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M 8223 : 1997  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによってJIS M 8223-1983は改正され,この規格によって置き換えられる。 

今回の改正では,国際規格との整合化を図るため,ISO規格を元にし,附属書2として規定している。 

JIS M 8223には,次に示す附属書がある。 

附属書1(規定) ジメチルグリオキシム吸光光度法 

附属書2(規定) 鉄分離原子吸光法 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 8223 : 1997 

鉄鉱石−ニッケル定量方法 

Iron ores−Methods for determination of nickel content 

序文 

この規格の,附属書1はJIS M 8223-1983のジメチルグリオキシム吸光光度法を改正し規定した

日本工業規格である。附属書2は1991年に発行されたISO 9685,Iron ores−Determination of nickel and/or 

chromium contents−Flame atomic absorption spectrometric methodのニッケル部分を元にし,規定を作成した

日本工業規格である。 

1. 適用範囲 この規格は,鉄鉱石中のニッケル定量方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。この引用規格は,その最新版を適用する。 

JIS M 8202 鉄鉱石−分析方法通則 

3. 一般事項 定量方法に共通な一般事項は,JIS M 8202の規定による。 

4. 定量方法の区分 ニッケルの定量方法は,次のいずれかによる。 

a) ジメチルグリオキシム吸光光度法 この方法は,ニッケル含有率0.01% (m/m) 以上2% (m/m) 以下の

試料に適用するもので,附属書1による。 

b) 鉄分離原子吸光法 この方法は,ニッケル含有率0.001% (m/m) 以上0.10% (m/m) 以下の試料に適用

するもので,附属書2による。 

M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書1(規定) ジメチルグリオキシム吸光光度法 

1. 要旨 試料を塩酸及び硝酸で分解し,過塩素酸を加えて白煙を発生させる。塩類を溶解した後,ろ過

する。残さは,ふっ化水素酸によって二酸化けい素を揮散させた後,二硫酸ナトリウムで融解し,ろ液に

合わせる。この溶液中のニッケルをよう素で酸化し,アンモニア水でアルカリ性とした後,ジメチルグリ

オキシムと反応させ,生成するニッケルジメチルグリオキシム錯体の吸光度を測定する。 

2. 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 塩酸 (1+23,2+100)  

c) 硝酸 

d) 過塩素酸 

e) ふっ化水素酸 

f) 

硫酸 (1+1)  

g) アンモニア水 

h) アンモニア水 (1+50)  

i) 

酸化鉄 (III)  できるだけ純度の高い酸化鉄 (III) で,ニッケルを含有しないか,又はニッケル含有率

ができるだけ低くて,既知であるもの。 

j) 

臭素水(飽和,約35g/l) 

k) よう素溶液 よう素3.6gによう化カリウム30gを加え,水約100mlを加えて完全に溶解した後,水で

液量を1 000mlとする。この溶液は褐色瓶に保存する。 

l) 

塩化ナトリウム 

m) 二硫酸ナトリウム 

n) 塩化アンモニウム溶液 (200g/l)  

o) くえん酸溶液 (500g/l)  

p) ジメチルグリオキシム溶液 ジメチルグリオキシム10gを水酸化ナトリウム溶液 (10g/l) 1 000mlに溶

解する。 

q) ジメチルグリオキシム・エタノール溶液 ジメチルグリオキシム1gをエタノール (95) 100mlに溶解

し,不溶解残さがあればろ過する。 

r) クロロホルム 

s) 

標準ニッケル溶液A (500μgNi/ml)  ニッケル[99.9% (m/m) 以上]0.500gをはかり採ってビーカー 

(500ml) に移し,硝酸 (1+1) 約20mlを加えて加熱分解した後,過塩素酸約10mlを加えて加熱蒸発し

て白煙を発生させ,放冷した後,水を加えて塩類を溶解する。常温まで冷却した後,1 000mlの全量

フラスコに水を用いて移し入れて水で標線まで薄め標準ニッケル溶液Aとする。 

t) 

