1
M 82
05 :
2000
解
説
解説表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表
JIS M 8205
: 2000
鉄鉱石−蛍光
X
線分析方法
ISO 9516
: 1992
鉄鉱石−けい素,カルシウム,マンガン,アルミニウム,チタン,マグネシウム,り
ん,硫黄及びカリウム−波長分散型蛍光
X
線分析方法
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格 番
号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合
が困難な理由及び今後の
対策
(1)
適用範囲
○
○
赤鉄鉱,磁鉄鉱,褐鉄鉱,焼
結鉱,砂鉄及びペレットに適
用
定量範囲
Si 0.50
〜
10.0
%
(m/m)
Mn 0.03
〜
3.0
%
(m/m)
P 0.0010
〜
0.600
%
(m/m)
S 0.010
〜
0.500
%
(m/m)
Cu 0.010
〜
0.070
%
(m/m)
Ti 0.04
〜
6.0
%
(m/m)
Al 0.20
〜
4.0
%
(m/m)
Ca 0.01
〜
14.0
%
(m/m)
Mg 0.06
〜
1.5
%
(m/m)
Cr 0.010
〜
0.030
%
(m/m)
V 0.010
〜
0.60
%
(m/m)
ISO 9516
○
○
鉄鉱石(鉱物相に無関係)に適用
定量範囲
Si 0.05
〜
15
%
(m/m)
Ca 0.005
〜
15
%
(m/m)
Mn 0.005
〜
3
%
(m/m)
Al 0.02
〜
5
%
(m/m)
Ti 0.005
〜
5
%
(m/m)
Mg 0.03
〜
5
%
(m/m)
P 0.003
〜
5
%
(m/m)
S 0.01
〜
1
%
(m/m)
K 0.003
〜
1
%
(m/m)
=
≠
同等
JIS
の
11
元素に対して
ISO
は
9
元素(
Fe
は参考値)
。
Fe
の定量に際して妨害にな
る
Cu
,
V
が定量できない。
(2)
測定原理
○ 蛍光
X
線分析
測定試料調製:ガラスビード
検量線:鉄鉱石標準試料
共存元素補正:
dj
補正法
○ 蛍光
X
線分析
測定試料調製:ガラスビード
検量線:純試薬
共存元素補正:
α
係数法
=
≠
≠
X
線測定,ガラスビード法は
同等。
検量線作成法,共存元素の補
正方法は根本的に異なる。
国内の鉄鉱石分析において
α
係数法蛍光
X
線装置は全
く普及していない。したがっ
て現時点で
ISO
を
JIS
とし
ても使用されることはなく
時期尚早。国内での
α
係数法
の普及又は
ISO
で
dj
法の採
用時点で再検討。
2
M 82
05 :
2000
解
説
解説表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格 番
号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合
が困難な理由及び今後の
対策
(3)
試薬
○
○
○
融解剤
ほう酸ナトリウム
ほう酸リチウム
はく離促進剤
臭化ナトリウム
よう化ナトリウムなど
検量線用鉄鉱石
標準物質
○
○
○
融解剤
ほう酸ナトリウム+メタほう
酸リチウム
ほう酸ナトリウム
ほう酸リチウム
はく離促進剤
臭化ナトリウム
よう化アンモニウム
校正用標準酸化物
=
=
≠
JIS
は
2
種,
ISO
は
3
種から
選択の違いはあるが同等。
選択の違いはあるが同等。
検量線作成法の違いにより
異なる。
ISO
は検量線用純試
薬
9
種規定。
ガラスビード作成用の試薬
は同等である。
JIS
では純試
薬による検量線作成ではな
いので,
ISO
の純試薬
9
種は
不要。
(4)
装置
○
○
○
蛍光
X
線分析装置
波長分散型
るつぼ及び鋳型
融解鋳込み兼用型
融解鋳込み分離型
ガラスビード作製装置
○
○
○
蛍光
X
線分析装置
波長分散型
精度試験規定:附属書
B
デッドタイムと最大計数率の
決定規定
:
附属書
F
α
係数法のソフト使用
るつぼ及び鋳型
融解鋳込み兼用型
融解鋳込み分散型
ガラスビードは手動作製(ガラス
ビード作製装置の使用も可)
≠
=
≠
装置ハードは同等だが
ISO
には装置性能基準規定があ
る。また共存元素補正の
α
係
数法ソフト必要。
同等
JIS
は作製装置だけに対して
ISO
は手動,作製装置の両方
可。
鉄鉱石分析関係では
α
係数
補正ソフト付き蛍光
X
線分
析装置が普及していない。し
たがって
ISO
法の実施は困
難。
(5)
ガ ラ ス ビ ー
ドの作製
○
○
混合割合
試料
1
:融解剤
7
〜
10
の割合
(はく離剤使用可)
ビード作製精度規定
試料
5
個,各
5
回測定(
Fe
,
Ca
)して相対精度
0.5
%未
満
○
○
混合割合
試 料
0.66
: 融 解 剤
6.80
:
NaNO
3
0.40
の割合(はく離剤使
用可)
ビード作製精度規定:
附属書
D
試料
試料
10
個,各
2
回測定(
Fe
)
して,精度
0.1
%未満
≠
≠
試料と融解剤の割合は同等
だが,
ISO
では
Fe
,
S
の完全
な酸化のため
NaNO
3
が添加
される。
両者に規定があるが内容は
少し異なる。
JIS
は
Fe
定量は精度が悪い
ため分析対象としていない。
ISO
は参考値ではあるが
Fe
定量の目的のため酸化剤を
添加している。
3
M 82
05 :
2000
解
説
解説表
1
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格 番
号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合
が困難な理由及び今後の
対策
(6)
測定
○ 分析に用いる推奨スペクト
ル線の記載
○ 分析に用いる推奨スペクトル線,
分光結晶,電圧の記載,計数時間
の決定,及びモニターを用いるド
リフト補正
≠
ISO
の方が測定条件の記述
が詳細。
(7)
定量
○ 鉄鉱石標準物質を基準にし
た検量線法で定量
○ 試薬酸化物を基準にした
α
係数補
正法で定量
≠ 定量の方式が異なる。
α
係数補正法による定量は
プログラムを用いて行われ
るがその基本となる式及び
アルゴリズムが開示されて
いない。
プログラム自体も日本では
まだ実績がない。
(7)
定量
○ 鉄鉱石標準物質を基準にし
た検量線法で定量
○ 試薬酸化物を基準にした
α
係数補
正法で定量
≠ 定量の方式が異なる。
α
係数補正法は日本では普
及していない。
純試薬検量線−
dj
法での共
同実験は実施していないの
で,
ISO
の純試薬検量線法だ
けを
JIS
に採用することは
できない。
(8)
精度許容差
○ 許容差の回帰式
対標準物質許容差
○ 精度・許容差の回帰式
≠
ISO
は精度・許容差の回帰式
が未完成。
ISO
として不備。
α
係数法と純試薬検量線の
一体で精度が求められてい
る。したがって精度だけを
JIS
に採用できない。
備考
1.
対比項目
(
Ⅰ
)
及び
(
Ⅲ
)
の小欄で, ○
は該当する項目を規定している場合を示す。
2.
対比項目
(
Ⅳ
)
の小欄の記号の意味は,次による。
= :
JIS
と国際規格との技術的内容は同等である。ただし,軽微な技術上の差異がある。
≠ :
JIS
は,国際規格と技術的内容は同等でない。ただし,
ADP
に該当する場合を除く。