。 

a) プロジェクトの推進者によって管理されるもの 

b) GHGプロジェクトに関係するもの 

c) GHGプロジェクトの影響を受けるもの 

5.4 

ベースラインシナリオの決定 

プロジェクトの推進者は,次の事項を考慮して,潜在的なベースラインシナリオの特定及び評価のため

の基準及び手順を選択するか,又は確立しなければならない。 

a) 特定されたGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫(5.3参照)を含むそのプロジェクトの記載 

b) 既存の,かつ,代替的なプロジェクトの種類,活動及び技術で,そのプロジェクトと同等の種類及び

水準の製品又はサービスの活動を提供するもの 

c) データの利用可能性,信頼度及び限界 

d) 法律的,技術的,経済的,社会文化的,環境的,地理的,プロジェクトの実施場所に特定的及び一時

的な仮定又は予測のような,現在又は将来の状況に関連するその他の適切な情報 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトとベースラインシナリオとが提供する製品又はサービス活動の

種類及び水準が同等であることを実証するとともに,必要があれば,プロジェクトとベースラインシナリ

オとの間に著しい差分がある場合にはこれを説明しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,ベースラインシナリオを特定し,かつ,その正当な根拠を示すための基準及

び手順を,選択するか又は確立し,説明し,かつ,適用しなければならない。 

注記 プロジェクトに特有なアプローチを用いて決定されたベースラインシナリオは,そのプロジェ

クトがなかった場合に生じると仮定されるものを表しているのに対し,GHGプログラムは,ベ

ースラインシナリオの決定について,パフォーマンス基準(例えば,ベンチマーク,マルチプ

ロジェクト)に基づくベースラインシナリオのような別のアプローチを定めることができる。 

ベースラインシナリオを策定する場合,プロジェクトの推進者は,GHGの排出量の削減又は吸収量の増

加が過大評価されないことを確実にする上で役立つ仮定,数値及び手順を選択しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトが,ベースラインシナリオで生じると仮定されるものに追加さ

れているGHGの排出量の削減又は吸収量の増加をもたらすことを実証するための基準及び手順を選択す

るか又は確立し,正当な根拠を示し,かつ,適用しなければならない。 

5.5 

ベースラインシナリオのためのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 

ベースラインシナリオに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を特定する場合,プロジェクトの推

進者は,次の事項を行わなければならない。 

a) プロジェクトに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定のために使用される基準及び手順の

検討。 

15 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 必要であれば,ベースラインシナリオに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を特定するための

追加的な基準の説明及び適用。 

c) プロジェクトの特定されたGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫と,ベースラインシナリオにおいて特

定された事項との比較。 

5.6 

GHGの排出量及び吸収量のモニタリング又は推計のための適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵

庫の選択 

プロジェクトの推進者は,定期的なモニタリング又は推計のいずれかの対象として,適切なGHGの排

出源,吸収源及び貯蔵庫を選択するための基準及び手順を選択するか,又は確立しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,定期的なモニタリングの対象として適切なものとしてGHGの排出源,吸収

源及び貯蔵庫のいずれも選ばない場合,その正当な根拠を示さなければならない。 

注記 図A.2は,定期的なモニタリング又は推計の対象とするGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の

特定及び選択の枠組みの例を示す。 

5.7 

GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化 

プロジェクトの推進者は,選択されたGHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫(5.6参照)について,

GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化のための基準,手順及び/又は方法論を選択するか,又は確立し

なければならない。 

選択又は確立された基準及び手順に基づき,プロジェクトの推進者は,次の事項について,GHGの排出

量及び/又は吸収量をそれぞれ別に定量化しなければならない。 

a) プロジェクトに適切なそれぞれのGHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫に対して適切なそれぞれ

のGHG 

b) ベースラインシナリオに適切なそれぞれのGHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫 

非常に不確かなデータ及び情報に依拠している場合,プロジェクトの推進者は,定量化がGHGの排出

量の削減又は吸収量の増加の過大評価とならないことを確実にする仮定及び数値を選択しなければならな

い。 

プロジェクトの推進者は,定期的なモニタリングの対象に選ばれなかった,プロジェクトに適切で,か

つ,ベースラインシナリオに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫について,GHGの排出量及び/又

は吸収量を推計しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,GHGの排出量の削減又は吸収量の増加が逆転するリスク(すなわち,GHG

の排出量の削減又は吸収量の増加の永続性)を評価する基準,手順及び/又は方法論を確立し,かつ,適

用しなければならない。 

該当する場合,プロジェクトの推進者は,次のGHGの排出又は吸収の係数を選択するか又は開発しな

ければならない。 

− 一般に認められた出所をもつ。 

− 当該のGHGの排出源又は吸収源について適切である。 

− 定量化の時点で有効である。 

− 定量化の不確かさを考慮するとともに,正確で,かつ,再現性のある結果をもたらそうと意図した方

法で計算されている。 

− GHG報告書の意図された用途との一貫性がある。 

16 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.8 

GHGの排出量の削減及び吸収量の増加の定量化 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトの実施の間のGHGの排出量の削減及び吸収量の増加を定量化

するための基準,手順及び/又は方法論を,選択するか,又は確立しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,GHGプロジェクトによるGHGの排出量の削減及び吸収量の増加を定量化す

るために選択又は確立された基準及び方法論を適用しなければならない。GHGの排出量の削減又は吸収量

の増加は,プロジェクトに適切なGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫からのGHGの排出量及び/又は吸収

量と,ベースラインシナリオに適切なそれらとの差分として定量化しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,必要があれば,プロジェクト及びベースラインシナリオに適切なそれぞれの

GHGと,それらに対応するGHGの排出源,吸収源及び/又は貯蔵庫について,個別にGHGの排出量の

削減及び吸収量の増加を定量化しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,測定の単位としてトンを使用し,かつ,適したGWPを使用してそれぞれの

種類のGHGの量をCO2eトンに換算しなければならない。 

注記 IPCCが作成したGWPを,附属書Bに示す。 

5.9 

データ品質の管理 

プロジェクトの推進者は,プロジェクト及びベースラインシナリオに適切な,不確かさの評価を含むデ

ータ及び情報の管理を行う品質管理手順を確立し,かつ,適用しなければならない。 

プロジェクトの推進者は,GHGの排出量の削減又は吸収量の増加に関係する不確かさを,現実的に可能

な限り低下させることが望ましい。 

5.10 GHGプロジェクトのモニタリング 

プロジェクトの推進者は,プロジェクト及びベースラインシナリオに適切なGHGの排出量及び/又は

吸収量の定量化及び報告に重要なデータ及び情報の入手,記録,集計及び分析のための基準及び手順を確

立し,かつ,維持しなければならない(すなわち,GHGの情報システム)。モニタリングの手順には,次

の事項を含めることが望ましい。 

a) モニタリングの目的 

b) 測定単位を含め,報告するデータ及び情報の種類 

c) データの出所 

d) 推計,モデリング,測定又は計算のアプローチを含むモニタリングの方法論 

e) 意図した利用者のニーズを考慮したモニタリングの回数及び期間 

f) 

モニタリングの役割及び責任 

g) 蓄積データの所在及び保存を含む,GHGの情報管理システム 

測定及びモニタリングの機器を使用する場合,プロジェクトの推進者は,現行のグッドプラクティスに

よる機器の校正を確実にしなければならない。 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトの実施の間,GHGのモニタリングの基準及び手順を,定期的に