標準ニッケル溶液B (50μgNi/ml)  標準ニッケル溶液Aを必要量だけ水で正しく10倍に薄めて標準

ニッケル溶液Bとする。 

M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,0.5gとする。ただし,妨害元素を含み,4.2の操作を適用す

る場合は,ニッケル量が0.4mg未満になる量とする。 

4. 操作 

4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調整は,次の手順によって行う。 

a) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れる。 

b) 時計皿で覆い,塩酸20mlを加え,初めは熱板周辺の低温部 (60〜100℃) にビーカーを置いて約1時

間保持した後,更に高温部に移して約10分間沸騰直前まで加熱して分解する。次に硝酸5ml及び過

塩素酸20mlを加え,引き続き加熱して蒸発させる。ビーカー内部に過塩素酸の白煙が発生しはじめ(1),

更に内部が透明となり,過塩素酸の蒸気がビーカー内壁を伝わって逆流する状態で約10分間加熱した

後放冷する。これに温水約50mlを加えて振り混ぜ,可溶性塩類を溶解し,ろ紙(5種B)を用いて不

溶解残さをろ過し,約40〜60℃に加熱した温塩酸 (2+100) でろ紙に塩化鉄 (III) の黄色が認められ

なくなるまで洗浄し,次に温水で数回洗浄する。ろ液及び洗液はビーカー (300ml) に集めて主液とし

て保存する。 

c) 不溶解残さ(2)はろ紙とともに白金るつぼ(30番)に移し,乾燥した後,強熱して灰化する。放冷した

後,強熱残さを少量の硫酸 (1+1) で湿し,ふっ化水素酸約5mlを加えて穏やかに加熱し,二酸化け

い素及び硫酸を揮散させる。放冷した後,これに二硫酸ナトリウム約3gを加え,ふたをして初めは徐々

に加熱し,次第に温度を高めて暗赤熱状に加熱して残さを融解する。放冷した後,白金るつぼをb)で

保存した主液の入ったビーカーに入れ,穏やかに加熱して融成物を溶解し,白金るつぼを水で洗って

取り出す。 

注(1) クロム含有率が2% (m/m) 以上の場合は,溶液が紅色となったとき,塩化ナトリウム0.1gを少量

ずつ加えて大部分のクロムを二塩化二酸化クロムとして揮散させる。 

(2) 不溶解残さが少なく,しかもニッケルが含まれていないことがあらかじめ分かっている場合は,

残さ処理の操作を省いて不溶解残さを捨ててもよい。 

4.2 

妨害元素の除去(3) 試料中にマンガン1% (m/m) 以上,銅1% (m/m) 以上又はコバルト0.3% (m/m) 

以上含む場合は,4.1で得た試料溶液を蒸発して液量を約40mlに濃縮して冷却した後,分液漏斗 (100ml) に

水を用いて移す。これにくえん酸溶液2mlを加え,リトマス試験紙を用いてアンモニア水で中和し,更に

過剰に1mlを加えてアルカリ性とし,流水中で冷却する。これにジメチルグリオキシム・エタノール溶液 

[2.q)] 2ml及びクロロホルム5mlを加えて約30秒間振り混ぜる。しばらく静置して二層に分離した後,下

層のクロロホルム相を別の分液漏斗 (100ml) に移して保存する。残った水相にクロロホルム3mlを加えて

同様に操作し,クロロホルム相を先に保存したクロロホルム溶液に合わせる。この操作を更に2回繰り返

した後,水相は捨てる。クロロホルム溶液に塩酸 (1+23) 10mlを加えて約30秒間振り混ぜる(4)。しばら

く静置して二相に分離した後,下層のクロロホルム相を別の分液漏斗 (100ml) に移し,再び塩酸 (1+23) 

