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Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 4 

2 用語及び定義 ··················································································································· 4 

3 環境コミュニケーションの原則 ··························································································· 5 

3.1 一般 ···························································································································· 5 

3.2 原則 ···························································································································· 5 

4 環境コミュニケーション方針 ······························································································ 6 

4.1 経営層のコミットメント ································································································· 6 

4.2 方針の策定 ··················································································································· 6 

5 環境コミュニケーション戦略 ······························································································ 7 

5.1 一般考慮事項 ················································································································ 7 

5.2 環境コミュニケーション目的の設定 ··················································································· 7 

5.3 利害関係者の特定 ·········································································································· 8 

5.4 資源に関する課題の検討 ································································································· 8 

6 環境コミュニケーション活動 ······························································································ 9 

6.1 環境コミュニケーション活動の計画 ··················································································· 9 

6.2 環境コミュニケーションの内容,進め方及びツールの選択 ···················································· 13 

6.3 環境コミュニケーション活動の遂行 ·················································································· 21 

6.4 環境コミュニケーションの評価························································································ 23 

6.5 マネジメントレビューの実行及び改訂の計画 ······································································ 24 

附属書A(参考)JIS Q 14000ファミリー規格内の参照表 ···························································· 26 

参考文献 ···························································································································· 29 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Q 14063:2007 

(ISO 14063:2006) 

環境マネジメント−環境コミュニケーション− 

指針及びその事例 

Environmental management−Environmental communication− 

Guidelines and examples 

序文 

0.1 

この規格は,2006年に第1版として発行されたISO 14063を基に,技術的内容及び対応国際規格の

構成を変更することなく作成した日本工業規格である。 

この20年で,環境についての社会の関心及び関係,並びに政府の活動の高まりによって,環境について

の価値,活動及びパフォーマンスに関するコミュニケーションが組織にとって不可欠な活動になってきて

いる。世界中至るところで組織は,自らの見解を表明し,組織の活動,製品及びサービスの環境とのかか

わりを提示し,説明する必要性にますます直面するようになっている。環境コミュニケーションの一環と

して,利害関係者に耳を傾け,その見解及び要求事項を受け入れる必要性も増している。 

組織は,環境に関する課題,関心事及び活動計画についての情報を入手及び提供し,これらに対応する

必要がある。これは,組織の地理的な位置・分布,規模,業態などの要因に影響される。コミュニケーシ

ョンが必要になる動機には,次の事項を含めることができる。 

− 組織の環境活動についての情報を共有することについての関心 

− 従業員若しくは投資家,政府機関,地域グループ,顧客若しくは供給者,又はその他の利害関係者か

らの情報提供の依頼 

− 既存施設の拡張,新施設の設置,新製品又は新サービスの導入など,組織の活動案に関して利害関係

者,特にターゲットグループと話し合う必要性 

− 環境リスクマネジメント 

− 規制上の要求事項 

− 利害関係者からの苦情への対応 

− 環境課題に取り組むことの重要性の増大 

環境コミュニケーションは,信頼,信ぴょう(憑)性及びパートナシップを築き,自覚を促し,意思決

定に用いるために,情報を共有するプロセスである。使用されるプロセス及び環境コミュニケーションの

内容は,組織の目的及び状況に応じて変化するであろうから,実態を表す確かな情報に基づいて決めると

よい。 

0.2 

環境コミュニケーションは,環境報告よりも広範なものである。環境コミュニケーションには多く

の目的があり,様々な形態がある。環境コミュニケーションには,臨時的なもの,又は計画的なものがあ

り得る。臨時のコミュニケーションの例は,施設の管理者が地域のイベントに参加して質問に答えるとき

に発生する。計画的なコミュニケーションは,次のように,限定的な参加方式のものから全体的な参加方 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

式のものまでの幅があり得る。 

a) 一方向のコミュニケーションは,例えば,組織が環境報告書を発行するときなど,質問又は討論の機

会がない形で情報を配布するときに発生する。 

b) 双方向のコミュニケーションは,組織と利害関係者との間で情報及びアイデアの交換が行われるとき

に発生する。 

c) 組織及び/又は地域社会に影響を及ぼすような効果的なフィードバックを含む参加形の意思決定にお

いては,組織は,利害関係者と協働する。 

0.3 

利害関係者との相互のかかわりは,組織にとって,利害関係者の課題及び関心事を学ぶ機会を提供

する。また,組織と利害関係者との双方の知識となり,意見及び知覚に影響する可能性もある。適切に行

われる場合は,どのような個別の進め方も,成功するであろうし,組織及び利害関係者のニーズを満たす

ことができる。場合によっては,各々の利害関係者(又はターゲットグループ)のコミュニケーションの

形態/行動を理解することも,また,環境コミュニケーションには重要である。最も効果的な環境コミュ

ニケーションプロセスは,組織の全体的なコミュニケーション戦略の一環として,組織と内部及び外部の

利害関係者との継続的な接触を含む。 

図1に,環境コミュニケーションの相互関係及び流れを示す。 

background image

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 太字の番号の付いたタイトルは,この規格の箇条を指している。 
注記2 点線の矢印は,環境コミュニケーションシステムと組織の他の要素との関係を示し,実線の矢印は環境コミ

ュニケーションシステム内の相互関係を示している。 

注記3 網掛け部は,環境コミュニケーションの範囲を示し,濃い網掛け部は,環境コミュニケーションのシステム

と組織との重なりを示す。 

図1−環境コミュニケーション 

0.4 

環境コミュニケーションは,しばしば次のような多くの便益をもたらす。 

− 環境に対する組織のコミットメント,方針及びパフォーマンスについて,利害関係者の理解を助ける。 

− 組織の活動,製品及びサービスの環境パフォーマンスの改善,及び持続可能性の進展のためのインプ

ット/推奨事項を提供する。 

− 信頼及び対話を促進するための利害関係者のニーズ及び関心事についての理解を改善する。 

− 組織の環境信用度,達成度及びパフォーマンスを高める。 

− 組織内の環境に責任を果たす文化及び価値を支援するために,環境についての自覚の重要性及びレベ

ルを高める。 

− 運用上及び緊急時の環境ハザードに対する,利害関係者の懸念及び苦情に対応する。 

− 利害関係者の組織への知覚を高める。 

環境コミュニケーション戦略(箇条5) 

資源に関する課

題の検討 

組織 

環境コミュニケーション活動(箇条6) 

マネジメン
トレビュー
の実行及び
改訂の計画 

評価 

利害関係者の 

特定 

目的の 

設定 

進め方及びツ

ールの選択 

 
- 責任及び参

画の明確化 

- 利害関係者

からのイン
プットの追
跡 

- 危機及び緊

急事態のた
めの計画 

計画 

 
- 状況分析 
- 目標の設定 
- ターゲット

グループの
特定 

- 地理的範囲

の明確化 

- 情報の特定 
 

その他の原則,方針及び戦略 











3)




者 




ト 



プ 

環境方針 

環境コミュニケーション方針(箇条4) 

遂行 

 
- データの収

集及び評価 

- コミュニケ

ーション活
動の実行 

- フィードバ

ックの記録
及びフィー
ドバックへ
の対応 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 事業支援及び株主の信頼を高める。 

環境コミュニケーションは,環境マネジメントシステム(EMS)を実施しているか否かにかかわらず,

あらゆる組織が対処すべき重要問題の一つである。環境コミュニケーションは,組織及び経営層の問題で

あるばかりでなく,組織の価値にも関係する。コミュニケーションプロセスを確実に成功させるためには,

組織が自己を社会の責任あるパートナとみなして,利害関係者の環境への期待に対応することが重要であ

る。 

適用範囲 

この規格は,組織に対し,内部及び外部環境コミュニケーションについての一般的な原則,方針,戦略

及び活動についての手引を提供する。この規格は,実証され,かつ,確立されたコミュニケーションの進

め方で,環境コミュニケーションのもつ特定の条件に適応しているものを利用する。この規格は,規模,

種類,場所,組織構成,活動,製品及びサービスにかかわらず,また,環境マネジメントシステムを実施

しているか否かにかかわらず,あらゆる組織に適用可能である。 

この規格は,認証若しくは登録を目的とするための,又はその他の何らかの環境マネジメントシステム

の適合性要求事項確立のための,要求事項として使用することを意図したものではない。この規格は,JIS 

Q 14000ファミリー規格の他の規格と組み合わせて使用することも,単独で使用することもできる。 

注記1 JIS Q 14000ファミリー規格との対照表を,附属書Aに記載する。 

注記2 製品ラベル及び宣言についての特定の環境コミュニケーションツール及び指針については, 

JIS Q 14021,JIS Q 14024,ISO 14020及びISO 14025を参照。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 14063:2006,Environmental management−Environmental communication−Guidelines and 

examples (IDT) 

なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していること

を示す。 

用語及び定義 

この規格で用いる用語及び定義は,次による。 

2.1 

環境コミュニケーション(environmental communication) 

環境に関する課題,側面及びパフォーマンスについて理解の共有を促進するために,情報を提供及び入

手し,並びに内部及び外部の利害関係者との対話にかかわる,組織が実行するプロセス。 

2.2 

環境コミュニケーション方針(environmental communication policy) 

トップマネジメントによって正式に表明された,環境コミュニケーションについての組織の全体的な意

図及び方向付け。 

注記 環境コミュニケーション方針は,組織内の独立した方針となることもあれば,その他の方針の

一部となることもある。 

2.3 

環境コミュニケーション戦略(environmental communication strategy) 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境コミュニケーション方針を実施し,環境コミュニケーション目的及び目標を設定するための組織の

