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M 8236:2004  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本フェロアロイ

協会(JFA)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS M 8236:1988は改正され,この規格に置き換えられる。 

改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 4293:1982,Manganese ores and 

concentrates─Determination of phosphorus content─Extraction-molybdovanadate photometric methodを翻訳し,

附属書2として採用した。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

JIS M 8236には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定)モリブドりん酸青吸光光度法 

附属書2(規定)モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 

附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

M 8236:2004  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 一般事項 ························································································································ 1 

4. 定量方法の種類 ··············································································································· 1 

附属書1(規定)モリブドりん酸青吸光光度法 ··········································································· 2 

附属書2(規定)モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 ······························································· 4 

附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ···································································· 7 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 8236:2004 

マンガン鉱石−りん定量方法 

Manganese ores-Methods for determination of phosphorus content 

序文 この規格は,1982年に第1版として発行されたISO 4293:1982,Manganese ores and concentrates

─Determination of phosphorus content─Extraction-molybdovanadate photometric methodを翻訳し,技術的内容

を変更することなく作成し,附属書2として採用した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。変更の一覧

表をその説明を付けて,附属書3(参考)に示す。 

1. 適用範囲 この規格は,マンガン鉱石中のりん定量方法について規定する。 

備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。 

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD

(修正している),NEQ(同等でない)とする。 

ISO 4293:1982,Manganese ores and concentrates─Determination of phosphorus content─

Extraction-molybdovanadate photometric method(MOD) 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS M 8203 マンガン鉱石化学分析方法通則 

ISO 4296-1 Manganese ores─Sampling─Part 1:Increment sampling 

ISO 4296-2 Manganese ores─Sampling─Part 2:Preparation of samples 

3. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8203による。 

4. 定量方法の種類 定量方法及びその適用含有率範囲は,表 1による。 

表 1 マンガン鉱石のりん定量方法及びその適用含有率範囲 

定量方法 

適用含有率範囲 

%(質量分率) 

附属書 

番号 

モリブドりん酸青吸光光度法 

0.005以上 0.50以下 

モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 

0.02 以上  0.5 以下 

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M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定)モリブドりん酸青吸光光度法 

1. 要旨 試料を塩酸と硝酸とで分解し,過塩素酸白煙処理を行ってりんを酸化する。亜硫酸水素ナトリ

ウムで析出した二酸化マンガンを還元してろ過する。残さ処理を行った後,亜硫酸水素ナトリウムで鉄を

還元し,七モリブデン酸六アンモニウムと硫酸ヒドラジニウムを含む呈色試薬を加え,加熱してモリブデ

ン青を生成させ,その吸光度を測定する。 

2. 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 硝酸 

c) 過塩素酸[60 %(質量分率)] 

d) ふっ化水素酸 

e) 亜硫酸水素ナトリウム溶液(100 g/L) 

f) 

呈色試薬溶液 

A液:七モリブデン酸六アンモニウム四水和物[(NH4)6Mo7O24・4H2O]20 gを水300 mlに溶解し,こ

れに硫酸(1+1)650 mlを加え,冷却した後,水で1 Lに薄める。 

B液:硫酸ヒドラジニウム溶液(1.5 g/L) 

使用時に,A液25 ml,B液10 ml及び水65 mlを混合する。 

g) 標準りん溶液(100 μgP/ml) りん酸二水素カリウム(KH2PO4)を110 ℃で1〜2時間乾燥してデシ

ケータ中で室温まで冷却し,恒量としたもの0.439 4 gをはかり取り,水に溶解して1 000 mlの全量フ

ラスコに移し,水で標線まで薄める。 

3. 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,りん含有率に応じ,附属書1表1に従って0.1 mgのけたま

で読み取る。 

附属書1表 1 試料はかり取り量 

りん含有率 

%(質量分率) 

試料はかり取り量 

0.15未満 

  0.15以上 0.50以下 

0.50 
0.15 

4. 操作  

4.1 

試料の分解 附属書1表1によって試料をはかり取り,ビーカー(300 ml)に移して時計皿で覆い,

塩酸20 mlを加えて徐々に加熱分解し,硝酸5 ml及び過塩素酸10 mlを加えて加熱蒸発し,過塩素酸の蒸

気がビーカーの内壁を伝わって逆流する状態まで加熱する(1)。放冷した後,温水50 mlを加え,加熱しな

がら亜硫酸水素ナトリウム溶液を少量ずつ加えてかき混ぜ,二酸化マンガンを還元するとともに可溶性塩

類を溶解する。これに少量のろ紙パルプを加えたろ紙(5種A)を用いてろ過し,ろ液をビーカー(300 ml)