適用しなければならない。 

5.11 GHGプロジェクトの文書化 

プロジェクトの推進者は,GHGプロジェクトがこの規格の要求事項に適合していることを実証する文書

をもたなければならない。この文書は,妥当性確認及び検証のニーズと一貫性がなければならない(5.12

参照)。 

17 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.12 GHGプロジェクトの妥当性確認及び/又は検証 

プロジェクトの推進者は,GHGプロジェクトの妥当性確認及び/又は検証を受けることが望ましい。 

プロジェクトの推進者がGHGプロジェクトの妥当性確認及び/又は検証を要請する場合,プロジェク

トの推進者から妥当性確認を行う者又は検証を行う者に対して,GHG関する主張を提出しなければならな

い。 

プロジェクトの推進者は,妥当性確認又は検証がJIS Q 14064-3の原則及び要求事項に適合することを

確実にすることが望ましい。 

5.13 GHGプロジェクトの報告 

プロジェクトの推進者は,GHG報告書を用意し,かつ,意図した利用者が使用できるようにしなければ

ならない。 

GHG報告書には,GHG報告書の意図した用途及び意図した利用者を特定しなければならない。 

GHG報告書には,意図した利用者のニーズに沿った様式を使用し,かつ,内容を備えていなければなら

ない。 

この規格への適合を表明するGHGに関する主張を公表する場合,プロジェクトの推進者は,次の事項

のいずれかを一般に公表しなければならない。 

a) JIS Q 14064-3に従って作成された,独立した第三者による妥当性確認又は検証の声明書 

b) 最低限,次の事項を含むGHG報告書 

1) プロジェクトの推進者の氏名 

2) 当該GHGプロジェクトを傘下に収めるGHGプログラム 

3) GHGの排出量の削減及び吸収量の増加をCO2eトンで示した説明を含む,GHGに関する主張の一覧 

4) 妥当性確認又は検証の種類及び達成された保証水準を含む,GHGに関する主張が妥当性確認又は検

証されているかどうかについて記載した説明 

5) 活動の規模,所在,期間及び種類を含む,GHGプロジェクトの簡潔な説明 

6) プロジェクトの推進者によって管理されるGHGプロジェクトのためのGHGの排出源,吸収源及び

貯蔵庫によるGHGの排出量及び/又は吸収量を,適切な期間(例えば,年間,累積,合計)につ

いてCO2eトンで総計した説明 

7) ベースラインシナリオのためのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫によるGHGの排出量及び/又は

吸収量を,適切な期間についてCO2eトンで総計した説明 

8) ベースラインシナリオについての記載,及びプロジェクトがなかった場合に生じたと仮定されるも

のに追加されているGHGの排出量の削減又は吸収量の増加の実証 

9) 該当する場合,永続性の評価 

10) プロジェクトによるGHGの排出量の削減及び吸収量の増加の計算のために基礎として用いられた

基準,手順又はグッドプラクティスの手引の一般的な記載 

11) 報告書の日付け及び対象とした期間 

18 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

この規格の利用の手引 

A.1 背景 

この附属書は,この規格の使用の手引となるものである。この附属書では,この分野は早く発展するた

め,“どのように”規格の要求事項を実施すべきかについて詳細に記載しない。手引では,この規格に含ま

れる概念が,どのように国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の京都議定書によるプロジェクトを基本と

したメカニズムに関係しているかを記載する。 

この規格は,GHGプロジェクトを実施するプロジェクトの推進者,GHGプロジェクトを評価する妥当

性確認を行う者及び検証を行う者,並びに自主的又は強制的なGHGプログラムの管理者による利用を意

図している。この規格を,プロジェクトの計画又は実施の段階に適用してもよい。 

この規格は,特定の基準及び手順を定めているのではなく,原則の概略を示し,かつ,プロセスの要求

事項を規定している。この規格を信頼できる形で適用するためには,適切なGHGプログラム,グッドプ

ラクティス,法律及び規格による追加的な要求事項,基準及び手引が重要である。追加的な手引,プログ

ラムの要求事項及びグッドプラクティスは,多くの出所から得られるものであり,かつ,継続的に進展し

ている。 

この規格は,GHGプログラムについて中立的であるが,内部若しくは外部の自主的,又は強制的なGHG

プログラムとともに利用するために作られている。多くの国際及び国のGHGプログラムが,現在,策定

されている。特にクレジットの発生が関係するところでは,追加的な要求事項を備えたGHGプログラム

が出てくると見られる。 

この規格では,GHGプロジェクトの妥当性確認又は検証を直接に要求していないし,かつ,GHGプロ

ジェクトによるクレジットの発生を取り扱うこともしていない。このため,プロジェクトの推進者は,GHG

プログラムの要求事項による追加的な手引を考慮することが望ましい。具体的なプログラムとの関連でこ

の規格を用いるプロジェクトの推進者,妥当性確認を行う者及び検証を行う者は,こうした追加的な要求

事項を順守することが望ましい。 

図A.1は,次のようなJIS Q 14064規格群における主要な炭素サイクルに関連する幾つかの定義の用途

を図示したものである。 

− GHGの排出源 

− GHGの吸収源 

− GHG貯蔵庫 

− GHGの排出量 

− GHGの吸収量 

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19 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図A.1−幾つかの定義の相互関係及び適用 

A.2 原則 

A.2.1 一般 

この規格の原則は,プロジェクトによるGHGの排出量の削減及び吸収量の増加の,公正な表示及び信

頼ができ,かつ,バランスのとれた計算を確実にすることを意図している。原則は,要求事項の一般的な

解釈を助けるために使用される。原則は,特に,要求事項の充足に判断及び裁量が求められた場合に適用

することを意図している。原則は,この規格で要求される正当な根拠の提示及び説明の基礎を形成してお

り,利用者は適切な原則,及びそれらがどのように適用されてきたかを参照することが望ましい。それぞ

れの原則の適用は,関係する判断の性質によって異なってくる。原則は,それぞれの原則を該当する箇条

の全体的な意図との兼ね合いで考慮するとともに,大所高所の見地から適用することが望ましい。この規

格には,JIS Q 14064-1と共通な原則と,この規格に特有の原則とがともに含まれる。 

A.2.2 適切性 

適切性は,次の事項の選択の関連で重要である。 

− GHGプロジェクト及びベースラインシナリオのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫 

− GHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫を定量化,モニタリング又は推計する手順 

− 潜在的なベースラインシナリオ 

適切性は,情報の意図した利用者の判断又は結論における影響に対して評価されるものであり,定性的

及び/又は定量的な基準の定義並びに正当な根拠を示すことによって確保してもよい。例えば,重大でな

負の流れ=吸収 

 物理的なユニット 

 吸収 

 排出 

 移動 

帯水層 

発電所 

森林 

正の流れ=排出 

凡例 

 t1, t2, t3=異なる時点

t1 

t2  t3 

大 気 

排出源 

中立的 

流れ 

=移動 

吸収源,貯蔵庫,排出源

貯蔵庫,排出源 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

いGHGの排出源の合算の正当な根拠を示すか,又は定量化の方法論若しくはモニタリングするデータポ

イントの数を選択する際には,最低のしきい(閾)値を使用することができる。適切な原則を実施するこ

とは,GHGプロジェクトのコストの削減を助けることができる。しかしながら,情報の利用者が,定量化

及び報告の誠実性に関して,合理的な保証とともに決定を下す能力を要求されることに変わりはない。 

A.2.3 完全性 

完全性は,通常,次の事項によって充足される。 

− GHGプロジェクト及び対応するベースラインシナリオによって管理されるか,これに関係するか,又

はその影響を受ける全てのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 

− 定期的にモニタリングされていないGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の推計 

− 意図した利用者にとって適切な全ての情報が,確立されたプロジェクト及びベースラインシナリオ,

期間,並びに目的と一貫性をもった形で,報告されるGHGのデータ又は情報に現れることを確実に

する。 

− 適切な地域内及び期間内での代表的なベースラインシナリオの検討 

ベースラインシナリオにおいて,比較対照できる個別のGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫が特定でき