枠組み。 

2.4 

組織(organization) 

法人か否か,公的か私的かを問わず,独自の機能及び管理体制をもつ,企業,会社,事業所,官公庁若

しくは協会,又はその一部若しくは結合体。 

注記 複数の事業単位をもつ組織の場合には,単一の事業単位を一つの組織と定義してもよい。 

(JIS Q 14001:2004,3.16) 

2.5 

利害関係者(interested party) 

組織の環境パフォーマンスに関心をもつか又はその影響を受ける人又はグループ。 

(JIS Q 14001:2004,3.13) 

2.6 

ターゲットグループ(target group) 

組織の環境コミュニケーション活動の対象として選ばれた,単独又は複数の利害関係者。 

2.7 

環境コミュニケーション目的(environmental communication objective) 

組織がその環境コミュニケーション戦略の一部として達成を目指して自ら設定する,環境コミュニケー

ション方針と整合する全般的な環境コミュニケーションの到達点。 

2.8 

環境コミュニケーション目標(environmental communication target) 

環境コミュニケーション目的から導かれ,その目的を達成するために目的に合わせて設定される詳細な

パフォーマンス要求事項で,組織に適用されるもの。 

環境コミュニケーションの原則 

3.1 

一般 

組織は,その環境コミュニケーションに,次の原則を適用することが不可欠である。 

3.2 

原則 

3.2.1 

透明性(transparency) 

環境コミュニケーションに用いるプロセス,手順,方法,データ源及び決めごとを,要求される情報の

守秘性を考慮に入れながら,すべての利害関係者が使用できるようにする。環境コミュニケーションにお

ける自らの役割を利害関係者に通知する。 

3.2.2 

適切性(appropriateness) 

環境コミュニケーションにおいて提供される情報を,利害関係者の関心及びニーズを満たす様式,言葉

並びに媒体を使用して,利害関係者が十分に参加できるように,利害関係者にとって適切なものとする。 

3.2.3 

信ぴょう(憑)性(credibility) 

環境コミュニケーションは,誠実,かつ,公正に実行する。また,偽りなく,正確で,実体を示し,か

つ,利害関係者へ誤解を与えることのない情報を提供する。一般に承認された,再現可能な方法及び指標

を用いて情報及びデータを作成する。 

3.2.4 

対応性(responsiveness) 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

環境コミュニケーションは,利害関係者のニーズを広く受け入れることを確実にする。利害関係者の質

問及び懸念には,的確,かつ,迅速に対応する。利害関係者に,その質問及び懸念がどのように取り扱わ

れたかを知らせる。 

3.2.5 

明りょう(瞭)性(clarity) 

環境コミュニケーションの進め方及び用いる言葉は,できる限りあいまいさをなくすために,利害関係

者にとって理解しやすいものであることを確実にする。 

環境コミュニケーション方針 

4.1 

経営層のコミットメント 

組織のトップマネジメントは,環境コミュニケーション方針を定め,その方針に対するコミットメント

を表明し,推進するとよい。その方針は,箇条3の原則に整合し,更に,次の事項を明記するとよい。 

a) 利害関係者との対話にかかわるというコミットメント 

b) 環境パフォーマンスについての情報を開示するというコミットメント 

c) 組織における内部及び外部環境コミュニケーションの意義 

d) 方針を実施し,必要な資源を提供するというコミットメント 

e) 重要な環境課題に対応するというコミットメント 

環境コミュニケーション方針は,組織のコミュニケーション方針若しくは環境方針の一部を構成するも

のでも,それに統合されたものでもよく,又は独立した一つの方針としてもよい。 

4.2 

方針の策定 

組織内の環境マネジメント担当者が方針を策定するときには,コミュニケーション担当者と連絡を取り

合い,方針が,組織の他の原則,方針及び価値に整合し,矛盾しないものとなるようにするとよい。その

結果,すべての階層の管理者は,方針を実施し,方針の作成及び修正のためのインプットを提供するとよ

い。 

環境コミュニケーション方針は,詳細である必要はないが,組織が環境課題,環境側面及びそれに伴う

影響,並びに環境パフォーマンスについてのコミュニケーションを重視していることを利害関係者に対し

て伝えるものであるとよい。環境コミュニケーション方針を策定するときは,組織のビジョン,使命,価

値及び文化が,基本的役割を果たすとよい。組織は,適宜,地方,地域及び/又は国家の文化的特性を環

境コミュニケーション活動に反映するように,方針においてコミットメントするとよい。 

環境コミュニケーション方針の策定において,考慮するとよい重要要因には,次の事項を含む。 

− 組織の事業部門,及びその製品又はサービスの構成 

− 組織の規模 

− 組織のインフラストラクチャー 

− 企業統治 

− 市場及びブランド戦略 

− 環境マネジメントシステムの存在 

− 環境側面及び環境影響の考慮 

− 安全衛生及びその他の持続可能性への取組みのような,関連する側面との相互作用 

− 環境情報の開示についての法的要求事項 

− 地方,地域,国家及び国際的な倫理/行動の自主的規範 

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Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

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− 利害関係者の期待 

− 一般の人々の“知る権利” 

