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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 8104 1992 

粗金銀地金のサンプリング方法 

Method for sampling of crude bullion 

1. 適用範囲 この規格は,粗金銀地金のサンプリング方法について規定する。 

備考1. 粗金銀地金とは,1 000分中金銀合量500以上の地金をいう。ただし,粗製金及び精製銀は含

まない。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS Z 8801 標準ふるい 

2. 一般事項 一般事項は,次による。 

(1) 試料を採取する時期は,原則として,これを受渡しするためその質量をはかった直後とする。ただし,

渡し主において,受渡しのサンプリングを行うときには,融解地金からサンプリングするものとする。 

(2) 試料の採取方法は,採取された試料がロットの平均品質をできるだけ代表するものでなければならな

い。 

備考1. ロットとは,試料採取に当たって受渡当事者間において定めた単位量の粗金銀地金をいう。 

2. 原則として,1るつぼ又は1炉から生産された粗金銀地金を1ロットとする。ただし,るつ

ぼ又は炉間の平均品位が技術的に大差ないことが分かっている場合には,数るつぼ分又は数

炉分を1ロットとしてもよい。 

(3) 試料採取は,次の順序に従って行う。 

(a) 1次試料採取 1ロットの粗金銀地金(以下,単に地金という。)から定められた枚数だけ地金を抜

き取る。 

(b) 2次試料採取 1次試料(地金)からボーリング法によって地金の切粉を採取する。 

(c) 成分試験試料調製 2次試料を集め,ショット方法,又は粗砕,ふるい分け,縮分の操作を経て,

成分分析のための成分試験試料を作る。 

(4) この規格の規定の一部を適用できない場合には,受渡当事者間の協議による方法を,この規定に代え

て用いることができる。 

3. 1次試料採取方法 

3.1 

1次試料は,1ロットから一定間隔に原則として表1によって所要数の地金を抜き取る。ただし,そ

の抜取起点は,ランダムに定める。 

表1 

ロットの大きさ 

1次試料数 

10枚未満 

オールサンプル 

10枚以上 20枚未満 

10枚 

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M 8104 1992  

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ロットの大きさ 

1次試料数 

20枚以上 50枚未満 

15枚 

50枚以上  

25枚 

備考 数るつぼ分又は数炉分の地金を1ロッ

トとする場合には,層別比例サンプリ
ングを行うこととする。 

4. 2次試料採取方法 

4.1 

2次試料は,3.1の規定によって抜き取った1次試料の各地金から,ボーリング法によって所要の試

料量が得られるように,原則として各々3点ずつボーリングを行って切粉を集める。 

所要の試料量は,次のとおりとする。 

(1) ショット法によって成分試験試料を調製する場合は250g以上 

(2) 粗砕,ふるい分け法によって成分試験試料を調製する場合は100g以上 

備考 1次試料数が少なく2次試料の量が必要量に対して不足する場合は,ボーリング数を増すこと

ができる。ただし,この場合,1次試料数が2枚以上の場合は,各地金のボーリング数は同一

とする。 

4.2 

ボーリング法 

4.2.1 

ボーリング法に用いる主な用具は,次のとおりとする。 

(1) ボール盤 形式は,任意とする。 

(2) きり 直径5〜10mmのものとする。 

(3) 記標板 地金表面の形状及び面積にほぼ等しい銅板を用い,地金の表面にボーリングする位置を記標

できる穴を多数開けておく。例えば,図1のように,記標板を縦・横それぞれ3等分,5等分して15

区画を作成し,その各々の区画の中心部にポンチで記標できる程度の小穴を開ける。 

図1 記標板 

備考 薄銅板の代用として黄銅板を用いることができる。 

4.2.2 