ない場合,GHGの排出量及び吸収量のベースラインを定めるのに適した既定の値及び仮定が使用される。

このような直接的な証拠がない場合,GHGプロジェクトの計画及びGHG報告書の諸要素を確立し正当な

根拠を示す際の,情報及び手引を提供するために,専門的判断が要求されることが多い。これには,不確

かさの推計だけでなく,モデル及び換算係数の適した使用が含まれることもあり得る。GHGの吸収のプロ

ジェクトのためのプロジェクトの推計にも,これと同じことがしばしば当てはまる。 

A.2.4 一貫性 

一貫性は,通常,次の事項によって充足される。 

− プロジェクトの間での統一された手順の使用 

− プロジェクトとベースラインシナリオとの間での統一された手順の使用 

− 機能的に同等な単位の使用(すなわち,プロジェクトとベースラインシナリオとによる同じ水準のサ

ービスの提供) 

− 潜在的なベースラインシナリオの間での同等なテスト及び仮定の適用 

− 内部及び外部での長い間及びプロジェクトの間での専門的な判断の同等の適用を確実にする。 

一貫性の原則は,より正確な手順又は方法論が利用できるようになった場合,その利用を妨げることを

意図していない。しかしながら,手順及び方法論における変更は,透明性のある形で文書化し,かつ,そ

の正当な根拠を示すことが望ましい。 

A.2.5 正確性 

正確性は,通常,推計に用いられるデータの出所によるバイアスを回避又は排除し,精度(precision)

及び不確かさを可能な限り説明し,改善することによって充足される。 

プロジェクトの推進者は,可能な限り正確性を追求することになるが,ベースラインに仮説的な性質が

あること,ある種のGHGの排出量及び吸収量のモニタリングコストが高いことなどの制約によって,正

確性が達成できないケースも多い。このような場合に,正確性を調整し,プロジェクトによるGHG定量

化の信頼性を維持する役割を果たすのが,保守性である。 

正確性の原則と保守性の原則とは表裏一体の関係にある。プロジェクトの推進者が可能な限り不確かさ

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

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を減らせば,その範囲内で選んだ数値は,GHGの排出量又は吸収量の慎重な推計となるはずである。 

A.2.6 透明性 

透明性とは,文書(監査証跡など)に基づき,情報がどの程度オープンかつ明確で,事実に基づき,中

立的で,かつ,一貫した形で報告されたとみなされるかに関連する。情報は,内部の審査者又は外部の意

図した利用者が,その信頼性を確証できるような形で記録し,集計し,分析する。透明性は,通常,次の

事項が要求される。 

− 全ての仮定を明確かつ明示的に表明し,文書化する。 

− 背景資料に明確に言及する。 

− 全ての計算及び方法論を説明する。 

− 文書化における変更点を全て明確に特定する。 

− 独立の妥当性確認及び検証が可能な形で,情報を集計し,文書化する。 

− 原則の適用を文書化する(ベースラインシナリオの選択等に際し)。 

− 説明及び/又は正当な根拠を文書化する(手順,方法論,パラメータ,データソース,鍵になる要因

など)。 

− 選択された基準の正当な根拠を文書化する(追加性の判定等のために)。 

− 他の当事者が報告されたデータを再現できるような形で,仮定,参考資料及び方法論を文書化する。 

− プロジェクト外部の要因で,意図した利用者の判断に影響し得るものがあれば,これについても文書

化する。 

A.2.7 保守性 

保守性は,通常,次によって充足される。 

− プロジェクトがなかったと仮定した場合の,適切な地域及び期間における技術開発の動向及び実施率

を適切に選択する。 

− 適切な地域及び期間における技術開発の動向及び実施率に対するプロジェクトの影響を考慮する。 

− プロジェクトのGHGの排出量,吸収量,排出源,吸収源及び貯蔵庫に影響するパラメータを適切に

選択する。 

− あり得る仮定の範囲全体について,信頼できる結果を維持し,提供する。 

保守性の原則が適用されるのは,ベースラインシナリオの決定,並びにベースライン及びプロジェクト

によるGHGの排出量及び吸収量の定量化が,不確かさの高いパラメータ又はデータソースに依拠してい

る場合である。特に,ベースラインの保守性は,アプローチ,仮定,方法論,パラメータ,データソース

及び鍵になる要因の選択を参照して確立することによって,ベースラインの排出量及び吸収量が過大評価

よりも過小評価される可能性を高くし,あり得る仮定の範囲全体について,信頼できる結果を維持できる

ようにする。しかし,保守性の原則を用いることは,必ずしも“最も”慎重な仮定又は方法論の選択を意

味しない。プロジェクト文書では,仮定及び選択の保守性の度合いについて説明することが望ましい。保

守性の原則の採用は,バランスの問題であることが多い(正確性,適切性,費用対効果などのバランス)。

正確性が低い方法を選んだ場合,保守性の高い仮定及び方法論を適用することが望ましい。 

A.3 GHGプロジェクトに関する要求事項 

A.3.1 一般要求事項 

プロジェクトは,適切な規格,法律又はグッドプラクティスにも適合しなければならないことがある。

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

公的機関による事前の承認,規格又は法律の順守によって,プロジェクトの適格性が判定されることもあ

る。プロジェクトの推進者は,環境・社会影響評価を完了し,持続可能な開発への寄与を実証し,環境及

び開発に関する国内の優先課題又は戦略に適合したプロジェクトを計画するよう義務付けられることもあ

る。 

この規格では,プロジェクトの種類及び規模による区別を行っていない。この規格は,グッドプラクテ

ィスの手引に言及することによって,要求事項の実施に柔軟性をもたせているため,あらゆるプロジェク

トに適用できる。GHGプログラムの中には(京都議定書など),小規模プロジェクトとその他のプロジェ

クトとを区別し,手引として利用し得る簡素化ルールを定めているものもある。プロジェクトの中には,

京都メカニズムが適用され得る種類のものもある。次の箇条では,該当するプロジェクトのための手引と

して,関連性のある京都メカニズムの要求事項を紹介する。 

A.3.2 京都メカニズム 

A.3.2.1 共同実施及びクリーン開発メカニズム 

A.3.2.1.1 京都議定書では,次の二つのプロジェクト・ベースのメカニズムが創設された。 

− クリーン開発メカニズム(CDM)(参考文献[4] の第12条を参照) 

− 共同実施(JI)(参考文献[4] の第6条を参照) 