方針は,適宜,内部及び外部両方の利害関係者に伝達するとよい。 

環境コミュニケーション戦略 

5.1 

一般考慮事項 

組織の経営層は,組織の環境コミュニケーション方針を実施するための戦略を策定するとよい。戦略に

は,環境コミュニケーションの目的,利害関係者の特定,組織が計画するコミュニケーションの時期及び

内容の明確化,並びに適切な資源の配分についての経営層のコミットメントを含めるとよい。組織は,最

善,かつ,現実的に利害関係者の期待を満たすことができるように,その資源を考慮に入れ,何ができる

かを明らかにするとよい。 

一般に,環境コミュニケーションは組織の環境活動の一部であるという事実を考慮し,その他のマネジ

メントシステム,方針,戦略又は関連の活動の要素と整合させるとよい。 

実践の手引1−環境コミュニケーション戦略の策定 

環境コミュニケーション戦略を策定するときは,次のような問いを役立てることができる。 

− 組織は,なぜ環境コミュニケーションを行っているのか,また,その目的は何か。 

− 組織の重要な環境課題及び環境影響は何か。 

− 対象とすべき主要な課題,伝えるべきメッセージ,並びにコミュニケーションの技法,進め方,

ツール及びチャネルで使用できるものは何か。 

− 戦略を実施するためにどのくらいの時間を必要とするか。 

− 戦略が,環境管理者,利害関係者,環境課題を担当する個人,並びに組織の内部及び外部のコミ

ュニケーションを担当する個人をどのように参画させ,協調させようとしているか。 

− 戦略上の地方,地域,国家及び国際的境界をどこに置くか。 

戦略は,立案した後,トップマネジメントによって承認を受け,組織の環境コミュニケーション活動の

基礎として用いるとよい。 

5.2 

環境コミュニケーション目的の設定 

組織は,環境目的を設定するとよい。その目的は,効果的な環境コミュニケーション戦略の基礎を提供

することができるので,有用である。環境コミュニケーション目的を設定するとき,組織は,外部及び内

部の利害関係者の見解を考慮に入れて,環境コミュニケーション方針に確実に整合させるとよい。また,

箇条3の環境コミュニケーションの原則に確実に整合させるとよい。環境コミュニケーション活動の目的

を設定するに当たって,組織は,定めた目的が更なる説明を要しないような方法で表現されることを確実

にし,組織の優先順位及び望まれる成果を考慮するとよい。 

実践の手引2−目的を設定するための優先順位 

目的を設定するための優先考慮事項には,次の事項を含めてもよい。 

− 組織の特定の活動,製品及びサービスに関係する環境課題 

− 適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守 

− 環境課題に関する公共政策への影響 

− 組織の環境活動,環境側面,環境影響及び環境パフォーマンスについての情報提供,並びに利害 

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関係者の理解の促進 

− 環境情報に関する利害関係者の期待への合致 

− 環境事項についての継続的対話の確立 

− 内部及び/又は外部での対立の最小化 

− 組織の信ぴょう(憑)性及び評判の改善 

− 組織の製品及びサービスの認知度及び環境イメージの改善 

− 環境上の革新及び創造性の促進 

目的とその目標との関係の例を,6.1.3の実践の手引5に示す。 

5.3 

利害関係者の特定 

環境コミュニケーション戦略を策定し,目的を設定するとき,組織は,その活動,製品及びサービスに

関心を示している内部並びに外部の利害関係者を特定するとよい。さらに,環境コミュニケーション戦略

の目的全般を達成するために,組織がコミュニケーションを行うことを望むその他の潜在的利害関係者も

特定するとよい。 

その結果,より具体的な環境コミュニケーション活動のためのターゲットグループを特定する(6.1.4参

照)。 

実践の手引3−利害関係者の例 

組織によって考慮され得る利害関係者の例には,次のようなものがある。 

− 過去,現在及び将来の従業員並びにその代表者 

− 顧客及び消費者 

− 供給者,請負者,卸売業者及び流通業者 

− 競合者 

− 株主 

− 銀行及び金融業界/投資業界 

− 保険会社 

− 格付機関 

− 公共団体 

− 立法機関 

− 規制/監督機関 

− 政治家及びオピニオンリーダ 

− 近隣の人々及び地域社会 

− サプライチェーン組織に関連する団体 

− 教育機関,学者及び研究者 

− 環境課題に取り組む専門家 

− メディア機関 

− 非政府組織 

5.4 

資源に関する課題の検討 

組織の環境コミュニケーション活動は,利用可能な資源に依存する。環境コミュニケーション戦略には,

人的,技術的及び財務的な資源の配分,定められた責任及び権限,並びに定められた活動を含めるとよい。

従業員の経験及び教育訓練の必要性を考慮するとよい。 

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環境コミュニケーション活動 

6.1 

環境コミュニケーション活動の計画 

6.1.1 

一般 

環境コミュニケーション方針を実施する場合,組織は,通常,一連の環境コミュニケーション活動を行

うであろう。環境コミュニケーション戦略及び目的を進めるに当たっては,環境上の課題,地理的境界及

び利害関係者を考慮に入れて,具体的な環境コミュニケーション活動を立案するとよい。 

実践の手引4−環境コミュニケーション活動の計画 

環境コミュニケーション活動を計画するとき,組織は,次の問いを考慮するとよい。 

− この活動は,箇条3の環境コミュニケーションの原則及び組織の方針に整合しているか。 

− この活動は,適切な場合,双方向コミュニケーションを促すか。 

− この活動は,利害関係者とのコンセンサスを促進することができるか。 

− この活動は,ターゲットグループに伝わり,かつ,相互に作用し,その関心事に潜在的に取り組

むことができる機会を与えるか。 

− この活動は,多重の課題に十分に取り組む機会を与えるか。 

− この活動は,主要な課題に焦点を当てているか。 

− この活動は,ターゲットグループに調整された情報を提供するか。 

− この活動は,比較的容易に実施できるか。 

− この活動は,比較的低コストでの情報伝達を可能にするか。 

− この活動は,容易に更新できるか。 

− この活動の有効性は,測定できるか。 

− この活動は,優れた教育手段か。 

− この活動は,建設的な雰囲気を作り上げているか。 

− この活動は,知名度を得る又は社会での認識を高める効果的な方法か。 

6.1.2 

状況分析 

環境コミュニケーション活動の立案又は改善は,コミュニケーションを行う状況の理解から始まる。 

状況分析において,組織が考慮するとよい課題には,次の事項を含む。 

a) 既存の環境コミュニケーション活動及びコミットメント 

b) 利害関係者の関心事である課題の特定及び理解 

c) 利害関係者の組織に対する期待及び理解 

d) 地域社会など,利害関係者の環境への認識 

e) 類似の状況において,利害関係者とのコミュニケーションに最も効果的であることが立証されている

コミュニケーションの媒体及び活動 

f) 

環境コミュニケーションに関連する課題についてのオピニオンリーダ及びその影響力の特定 

g) 特定の課題に関して一般の人々が抱く組織へのイメージ 

h) 組織の具体的な活動,製品及びサービスに関連した,環境課題の最新の進ちょく(捗)状況及び傾向 

i) 

経済的及び財務的なかかわり 

j) 

利害関係者の価値及び文化についての知識並びに理解 

状況分析のために,様々なツールが利用可能である。例を,6.2の表1に示す。状況分析は,環境コミュ

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10 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

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ニケーション目的の見直しにつながることもある。 

環境コミュニケーション活動の状況について評価を行うとき,コミュニケーションを行わない場合に発

生し得るコスト及びその影響を考慮することも重要である。これらは,顕在化することもあり,長期的に

は環境コミュニケーションを行うよりもコストがかかり,更に,評判を損なうなど,組織に余計なコスト

をかける可能性がある。次の事例で,このような状況の意味を明確にする。 

事例1:環境コミュニケーションを行わない場合のコスト 

ある管理者は,工場で派生する有害な液体燃料を燃やすという決定を下したが,その点について地域の

人々と十分に話し合わなかったため,危機的状況に陥ったと認めた。組織は,そのような大きな反響を受

けるとは予期していなかったため,事前の協議及びコミュニケーションに十分な資源を割り当ててはいな

かった。組織と地域との間で90年にわたって培われてきた良好な関係は,一夜にして崩れた。この関係を

修復するために,2年間にわたり,ほとんどの時間を費やしたと管理者は見積もっている。組織が負担し

たコストには,この管理者の給与,一連の利害関係者と協議するために他のスタッフが費やした無数の時

間,幾度も公聴会を開催したり,報道への公表,その他のメディアへの声明を出すために要したコストな

どが挙げられる。この努力の成果は,代替燃料を燃やすという決定に猛反対した市民も加わった地域連絡

委員会の創設であった。重大な決定を下すときは,組織及び規制/監督機関は,この委員会を意見聴取の

ための機関として使用することになった。5年たって,ようやく信用が回復した。 

注記 詳細は,参考文献[8]を参照。 

6.1.3 

環境コミュニケーション目標の設定 

組織は,環境コミュニケーション活動を行うことによって何を達成しようとするのかを決定するとよい。

目標は,環境コミュニケーション目的に一致するように,具体的,測定可能,達成可能,現実的で,かつ,

期日に言及するように,設定するとよい。これによって,組織は,環境コミュニケーション活動を評価し,

目標が満たされているかどうかを判定できるようになる。 

実践の手引5−目的及び目標の例 

目的:地域との協議の上,施設における大きな変更の了解を得る。 

目標: 

− 近隣世帯の90 %に,その変更及び環境影響を説明するパンフレットを届ける。 

− 地域の調査において,75 %の了解を得る。 

− 提案した変更を開始する3か月前に,コミュニケーション活動を終える。 

目的:組織の環境パフォーマンスに対する顧客の認識を深める。 

目標: 

− ある特定製品の購買者の80 %に連絡を取る。 

− 組織の環境パフォーマンス水準の理解に関して,ある特定製品の顧客の65 %からフィード

バックを得る。 

− 持続可能性報告書の最終版を作成する2か月前に,コミュニケーション活動を終える。 

目的:組織の到達点,目的及び目標について供給者とコミュニケーションを行い,サプライチェー

ンの変化がどのように環境パフォーマンスを改善するかを追跡調査し,改善情報を共有する 

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11 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ことによって,サプライチェーン全体で環境パフォーマンスを改善する。 

目標: 

− 原材料供給者の95 %及び消費財供給者の65 %に連絡を取る。 

− 原材料供給者の100 %及び消費財供給者の85 %からアンケートへの回答を得る。 

− 所定の日までに調達手続の変更が可能となるように結論を得る。 

6.1.4 

ターゲットグループの特定 

環境コミュニケーション活動を計画するとき,組織は,利害関係者の中のターゲットグループを特定し

ておくとよい。良好なコミュニケーションには,単に組織に好意的なターゲットグループ,又は組織化し,

意見を表明するのに十分な資源をもったターゲットグループだけに限らず,幅広いターゲットグループの

参画がある。 

異なるターゲットグループ間での利害の対立が明らかになることもまれ(稀)ではない。その結果,環

境コミュニケーション活動は,ターゲットグループの間で異なり,しばしば対立する要求に取り組み,対

応する必要がある。これは,特に,最も影響力があり,環境コミュニケーション活動の成果にネガティブ

な影響を及ぼすかもしれないグループに対して必要である。  

環境コミュニケーション活動に着手するとき,組織は,組織の環境パフォーマンスに関するターゲット

グループの期待及び認識について,理解を深めるとよい。最も簡潔には,ターゲットグループと組織との

直接対話によって,必要なフィードバックを得てもよい。組織がターゲットグループからのインプットを

求めている場合,組織は,なぜ情報を求めているのか,また,入手した情報で何をしようとするつもりな

のかを説明するとよい。 

6.1.5 

地理的範囲の明確化 

場所が異なれば,言葉,文化及び習慣も異なり,このことが組織についての一般の人々のニーズ及び理

解に影響を与えるかもしれないため,組織は,環境コミュニケーション活動ごとに,その活動の対象とし

ている地域又は区域を明らかにするとよい。個々のコミュニケーション活動の対象は,地域社会から,組

織の施設又は事務所から遠く離れたより広い一般の人々に及ぶこともある。 

組織は,一つの地理的な規模を超えた,ある特定の環境課題に対応を迫られることもある。例えば,温

室効果ガスの排出は,地方,地域,国家又は国際面に焦点を当て,一つの環境報告書で扱うこともある。

参画する利害関係者のニーズに応じて,このような環境コミュニケーション活動に異なる種類の情報が必

要となることもあれば,共通の情報をそれぞれ異なる方法で紹介しなければならないこともある。 

6.1.6 

環境情報の特定 

組織は,利害関係者にとって関心のある環境課題を想定するとよい。このことによって,組織の製品,

サービス,プロセス及び活動の環境影響並びに環境パフォーマンスに関する情報の収集についての焦点が

絞りやすくなる。環境コミュニケーション活動のために設定された目標に基づいて,適切な定量的及び定

性的なデータ並びに情報を,選択又は作成することができる。このような情報は,環境パフォーマンス及

び環境パフォーマンス指標についての現行の規格及び指針に整合させるとよい。 

実践の手引6−環境コミュニケーション活動の情報源の例 

大部分の組織,特にJIS Q 14001のような環境マネジメントシステムをもつ組織の内部には,利用

可能な多くの情報源及び情報の種類があり,それらには次のようなものを含む。 

− 組織の戦略及び環境へのかかわりについての情報 

− 組織の環境マネジメントシステムから利用可能となるであろう,環境方針,マネジメント慣行及  

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12 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

