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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 原子吸光分析法 ················································································································ 2
5.1 要旨 ···························································································································· 2
5.2 試薬 ···························································································································· 2
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 空試験 ························································································································· 3
5.6 検量線の作成 ················································································································ 4
5.7 計算 ···························································································································· 4
6 ICP発光分光分析法 ·········································································································· 4
6.1 要旨 ···························································································································· 4
6.2 試薬 ···························································································································· 5
6.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 5
6.4 操作 ···························································································································· 5
6.5 空試験 ························································································································· 6
6.6 検量線の作成 ················································································································ 6
6.7 計算 ···························································································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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マンガン鉱石−マグネシウム定量方法
Manganese ores-Methods for determination of magnesium
序文
この規格は,1985年に第1版として発行されたISO 7953を基とし,国内の実情に合わせるため,技術
的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,マンガン鉱石中のマグネシウムの定量方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 7953:1985,Manganese ores and concentrates−Determination of calcium and magnesium contents
−Flame atomic absorption spectrometric method(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 8001 試薬試験方法通則
JIS M 8203 マンガン鉱石−化学分析方法−通則
JIS Z 8401 数値の丸め方
3
一般事項
定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8203による。
4
定量方法の区分
マグネシウムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 原子吸光分析法 この方法は,マグネシウム含有率0.01 %(質量分率)以上6.0 %(質量分率)以下
