M 8115 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS M 8115 : 1950は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
M 8115 : 1999
粗金銀地金中の金及び銀の定量方法
Methods for determination of gold and silver in dores
1. 適用範囲 この規格は,金銀合量が50% (m/m) 以上の粗金銀地金中の金及び銀の定量方法について規
定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0113 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JIS K 8701 鉛(試薬)
JIS M 8111 鉱石中の金及び銀の定量方法
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 一般事項 定量方法に共通の一般事項は,JIS K 0050及びJIS K 0113の規定による。
4. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS M 8111によるほか,次による。
a) 照校試料 乾式試金法において試料と同一組成となるように,各成分をはかり合わせた試料。金の分
析値を補正するために用いる。
5. 分析試料の採り方及び取扱い方
5.1
試料の採り方 試料の採り方は,受渡当事者間の協定による。
5.2
試料の取扱い方 試料の取扱い方は,次による。
a) 分析用試料は,汚染を防止するため,ふた付きガラス容器,ポリエチレン製袋などに入れ,密封する。
5.3
試料のはかり方 試料のはかり方は,次による。
a) 分析試料をはかり採る際には,平均品位が得られるように注意しなければならない。
b) 分析試料のはかり採りは,化学はかりを用い,通常0.01mgのけたまで読み取る。
6. 分析値のまとめ方
6.1
分析回数 通常同一分析所において,2回の繰返し分析を行う。
6.2
分析値の表示 分析値は,質量百分率で表し,報告値のけた数(1)の次のけたまで算出し,JIS Z 8401
の規定によって丸める。
注(1) 報告値のけた数は,受渡当事者間の協定による。
2
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7. 予備試金 予備試金は,試料量及び試金方法を決定するために,次による(2)。
注(2) 試料の組成など判明している場合は,省略できる。
7.1
要旨 試料をはかり採って,純銀及び鉛粒,又は鉛錠とともに鉛はくに包み,電気炉で灰吹し,得
た金銀ビードを硝酸で分金する。
7.2
試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸 塩化物イオンを含まないもの。
b) 鉛はく JIS K 8701の規定による,試金用鉛を用いる。
c) 鉛粒又は鉛錠 JIS K 8701の規定による,試金用鉛を用いる。
d) 銀 純度99.99% (m/m) 以上で,金含有率0.1ppm (m/m) 以下のもの。
7.3
器具及び装置
a) 灰吹炉 1 100℃まで昇温可能,温度制御可能で,かつ,炉内温度が均一にできるもの。
b) キューペル(灰皿) 骨灰,又は酸化マグネシウム製のもの。
c) 微量はかり 1μgまではかれるもの。
7.4
試料はかり採り量 試料のはかり採り量は,300mgとする。
7.5
操作 操作は,次の手順による。
a) 試料をはかり採り,これに銀700mgを加え,鉛粒又は鉛錠(約14g)とともに鉛はくで包む。
b) 灰吹炉内の,900℃以上に予熱したキューペル中に入れ,900℃以上で灰吹する(3)。
c) キューペルを灰吹炉から取り出し(4),金銀ビードに付着した骨灰又は酸化マグネシウムをブラシで完
全に取り除く。
d) 金銀ビードを,μgのけたまではかる。
e) 金銀ビードをつち打ちして,偏平とし,焼鈍し,圧延する。
f)
磁器るつぼ (40ml) に金銀ビードを入れ,硝酸(密度1.19)30mlを加え,液量が約半分近くなるまで,
沸とうしない程度で加熱する。
g) デカンテーションによって,金粒を温水で洗浄する。
h) さらに,硝酸(密度1.29)30mlを加えて,15分間沸とうしない程度で加熱する。
i)
デカンテーションによって,金粒を温水洗浄し,ヒーターで乾燥後,焼鈍する。
j)
デシケーター内で放冷した後,微量はかりで金粒の質量を1μgのけたまではかる。