に受ける。ろ紙上の残さを温水で十分に洗浄後,ろ液及び洗液は主液として保存する。 

注(1) この方法は呈色溶液中に,ひ素 0.1 mgまでの共存は妨害とならない。 

4.2 

残さの処理 4.1で得た残さ(2)をろ紙と共に白金皿(50番)に移し,徐々に加熱してろ紙を灰化し,

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M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

放冷する。硝酸5 ml及びふっ化水素酸 5 mlを加えて静かに加熱し,更に過塩素酸7 mlを加え,加熱蒸発

して濃厚な白煙を発生させながら約2 mlまで濃縮する。放冷した後,温水約 30 mlを加えて可溶性塩類を

溶解し,ろ紙(5種A)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄してろ液及び洗液を主液に合わせる。この溶液

を約50 mlまで加熱濃縮し,常温まで放冷した後,100 mlの全量フラスコに移し,水で標線まで薄める。 

注(2) 不溶解残さ中にりんを含むおそれがない場合には4.2の操作を省いてもよい。 

4.3 

呈色 4.2で得た試料溶液から正確に10 mlを分取して,100 mlの全量フラスコに移し入れ,亜硫酸

水素ナトリウム溶液10 mlを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で溶液が無色又は液色が変化しなくなるまで加

熱する。次に呈色試薬溶液[2.f)]25 mlを加えて振り混ぜ,再び沸騰水浴中で約15分間加熱した後,流水中

で常温まで冷却し,水で標線まで薄める。 

4.4 

吸光度の測定 4.3で得た溶液の一部を光度計の吸収セル(10 mm,ガラス製)(3)に移し,水を対照

液として波長825 nm付近の吸光度を測定する。 

注(3) 試料中のりん含有率0.04 %(質量分率)未満の場合には,20 mm吸収セルを用いる。この場合に

は,検量線も同じ20 mm吸収セルで作成する。 

5. 空試験 試薬だけを用いて,4. の操作を試料の定量操作と並行して行う。 

6. 検量線の作成 数個のビーカー(300 ml)を準備し,それぞれに過塩素酸5 mlを加え,これに標準りん

溶液[2.g)] 0〜8.0 ml(りん含有量として0〜800μg)を段階的に正確に加え,加熱蒸発して過塩素酸の白煙

を発生させた後放冷する。常温まで冷却した後,100 mlの全量フラスコに移して水で標線まで薄める。以

下,4.3以降の手順に従って操作し,吸光度を測定する。吸光度と呈色溶液中のりん量との関係線を作成し,

その関係線が原点を通るように平行移動して検量線とする(4)。 

注(4) 4.4で用いた吸収セル(10 mm又は20 mm)ごとに検量線を作成する。 

7. 計算 4.4で得た吸光度から,5で得た吸光度を差し引いて得られる吸光度と,6. で作成した検量線と

からりん量を求め,試料中のりん含有率を,次の式によって算出する。 

100

10

×

=

m

A

P

ここに, 

P: 試料中のりん含有率[%(質量分率)] 

A: 分取した試料溶液中のりん検出量(g) 

m: 試料はかり取り量(g) 

8. 許容差 許容差は,附属書1表2による。 

附属書1表 2 許容差 

 %(質量分率) 

りん含有率 

室内再現許容差 

室間再現許容差 

0.018以上 0.084以下 

0.004P+0.0014 

0.031P+0.0012 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書2(規定)モリブドバナドりん酸抽出吸光光度法 

1. 要旨 試料を塩酸とで硝酸と分解し,過塩素酸の白煙を発生させてけい素を分離する。塩類を水に溶

解し,未分解残さをろ過して分離し,ろ液を主液として保存する。 

残さとろ紙を強熱して硫酸とふっ化水素酸で処理する。強熱した残さを炭酸ナトリウムで融解する。融

成物を塩酸で溶解し,得られた溶液を主液に合わせる。溶液を過塩素酸の白煙が発生するまで蒸発する。

りんをモリブドバナドりん酸錯体に変える。 

くえん酸を添加して鉄及びひ素による影響を除く。くえん酸と鉄及びひ素との錯塩の存在下で,モリブ

ドバナドりん酸を4-メチル-2-ペンタノンで抽出する。 

分光光度計又は光電光度計を用いて吸光度を測定する。 

2. 試薬  

a) 塩酸 

b) 塩酸(1+1,1+50) 