の試料に適用する。
b) ICP発光分光分析法 この方法は,マグネシウム含有率0.01 %(質量分率)以上1.0 %(質量分率)
以下の試料に適用する。
2
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5
原子吸光分析法
5.1
要旨
試料を塩酸及び硝酸で分解し,不溶解残さを処理した後,原子吸光分析装置を用いてマグネシウムの吸
光度を測定する。
5.2
試薬
試薬は,次による。
5.2.1
塩酸
5.2.2
塩酸(1+1,1+50)
5.2.3
硝酸
5.2.4
ふっ化水素酸
5.2.5
硫酸(1+1)
5.2.6
マンガン 純度99.95 %(質量分率)以上でマグネシウム含有率0.005 %(質量分率)以下のもの。
5.2.7
鉄 純度99.95 %(質量分率)以上でマグネシウム含有率0.005 %(質量分率)以下のもの。
5.2.8
融解合剤(炭酸カリウム3,ほう酸1)
5.2.9
バックグラウンド溶液 マンガン(5.2.6)3.37 g及び鉄(5.2.7)0.312 5 gをはかりとってビーカー
(2 L)に移し入れ,時計皿で覆い,時計皿を少しずらして塩酸(1+1)625 mL及び硝酸25 mLを加え,
穏やかに加熱して分解する。次いで炭酸カリウム18.75 g及びほう酸6.25 gを加えて加熱して溶解する。
溶液を常温まで冷却した後,1 000 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線までうすめる。
5.2.10 塩化ランタン(III)溶液(La:100 mg/mL) 塩化ランタン(III)七水和物26.6 gを水で溶解し
て100 mLとする。
5.2.11 マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL) 調製方法は,JIS K 8001のJA.3(標準液)の表JA.4[標
準液(原子吸光法,炎光光度法及びICP発光分光分析法用)]による。保存方法は,JIS K 8001のJA.3 d)
[標準液(1 mg/mL,0.1 mg/mL及び0.01 mg/mL)の保存]に従って,ポリエチレン製の容器に保存する。
5.2.12 マグネシウム標準液(Mg:10 μg/mL) 使用の都度,マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)(5.2.11)
を必要量だけ水で正しく100倍にうすめる。
5.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
5.4
操作
5.4.1
試料の分解
試料の分解は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって,ビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。
b) 時計皿を少しずらして,塩酸(1+1)40 mLを加え,加熱して分解する。
c) 硝酸2 mLを加えて沸騰した後,時計皿の下面を少量の水で洗って時計皿を取り除き,ビーカーの内
壁を水で洗浄した後,沸騰しないように注意しながら加熱して乾固する。
d) 塩酸10 mLを加えて,再び沸騰しない温度で加熱して乾固する。引き続いて約130 ℃の熱板上で40
〜60分間加熱する。
e) 放冷した後,塩酸20 mLを加え,加熱して可溶性塩類を溶解し,温水で液量を50〜60 mLとする。
f)
ろ紙(5種B)を用いてろ過する。元のビーカーの内壁に付着した不溶解残さはポリスマンでこすり
落とした後,水でろ紙上に移す。
g) 不溶解残さ及びろ紙を塩酸(1+50)で3,4回洗浄し,次に温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液はビ
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ーカー(500 mL)に受け,主液として保存する。
5.4.2
不溶解残さの処理
不溶解残さの処理は,次の手順によって行う。
a) 不溶解残さをろ紙とともに白金るつぼ(30 mL)に移し入れる。徐々に加熱してろ紙を灰化した後,
約600 ℃で強熱する。
b) 放冷した後,硫酸(1+1)1 mL及びふっ化水素酸5〜10 mLを加え,穏やかに加熱した後,硫酸の白
煙が発生するまで加熱して二酸化けい素を揮散させ,約600 ℃で強熱して硫酸を揮散させる。
c) 放冷した後,融解合剤(炭酸カリウム3,ほう酸1)2.0 gを加え,白金製の蓋をして加熱して融解し,
続いて約1 000 ℃で約5分間加熱する。
d) 放冷した後,白金るつぼ及び蓋をビーカー(200 mL)に移し入れ,塩酸(1+1)10 mLを加えて加熱
して内容物を溶解する。溶液が白濁した場合,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,40〜60 ℃に加熱した
塩酸(1+50)及び水を用いて洗浄した後,不溶解残さは捨てる。白金るつぼ及び蓋を水で洗ってビー
カーから取り出し,溶液を5.4.1 g)で保存した主液に合わせる。液量が多くなった場合,沸騰しないよ
うに加熱して濃縮する。
e) 常温まで冷却した後,200 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。この溶
液を試料溶液とする。
5.4.3
測定溶液の調製
測定溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料中のマグネシウム含有率が0.05 %(質量分率)未満の場合 5.4.2 e)で得た試料溶液を測定溶液と
する。
b) 試料中のマグネシウム含有率が0.05 %(質量分率)以上の場合 5.4.2 e)で得た試料溶液を水で正確に
10倍に希釈し,その溶液及びバックグラウンド溶液(5.2.9)を表1に従って,100 mLの全量フラス
コにそれぞれ分取し,更に塩化ランタン(III)溶液(La:100 mg/mL)(5.2.10)5 mLを加えて,水で
標線までうすめる。
