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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

M 7651-1996 

閉鎖循環式酸素自己救命器 

Closed-circuit oxygen self rescures 

1. 適用範囲 この規格は,鉱山,ずい道,工場などにおいて,火災,爆発,その他の事故によって発生

した有害ガス,煙,酸素欠乏などのために生命に危険のおそれがある箇所から脱出するときに用いる閉鎖

循環式酸素自己救命器(以下,自己救命器という。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 1602 熱電対 

JIS K 0804 検知管式ガス測定器(測長形) 

JIS M 7611 一酸化炭素用自己救命器(COマスク) 

JIS T 8001 呼吸用保護具用語 

JIS T 8159 呼吸用保護具面体の漏れ率試験方法 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 8001によるほか,次による。 

(1) 手動補給弁 P形自己救命器の構成部品で,着用者が操作することによって酸素を呼吸回路内に補給

する弁。 

(2) デマンド弁 P形自己救命器の構成部品で,着用者の呼吸による呼吸回路内の圧力変化又は容積変化

などで作動して酸素を呼吸回路内に補給する弁。肺力補給弁ともいう。 

(3) 定量補給形 P形自己救命器で,酸素の補給方式が高圧酸素容器からの高圧酸素を減圧弁,オリフィ

スなどを通して連続して補給する方式。 

(4) 定量補給手動補給併用形 P形自己救命器で,酸素の補給方式が定量補給のほかに手動補給弁を備え

た方式。 

(5) 定量補給デマンド併用形 P形自己救命器で,酸素の補給方式が定量補給のほかにデマンド弁を備え

た方式。 

(6) デマンド形 P形自己救命器で,酸素の補給方式がデマンド弁によって人体の酸素消費量に見合った

酸素を間欠的に補給する方式。 

(7) 密封容器 外気の遮断を必要とする自己救命器本体を収納するケース。 

(8) 初期酸素補給装置 自己救命器の作動初期に,呼吸に必要な酸素を短時間内に供給する装置又はその

機能をもつもの。 

(9) 初期補給ガス 初期酸素補給装置が作動したときに補給される酸素,空気又は酸素濃度が空気よりわ

ずかに高い酸素富加空気。 

3. 種類 自己救命器の種類は,酸素の補給方式によって次のとおりとする。 

(1) C形自己救命器 呼吸によって消費する酸素を,化学薬品の反応によって酸素を連続的に発生させ補

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

給する方式のもの。 

(2) K形自己救命器 呼吸によって消費する酸素を,化学薬品に呼気を通して呼気中の水分と二酸化炭素

によって酸素を発生させ補給する方式のもの。 

(3) P形自己救命器 呼吸によって消費する酸素を,圧縮酸素を減圧して補給する方式のもの。 

4. 性能 

4.1 

気密性 気密性は,7.1によって試験したとき,次の規定に適合しなければならない。 

(1) 面体等を除く自己救命器 

(1.1) C形自己救命器及びK形自己救命器 7.1(1)によって試験したとき,圧力低下が100Pa {10.2 mmH2O} 

以下であること。 

なお,マウスピースを用いたものの場合は,マウスピースを除かないで試験するものとする。 

(1.2) P形自己救命器 

(a) 高圧部分 高圧酸素容器,そく(塞)止弁,圧力指示計などの高圧部分及び各高圧連結部は,7.1(2.1)

