2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
P 8201-1996
製紙用パルプの試料採取方法
Pulps−Sampling for testing
1. 適用範囲 この規格は,製紙用のベールパルプ又はラップパルプの荷口水分試験及び物理・化学試験
用試料を採取する方法について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 7516 金属製直尺
JIS C 9605 携帯電気ドリル
JIS P 0001 紙・パルプ用語
JIS Z 8101 品質管理用語
JIS Z 9031 ランダム抜取方法
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 7213 : 1981 Pulps−Sampling for testing
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001及びJIS Z 8101によるほかは,次のと
おりとする。
(1) ベールパルプ シート状のパルプを荷造り機で圧縮して縛ったパルプの包み。
(2) ラップパルプ ウェットマシンですいて折り畳んだパルプ。
(3) 抜取個数 抜取検査に供するベールパルプ又はラップパルプの個数。
なお,抜取個数は,ロットの大きさに応じて,この規格で規定する数式又は表によって決める。
(4) 抜取試料 抜取検査に供するために選別されたベールパルプ又はラップパルプから,この規格の手順
に従って採取された,ベールパルプ又はラップパルプに対応する個々の試料。
(5) 集合試料 抜取試料の集合体。
3. 抜取個数 抜取個数は,ロットの大きさに応じて次の式によって算出する。
N
n=
ここに,
n: 抜取個数
N: ロットの大きさ
抜取個数nは,ロットの大きさNの21乗よりも多い個数を原則とする。ただし,ロットの大きさNが1
個から10個まではロットの大きさNを抜取個数nとし,ロットの大きさNが11個から100個までは,抜
取個数nは10個とする。
また,ロットの大きさNが1 000個までは抜取個数nの数式に従うが,ロットの大きさNが1 000個を
超えるときには,抜取個数nは32個とする。
なお,ロットの大きさNの21乗に小数点以下の端数が出たときは,端数を切り上げた整数を抜取個数n
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とする。
参考 ロットの大きさNに対する抜取個数nのおおよその目安を,参考表1に示す。
参考表1 ロットの大きさNと抜取個数nの目安
ロットの大きさ N
抜取個数 n
ロットの大きさ N
抜取個数 n
1〜10
N
501〜600
25
11〜100
10
601〜700
27
101〜200
15
701〜800
29
201〜300
18
801〜900
30
301〜400
20
901以上
32
401〜500
23
4. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。
(1) 円盤切取り具 図1に示す刃を取り付けた携帯手動ドリル又はJIS C 9605に規定する携帯電気ドリル
を使用する。
(2) カッター ベールパルプ又はラップパルプから抜取試料を採取するためのカッター。
(3) 直尺 JIS B 7516に規定する金属製直尺,2級に準じるもの。
(4) 長尺板 ベールパルプ又はラップパルプから抜取試料を採取するための長尺板。
(5) 保管容器 ベールパルプ又はラップパルプから採取した抜取試料及び集合試料を保管するための容器,
又は試料の水分の脱着や汚染から保護するための容器(ポリエチレン製の袋でもよい。)。
図1 円盤切取り具の刃の一例
5. 操作 操作は,次による。
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5.1
ベールパルプ又はラップパルプの選別 ロットの大きさによって決められた個数のベールパルプ又
はラップパルプを,同一のロットの中から選別する。選別するベールパルプ又はラップパルプは,JIS Z
9031に規定する方法によって行う。
なお,選別するベールパルプ又はラップパルプは,荷姿が完全なものから選ぶ。
5.2
抜取試料の採取 選別されたベールパルプ又はラップパルプから,次の標準方法又は簡易方法によ
って,抜取試料を採取する。
参考1. 標準方法は,ロットの水分や物性を測定する試料を採取するための抜取方法であり,ロット
の標準的な試料が得られる。
2. この簡易方法は,包装されたままの状態で試料を採取するための簡便な抜取方法であり,標
準方法に比べ,ロットの代表試料としては,若干精度が劣る。
5.2.1
標準方法 標準方法は,次による。
(1) 円盤試料採取方法 ベールパルプの場合には,円盤切取り具によって,直径100±5mmの穴を深さ75
±2mmまで開けて,次の方法で1ベール当たり10枚の円盤を採取し,荷口水分試験用抜取試料とす
る。
包装紙2枚目のところで
1枚
深さ25±2mmのところから
2枚
深さ50±2mmのところから
3枚
深さ75±2mmのところから
