P8141 : 2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,紙パルプ技術協会
(JAPAN TAPPI)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの
申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS P 8141:1996は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 8787:1986,Paper and board−
Determination of capillary rise−Klemm methodを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS P 8141には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
P 8141 :2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
4. 原理 ······························································································································ 2
5. 装置及び器具 ·················································································································· 2
5.1 浸せき容器 ··················································································································· 2
5.2 つり下げ具 ··················································································································· 2
5.3 目盛板 ························································································································· 2
5.4 タイマ ························································································································· 2
5.5 クリップ ······················································································································ 2
5.6 鉛筆 ···························································································································· 2
5.7 水 ······························································································································· 2
6. 試験片の採取及び調製 ······································································································ 3
7. 操作 ······························································································································ 3
8. 試験結果の表し方 ············································································································ 4
9. 精度(参考) ·················································································································· 4
10. 報告 ···························································································································· 4
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ······································································ 5
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
P 8141:2004
紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法
Paper and board−Determination of water absorptiveness(capillary rise)−
Klemm method
序文 この規格は,1986年に第1版として発行されたISO 8787:1986,Paper and board−Determination of
capillary rise−Klemm methodを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,紙及び板紙のクレム法による吸水度の試験方法について規定する。この規格
は,吸取紙のような無サイズ紙や比較的吸水性の高い紙に適用する。
この測定方法は,吸水高さが5 mm未満の紙及び板紙には適さない。そのような紙及び板紙については,
JIS P 8140 紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法がより適している。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 8787:1986,Paper and board−Determination of capillary rise−Klemm method (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS P 0001 紙・板紙及びパルプ用語
JIS P 8110 紙及び板紙−平均品質を測定するためのサンプリング方法
備考 ISO 186:1994 Paper and board−Sampling to determine average qualityが,この規格と一致して
いる。
JIS P 8111 紙,板紙及びパルプ−調湿及び試験のための標準状態
備考 ISO 187:1990 Paper, board and pulps−Standard atmosphere for conditioning and testing and
procedure for monitoring the atmosphere and conditioning of samplesが,この規格と一致している。
JIS Z 8401 数値の丸め方
ISO 3696 Water for analytical laboratory use−Specification and test methods
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001によるほか,次による。
2
P 8141 :2004
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a) クレム吸水度 紙の下端を鉛直に水の中に浸せきし,毛管現象によって,10分間に水が上昇した高さ
(mm)。
4. 原理
a) 試験片の下端を鉛直に水の中に浸せきし,毛管現象によって,10分間に水が上昇した高さを測定する。
b) 測定は,開放型の容器を用いてJIS P 8111に規定する標準条件で行い,水が上昇した高さをカセトメ
ータ又は目盛板で測定する。
5. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。装置の一例を,図1に示す。