この細分箇条における京都議定書の決定への言及は,2005年12月現在の条約の締約国会議(COP)又

はCOP/議定書の締約国の会合(MOP)での決定に基づく。利用者は,最新のCOP又はCOP/MOPでの決

定を参照することが望ましい。 

A.3.2.1.2 CDMについて採用された様式及び手順は参考文献[2] に,緑化・森林再生プロジェクトの様式及

び手順は参考文献[7] に,それぞれ示されている。CDM実施の監督機関として設置されたCDM理事会は,

ベースライン方法論の承認,プロジェクトの登録などの役割を果たす1)。理事会は,承認済み用語の用語

集を作成した[8]。CDM理事会の認定を必要とする指定運営組織(DOE)は独立の主体で,プロジェクト参

加者は,ここからCDMプロジェクトの妥当性確認を受けたり,クレジット(CER)の検証又は認証を受

けたりしている。DOEは,妥当性確認に合格したプロジェクトに登録を要請する。登録によって,妥当性

確認に合格したプロジェクトは,CDMプロジェクト活動として正式に受け入れられる。プロジェクト活

動に関係するCERの検証,認証及び発行は,登録が前提条件となる。京都議定書による認証は,所定の期

間につき,プロジェクトがGHGの排出量の削減を達成し,吸収量の増加が検証されたことを書面で証明

するものである。GHG排出量の削減の認証が得られれば,理事会はプロジェクト参加者に達成分のクレジ

ットを発行し,拠出金を徴収する。このクレジットはCERと呼ばれるが,緑化・森林再生プロジェクトに

ついては,短期的期限付CER(tCER)及び長期的期限付CER(lCER)の二つがある。拠出金(CERの2 %

に相当)は,気候変動の影響を特に受けやすい開発途上締約国への援助に充当される。後発開発途上国で

のプロジェクトは,この拠出金を免除される。これに加えて,事務費用をカバーするための次の率におけ

る登録料の支払も必要である[10]。 

− 暦歴1年の間において,発行を要請されたCO2換算量のうち最初の15 000トンまでは,発行された

CER当たり0.10米ドル。 

− 暦歴1年の間において,発行を要請されたCO2換算量のうち15 000トンを超える分については,発行

されたCER当たり0.20米ドル。 

                                                   
注1) CDM理事会の情報及び決議は,http://cdm.unfccc.int/EB/index.htmlを参照。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.3.2.1.3 クレジットは,クレジット発生対象期間にだけ達成できるが,これは,検証及び認証されたGHG

の排出量の削減及び吸収量の増加が含まれる期間のことである。CDMの場合,プロジェクト参加者は,

次の代替的アプローチの中から,期間を選択する。 

− 排出量の削減プロジェクトについては,参考文献[6] の附属書37ページ,段落49を参照。 

− 緑化・森林再生プロジェクトについては,参考文献[7] の附属書21ページ,段落23を参照。 

A.3.2.1.4 次の小規模プロジェクトについては,CDMの手続きコスト削減のため,簡素化様式及び手順を

適用できる。 

− 排出量の削減プロジェクトについては,参考文献[6] の決定21ページ,段落6を参照。 

− 緑化・森林再生プロジェクトについては,参考文献[7] の附属書16ページ,段落1のiを参照。 

A.3.2.1.5 JIについて採用する様式及び手順は,参考文献[6] の附属書にある。JIプロジェクトの策定及び

ホスト国の承認は,プロジェクトが実施される国によって異なることがある。JI監督のため,締約国会合

を兼ねる第1回締約国会議で,監督委員会の設置が決定された。 

A.3.2.2 適格性基準 

プロジェクト,ホスト国及び投資国が京都議定書によって充足を義務付けられる具体的な適格性要求事

項は,表A.1のとおりである。 

表A.1−京都メカニズム適格性基準 

側面 

JI 

CDM 

標準CDM 

小規模CDM 

吸収源プロジェクト 

プロジェクト 

小規模の定義充足。 
決定p.21,段落6,
参考文献[6] 

緑化・森林再生プロジェクトだけ適
格。小規模プロジェクトの特別扱い
は附属書p.4,段落1,I参考文献[7]。 

京都議定書附属書Aに掲げるGHGの排出だけ(京都議定書第3条)。 

関係締約国による
書面での承認(附属
書p.14,段落31b,
参考文献[5])。 

プロジェクト活動が持続可能な開発達成の一助となる旨のホスト国による確
認を含む,書面によるプロジェクト参加者の自主的参加の承認(附属書p.35,
段落40a,参考文献[6])。 

公的資金の投入が政府開発援助の流用となってはならない(決定p.20,参考
文献[3])。 

追加性 

追加性(附属書
p.34,段落37d,
参考文献[6])。 

追加性:障壁又は定
量的証拠。 

追加性(附属書p.18,段落12d,参
考文献[7])。 

核施設からのクレジット創出は控える(JI:決定p.5,参考文
献[5] / CDM:決定p.20 [6])。 

検証と炭素ストックのピークを体系
的に一致させることは避ける(附属
書p.18,段落12e,参考文献[7])。 

2000年時点でスタ
ートしているプロ
ジェクトは,2008年
からクレジット発
生の可能性あり(決
定案p.6,段落5,参
考文献[5])。 

2000年1月1日から2004年11月18日の間にスタートしているプロジェクト
で,2005年の12月31日までに,登録をまだ申請していないが新しい方法論
を提出したか,又は指定運営組織(DOE)による妥当性確認を申請している
ものは,遅くとも2006年12月31日までに理事会によって登録された場合に
は,遡ってクレジットを要求できる(段落4,参考文献[10])。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−京都メカニズム適格性基準(続き) 

側面 

JI 

CDM 

標準CDM 

小規模CDM 

吸収源プロジェクト 

プロジェクト 
(続き) 

環境影響の分
析。ホスト国又
はプロジェク
ト参加者が要
求する場合,環
境影響評価の
実施(附属書
p.34,段落37c,
参考文献[6])。 

ホスト国が要求する
場合,環境影響の分
析。 

生物多様性及び自然生態系への影
響,及びプロジェクト境界外への影
響を含め,社会経済的影響及び環境
影響の分析(附属書p.18,段落12c,
参考文献[7])。 

利害関係者のコメント,及び何らかのコメントが寄せられた場合,これにつ
いてどのように適切な配慮を行ったかに関する指定運営組織への報告(JI:附
属書p.14,段落32 / CDM:p.34,段落37b,参考文献[6])。 

ホスト国 

投資国に関する要
求事項を参照。ただ
し,ホスト国は最低
限,基準a)〜d)を満
たさなければなら
ない(セカンド・ト
ラック)。基準a)〜
g)全てを満たす場
合,いわゆるファー
スト・トラックを利
用して,検証などに
つき独自のルール
を設定できる(附属
書p.13,段落24,参
考文献[5])。 

国内当局を指定済みである(附属書
p.11,段落20a,参考文献[5] / CDM)。 

“森林”の定義として,単一最低樹
冠投影面,単一最低土地面積値,単
一最低樹高値のうち,いずれかを選
び,これを理事会に報告する(附属
書p.17,段落8,参考文献[7])。 