びパフォーマンス対策 

− 活動,製品及びサービスの環境側面並びに環境影響のリスト 

− 製品及び活動のライフサイクルアセスメント 

− 環境ラベル,宣言のために用いるデータ及びその他の文書 

− 環境指標のリスト 

− 環境パフォーマンス評価から得られるデータ 

− 日常的に及び臨時に収集される情報。例えば,特定の区域にある施設の報告書,子会社からの(持

株会社への)報告書,研究報告書,監視,管理及び測定データの記録,分析報告書など 

− 規制/監督機関への日常的な報告書 

− 適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項への順守の記録 

− 緊急事態対応及び事故への対応についての計画,記録並びに手引 

− 物質の安全な取扱いについての従業員の教育訓練のマニュアル及び記録 

− 環境事項を担当する従業員(管理者,技能技術者,専門家)の職業資格の記録 

− 関連する財務/会計データ 

− 地域支援活動で得られた情報 

組織で利用可能な情報が,場合によっては,環境コミュニケーション活動又は技術専門家でないターゲ

ットグループとの対話に適した形になっていないことがある。そのような情報は,関連するターゲットグ

ループにとって明確,かつ,適切な形での資料又はその他の種類のコミュニケーションの準備に使用する

ことができる。 

このことが特に当てはまるのは,例えば,環境パフォーマンスについてのコミュニケーションを行うた

めに組織が利用することの多い環境指標の場合である。このような定量的又は定性的な指標は,その性質

上技術的なことがあり,利害関係者に対してその使い方,重要度及び内容が理解しやすく,役立つような

方法で説明するとよい。ある場合には,適切なデータの収集をすることが難しいので,目標の達成のため

の進め方を変更しなければならないことがある。 

注記1 JIS Q 14031及びISO/TR 14032は,環境パフォーマンス指標の策定についての手引を提供す

る。 

事例2:電子機器製造業者における環境パフォーマンス指標の特定 

ある電子機器製造業者は,75の利害関係者に対して,組織がどの環境パフォーマンス指標について報告

すべきかを決定するために意見を聞いた。このプロセスの主な段階は,次のようであった。 

− 重要な外部及び内部の利害関係者を特定し,組織の環境パフォーマンスについての,その利害関係者

の主要な関心事及び期待を決定した。 

− 環境報告書において取り上げるべき環境パフォーマンス指標,及び利害関係者の中でのそれらの指標

の優先順位を定めた。 

− この指標を基準に,組織のパフォーマンスの評価を行った。 

− 組織の環境パフォーマンス構成リストを作成し,結果を利害関係者に伝えた。 

このプロセスには,従業員,顧客及び供給者,オピニオンリーダ,近隣の人々,立法機関及び規制/監

督機関,金融会社及び保険会社など,組織の利害関係者から75人が参加した。 

13 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

各々のターゲットグループから,5〜15人の代表者,総計75人と面接を行った。“あなたは環境報告書

で取り扱い,報告する上で,組織にとってどの環境課題が重要だと思いますか”と個々の人に尋ねた。100

を超える課題が洗い出され,そこから11の環境パフォーマンス及びマネジメントパフォーマンスの指標を

絞り込んだ。 

ワークショップも開催し,12の利害関係者が参加して,11の指標について討議し,確認してから,それ

ぞれのパラメータの優先順位を決定した。 

このプロセスの成果は,組織の環境パフォーマンスの詳細を記載した環境報告書を作成したことである。

“持続可能な開発を追求した情報技術 ”など,通常は環境報告書で取り扱われていないような多数の環境

パフォーマンス指標を明確にした。環境報告書で扱う課題を,利害関係者から寄せられたフィードバック

をもとに優先順位付けし,報告書の重点を利害関係者の要求に合うように改善し,環境パフォーマンスを

改善するための組織の資源配分に役立てた。この取組みは,利害関係者の見解を取り込むことによって,

報告プロセスの客観性を向上させた。 

注記2 詳細は,参考文献[9]を参照。 

6.2 

環境コミュニケーションの内容,進め方及びツールの選択 

6.2.1 

一般 

環境コミュニケーションの進め方は,組織がターゲットグループに意見を聞きたいのか,理解したいの

か,情報を伝えたいのか,説得したいのか,及び/又は参画させたいのかどうかということに影響される。

環境コミュニケーションは,動的なプロセスであること,並びに利害関係者の間及び組織の中では絶え間

ない変化があることに留意することが重要である。 

コミュニケーションの進め方を選ぶときには,そのコミュニケーション活動に参画するターゲットグル

ープが,コミュニケーションの対象となる課題について抱くニーズ及び関心の度合いを考慮することが重

要である。さらに,組織がどの程度積極的にコミュニケーションを行おうとしているかを考慮することも,

同様に重要である。組織及びターゲットグループが積極的であるか消極的であるかどうかによっても,ま

た,組織の環境コミュニケーションの目的,ターゲットグループ,及びコミュニケーションに利用可能な

組織の資源によっても,コミュニケーションの進め方は異なる。 

組織は,最初に立てた計画に合わせて,ターゲットグループに提供する情報を調整するとよい。その情

報は,次のようにするとよい。 

a) ターゲットグループの行動側面,並びに社会的,文化的,教育的,経済的及び政治的な関心を考慮す

る。 

b) 適切な言葉を用いる。 

c) 視覚に訴えるイメージ,又は電子媒体を適宜利用する。 

d) 選択した進め方に,及び該当する場合には,環境課題に関して組織が以前にコミュニケーションした

その他の情報に,矛盾しないようにする。 

組織は,一般の人々へのコミュニケーションを行う前に,情報提供手段の適切さを検証することを望む

こともある。情報提供の検証に焦点を合わせたアンケート調査は,詳しい説明又は明確化が必要な領域,

主要な課題,取り組む必要のある疑問点などを特定する場合の助けとなり得る。 

表1〜表3に,コミュニケーションの進め方及びツールの詳細を示す。 

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14 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−文書によるコミュニケーションの進め方及びツール 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

ウェブサイト 

電子的なコミュニケ
ーション媒体であり,
外部及び内部の利害
関係者全員がオンラ
インでアクセスでき
る。 
ダウンロード可能な
報告書,教材,又は使
用者が組織にフィー
ドバックできるウェ
ブサイトのリンクを
含めることができる。 

多数の課題について,
多数の人々に訴える
(及び調整された情
報を提供する)可能性
が高い。 
更新が容易で,双方向
コミュニケーション
を実現することが可
能。 

企業は,ウェブサイト
に,相互作用の機会の
ない“パンフレット
類”(ビデオ,実デー
タ,電子メールフィー
ドバックなど)を掲載
することが多い。 

だれもが最新のハー
ドウェアを所有して
いるわけではないの
で,コンピュータに要
求される性能を低い
レベルに抑える。 
高価なものである必
要はない。 
ウェブサイトには,よ
くある質問の回答を
掲載し,詳しい問合せ
を受け付ける連絡先
を記載しておくこと
ができる。 

環境報告書又は
持続可能性報告
書 

多数の主要な課題に
ついての,コミットメ
ント及びパフォーマ
ンスの包括的な説明。 
こうした報告書の抜
粋又は要約は,会計報
告書など,組織が行う
別のコミュニケーシ
ョンに含めることが
できる。 

幾つかの課題に深く
取り組む手段となる。 
信用及び信頼性を構
築するための基本的
な進め方。 
組織の関連するすべ
ての課題に対する内
部の透明性を生み出
す。 

作成作業が大変で,頻
繁に更新することが
難しくなることがあ
る。 
似たような組織と比
較ができないような
形式で,情報を示して
もよい。 
毎年配布されるであ
ろうとの期待を抱か
せるかもしれない。 

外部及び内部の利害
関係者の関心に対処
する。 
成功事例とともに,困
難な問題及び失敗の
あった事例を含める。 
適切な業種別の報告
の標準類又は指標を
用いて,ベンチマーキ
ングできるようにす
るとよい。 

印刷資料(報告
書,パンフレッ
ト及び会報) 

報告書又はパンフレ
ット−関心のある施
設又は特別なプロジ
ェクト,主要な課題,
及びどのようにして
人々が参加できるか
についての簡潔なま
とめ。 
会報−施設活動の定
期的な更新。利害関係
者に通知し,利害関係
者とのつながりを維
持する。 

必要な場合,一つの課
題を扱うことができ
る。 
経費がかからず,短時
間で作成することが
できる。 
多くの人々へ通知す
ることができる。 
会報は,外部及び内部
のどちらの利害関係
者にも効果的なもの
となり得る。 

誤解される可能性が
ある。 
基本情報だけが記載
されている。 
直接のフィードバッ
クは得られない。 
遠隔地域の配布が難
しいことがある。 

課題を調査しなけれ
ばならない。 
基本的な言葉を使用
する。 
写真及び地図を使用
する。 
客観的なものにする。 
連絡先を記載する。 
読み書き能力が問題
となるかもしれず,イ
ラスト又は図表が助
けとなることもある。 

製品又はサービ
ス情報ラベル若
しくは宣言文書 

製品又はサービスに
関連した重大な環境
課題の説明。 
製品の場合,製品に添
付してもよいし,別
途,入手可能なものと
してもよい。 

顧客に製品又はサー
ビスの環境属性を知
らせることができる。 

情報が簡潔な形で紹
介されるために,混乱
を引き起こすかもし
れない。 

環境製品ラベルの形
式及び内容は, JIS Q 
14021,JIS Q 14024, 
ISO 14020及びISO 
14025の要求事項に
適合させるとよい。 

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15 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−文書によるコミュニケーションの進め方及びツール(続き) 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