によって試験したとき漏気が認められないこと。 

(b) 中圧部分 減圧弁などの中圧部分及び各中圧連結部は,7.1(2.2)によって試験したとき,漏気が認め

られないこと。 

(c) 低圧部分 呼吸管,清浄缶,呼吸袋などの低圧部分及び各低圧連結部は,7.1(2.3)によって試験した

とき,圧力低下が100Pa {10.2mmH2O} 以下であること。 

なお,マウスピースを用いたものの場合は,マウスピースを除かないで試験するものとする。 

(2) 面体 7.1(3)によって試験したとき,漏気が認められないこと。 

(3) 密封容器 7.1(4)によって試験したとき,漏気が認められないこと。 

4.2 

使用時間 使用時間は,7.2によって試験したとき,公称使用時間以上でなければならない。 

4.3 

二酸化炭素吸収能力 二酸化炭素吸収能力は,7.3によって試験したとき,吸気中の二酸化炭素濃度

が3%以下でなければならない。 

4.4 

吸気温度 吸気温度は,7.4によって試験したとき,呼気温度からの上昇がC形及びP形自己救命器

では13℃以下,K形自己救命器では28℃以下でなければならない。 

4.5 

一酸化炭素及び塩素の濃度 一酸化炭素及び塩素の濃度は,吸気中の一酸化炭素及び塩素の濃度が,

7.5によって公称使用時間内で試験した場合,それぞれ一酸化炭素50ppm及び塩素1ppmを超えてはなら

ない。ただし,一酸化炭素及び塩素の発生する可能性がない構造の場合は,この規定は適用しない。 

4.6 

酸素供給能力 酸素供給能力は,次の規定に適合しなければならない。 

(1) C形自己救命器 

(1.1) 酸素発生量 7.6(1.1)によって試験したとき,公称使用時間中の酸素発生量は平均1.2l/min以上で,

かつ,最低0.8l/min以上であること。 

(1.2) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 初期補給ガス量は,7.6(1.2)(a)によ

って試験したとき,最初の30秒間に2.5l以上,かつ,60秒間に3.5l以上であること。ただし,初

期補給ガスが空気の場合,7.6(1.2)(b)によって試験したとき,初期酸素量は,最初の30秒間に0.6l

以上,かつ,60秒間に1.2l以上であること。 

(1.3) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 初期空気量は,7.6(1.3)(a)によって

試験したとき,2.5l以上であること。 

また,7.6(1.3)(b)によって試験したとき,初期酸素量が,最初の30秒間に0.6l以上,かつ,60秒

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間に1.2l以上であること。 

(2) K形自己救命器 

(2.1) 酸素発生量 7.6(2.1)によって試験したとき,公称使用時間中の酸素発生量が,次の式によって算出

した値以上であること。 

(a) 初期酸素補給装置をもつ場合 

酸素発生量 (l) =自動排気弁からの放出量 (l) −初期補給ガス量 (l) +公称呼吸袋内容量 (l)  

       ≧公称使用時間 (min) ×1.2 (l/min)  

(b) 初期酸素補給装置をもたない場合 

酸素発生量 (l) =自動排気弁からの放出量 (l)  

       ≧公称使用時間 (min) ×1.2 (l/min)  

(2.2) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 初期補給ガス量は,7.6(2.2)(a)によ

って試験したとき,最初の30秒間に2.5l以上,かつ,60秒間に3.5l以上であること。ただし,初

期補給ガスが空気の場合,7.6(2.2)(b)によって試験したとき,初期酸素量は,最初の30秒間に0.6l

以上,かつ,60秒間に1.2l以上であること。 

(2.3) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 初期空気量は,7.6(2.3)(a)によって

試験したとき,2.5l以上であること。 

また,7.6(2.3)(b)によって試験したとき,初期酸素量が,最初の30秒間に0.6l以上,かつ,60秒

間に1.2l以上であること。 

(3) P形自己救命器 

(3.1) 定量補給形,定量補給手動補給併用形及び定量補給デマンド併用形の定量酸素補給量 7.6(3.1)によ

って試験したとき,公称使用時間中の定量酸素補給量は平均1.2l/min以上で,かつ,最低0.8l/min

以上であること。 

(3.2) デマンド形のデマンド弁の酸素補給能力 7.6(3.2)によって試験したとき,10±0.5l/minの吸引量に

対し,吸引圧力は,750Pa {76.5mmH2O} 以内であること。 

(3.3) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 初期補給ガス量は,7.6(3.3)(a)によ

って試験したとき,最初の30秒間に2.5l以上,かつ,60秒間に3.5l以上であること。ただし,初

期補給ガスが空気の場合,7.6(3.3)(b)によって試験したとき,初期酸素量は,最初の30秒間に0.6l

以上,かつ,60秒間に1.2l以上であること。 

(3.4) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 初期空気量は,7.6(3.4)(a)によって