京都議定書を批准している(JI:附属書p.12,段落21a,参考文献[5] / CDM:附属書p.32,段落31a,
参考文献[6])。 

投資国 

フォーカルポイント
を指定済みである
(附属書p.11,段落
20a,参考文献[5])。 

国内当局を指定済みである(附属書p.32,段落30,参考文献[6])。 

京都議定書を批准している(JI:附属書p.12,段落21a,参考文献[5] / CDM:附属書p.32,段落31a,
参考文献[6])。 

ルールに従い,その割当て量を計算している(JI:附属書p.12,段落21b参考文献[5] /CDM:附属書
p.32,段落31b参考文献[6])。 

ルールに従い,国内登録簿を設けている(JI:附属書p.12,段落21d参考文献[5] / CDM:附属書p.32,
段落31d参考文献[6])。 

ルールに従い,排出量推計に関する国内システムを設けている(JI:附属書p.12,段落21c,参考文
献[5] / CDM:附属書p.32,段落31c,参考文献[6])。 

ルールに従い,毎年,要求される最新のインベントリを提出している(JI:附属書p.12,段落21e,
参考文献[5] / CDM:附属書p.32,段落31e,参考文献[6])。 

ルールに従い,割当て量に関する補足情報を提出している(JI:附属書p.12,段落21f,参考文献[5] / 
CDM:附属書p.32,段落31f,参考文献[6])。 

定量的制限あり。第1約束期間につ
いては,約束履行のためにCERを用
いる国の基準年排出量に5を乗じた
ものの1 %以下(決定p.22,段落7b,
参考文献[6])。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.3.2.3 クリーン開発メカニズムのプロジェクト設計文書 

この規格におけるGHGプロジェクト計画の要求事項は,京都議定書のCDMによって定められたプロジ

ェクト設計文書(PDD)の内容に類似している。PDDの要求事項は,参考文献[6]の附属書B及び参考文   

献[9]に示されている。GHGプロジェクト計画の要素に加え,PDDは次の事項が要求される。 

− 技術移転がある場合,それがどのように行われるかに関する説明 

− プロジェクト活動に公的資金が投入される場合,これに関する情報 

− クレジット発生期間の選択に関する情報 

A.3.2.4 製品製造プロセスのGHGの排出に関連したGHGプロジェクト 

製品開発の結果としてGHGプロジェクトが遂行されることもあるが,この場合,GHGの排出量の削減

又はGHG吸収量の増加は,主として,製品ライフサイクルの使用段階(所定の冷却機能について,ベー

スライン製品よりもエネルギーを必要としない空調システムの開発など)で生じる。製品製造プロセスの

GHGの排出に関連したGHGプロジェクトについては,GHGの排出量の削減又はGHG吸収量の増加の計

算に,ライフサイクルアセスメント(LCA)を用いることができる[9]。 

A.3.3 プロジェクトのためのGHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定 

A.3.3.1 一般 

プロジェクトの推進者は,プロジェクトによって管理されるGHGの排出源及び吸収源のほか,プロジ

ェクトに関係するか,又はその影響を受けるもの全てを,適切な排出源及び吸収源として特定するよう要

求される。しかし,一般的に見て,GHGの排出量及び吸収量の定量化には,潜在的に多数に上るGHGの

排出源及び吸収源の全てが関係するわけではない。よって,プロジェクトの推進者によって管理されない

が,適切なGHGの排出源及び吸収源を特定し,選別する基準が必要となる。 

プロジェクトとベースラインの適切な比較を確保する(GHGの排出量の削減及び吸収量の増加を計算す

る。)ためには,サービス,製品又は機能の全般に定量的な物差しを含めるとともに,機能的同等性を実証

する。 

さらに,プロジェクトの推進者は,活動のシフト又は市場の変容を通じ,プロジェクトの影響を受ける

GHGの排出源及び吸収源(リーケージと呼ばれることが多い)によるGHGの排出量及び吸収量の変化に

ついても,説明責任を負う。例えば,エネルギー効率を向上させるプロジェクトは,エネルギー価格も引

き下げるため,エネルギー需要の増大(“リバウンド効果”)にもつながりかねない。プロジェクトの影響

を受けるGHGの排出源及び吸収源による排出量の増加又は吸収量の減少を負のリーケージといい,プロ

ジェクトの影響を受けるGHGの排出源及び吸収源によるGHGの排出量の削減又は吸収量の増加を正のリ

ーケージという。 

図A.2は,この規格の一部要求事項を充足し,適合を文書化するため,プロジェクトの推進者がGHG

排出源,吸収源及び貯蔵庫を考慮する際の援助となる手順を示す決定手順図の一例である。この枠組みは,

GHGの排出量及び吸収量の推計,又は定期的モニタリング及び定量化の対象とするGHGの排出源,吸収

源及び貯蔵庫を特定,選別するために用いることもできる。この手順でプロジェクトの推進者が用いる基

準は,グッドプラクティスの手引,該当するGHGプログラム,その他適切な出所からの方針,ルールな

ど,GHGプロジェクトの諸原則に沿ったものとすることが望ましい。プロジェクトの推進者は,この例を

用いるか又はその他のアプローチを用いるかに関係なく,手順で用いられる基準の選択,及び用いられて

いる手順の正当な根拠を示すことが望ましい。例えば,実用性及び費用対効果とGHGプロジェクト原則

とのバランスを考慮した基準が考えられる。また,プロジェクトの推進者は,決定基準の幾つかについて

どのように答えを出すかという点で,グッドプラクティスの手引を考慮することができる。具体的には,

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

あるGHGの排出源,吸収源又は貯蔵庫が,プロジェクト又はベースラインシナリオへの流入,又はここ

からの流出のいずれによって関連性を有しているかを検討する場合が挙げられる。このようなケースにお

いて,プロジェクトの推進者は,排出源,吸収源及び貯蔵庫の合算レベル(内訳のレベルを各ボイラとす

るか,暖房設備全体とするかなど),用いられた基準(副溶剤又は触媒が質量ベース入力の5 %超を占める

といった,質量分率,原料投入など),又はコストの百分率(ある製品/出力が製品価値の10 %を占める

ため考慮対象とすべきなど)に関連して確立されたアプローチを示す,グッドプラクティスの手引を検討

することもできる。最終的に,ある排出源,吸収源又は貯蔵庫を直接モニタリング又は推計すべきかどう

かの決定は,モニタリングコストとGHGの市場価格との対比に基づき下されることもあり得る。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