ポスタ/ 
展示物 

プロジェクトの説明。
課題に焦点を当て,公
共の場に配置される。 

比較的低いコストで
一般的情報を提供す
る。 
他の方法では参加す
ることのない多数の
人々にも行き渡るか
もしれない。 

情報の受取りという
よりは,情報の提供。 

要点だけを記載する。
写真及び地図を使用
する。 
定期的に更新する。 
展示物の場所を宣伝
する。 
連絡先を記載する。 

手紙 

指定した個人との間
で交わされる,具体的
な課題についての手
紙。 

特定の利害関係者の
ニーズを取り上げる
ことができる。 
迅速,かつ,容易に作
成できる。 

あまりにも形式的な
ものとなり得る。 
一般に,複雑な情報の
交換には不十分な方
法。 

受け手の読取りレベ
ル。 
一つの論点をよく議
論する。 

電子メール 

情報及びメッセージ
を送る電子的方法。 
紙の出版物の電子コ
ピーを送る機会を提
供する。 

メッセージ及び情報
を交わす安価で容易
な方法。 
交換が速く,配布が迅
速。 
速やかに多くの人に
行きわたらせる機会。 

だれでもコンピュー
タを使用できる,又は
電子メールを使用で
きるとは限らない。 
メッセージは,人々が
重要でないと考えれ
ば,読む前に削除され
るかもしれない。 

添付資料を送るとき
は,受信者が互換性の
あるソフトウェアを
使用できることを確
実にする。 

メディア/ 
新聞の特集記事 

施設又はプロジェク
トの特長を説明する。 

広範な読者に伝える
ことができる。 
一般の人々にとって
簡便。 
教育手段としてすぐ
れている。 

話の一部だけが伝わ
るように,新聞によっ
て編集されやすい。 
遠隔地域又は発展途
上国では,必ずしも広
く行き渡っていると
は限らない。 

地方のメディアと全
国的なメディアでは,
進め方,スタイル及び
詳しさの程度の違い
を要求されるかもし
れない。 

メディア/ 
ニュースの発表 

報道で使用するため
の情報を用意し,メデ
ィアに配布する。 

世間の注目及び関心
を得る上で,効果的,
かつ,安価な方法。 

話にニュース性がな
ければ,メディアは取
り上げない。 
メディア/新聞業界
の指針を満たすよう
に編集されやすい。 

組織の環境パフォー
マンスが誤報されな
いようにする。 

メディア/ 
広告 

例えば,新聞における
直接的な広告,又は
(地方紙の環境ペー
ジのような)一つの欄
に,スポンサとして宣
伝資料代金を支払う。 

広範な読者に伝える
ことができる。 

経費がかさむ可能性
がある。 
寿命が限定されるか
もしれない。 
複雑な課題を説明す
るには制限のある機
会。 

広告が発表される出
版物/プログラムの
読者層。 

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16 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−口頭によるコミュニケーションの進め方及びツール 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

公開討論会 

情報を提示し,意見交
換を行う方法。 
特定の議題又はプロ
ジェクトに対応する。 
発表及び質疑応答,又
は正式な時間を決め
た証言で構成される。 

“正規”の協議とみな
される。 
多数の人々に,情報が
提供される。 
低コスト。 
人々は,通常,快く出
席する。 

対話が限定されたも
のとなり得る。 
すべての見解が表明
されるわけではない。 
感情的な怒鳴り合い
になるかもしれない。 
声が大きいだけの少
数派が,他を圧倒する
かもしれない。 

利害関係者の反応が
どのようなものにな
るかをあらかじめ知
っておくために,軽微
な活動(面談,フォー
カスグループ)を行っ
てから使用するのが
最善であることが多
い。 
会議について宣伝を
十分に行っておく。 
スタッフには証明さ
れた経験が必要。 
できれば,独立の議長
及び/又は進行役/
まとめ役を活用する。 

利害関係者との
面談/ 
個人的接触 

利害関係者の自宅,事
務所又は中立的な場
所で,人々と話し合い
をする。 

情報の相互交換。 
人々は,話を聞いても
らっていると感じる。 
具体的な課題を扱い
得る。 
率直な話し合いから,
信頼が生まれること
がある。 
面談は,主要な課題及
び懸念を明らかにし,
関係を築く助けとな
る。 

すべての利害関係者
を特定することは難
しい。 
時間の制約がある。 
地域社会の意識がな
い。 
おそれを抱く人がい
るかもしれない。 
文化的に不適切とい
うことがあるかもし
れない。 

特定の活動によって
影響を受ける可能性
があるか,又は影響を
受けている各種の利
害関係者を代表する
人を特定する。 
一部の人々は専門的
代表者を求めること
があるかもしれない
ことを受け入れる。 
影響力の大きい利害
関係者を含めるとよ
いことが多い。 
利害関係者に都合の
よい場所で会う。 

フォーカス 
グループ 

類似した背景をもっ
た(国家公務員,住民
など)小グループの利
害関係者と会い,特定
の話題について討議
する。 

仲間がいるために気
が楽になって,自由な
アイデアの交換がで
きる。 
最も重要な課題につ
いて,コンセンサスが
得られることが多い。 

重要なすべての利害
関係者を含むフォー
カスグループをまと
めるのは,時間がかか
る。 

最初に利害関係者と
面談し,取り上げられ
る可能性のある主要
な課題を明らかにし
てから使用するのが
最善であることが多
い。 

調査 

利害関係者にアンケ
ート調査を行って(必
要と判断されれば,独
立機関に調査を任せ
てもよい),回答者か
ら人口統計学的情報
を集め,その課題及び
懸案事項を示す。 

企業が地域への進出
を計画したり,操業に
大きな変更を加える
ことを検討している
場合に役立つ。 
定期的に(例えば,隔
年)更新する場合にも
よい。 

アンケートの複雑さ,
質問の提示方法(例え
ば,人手又はウェブを
介して),サンプルの
人数,選定した地理的
場所の数及び大きさ
次第で,調査は労働集
約的なものとなるか
もしれない。 

調査は戸別訪問でも,
電話でも行うことが
できる。 
文書を配って行う調
査もあれば,インター
ネット上で行う調査
もある。 

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17 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−口頭によるコミュニケーションの進め方及びツール(続き) 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

施設公開,情報
週間,工場見学
及びビデオ 

施設公開は,通常,中
心部の公開の場所で
開催され,人々に質問
し,課題について討議
する機会を与える。 
情報週間は工場見学
と組み合わせて,一般
の人々に自分の目で
施設を見て,質問する
機会を与えることも
できる。 
ビデオは,こうした催
しのいずれでも,施設
の操業の模様を説明
するために利用する
ことができる。 

直接的な交流を可能
にする。 
誤報を正し,課題を探
る機会を提供する。 
外部及び内部の利害
関係者どちらにも,身
近に接することに役
立つことがある。 

得るものよりも,与え
るものの方が大きい。 
費用がかさみ,スタッ
フの時間が必要とな
ることがある。 
スタッフの知識及び
技能に依存する。 

十分に宣伝をしてお
かなければならない。 
スタッフには,よく事
情を伝えていなけれ
ばならない。 
プロジェクト管理者
が参加するとよい。 
取り上げられた課題
を記録しておかなけ
ればならない。 
スタッフは,受身でな
いほうが望ましいが,
利害関係者の意見に
熱心に耳を傾けると
よい。 

環境に焦点を当
てたガイドツア
ー 

ターゲットグループ
が関心をもつ組織の
領域又は施設への訪
問。 

組織の要員と訪問す
る人とが直接面談す
る機会を提供する。 
組織の環境活動をそ
の場でみてもらう機
会を提供する。 

よい側面しか示さな
いと広報活動の一環
としか見られないか
もしれない。 
努力しても対象とす
る人数は限られる。 
費用がかかり,スタッ
フの時間が必要とな
ることがある。 
スタッフの知識及び
技能に依存する。 

訪問によって,組織の
製品,プロセス,活動
に直接関係する課題,
又は組織のビジネス
に関係する課題に言
及するとよい。 

ワークショッ
プ,会議,対話
の催し 

一連の利害関係者が,
アイデア,関心事項及
び課題について討議
する機会である。 

優先順位の高い課題
についてコンセンサ
スを得る上で,きわめ
て生産的,かつ,役立
つものとなる可能性
がある。 

適切な構成で各種の
利害関係者が出席で
きるようにするため
には,開催の準備に時
間がかかることがあ
る。 

面談又はフォーカス
グループで,取り上げ
るかもしれない課題
の種類についての情
報が得られてから,こ
のようなイベントを
開催すると効果的で
あることが多い。 

メディア/ラジ
オインタビュー 

通常は,対象を限定又
は絞った課題につい
て討議又は回答する
短い番組。 

多数の人々に訴えか
ける手段。 

取り上げられるであ
ろう質問を管理する
ことができない。 
ラジオ局が聴取者に
よる電話での参加を
認めない限り,どのよ
うな種類のものであ
れ,意見交換は難し
い。 

メッセージは,はっき
りとした,明快,かつ,
単純なものにする。 
広い地域で関心事と
なるような重大な決
定を下すことを検討
している場合に,この
ようなインタビュー
を行う。 

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18 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−口頭によるコミュニケーションの進め方及びツール(続き) 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

市民諮問グルー
プ又は地域連絡
グループ 

様々な利害関係及び
専門性をもつ組織外
の人々で構成される
グループで,定期的に
会合をもち,利害関係
者の立場から環境課
題についての助言を
行う。 

課題の調査を行い,意
見を提出する。 
双方向の情報交換。 
組織が,自ら進んで
人々と協力して活動
していることを示す。 
地域の中で,組織の透
明性の維持を手助け
する。 

権限が制限されるこ
とがある。 
すべての利害関係者
を代表していない可
能性があり,専門知識
にも格差があること
がある。 
情報は,必ずしも地域
にまで届かない。 
諮問グループのメン
バが,代表として人々
と連絡を取らないこ
とがある。 