注(3) 灰吹温度は,キューペルの種類,炉の特性などによって異なる。酸化マグネシウム製のキュー
ペルを用いたときの灰吹温度は,骨灰製キューペルを用いたときよりも高い。
(4) 800℃以上で取り出すと,金銀ビードにスピット(花吹)を生じることがある。
7.6
計算 金,銀及び金銀以外の成分の概略含有率を,次の式によって算出する。
100
1×
m
m
Au=
(
)
B
Au
Ag
+
−
=100
100
2
3
×
m
m
m
m
B
−
+
=
ここに, Au: 概略の金含有率 [% (m/m) ]
Ag: 概略の銀含有率 [% (m/m) ]
B: 金銀以外の成分の合計量の百分率 [% (m/m) ]
m: 試料はかり採り量 (mg)
m1: 金粒の質量 (mg)
3
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
m2: 金銀ビードの質量 (mg)
m3: 添加した銀の質量 (mg)
8. 定量方法
8.1
方法の区分 定量方法は,予備試金の結果によって,次のいずれかによるものとする。
a) 乾式試金法 金及び銀の定量に,適用する。
b) 電位差滴定法 粗銀中の銀の定量に,適用する。
c) 塩化ナトリウム滴定法 粗銀中の銀の定量に,適用する。
d) チオシアン酸アンモニウム滴定法 金銀以外の成分が多い試料中の銀の定量に,適用する。
8.2
乾式試金法
8.2.1
要旨 試料及び照校試料を調製し,予備試金に準じた操作を行う。
8.2.2
試薬 試薬は,7.2のほか,次による。
a) 金 純度99.99%以上のもの。
8.2.3
器具及び装置 器具及び装置は,7.3のほか,次による。
a) 白金トレー
b) 分金フラスコ
c) 小型圧延機
8.2.4
試料,照校試料のはかり採り量及び調製
a) 試料 予備試金の結果に基づき,試料中の金含有量が300〜500mgになるように0.01mgのけたまでは
かり採り,銀量が金量の2〜3倍(5)になるように銀をμgのけたまではかり採って添加する。ただし,
金及び/又は金銀以外の成分の含有率によって,試料はかり採り量を増減してもよい。
b) 照校試料 予備試金の結果に基づき,試料中に含まれる金と同量の金及び試料中に含まれる銀と加え
た銀の総量の銀をはかり採る(6)。照校試料は2個以上調製する。
c) 試料はかり採り数 試料は,2個以上はかり採る。
注(5) 2〜3倍の中で,最適条件を定める。
(6) 試料中に金銀ビード及び金粒中に残存する金属元素が含まれる場合は,同量の金銀を含まない
金属元素[純度99.9% (m/m) 以上]を,照校試料に添加する。
8.2.5
操作 操作は,次の手順による。
a) 8.2.4 a)及び8.2.4b)で調製した試料,及び照校試料をそれぞれ鉛粒,又は鉛錠とともに鉛はくで包む。
b) 7.5b)〜e)の操作を行う。ただし,炉内での試料及び照校試料は,同一灰吹条件となるように配置する。
c) 小型圧延機で厚さ約0.25mmの薄片とし,接点をもたないように渦巻状に巻く。
d) 白金トレイに入れ(7)(8),沸とうしない程度の温度の硝酸(密度1.19)中に入れ,15〜25分間(8)静かに
煮沸した後,温水中でトレイを数回上下して洗浄し,更に硝酸(密度1.29)中で約20分間(9)静かに煮
沸し,温水で銀分を完全に除去する。
e) トレイとともに乾燥し,電気炉中で焼鈍し(10)微量はかりで金粒の質量をはかる。
注(7) 試料及び照校試料は,トレイ中で同一分金状態になるように配置する。
(8) 銀が金の3倍以上の場合は,磁器るつぼを用いてJIS M 8111の規定に準じて分金操作を行う。
(9) 分金数によって異なるため,最適条件を定める。
(10) 高温で行うと白金と合金をつくる。
8.2.6
計算 金銀含有率は,次の式によって算出する。
4
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
100
1
12
1
×
m
d
m
m
B
−
−
=
(
)
∑
n
i
i
i
i
m
m
m
n
d
1
23
22
21
1
=
−
+
=
∑
n
i
i
i
m
m
n
s
1
21
24
1
=
=
100
1
11
×
×
m
s
m
Au=
Ag=100− (Au+B)
ここに,
Au: 金含有率 [% (m/m) ]
Ag: 銀含有率 [% (m/m) ]
m1: 試料はかり採り量 (mg)
m11: 試料の分金後の質量 (mg)
m12: 試料の金銀ビードの質量 (mg)
B: 試料の金銀以外の成分の総含有率 [% (m/m) ]
m21i: 照校試料中の金の質量 (mg)
