M 8224 : 1997
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS M 8224-1983は改正され,この規格によって置き換えられる。
今回の改正では,国際規格との整合化を図るため,ISO規格を元にし,附属書2として規定している。
JIS M 8224には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) ジフェニルカルバジド吸光光度法
附属書2(規定) 鉄分離原子吸光法
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
M 8224 : 1997
鉄鉱石−クロム定量方法
Iron ores−Methods for determination of chromium content
序文 この規格の,附属書1はJIS M 8224-1983のジフェニルカルバジド吸光光度法を改正し規定した日
本工業規格である。附属書2は1991年に発行されたISO 9685,Iron ores−Determination of nickel and/or
chromium contents−Flame atomic absorption spectrometric methodのクロム部分を元にし,規定を作成した日
本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,鉄鉱石中のクロム定量方法について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS M 8202 鉄鉱石−分析方法通則
3. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8202の規定による。
4. 定量方法の区分 クロムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) ジフェニルカルバジド吸光光度法 この方法は,クロム含有率0.01% (m/m) 以上0.50% (m/m) 以下の
試料に適用するもので,附属書1による。
b) 鉄分離原子吸光法 この方法は,クロム含有率0.001% (m/m) 以上0.10% (m/m) 以下の試料に適用す
るもので,附属書2による。
2
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附属書1(規定) ジフェニルカルバジド吸光光度法
1. 要旨 試料を適切な酸で分解して硫酸白煙処理をする。可溶性塩類を水で溶解し,ろ過する。残さは
強熱灰化した後,ふっ化水素酸処理を行い,二硫酸カリウムで融解し,ろ液に合わせる。りん酸を共存さ
せて過マンガン酸カリウムでクロムを二クロム酸に酸化する。
又は試料を過酸化ナトリウムで融解し,融成物を水で溶解し,過酸化ナトリウムでクロムを二クロム酸
に酸化する。
得られた二クロム酸にジフェニルカルバジドを反応させ,生成した錯体の吸光度を測定する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 硝酸
c) ふっ化水素酸
d) ふつ化水素酸 (1+11)
e) 硫酸 (1+1,1+9,2+100)
f)
りん酸
g) りん酸 (1+1)
h) 水酸化ナトリウム溶液 (5g/l)
i)
酸化鉄 (III) できるだけ純度の高い酸化鉄 (III) で,クロムを含有しないか,又はクロム含有率がで
きるだけ低くて,既知であるもの。
j)
炭酸ナトリウム(無水)
k) 過酸化ナトリウム
l)
二硫酸カリウム
m) 過マンガン酸カリウム溶液 (5g/l)
n) 亜硝酸ナトリウム溶液 (100g/l)
o) 尿素溶液 (200g/l)
p) 8−キノリノール(オキシン)溶液 オキシン1.0gを酢酸10mlに溶解し,水で液量を100mlとする。
この溶液は,使用の都度調製する。
q) ジフェニルカルバジド溶液 ジフェニルカルバジド0.2gにエタノール (95) を加え,よくかき混ぜて
溶解し,エタノールで液量を100mlとする。この溶液は,使用の都度調製する。
r) ベンゼン
s)
標準クロム溶液 (100μgCr/ml) 二クロム酸カリウム (JIS K 8005) 約1gを,105〜110℃で3〜4時間
乾燥した後,デシケーター中で放冷する。これから0.282 9gをはかり採り,水に溶解して1 000mlの
全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて標準クロム溶液とする。
t)