c) 硝酸 

d) 過塩素酸[60%(質量分率)] 

e) 硫酸(1+1) 

f) ふっ化水素酸 

g) バナジン酸アンモニウム溶液 (2.50 gNH4VO3/L)  

h) モリブデン酸アンモニウム四水和物溶液[150 g(NH4)6Mo7O24・4 H2O /L ] 

i) 炭酸ナトリウム(無水) 

j) くえん酸溶液[500 g C3H4(OH)(COOH)3/L] 

k) 4-メチル-2-ペンタノン(C6H12O) 

l) 標準りん溶液(0.1 gP/L) あらかじめ105 ℃で1〜2時間乾燥したりん酸二水素カリウム(KH2PO4) 

 (高純度)0.4394 gを1 000 mlの全量フラスコに移し入れ,水100 mlで溶解し,標線まで薄めて混合す 

 る。 

m) 標準りん溶液(0.05 gP/L) 標準りん溶液[2.l)]50 mlを100 mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線 

 まで薄めて混合する。 

n) マンガン マンガン[純度99.5%(質量分率)以上]で,りんを含有しないか,又はりん含有率が既知で 

 あるもの。 

3. 装置 通常の分析室用の装置及び次のものを用いる。 

a) 分光光度計又は光電光度計 

b) 白金るつぼ(30番) 

4. 試料 マンガン鉱石の試料採取法については,ISO 4296-1を参照する。試料調製法については 

ISO 4296-2を参照する。試料は,100μm以下の粒度(適切なサイズのふるいでチェックする。)まで粉砕

したもので,実験室条件で空気乾燥(5)したものを使用する。 

注(5)  試料をシャーレー等に入れ,実験室内で汚染の無いように1夜間程度以上放置する。 

M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 操作  

5.1 

試料の分解 試料0.5 gを0.1mgのけたまではかり取り,ビーカー(300 ml)に移し入れ,塩酸25 ml,

硝酸5 mlを加え,加熱しながら分解する。反応が終了したら,過塩素酸10 mlを加えて白煙が発生するま

で蒸発する。冷却した後,水25 mlを加えて沸騰するまで加熱する。未分解残さを少量のろ紙パルプを加

えたろ紙(5種A)でろ過し,ろ液をコニカルビーカー(300〜500 ml)に受ける。ろ紙上の残さを塩酸(1+50)

で3,4回,次いで温水で5,6回洗浄する。ろ液を主液として保存する。 

試料が不溶解性のりんを含まない場合は,得られた残さとともにろ紙を捨てる。 

5.2 

未分解残さの処理 ろ紙及び残さを白金るつぼ(30番)に移し入れ,500〜600 ℃で灰化し,強熱する。

るつぼを冷却した後,残さを水2,3滴で湿し,硫酸(1+1)2,3滴及びふっ化水素酸5〜7 mlを加え,乾

固するまで蒸発する。乾燥残さを500〜600 ℃で強熱し,冷却し,炭酸ナトリウム(無水)1〜2 gを加え,

900〜1 000 ℃で15〜20分間残さを融解する。融成物の入っているるつぼをビーカー(100 ml)に入れ,塩

酸(1+1)20 mlを加え,融成物が完全に溶解するまで加熱する。ビーカーからるつぼを取り出してそれを

水で洗う。得られた溶液を煮沸して5.1の主液に合わせる。 

5.3 

モリブドバナドりん酸錯体の抽出 5.2で合わせた溶液を濃厚な過塩素酸の白煙がコニカルビーカ

ーの口から発生するまで蒸発し,冷却した後,水25 ml,次いで硝酸5 mlを加え,5分間煮沸する。 

りん含有率が0.08 %(質量分率)以上の場合には,溶液を200 mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線ま