m22i: 照校試料中の銀の質量 (mg)
m23i: 照校試料の灰吹後の金銀ビードの質量 (mg)
m24i: 照校試料の分金段の金粒の質量 (mg)
n: 調製した照校試料の数
d: 照校試料灰吹減の質量の平均値 (mg)
s: 照校試料中の金の質量と,分金後の金の質量の比(サーチ
ャージ)
8.3
電位差滴定法
8.3.1
要旨 試料を硝酸で分解した後,臭化カリウム標準溶液,又は塩化ナトリウム標準溶液を用いて電
位差滴定法で銀を滴定する。
8.3.2
試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸 (1+1)
b) ジメチルグリオキシム溶液 ジメチルグリオキシム2ナトリウム八水和物10gを水に溶解し,水で1
000mlとする。
c) 0.1mol/L臭化カリウム標準溶液 臭化カリウム11.9gを水に溶解し,水で1 000mlとする。この溶液
1mlは銀約10.8mgに相当するが,標定は,使用の都度,8.3.3によって行う。
d) 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液 塩化ナトリウム5.85gを水に溶解し,水で1000mlとする。この溶
液1mlは銀約10.8mgに相当するが,標定は,使用の都度,8.3.3によって行う。
8.3.3
標準溶液の標定 8.3.2c)及び8.3.2d)の標準溶液の標定は,次の手順による。銀[99.99% (m/m) 以
上]300〜500mg(11)を0.01mgのけたまで3個はかり採り (G1, G2, G3) ,それぞれビーカー (200ml) に移
し入れる。8.3.6 b)以下の手順に従って操作し,それぞれの0.1mol/L臭化カリウム標準溶液1ml,又は
0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液1mlに相当する銀量 (f1, f2, f3) を小数点以下4けたまで,またそれらの平
均値 (F) を小数点以下3けたまで次の式によって算出する。
100
3
3
2
1
×
f
f
f
F
+
+
=
5
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
i
i
iV
G
f=
ここに,
F: 0.1mol/L臭化カリウム標準溶液1ml,又は0.1mol/L塩化ナト
リウム標準溶液1mlに相当する銀の質量 (mg)
fi: 各測定における0.1mol/L臭化カリウム標準溶液1ml,又は
0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液1mlに相当する銀の質量
(mg)
Gi: 銀はかり採り量 (mg)
Vi: 0.1mol/L臭化カリウム標準溶液の使用量 (ml),又は0.1mol/L
塩化ナトリウム標準溶液の使用量 (ml)
注(11) 使用する銀の量は,予備試金の結果に基づき,試料中の銀含有量±20mg以内となるように調整
する。
8.3.4
装置 装置は,次による。
a) 電位差滴定装置 当量点近くで標準溶液を0.05mlずつ滴下でき,かつ,当量点を0.01mlまで読み取
ることができるもの。指示電極は,銀又は臭化カリウム滴定法の場合は臭化銀でコーティングした銀
を,塩化ナトリウム滴定法の場合は塩化銀でコーティングした銀を,参照電極は,水銀/硫酸水銀 (I) そ
のほか適切なものを用いる。
8.3.5
試料はかり採り量 試料はかり採り量は,銀として300〜500mgとし,0.01mgのけたまではかる。
8.3.6
操作 操作は,次の手順による。
a) 試料をはかり採って,ビーカー (200ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,硝酸 (1+1) 5mlを加え,穏やかに加熱して分解する。引き続き加熱を続け窒素酸化物
を追い出す。放冷後,時計皿の下面を水で洗い,時計皿を取り除き水で約100mlに薄める(12)。
c) 水を用いて,電位差滴定装置の試料容器に移し入れ,指示電極(13)及び参照電極を挿入して,0.1mol/L
臭化カリウム標準溶液,又は0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液を用いて滴定する(14)。滴定は,試料溶
液中の銀量の約90〜95%に相当する0.1mol/L臭化カリウム標準溶液,又は0.1mol/L塩化ナトリウム標
準溶液を加えた後は,0.05mlずつ滴下し,電位飛躍が最大値を示した点を終点とする。
注(12) 試料中にパラジウムを含むときは,試料溶液中のパラジウム量10mgに対し,ジメチルグリオキ