メチルオレンジ溶液 (1g/l)
3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,酸で分解する場合(1)は附属書1表1によって,直接融解す
る場合(2)は0.2gとする。
3
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附属書1表1 試料はかり採り量
クロム含有率
% (m/m)
試料はかり採り量
g
0.01以上 0.25未満
0.20
0.25以上 0.50以下
0.10
注(1) 4.1のa)及びb)による試料溶液調製法を指す。
(2) 4.1c)による試料溶液調製法を指す。
4. 操作
4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。
a) 塩酸で分解容易な試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (100ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,塩酸20mlを加え,初めは熱板周辺の低温部 (60〜100℃) にビーカーを置き約1時
間保持した後,更に高温部に移して約10分間沸騰直前まで加熱して分解する。次に硝酸約3ml及
び硫酸 (1+1) 10mlを加え,加熱蒸発させて硫酸白煙を発生させ,放冷した後,水50mlを加えて加
熱し,可溶性塩類を溶解する。これをろ紙(5種B)とろ紙パルプを用いて不溶解残さをろ過し,
温硫酸 (2+100) で5回,温水で3回洗浄してろ液及び洗液をビーカー (300ml) に集め,主液とし
て保存する。
3) 不溶解残さは,ろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し入れ,乾燥した後,強熱灰化して放冷する。
強熱残さを硫酸 (1+1) で湿し,ふっ化水素酸約5mlを加え穏やかに加熱して,二酸化けい素及び
硫酸を揮散させる。放冷した後,これに二硫酸カリウム約3gを加え,初めは徐々に加熱し,次第に
温度を高め,暗赤熱状に加熱して融解する。放冷した後,白金るつぼを2)で保存した主液に入れ,
穏やかに加熱して融成物を融解する。白金るつぼを水で洗って取り出し,りん酸5mlを加えて液量
を約100mlとする。
b) 硫酸とりん酸で分解容易な試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (100ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,りん酸5ml及び硫酸 (1+1) 3mlを加え,初めは熱板周辺の低温部 (60〜100℃) にビ
ーカーを置き約1時間保持した後,更に高温部に移して約10分間沸騰直前まで加熱して分解する。
引き続き加熱して濃厚な硫酸白煙を発生させる。放冷した後,硫酸 (1+1) 3ml及び温水約30mlを
加え,加熱して可溶性塩類を溶解した後,ろ紙(5種B)及びろ紙パルプを用いて不溶解残さをろ
過し,約40〜60℃に加熱した温硫酸 (2+100) で5回,温水で3回洗浄して,不溶解残さを捨てる。
ろ液及び洗液はビーカー (300ml) に集め,液量を約100mlとする。
c) 酸で分解困難な場合,銅を1% (m/m) 以上含有する場合,又はバナジウムが0.5% (m/m) 以上でクロ
ム含有率の10倍以上を含む場合
1) 試料をはかり採ってあらかじめ炭酸ナトリウム(無水)2gを融解して裏付けしたニッケルるつぼ(3)
(30ml) に入れる。
2) 過酸化ナトリウム2gを加えてよく混和し,更に少量の過酸化ナトリウムで表面を覆い,初めは低温
で加熱し,内容物が溶けてから温度を高め,約3分間暗赤熱状に加熱して融解する。放冷した後,
るつぼをビーカー (500ml) に入れ,温水約200mlを加えて融成物を溶解し,るつぼを水で洗って取
り出す。
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注(3) ニッケルるつぼの代わりにアルミナるつぼ (30ml) 又はジルコニウムるつぼ (30ml) を用
いてもよい。
4.2
クロムの酸化 クロムの酸化は,次のいずれかによる。
a) 酸分解した溶液の場合 4.1のa)3)及びb)2)で得た試料溶液を加熱して穏やかに煮沸しながら過マン
ガン酸カリウム溶液2mlを加える。その赤紫が速やかに消えるときは,消えなくなるまで過マンガン
酸カリウム溶液1mlずつを追加した後,約3分間煮沸を続け,クロムを二クロム酸に酸化する。熱源