すべての利害関係を
代表するものでなけ
ればならない。 
グループの役割及び
権限は,明確に定めら
れていなければなら
ない。 
グループの任期は,事
前に決めておくとよ
い。 
メンバは,地域の人々
とコミュニケーショ
ンを行わなければな
らない。 

相談窓口 

製品の環境側面及び
その他の側面につい
て,利害関係者に電話
で助言及び情報を提
供する。 

利害関係者が,製品に
関して特定の質問を
行い,その回答を得る
機会を提供する。 

電話では,どのような
テーマも取り上げら
れる可能性がある。 
電話をかけてくる人
は,必ずしも注意深く
回答を聞いていると
は限らないので,回答
を誤解する場合があ
る。 

スタッフは,教育訓練
を受け,組織の活動,
製品及びサービスの
環境側面について十
分な教育訓練を受け,
よく知っておかなけ
ればならない。 
難しい質問に回答す
る場合は,折り返し連
絡したり,回答を文書
にして送ったりした
ほうがよい場合があ
る。 

グループへのプ
レゼンテーショ
ン 

通常はグループが定
例の会合を開く場所
で,利害関係者に話を
する。 
簡単なプレゼンテー
ションを行った後で,
質疑応答を行う。 
内部のグループに対
して行ってもよいし,
外部のグループに対
して行ってもよい。 

目標とするグループ
を定めることができ,
グループのニーズに
合わせて情報が調整
され,かつ,情報が他
の人々に届くことが
ある。 
主催者側のグループ
が作業の一端(人々の
招待)を引き受けても
よい。 
土地柄の強い地域に
役に立つ。 

敵対的な聴衆の反発
を引き起こす可能性
がある。 
単独で実施すると,地
域を分断しかねない。 

協力関係をはぐくむ
ために使用する。 
非協力的なグループ
を排除しない。 
会合の前に,資料を配
布して検討してもら
う。 
自宅に持ち帰っても
らうために資料を置
いておく。 

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19 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2−口頭によるコミュニケーションの進め方及びツール(続き) 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

利害関係者との
夕食会/持続可
能なビジネスの
ための夕食会 

様々な利害関係者が
一堂に集まった一連
のグループ会議で,報
告を行ったり,持続可
能性について討議す
る。 

参加者は,(例えば,
食事を楽しみながら)
意見交換を行い,当事
者である利害関係者
から直接見解を聞く
ことで便益を得るこ
とができる。 
持続可能性について
討議する建設的な雰
囲気。 

招待客の選択が難し
く,会話を持続可能性
へと導くことが難し
い。 

様々な規模のものが
あり得る。例えば,地
域及びその区域の利
害関係者を交えた大
きなものもあれば,参
加者が10人にも満た
ない小さなものもあ
る。 

芝居の上演 

芝居の形式を利用し
て,環境情報を内部又
は外部の利害関係者
に紹介する。 

利害関係者の注目を
集めることができる。
資料を読んでいない
利害関係者にも,意志
を伝えることができ
る。 

知識,理解力及び関心
事がそれぞれ異なる
グループに対して適
切な上演にすること
は,難しいかもしれな
い。 

上演は,上手に,生き
生きと行わなければ
ならず,聴衆への説教
とならないようにし
なければならない。 
プロの演技者を利用
することを考慮する。 

表3−その他のコミュニケーションの進め方及びツール 

技法 

内容 

強み 

弱み 

留意点 

共同プロジェク
ト 

組織と利害関係者の
グループとが共同で
実施するプロジェク
ト。 

一緒に働いて相互の
目標を達成すること
で,信頼及び協力関係
を築くことができる。 

利害関係者は,組織が
提供できるインプッ
ト及び資源に,非現実
的な期待を抱く可能
性がある。 

共同プロジェクトを
開発するとき,プロジ
ェクトの目標,並びに
役割,責任,及び各参
加者が提供する資源
を明確にすることを
確実にする。 

持続可能性協定 

持続可能な発展に向
けて相互にコミット
メントする目的で,組
織と地域が結んだ協
定。 

地域と組織との間の
関係を築くことを支
援し,環境コミュニケ
ーション及び交流を
促進する。 
組織が,生活及び環境
の質の改善に献身す
るリーダとして認識
されるという便益が
ある。 

地域との関係を維持
するためには,時間及
び資源が必要になる。 

組織がコミットメン
トを果たすことがう
まくいかなければ,協
定が周知のものであ
るために,組織の評判
が失墜することがあ
る。 

芸術展示会 

環境をテーマに構成
された芸術作品の展
示会。 

通常の進め方には目
もくれないかもしれ
ない外部及び/又は
内部の利害関係者の
注目を集めて,活動に
参加させる手段とな
る。 

開催するまで時間が
かかることがある。 

展示会は,夕方,週末
など,人々が参加でき
る時間帯に開催する
とよい。 

20 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

6.2.2 

責任及び(内部及び外部の)参画の明確化 

トップマネジメントの責任には,次の事項を含めるとよい。 

a) 利害関係者の要求事項を理解するとともに,組織の戦略,計画,製品及びサービス,プロセス,並び

に今後の活動の環境影響について精通するように,環境コミュニケーションのプロセスに参画する。 

b) 環境コミュニケーションに積極的に参画する人を鼓舞し,評価するような内部環境を促進させる指導

的な役割を果たす。 

c) 環境コミュニケーションの実施及び結果について,すべての従業員に定常的なコミュニケーションを

奨励する。 

情報を形成する責任者と外部接触及びコミュニケーションを実行する責任者との間に連携が図れるよう

に,環境コミュニケーションのための情報を収集する具体的な責任を割り当てるとよい。小さな組織では,

環境コミュニケーション活動の責任を一個人に割り当ててもよい。 

内部又は外部のコミュニケーションの専門家が,その他の様々な分野の専門家と共同で環境コミュニケ

ーションを実施するとき,組織は,該当するスタッフに,コミュニケーションについての教育訓練(メデ

ィアについての教育訓練,人前での話し方,話合いの技法など),並びに組織及びその利害関係者にかかわ

る環境課題についての教育訓練を考慮するとよい。 

組織と利害関係者との間の普段の非公式な対話から,最善の結果を得ることができる。教育訓練に加え

て,開放的で,個人の責任を重んじ,積極的に参加する文化をはぐくんでいけば,利害関係者との積極的,

かつ,建設的な対話を促進する助けになるであろう。 

6.2.3 

利害関係者からのインプットの追跡 

組織は,組織と利害関係者との該当する接触を記録した業務日誌又は電子登録簿を作成したり,参照し

たりしてもよい。このような記録には,データ保護の要求事項を考慮に入れて,少なくとも利害関係者と

の該当する接触情報並びに過去の相互作用又はコミュニケーションの日時及び性質を含めるとよい。この

ような情報の追跡及び維持によって,組織は,次の事項ができるようになるであろう。 

− 特定の利害関係者のコミュニケーション,問合せ又は関心事の履歴を引き出す。 

− 様々な利害関係者とのかかわりの経緯を理解する。 

− 将来のコミュニケーションを進展させることにおいて,また,必要に応じて特定の利害関係者の関心

事に対応し,対処することにおいて,組織の有効性を改善する。 

6.2.4 

環境危機及び緊急事態に関する環境コミュニケーション活動の計画 

環境コミュニケーションは,常に重要であるが,とりわけ環境危機及び緊急事態のときに,特に不可欠

である。組織は,潜在的な危機及び緊急事態を明らかにし,適切な環境コミュニケーションを計画すると

よい。その計画は,潜在の状況並びに顕在の危機及び緊急事態のどちらにも対応するように,関連する情

報に言及しておくとよい。 

コミュニケーションの信ぴょう(憑)性は,計画の質及び組織の対応に依存する。そのような状況下で

は,計画又はプロセスの欠陥が強調されやすい。きわめてささいな食い違いでさえ,コミュニケーション

が不適切又は不十分であれば,重大な結果をもたらす場合がある。 

危機及び緊急事態における環境コミュニケーション活動についての詳細な計画が,次のような事項のた

めに重要である。 

− 影響を受ける地域に対して,実施される対策を知らせ,暴露されるリスクを認識させ続ける。 

− 労働者及び近隣住民の健康問題を低減又は回避する。 

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21 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 環境への影響を低減又は回避する。 