表1−マグネシウム含有率が0.05 %(質量分率)以上の場合の測定溶液調製方法
マグネシウム含有率
%(質量分率)
希釈した溶液の分取量
mL
バックグラウンド溶液添加量
mL
0.05以上 1.0未満
50
18
1.0以上 6.0以下
10
20
5.4.4
吸光度の測定
5.4.3のa)又はb)で得た測定溶液の一部を原子吸光分析装置のアセチレン・一酸化二窒素フレーム中に噴
霧して波長285.2 nmにおける吸光度を測定する。
5.5
空試験
ビーカー(300 mL)にマンガン(5.2.6)0.25 g及び鉄(5.2.7)0.025 gをはかりとり,時計皿で覆う。以
下,5.4.1のb)〜g)及び5.4.2〜5.4.4の手順に従って,試料と同じ操作を試料と併行して行う。この溶液を,
空試験液とする。
4
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5.6
検量線の作成
a) 100 mLの全量フラスコ7個を用意し,それぞれにマグネシウム標準液(Mg:10 μg/mL)(5.2.12)を0,
2.0,4.0,6.0,8.0,10.0及び15.0 mLを添加し,更に塩化ランタン(III)溶液(La:100 mg/mL)(5.2.10)
5 mL及びバックグラウンド溶液(5.2.9)20 mLを加え,水で標線までうすめて検量線溶液とする。
b) 5.4.4に従って,検量線溶液の吸光度を測定し,得た吸光度と加えたマグネシウム量との関係線を作成
し,その関係線が原点を通るように平行移動して検量線とする。
5.7
計算
5.7.1
マグネシウム含有率の算出
マグネシウム含有率の算出は,次のいずれかによる。
a) 試料中のマグネシウム含有率が0.05 %(質量分率)未満の場合 5.6で作成した検量線に,5.4.4及び
5.5で得た吸光度を挿入して,それぞれのマグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を,次
の式によって算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
100
1
2
1
×
−
m
A
A
Mg=
ここに,
Mg: 試料中のマグネシウム含有率[%(質量分率)]
A1: 測定溶液中のマグネシウム検出量(g)
A2: 空試験液中のマグネシウム検出量(g)
m1: 試料はかりとり量(g)
b) 試料中のマグネシウム含有率が0.05 %(質量分率)以上の場合 5.6で作成した検量線に,5.4.4及び
5.5で得た吸光度を挿入して,それぞれのマグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を,次
の式によって算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
100
100
10
1
1
2
4
3
×
×
×
V
m
A
A
Mg
−
=
ここに,
Mg: 試料中のマグネシウム含有率[%(質量分率)]
A3: 測定溶液中のマグネシウム検出量(g)
A4: 空試験液中のマグネシウム検出量(g)
V1: 希釈した溶液の分取量(mL)
m2: 試料はかりとり量(g)
5.7.2
酸化マグネシウム含有率の算出
酸化マグネシウム含有率[%(質量分率)]として表す場合は,5.7.1で算出した値から,次の式によっ
て算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
3
1.658
×
=Mg
MgO
ここに, MgO: 酸化マグネシウム含有率[%(質量分率)]
Mg: 5.7.1で算出した値[%(質量分率)]
6
ICP発光分光分析法
6.1
要旨
試料を塩酸,硝酸及びふっ化水素酸で分解し,過塩素酸を加え,過塩素酸の白煙を発生させた後,ろ過
する。不溶解残さはろ紙とともに強熱し,融解合剤又は二硫酸ナトリウムで融解してろ液と合わせる。こ
の溶液をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,マグネシウムの発光強度を測定する。
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6.2
試薬
試薬は,次による。
6.2.1
塩酸
6.2.2
塩酸(1+1,1+50)
6.2.3
硝酸
6.2.4
過塩素酸
6.2.5
ふっ化水素酸
6.2.6
過酸化水素
6.2.7
二硫酸ナトリウム
6.2.8
亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L)
6.2.9
融解合剤(炭酸ナトリウム2,ほう酸1)
6.2.10 マンガン溶液(Mn:25 mg/mL) マンガン[マグネシウム含有率0.005 %(質量分率)以下]6.25
gをはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,時計皿を少しずらして塩酸(1+1)80 mL
及び硝酸10 mLを少量ずつ加え,加熱してマンガンを分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水
で洗って時計皿を取り除き,250 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。
6.2.11 鉄溶液(Fe:10 mg/mL) 鉄[マグネシウム含有率0.005 %(質量分率)以下]2.5 gをはかりと
ってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆い,時計皿を少しずらして塩酸(1+1)50 mLを少量ず
つ加え,加熱して鉄を分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,250
mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。
6.2.12 マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL) 調製方法は,JIS K 8001のJA.3(標準液)の表JA.4[標
