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P 8140 : 1998

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS P 8140 : 1976は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,対応国際規格,ISO 535 : 1991, Paper and board−Determination of water absorptiveness−

Cobb methodとの整合化を行った。

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

日本工業規格          JIS

P 8140 : 1998

紙及び板紙−吸水度試験方法−

コッブ法

Paper and board−Determination of water absorptiveness−Cobb method

序文 この規格は,1991年に第2版として発行されたISO 535, Paper and board−Determination of water

absorptive-ness−Cobb methodを元に作成した日本工業規格であるが,以下の規定内容を除いて技術的内容

を変更することなく作成している。

[規定内容の相違点の概略]

①引用規格にJISを追加した。②定義に接触時間の定義を追加した。③装置及び器具に図(試験機の一例)

を追加した。④装置及び器具の吸取紙の坪量範囲を拡大した。⑤試験片の採取にJISの方法を追加した。

⑥試験片の前処置にJISの方法を追加した。⑦操作にJISの標準条件を追加した。⑧操作に試験回数を明

記した。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

1. 適用範囲 この規格は,非吸水性の紙及び板紙の片面が一定時間水に接触する場合の吸水度を試験す

る方法について規定する。

備考1. この吸水度は,例えば筆記用インキのような少量の液体が触れる場合の評価方法としては用

いてはならない。

2. この吸水度は,板紙のはっ水度とは直接関係はない。

3. この規格の対応国際規格を,次に示す。

ISO 535 : 1991 Paper and board−Determination of water absorptiveness−Cobb method

4. この規格の中のJIS又はISO規格の選択箇所は,規格全般にわたりJIS又はISO規格のどち

らか一方を選択する。

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS P 0001 紙・パルプ用語

JIS P 8110 試験用紙採取方法

JIS P 8111 試験用紙の前処置

JIS Z 8401 数値の丸め方

JIS Z 9041 測定値の処理方法

ISO 186 Paper and board−Sampling for testing

ISO 187 Paper, board and pulps−Standard atmosphere for conditioning and testing and procedure for

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

monitoring the atmosphere and conditioning of samples

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS P 0001によるほか,次による。

a) 吸水度(コッブ値) [Water absorptiveness (Cobb value)]  規定された条件下において,規定された時

間に紙又は板紙に吸収された水の質量を1m2当たりに換算した値。

参考 試験面積は,通常約100cm2である。

b) 接触時間 試験片に最初に水が触れた瞬間から,吸取紙による吸取りを開始するまでの時間。

4. 装置及び器具 装置及び器具は,次による。

a) 吸水度試験器 吸水度を測定するための試験器は,下記の条件を満たせば,どのような種類のものを

使用してもよい。

− 試験部位に水を素早く均一に接触させることができる。

− 吸収されなかった水を規定どおり素早く試験片から除去できる。

− 試験部位以外に水が付着しないように,素早く試験片を取り外せる。

− 試験器のシリンダの高さは,水深10mmの水があふれないような高さをもつ。

最も簡便な構造の吸水度試験器は,一面が平滑に仕上げられた硬い台板と内径112.8±0.2mm(試験

面積約100cm2)の金属シリンダ(1)及びしっかりと台板に固定するためのクランプから成る(図1参照)。

試験片が触れるシリンダの縁端部は,平らで,機械研磨によって滑らかに仕上げられており,試験片

を切断するおそれのない十分な厚さをもつものとする(2)。

注(1) 小さい面積のシリンダを使用する場合でも,試験面積は50cm2より小さくしないほうがよい。

(2) シリンダと試験片の表面との間から水が漏れるときは,柔軟性があり吸水性のないガスケット

を挟む。

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図1 吸水度試験器の一例

b) 金属ローラ 表面が平滑で幅200mm,直径90±10mm,質量10±0.5kgのもの。

c) はかり 精度1mg。

d) タイマ 秒の単位が読み取れ,少なくとも30分以上計測可能なもの。

e) 計量器 メスシリンダ又は所定量採取できるもの。

f)

吸取紙 坪量225g/m2〜340g/m2のもの。

g) 水 蒸留水又は脱イオン水。

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5. 試験片 試験片は,JIS P 8110又はISO 186に規定する方法によって採取した試験用紙から採る。試

験用紙をJIS P 8111又はISO 187に規定する標準条件で前処置し,折り目,しわなどの異常な部分を避け,

シリンダの外径よりも10mm以上大きく裁断する。試験片の試験部位に手や指を触れないようにし,折り

目,しわなどの欠点がないようにする。

6. 操作 操作は,JIS P 111又はISO 187に規定する標準条件下で行う。また,試験に用いる水の温度は

試験時の標準条件に一致させる。

a) 試験片が触れるシリンダの縁端部,台板の表面を乾燥させる。

b) 試験片の質量を1mg単位まで測定し,台板の上に測定面を上にして置く。シリンダの滑らかに仕上げ

られた縁端部を試験片の測定面に当ててクランプで十分締め付け,試験片とシリンダとの間から水が

漏れないようにする。

c) 100±5mlの水(試験面積100cm2のとき)又はシリンダ内の水深が10mmとなるように水を注ぐ。注

ぐと同時にタイマを作動させる。各測定ごとに新しい水を使用する。

d) タイマ作動後,表1に規定する“水を捨てるまでの時間”内に,試験部位以外に水が付着しないよう

慎重にシリンダ内の水を捨てる。素早く試験片を取り外し,試験面を上にして,平らで硬い面に置い

た乾燥した吸取紙の上に載せる。

e) 表1に規定する“吸取りを開始するまでの時間”内に,乾燥した吸取紙を試験片の上に載せる。金属

ローラを圧力を加えずに2回(1往復)転がし,余分な水分を除去する。直ちに,試験片のぬれた面

を内側にして折り,素早く質量を1mgの単位で測定する。

表1 試験時間

接触時間

(秒)