記標方法 3.1によって採取した1次試料の表面に記標板を重ね,記標の起点をランダムに決め,

以後規則正しく地金の全面にわたるように,順次にその位置を変えながら,ポンチとハンマを用いて記標

穴の位置にボーリングの中心点を記標する。 

備考 記標の際,チョーク,ペンキなどを用いてはならない。 

4.2.3 

ボーリング操作 地金表面の記標を行った面を上向きとして,記標の部分にきりを囲む小形の銅板

製の筒などをおいて切粉が散乱しないようにし,地金の表面から下面に貫通させる。ボーリングが終われ

ば,ブラシを用いて切粉の全部をボーリング穴に落とし,ボーリングの下方に置いた試料受器に受け,こ

れを集めて2次試料とする。 

備考1. ボーリングの際は,きりをアルコールに浸した布片でぬぐい,十分に清浄にしたものを用い

M 8104 1992  

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る。 

2. ボーリングの前に地金表面をブラシで清浄にしておくものとする。 

3. 試料受器は,切粉の散乱を防止できる大きさとする。 

4. 2次試料の量が少なく,分析に供する必要量に不足する場合は,径の幾分太いきりを用いる

か,又は4.1(2)の備考に示すように,地金1枚当たりのボーリング数を増すことができる。 

5. ボーリングの際には,切粉の酸化に注意し,油その他の減摩剤又は冷却剤を用いてはならな

い。 

5. 成分試験試料調製方法 

5.1 

ショット法 ショット法は,次による。 

(1) 適用試料 金含有量が少ない試料に適する。 

(2) はかり採り 4.2.3によって得た2次試料から,磁石を用いてボーリング操作中に混入した鉄分を除去

し,光沢紙上に移して直角に折り返し,十分に混合を行って,できるだけ均一とした後,小形二分器

などで約200gを分取し,正しくはかり採る。 

(3) 融解 ふた付黒鉛るつぼ (No.1) に正しくはかり採った試料を入れ,ふたをして融解炉で約10分間強

熱して融解させる。融解炉の選択は任意とする。 

全地金が融解すれば,直ちにるつぼを炉から取り出し,ふたを取り除く。 

(4) ショット 全融解試料を所定の冷却槽中の円筒状木片又は竹の側腹部に,流れがほぼ同量となるよう

に注加して水砕する。 

この操作によって得たショット試料は,ボールなどに移し入れ,傾斜法によって脱水し,粒面が酸

化されない程度の温度で速やかに乾燥後,その質量をはかる。 

備考 るつぼに付着した地金は丈夫なナイフ状金物で削り取り,るつぼくずを除き,地金の質量をは

かって前記質量に加算する。 

(5) 冷却槽 直径約300mm,深さ300〜400mmの木槽又はかめを用い,これに通常21容の水を入れておく。 

なお,水砕後の試料の仕上げを速やかにするため,木槽の内部に銅製,ほうろう製鉄器などの丸底

受皿を沈下しておくことができる。 

備考 円筒状の木片又は竹は,通常,直径約75mm,長さ約200mmの生材を用いる。 

(6) ふるい分け・袋入れ (4)によって得たショット試料は,JIS Z 8801の600μm網ふるいを用いてふるい

下の部分を除去し,更に1 700μm網ふるいを用いてふるい上の部分をふるい分け,600〜1 700μmの部

分を取り出し,光沢紙上で混合分割を行い,10〜20gの成分試験試料3〜4個を調製し,それぞれの質

量を正しくはかった後,丈夫な和紙などの二重袋に入れて厳封する。 

試料には,試料名,ロック番号,試料採取年月日,試料量,融解前後の質量,その他必要事項を記

入し,原則として渡し主用1袋,受け主用1〜2袋,審判用1袋とし,ランダムに割り当てる。 

試料の保管期間は,通常3か月とする。 

備考1. 渡し主用試料質量は,受入質量から差し引く。 

2. 不純分,分析用の成分試験試料は融解による試料の変質を考慮し,(4)の残りの試料を粗砕・

ふるい分け法によって調製する。 

なお,純分の品位は,(ショット試料の品位×融解前の質量

融解後の質量)によって正し,ショット方法に

よる偏りをなくす。 

5.2 

粗砕・ふるい分け法 粗砕・ふるい分け法は,次による。 

M 8104 1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 適用試料 金含有量が多い試料に適する。 