準液(原子吸光法,炎光光度法及びICP発光分光分析法用)]による。保存方法は,JIS K 8001のJA.3 d)
[標準液(1 mg/mL,0.1 mg/mL及び0.01 mg/mL)の保存]に従って,ポリエチレン製の容器に保存する。
6.2.13 マグネシウム標準液A(Mg:500 μg/mL) 使用の都度,マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)(6.2.12)
を必要量だけ水で正しく2倍にうすめる。
6.2.14 マグネシウム標準液B(Mg:50 μg/mL) 使用の都度,マグネシウム標準液(Mg:1 mg/mL)(6.2.12)
を必要量だけ水で正しく20倍にうすめる。
6.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
6.4
操作
警告 過塩素酸の蒸気は,アンモニア,亜硝酸蒸気又は有機物が存在すると爆発する危険があるので,
過塩素酸を使用する場合には,過塩素酸を使用しても安全な排気設備を備えた場所で処理しな
ければならない。
6.4.1
試料の分解
試料の分解は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFEという。)製のビーカー(200 mL)に
移し入れ,少量の水で湿した後,PTFE製の時計皿で覆う。
b) 時計皿を少しずらして,塩酸(1+1)20 mL及び硝酸5 mLを加え,加熱する。反応が治まったら,
ふっ化水素酸10 mLを加え,引き続き加熱して分解する。
c) 放冷した後,時計皿の下面を水で洗って,時計皿を取り除く。過塩素酸15 mLを加え,加熱して過塩
素酸の濃厚な白煙を約10分間発生させた後,放冷する。
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d) 塩酸15 mL及び水10〜15 mLを加え,かき混ぜながら,マンガン酸化物が溶けるまで亜硫酸水素ナト
リウム溶液(100 g/L)又は過酸化水素を滴加し,時計皿で覆い,加熱して亜硫酸又は過酸化水素を分
解する。
e) 放冷した後,時計皿の下面を水で洗って,時計皿を取り除き,ろ紙(5種B)を用いてビーカー(300
mL)にろ過する。ビーカーに付着している不溶解残さは,ポリスマンを用いてこすり落とし,水でろ
紙上に移し入れる。ろ紙及び不溶解残さを塩酸(1+50)で4,5回,次いで温水でろ紙の黄色が消え
るまで洗浄する。ろ液及び洗液は主液として保存する。
6.4.2
不溶解残さの処理
不溶解残さの処理は,次の手順によって行う。
a) 6.4.1 e)で得た不溶解残さをろ紙とともに白金るつぼ(30 mL)に移し入れ,徐々に加熱してろ紙を灰
化した後,約600 ℃で加熱する。放冷した後,融解合剤(炭酸ナトリウム2,ほう酸1)2.0 g又は二
硫酸ナトリウム2.0 gを加え,白金製の蓋をして,始めは徐々に加熱して融解し,続いて,約1 000 ℃
で約5分間加熱する。
b) 放冷した後,6.4.1 e)で保存していた主液に白金るつぼ及び蓋を入れ,加熱して融成物を溶解する。白
金るつぼ及び蓋を少量の水で洗ってビーカーから取り出す。
c) 常温まで冷却した後,250 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。この溶
液を試料溶液とする。
なお,沈殿が生成した場合は,乾燥したろ紙(5種A)を用いて乾燥した100 mL全量フラスコに必
要な分だけろ過して使用する。
6.4.3
測定溶液の調製
測定溶液の調製は,次のいずれかによる。
a) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)未満の場合 6.4.2 c)で得た試料溶液を測定溶液と
する。
b) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)以上の場合 6.4.2 c)で得た試料溶液を25 mL分取
して100 mLの全量フラスコに移し入れ,水で標線までうすめ,測定溶液とする。
6.4.4
発光強度の測定
6.4.3のa)又はb)で得た測定溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,マグ
ネシウムの発光強度を測定する。マグネシウムの分析線として,例えば,波長279.55 nm,279.64 nm,280.27
nm,385.29 nmなどがある。
6.5
空試験
PTFE製のビーカー(200 mL)に,試料に含まれるマンガン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:25 mg/mL)
(6.2.10)及び鉄溶液(Fe:10 mg/mL)(6.2.11)をとり,PTFE製の時計皿で覆う。以下,6.4.1のb)〜e)
及び6.4.2〜6.4.4の手順に従って,試料と同じ操作を,試料と併行して行う。この溶液を空試験液とする。
6.6
検量線の作成
検量線の作成は,次のいずれかによって行う。
a) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)未満の場合
1) 数個のPTFE製のビーカー(200 mL)を準備し,それぞれに試料に含まれるマンガン及び鉄と同量
のマンガン溶液(Mn:25 mg/mL)(6.2.10)及び鉄溶液(Fe:10 mg/mL)(6.2.11)をとる。
2) マグネシウム標準液B(Mg:50 μg/mL)(6.2.14)0〜10 mLを段階的に正確に加え,PTFE製の時計
皿で覆う。
7
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3) 6.4.1のb)〜e),6.4.2及び6.4.3 a)の手順に従って,試料と同じ操作をする。これらの溶液中のマグ
ネシウム量は,0〜500 μgに相当する。
4) この溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,試料と同じ波長を用いて