記号

水を捨てる
までの時間

(秒)

吸取りを開始

するまでの時間

(秒)

30

Cobb30

20±1

30±1

60

Cobb60

45±1

60±2

120

Cobb120

105±2

120±2

300

Cobb300

285±2

300±2

1 800

Cobb1 800

1 755〜1 815 過剰水除去後15±2

f)

試験回数 試験回数は,試験片の表及び裏についてそれぞれ5回以上行う。

g) 試験片の除外 試験後の試験片が次のような状態となったものについては計算から除外する。

1) 水がしみ通ってしまった試験片

水がしみ通ってしまった試験片が20%を超えた場合には,接触時間を減らす。

2) シリンダで押さえた部分の周りに,水漏れ跡が見られる試験片

3) 吸取り後,過剰な水が見られる試験片(表面の光沢から判断する。)

備考 試験片を除外した場合,5回以上の試験結果が得られるよう試験回数を増やす。

参考 接触時間を減らしても満足な結果が得られない場合には,この試験は適さない。

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7. 計算 吸水度の計算は,次による。

A= (m2−m1) F

ここに,

A: 吸水度(コッブ値) (g/m2)

m1: 試験片の乾燥質量 (g)

m2: 試験片の湿潤質量 (g)

F: 10 000/S

S:試験面積 (cm2)

8. 試験結果の表し方 吸水度は,JIS Z 8401に規定する方法によって,小数点以下1けたに丸める。平

均吸水度は0.5g/m2の単位で表示し,標準偏差はJIS Z 9041に規定する方法によって求める。表記方法は,

例えば,接触時間60秒,試験温度t℃のときの吸水度(コッブ値)Aは,次のようにする。

Cobb60 (A)  t℃

9. 報告 報告には,必要に応じて次の項目を記録する。

a) 規格名称又は規格番号,及びJIS又はISO規格の区分

b) 試験片の種類及び名称

c) 試験年月日及び試験場所

d) 試験片の前処置条件(温度及び湿度)

e) 試験片の試験面(表・裏)

f)

接触時間

g) 採用した試験片の数

h) 排除した試験片の数と理由

i)

平均値,最大値・最小値及び標準偏差

j)

試験面積(試験面積が100cm2以外のとき)

k) その他必要とする事項

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JIS原案作成委員会 構成表

氏名

所属

(委員長)

鈴 木 正 幸

三菱製紙株式会社

(副委員長)

飯 田 清 昭

紙パルプ技術協会

(委員)

種 岡 弘 明

通商産業省生活産業局

西 出 徹 雄

通商産業省工業技術院

橋 本 繁 晴

財団法人日本規格協会

岡 山 隆 之

東京農工大学

堀   定 男

日本製紙連合会

吉 田 芳 夫

王子製紙株式会社

内 藤   勉

日本製紙株式会社

高 柳 充 夫

王子製紙株式会社

原   啓 志

三島製紙株式会社

外 山 孝 治

三菱製紙株式会社

佐久間 雅 義

北越製紙株式会社

大豆生田  章

大日本印刷株式会社

細 村 弘 義

富士ゼロックス株式会社

熊 谷   健

熊谷理機工業株式会社

塚 原   登

株式会社東洋精機製作所

* 内 田   久

十條リサーチ株式会社

* 大 石 哲 久

紙パルプ技術協会

備考 *印は,事務局兼務

紙パルプ試験規格委員会第1分科会 構成表

氏名

所属

(第1分科会長)

吉 田 芳 夫

王子製紙株式会社

(委員)

西 出 徹 雄

通商産業省工業技術院

橋 本 繁 晴

財団法人日本規格協会

倉 田 剛 志

大蔵省印刷局研究所

江 前 敏 晴

東京大学

南 光 浩 毅

株式会社日本紙パルプ研究所(1996年6月まで)

重 本 匡 史

株式会社日本紙パルプ研究所(1996年7月から)

佐 野 文 男

大昭和製紙株式会社

古 市   浩

中越パルプ工業株式会社

石 川 軍 司

東海パルプ株式会社(1996年3月まで)

田 中 秀 紀

東海パルプ株式会社(1996年4月から同年12月まで)

佐 野   昭

東海パルプ株式会社(1997年1月から)

間 下   彰

日本加工製紙株式会社

田部井 宏 一

日本製紙株式会社(1996年6月まで)

加 納   直

日本製紙株式会社(1996年7月から)

原   啓 志

三島製紙株式会社

熊 谷   健

熊谷理機工業株式会社

塚 原   登

株式会社東洋精機製作所

* 内 田   久

十條リサーチ株式会社

* 大 石 哲 久

紙パルプ技術協会

備考 *印は,事務局兼務

解説作成者 佐野  昭