5mlを加えて同様に操作し,静置してクロロホルム相を取り出して捨てる。前後2回の抽出で得た塩酸溶

液を合わせて100mlの全量フラスコに水を用いて洗い移す。 

注(3) 試料中にマンガン1% (m/m) 以上,銅1% (m/m) 以上又はコバルト0.3% (m/m) 以上を含まない場

合は,直ちに4.3の呈色操作に移る。 

(4) 妨害元素が多く,抽出時に水相が濁る場合には,抽出した全クロロホルム相を合わせた分液漏

斗にアンモニア水 (1+50) 10〜20mlを加え,約30秒間振り混ぜる。静置してクロロホルム相

を別の分液漏斗 (100ml) に移し,これに塩酸 (1+23) 10mlを加えて約30秒間振り混ぜる。 

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M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.3 

呈色 呈色は,次のいずれかによる。 

a) ニッケル含有率が0.1% (m/m) 未満で妨害元素の除去操作を行わない場合 4.1で得た試料溶液を冷

却した後,250mlの全量フラスコに集める。これに,よう素溶液 [2.k)] 10mlとアンモニア水35mlを

加えてよく振り混ぜ,流水中で常温まで冷却した後,ジメチルグリオキシム溶液 [2.p)] 3mlを加えて

振り混ぜ,水で標線まで薄める。 

b) ニッケル含有率が0.1% (m/m) 以上で妨害元素の除去操作を行わない場合 4.1で得た試料溶液を常

温まで冷却した後,250mlの全量フラスコに集め,水で標線まで薄める。これから,ニッケル含有率

に応じて附属書1表1に従って一定量分取し,100mlの全量フラスコに移し入れ,水で約50mlとする

(50ml分取はそのまま)。次に,よう素溶液 [2.k)] 10ml及びアンモニア水35mlを加えてよく振り混

ぜる。流水中で常温まで冷却した後,ジメチルグリオキシム溶液 [2.p)] 3mlを加えて振り混ぜ,水で

標線まで薄める。 

附属書1表1 分取量 

ニッケル含有率 

% (m/m) 

分取量 

ml 

0.1以上 0.4未満 

50 

0.4以上 1  未満 

20 

1 以上 

2  以下 

10 

c) 妨害元素の除去操作を行った場合 4.2で得た試料溶液に水を加えて液量を約80mlとし塩化アンモニ

ウム溶液10ml及び臭素水2mlを加え,振り混ぜて約1分間静置してニッケルを完全に酸化する。次

にアンモニア水で中和した後,更に1ml過剰に加え,流水中で常温まで冷却する。ジメチルグリオキ

シム溶液 [2.p)] 2mlを加えて振り混ぜ,水で標線まで薄める。 

4.4 

吸光度の測定 4.3で得た呈色溶液を乾いたろ紙(5種A)を用いてろ過し,水酸化鉄などの沈殿を

除去する。最初のろ液を捨て,次のろ液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液として,

波長440nm付近の吸光度を測定する(5)。 

注(5) 呈色溶液は,液温が常温以下であれば30分間は安定である。 

5. 空試験 試料の代わりに酸化鉄 (III) [2.i)] をはかり採った試料と同量はかり採り,ビーカー (300ml) 

に移し入れる。以下,4.1b)〜4.4の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。 

6. 検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかによる。 

a) ニッケル含有率が0.1% (m/m) 未満で妨害元素の除去操作を行わない場合 7個のビーカー (300ml) 

を準備し,それぞれに酸化鉄 (III) [2.i)] 0.5gをはかり採って移し入れる。次に,標準ニッケル溶液B 

[2.t)] 0ml,1ml,2ml,4ml,6ml,8ml及び10mlを正確に加え,以下,4.1 b)〜c),4.3 a)及び4.4の手

順に従って操作し,得た吸光度とニッケル量との関係線を作成し,この関係線を原点を通るように平

行移動して検量線とする。 

b) ニッケル含有率が0.1% (m/m) 以上で妨害元素の除去操作を行わない場合 7個のビーカー (300ml) 