− 適宜,確実に官公庁に情報を提供し続ける。 

このような計画は,好ましくない事象が,顧客及び地域住民との間における,組織の評判に与える結果

を大幅に軽減することができる。 

メディアは,環境危機又は緊急事態において,コミュニケーションの重要な役割を果たすことができる。

組織は,メディアとの効果的,かつ,透明性のあるコミュニケーションの重要性を認識するとよい。緊急

事態の場合にも関連する背景及び連絡先が分かるように,組織は関連する環境課題について,メディアに

継続的に情報を知らせておくとよい。 

実践の手引7−危機又は緊急事態に関係した環境コミュニケーション活動の計画への考慮事項 

計画には,次の事項を含めることができる。 

− 潜在的な出来事/事故のシナリオ 

− 暴露される可能性のある人々及びその影響の受けやすさ 

− 組織が設けておく軽減策 

− 局所的又はより広い地域に予想される環境影響 

− 影響を受ける人々にいかに対処するかを通知するために使用できるメディア及び手段 

− 特定の対象者に向けて計画されたメッセージ 

− 対応プロセスに使用するインフラストラクチャー 

− 危機の場合のコミュニケーションの責任及び権限の事前割当て,並びに利害関係者への継続的通

知 

− 官公庁及び工業会又は専門家協会からの手引及び要求事項 

− 事前の教育訓練及び/又は演習 

− 否定的なメディア報道に対する対応 

− 関連する法的要求事項及び結果 

危機及び緊急事態における環境コミュニケーション活動の例は,次のとおりである。 

− 記者会見を行って状況について話し合う。 

− 地域会議を開催して何が起きたかについて話し合い,利害関係者が懸念を表明し,組織側がその

不安を聞いて直接回答する機会を設け,かつ,組織の対応,現状,並びにフォローアップ及び予

防処置についての情報を提供する。 

− 現状,更新情報及びフォローアップ活動についてメディアへ連絡をしておく。 

− 地方自治体及びその他の適切な機関と一緒になって対応を調整する。 

− 率先して事故の根本原因を特定し,再発を防止し,進ちょく(捗)状況について報告する。 

− 質問する場所,懸念を表明する窓口,及び情報を入手する場所の情報を利害関係者に提供する。 

6.3 

環境コミュニケーション活動の遂行 

6.3.1 

データの収集及び評価 

環境コミュニケーションで使用する資料は,整理し,維持し,かつ,情報に関心のある人々が容易に利

用できるよう文書化するとよい。文書マネジメントシステムでは,情報を,特に,環境危機及び緊急事態

に応じて使用する情報を,迅速に参照できるようにするとよい。 

22 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

データの評価には,正確性,整合性,信頼性及び応用可能性に対する点検を含めるとよい。収集したデ

ータは,意図した用途及びターゲットグループに適した形の情報として提示するとよい。 

6.3.2 

環境コミュニケーション活動の実行 

環境コミュニケーション活動を実行する方法は,コミュニケーションの性質,ターゲットグループのニ

ーズ,組織がコミュニケーションを行う目的,及び組織にとって好ましい進め方に依存する。コミュニケ

ーションの具体的な細目には,かなりの柔軟性及び多様性があり得る。例えば,文書によるコミュニケー

ションは多様な形態で配布することができ,施設公開も多くの異なる方法で行われ得る。 

ターゲットグループとコミュニケーションを行う場合,組織は,次の事項を行うとよい。 

a) 組織で働く又は組織のために働く人から,広報担当者又はメディアの窓口となる人を指名する。 

b) 継続的なコミュニケーションの任務に就く前に,広報担当者に,話し方又はメディアについての教育

訓練を受けさせる。 

c) 提供する情報を作成するために,独立の第三者又はコンサルタントを利用するかどうかを検討する。 

d) インプット及びフィードバックを積極的に推進し,それに応える。 

e) 利害関係者がレビュー及び検討できるように,公表についての事前通知を行うように努める。 

f) 

コミュニケーションのタイミングが,組織内の業務サイクル,社外イベント,利害関係者の都合及び

関心に適切であることを確実にする。 

g) 進行役又はまとめ役を利用するかどうかを検討する。 

h) 専門用語,過度に専門的な情報又は整合性のない情報を避ける。 

i) 

ターゲットグループの関心及びニーズによって伝えられる多様な実行可能なコミュニケーションの進

め方に対して柔軟である。 

環境コミュニケーション活動において,組織の提供する情報について討議する場合には,組織は,すべ

てのターゲットグループが,レビュー及び検討するのに適切な時間がかけられるように,討議の行われる

期日よりも前に十分な情報を受け取ることを確実にするとよい。組織は,市民グループが,企業又は政府

機関よりも情報のレビューに多くの時間を要求することがあり得ることも考慮に入れるとよい。 

事例3:様々な進め方及びツールを用いた環境コミュニケーション活動の実行 

1990年代半ば,ある研究施設は,近隣の人々,活動家,公選の公職者及び規制/監督機関からの強烈な

反発を引き起こした地下水汚染に関係して,幾つかの環境についての発生事象(インシデント)を経験し

た。新しい経営層の下で,施設は,環境マネジメントシステムを実施し,最終的にISO 14001の審査登録

を受けた。“著しい環境側面について外部コミュニケーションのためのプロセスを検討する”というISO 

14001の要求事項を満たすために,施設は,利害関係者の信頼を回復するための強力な外部環境コミュニ

ケーションプログラムを始めた。 

利害関係者,従業員及び経営層からなるフォーカスグループを用いて,地域参画計画の中で推奨事項が

開発され,公式なものとなった。計画の重要な側面の一つは,施設の意思決定における地域社会の参画の

価値,及びタイムリーで明確,かつ,正確な方法での情報(よいものも,悪いものも)の利用可能性につ

いての認識であった。 

施設における環境コミュニケーションは,現在,複数のレベルで行われている。会報,調査,メーリン

グリスト,ウェブサイト及び地域会議を通じて,おおまかな全体像の情報が提供される(かつ,フィード

バックが要求される。)。さらに,詳細な情報及び意思決定へのインプットについては,32の地域グループ

23 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の代表からなる地域諮問委員会が設立された。同委員会は,施設に対して問題を提示し,施設が検討して

いる決定についてのフィードバックを提供するために,定期的に会合を開いている。規制/監督機関及び

公選の公職者と協力するために,地域諮問委員会と同様の機能を果たすトップレベル円卓会議が設置され

た。さらに,従業員には,地域グループへの説明のための広報担当部署並びに個人及び地方組織からの情

報要求に応えるための派遣計画のようなプログラムを通じて,地域社会と接触することが推奨される。 

全体として,コミュニケーションプログラムは成功している。施設は,上記の諮問グループに決定を要

する新しい課題を提示し,また,それに対応する計画を通じて,それから派生する関連の課題を伝えてい

る。正式なシステムによって,情報要求の受理及び対応が確実にされている。この施設は,国内の大きな

環境コミュニケーション賞を受賞していることも知られている。 

注記 詳細は,参考文献[10]を参照。 

6.3.3 

フィードバックの記録及びフィードバックへの対応 

コミュニケーションで価値ある部分は,ターゲットグループから寄せられるフィードバックである。タ

ーゲットグループの反応を評価することによって,組織は,コミュニケーションがどのように受け取られ

たか,また,ターゲットグループがコミュニケーションを理解したかどうかを検証することができる。こ

うしたすべての側面でコミュニケーションが成功しているときでもなお,組織は,その他のターゲットグ

ループから寄せられるフィードバックを入手し,組織が利害関係者の見解を理解し,関心を払い,それら

を考慮することを示すことによって,それに対応する必要がある。 

組織のコミュニケーション活動が,こうした側面のいずれかで失敗した場合,迅速な対応が必要となる

かもしれない。コミュニケーションプロセスの失敗は,より直接的な接触及び討議を通じて,より明確な

情報を提供することによって,修復できるかもしれない。幾つかのターゲットグループによるコミュニケ

ーションに対する否定的な反応は,より深刻になるかもしれず,組織の活動に反対する前触れとなるかも

しれない。このような反応は,懸案事項を十分理解するために,精査するとよい。うまくすれば,コミュ

ニケーションの改善によって,問題が解決され得る。また,懸案事項に対処するために,活動の修正が必

要になるかもしれない。最悪の場合,計画を遅延し,懸案事項の決定を保留し,又は強い反対に直面して

取り下げなければならなくなる場合もある。 

公開文書として環境報告書又はその他の文書を発行している組織は,報告書の中にフィードバック用の

用紙を同封することもできる。このフィードバックは,組織が発行する報告書の質を継続的に改善する上

で役立つことができる。 

それぞれのコミュニケーション活動は,組織が提供しようとする情報の明確化だけではなく,組織が入

手を希望する情報の明確化を含めるとよい。活動に割り当てる資源は,フィードバックをどのように取り

扱うかの詳細を含めるとよい。意見調査で得られたフィードバックは,内部情報として取り扱ってもよい。

ただし,双方向のコミュニケーションを行っている組織は,フィードバックを真剣に考慮し,迅速な回答

を行えるようにしておかなければならない。これは,組織が,このフィードバックに基づいて必ず活動を

変更する必要があるという意味ではないが,利害関係者は,その声が届いているという確証を与えられる

ことを求めている。 

組織は,コミュニケーション活動の有効性を評価し,将来の取組みを向上させ,改善するために,得ら

れたフィードバックを利用するとよい。 

6.4 

環境コミュニケーションの評価 

組織は,環境コミュニケーションを効果的なものとするために,十分な時間をかけるとよい。必要な時

間は,コミュニケーションの性質,利害関係者及びその関心事項の数,並びに使用する媒体の種類に依存

background image

24 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。組織は,環境コミュニケーションの有効性をレビューし,評価するとよい。コミュニケーションの

有効性の評価において,組織は,次の事項を考慮するとよい。 

a) 環境コミュニケーション方針 

b) 環境コミュニケーションの原則をどのように適用しているか。 

c) その目的及び目標を達成しているか。 

d) ターゲットグループに提供された情報及び環境コミュニケーション活動の質並びに適切性 

e) 環境コミュニケーションの実行方法 

f) 

利害関係者の応答 

g) コミュニケーションプログラムが,ターゲットグループとの効果的で意義のある対話を促進している

か。 

h) 手順及び進め方は透明であったか。 

i) 

環境コミュニケーションが,ターゲットグループのニーズに応えたか。 

j) 

ターゲットグループが,自らのことを聴いてもらっているということ,及びどのようにそのインプッ

ト情報が活用されることになっているかということを知っていたか。 

k) ターゲットグループが,環境コミュニケーションの目的及び内容を理解したか。 

l) 