4枚
試料の採取位置は5ベールを1組として,図2に示す位置で行う。第1ベールは対角線上の角端か
ら円周が40±5mm離れたところ(A)で,第2ベールは第1円盤に相当する位置と中心との中央(B)で,
第3ベールは中心(C)で,第4及び第5ベールは,それぞれ第2及び第1ベールの対称の位置(D及び
E)で採取し,これを繰り返す。最後の組が5ベールに満たない場合は,採取できるところまで円盤
を採取する。
荷口水分試験用抜取試料を採取した残りの円盤から絶乾量として少なくとも100gを物理・化学試験
用抜取試料とする。
図2 ベールパルプの試料採取位置
(2) 長尺試料採取方法 特にラップパルプのように,パルプマシンの取り幅の位置が明らかな場合は,各
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幅の位置を均等に取ることによって,採取した試料の精度を上げることができる。
選別したラップパルプは乾湿の差が著しくない場所から抜き取った5ラップを1組として,それら
を広げたマシン方向の中程で,マシン方向に対し直角に全幅にわたり,幅50.0±0.5cmを切り取り,
これを5等分し,第1ラップは図3の1の部を採取し,第2ラップは2の部を採取し,順次第5ラッ
プは5の部を採取し,それぞれ荷口水分試験用抜取試料とし,これを繰り返す。
荷口水分試験用抜取試料の隣接の位置から絶乾量として少なくとも100gを採取し,物理・化学試験
用抜取試料とする。
図3 ラップパルプの試料採取位置
5.2.2
簡易方法 簡易方法は,次による。
(1) 円盤試料採取方法 針金で縛ってあるベールパルプでは,針金を避け,シートの端から70〜80mm以
上離れた場所で円盤切取り具によって,直径100±5mmの円盤状にパルプを切り取る。円盤を切り取
る深さ及び採取位置は,受渡当事者間の協定による。採取する円盤の枚数は,1個のベールから絶乾
量として約1kgを採取し,そのうち10枚を荷口水分試験用抜取試料とし,その残りの円盤から絶乾量
として少なくとも100gを量り採り,物理・化学試験用抜取試料とする。
(2) 長尺試料採取方法 針金で縛ってあるラップパルプでは,針金を避けてカッターで適切な大きさに切
り取る。試料の採取位置は,受渡当事者間の協定による。切り取ったパルプは,外側の5枚は試料か
ら外し,また,包みの端から70〜80mmのパルプも試料から取り除き,1個のラップから1 000cm2を
荷口水分試験用抜取試料とする。荷口水分試験用抜取試料を採取した残りから絶乾量として少なくと
も100gを量り採り,物理・化学試験用抜取試料とする。
5.3
試料の保管 試料の保管は,次による。
(1) 荷口水分試験用集合試料 各抜取試料を集め,荷口水分試験用集合試料とする。採取した試料は,直
ちに保管容器に入れて,外気湿度の影響を遮断するように対処して保管する。
(2) 物理・化学試験用集合試料 採取した抜取試料は,適切な大きさに引き裂き,十分に混ぜ合わせた後,
絶乾量として約1kgを量り採り,物理・化学試験用集合試料とし,保管容器に入れて保管する。
6. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記録する。
(1) 規格名称又は規格番号
(2) ロットの情報
(3) 試料の採取年月日と試験場所
(4) ロットの合計量とロットの大きさ
(5) 採取した試料の量
(6) 抜取個数
(7) その他必要とする事項
関連規格 ISO 801-1 : 1979 (E) Pulps−Determination of saleable mass in lots−Part 1 : Pulp baled in sheet
form
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ISO 801-2 : 1979 (E) Pulps−Determination of saleable mass in lots−Part 2 : Pulps (such as
flash-dried pulps) baled in slabs
JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
臼 田 誠 人
宇都宮大学
(副委員長)
飯 田 清 昭
紙パルプ技術協会
橋 本 城 二
通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
高 橋 孝 一
通商産業省通商産業検査所
山 崎 秀 彦
大蔵省印刷局
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
時 國 治 夫
東海パルプ株式会社
吉 田 芳 夫
新王子製紙株式会社
吉 沢 和 雄
高崎製紙株式会社
内 藤 勉*
日本製紙株式会社
佐久間 雅 義
北越製紙株式会社
外 山 孝 治
三菱製紙株式会社
山 崎 晃
日本たばこ産業株式会社
大豆生田 章
大日本印刷株式会社
細 村 弘 義
富士ゼロックス株式会社
立 田 茂 典
熊谷理器工業株式会社
塚 原 登
株式会社東洋精機製作所
(事務局)
大 石 哲 久
紙パルプ技術協会
備考 所属は当時。*は解説執筆者