を準備し,それぞれに酸化鉄 (III) [2.i)] 0.5gをはかり採って移し入れる。次に,標準ニッケル溶液A 

[2.s)] 0ml,0.5ml,1ml,1.5ml,2ml,3ml及び4mlを正確に加え,以下,4.1 b)〜c),4.3 b)及び4.4の

手順に従って試料と併行して操作し,得た吸光度とニッケル量との関係線を作成し,この関係線を原

点を通るように平行移動して検量線とする。 

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M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) 妨害元素の除去操作を行う場合 7個のビーカー (300ml) を準備し,酸化鉄 (III) [2.i)] をはかり採っ

た試料と同量をはかり採って,移し入れる。次に,標準ニッケル溶液B [2.t)] 0ml,1ml,2ml,4ml,

6ml,8ml及び10mlを正確に加え,以下,4.1 b)〜c),4.2,4.3 c)及び4.4の手順に従って試料と併行し

て操作し,得た吸光度とニッケル量との関係線を作成し,この関係線を原点を通るように平行移動し

て検量線とする。 

7. 計算 計算は,次による。 

a) ニッケル含有率の計算 4.4及び5.で得た吸光度と,6.で作成した検量線とからニッケル量を求め,試

料中のニッケル含有率を次のいずれかの式によって算出する。 

1) 4.3のa)又はc)で呈色を行った場合 

100

2

1

×

=

m

A

A

Ni

ここに, 

Ni: 試料中のニッケル含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のニッケル検出量 (g) 

A2: 空試験液中のニッケル検出量(6) (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

注(6) 空試験に使用した酸化鉄 (III) 中にニッケルが含まれてい

る場合は,はかり採った酸化鉄 (III) 中のニッケル量を差し
引く。 

2) 4.3のb)で呈色を行った場合 

100

2

1

×

×

=

B

m

A

A

Ni

ここに, 

Ni: 1)に同じ 

A1: 分取した試料溶液中のニッケル検出量 (g) 

A2: 分取した空試験液中のニッケル検出量(6) (g) 

m: 1)に同じ 

B: 試料溶液及び空試験液の分取比 

b) 酸化ニッケル含有率の計算 試料中の酸化ニッケル含有率は,ニッケル含有率から次の式によって算

出する。 

NiO=1.272 6×Ni 

ここに, 

NiO: 試験中の酸化ニッケル含有率 [% (m/m)] 

Ni: a)に同じ 

8. 許容差 許容差は,附属書1表2による。 

附属書1表2 許容差 

単位% (m/m)  

室内許容差 

室間許容差 

D (n) ×[0.005 3×(ニッケル含有率)+0.000 8] 

2.8×[0.015 5×(ニッケル含有率)+0.001 1] 

n=2のとき,D (n) =2.8 
n=3のとき,D (n) =3.3 
n=4のとき,D (n) =3.6 

参考 この許容差は,ニッケル含有率0.013% (m/m) 以上0.40% (m/m) 以下の試料を用いて求めたも

のである。 

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附属書2(規定) 鉄分離原子吸光法 

1. 要旨 試料を塩酸及び硝酸で分解し,ろ過する。ろ液中の鉄を4-メチル-2-ペンタノンによって抽出除

去する。残さはふっ化水素酸処理した後,炭酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウムで融解し,ろ液に合わせ

る。この溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。 

2. 試薬 試薬は,次による。 

a) 塩酸 

b) 塩酸 [10+6(1),1+1,2+100]  

c) 硝酸 

d) 硝酸 (1+2)  

e) ふっ化水素酸 

f) 

硫酸 

g) 硫酸 (1+1)  

h) 酸化鉄 (III)  できるだけ純度の高い酸化鉄 (III) で,ニッケルを含有しないか,又はニッケル含有率

ができるだけ低くて,既知であるもの。 

i) 

混合融剤 炭酸ナトリウム(無水)2,四ほう酸ナトリウム(無水)1 

j) 

