P 8252:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)/財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,ISO 2114:1997,Paper,board and pulps−Determination of residue (ash) on ignition at 900
degrees Cを基礎として用いた。
JIS P 8252には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
P 8252:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 原理 ······························································································································ 2
5. 装置及び器具 ·················································································································· 2
5.1 耐熱るつぼ ··················································································································· 2
5.2 マッフル炉 ··················································································································· 2
5.3 はかり ························································································································· 2
5.4 デシケータ ··················································································································· 2
6. 試料の採取及び試験片の調製 ····························································································· 2
7. 操作 ······························································································································ 2
8. 計算 ······························································································································ 3
9. 精度 ······························································································································ 3
10. 報告 ···························································································································· 3
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 4
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
P 8252:2003
紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−
900 ℃燃焼法
Paper, board and pulps−Determination of residue (ash) on ignition
at 900 degrees C
序文 この規格は,1997年に第4版として発行されたISO 2114,Paper,board and pulps−Determination of
residue (ash) on ignition at 900 degrees Cを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。変更の一覧表をそ
の説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,紙,板紙及びパルプを900 ℃で燃焼した際の灰分を測定する方法について規
定する。この規格は,すべての種類の紙,板紙及びパルプに適用する。測定限界は約0.2 %である(1)。
注(1) 7.では,最低10 mgの残さが必要である。これに相当する試料の質量は5 gである。試料の質量
を増加すれば,この測定限界を小さくすることが可能である。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 2114:1997,Paper,board and pulps−Determination of residue (ash) on ignition at 900 degrees C
(MOD)
参考 この規格の方法では,炭酸カルシウムは分解する。炭酸カルシウムを含む,又は含む可能性の
ある試料を測定する方法については,JIS P 8251(紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−525 ℃
燃焼法)がある。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 6201 化学分析用白金るつぼ
JIS P 0001 紙・板紙及びパルプ用語
JIS P 8110 紙及び板紙−平均品質を測定するためのサンプリング方法
備考 ISO 186 : 1994,Paper and board−Sampling to determine average qualityからの引用事項は,こ
の規格の該当事項と同等である。
JIS P 8127 紙及び板紙−水分試験方法−乾燥器による方法
備考 ISO 287 : 1985,Paper and board−Determination of moisture content−Oven-drying methodからの
引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS P 8201 製紙用パルプの試料採取方法
2
P 8252:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考 ISO 7213 : 1981,Pulps−Sampling for testingからの引用事項は,この規格の該当事項と同等で
ある。
JIS P 8203 パルプ−絶乾率の試験方法
備考 ISO 638 : 1978,Pulps−Determination of dry matter contentからの引用事項は,この規格の該当
事項と同等である。
JIS R 1301 化学分析用磁器るつぼ
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001によるほか,次による。
a) 灰分 (residue on ignition) この規格に規定する方法によって,900 ℃±25 ℃のマッフル炉の中で紙,
板紙又はパルプの試料を燃焼させた後の残さの量。