試験したとき,2.5l以上であること。 

また,7.6(3.4)(b)によって試験したとき,初期酸素量が,最初の30秒間に0.6l以上,かつ,60秒

間に1.2l以上であること。 

4.7 

呼吸抵抗 呼吸抵抗は,7.7によって試験したとき,公称使用時間中の呼気抵抗ピーク値及び吸気抵

抗ピーク値は,いずれも750Pa {76.5mmH2O} 以下でなければならない。ただし,初期15秒間の呼気抵抗

ピーク値及び吸気抵抗ピーク値は,いずれもこの限りではない。 

4.8 

自動排気弁の作動性 自己救命器の自動排気弁の作動性は,7.8によって試験したとき,作動圧力は

150〜500Pa {15.3〜51.0mmH2O} でなければならない。 

4.9 

面体の漏れ率 面体の漏れ率は,7.9によって試験したとき,0.1%未満でなければならない。 

4.10 落下強度 容器に収納した自己救命器の落下強度は,7.10によって試験し,4.1〜4.4及び4.6〜4.8

の性能を満足しなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.11 転動衝動強度 携帯又は携行可能な方式の自己救命器の転動衝動強度は,7.11によって試験し,4.1

〜4.4及び4.6〜4.8の性能を満足しなければならない。 

5. 構造 

5.1 

一般構造 自己救命器の一般構造は,次のとおりとする。 

(1) 取扱いが簡単で,迅速,有効,確実に着用できる構造であること。 

(2) 着用初期においても呼吸に支障がない構造であること。 

(3) 着用して脱出する際に,異常な圧迫苦痛を伴うこと及び頭や手足の自由な動きを甚だしく制限するこ

とがなく,かつ,自己救命器の操作に特に注意を払わず脱出に専念できる構造であること。 

(4) 繰り返し使用できるものは,容易に酸素発生缶,清浄剤(又は清浄缶)及び高圧酸素容器が交換でき

る構造であること。 

(5) 酸素発生缶の発熱による高温に対し,着用者が安全な構造であること。 

(6) 保存中,外気との遮断が必要な形式のものは,密封容器に収納すること。 

5.2 

型式別構造 自己救命器の型式別構造は,次のとおりとする。 

(1) C形自己救命器 面体等,呼吸管,呼吸袋,清浄缶,酸素発生缶などからなり,呼気中の二酸化炭素

は清浄缶で吸収し,吸気として再び使用できる呼吸回路をもち,呼吸によって消費する酸素を酸素発

生缶から補給する構造であること(付図1参照)。 

(2) K形自己救命器 面体等,呼吸管,呼吸袋,酸素発生缶などからなり,呼気中の水分と二酸化炭素に

よって酸素発生剤が反応し,二酸化炭素を除去し,発生した酸素によって酸素濃度を回復した吸気と

して再び呼吸できる構造であること(付図2参照)。 

(3) P形自己救命器 

(a) 面体等,清浄缶,呼吸袋,減圧弁及び(又は)デマンド弁,高圧酸素容器などからなり,呼気中の

二酸化炭素を清浄缶で吸収し,吸気として再び使用できる呼吸回路をもち,呼吸によって消費する

酸素は,高圧酸素容器から呼吸回路内に減圧放出して補給する構造であること(付図3参照)。 

(b) 酸素圧力の点検が容易に行える構造であること。 

(c) デマンド形の場合は,吸気中の酸素濃度が18%未満に低下しない構造であること。 

5.3 

各部の構造 自己救命器の各部の構造は,次のとおりとする。 

(1) 酸素発生缶 外部からの衝撃,振動で薬剤の偏りや粉化が生じにくい構造であること。 

また,初期酸素補給装置をもつものは,その作動によって直ちに初期補給ガスを補給する構造であ

ること。 

(2) 高圧酸素容器及びそく止弁 P形自己救命器に使用するものは,高圧ガス取締法に適合したものであ

ること。 

備考 高圧ガス取締法:昭和26年6月7日 法律第204号 

(3) 呼吸袋 十分な容積,気密性及び強さをもつ構造であること。 

(4) 呼吸管 着用中,管形の変形によって通気抵抗が著しい増加を生じない構造であること。 