クロム・ニッケル混合溶液 ビーカー (200ml) に塩酸 (1+1) 30ml,硫酸 (1+1) 0.2ml及び混合融剤

i)1.2gを添加し,加熱して二酸化炭素を除去する。冷却した後,標準ニッケル溶液A l)10mlと標準ク

ロム溶液10mlを正確に添加する。100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ水で標線まで薄める。

標準クロム溶液は次のようにして調製する。クロム[純度99.9% (m/m) 以上]0.100 0gを塩酸 (1+1) 

20mlで加熱分解する。常温まで冷却した後,1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標

線まで薄める。 

k) 4-メチル-2-ペンタノン 

l) 

標準ニッケル溶液A (100μgNi/ml)  ニッケル[純度99.9% (m/m) 以上]0.100 0gを硝酸 (1+1) 20ml

で加熱分解する。常温まで冷却した後,1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ水で標線まで

薄め,標準ニッケル溶液Aとする。 

m) 標準ニッケル溶液B (10μgNi/ml)  標準ニッケル溶液Aを必要量だけ水で正確に10倍に薄めて標準

ニッケル溶液Bとする。 

注(1) 溶媒抽出に用いるので正確に調製する。 

3. 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,1.0gとする。 

4. 操作 

4.1 

試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかによる。 

a) ニッケル含有率0.001% (m/m) 以上0.01% (m/m) 未満の試料 

1) 試料をはかり採ってビーカー (300ml) に移し入れる。 

2) 時計皿で覆い,水2〜3mlで試料を湿した後,塩酸25mlを加え,熱板上で約1時間加熱する(2)。た

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

だし,この熱板の温度は,ビーカーに入れた試料溶液と同量の硫酸の温度が100℃に保たれるよう

に調節する。次に硝酸5mlと硫酸 (1+1) 0.2ml(3)を加え約15分間加熱を続けた後,時計皿を少しず

らして乾固寸前まで蒸発させる。 

注(2) 不溶解残さが多い場合には,熱板の高温部分に移して加熱を続ける。ただし,溶液を沸騰

させてはならない。 

(3) バリウムを多量に含む試料の場合には,硫酸 (1+1) は添加しない。 

3) 塩酸 (1+1) 20mlを加え加熱して塩類を溶解する。冷却した後,ろ紙(5種B)と少量のろ紙パルプ

を用いて不溶解残さをろ過する。ビーカー内壁をゴム帽付きガラス棒を用いてこすり,付着物をろ

紙上に移す。ろ紙は塩酸 (2+100) でろ紙に塩化鉄 (III) の黄色が認められなくなるまで洗浄し,更

に温水で3〜4回洗浄する。ろ紙と洗液はビーカー (200ml) に集め,不溶解残さはろ紙とともに白

金るつぼ(30番)に移す。 

4) ろ液と洗液を加熱して乾固寸前まで蒸発させる。塩酸 (10+6) 15mlを加え塩類を溶解した後,分液

漏斗 (200ml) に移し入れる。塩酸 (10+6) 20mlでビーカー内壁を洗浄し分液漏斗に加える。4-メチ

ル-2-ペンタノン50mlを分液漏斗に加え激しく1分間振り混ぜる。二層に分離した後,下層の水相

を元のビーカーに移し入れる。塩酸 (10+6) 10mlを分液漏斗に加え30秒間激しく振とうし,二層

に分離した後,下層の水相を先に分離した水相に合わせる。この溶液を穏やかに加熱して大部分の

4-メチル-2-ペンタノンを除去した後,硝酸5mlを加え乾固する。放冷した後,塩酸 (1+1) 20mlで

塩類を溶解し,主液として保存する。 

5) 3)で得た白金るつぼ中のろ紙を乾燥して500〜800℃で燃焼させた後,残さを強熱灰化する。放冷し

た後,強熱残さを硫酸 (1+1) 3滴で湿してふっ化水素酸5mlを加え,穏やかに加熱して二酸化けい

