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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

P 3801-1995 

ろ紙(化学分析用) 

Filter paper (for chemical analysis) 

1. 適用範囲 この規格は,化学分析に用いるろ紙について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 8085 アンモニア水(試薬) 

JIS K 8102 エタノール (95) (試薬) 

JIS K 8142 塩化鉄 (III) 六水和物(試薬) 

JIS K 8155 塩化バリウム二水和物(試薬) 

JIS K 8374 酢酸鉛 (II) 三水和物(試薬) 

JIS K 8951 硫酸(試薬) 

JIS K 8962 硫酸カリウム(試薬) 

JIS P 8101 溶解パルプ試験方法 

2. この規格の中で,{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 種類 ろ紙の種類は,次のとおりとする。 

表1 

定性分析用 

定量分析用 

1種 粗大ゼラチン状沈殿用 

5種A 粗大なゼラチン状沈殿用 

2種 中位の大きさの沈殿用 

5種B 中位の大きさの沈殿用 

3種 微細沈殿用 

5種C 微細沈殿用 

4種 微細沈殿用の硬質ろ紙 

6種 微細沈殿用の薄いろ紙 

3. 寸法 ろ紙の寸法は,表2,表3のとおりとする。 

備考 定量分析用ろ紙は円形とし,直径は185mm以下とする。 

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P 3801-1995 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 円形ろ紙 

単位 mm 

直径 

許容差 

直径 

許容差 

55 

±2 

240 

±3 

70 

280 

90 

300 

110 

330 

125 

360 

150 

400 

185 

500 

600 

表3 角形ろ紙 

単位 mm 

600×600(大判) 

許容差±3 

560×485(小判) 

4. 原料 原料は,精選した綿繊維を主体としたものとする。 

5. 品質 

5.1 

ろ紙は清浄で均一な組織をもち,αセルロース含量・銅価・pHは,表4による。 

表4 

αセルロース含量 % 

90以上 

銅価 

1.6以下 

pH 

5.0〜8.0 

5.2 

灰分質量 

(1) 定量分析用ろ紙1枚の灰分質量は,表5による。 

表5 

単位 mg 

円形ろ紙の直径 

5種 

6種 

(mm) 

55 

0.04以下 

0.03以下 

70 

0.07以下 

0.05以下 

90 

0.10以下 

0.08以下 

110 

0.16以下 

0.12以下 

125 

0.21以下 

0.16以下 

150 

0.30以下 

0.22以下 

185 

0.45以下 

0.36以下 

(2) 定性分析用ろ紙の灰分質量は,0.2%以下とする。 

5.3 

ろ水時間・湿潤破裂強さ・沈殿保持性は,表6の規定による。 

表6 

種 類 

ろ水時間 (s) 

湿潤破裂強さ 

kPa {cmH2O} 

沈殿保持性 

下記沈殿のろ液が 

透明となること 

1種 

80以下 

1.27 {13} 以上 水酸化鉄 

2種 

120以下 

1.47 {15} 以上 硫酸鉛 

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P 3801-1995 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

種 類 

ろ水時間 (s) 

湿潤破裂強さ 

kPa {cmH2O} 

沈殿保持性 

下記沈殿のろ液が 

透明となること 

3種 

300以下 

1.96 {20} 以上 硫酸バリウム 

4種 

1 800以下 

8.83 {90} 以上 硫酸バリウム 

5種A 

70以下 

1.47 {15} 以上 水酸化鉄 

5種B 

240以下 

1.47 {15} 以上 硫酸鉛 

5種C 

720以下 

1.47 {15} 以上 硫酸バリウム 

6種 

480以下 

1.47 {15} 以上 硫酸バリウム 

備考 4種ろ紙は,沈殿をかき集めることができるように

紙の表面が硬くなければならない。 

6. 試料の採取方法 受渡当事者間の協定によって合理的な方法によって行う。 

7. 試験方法 

7.1 

αセルロース含量 JIS P 8101の5.5(αセルロース)による。 

7.2 

銅価 JIS P 8101の5.7(銅価)による。 

7.3 

pH 約100mm2に細断した試料1gを100mlの三角フラスコに入れる。煮沸蒸留水約20mlをこれに

加え,先端を平らにしたガラス棒で紙を圧して十分に水を浸透させる。次いで,更に50mlの蒸留水を加

えてかき混ぜる。 

フラスコを1時間沸騰させた後,冷却して検液とする。 

電極・標準緩衝溶液(1)・洗浄水・検液を測定温度に完全に一致させた後,ガラス電極pHメータによっ

て検液中に紙の繊維を含んだままで,pHを測定する。 

標定に当たっては,pH±0.05単位の再現性を確かめることを要し,測定に際しては検液を3部に分け,

各々について測定したとき,pHに0.1以上の差があってはならない。 

注(1) 標準緩衝溶液 pH4.0のフタル酸水素カリウム及び必要に応じて,pH7.0の第一,第二りん酸塩

混合物を用いる。 

7.4 

灰分量 少なくとも6gの試料を質量既知の容器(2)にとり,電気マッフル炉に入れ,るつぼのふたか

らの煙が止まるまで徐々に熱し,煙が止まった後ふたをとり,700±25℃で約2時間加熱して十分に灰化し,

デシケーター中で室温まで冷却して直ちにはかり,灰分量を次の式によって算出する。 

定量ろ紙1枚の灰分質量 (g) =ろ紙枚数

灰質量

)