で薄めて混合する。その20 ml (6)を分取してコニカルビーカー(125 ml)に移し入れ,過塩素酸9 mlを加

え,過塩素酸の濃厚な白煙が発生するまで蒸発する。溶液を冷却した後,水25 ml,硝酸5 mlを加えて5

分間沸騰させる。 

溶液を室温まで冷却した後,バナジン酸アンモニウム溶液10 ml及びモリブデン酸アンモニウム溶液15 

mlを加え,次いで錯体の呈色が完了するまで7分間静置する。 

試料にチタンを0.5 %(質量分率)以上含有する場合には,静置する時間を1時間に延長することによっ

て完全な呈色が得られる。 

この溶液を80 mlの位置に標線を付けた200 mlの分液漏斗に移し入れ,水で80 mlに薄める。くえん酸

溶液10 mlを加えて振り混ぜ,直ちに4-メチル-2-ペンタノン40 mlをビュレットを用いて加える。分液漏

斗を30秒間振り混ぜる。 

2層に分離させ,下層(水相)を除去する。分液漏斗の脚部の内側をろ紙の小片を用いて乾燥させる。

有機相を乾いたろ紙(5種A)を用いて乾いた小ビーカーにろ過する。 

注(6) 分取する量は,適切な吸光度が得られるようなりん量(0.2〜0.4 mg)となるように増減してよ

い。この場合,次に加える過塩素酸の量は,溶液中に過塩素酸が10 mlとなるように不足分を

添加する。 

5.4 

吸光度の測定 有機相の一部を分光光度計又は光電光度計の吸収セル(10mm,ガラス製)(7)に取り波

長425 nmで,対照液として4-メチル-2-ペンタノンを用いて,吸光度を測定(8)する。 

注(7) 吸光度が低い場合は,20 mmセルを用いる。 

(8) 吸光度を測定する場合,呈色溶液の温度は20〜25 ℃がよい。 

5.5 

空試験 全操作を通じて空試験を行う。 

5.6 

検量線の作成 一連の幾つかのビーカー(300 ml)を準備し,それぞれにマンガン[2.n)]0.25 gをはか

り取り,塩酸25 mlを加え,加熱して溶解する。得られた溶液にミクロビュレットを用いて標準りん溶液

[2.m)]0,1.0,2.0,4.0,6.0,8.0,10.0 mlを正確に加える。これは,それぞれりんとして0,0.05,0.10,

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M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

0.20,0.30,0.40,0.50 mgに相当する。次いで硝酸5 ml及び過塩素酸10 mlを加えて濃厚な過塩素酸の白

煙が発生するまで蒸発する。溶液を冷却した後,水25 ml,硝酸5 mlを加えて5分間煮沸する。 

溶液を室温まで冷却した後,バナジン酸アンモニウム溶液10 ml,モリブデン酸アンモニウム溶液15 ml

を加え,錯塩の呈色が完了するまで7分間静置する。以下,“溶液を100 mlの分液漏斗に移し入れ,……”

から5.3に従って操作を続ける。 

得られた吸光度と溶液のりん含有量との関係線を作成し,原点を通るように平行移動して検量線とする。 

6. 結果の表示  

6.1 

計算 試料溶液で得られた吸光度を,空試験で得られた吸光度を差し引いて,検量線(5.6)を用い

てりん含有率に変換する。 

りん含有率は,質量分率(%)で表すと,次の式で計算する。 

K

m

m

K

m

m

P

×

×

=

×

×

×

=

10

000

 1

100

0

1

0

1

ここに, 

P: りん含有率%(質量分率) 

m0: 試料はかり取り量(g) 

m1: 検量線から得られたりん検出量(mg) 

K: りん含有率をドライベースで表示するための換算係数 

参考 ドライベースで表示するための換算係数については,JIS M 8203の3.4.4(吸湿水含有率の定量)

による。 

6.2 

併行分析結果の許容差  

附属書2表 1  

りん含有率 

許容差 

3回併行測定 

2回併行測定 

%(質量分率) 

%(質量分率) 

%(質量分率) 

0.02以上 0.05未満 
0.05以上 0.10未満 
0.10以上 0.15未満 
0.15以上 0.25未満 
0.25以上 0.50未満 

0.50以上 1.0 以下 

0.010 
0.015 
0.020 
0.025 
0.040 
0.050 

0.008 
0.013 
0.017 
0.020 
0.035 
0.040 

関連規格 ISO 4297 Manganese ores and concentrates─Methods of chemical analysis─General instructions 

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M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表 

JIS M 8236:2001 マンガン鉱石―りん定量方法 
 

ISO 4293:1982 マンガン鉱石及び選鉱品:り
ん含有率の定量─モリブドバナドりん酸抽出
吸光光度法 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ)
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術
的差異の項目ごとの評価及
びその内容 
表示箇所: 
表示方法: 

(Ⅴ)JISと国際規格
との技術的差異の
理由及び今後の対
策 

項目番号 

内容 

項目番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内
容 

1.適用範 
囲 

マンガン鉱石中
のりん定量方法 

ISO 
4293 

1.適用範 
囲 

マンガン鉱石
中のりん定量
方法 

IDT 

2.引用規 
格 

JIS M 8203, 
ISO 4296-1, 
ISO 4296-2, 

2.引用規 
格 

 
ISO 4296-1, 
ISO 4296-2, 

MOD/追
加 

3.一般事 
項 

JIS M 8203によ
る。 

4.定量方 
法の種類 

附属書1:モリブ
ドりん酸青吸光
光度法[適用含有
率範囲0.005〜
0.5 %(質量分率)] 
附属書2:モリブ
ドバナドりん酸
抽出吸光光度法
[適用含有率範囲
0.02〜0.5 %(質量
分率)] 