ターゲットグループが提起した問題に,適切なフォローアップが行われたか。 

評価の結果は,環境コミュニケーション方針のトップマネジメントによるレビューの基礎とするとよい。 

実践の手引8−環境コミュニケーション指標 

前もって設定した環境コミュニケーション目的及び目標が達成されているかどうかを監視するため

に,組織は,環境コミュニケーション指標を利用するとよい。指標は,重要なステップ及び様々な当

事者の関心について追跡調査ができるように,慎重に選択又は設定するとよい。 

組織が利用する他の指標と同じように,環境コミュニケーション専用の指標は,簡単で,正確で,

理解しやすく,かつ,それらが関係するプロセスに適したものであるとよい。一連のすぐれた環境コ

ミュニケーションの指標は,定量的及び定性的な情報を表すものであるとよい。 

幾つかの例を,次に示す。 

− 環境活動に従事する組織の部門への単位時間当たりの訪問者数(例えば,訪問者数/年) 

− 環境課題について利害関係者から受け取った単位時間当たりの手紙/通話/電子メールの数(例

えば,電子メール数/月)及び否定的又は肯定的である内容の分析 

− ある環境側面,活動又は問題についての苦情の数若しくは比率 

− 応募した賞の数 

− 受賞した賞の数 

− メディアに取り上げられた記事の数 

− ウェブサイト上の組織の環境情報ページへのアクセス件数(例えば,アクセス件数/月) 

− 組織のアンケート/調査への回答率 

− 実行した外部支援活動の回数,及び評価アンケート/調査を通じてターゲットグループに最も有

効だった活動の分析 

6.5 

マネジメントレビューの実行及び改訂の計画 

トップマネジメントは,6.4に記述する評価の結果に基づいて,環境コミュニケーション方針又はその他

25 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の方針及び戦略をレビューし,改訂することを望むこともある。レビューには,環境コミュニケーション

方針,戦略及び活動を含んだ環境コミュニケーションの改善並びに変更の必要性を評価する機会を含める

とよい。組織は,組織で働く又は組織のために働く人の幅広い参画を確実にするとよい。 

変更の必要性を決定する場合,組織は,次のことを行うとよい。 

a) 環境コミュニケーションのために準備された資源の妥当性を評価する。 

b) データ収集プロセスを評価する。 

c) 利害関係者に提供される情報(情報開発プロセスを含む。)に必要となる改善と,コミュニケーション

プロセス(採用した進め方を含む。)に必要となる改善とを区別する。 

コミュニケーション方針,戦略及び活動を変更するかどうかを決定する場合,組織は,利害関係者がそ

の変更をどのように受け止めるかに配慮し,その理由を伝達するとよい。 

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26 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(参考) 

JIS Q 14000ファミリー規格内の参照表 

序文 

この附属書は,JIS Q 14000ファミリー規格における参照を記載するものであって,規定の一部ではない。 

環境コミュニケーションは,JIS Q 14000ファミリー規格(JIS Q 19011を含む。)全体の重要な特徴であ

る。この附属書は,環境コミュニケーション活動について言及,要求,又は助言しており,かつ,この規

格がその他の規格を実施する場合に手助けとなるかもしれない箇条,細分箇条及び附属書を記載している。

この附属書は,規格の使用者が,他の関連する環境マネジメント規格におけるコミュニケーションの要素

を適切に参照できるようにすることによって,この規格を実施する場合にも使用できる。JIS Q 14000ファ

ミリー規格内の環境コミュニケーションについての詳細は,www.iso.org/iso14063を参照されたい。 

なお,日本工業規格(以下,JISという。)が発行されていない規格については,対応国際規格を記載し

ている。 

表A.1−JIS Q 14000ファミリー規格内の参照表 

JIS/ISO規格 

箇条,細分箇条 

及び附属書 

表題 

JIS Q 14001:2004 

環境マネジメントシステム− 

要求事項及び利用の手引 

4.2 / A.2 

環境方針 

4.3.3 / A.3.3 

目的,目標及び実施計画 

4.4.1 / A.4.1 

資源,役割,責任及び権限 

4.4.2 / A.4.2 

力量,教育訓練及び自覚 

4.4.3 / A.4.3 

コミュニケーション 

4.4.6 / A.4.6 

運用管理 

4.4.7 / A.4.7 

緊急事態への準備及び対応 

4.6 / A.6 

マネジメントレビュー 

JIS Q 14004:2004 

環境マネジメントシステム− 

原則,システム及び支援技法の一般指針 

4.1.4 

初期環境レビュー 

4.2 

環境方針 

4.3.2 

法的及びその他の要求事項 

4.3.3.1 

目的及び目標の設定 

4.4 

実施及び運用 

4.4.1 

資源,役割,責任及び権限 

4.4.3 

コミュニケーション 

4.4.4 

文書類 

4.4.6.1 

運用管理に対するニーズの把握 

4.4.7 

緊急事態への準備及び対応 

4.5.3 

不適合並びに是正処置及び予防処置 

4.6.1 

環境マネジメントシステムのレビュー 

JIS Q 14015:2002 

環境マネジメント− 

用地及び組織の環境アセスメント(EASO) 

4.2.5 

アセスメント計画 

5. 

報告 

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27 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−JIS Q 14000ファミリー規格内の参照表(続き) 

JIS/ISO規格 

箇条,細分箇条 

及び附属書 

表題 

ISO 14020:2000 a) 

環境ラベル及び宣言−一般原則 

環境ラベル及び宣言の目的 

4.5 

原則4 

4.9 

原則8 

4.10 

原則9 

JIS Q 14021:2000 a) 

環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張

(タイプⅡ環境ラベル表示) 

4. 

自己宣言による環境主張の目的 

5.9 

その他の情報又は主張 

6.5 

情報へのアクセス 

JIS Q 14024:2000 a) 

環境ラベル及び宣言−タイプI環境ラベル表示 

−原則及び手続 

4. 

タイプⅠ環境ラベル表示の目的 

6.2 

利害関係者との協議 

6.6 

報告及び公表 

ISO 14025:2006 a) 

環境ラベル及び宣言−タイプIII環境宣言− 

原則及び手続 

目的 

5.5 

利害関係者の参画 

5.9 

透明性 

6.5 

利害関係者の参画 

JIS Q 14031:2000 

環境マネジメント− 

環境パフォーマンス評価−指針 

3.1 

概要 

3.3.4 

情報の評価 

3.3.5 

報告及びコミュニケーション 

3.4 

EPEのレビュー及び改善(チェック及び行
動) 

ISO/TR 14032:1999 

環境マネジメント− 

環境パフォーマンス評価(EPE)の実施例 

3.2.4 

データ及び情報の使用 

附属書A〜Q 

適用の事例 

ISO 14040:2006 

環境マネジメント− 

ライフサイクルアセスメント− 

原則及び枠組み 

4.1 

LCAの原則 

報告 

7.3.3 

利害関係者の識者によるクリティカル 
レビュー 

ISO 14044:2006 

環境マネジメント− 

ライフサイクルアセスメント− 

要求事項及び指針 

4.2.2 

研究の目的 

報告 

6.3 

利害関係者の識者によるクリティカル 
レビュー 

JIS/TS Q 0009:2004 

環境マネジメント− 

ライフサイクルアセスメント− 

データ記述書式 

4.2 

報告 

JIS Q 14050:2003 

環境マネジメント−用語 

すべて 

用語及び定義 

ISO/TR 14061:1998 b) 

森林経営組織がISO 14001及びISO 14004環境 
マネジメントシステム規格を使用する際の情報 

森林組織の環境マネジメントシステムの 
自己宣言,第2者監査及び第3者審査登録 

コミュニケーション 

JIS/TR Q 0007:2003 

環境適合設計 

5.4 

コミュニケーション 

ISO 14064-1:2006 

温室効果ガス−第1部:温室効果ガスの排出 

及び除去の定量化並びに報告のための 

組織レベルでの手引付き使用 

原則 

GHG 報告 

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28 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−JIS Q 14000ファミリー規格内の参照表(続き) 

JIS/ISO規格 

箇条,細分箇条 

及び附属書 

表題 

ISO 14064-2:2006 

温室効果ガス−第2部:温室効果ガスの排出又
は除去強化の定量化,監視及び報告のためのプ

ロジェクトレベルでの手引付き使用 

原則 

GHGプロジェクトの紹介 

5.2 

プロジェクトの説明 

5.13 

GHGプロジェクトの報告 

ISO 14064-3:2006 

温室効果ガス−第3部:温室効果ガス主張の 

妥当性確認及び検証のための手引付き使用 

原則 

JIS Q 19011:2003 

品質及び/又は環境マネジメントシステム監査

のための指針 

5.4 

監査プログラムの実施 

6.5.1 

初回会議の開催 

6.5.2 

監査中の連絡 

6.5.7 

最終会議の開催 

注a) これらの規格は,製品環境コミュニケーションに関連する。 

b) 廃止規格 

29 

Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] 

JIS Q 14001:2004,環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引 

[2] 

ISO 14020:2000,Environmental labels and declarations−General principles 

[3] 

JIS Q 14021:2000,環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプⅡ環境ラベル表示) 

[4] 

JIS Q 14024:2000,環境ラベル及び宣言−タイプⅠ環境ラベル表示−原則及び手続 

[5] 

ISO 14025:2006,Environmental labels and declarations−Type Ⅲ environmental declarations−Principles 

and procedures 

[6] 

JIS Q 14031:2000,環境マネジメント−環境パフォーマンス評価−指針 

[7] 

ISO/TR 14032:1999,Environmental management−Examples of environmental performance evaluation 

(EPE) 

[8] 

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Q 14063:2007 (ISO 14063:2006) 

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Sustainability Reporting Toolkit 

http://www.sustainabilityreporting.ca