(g 

定性ろ紙の灰分 (%) =

)

(

)

(

)

(

3

g

g

乾燥試料質量

灰質量

×100 

注(2) 容器は内容量20mlのふた付き白金るつぼを用いる。 

(3) ここでいう乾燥試料質量とは,105±2℃で乾燥し,恒量(10mgまで)になったものをいう。 

7.5 

ろ水時間 ヘルツベルヒろ過速度試験器によって予備ろ過した(4)20±2℃の蒸留水を用いて試験す

る。 

ヘルツベルヒ試験器は,図1に示すとおり,水を満たしたガラス円筒(A部)及びろ紙を緊密に挟む金

具(B部)からなり,A・B部を連結するU字管の途中には三方コックを備えている。B部の水頭とA部

における漏斗下端の距離を一定(5)に保つことによって,測定中ろ紙にかかる水圧は一定に保たれる。A部

上ふたに備え付けてある空気弁 (C) は注水その他必要に応じて開くこともあるが,測定中は弁を閉じて容

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P 3801-1995 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

器内部を気密に保つ作用をする。 

三方コックを用いてA部からB部に水を通し,B部のろ紙を通過してその上端の流出口から出る水量が

100mlに達する秒数を測定して,ろ水時間とする。 

注(4) 供試ろ紙より目の細かいろ紙又は供試ろ紙2枚を重ねて用いる。 

(5) 通常100mmとする。 

備考 ろ紙の取付面積は,1 000mm2とする。 

図1 

7.6 

湿潤破裂強さ ヘルツベルヒろ過速度試験器を用いて試験する。水高100mmでろ水時間の試験を終

わったろ紙をそのままの状態におき,直ちに破裂強さの測定を始める。上部空気弁 (C) をわずかに開くと

(6)ろ紙にかかる水圧が次第に高くなって,ろ紙が破れるに至る。このとき漏斗管中に上昇した水高をはか

って湿潤破裂強さとする。 

注(6) 漏斗管中の水が5秒間に20〜30mmの割合で上昇する程度に空気弁を開くものとする。 

P 3801-1995 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.7 

沈殿保持性 沈殿保持性は新しく沈殿させた水酸化鉄・硫酸鉛・硫酸バリウムの懸濁液を供試ろ紙

を用いて三角フラスコ中にろ過して検液とし,フラスコを軽く振った後黒紙を下においてフラスコの上部

から検液を観察して,検液が透明で肉眼で沈殿を認めない場合を合格とする。 

検液の作り方は,次のとおりとする。 

備考 1ロットから少なくとも4枚以上を試験する。 

(1) 水酸化鉄 塩化鉄 (III) 六水和物溶液(7)100mlにアンモニア水(12) (1 : 1) 10mlを加えて振り動かし,直

ちに懸濁液を各ろ紙(8)をとおして約30mlずつ別々の三角フラスコ中にろ過し,ろ紙上の沈殿をアン

モニア水 (1 : 100) で洗い,洗浄液を加えたろ液を検液とする。 

注(7) 蒸留水100ml中に塩化鉄 (III) 六水和物(12)10gを溶解する。 

(8) 4枚の供試ろ紙を常法どおりに折り畳み,別々の漏斗に当てて用いる。 

(2) 硫酸鉛 酢酸鉛溶液(9)100 mlに3mol/l硫酸(12)40ml及びエタノール (95) 80mlを加え4時間放置する。

硫酸鉛が液体中に均一になるまでかき混ぜ,直ちに各ろ紙(8)を通して約50mlずつ別々の三角フラス

コ中にろ過し,ろ紙上の沈殿を初めは硫酸 (1 : 20) で,次いでエタノール (95) (12)で洗い,洗浄液を

加えたろ液を検液とする。 

注(9) 酢酸鉛溶液[蒸留水100ml中に酢酸鉛 (II) 三水和物(12)10gを溶解する]を試験する前に3種ろ

紙でろ過しておく。 

(3) 硫酸バリウム 溶液A(10)276mlを沸点まで熱し,その温度において絶えずかき混ぜながら徐々に塩化

バリウム溶液(11)25mlを加える。この混合物を動かすことなく,2〜6時間70〜100℃で静置した後硫

酸バリウムが液体中に均一に分布するまで懸濁液をかき混ぜ,直ちに各ろ紙を通して約50mlずつろ

過し,ろ紙上の沈殿を温水で洗った後,別の三角フラスコ中に全部を集めて検液とする。 

注(10) 溶液A 硫酸カリウム(12)0.55gを275mlの水に溶解し,塩酸(比重1.18)1mlを加える。 

(11) 塩化バリウム二水和物(12)58.5gを蒸留水に溶解し,1 000mlとする。 

(12) JIS K 8085の特級 

JIS K 8142の特級 

JIS K 8951の特級 

JIS K 8102の1級 

JIS K 8374の特級 

JIS K 8962の特級 

JIS K 8155の特級 

8. 包装と表示 同じ大きさのもの100枚を単位として包装し,封じ目には次の表示をする。 

ろ紙 

種類 

寸法 

1枚の灰分質量 

以下 

数量 

製造者名 

封包年月 

備考 定性ろ紙は,灰分質量の記載を省略する。