(5) 面体等 全面形面体とマウスピースの2種類とし,いずれも着用が簡単で,しめひもは十分な弾力と

強さをもち,調節可能で,次の事項を満足するものであること。 

(a) 全面形面体は,顔面を覆うもので,漏気しない構造であり,アイピースは,透明で使用上支障とな

る影像のゆがみがなく,かつ,曇りを防止する構造であって,7.1(3)に規定する方法によって試験し

たとき,気密不良を生じないものであること。 

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(b) マウスピースは,くちびる(唇)と歯ぐきの間に挿入した後,くちびるを固く結び,かつ,ノーズ

クリップで鼻孔を挟むことによって,口及び鼻から漏気しない構造のものであること。 

ノーズクリップは,未着用防止のため,ひも,弾性体などを介してマウスピースと結合している

こと。 

なお,弾力性が適切であって,鼻孔から吸気が入ることなく,激しい動きによって外れることな

く,かつ,着用によって著しい苦痛を与えないものであること。 

(6) 自動排気弁 着用者の呼吸を圧迫しないように自動的に排気できる構造であること。 

(7) 清浄缶 外部からの衝撃,振動に対して,通気の短絡及び著しい通気抵抗の上昇がなく,二酸化炭素

の吸収能力の低下が少ない構造であること。 

(8) 圧力指示計 圧力指示計をもつものは,その目盛は,製造業者が定めた使用可能な最低酸素保有圧力

を容易に認知できるよう目盛ってあること。 

(9) 容器 容器は,次の事項を満足しなければならない。 

(a) 携帯形又は携行形のものは,携帯又は携行による摩擦,衝撃などで容易に変形・破損しない構造で

あること。 

(b) 使用する際,特別に大きな力を用いることなく開くことができ,かつ,必要な内容物を容易に取り

出せる構造であること。 

(c) 密封容器は十分な気密性をもち,1回でも開封したものは開いたことが分かる構造であること。 

6. 材料 自己救命器の各部に使用する材料は,次の事項を満足しなければならない。 

(1) 強さ,弾性などが用途に対し適切であること。 

(2) 皮膚に接触する部分に使用する材料は,皮膚に有害な影響を与えないものであること。 

(3) 金属材料は,耐食性のもの又は適切な防食処理を施したものであること。 

(4) マウスピースの材料は,しなやかで,味,においの少ない材料であること。 

7. 性能試験 

7.1 

気密性試験 気密性試験は,次による。 

(1) 面体等を除くC形自己救命器及びK形自己救命器 自己救命器の面体等連結口以外の開口部(自動

排気弁などを含む。)を密そく具でふさぎ,面体等の連結口から乾燥空気,窒素又は酸素を送り込み,

内圧が600±30Pa {61.2±3.1mmH2O} に安定してから3分間放置後の初期値からの圧力変化を測定す

る。 

(2) 面体等を除くP形自己救命器 

(2.1) 高圧部分 

(a) 高圧酸素容器及びそく止弁 高圧酸素容器及びそく止弁に容器の最高充てん圧力を加えて24時間

放置し,漏気の有無を調べる。 

(b) (a)に示す以外の高圧部分 そく止弁連結部などから最高充てん圧力及び3±0.15MPa {30.6±

1.5kgf/cm2} の酸素圧力又は空気圧力を加え,(a)に示す以外の高圧部分の各部からの漏気の有無を

調べる。 

(2.2) 中圧部分 (2.1)(b)における高圧部分に最高充てん圧力及び3±0.15MPa {30.6±1.5kgf/cm2} の酸素

圧力又は空気圧力を加えたときの中圧部分の各部からの漏気の有無を調べる。 

(2.3) 低圧部分 自己救命器の面体等連結口以外の開口部(そく止弁連結部,自動排気弁など。)を密そく

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具でふさぎ,面体等の連結口から空気を送り込み,内圧が600±30Pa {61.2±3.1mmH2O} に安定し