プロジェクト推進者が,プロジェクトに適

切な(5.3)全てのGHG排出源,吸収源及
び貯蔵庫(SSR)を(ベースラインシナリオ

についても同様に(5.5),ベースラインシ

ナリオ決定(5.4)後において)透明かつ完
全な形で考慮することを確実にするため,

プロジェクト推進者は,GHG SSRを特定

し,文書化しなければならない。

No.1GHG SSRはプロ
ジェクト推進者によって

管理されているか。

No.3GHG SSRは市場
の変化を通じ,プロジェ

クトの影響を受けるか。

プロジェクト推進者は,GHG SSRによる

GHG排出量及び吸収量のうち,費用効

果的に監視できないものを推計しなけれ

ばならない(保守性、透明性)。

GHG SSRはプロジェクトに適切でないため,

それ以上の考慮を行わず,対象から除外

する。

GHGの定量化が有効かつ信頼できること

を実証するため,プロジェクト推進者は,プ

ロジェクトとベースラインシナリオのGHG 

SSRを比較しなければならない(5.5)。

No.4プロジェクトと

ベースライン・シナリオ

の活動,財及び/又は

サービスの種類と水準

は同等か。

No.6 ベースライン・

シナリオとプロジェクト

の間で,GHG SSRに

変化はあるか。

GHGを定量化するため,プロジェクト推

進者は,プロジェクト(ベースライン・シナ

リオについても同様に)に適切なGHG 

SSRを,監視又は推計の対象として選択

しなければならない。どのGHG SSRを監

視又は推計するかを判定する(正確性と

費用対効果及び実際性とのバランスをと

る)ため,プロジェクト推進者は下記を検

討すべきである。

No.7データの入手,

又は,GHG SSRの費用

効果的監視が可能(す
なわち,便益が費用を

上回る)か。

プロジェクト推進者は適宜,プロジェクト及び

ベースライン・シナリオに適切なGHG SSRを

特定,再検討したり,公正で有効な比較

(一貫性)を確保するために,プロジェクト
設計を再検討したりしなければならない。

No.5 プロジェクトは,

それまで入手できなかっ

た財及び/又はサービ

スへの需要を充足する

ものか。

GHG SSRはGHG排出量削減にも吸収量増加

にも適切でないため,それ以上の考慮を行

わず、対象から除外する。ただし,GHG主張

にとってGHG SSRのリスクが大きい(潜在的

に著しく,実際にありうる)場合,プロジェクト

推進者はプロジェクト期間中,GHG SSRの妥

当性を評価しなければならない。

備考:No.7の決定は二者択一とはならず、

具体的な状況に応じて,監視と推計を組み

合わせたアプローチが採用されることもあり

うる。監視,推計のどちらを行う場合でも,

数値とともに不確実性を報告する。

プロジェクト推進者は,監視対象のGHG 

SSRによるGHG排出量及び吸収量を定量

化しなければならない(正確性,透明性)。

プロジェクト

はい

いいえ

いいえ

いいえ

はい

はい

はい

はい

いいえ

いいえ

いいえ

はい

いいえ

No.2GHG SSRは,

プロジェクトへのエネルギー

又は材料の流入,若しくは,プロジェク

トからのエネルギー又は材料の

流出のいずれかに関係

があるか。

はい

図A.2−GHGの排出源,吸収源及び貯蔵庫の特定及び選別 

background image

28 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

プロジェクトとベースラインのGHGの排出源とを比較した場合に,ベースラインとプロジェクトとの

間で何ら変化が現れないことも,排出源を定期的モニタリング及び定量化の対象から除外する正当な根拠

となり得る。GHGの吸収量の増加プロジェクトの場合,あるGHGの排出源及び/又は吸収源が,プロジ

ェクト期間全体で見て,ネットのGHGの排出源となっていないことをプロジェクトの推進者が実証でき

れば,当該のGHGの排出源及び/又は吸収源について,定期的なモニタリング及び定量化の要求事項の

適用を除外できる。 

A.3.3.2 京都メカニズム−プロジェクト境界 

京都メカニズム及びその他の制度とは異なり,この規格では,“プロジェクト境界”という表現も,“リ

ーケージ”という語も用いていない。これに代わり,この規格では,プロジェクトに“適切な”排出源,

吸収源及び貯蔵庫に言及している。適切な排出源,吸収源及び貯蔵庫には,プロジェクトの推進者によっ

て“管理”されるもの,材料又はエネルギーの流れによってプロジェクトに“関係”しているもの,及び

プロジェクトの“影響”を受けるものが含まれる。影響を受ける排出源と関係する排出源は,京都議定書

にいう“リーケージ”に当たる。これらのケースにおける用語の選択は,“リーケージ”又は“境界”につ

いて,ある制度に特有の定義及び要求事項を避けることによって,この規格を制度中立的にし,幅広い制

度との一貫性をもたせる意図がある。表A.2は,これらの用語がこの規格と京都メカニズムでどのように

用いられているかを比較したものである。 

表A.2−用語の比較 

この規格による適切な排出源,吸収源及び貯蔵庫 

京都議定書で対応するカテゴリー(参考文献[6] の附属書

37ページ,段落51及び52) 

a) 管理された 

− 直接起因する(プロジェクト境界内) 