5.1
浸せき容器 試験片の長さ方向の一端を,必要な深さに浸せきできる大きさの容器。
5.2
つり下げ具 試験片を鉛直につるすことができ,かつ,試験片の長さ方向の一端を15 mmの深さに
浸せきできる構造とする。
5.3
目盛板 浸せきした試験片の水の上昇した高さをmm単位で測定できるもの。
参考 2点間の鉛直距離を測定するための器具であるカセトメータを使用することによって,測定精度
が向上し,水の上昇した高さの読み取りが容易になる。
5.4
タイマ タイマは,測定時間を秒単位で計れるもの(警報付きのものが望ましい。)。
5.5
クリップ 試験片の一端に取り付け,重みによって試験片の一端を水中に確実に浸せきさせるため
の金属製のクリップ。
5.6
鉛筆 試験片に標線を引くために使用する。
5.7
水 ISO 3696,グレード3(1) に規定する蒸留水,又は蒸留水と同等の結果が得られる脱イオン水又
は飲料水。
注(1) pH(25 ℃)5.0〜7.5,電気伝導率(mS/m,25 ℃)<0.5,被酸化性物質(mgO/l)<0.4全蒸発
残留物(mg/kg,110 ℃)<2
3
P 8141 :2004
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図 1 クレム吸水度測定装置の一例
6. 試験片の採取及び調製
a) 試験片は,JIS P 8110に規定する方法によって採取した試験用紙から採取し,JIS P 8111に規定する標
準条件で前処置する。
b) 試験片の寸法は,幅15±1 mm,長さ200 mm以上とし,正確に縦方向及び横方向にそれぞれ10枚採
取する。採取に当たっては,つり下げに必要な長さを余分に確保する。
備考 200 mm以上の長さの試験片を採取できない場合は,可能な限りの長さを取り,紙の断面同士
をすき間がないように密着させて,吸水性がなく,かつ,疎水性のフィルムなどの材料を裏当
てしてステープラでつなぎ,必要長さを確保する。
c) それぞれの試験片の短辺から15 mmのところに平行に鉛筆で標線を引く。その標線と短辺の間に,水
に浸せきさせるためのクリップ又はおもりを取り付ける。
備考 図1に示した装置を用いる場合は,クリップ又はおもりを取り付ける必要がない。
7. 操作 操作は次による。
a) 操作は,JIS P 8111に規定する標準条件で行う。
b) 装置を水平に調節する。
c) 浸せき容器を23±1 ℃の水で満たし,それぞれの試験片の標線を引いてない端を,つり下げ具に取り
付ける。試験片の標線が一直線になっていることを確認し,標線まで素早く水に入れ,タイマをスタ
ートさせる。
4
P 8141 :2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) カセトメータを使用する場合は,始めにゼロ点を試験片の標線に合わせておき,10分±10秒間に水が
上昇した高さを,mm単位で読み取る。
e) 目盛板が装置と一体になって取り付けてある場合には,10分±10秒間に水が上昇した高さを,mm単
位で読み取る。
f)
物差しを使用する場合は,10分±10秒後に鉛筆で水が上昇した高さに印を付けて,mm単位で読み取
る。
g) 水が上昇した高さが水平でない場合は,平均の高さを読み取る。カセトメータを使用した場合には,
メニスカスの最も低い位置を読み取る。
備考1. 紙中の可溶分が水中に溶出することによって,測定結果に影響を及ぼす場合がある。この影
響を少なくするため,1回の試験を行うごとに,水を入れ替える必要がある。
2. 吸水性の高い試験片の場合は,測定時間を短縮してもよいが,その旨報告に記録する。
3. 照明を用いることによって,水が上昇した高さの読み取りが容易となる。
8. 試験結果の表し方 縦方向及び横方向について,それぞれ10点の平均値を求め,JIS Z 8401に規定す
る方法によって,丸めの幅1に丸める。クレム吸水度はmmの単位で表示する。
9. 精度(参考) 6か所の研究所において7種類の紙について試験した結果,繰り返し精度は10 %,再
現精度は約20 %であった。
10. 報告 報告には,必要に応じて次の事項を記録する。
a) 規格名称又は規格番号
b) 試験片の種類及び名称
c) 試験年月日及び試験場所
d) 調湿条件及び水の温度
e) 縦方向及び横方向それぞれのクレム吸水度の平均値
f)
その他必要とする事項
5
P 8141 :2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS P 8141:2004 紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法
ISO 8787:1986 紙及び板紙−毛管上昇の
測定方法−クレム法
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技
術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示個所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと
国際規格と
の技術的差
異の理由及
び今後の対
策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異
の内容
1. 適用範囲
ISO 8787
1.
IDT
2. 引用規格 JIS P 0001
JIS P 8110
JIS P 8111
JIS Z 8401
ISO 3696
2.
−
ISO 186
ISO 187
−
ISO 3696
MOD/追加
IDT
IDT
MOD/追加
IDT
JISは2規格
を追加
ISO規格と
技術的差異
はない。
3. 定義
クレム吸
水度の定
義を記述
−
−
MOD/追加
ISO規格と
技術的差異
はない。
4. 原理
3.
IDT
5. 装置及び
器具
図1
5.6 鉛筆
5.7 水
−
5.6
4.
−
消えない鉛
筆が望まし
い
MOD/追加
MOD/変更
IDT
JISは図1に
装置の一例
を追加。
JISは(試験
片に標線を
引くために
使用する)と
記述
JISは5.装置
及び器具に
記述
国際規格の
見直しの際
ISOに提案
測定結果に
影響はない
ため技術的
差異はない。
6. 試験片の
採取及び調
製
b)
b)備考
6.
6. 備考
MOD/追加
MOD/追加
JISはb)に
(採取に当
たっては,つ
り下げに必
要な長さを
余分に確保
する)を追
加。
JISはb)に
備考(紙の断
面同士をす
き間がない
ように密着
させて,吸水
性がなく,か
国際規格の
見直しの際
ISOに提案。
国際規格の
見直しの際
ISOに提案。
6
P 8141 :2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS P 8141:2003 紙及び板紙−吸水度試験方法−クレム法
ISO 8787:1986 紙及び板紙−毛管上昇の
測定方法−クレム法
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際規
格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技
術的差異の項目ごとの評価
及びその内容
表示個所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ)JISと
国際規格と
の技術的差
異の理由及
び今後の対
策
項目番号
内容
項目番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異
の内容
C)備考
MOD/追加
つ,疎水性の
フィルム等
の材料を裏
当てしてス
テープラで
つなぎ,)を
追加。
JISはc)に
備考(図1に
示した装置
を用いる場
合は,クリッ
プ又はおも
りを取り付
ける必要が
ない。)を追
加
国際規格の
見直しの際
ISOに提案。
7. 操作
B)
7.
MOD/追加
JISはb)に
(装置を水
平に調節す
る。)を追加。
国際規格の
見直しの際
ISOに提案。
8. 試験結果
の表し方
JIS Z 8401
8.
MOD/追加
JISは,数値
の丸め方に
JIS Z 8401
を引用。
ISO規格と
技術的差異
はない。
9. 精度
9.
IDT
10. 報告
10.
IDT
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−IDT ·················· 技術的差異がない。
−MOD/削除 ········· 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
−MOD/追加 ········· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
−MOD/変更 ········· 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD ················ 国際規格を修正している。