てから3分間放置後の初期値からの圧力変化を測定する。 

(3) 面体 呼吸管との連結部を密そく具でふさぎ,試験用人頭に装着して,その内部にアンモニア含有空

気を送気して1±0.05kPa {102±5.1mmH2O} の内部圧力を加え,全体にフェノールフタレイン・アル

コール溶液でぬらした布をかけて,紅変の有無によって漏気の有無を調べる。ただし,試験用人頭と

面体との接顔部は試験の対象としない。 

(4) 密封容器 硬質容器の場合は,内部を外部より14±0.7kPa {105±5.3mmHg} 低い圧力として,また,

軟質容器の場合は,内外の圧力差を1±0.05kPa {102±5.1mmH2O} として,漏気の有無を調べる。 

7.2 

使用時間試験 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃の場

所において作動試験装置(付図4)に取り付け,次の条件で試験を行う。測定開始時点は,自己救命器を

作動状態にした後,直ちに呼気又は吸気を送り始めた時点とする。 

(1) 作動試験装置の運転条件 

(a) 呼吸波形 正弦波 

(b) 1回の呼吸における呼気量 1.2±0.1l 

(c) 毎分の呼吸回数 25±1回 

備考 毎分の呼吸量(1回呼吸量×呼吸回数)の積算値が30±1.5 l/minとなるように,1回呼気量及

び呼吸回数を各々公差内で設定する。 

(d) 呼気条件 呼気条件は,表1による。 

表1 呼気条件 

呼気温度(1) ℃ 

相対湿度 % 

二酸化炭素濃度

(2) % 

試験前 37±1 

95以上 

4±0.2 

試験中 37±3 

− 

注(1) 呼気温度は,付図4に示す位置で,吸気温度の測

定に使用するものと同種の熱電対温度計で試験
時間中連続して測定する。 

(2) 試験前に大気圧の空気を試験装置の吸気として

吸入したときに呼気中の二酸化炭素濃度を表の
値に調整し,そのときの二酸化炭素供給量を試験
時間中継続して供給する。 

(2) 採気条件 公称使用時間中の平均採気流量を1.2±0.06l/minとして,自己救命器の呼吸袋から連続し

て,又は作動試験装置の吸気経路中から呼吸運動に合わせて採気する。 

7.3 

二酸化炭素濃度試験 7.2と同等に行い,試験装置の吸気側に接続した計測器で,公称使用時間中連

続測定する。 

7.4 

吸気温度試験 7.2と同時に行い,付図4に示す位置で,測温接点露出型熱電対(線径0.2mmで,

構成材料は,JIS C 1602に規定する記号Kのもの。)を使用する温度計を用いて吸気温度を公称使用時間

中連続的に測定する。 

7.5 

一酸化炭素及び塩素の濃度試験 7.2と同時に行い,採気ガス中の一部について一酸化炭素の濃度及

び塩素の濃度を検知管(3)で測定する。 

注(3) JIS K 0804の規定による。 

7.6 

酸素供給能力試験 酸素供給能力試験は,次による。 

(1) C形自己救命器 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1.1) 酸素発生量 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃で作動

させ,ガス量をガスメータで1分ごとに公称使用時間中連続測定するとともに,これに含まれる酸

素濃度を連続測定して酸素発生量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(1.2) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 

(a) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5 ℃で初期酸素補給装

置を作動させ,最初の30秒間及び60秒間の初期補給ガス量をガスメータで測定し,20℃ 1気圧に

換算して調べる。 

(b) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5 ℃で作動させ,作動

開始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定するとともに,これに含まれる

酸素濃度を測定して酸素量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(1.3) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 