b) プロジェクトに関係する 

− 直接起因する(プロジェクト境界内) 
− 当該排出量がGHGプロジェクトに起因するもので

ある場合,リーケージ(プロジェクト境界外)を算
入しなければならない。 

c) プロジェクトの影響を受ける 

− 当該排出量がGHGプロジェクトに起因するもので

ある場合,リーケージ(プロジェクト境界外)を算
入しなければならない。 

A.3.4 ベースラインシナリオの決定 

A.3.4.1 ベースラインシナリオの選択 

ベースラインシナリオは,常に,提案中のプロジェクトがなかった場合に生じると仮定されるGHGの

排出量及び吸収量の仮説的シナリオである。プロジェクト自体がベースラインシナリオとなってしまう可

能性もある。よって,プロジェクトがベースラインシナリオとならないことを確実にするため,プロジェ

クトの推進者は,プロジェクト計画中,提案中のプロジェクトを潜在的ベースラインシナリオの一つとし

て検討することが得策といえる。プロジェクトがベースラインシナリオであれば,GHGの排出量の削減も

吸収量の増加も起こらず,提案中のプロジェクトが有効なGHGプロジェクトとならないおそれがある。 

多数のベースラインシナリオの定量化は予測的な性格が強いため,GHGの排出量を過大評価するおそれ

がある場合には,異なるアプローチが必要となる。GHGの排出量に関して,あり得るベースラインシナリ

オを全て検討した上で,ベースライン適用期間を通じ,幅広い仮定について起こり得るものをベースライ

ンシナリオとして選択することが望ましい。ベースラインシナリオの選択には,通常,ベースライン方法

論が用いられる。シナリオの中から採用されるのは,通常,完全性,一貫性,透明性及び適切性を同等に

29 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

満たす慎重なシナリオである。ベースラインシナリオは,プロジェクトと同じ期間を対象とすることが望

ましい。 

例えば,地上のGHGの吸収量プロジェクトは,ベースラインシナリオの評価及び決定に主要なGHGだ

けを用いている公算が高い。また,GHG貯蔵庫又は炭素プールにおける炭素ストックの変動の総計だけが

考慮される可能性が高い。また,追加性は,GHG貯蔵庫又は炭素プールにおける変動だけに照らして評価

されることになる。これによって算定されるGHGの吸収量の増加は,GHG貯蔵庫又は炭素プール内の炭

素ストックの変化を合計したものから,GHGの排出源による,あらゆるGHGの排出量の増加を差し引い

たものとなる。 

A.3.4.2 ベースラインのGHGの排出量及び吸収量の推計 

ベースラインのGHGの排出量を推計するベースライン手順又は方法論は,カスタマイズ(すなわち,

プロジェクトの推進者が独自に開発)又は標準化(すなわち,具体的な各種プロジェクトについて,プロ

ジェクトの推進者又は制度当局が開発)されていることが多い。 

GHGの排出量又は活動水準データを例とする歴史的条件,技術の利用普及などの市場条件,及び同様の

活動のうち上位20%といった利用可能な最善技術は,ベースライン方法論開発の基盤となり得る。ベース

ラインシナリオは,静的(時間にかかわらず一定)なもの,動的(時間によって変化)なものの双方が考

えられる。 

GHGプログラムは,一部のGHGの吸収量の増加プロジェクトのベースライン推計に関し,簡素化アプ

ローチを採用することがある。具体的には,それまでの土地利用の炭素収支が均衡しており,炭素隔離が

ゼロと仮定される場合,一定種類の土地利用について,緑化及び森林再生にゼロ・ベースラインを採用す

ることなどが挙げられる。これによって,該当するプロジェクトについて適切な標準化/パフォーマンス・

ベースラインシナリオができ上がることになる。 

A.3.4.3 京都メカニズム−ベースライン 

京都議定書では,PDDの一環として,個別のプロジェクト活動に適用し,かつ,正当な根拠とできるベ

ースライン・アプローチとして,次の三つがある。 

a) 規定に応じ,既存の実際的又は歴史的GHGの排出量 

b) 投資に対する障壁を考慮した上で,経済的に魅力がある手段を代表する技術によるGHGの排出量 

c) 過去5年間に,同様の社会,経済,環境及び技術状況において実施された同様のプロジェクト活動で,

そのパフォーマンスが同一カテゴリー内の上位20 %に入るものによる平均GHGの排出量 

プロジェクトに追加性があることを確実にするため,プロジェクトの推進者は,排出源によるGHGの

人為的排出量が,登録プロジェクトが存在しなかった場合に生じると仮定されるものと比べ,どのように

して削減されるのかを説明しなければならない。 

京都メカニズムによるプロジェクト・ベースラインについて,更に詳しくは,段落43〜48(参考文献[6] 

の附属書36ページf)を参照。CDMによる緑化・森林再生プロジェクトのベースラインについては,段

落19〜22(参考文献[7] の附属書20ページ2))を参照。 

A.3.5 GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化 

GHGの排出量及び/又は吸収量の定量化の最初のステップは,それぞれの排出源,吸収源又は貯蔵庫に

                                                   
注2)  CDM理事会によって承認されたベースライン方法論については
http://cdm.unfccc.int/methodologies/PAmethodologies/approved.htmlを参照。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

適切なGHGの特定である。GHGの排出量又は吸収量が推計されるか,又は定量化されるかは,プロジェ

クトの推進者が入手できる情報の性質による。例えば,プロジェクト発足前の段階で,GHGの排出量又は

吸収量が一般的に推計されていても,プロジェクト実施中にGHGの排出量又は吸収量を直接にモニタリ

ングし,測定し,定量化に用いる実データを提供できる可能性がある。 

GHG貯蔵庫又は炭素プールの寿命とそのストックの安定性とを考慮しつつ,GHGの吸収,排出捕捉及

び貯蔵庫が長期的なものかどうかを,その間の管理・かく(撹)乱環境を所与として評価する際には,永

続性が一つの基準となる。生物学的吸収源との関連で,京都議定書が永続性をどのように取り扱っている

かについては,参考文献[7] の段落38〜50を参照。 

GHGの排出量の削減及び吸収量の増加が過大評価されていないことを確実にするため,プロジェクト期

間終了時に再計算を行うことができる。より良いデータが入手できるようになったなど,プロジェクトの

推進者が適切と判断した際には,プロジェクト期間中にも再計算を行える。再計算を行う場合には,実施

開始からのプロジェクト期間全体を対象とすることが望ましい。 

土地利用・土地利用変更・森林(LULUCF)プロジェクトに関するグッドプラクティスの追加的な手引

については,参考文献[12] の第4.3章を参照。 

A.3.6 データ品質管理 

プロジェクト・データの品質は,次によって改善できる。 

− 完全なGHG情報システムを確立し,維持する。 

− 技術上の手落ちをなくすため,定期的な正確性チェックを完了する。 

− 定期的な内部監査及び技術審査を実施する。 

− プロジェクトチーム構成員を対象に,適切な研修を行う。 

− 不確かさを評価する。 

不確かさ評価には,定性的(高い,普通,低いなど)手順及び定量的手順のいずれかを用いることがで

きるが,不確かさの確認及び定量化を目的とした統計的に詳細な定量的,体系的手順である不確かさ分析

ほどの厳密性はないのが普通である。一般的に,不確かさ評価はプロジェクトの計画段階で,不確かさ分

析は実施段階で行うことが適切である。実施中のプロジェクトについて,不確かさ分析が必要かどうかは,

プログラムの推進者が決定し,規定することになる。プログラムの外部でこの規格を用いるプロジェクト

については,実施中の定量化について不確かさ分析を行うことが望ましい。 

LULUCFプロジェクトの品質保証及び品質管理に関するグッドプラクティスの手引については,参考文

献[12] の第4.3.4章を参照。 

A.3.7 GHGプロジェクトのモニタリング 

A.3.7.1 一般 

モニタリング手順には,プロジェクト及びベースラインシナリオについてGHGデータ及び情報を入手

し,推計,測定,計算,集計及び記録するためのスケジュール,役割及び責任,機器,資源並びに方法論

が含まれ得る。 

A.3.7.2 京都メカニズム−モニタリング 

京都議定書によるCDMプロジェクトのモニタリングを律するのは,決定17/CP.7の附属書である(詳細

は,参考文献[6] の附属書38ページ,段落3〜60を参照)。理事会が承認したモニタリング方法論は,

http://cdm.unfccc.int/methodologies/PAmethodologies/approved.htmlで閲覧できる。PDDにおいては,参考文献

[9] の附属書4にモニタリング計画が含まれている。CDMモニタリング情報による緑化・森林再生プロジ

ェクトについては,参考文献[7] の附属書21ページ,段落25〜30を参照。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