素及び硫酸を揮散させる。続いて800℃で数分間加熱する。放冷した後,混合融剤 [2.i)] 1.2gを白

金るつぼに加えてよく混合する。初めの数分間穏やかに加熱した後,1 000℃のマッフル炉で15分

間加熱し(4),残さを融解する。放冷した後,白金るつぼを4)で保存した主液に入れ,塩酸 (1+1) 10ml

を加えて穏やかに加熱して融成物を溶解する。白金るつぼは温水で洗って取り出す。 

注(4) マッフル炉の代わりに,加圧空気バーナーを用いて透明になるまで十分加熱する方式を採

用してもよい。 

6) この溶液を加熱して二酸化炭素を除去し,約30mlに濃縮する。常温まで冷却した後,50mlの全量

フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

b) ニッケル含有率0.0l% (m/m) 以上0.10% (m/m) 未満の試料 

1) a)1)の操作を行う。 

2) a)2)〜5)の操作を行う。 

3) この溶液を加熱して二酸化炭素を除去する。常温まで冷却した後,100mlの全量フラスコに水を用

いて移し入れ,水で標線まで薄める。 

4.2 

吸光度の測定 吸光度の測定は,次の手順によって行う。 

a) 原子吸光光度計の調整 6.で調製する検量線溶液の標準ニッケル溶液添加量が一番高い溶液とニッケ

ル・クロム混合溶液 [2.j)] を交互に,水を用いてゼロ点調節した原子吸光光度計の空気・アセチレン

フレーム中に噴霧して,波長232.0nmにおける吸光度を測定し,両者の吸光度の差が0.004を超えな

いようにバーナー高さとガス流量を調節する。 

b) 吸光度の測定 4.1のa)6)又は4.1のb)3)で得た試料溶液の一部を用いてa)で調整した条件における吸

光度を測定する。 

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M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 空試験 試料の代わりに酸化鉄 (III) [2.h)] 1.0gをはかり採って,ビーカー (300ml) に移し入れる。以

下,4.1a)2)〜4.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と併行して行う。 

6. 検量線の作成 附属書2表1のニッケル含有率の範囲ごとに7個のビーカー (300ml) を準備し,それ

ぞれに酸化鉄 (III) [2.h)] 1.0gをはかり採って移し入れる。次に,附属書2表1の標準ニッケル溶液添加量

に従って標準ニッケル溶液を正確に加え,以下,4.1a)の2)〜6)又は4.1b)の2)〜3)及び4.2の手順に従って

試料と併行して操作し,得た吸光度とニッケル量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平

行移動して検量線とする。 

附属書2表1 標準ニッケル溶液添加量 

ニッケル含有率 

% (m/m) 

使用する標準ニッケル溶液 

標準ニッケル溶液添加量 

ml 

0.001以上 0.01未満 

B [2.m)] 

0,1,2,4,6,8,10 

0.01 以上 0.10以下 

A [2.l)] 

0,1,2,4,6,8,10 

7. 計算 計算は,次による。 

a) ニッケル含有率の計算 4.2及び5.で得た吸光度と,6.で作成した検量線から,ニッケル量を求め,試

料中のニッケル含有率を次の式によって算出する。 

100

2

1

×

=

m

A

A

Ni

ここに, 

Ni: 試験中のニッケル含有率 [% (m/m)] 

A1: 試料溶液中のニッケル検出量 (g) 

A2: 空試験液中のニッケル検出量(5) (g) 

m: 試料はかり採り量 (g) 

注(5) 空試験に使用した酸化鉄 (III) 中にニッケルが含まれてい

る場合は,はかり採った酸化鉄 (III) 中のニッケル量を差し
引く。 

b) 酸化ニッケル含有率の計算 試料中の酸化ニッケル含有率は,ニッケル含有率から次の式によって算

出する。 

NiO=1.272 6×Ni 

ここに, 

NiO: 試料中の酸化ニッケル含有率 [% (m/m)] 