シム溶液5mlを加える。
(13) 銀電極を用いたときは,滴定を繰返すと電極の表面に臭化銀,又は塩化銀が付着し,当量点の
判定を誤ることがあるので,ときどき電極の表面を研磨紙(400番)などで研磨する。
(14) 生成した臭化銀又は塩化銀は,日光によって分解されるので滴定は直射日光を避けて行う。
8.3.7
空試験 空試験は,行わない。
8.3.8
計算 試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。
100
×
×
m
F
V
Ag=
ここに, Ag: 試料中の銀含有率 [% (m/m)]
V: 0.1mol/L臭化カリウム標準溶液,又は0.1mol/L塩化ナトリウ
ム標準溶液の使用量 (ml)
F: 0.1mol/L臭化カリウム標準溶液1ml,又は0.1mol/L塩化ナト
リウム標準溶液に相当する銀の質量 (mg)
m: 試料はかり採り量 (mg)
8.4
塩化ナトリウム滴定法
6
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.4.1
要旨 試料を硝酸に溶解して,塩化ナトリウム標準溶液を加えて,塩化銀の沈殿を生成させ,銀量
は最後の白濁の測定によって定量する。
8.4.2
試薬 試薬は,次による。
a) 硝酸
b) 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液 塩化ナトリウム5.85gを水に溶解し,水で1 000mlとする。この
溶液1mlは銀約10.8mgに相当するが,標定は,使用の都度次のようにして行う。
銀[99.99% (m/m) 以上]800mgを0.01mgのけたまで3個はかり採り (G1, G2, G3) ,それぞれ三角
フラスコ (300ml) に移し入れる。8.4.4. b)以下の手順に従って操作し,それぞれの0.1mol/L塩化ナト
リウム標準溶液1mlに相当する銀の質量 (f1, f2, f3) を小数点以下4けたまで,またそれらの平均値 (F)
を小数点以下3けたまで次の式によって算出する。
3
3
2
1
f
f
f
F
+
+
=
i
i
i
i
v
V
G
f
1.0
+
=
ここに,
F: 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液1mlに相当する銀の質量
(mg)
fi: 各測定における0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液1mlに相当
する銀の質量 (mg)
Gi: 銀はかり採り量 (mg)
Vi: 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
vi: 8.4.2c)で調製した0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液の使用量
(ml)
c) 0.01mol/L塩化ナトリウム標準溶液 8.4.2b)の塩化ナトリウム標準溶液を正しく10倍に希釈する。
8.4.3
試料はかり採り量 銀の質量として約800mgになるようにし,0.01mgのけたまではかり採る。
8.4.4
操作 操作は,次の手順による。
a) 試料をはかり採って,三角フラスコ (300ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,硝酸 (1+4) 15mlを加え,穏やかに加熱して分解する。引き続き加熱を続け窒素酸化
物を追い出す。
c) 冷却後,0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液を終点近くまで加え,3〜5分間強く振り,塩化銀を沈降さ
せた後,0.01mol/L塩化ナトリウム標準溶液で滴定し(15),塩化銀の白濁が生じなくなった点を終点と
する。
注(15) 生成した塩化銀は,日光によって分解されるので滴定は直射日光を避けて行う。
8.4.5
空試験 空試験は,行わない。
8.4.6
計算 試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。
(
)
100
1.0
×
×
m
F
v
V
Ag
+
=
ここに, Ag: 試料中の銀含有率 [% (m/m)]
V: 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液使用量 (ml)
v: 0.01mol/L塩化ナトリウム標準溶液の使用量 (ml)
F: 0.1mol/L塩化ナトリウム標準溶液lmlに相当する銀の質量