(a) 自己救命器の面体等に接続した外部ポンプなどによって,面体等の内部に相当する部分の内圧が−1

±0.05kPa {−102±5.1mmH2O} になるまで吸引し,そのときのガス量を測定する。 

(b) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃で作動させ,作動開

始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定するとともに,これに含まれる酸

素濃度を測定して酸素量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(2) K形自己救命器 

(2.1) 酸素発生量 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃及び呼

吸模擬装置に入る入気温度は25℃以下で,酸素発生量試験装置(付図5)に取り付け,自己救命器

を作動状態にした後,7.2(1)に示す条件で試験を行う。 

なお,7.2(2)に示す採気は行わずに,公称使用時間中の自動排気弁からの放出量を測定し,20℃ 1

気圧に換算して調べる。 

(2.2) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 

(a) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃で初期酸素補給装置

を作動させ,最初の30秒間及び60秒間の初期補給ガス量をガスメータで測定し,20℃ 1気圧に換

算して調べる。 

(b) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃で空気に4±0.2%の

二酸化炭素を混合し,温度37±1℃,相対湿度95%以上に調整した試験ガスを30±1.5l/minの流量

で連続通気し,通気開始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定するととも

に,これに含まれる酸素濃度を測定して酸素量を算出し,20℃1気圧に換算して調べる。 

(2.3) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 

(a) 自己救命器の面体等に接続した外部ポンプなどによって,面体等の内部に相当する部分の内圧が−1

±0.05kPa {−102±5.1mmH2O} になるまで吸引し,そのときのガス量を測定する。 

(b) 自己救命器を15±2℃の恒温槽中に3時間以上放置した後,雰囲気温度20±5℃で空気に4±0.2%の

二酸化炭素を混合し,温度37±1℃,相対湿度95%以上に調整した試験ガスを30±1.5l/minの流量

で連続通気し,通気開始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定するととも

に,これに含まれる酸素濃度を測定して酸素量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(3) P形自己救命器 

(3.1) 定量補給形,定量補給手動補給併用形及び定量補給デマンド併用形の定量酸素補給量 自己救命器

を作動させ,酸素補給量をガスメータで1分ごとに公称使用時間中連続測定し,20℃ 1気圧に換算

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して調べる。 

(3.2) デマンド形のデマンド弁の酸素補給能力 自己救命器のそく止弁連結部などから3 MPa {30.6±

1.5kgf/cm2} の酸素圧力を加え,面体等から10±0.5l/minの流量で吸引したときの面体等の内部に相

当する部分の吸引圧力を測定する。 

(3.3) 初期酸素補給装置をもつ場合の初期補給ガス量及び初期酸素量 

(a) 初期酸素補給装置を作動させ,最初の30秒間及び60秒間の初期補給ガス量をガスメータで測定し,

20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(b) 自己救命器を作動させ,作動開始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定す

るとともに,これに含まれる酸素濃度を測定して酸素量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

(3.4) 初期酸素補給装置をもたない場合の初期空気量及び初期酸素量 

(a) 自己救命器の面体等に接続した外部ポンプなどによって,面体等の内部に相当する部分の内圧が−1

±0.05kPa {−102±5.1mmH2O} になるまで吸引し,そのときのガス量を測定する。 

(b) 自己救命器を作動させ,作動開始から30秒間及び60秒間に放出するガス量をガスメータで測定す

るとともに,これに含まれる酸素濃度を測定し,酸素量を算出し,20℃ 1気圧に換算して調べる。 

7.7 

呼吸抵抗試験 呼吸抵抗試験は,7.2に示す使用時間試験と同時に行い,呼吸抵抗として,自己救命

器の面体等の内部に相当する部分と外気との圧力差を測定するものとし,呼気抵抗ピーク値及び吸気抵抗

ピーク値を精密微差圧計(記録計を含めて95%応答0.4秒以下)を用いて公称使用時間連続測定する。 

7.8 

自動排気弁の作動性試験 自己救命器の呼吸口以外の開口部(自動排気弁は使用状態にしておく。)