(2) 粗砕・ふるい分け・縮分 4.2.3によって得た2次試料は,めのう又は磁製乳鉢による粗砕など異物が

混入しない方法によって粗砕した後,JIS Z 8801の250μm網ふるいを用いてふるい分け,ふるい上で

十分に磨いたはさみを用いて切断して細片とする。ふるい上・ふるい下の試料は,磁石を用いてボー

リング操作中に混入した鉄分を除去し,それぞれの質量をはかって質量比で算出する。 

縮分を要する場合は,ふるい上・ふるい下試料を別々に光沢紙上に移して直角に折り返し,十分に

混合を行って,できるだけ均一とした後,円すい四分法などによってふるい上・ふるい下試料を別々

に同じ回数だけ縮分を行う。 

(3) 分割・袋入れ (2)の各粒度別試料をそれぞれ粒度別に光沢紙上で十分に混合して,できるだけ均一と

した後,小形円すいを作り,円すい四分法によって3〜4個に分割する。 

分割後の試料はそれぞれの質量を正しくはかった後,丈夫な和紙などの二重袋に移し入れて厳封す

る。 

各粒度別の試料1袋ずつを組み合わせて一組の成分試験試料 (10〜20g) とする。 

試料には,試料名,ロット番号,試料採取年月日,試料量,粒度別質量比,その他必要事項を記入

し,原則として渡し主用1袋,受け主用1〜2袋,審判用1袋とし,ランダムに割り当てる。 

試料の保管は,通常3か月とする。 

備考 渡し主用試料の質量は,受入質量から差し引く。 

6. 融解地金からのサンプリング方法 

6.1 

サンプリングの種類 地金中の金銀含有量の多少などによって,ショット法,くみ取り延展式法及

びくみ取りボーリング法に分ける。 

(1) ショット法 金含有量が少ない試料に適する。 

(2) くみ取り延展式法 金含有量が多い試料に適する。 

(3) くみ取りボーリング法 金含有量が多い試料に適する。 

6.2 

ショット法 

6.2.1 

地金の融解及び試料採取用具は,通常次のとおりとする。 

(1) 融解炉 炉の選択は,任意とする。 

(2) るつぼ ふた付黒鉛るつぼを用いるものとし,その大きさは地金量に応じて適切に決定する。 

(3) かくはん棒 良質の黒鉛棒を用いる。ただし,銀地金については,十分に磨いた鉄棒を用いることが

できる。 

(4) 試料さじ 粗金地金には,試料のくみ取り用として通常木炭さじを用いるものとし,良質の黒鉛さじ

も用いることができる。これらのさじは,磨いた鉄製はさみで挟んで使用する。 

粗銀地金試料のくみ取り用には,十分に磨いた小形鉄さじを用いる。 

(5) 冷却槽 直径約300mm,深さ300〜400mmの木槽又はかめを用い,これに通常21容の水を入れておく。 

なお,水砕機の試料の仕上げを速やかにするため,木槽の内部に銅製,ほうろう製鉄器などの丸底

皿を沈下しておくことができる。 

備考 木炭さじには,ほうずみのような灰分の少ないち密な木炭を用いる。さじを作るには径約50mm

のものを長さ55〜60mmに切断し,やすりなどを用い細工してL字形とし,その水平部上面を

削り取ってさじ形とする。 

粗金地金のくみ取り延展式法には,径約5mmのきりを用いて適切な深さにきりもみし,球

M 8104 1992  

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状又は円筒状の試料1〜2個が得られるように細工する。 

6.2.2 

ショット 1ロットの金地金を適切な大きさの黒鉛るつぼに入れ,地金の上部を木炭粉を用いて覆

い,ふたをして融解炉に入れ,強熱して十分に融解させる。全地金が融解すればるつぼを炉から取り出し,

ふたを取り去って融解さいを入念にかき取った後,あらかじめ加熱したかくはん棒を用いて十分にかき混

ぜる。次に,融解地金とほぼ同一温度に予熱した試料さじを用いて融体のなるべく深部から地金試料を1

