M 8245:2014
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 一般事項························································································································· 1
4 定量方法の区分 ················································································································ 1
5 2-エチル-1,3-ヘキサンジオール抽出分離クルクミン吸光光度法 ·················································· 1
5.1 要旨 ···························································································································· 1
5.2 試薬 ···························································································································· 1
5.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 2
5.4 操作 ···························································································································· 2
5.5 空試験 ························································································································· 4
5.6 検量線の作成 ················································································································ 4
5.7 計算 ···························································································································· 4
6 アルカリ融解−ICP発光分光分析法 ····················································································· 5
6.1 要旨 ···························································································································· 5
6.2 試薬 ···························································································································· 5
6.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 5
6.4 操作 ···························································································································· 5
6.5 空試験 ························································································································· 5
6.6 検量線の作成 ················································································································ 5
6.7 計算 ···························································································································· 6
7 酸分解−ICP発光分光分析法 ······························································································ 6
7.1 要旨 ···························································································································· 6
7.2 試薬 ···························································································································· 6
7.3 試料はかりとり量 ·········································································································· 6
7.4 操作 ···························································································································· 6
7.5 空試験 ························································································································· 7
7.6 検量線の作成 ················································································································ 7
7.7 計算 ···························································································································· 7
M 8245:2014
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ協会(JFA)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
M 8245:2014
マンガン鉱石−ほう素定量方法
Manganese ores-Methods for determination of boron
1
適用範囲
この規格は,マンガン鉱石中のほう素の定量方法について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS M 8203 マンガン鉱石−化学分析方法−通則
3
一般事項
分析方法に共通な一般事項は,JIS M 8203による。
4
定量方法の区分
ほう素の定量方法は,次のいずれかによる。
a) 2-エチル-1,3-ヘキサンジオール抽出分離クルクミン吸光光度法 この方法は,ほう素含有率0.001 %
(質量分率)以上0.1 %(質量分率)以下の試料に適用する。
b) アルカリ融解−ICP発光分光分析法 この方法は,ほう素含有率0.003 %(質量分率)以上0.1 %(質
量分率)以下の試料に適用する。
c) 酸分解−ICP発光分光分析法 この方法は,ほう素含有率0.003 %(質量分率)以上0.1 %(質量分率)
以下の試料に適用する。
5
2-エチル-1,3-ヘキサンジオール抽出分離クルクミン吸光光度法
5.1
要旨
試料を過酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムで融解し,塩酸を加えて溶解する。硫酸を加え,2-エチル
-1,3-ヘキサンジオール・クロロホルム溶液を加えてほう素錯体を抽出分離した後,クロロホルムを蒸発さ
せる。蒸発残留物にクルクミン酢酸溶液及び酢酸・硫酸混合液を加えてクルクミンほう素錯体を生成させ,
エタノール・水混合液で薄めた後,分光光度計を用いて,その吸光度を測定する。
5.2
試薬
試薬は,次による。ただし,ほう素の含有率のできるだけ低いものを使用する。
5.2.1
塩酸(1+2)
5.2.2
硫酸(1+1)
5.2.3
過酸化水素
2
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.2.4
融解合剤(過酸化ナトリウム2,炭酸ナトリウム1)
5.2.5
エタノール(99.5)
5.2.6
クロロホルム
5.2.7
抽出液 2-エチル-1,3-ヘキサンジオール4 mLをクロロホルム100 mLに溶解する。
5.2.8
酢酸・硫酸混合液 酢酸50 mLを石英ガラス製ビーカー(200 mL)にとり,流水で冷やし,ポリ
エチレン製,ポリプロピレン製,ポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFEという。)製など(以下,樹
脂製という。)の棒でかき混ぜながら硫酸50 mLを少量ずつ加える。
5.2.9
エタノール・水混合液 エタノール(99.5)150 mL及び水50 mLを混合する。
5.2.10 クルクミン酢酸溶液 クルクミン0.125 gを乾いた石英ガラス製ビーカー(100 mL)に移し入れ,
酢酸40 mLを加え,約40 ℃に加熱した後,かき混ぜてクルクミンを溶解する。常温まで冷却した後,溶
液を乾いた樹脂製全量フラスコ100 mLに,酢酸を用いて移し入れ,酢酸で標線まで薄める。この溶液は,
使用の都度,調製する。
なお,ここで使用する酢酸は,アルデヒドを含まないものを使用する。アルデヒド含有の有無の確認は,
次のように行う。
酢酸20 mLをビーカー(50 mL)にとり,過マンガン酸カリウム溶液(1 g/L)1 mLを加えて軽く振り混
ぜ放置する。アルデヒドを含有しない場合は,そのまま過マンガン酸の赤紫色が持続する。アルデヒドを
含有していると15分後には溶液が褐色に変化する。
5.2.11 マンガン溶液(Mn:20 mg/mL) ほう素含有率0.000 2 %(質量分率)以下のマンガン2.0 gをは
かりとってPTFE製ビーカー(300 mL)に移し,塩酸(1+1)50 mLを少量ずつ加え,PTFE製時計皿で覆
い加熱してマンガンを分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,100
mLの樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
5.2.12 鉄溶液(Fe:20 mg/mL) ほう素含有率が0.000 1 %(質量分率)以下の鉄2.0 gをはかりとってPTFE
製ビーカー(300 mL)に移し,塩酸(1+1)40 mLを少量ずつ加え,PTFE製時計皿で覆い,加熱して鉄
を分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,100 mLの樹脂製全量フ
ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
5.2.13 ほう素標準液(B:10 μg/mL) ほう酸0.572 gをはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,水
を加えて溶解し,溶液を1 000 mLの樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液
(100 μg/mL)とする。使用の都度,樹脂製全量フラスコを用いて,正確に水で10倍に薄めてほう素標準
液(B:10 μg/mL)とする。
5.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
5.4
操作
5.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって,ニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)に移し
入れる。
b) 融解合剤(5.2.4)6 gを加えてよくかき混ぜた後,その上を融解合剤1.5 gで覆う。
c) 初めは低温で穏やかにるつぼを揺り動かしながら内容物が融解するまで加熱する。
d) 温度を上げ,約700 ℃(暗赤熱状態)で約5分間るつぼを揺り動かしながら加熱して完全に融解した
後,室温まで放冷する。
3
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) るつぼをPTFE製ビーカー(300 mL)に入れ,塩酸(1+2)100 mLを加えPTFE製時計皿で覆う。加
熱して融成物を溶解し,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除いた後,るつぼを水で洗って,る
つぼを取り出す。
f)
この溶液に過酸化水素を滴加し,マンガン酸化物などを分解した後,PTFE製時計皿で覆い,約10分
間沸騰させる。
g) 室温まで放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除く。
h) 250 mLの樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れ,常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
5.4.2
ほう素錯体の抽出分離
ほう素錯体の抽出分離は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1 h)で得た試料溶液を表1に従って分取し,樹脂製分液漏斗(100 mL又は200 mL)(A)に移し入