から降ろし,水約50mlを加えて常温まで冷却する。これに尿素溶液10mlを加えてかき混ぜ,次に亜
硝酸ナトリウム溶液を1滴ずつ加えてよくかき混ぜ,過マンガン酸の赤紫が消えるまで,この操作を
繰り返す。赤紫が消えたら,尿素と亜硝酸との反応による泡立ちがやむまでよくかき混ぜた後,250ml
の全量フラスコに水を用いて洗い移し,水で標線まで薄める。
b) 融解処理した溶液の場合 4.1c)2)で得た試料溶液を,かき混ぜながら過酸化ナトリウム約0.5gを少量
ずつ分けて加えて加熱し,ときどきかき混ぜながら約10分間煮沸してクロムを完全に二クロム酸に酸
化して,過酸化物を分解する。これを20℃以下に冷却した後,250mlの全量フラスコに水を用いて移
し入れ,水で標線まで薄める。
4.3
呈色 呈色は,次のいずれかによる。
a) 酸分解した溶液の場合 4.2a)で得た試料溶液から50ml分取して100mlの全量フラスコに移し入れ,
ジフェニルカルバジド溶液[2.q)]3mlを正確に加えて振り混ぜ,約1分間静置してからふっ化水素酸 (1
+11) 5mlを加え,水で標線まで薄める。
b) 融解処理した溶液でバナジウムを含まない場合(4) 4.2b)で得た試料溶液を静置した後,乾いたろ紙(5
種B)を用いてろ過し,初めのろ液は捨て,次のろ液からクロム含有率0.25% (m/m) 未満の場合は50ml,
0.25% (m/m) 以上の場合には25ml分取して100mlの全量フラスコに移し入れ,硫酸 (1+9) で中和し
た後(5),過剰に5mlを加え,常温まで冷却する。
なお,このとき25ml分取したものには水25mlを加える。これにジフェニルカルバジド溶液[2.q)]3ml
を正確に加えて振り混ぜ,約1分間静置した後,水で標線まで薄める。
注(4) バナジウム含有率が0.5% (m/m) 未満でクロム含有率の10倍未満のものが該当する。
(5) 試料溶液にメチルオレンジなどの中和指示薬を加えてはならないので,あらかじめ別に分取量
と同量を三角フラスコ (200ml) に取り,メチルオレンジ溶液[2.t)]を指示薬として硫酸 (1+9)
で中和し,硫酸消費量を求めておく。
c) バナジウム含有率が0.5% (m/m) 以上でクロム含有率の10倍以上含む場合 4.2b)で得た試料溶液を
静置した後,乾いたろ紙(5種B)を用いてろ過し,初めのろ液は捨て,次のろ液からクロム含有率
0.25% (m/m) 未満の場合は50ml,0.25% (m/m) 以上の場合は25ml分取してビーカー (100ml) に移し
入れ,硫酸 (1+9) で中和する(5)。次に水酸化ナトリウム溶液を滴下し,pH計を用いてpH5.3付近に
調節した後,分液漏斗 (200ml) に移し入れ,オキシン溶液[2.p)]1mlを正確に加えてよく振り混ぜる。
これにベンゼン20mlを加えて約1分間激しく振り混ぜた後,静置する。二層に分かれたら下層の水
相を別の分液漏斗 (200ml) に移し入れ,有機相は捨てる。水相の入っている分液漏斗に新たにベンゼ
ン20mlを加え,再び1分間激しく振り混ぜ,バナジウムのオキシン化合物を抽出し,下層の水相を
ビーカー (100ml) に移し入れ,有機相は捨てる。これを加熱してベンゼンを揮散させて,液量を約60ml
とする。常温まで冷却した後,100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,硫酸 (1+9) 5mlを加え
た後,ジフェニルカルバジド溶液[2.q)]3mlを正確に加えて振り混ぜ,約1分間静置した後,水で標線
まで薄める。
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4.4
吸光度の測定 4.3で得た呈色溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として
540nm付近の吸光度を測定する。
5. 空試験 試料の代わりに酸化鉄 (III) [2.i)]を,はかり採った試料と同量をはかり採り,酸分解法の場合
はビーカー (100ml) に,融解法の場合はあらかじめ炭酸ナトリウム(無水)2gを融解して裏付けしたニッ
ケルるつぼ (30ml) に移し入れる。以下,4.1〜4.4の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6. 検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかによる。
a) 酸分解法の場合(1) 7個のビーカー (300ml) を準備し,それぞれにはかり採った試料と同量の酸化鉄