 
 
 
 
(タイトル
で規定) 
1.適用範 
囲 

なし 
 
 
 
 
モリブドバナ
ドりん酸抽出
吸光光度法 
[適用含有率範
囲0.02〜0.5 %
(質量分率)] 

MOD/追
加 
 
 
 
IDT 

モリブデンとり
んの錯塩を還元
し,そのまま測
定する。 
モリブデンとバ
ナジウムとりん
の錯塩を有機溶
媒で抽出して測
定する。 

この方法は,従来
のJISであり,日
本国内及び欧米
で広く使用され
ているため,採用
した。 
ISOに提案する
予定。 
 

附属書1 

モリブドりん酸 
青吸光光度法 

 ―   ― 

MOD/追
加 

ISO規格に提案
する。 

附属書2 

モリブドバナド 
りん酸抽出吸光 
光度法 

ISO 
4293 

− 

− 

附属書2
の 
1.要旨 

試料の分解,未分
解残さの処理,モ
リブドバナドり
ん酸の抽出。 

3.要旨 

JISと同じ 

IDT 

附属書2
の 
2.試薬 

ISOで規定する
14種の試薬に加
えてマンガンを
規定した。 

4.試薬 

14種類につい
てはJISと同
じ。 

MOD/追
加 

検量線に使用す
るマンガンが
ISO規格に入っ
ていない。 

ISO規格に追加
提案する。 

附属書2の3.装置 

5.装置 

a) 

分光光度計又は
光電光度計 

5.1 

JISと同じ 

IDT 

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M 8236:2004  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ)
国際
規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術
的差異の項目ごとの評価及
びその内容 
表示箇所: 
表示方法: 

(Ⅴ)JISと国際規格
との技術的差異の
理由及び今後の対
策 

項目番号 

内容 

項目番号 

内容 

項目ごと
の評価 

技術的差異の内
容 

b) 

白金るつぼ 

ISO 
4293 

5.2 

JISと同じ 

IDT 

附属書2
の4.試料 

ISO 4296-1,ISO 
4296-2,による。 

6.試料 

JISと同じ 

IDT 

附属書2の5.操作 

7.操作 

5.1試料 
の分解 

試料0.5 gを塩酸,
硝酸,過塩素酸で
分解 

7.1試料の
分解 

JISと同じ 

IDT 

5.2未分解
残さの処
理 

硫酸,ふっ化水素
酸で処理した後,
炭酸ナトリウム
で融解。 

7.2未分解
残さの処
理 

JISと同じ 

IDT 

5.3モリブ
ドバナド
りん酸錯
体の抽出 

各種試薬を加え
た後,80 mlにし
て4-メチル-2-ペ
ンタノンで抽出
する。 
適正な吸光度を
得やすいように
注(5)を付けた。 

7.3モリブ
ドバナド
りん酸錯
体の抽出 

各種試薬を加
えた後,4-メチ
ル-2-ペンタノ
ンで抽出する。 

MOD/追
加 

ISO規格には,
水溶液の容量を
80 mlにする記
載はない。 
JISで付けた注
はない。 

ISO規格に追加
提案する。 

5.4吸光 
度の測定 

波長425 nm,10 
mmセルで吸光度
を測定する。 
20 mmセルの使
用及び呈色溶液
の温度について
注(6)(7)を付けた。 

7.4吸光 
度の測定 

JISと同じ 
 
 

MOD/追
加 

操作はISO規格
と同じである
が,分析精度を
向上させるため
JISで付けた注
はない。 

ISO規格に追加
提案する。 

5.5空試験 全操作を通じて

行う。 

7.5空試験 JISと同じ 

IDT 

5.6検量線
の作成 

7.6検量線
の作成 

JISと同じ 

IDT 

附属書2の6.結果の表示 

8.結果の
表示 

6.1計算 

8.1計算 

JISと同じ 

IDT 

6.2併行分
析結果の
許容差 

8.2併行分
析結果の
許容差 

JISと同じ 

IDT 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD 

備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− IDT ························ 技術的差異はない。 
− MOD/追加 ··············· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 

2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。 

− MOD ····················· 国際規格を修正している。