4. 原理 試験片を,耐熱るつぼに入れて質量を測定し,900 ℃±25 ℃のマッフル炉の中で燃焼し,灰化
する。また,別の試験片で含有水分率を測定しておく。灰分(%)は,燃焼残さの質量と試料の含有水分率か
ら求めた,絶乾状態の試験片の質量に対する比率として算出する。
5. 装置及び器具
5.1
耐熱るつぼ JIS H 6201に規定する白金るつぼ,JIS R 1301に規定する磁器るつぼ,又はシリカ製
るつぼで,容量50 ml〜100 mlのもの。
5.2
マッフル炉 900 ℃±25 ℃の温度を維持することができるもの。
備考 フード内に設置するか,煙及び臭気を排出する装置を備えることが望ましい。
5.3
はかり 感量0.1 mgのもの。
5.4
デシケータ
6. 試料の採取及び試験片の調製 JIS P 8110又はJIS P 8201に規定する方法によって,紙,板紙又はパ
ルプの代表的な試料を採取する。2回以上の灰分測定及び水分測定ができる試料を用意する。試験片は,
完全に試料の代表となるように試料の様々な部分から1 cm2以下の小片として採取する。試験片の総質量
は,絶乾で1 g以上とし,灰分の質量が10 mg以上,望ましくは20 mg以上とする。
7. 操作 操作は,次による。
a) 灰分測定用試験片及び水分測定用試験片を,実験室雰囲気で平衡水分に達するまで調湿する。
b) JIS P 8127又はJIS P 8203に規定する方法によって,水分測定用試験片の水分率を測定する。
備考 試料の絶乾質量をひょう量した後,その試料を焼いて灰化させる方法を用いてもよい。
c) 空のるつぼ(5.1)をマッフル炉(5.2)に入れ,900 ℃±25 ℃で30分間から60分間加熱する。次いで,デ
シケータ(5.4)で室温まで冷却する。
d) 空のるつぼの質量を0.1 mgの精度でひょう量する。次いで,灰分測定用試験片を入れ,直ちにもう一
度ひょう量する。
e) 灰分測定用試験片を入れたるつぼを室温下でマッフル炉に入れ,炎が爆発的に生じることなく燃焼さ
せるため,及び飛散粒子の形成によって物質を消失することのないようにするため,徐々に加熱する。
f)
黒化物のほとんどが見えなくなるまで予備燃焼を行った後,900 ℃±25 ℃の燃焼温度を1時間保つ。
3
P 8252:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
備考1. 試料の燃焼残さが非常に少ない場合(例えば,灰分のないグレード),同じ試料から採取した
複数個の試験片を用いて同じるつぼで連続して燃焼させ,残さの合計が10 mg以上を得るよ
うにする必要がある。
2. 加熱時間の延長をしてはならない。これは長時間をかけてゆっくりと質量が減少する成分も
存在するためである。
g) マッフル炉からるつぼを取り出し,デシケータで室温まで冷却させる。灰化物を含むるつぼを0.1 mg
の精度で測定する。
8. 計算 計算は,次による。
r
s
100m
X
m
=
ここに, X:灰分(%)
mr:残さの質量(g)。残さを含む,るつぼの質量から空のるつぼの
質量を差し引いたもの。
ms:試験片の絶乾質量(g)。2回の含有水分率測定値の平均値を用
い,算出する。
2回の灰分(%)の平均値を計算し,JIS Z 8401によって,結果が1 %以上の場合は丸めの幅0.1 %に,1 %
未満の場合は丸めの幅0.01 %に丸める。
9. 精度(参考) 12の試験機関において,この規格に従って灰分の測定を実施した。6種の試料を各試
験機関で2回測定した。その結果を表1に示す。
表 1
試料
平均値(%)
各試験機関内の標準偏
差の平均値(%)
各試験機関間の標準偏差
(%)
針葉樹材クラフトパルプ
(Kraft softwood pulp)
0.1
0.01
0.07
広葉樹材クラフトパルプ
(Kraft hardwood pulp)
0.5
<0.01
0.11
非塗工紙(CaCO3含有)
(Uncoated paper with CaCO3)
8.3
0.08
0.46
非塗工紙(CaCO3非含有)
(Uncoated paper without CaCO3)
8.8
0.05
0.10
塗工紙(CaCO3非含有)
(Coated paper without CaCO3)
21.2
0.15
0.26
塗工紙(CaCO3含有)
(Coated paper with CaCO3)
28.2
0.15
0.24
10. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記録する。
a) 試験規格名称又は規格番号
b) 試験年月日及び試験場所
c) 試料の詳細
d) 灰分(8.で求めた結果)
e) この規格に記載された手順との相違,及び結果に影響する可能性のある事項
4
P 8252:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS P 8252 : 2002 紙,板紙及びパルプ−灰分試験方法−
900 ℃燃焼法
ISO 2144 : 1997 紙及び板紙−燃焼温度900 ℃にお
ける残さ(灰分)の試験方法
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びその
内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
ISO
2144
1.
IDT
2.引用規格 JIS H 6201
JIS P 0001
JIS P 8110
JIS P 8127
JIS P 8201
JIS P 8203
JIS R 1301
JIS Z 8401
2.
―
―
ISO 186
ISO 287
ISO 7213
ISO 638
―
―
MOD/追加
JISは4規格を追加
規定。
ISO規格と技術
的差異はない。
3.定義
3.
IDT
4.原理
4.
IDT
5.装置及び
器具
5.1耐熱るつ
ぼ
5.4デシケー
タ
5.1
白金,陶器
又はシリ
カ製の皿
MOD/変更
MOD/追加
JISでは容量50 ml
〜100 mlのるつぼ
へ変更。
JISにデシケータを
追加。
JIS H 6201及びJIS
R 1301を引用。
ISO 1762に合
わせた。ISO規
格と技術的差
異はない。
ISO 1762に合わ
せた。ISO規格
と技術的差異
はない。
6.試料の採
取及び試
験片の調
製
6.
7.
IDT
IDT
7.操作
b)備考
7.
MOD/追加
JISは,b)に備考(試
料の絶乾質量をひ
ょう量後に灰化さ
せる方法も可とす
る)を追加。
手順は変わる
が結果は同じ
ため。ISOに提
案。
8.計算
JIS Z 8401
結果が1 %以
下の場合の丸
めの幅を
0.01 %とす
る。
8.
MOD/追加
MOD/追加
JISは,数値の丸め
方にJIS Z 8401を引
用。
JISは結果が1 %以
下の場合の丸めの
幅を0.01 %として
いる。
ISO規格と技術
的差異はない。
ISO 1762に合わ
せた。ISOに提
案。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
国際
規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的
差異の項目ごとの評価及びその
内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと国際
規格との技術
的差異の理由
及び今後の対
策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
9.精度(参
考)
9.
IDT
10.報告
10.
IDT
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1.
項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− IDT……………技術的差異がない。
− MOD/追加……国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− MOD/変更……国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− MOD …………国際規格を修正している。