(III) [2.i)]をはかり採って移し入れる。次に標準クロム溶液 [2.s)]0ml,0.5ml,1ml,2ml,3ml,4ml及
び5mlを正確に加え,以下,4.1 a)2)〜3),4.2 a),4.3 a)及び4.4の手順に従って試料と併行して操作す
る。得られた吸光度とクロム量の関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量
線とする。
b) 融解法の場合(2) 酸化鉄 (III) [2.i)]0.200gを7個はかり採って,それぞれ4.1 c)の手順に従って操作す
る。ただし,融成物を溶解する温水約200ml中には,標準クロム溶液[2.s)]0ml,1ml,2ml,4ml,6ml,
8ml及び10mlを正確に加えておく。以下,4.2b),4.3b)及び4.4の手順に従って操作する。ただし,4.3b)
の中で分取量は25mlだけとする。得られた吸光度とクロム量との関係線を作成し,その関係線を原
点を通るように平行移動して検量線とする。
7. 計算 計算は,次による。
a) クロム含有率の計算 4.4及び5.で得た吸光度と6.で作成した検量線とからクロム量を求め,試料中の
クロム含有率を,次の式によって算出する。
100
2
1
×
×
−
=
B
m
A
A
Cr
ここに,
Cr: 試料中のクロム含有率 [% (m/m)]
A1: 分取した試料溶液中のクロム検出量 (g)
A2: 分取した空試験液中のクロム検出量(6) (g)
m: 試料はかり採り量 (g)
B: 試料溶液及び空試験液の分取比
注(6) 空試験に使用した酸化鉄 (III) 中にクロムが含まれ
ている場合には,はかり採った酸化鉄 (III) 中のクロ
ム量を差し引く。
b) 酸化クロム含有率の計算 試料中の酸化クロム含有率はクロム含有率から,次の式によって算出する。
Cr2O3=1.461 5×Cr
ここに, Cr2O3: 試料中の酸化クロム含有率 [% (m/m)]
Cr: a)に同じ
8. 許容差 許容差は,附属書1表2による。
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附属書1表2 許容差
単位 % (m/m)
室内許容差
室間許容差
D (n) × [0.0016]
2.8× [0.004 2]
n=2のとき,D (n) =2.8
n=3のとき,D (n) =3.3
n=4のとき,D (n) =3.6
参考 この許容差は,クロム含有率0.026% (m/m) の試料1個で求めたものである。
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附属書2(規定) 鉄分離原子吸光法
1. 要旨 試料を塩酸及び硝酸で分解し,ろ過する。ろ液中の鉄を4-メチル-2-ペンタノンによって抽出除
去する。残さはふっ化水素酸処理した後,炭酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウムで融解し,ろ液に合わせ
る。この溶液を原子吸光光度計の一酸化二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。
2. 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 塩酸 [10+6(1),1+1,2+100]
c) 硝酸
d) ふっ化水素酸
e) 硫酸
f)
硫酸 (1+1)
g) 酸化鉄 (III) できるだけ純度の高い酸化鉄 (III) で,クロムを含有しないか,又はクロム含有率がで
きるだけ低くて,既知であるもの。
h) 混合融剤 炭酸ナトリウム(無水)2,四ほう酸ナトリウム(無水)1
i)
4−メチル−2−ペンタノン
j)
標準クロム溶液A (100μgCr/ml) クロム[純度99.9% (m/m) 以上]0.100 0gを塩酸 (1+1) 20mlで加
熱分解する。常温まで冷却した後,1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄
め,標準クロム溶液Aとする。
k) 標準クロム溶液B (10μgCr/ml) 標準クロム溶液Aを必要量だけ水で正確に10倍に薄めて標準クロ
ム溶液Bとする。
注(1) 溶媒抽出に用いるので,正確に調製する。
3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,1.0gとする。
4. 操作
4.1
試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。