〜3回くみ取り,冷却槽中の円筒状木片の側腹部に注加して水砕する。この操作によって得たショット試

料は,ボールなどに移し入れ,傾斜法によって脱水し,粒面が酸化されない程度の温度で速やかに乾燥後,

ショット試料としてその質量をはかる。 

6.2.3 

ふるい分け及び袋入れ 5.1(6)を準用する。 

6.3 

くみ取り延展式法 地金の融解及び試験採取用具は,6.2.1と同様のものを用い,6.2.2に準じて加熱

融解させ,融解さいなどを入念にかき取った後,あらかじめ加熱したかくはん棒を用いて十分にかき混ぜ,

同一温度に予熱した試料用木炭さじ2〜3個を順次に用いて融体のなるべく深部から地金試料をくみ取り,

そのまま静置して室温に放冷する。冷却後,球状試料を木炭さじから取り出し,各々その質量を正しくは

かった後,5.1(6)を準用して3〜4個に袋入れ後,厳封して配布する。ただし,粗金地金の袋入試料は,通

常3〜5gのもの1個とする。 

備考 球状試料を用いて分析試料をはかり採る際は,これを焼鈍炉に入れて焼鈍した後,くみ取りの

際の上面を正しく上面として,十分に磨いた金床上でつち打ちして扁平とし,再び焼鈍後十分

に磨いたロールにかけて延展し,厚さ0.20〜0.25mmとし,アルコールを浸した布片で清浄と

した後,十分に磨いたはさみで切断して細片としたものを用いる。 

6.4 

くみ取りボーリング法 地金の融解及び試料採取用具は,6.2.1と同様のものを用い,6.3を準用して

くみ取り試料を採取する。ただし,本法に用いる試料さじはかなり大形のものとし,予熱後十分に清浄に

した鋳型に注入して厚さ約15mmの鋳塊とする。これを室温に放冷後,鋳型から取り出し,4.2及び5.2の

方法によって終結試料を調製する。 

備考 鋳型は,通常鋳鉄製とし,原則として50×70×200mmのものを用いる。 

M 8104 1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

鉱山部会 鉱石分析方法専門委員会 構成表(昭和37年1月1日改正のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

宗 宮 尚 行 

東京大学 

村 上 徹 朗 

工学院大学 

青 木 文 雄 

東京工業試験所 

清   廉 平 

資源技術試験所 

石 田 与之助 

地質調査所 

大 木   恒 

通商産業省鉱山局 

川 村   寛 

造幣局東京支局 

森 下 一 二 

造幣局 

吉 田 斉 一 

東京通商産業局鉱山部 

阿 部   渡 

日本鉱業株式会社 

田 中 正 雄 

住友金属鉱山株式会社 

西 村 耕 一 

住友金属鉱山株式会社 

伊 賀   武 

三井金属鉱業株式会社 

並 木   勇 

三菱金属鉱業株式会社 

服 部 只 雄 

古河電気工業株式会社 

四 元   道 

同和鉱業株式会社 

木 村 二 郎 

古河鉱業株式会社 

馬 島 清 丸 

中外鉱業株式会社 

上 森 章 三 

東邦亜鉛株式会社 

大師堂 達 郎 

志村化工株式会社 

寺 本 正 一 

日本鉱業協会 

(事務局) 

石 井 清 次 

工業技術院標準部材料規格課 

伊 藤 定 義 

工業技術院標準部材料規格課 

(事務局) 

石 井 清 次 

工業技術院標準部材料規格課(昭和52年3月1日改正のとき) 

土 居 修 身 

工業技術院標準部材料規格課(昭和52年3月1日改正のとき) 

(事務局) 

宮 本 幸 夫 

工業技術院標準部材料規格課(平成4年9月1日改正のとき) 

小 嶋   誠 

工業技術院標準部材料規格課(平成4年9月1日改正のとき)