(mg)
m: 試料はかり採り量 (mg)
7
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8.5
チオシアン酸アンモニウム滴定法
8.5.1
要旨 試料を硝酸に分解し,指示薬を用いてチオシアン酸アンモニウム標準溶液で滴定する。
8.5.2
試薬
a) 硝酸
b) 指示薬 硫酸鉄 (II) アンモニウム飽和溶液に硝酸 (1+1) を加えて,黄色としたもの。
c) 0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液 チオシアン酸アンモニウム3.8gを水に溶解して,水
で1 000mlとする。この溶液1mlは銀約5.4mgに相当するが,標定は使用の都度次のようにして行う。
銀[99.99% (m/m) 以上]300〜500mg(16)を0.01mgのけたまで3個はかり採り (G1, G2, G3) ,それぞ
れ三角フラスコ (300ml) に移し入れる。8.5.4 b)以下の手順に従って操作し,それぞれの0.05mol/Lチ
オシアン酸アンモニウム標準溶液1mlに相当する銀の質量 (f1, f2, f3) を小数点以下4けたまで,また,
それらの平均値 (F) を小数点以下3けたまで,次の式によって算出する。
100
3
3
2
1
×
f
f
f
F
+
+
=
i
i
iV
G
f=
ここに,
F: 0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液1mlに相当す
る銀の質量 (mg)
fi: 各測定における0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶
液1mlに相当する銀の質量 (mg)
Gi: 銀はかり採り量 (mg)
Vi: 0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液使用量 (ml)
注(16) 使用する銀の量は,予備試金の結果に基づいて,試料中の銀含有量±20mg以内となるように調
整する。
8.5.3
試料はかり採り量 0.5gを0.01mgのけたまではかり採る。
8.5.4
操作 操作は,次の手順による。
a) 試料をはかり採って三角フラスコ (300ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,硝酸 (1+4) 15mlを加え,穏やかに加熱して分解する。引き続き加熱を続け窒素酸化
物を追い出し,放冷後水で約200mlとする。
c) 指示薬数mlを加え,0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液で滴定し,最後の1滴で淡紅色を
呈した点を終点とする。
8.5.5
空試験 空試験は,行わない。
8.5.6
計算 試料中の銀含有率を,次の式によって算出する。
100
×
×
m
F
V
Ag=
ここに, Ag: 試料中の銀含有率 [% (m/m) ]
V: 0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液使用量 (ml)
F: 0.05mol/Lチオシアン酸アンモニウム標準溶液1mlに相当する
銀の質量 (mg)
m: 試料はかり採り量 (mg)
8
M 8115 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS M 8115 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
奥 谷 忠 夫
日本大学理工学部
揖 斐 敏 夫
通商産業省資源エネルギー庁
天 野 徹
工業技術院標準部
末 冨 巧
大蔵省造幣局東京支局
○ 中 村 靖
株式会社ジャパンエナジー分析センター
○ 永 井 巌
住友金属鉱山株式会社中央研究所分析セ
ンター
○ 丹 野 一 雄
東邦亜鉛株式会社安中製錬所品質保証部
○ 尾 上 喬
同和鉱業株式会社中央研究所
○ 端 洋 志
三井金属鉱業株式会社総合研究所
(主査)
○ 佐 山 恭 正
三菱マテリアル株式会社中央研究所分
析・材料試験研究部
因 幸二郎
財団法人日本規格協会技術部
(関係者)
束 原 巌
古河電気工業株式会社
塚 原 涼 一
住友金属鉱山株式会社
渡 辺 勝 明
住友金属鉱山株式会社
岩 崎 守 彦
三菱マテリアル株式会社
細 矢 一 仁
同和鉱業株式会社
村 井 幸 男
株式会社ジャパンエナジー分析センター
(事務局)
稲 垣 勝 彦
日本鉱業協会技術部
備考:○印は本委員会及び分科会委員