Ni: a)に同じ 

8. 許容差 許容差は,附属書2表2による。 

附属書2表2 許容差 

単位% (m/m)  

室内許容差 

室間許容差 

D (n) ×[0.012 2×(ニッケル含有率)+0.000 10] 

2.8×[0.016 5×(ニッケル含有率)+0.000 29] 

n=2のとき,D (n) =2.8 
n=3のとき,D (n) =3.3 
n=4のとき,D (n) =3.6 

参考 この許容差は,ニッケル含有率0.000 7% (m/m) 以上0.045% (m/m) 以下の試料を用いて求めた

ものである。 

M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

鉄鉱石JIS改正WG 構成表 

氏名 

所属 

鉄鋼分析部会部会長 

佐 伯 正 夫 

新日本製鐵株式会社 

化学分析分科会主査,鉄鉱石JIS改正
WGリーダー 

岩 田 英 夫 

日本鋼管株式会社 

直属幹事 

石 橋 耀 一 

日本鋼管株式会社 

委員 

岡 野 輝 雄 

川崎製鉄株式会社 

杉 原 孝 志 

川崎テクノリサーチ株式会社 

中 川   孝 

川崎テクノリサーチ株式会社 

秋 窪 英 敏 

合同製鐵株式会社 

金 築 宏 治 

株式会社神戸製鋼所 

川 村 恒 夫 

株式会社コベルコ科研 

稲 本   勇 

新日本製鐵株式会社 

大 水   勝 

新日本製鐵株式会社 

笠 井 茂 夫 

新日本製鐵株式会社 

鈴 木 興 三 

新日本製鐵株式会社 

鈴 木 節 雄 

新日本製鐵株式会社 

土 屋 武 久 

新日本製鐵株式会社 

蔵 保 浩 文 

住友金属工業株式会社 

中 里 福 和 

住友金属工業株式会社 

西 野 和 美 

住友金属工業株式会社 

平 松 茂 人 

住友金属工業株式会社(ニッケル担当) 

菅 野   清 

株式会社中山製綱所 

西 田   宏 

日新製鋼株式会社 

小 倉 正 之 

日本鋼管株式会社 

舟 曳 佳 弘 

日本鋼管株式会社 

事務局 

大 槻   孝 

社団法人日本鉄鋼協会 

増 喜 浩 二 

社団法人日本鉄鋼協会 

10 

M 8223 : 1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

社団法人日本鉄鋼連盟 原料標準委員会JM2分科会 構成表 

氏名 

所属 

原料標準委員会委員長 

安 達 良 英 

新日本製鐵株式会社 

JM2分科会主査 

松 村 泰 治 

川崎テクノリサーチ株式会社 

委員 

中 林 賢 司 

通商産業省工業技術院 

藤 本 京 子 

川崎製鉄株式会社 

滝 沢 佳 郎 

川崎テクノリサーチ株式会社 

岡 山 和 生 

合同製鐵株式会社 

金 築 宏 治 

株式会社神戸製鋼所 

今 北   毅 

株式会社コベルコ科研 

西 埜   誠 

株式会社島津製作所 

笠 井 茂 夫 

新日本製鐵株式会社 

菊 池 統 一 

新日本製鐵株式会社 

鈴 木 節 雄 

新日本製鐵株式会社 

松 本 義 朗 

住友金属工業株式会社 

西 野 和 美 

住友金属テクノロジー株式会社 

原 田 幹 雄 

株式会社中山製綱所 

槌 尾 武 久 

日新製鋼株式会社 

林   三 男 

社団法人日本海事検定協会 

石 橋 耀 一 

日本鋼管株式会社 

吉 岡   豊 

日本鋼管株式会社 

河 野 久 柾 

理学電気工業株式会社 

事務局  

大 槻   孝 

社団法人日本鉄鋼連盟 

脊 戸 雄 功 

社団法人日本鉄鋼連盟