a) クロム含有率0.001% (m/m) 以上0.01% (m/m) 未満の試料
1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,水2〜3mlで試料を湿した後,塩酸25mlを加え,熱板上で約1時間加熱する(2)。た
だし,この熱板の温度は,ビーカーに入れた試料溶液と同量の硫酸の温度が100℃に保たれるよう
に調節する。次に硝酸5mlと硫酸 (1+1) 0.2ml(3)を加え約15分間加熱を続けた後,時計皿を少しず
らして乾固直前まで蒸発させる。
注(2) 不溶解残さが多い場合には熱板の高温部分に移して加熱を続ける。ただし,溶液を沸騰さ
せてはならない。
(3) バリウムを多量に含む試料の場合には,硫酸 (1+1) は添加しない。
3) 塩酸 (1+1) 20mlを加え加熱して塩類を溶解する。冷却した後,ろ紙(5種B)と少量のろ紙パルプ
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を用いて不溶解残さをろ過する。ビーカー内壁をゴム帽付きガラス棒を用いてこすり,付着物をろ
紙上に移す。ろ紙は温塩酸 (2+100) でろ紙に塩化鉄 (III) の黄色が認められなくなるまで洗浄し,
さらに温水で3〜4回洗浄する。ろ液と洗液はビーカー (200ml) に集め,不溶解残さはろ紙ととも
に白金るつぼ(30番)に移す。
4) ろ液と洗液を加熱して乾固直前まで蒸発させる。塩酸 (10+6) 15mlを加え塩類を溶解した後,分液
漏斗 (200ml) に移し入れる。塩酸 (10+6) 20mlでビーカー内壁を洗浄し分液漏斗に加える。4-メチ
ル-2-ペンタノン50mlを分液漏斗に加え激しく1分間振り混ぜる。二層に分離した後,下層の水相
を元のビーカー (200ml) に移し入れる。塩酸 (10+6) 10mlを分液漏斗に加え30秒間激しく振とう
し,二層に分離した後,下層の水相を先に分離した水相に合わせる。この溶液を穏やかに加熱して
大部分の4−メチル−2−ペンタノンを除去した後,硝酸5mlを加え乾固する。放冷した後,塩酸 (1
+1) 20mlで塩類を溶解し,主液として保存する。
5) 3)で得た白金るつぼ中のろ紙を乾燥して500〜800℃で燃焼させた後,残さを強熱灰化する。放冷し
た後,強熱残さを硫酸3滴で湿してふっ化水素酸5mlを加え,穏やかに加熱して二酸化けい素及び
硫酸を揮散させる。続いて800℃で数分間加熱する。放冷した後,混合融剤[2.h)]1.2gを白金るつぼ
に加えよく混合する。初めの数分間静かに加熱した後,1 000℃のマッフル炉で15分間加熱し(4),残
さを融解する。放冷した後,白金るつぼを4)で保存した主液に入れ,塩酸 (1+1) 10mlを加えて穏
やかに加熱して融成物を溶解する。白金るつぼは温水で洗って取り出す。
注(4) マッフル炉の代わりに加圧空気バーナーを用いて透明になるまで十分加熱する方式を採用
してもよい。
6) この溶液を加熱して二酸化炭素を除去し約30mlに濃縮する。常温まで冷却した後,50mlの全量フ
ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
b) クロム含有率0.01% (m/m) 以上0.10% (m/m) 以下の試料
1) a)1)の操作を行う。
2) a)2)〜5)の操作を行う。
3) この溶液を加熱して二酸化炭素を除去する。常温まで冷却後100mlの全量フラスコに水を用いて移
し入れ,水で標線まで薄める。
4.2
吸光度の測定 4.1のa)6)又はb)3)で得た試料溶液の一部を,水を用いてゼロ点調整した原子吸光光
度計の一酸化二窒素・アセチレンフレーム中に噴霧して,波長357.9nmにおける吸光度を測定する。
5. 空試験 試料の代わりに酸化鉄 (III) [2.g)]1.0gをはかり採って,ビーカー (300ml) に移し入れる。以
下,4.1a)2)〜4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。
6. 検量線の作成 附属書2表1のクロム含有率の範囲ごとに7個のビーカー (300ml) を準備し,それぞ
れに酸化鉄 (III) [2.g)]1.0gをはかり採って移し入れる。次に附属書2表1の標準クロム溶液添加量に従っ
て標準クロム溶液を正確に加える。以下,4.1 a)の2)〜6)又は4.1 b)の2)〜3)及び4.2の手順に従って試料
と併行して操作し,得られた吸光度とクロム量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行