を密そく具でふさぎ,面体等の呼吸口から2.5±0.1l/minの流量で空気を導入加圧し,自動排気弁の作動圧

力を測定する。 

7.9 

面体の漏れ率試験 面体の漏れ率試験は,JIS T 8159の規定による。 

7.10 落下強度試験 コンクリート床上に厚さ45〜50mmの松板又は杉板を置き,容器に収納した自己救

命器を1±0.05mの高さから3回落とした後,7.1〜7.4及び7.6〜7.8に示す性能試験を行う。 

なお,落下開始時の自己救命器の向きは,着用時と同じ向きとなるようにする。 

7.11 転動衝動強度試験 自己救命器をJIS M 7611に規定する振動試験機にかけて転動(堅木箱を使用し

毎分60回転の転動)を5分間与え,さらに,衝動(落差100mm,毎分60回の衝動)を5分間与えた後,

7.1〜7.4及び7.6〜7.8に示す性能試験を行う。 

8. 検査 検査は,原則として製造ロットごとの抜取検査とし,7.に規定する試験を行い,4.及び5.の各項

に適合しなければならない。 

9. 表示 表示は,次による。 

(1) 自己救命器の表示には,次の事項を表示しなければならない。 

(a) 規格番号又は名称 

(b) 名称又は品名 

(c) 公称使用時間 

(d) 製造業者名又はその略号 

(e) 製造年月又はその略号 

(2) 酸素発生缶,清浄缶及びそれらの包装,交換用の二酸化炭素吸収剤の容器には,次の事項を表示しな

ければならない。ただし,あらかじめ組み込まれているものは,この限りではない。 

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M 7651-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(a) 使用する自己救命器の名称及び種類 

(b) 製造業者名又はその略号 

(c) 製造年月又はその略号 

10. 取扱説明書 自己救命器には,次の事項を記載した取扱説明書を添付しなければならない。 

(1) 使用方法 

(2) 使用上の注意事項 

(3) 点検,整備及び格納についての注意事項 

(4) 有効期間 

関連規格 JIS M 7601 圧縮酸素形循環式呼吸器 

JIS T 8156 酸素発生形循環式呼吸器 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考である。 

付図1 C形自己救命器系統図(一例) 

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10 

M 7651-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図2 K形自己救命器系統図(一例) 

付図3 P形自己救命器系統図(一例) 

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11

M

 7

6

5

1

-1

9

9

6

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図4 作動試験装置(一例) 

注* 

吸気温度調整器は,呼吸模擬装置の入口の入気温度が25℃以上になる場合だけ,吸気の冷却用として使用する。 

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1

2

M

 7

6

5

1

-1

9

9

6

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図5 酸素発生量試験装置(一例) 

注* 

吸気温度調整器は,呼吸模擬装置の入口の入気温度が25 ℃以上になる場合だけ,吸気の冷却用として使用する。 

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13 

M 7651-1996  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図6 マウスピース用コネクタ(一例) 

JIS M 7651(閉鎖循環式酸素自己救命器)原案作成委員会 構成表 

(委員長) 

氏名 

所属 

房 村 信 雄 

早稲田大学 

大 関 真 一 

通商産業省環境立地局鉱山課 

波田野 純 一 

通商産業省環境立地局石炭課 

○ 高 木 譲 一 

工業技術院標準部材料規格課 

○ 高 橋 正 好 

工業技術院資源環境技術総合研究所 

片 岡 哲 雄 

労働省労働基準局安全衛生部 

酒 井 高 明 

財団法人石炭技術研究所 

北 山   忍 

日本石炭協会 

涌 井 直 正 

鉱業労働災害防止協会 

土 屋 義 幸 

日本鉱業協会 

昆 野 宏 規 

三井金属鉱業株式会社 

浦 田 吉 和 

太平洋炭礦株式会社 

松 村 不二夫 

ミドリ安全株式会社 

○ 笠 原 幹 夫 

川重防災工業株式会社 

○ 竹 中 博 一 

エムエスエイジャパン株式会社 

○ 中 村 和 男 

日本ドレーゲル株式会社 

○ 北 原 宏 一 

日本パイオニクス株式会社 

○ 重 松 開三郎 

株式会社重松製作所 

○ 肥 山 智 彦 

日本呼吸用保護具工業会 

(事務局) 

三 上 圭 二 

社団法人日本保安用品協会 

備考 ○をつけた委員は,小委員会委員を兼ねる。