LULUCFプロジェクトのモニタリングに関するグッドプラクティスの手引については,参考文献[12] の

第4.3.3章を参照。 

A.3.8 GHGプロジェクトの文書化 

この規格では,監査,及び妥当性確認及び/又は検証と関連付けられる内部的ニーズの文脈で,文書化

に言及している。この文書化は,外部に対する報告を補完するものである。 

文書化は,GHGプロジェクトのGHG情報システム及び情報システム制御,並びにGHGプロジェクト

のGHGデータ及び情報と関連付けられている。文書化は,完全かつ透明なものとすることが望ましい。 

A.3.9 GHGプロジェクトの妥当性確認及び/又は検証 

この規格は,妥当性確認も検証も要求していない。このような要求事項は,通常,GHGプログラムの要

素である。具体的なGHGプログラムと関連付けられていないGHGプロジェクトの場合,プロジェクトの

推進者は,妥当性確認及び/又は検証の種類(第一者,第二者又は第三者検証),並びにGHGの排出量に

関する主張に照らして必要とされる保証水準(高いか普通かなど)について,決定を下さなければならな

い。 

GHGの排出量に関する主張とは,GHGプロジェクトのパフォーマンスに関する声明であり,通常はプ

ロジェクトの推進者がこれを行う。JIS Q 14064-3は,GHGの排出量に関する主張の妥当性確認及び検証

に関する原則及び要求事項を規定している。 

A.3.10 GHGプロジェクトの報告 

A.3.10.1 一般 

報告によって,意図した利用者は,GHGプロジェクトに関する情報を常に入手できる。報告する情報の

内容及び形態は,意図した利用者のニーズ及び期待に応じたものとすることが望ましい。プロジェクトの

推進者は,プロジェクトの状況,報告の目標,意図した利用者の情報ニーズ及びプロジェクトが参加する

制度の要求事項に応じ,プロジェクト特有の報告手順を開発できる。いずれの場合にも,報告はGHGプ

ロジェクトの文書化に基づくものとなる。 

この規格は,プロジェクトの推進者に対し,GHG報告書の一般公開を要求していないが,GHGプロジ

ェクトがこの規格に適合することに関するGHGの排出量に関する主張が公にされている場合は,この限

りではない。この場合,GHG報告書の最低限の要素で,プロジェクト情報の公開報告における完全性,正

確性及び透明性が確保される。公開される情報は,各種プロジェクト間で公正な比較ができるものとする

ことが望ましい。 

透明性の高さ及びパブリックコメントの機会は,プロジェクトの信頼性を大きく向上できるだけでなく,

市場がクレジットの価値を評価する上でも重要である。さらに,利害関係者のコメントを募り,プロジェ

クトの開発及び管理に生かすためには,プロジェクト情報の公開が必要となる。プロジェクトの推進者は,

また,公開報告書を広報目的にも利用できる。 

A.3.10.2 京都メカニズム−報告 

活動主体は,PDD及び妥当性確認の報告を公開しなければならない(参考文献[6] の附属書36ページ,

段落40b及びgを参照)。緑化・森林再生プロジェクトの報告に関するグッドプラクティスの手引は,参考

文献[12] の第4章,4.48ページの表4.2.6cにある。 

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Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP) 

B.1 

温室効果ガス(GHG)の地球温暖化係数(GWP) 

表B.1は,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が1996年版国別GHGインベントリ報告ガイドライ

ン(参考文献[6] 参照)で発表した,100年間を対象期間とするGWPの数値である。 

表B.1−各種GHGの地球温暖化係数 

ガス 

化学式 

GWP 

二酸化炭素 

CO2 

メタン 

CH4 

21 

亜酸化窒素 

N2O 

310 

ハイドロフルオロカーボン(HFCs) 

HFC-23 

CHF3 

11 700 

HFC-32 

CH2F2 

650 

HFC-41 

CH3F 

150 

HFC-43-10mee 

C5H2F10 

1 300 

HFC-125 

C2HF5 

2 800 

HFC-134 

C2H2F4(CHF2CHF2) 

1 000 

HFC-134a 

C2H2F4(CH2FCF3) 

1 300 

HFC-143 

C2H3F3(CHF2CH2F) 

300 

HFC-143a 

C2H3F3(CF3CH3) 

3 800 

HFC-152a 

C2H4F2(CH3CHF2) 

140 

HFC-227ea 

C3HF7 

2 900 

HFC-236fa 

C3H2F6 

6 300 

HFC-245ca 

C3H3F5 

560 

ハイドロフルオロエーテル(HFEs) 

HFE-7100 

C4F9OCH3 

500 

HFE-7200 

C4F9OC2H5 

100 

パーフルオロカーボン(PFCs) 

パーフルオロメタン(四ふっ化メタン) 

CF4 

6 500 

パーフルオロメタン(六ふっ化エタン) 

C2F6 

9 200 

パーフルオロプロパン 

C3F8 

7 000 

パーフルオロブタン 

C4F10 

7 000 

パーフルオロシクロブタン 

c-C4F8 

8 700 

パーフルオロペンタン 

C5F12 

7 500 

パーフルオロヘキサン 

C6F14 

7 400 

六ふっ化硫黄 

SF6 

23 900 

33 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS Q 14040:2010 環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み 

注記 対応国際規格:ISO 14040:2006,Environmental management−Life cycle assessment−Principles 

and framework(IDT) 

[2] JIS Q 14064-3 温室効果ガス−第3部:温室効果ガスに関する主張の妥当性確認及び検証のための

仕様並びに手引 

注記 対応国際規格:ISO 14064-3:2006,Greenhouse gases−Part 3: Specification with guidance for the 

validation and verification of greenhouse gas assertions(IDT) 

[3] JIS Q 14065 温室効果ガス−認定又は他の承認形式で使用するための温室効果ガスに関する妥当

性確認及び検証を行う機関に対する要求事項 

注記 対応国際規格:ISO 14065:2007,Greenhouse gases−Requirements for greenhouse gas validation 

and verification bodies for use in accreditation or other forms of recognition(IDT) 

[4] United Nations Framework Convention on Climate Change. The Kyoto Protocol to the Convention on 

Climate Change, 1998 

[5] United Nations Framework Convention on Climate Change. Report of the Conference of the Parties on its 

Seventh Session, Held at Marrakesh from 29 October to 10 November 2001, FCCC/CP/2001/13/Add.2, 

Decision 16/CP.7, Guidelines for the Implementation of Article 6 of the Kyoto Protocol, 21 January 2002 

(available from http://unfccc.int/) 

[6] United Nations Framework Convention on Climate Change. Report of the Conference of the Parties on its 

Seventh Session, Held at Marrakesh from 29 October to 10 November 2001, FCCC/CP/2001/13/Add.2, 

Decision 17/CP.7, Modalities and Procedures for a Clean Development Mechanisms as defined in Article 12 

of the Kyoto Protocol, 21 January 2002 (available from http://unfccc.int/) 

[7] United Nations Framework Convention on Climate Change. Report of the Conference of Parties on its Ninth 

Session Held at Milan From 1 to 12 December 2003, FCCC/CP/2003/6/Add.2, Decision 19/CP.9 Modalities 

and Procedures for Afforestation and Reforestation Project Activities under the Clean Development 

Mechanism in the First Commitment Period of the Kyoto Protocol, 30 March 2004 (available from 

http://unfccc.int/) 

[8] United Nations Framework Convention On Climate Change. Clean Development Mechanism Executive 

Board, Clean Development Mechanism Guidelines for Completing the Project Design Document for A/R 

(CDM-AR-PDD), the Proposed New Methodology for A/R: Baseline (CDM-AR-NMB) and the Proposed 

New Methodology for A/R: Monitoring (CDM-AR-NMM), September 2004 (available from 

http://cdm.unfccc.int/EB/index.html) 

[9] United Nations Framework Convention on Climate Change. Clean Development Mechanism Executive 

Board, Project Design Document Form (CDM-PDD), Version 02, July 2004 (available from 

http://unfccc.int/) 

[10] United Nations Framework Convention on Climate Change. Decision CMP.1 Further Guidance Relating to 

the Clean Development Mechanism, December 2005 (available from  

http://unfccc.int/files/meetings/cop̲11/application/pdf/cmp1̲24̲4̲further̲guidance̲to̲the̲cdm̲eb̲cmp̲

34 

Q 14064-2:2011 (ISO 14064-2:2006) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.pdf) 

[11]Intergovernmental Panel on Climate Change. Revised 1996 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas 

Inventories Reporting Instructions, 1997 (available from http://www.ipcc.ch/) 

[12] Intergovernmental Panel on Climate Change. Good Practice Guidance for Land Use, Land Use Change and 

Forestry, 2003 (available from http://www.ipcc.ch/) 

[13]World Resources Institute (WRI) and World Business Council for Sustainable Development (WBCSD), 2005, 

The GHG Protocol for Project Accounting, Washington, DC:WRI/WBCSD3) 

                                                   
注3) 

www.ghgprotocol.org/index.htm