マグネシウムの発光強度を測定溶液と併行して測定し,その発光強度とマグネシウム量との関係線
を作成して検量線とする。
b) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)以上の場合
1) a) 1)の手順に従って行う。
2) マグネシウム標準液A(Mg:500 μg/mL)(6.2.13)0〜10 mLを段階的に正確に加え,PTFE製の時
計皿で覆う。
3) 6.4.1のb)〜e),6.4.2及び6.4.3 b)の手順に従って,試料と同じ操作をする。これらの溶液中のマグ
ネシウム量は,0〜500 μgに相当する。
4) 以下,a) 4) の手順に従って行う。
6.7
計算
6.7.1
マグネシウム含有率の算出
マグネシウム含有率の算出は,次のいずれかによって行う。
a) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)未満の場合 6.4.4及び6.5で得た発光強度と6.6 a)
で作成した検量線とから,マグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を,次の式によって
算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
100
3
6
5
×
m
A
A
Mg
−
=
ここに,
Mg: 試料中のマグネシウム含有率[%(質量分率)]
A5: 測定溶液中のマグネシウム検出量(g)
A6: 空試験液中のマグネシウム検出量(g)
m3: 試料はかりとり量(g)
b) 試料中のマグネシウム含有率が0.1 %(質量分率)以上の場合 6.4.4及び6.5で得た発光強度と6.6 b)
で作成した検量線とから,マグネシウム量を求め,試料中のマグネシウム含有率を,次の式によって
算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
100
100
25
4
8
7
×
×
m
A
A
Mg
−
=
ここに,
Mg: 試料中のマグネシウム含有率[%(質量分率)]
A7: 測定溶液中のマグネシウム検出量(g)
A8: 空試験液中のマグネシウム検出量(g)
m4: 試料はかりとり量(g)
6.7.2
酸化マグネシウム含有率の算出
酸化マグネシウム含有率[%(質量分率)]として表す場合は,6.7.1で算出した値から,次の式によっ
て算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2桁に丸める。
3
1.658
×
=Mg
MgO
ここに, MgO: 酸化マグネシウム含有率[%(質量分率)]
Mg: 6.7.1で算出した値[%(質量分率)]
8
M 8246:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS M 8246:2015 マンガン鉱石−マグネシウム定量方法
ISO 7953:1985,Manganese ores and concentrates−Determination of calcium and
magnesium contents−Flame atomic absorption spectrometric method
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 一般事
項
JIS M 8203を引用
2
ISO 4297(Manganese ores
and concentrates−Methods
of chemical analysis−
General instructions)を引
用
変更
JIS M 8203の対応国際規格は
ISO 4297であるが,技術的差
異はない。
−
4 定量方
法の区分
a) 原子吸光分析法
マグネシウム含有
率0.01 %(質量分
率)以上6.0 %(質
量分率)以下
1
原子吸光分析法
マグネシウム含有率
0.01 %(質量分率)以上
4.0 %(質量分率)以下
変更
JISでは,ISO/TC65マンガン
鉱石含有率国際アンケート集
計表から定量上限を6.0 %(質
量分率)以下とした。
ISOへの提案を検討する。
5 原子吸
光分析法
5.2.11 マグネシウ
ム標準液(Mg:1
mg/mL)
4.11
マグネシウム標準液
変更
ISO規格は,マグネシウム標準
液の調製方法を記載している。
JISは,JIS K 8001の調製方法を
引用した。
5.3 試料はかりとり
量
7.1
2.0 g
変更
ISO規格2.0 gでは,試料分解
時に不溶解物の発生があるの
で,JISでは0.50 gとした。
ISOへの提案を検討する。
5.4.2 不溶解残さの
処理
7.2.2
変更
JISでは加熱温度を明確にし
た。
−
5.4.3 測定溶液の調
製
7.2.3
ISO規格では,測定溶液
の調製方法を表で記載
変更
JISでは,試料はかりとり量を
変更したため,希釈方法を変更
し,分かりやすいように2段階
に分けて記載した。
ISOへの提案を検討する。
2
M
8
2
4
6
:
2
0
1
5
9
M 8246:2015
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
5 原子吸
光分析法
(続き)
5.6 検量線の作成
7.4.1
マグネシウム標準液濃度
25 mg/Lを使用。0〜2
μg/mL
変更
JISでは,マグネシウム標準液
濃度を10 mg/Lに変更した。0
〜1.5 μg/mL
ISOへの提案を検討する。
5.7.2
−
−
追加
酸化物としての含有率の算出
方法を追加した。
国内で要求される場合があるた
め追加した。
6 ICP発光
分光分析
法
−
−
追加
−
日本国内で使用されているため
追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 7953:1985,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
M
8
2
4
6
:
2
0
1
5