移動して検量線とする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2表1 標準クロム溶液添加量
クロム含有率
% (m/m)
使用する標準クロム溶液 標準クロム溶液添加量
ml
0.001以上0.01未満
B[2.k)]
0,1,2,4,6,8,10
0.01 以上0.10以下
A[2.j)]
0,1,2,4,6,8,10
7. 計算 計算は,次による。
a) クロム含有率の計算 4.2及び5.で得た吸光度と,6.で作成した検量線から,クロム量を求め,試料中
のクロム含有率を次の式によって算出する。
100
2
1
×
−
=
m
A
A
Cr
ここに, Cr: 試料中のクロム含有率 [% (m/m)]
A1: 試料溶液中のクロム検出量 (g)
A2: 空試験液中のクロム検出量(5) (g)
m: 試料はかり採り量 (g)
注(5) 空試験に使用した酸化鉄 (III) 中にクロムが含まれている場合
には,はかり採った酸化鉄 (III) 中のクロム量を差し引く。
b) 酸化クロム含有率の計算 試料中の酸化クロム含有率はクロム含有率から,次の式によって算出する。
Cr2O3=1.461 5×Cr
ここに, Cr2O3: 試料中の酸化クロム含有率 [% (m/m)]
Cr: a)に同じ
8. 許容差 許容差は,附属書2表2による。
附属書2表2 許容差
単位 % (m/m)
室内許容差
室間許容差
D (n) ×[0.008 1×(クロム含有率)+0.000 10] 2.8×[0.022 1×(クロム含有率)+0.000 09]
n=2のとき,D (n) =2.8
n=3のとき,D (n) =3.3
n=4のとき,D (n) =3.6
参考 この許容差は,クロム含有率0.001 1% (m/m) 以上0.056% (m/m) 以下の試料を用いて求めたも
のである。
10
M 8224 : 1997
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
化学分析分科会鉄鉱石分析JIS改正ワーキンググループ
氏名
所属
鉄鋼分析部会部会長
佐 伯 正 夫
新日本製鐵株式会社
化学分析分科会主査,鉄鉱石JIS改正WG
リーダー
岩 田 英 夫
日本鋼管株式会社
直属幹事
石 橋 耀 一
日本鋼管株式会社
委員
岡 野 輝 雄
川崎製鉄株式会社
杉 原 孝 志
川崎テクノリサーチ株式会社
中 川 孝
川崎テクノリサーチ株式会社
秋 窪 英 敏
合同製鐵株式会社
金 築 宏 治
株式会社神戸製鋼所
河 村 恒 夫
株式会社コベルコ科研
稲 本 勇
新日本製鐵株式会社
大 水 勝
新日本製鐵株式会社
笠 井 茂 夫
新日本製鐵株式会社
鈴 木 興 三
新日本製鐵株式会社
鈴 木 節 雄
新日本製鐵株式会社
土 屋 武 久
新日本製鐵株式会社
蔵 保 浩 文
住友金属工業株式会社(クロム担当)
中 里 福 和
住友金属工業株式会社
西 野 和 美
住友金属工業株式会社
平 松 茂 人
住友金属工業株式会社
菅 野 清
株式会社中山製鋼所
西 田 宏
日新製鋼株式会社
小 倉 正 之
日本鋼管株式会社
舟 曵 佳 弘
日本鋼管株式会社
事務局
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼協会
増 喜 浩 二
社団法人日本鉄鋼協会
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M 8224 : 1997
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
社団法人日本鉄鋼連盟 原料標準委員会JM2分科会
氏名
所属
原料標準委員会委員長
安 達 良 英
新日本製鐵株式会社
JM2分科会主査
松 村 泰 治
川崎テクノリサーチ株式会社
委員
中 林 賢 司
通商産業省工業技術院
藤 本 京 子
川崎製鉄株式会社
滝 沢 佳 郎
川崎テクノリサーチ株式会社
岡 山 和 生
合同製鐵株式会社
金 築 宏 治
株式会社神戸製鋼所
今 北 毅
株式会社コベルコ科研
西 埜 誠
株式会社島津製作所
笠 井 茂 夫
新日本製鐵株式会社
菊 池 統 一
新日本製鐵株式会社
鈴 木 節 雄
新日本製鐵株式会社
松 本 義 朗
住友金属工業株式会社
西 野 和 美
住友金属テクノロジー株式会社
原 田 幹 雄
株式会社中山製鋼所
槌 尾 武 久
日新製鋼株式会社
林 三 男
社団法人日本海事検定協会
石 橋 耀 一
日本鋼管株式会社
吉 岡 豊
日本鋼管株式会社
河 野 久 征
理学電機工業株式会社
事務局
大 槻 孝
社団法人日本鉄鋼連盟
脊 戸 雄 功
社団法人日本鉄鋼連盟