れ,表1に従って水を加え,硫酸(1+1)10 mL,エタノール(99.5)5 mL及び抽出液(5.2.7)30 mL
を加えて,約5分間激しく振り混ぜ,静置して二層に分離する。
表1−溶液の分取量及び水の添加量
試料中のほう素含有率
%(質量分率)
溶液の分取量
mL
水の添加量
mL
0.001以上 0.01未満
30
20
0.01以上
0.1以下
3
47
b) 樹脂製分液漏斗(A)中の有機相(下層)を別の樹脂製分液漏斗(100 mL又は200 mL)(B)に移し
入れ,保存する。
c) 樹脂製分液漏斗(A)にクロロホルム10 mLを加え,約1分間激しく振り混ぜ,静置して二層に分離
する。
d) 樹脂製分液漏斗(A)中の有機相(下層)を,b)の樹脂製分液漏斗(B)に移し入れる。
e) d)の樹脂製分液漏斗(B)に水50 mLを加え,約1分間激しく振り混ぜ,静置して二層に分離する。
f)
樹脂製分液漏斗(B)中の有機相(下層)を石英ガラス製ビーカー(100 mL)に受け,40〜50 ℃で加
熱して粘性のある2-エチル-1,3-ヘキサンジオールだけが残るまで,クロロホルム及び水を蒸発させる
1)。
なお,溶液中に泡状に見えるものがある場合,水が残っていることを示しており,これが消失する
まで,加熱を続ける。
注1) 送風しながら加熱してクロロホルムを蒸発させるとよい。PTFE製ビーカーを使用してもよ
いが,水分の残部が判別しにくく,また,PTFE製ビーカーの肉厚によっては,クロロホル
ムの蒸発に時間がかかるので,石英ガラス製ビーカーの使用が望ましい。
5.4.3
呈色
呈色は,次の手順によって行う。
a) 5.4.2 f)で抽出分離して得た溶液に,クルクミン酢酸溶液(5.2.10)及び酢酸・硫酸混合液(5.2.8)をそ
れぞれ正確に6 mLずつ加えて,振り混ぜた後,常温で60分間放置する。
b) エタノール・水混合液(5.2.9)約20 mLを加えて振り混ぜ,100 mLの樹脂製全量フラスコにエタノ
ール・水混合液を用いて移し入れ,エタノール・水混合液で標線まで薄めた後,常温で30分間放置す
る。
4
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4.4
吸光度の測定
5.4.3 b)で得た溶液の一部を分光光度計の吸収セル(10 mm)に取り,エタノール・水混合液(5.2.9)を
対照液として波長550 nm付近の吸光度を測定する。
5.5
空試験
試薬だけを用いて,5.4.1〜5.4.3の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。この空試験液の
一部を分光光度計の吸収セル(10 mm)に取り,エタノール・水混合液(5.2.9)を対照液として波長550 nm
付近の吸光度を測定する。
5.6
検量線の作成
検量線の作成は,試料と併行して,次の手順によって行う。
a) 数個のニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)を準備し,それぞれに
融解合剤(5.2.4)7.5 gを加え,5.4.1 c)〜5.4.1 e)の手順に従って操作する。常温まで冷却した後,250 mL
の樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れる。
b) これに,試料中に含まれるマンガン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:20 mg/mL)(5.2.11)及び鉄
溶液(Fe:20 mg/mL)(5.2.12)を加え,更に表2のほう素標準液添加量に従って,ほう素標準液(B:
10 μg/mL)(5.2.13)を段階的に正確に加えて,水で標線まで薄める。
表2−ほう素標準液添加量
試料中のほう素含有率
%(質量分率)
ほう素標準液添加量
mL
0.001以上 0.01未満
0〜5
0.01以上
0.1以下
0〜50
c) b)で得た溶液を試料溶液と同量分取し,樹脂製分液漏斗(100 mL又は200 mL)(A)に移し入れる。
試料溶液に添加した水と同量の水を加え,硫酸(1+1)10 mL,エタノール(99.5)5 mL及び抽出液
(5.2.7)30 mLを加えて,約5分間激しく振り混ぜ,静置して二層に分離する。次に,5.4.2 b)〜5.4.4
の手順に従って試料と同じ操作を行う。
d) 得た吸光度とほう素量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とす
る。
5.7
計算
5.4.4及び5.5で得た吸光度と5.6で作成した検量線とから,ほう素量を求め,試料中のほう素含有率を,
次の式によって算出する。
100
250
1
2
1
×
×
−
=
V
m
A
A
B
ここに,
B: 試料中のほう素含有率[%(質量分率)]
A1: 試料溶液中のほう素検出量(g)
A2: 空試験液中のほう素検出量(g)
V: 試料溶液の分取量(mL)
m1: 試料はかりとり量(g)
5
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6
アルカリ融解−ICP発光分光分析法
6.1
要旨
試料を過酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムで融解し,塩酸を加えて溶解する。この溶液をICP発光分
光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,ほう素の発光強度を測定する。
6.2
試薬
試薬は,次による。ただし,ほう素の含有率のできるだけ低いものを使用する。
6.2.1
塩酸(1+2)
6.2.2
過酸化水素
6.2.3
融解合剤(過酸化ナトリウム2,炭酸ナトリウム1)
6.2.4
亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L)
6.2.5
マンガン溶液(Mn:20 mg/mL) 5.2.11による。
6.2.6
鉄溶液(Fe:20 mg/mL) 5.2.12による。
6.2.7
ほう素標準液(B:100 μg/mL) ほう酸0.572 gをはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,
水を加えて溶解し,溶液を1 000 mLの樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
6.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
6.4
操作
6.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 5.4.1 a)〜5.4.1 e)の操作を行う。
b) この溶液に過酸化水素又は亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L)を滴加し,マンガン酸化物などを分
解した後,PTFE製時計皿で覆い,約10分間沸騰させる。
c) 5.4.1 g)及び5.4.1 h)の操作を行う。
6.4.2
発光強度の測定
6.4.1 c)で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長208.96 nmにお
けるほう素の発光強度を測定する。
6.5
空試験
ニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)に融解合剤(6.2.3)7.5 gを加
え,5.4.1 c)〜5.4.1 e)の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行った後,溶液に試料中に含まれる
マンガン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:20 mg/mL)(6.2.5)及び鉄溶液(Fe:20 mg/mL)(6.2.6)を
加え,6.4.1 b)〜6.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6.6
検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 数個のニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL又は45 mL)を準備し,それぞれに
融解合剤(6.2.3)7.5 gを加え,5.4.1 c)〜5.4.1 e)の手順に従って操作する。常温まで放冷した後,250 mL
の樹脂製全量フラスコに水を用いて移し入れる。
b) これに,試料中に含まれるマンガン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:20 mg/mL)(6.2.5)及び鉄溶
液(Fe:20 mg/mL)(6.2.6)を加え,ほう素標準液(B:100 μg/mL)(6.2.7)0〜7 mL(ほう素として
0〜700 μg)を段階的に正確に取り,水で標線まで薄める。この溶液の一部をICP発光分光分析装置の
アルゴンプラズマ中に噴霧し,波長208.96 nmにおけるほう素の発光強度を試料と併行して測定する。
6
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 得た発光強度とほう素量との関係線を作成して検量線とする。
6.7
計算
6.4.2及び6.5で得た発光強度と6.6で作成した検量線とから,ほう素量を求め,試料中のほう素含有率
を,次の式によって算出する。
100
2
4
3
×
−
m
A
BA
=
ここに,
B: 試料中のほう素含有率[%(質量分率)]
A3: 試料溶液中のほう素検出量(g)
A4: 空試験液中のほう素検出量(g)
m2: 試料はかりとり量(g)
7
酸分解−ICP発光分光分析法
7.1
要旨
試料を塩酸,硝酸及び過酸化水素で分解した後,水を加えて析出した塩類を溶解し,溶液をろ過する。
不溶解残さを炭酸ナトリウムで融解してろ液と合わせる。この溶液をICP発光分光分析装置のアルゴン
プラズマ中に噴霧し,ほう素の発光強度を測定する。
7.2
試薬
試薬は,次による。ただし,ほう素の含有率のできるだけ低いものを使用する。
7.2.1
塩酸
7.2.2
塩酸(1+4)
7.2.3
硝酸(1+1)
7.2.4
過酸化水素
7.2.5
炭酸ナトリウム
7.2.6
マンガン溶液(Mn:20 mg/mL) 5.2.11による。
7.2.7
鉄溶液(Fe:20 mg/mL) 5.2.12による。
7.2.8
ほう素標準液(B:100 μg/mL) 6.2.7による。
7.3
試料はかりとり量
試料はかりとり量は,1.0 gとし,0.1 mgの桁まではかる。
7.4
操作
7.4.1
試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとって,石英ガラス製ビーカー(300 mL)又はPTFE製ビーカー(300 mL)に移し入れ
る。
b) 塩酸20 mLを加え,石英ガラス製又はPTFE製時計皿で覆い,徐々に加熱分解した後に,硝酸(1+1)
10 mLを加え,更に加熱して分解する。
c) 放冷した後,マンガン酸化物が析出してきた場合は,過酸化水素を滴加してマンガン酸化物を分解し,
沸騰する。放冷後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,温水30 mLを加え,加熱して可溶
性塩類を溶解する。この溶液を,ろ紙(5種B)を用いて250 mLの樹脂製全量フラスコにろ過し,ろ
紙及び不溶解残さを温水を用いて十分に洗浄する。
d) ろ紙及び不溶解残さを白金るつぼ(30番)に入れ加熱して乾燥した後,強熱して灰化する。
7
M 8245:2014
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
e) 放冷した後,炭酸ナトリウム2.0 gを加え,白金製の蓋で覆い徐々に温度を上げて強熱し,るつぼの内
容物を融解する。
f)
室温まで放冷した後,るつぼを塩酸(1+4)50 mLの入った石英ガラス製ビーカー(200 mL)又はPTFE
製ビーカー(200 mL)に入れ,石英ガラス製又はPTFE製時計皿で覆い加熱して融解物を溶解する。
g) 室温まで放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除いた後,るつぼを水で洗ってるつぼ
を取り出す。常温まで冷却した後,c)の250 mLの樹脂製全量フラスコに,水を用いて移し入れ,水で
標線まで薄める。
なお,二酸化けい素が析出した場合は,ろ紙(5種A)でc)の250 mLの樹脂製全量フラスコにろ過
を行い,温水で数回洗浄する。常温まで冷却した後,水で標線まで薄める。
7.4.2
発光強度の測定
7.4.1 g)で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長208.96 nmにお
けるほう素の発光強度を測定する。
7.5
空試験
石英ガラス製ビーカー(300 mL)又はPTFE製ビーカー(300 mL)を準備し,試料中に含まれるマンガ
ン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:20 mg/mL)(7.2.6)及び鉄溶液(Fe:20 mg/mL)(7.2.7)を加え,
以下,7.4.1 b)〜7.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。
7.6
検量線の作成
検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) 数個の石英ガラス製ビーカー(300 mL)又はPTFE製ビーカー(300 mL)を準備し,試料中に含まれ
るマンガン及び鉄と同量のマンガン溶液(Mn:20 mg/mL)(7.2.6)及び鉄溶液(Fe:20 mg/mL)(7.2.7)
を加え,ほう素標準液(B:100 μg/mL)(7.2.8)0〜14 mL(ほう素として0〜1 400 μg)を段階的に正
確に加える。7.4.1 b)〜7.4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。
b) 得た発光強度とほう素量との関係線を作成して検量線とする。
7.7
計算
7.4.2及び7.5で得た発光強度と7.6で作成した検量線とから,ほう素量を求め,試料中のほう素含有率
を,次の式によって算出する。
100
3
6
5
×
−
m
AA
B=
ここに,
B: 試料中のほう素含有率[%(質量分率)]
A5: 試料溶液中のほう素検出量(g)
A6: 空試験液中のほう素検出量(g)
m3: 試料はかりとり量(g)