日本工業規格
JIS
M
3916
-1983
鉱山工具用超硬チップ
Cemented Carbide Tips for Mining Tools
1.
適用範囲 この規格は,鉱山,土木及び建設の事業場において使用する鉱山工具(
1
)
用超硬チップ(以
下,チップという。
)について規定する。
注(
1
) JIS M 3913
(さく岩機用インサートビット)
,JIS M 1403(試すい用メタルクラウン及び同部品)
などを参照のこと。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,国際単位系 (SI) によるものであ
って,参考として併記したものである。
引用規格:
JIS B 7726
ロックウェル硬さ試験機
JIS M 1403
試すい用メタルクラウン及び同部品
JIS M 3913
さく岩機用インサートビット
2.
種類 チップの種類は,ロックビット用及びメタルクラウン用の 2 種類とする。
3.
使用分類及び記号 この規格で用いる使用分類及び記号は,表 1 による。
表 1 使用分類及び記号
作業条件
使用分類
記号
岩質区分
作業方式
使用条件
適用例
石炭
軟岩
E1
中硬岩
回転さく孔
衝撃が小さい場合
石炭
軟岩
E2
中硬岩
回転さく孔
衝撃が中程度の場合
メタルクラウン
軟岩
E3
中硬岩
打撃さく孔
打撃力が小さい場合
中硬岩
E4
硬岩
打撃さく孔
打撃力が中程度の場合
硬岩
E5
最硬岩
打撃さく孔
打撃力が大きい場合
ロックビット
4.
品質
4.1
外観 有害なきず,割れ,ひずみその他の欠点があってはならない。
4.2
硬さ及び抗折力 表 2 による。
2
M 3916-1983
表 2 硬さ及び抗折力
使用分類
記号
硬さ ロックウェル
A
スケール
抗折力 kgf/mm
2
{N/mm
2
}
E1 90
以上 120 {1
177}
以上
E2 89
以上 140 {1
373}
以上
E3 88
以上 160 {1
569}
以上
E4 87
以上 170 {1
667}
以上
E5 86
以上 200 {1
961}
以上
4.3
内部組織 破面に不均一組織のないものでなければならない。
5.
形状・寸法 形状,寸法及び寸法許容差は,付表 1 及び付表 2 による。
なお,寸法許容差の規定のないものは参考値とする。
6.
材料及び製造方法 チップの材料は,超硬合金とし,合金はタングステンを主成分とした各種成分(参
考表参照)を,原則として炭化,混合,圧縮,成形及び焼結して製造する。
7.
試験
7.1
硬さ試験方法 硬さの測定は,JIS B 7726(ロックウェル硬さ試験機)に規定する試験機を用い,A
スケールによって,次の方法によって行う。
(1) A
スケール 頂角 120°,先端半径 0.2mm のダイヤモンド圧子を用いて,基準荷重 10kgf {98.1N},試
験荷重 60kgf {588N} とする。
(2)
試料の表裏面の粗さは 1.5S 程度に,かつ,できるだけ平行に研削する。
(3)
測定点間の距離は 3mm 以上離し,なるべく広い範囲にわたって 3 か所以上を測定し,その算術平均
値を求め,その値に補正値を加減する。
(4)
補正値は,硬さ基準片の硬さを測定して定め,A スケールの値で±1.0 でなければならない。
(5)
測定値のばらつきの範囲が,A スケールの値で 1 以上の場合は,更に 1 回に限りその試料について再
測定する。
7.2
抗折力試験方法 抗折力試験装置を用いて,次の方法によって行う。
(1)
試料の両端を除く 4 面は,1.5S 程度に平らに研削し,試験の結果に影響を及ぼすと思われるようなき
ず,割れ,その他の欠点が認められてはならない。
(2)
試料の寸法は次による。ただし,厚さの寸法許容差は±0.1mm とする。
24
(長さ)×8(幅)×4mm(厚さ)
(3)
支点間距離は 20mm とし,支点及び荷重点の先端丸み半径は,約 2mm とする。
(4)
支点及び荷重点には超硬合金を使用する。
(5)
荷重点は支点間の中央とし,破断荷重の求め方は,抗折力試験装置の支点上に試料を載せ,荷重を厚
さの方向に加えて徐々に増し,破断したときの荷重値を求める。
(6)
この試験において,試料の破断面に割れ,穴などがあって,これが試験の結果に影響を及ぼしたと判
定される場合は,その結果は無効とし,同時に作った他の試料について再試験する。
(7)
抗折力の算出は,次による。
抗折力の値は,小数点以下を切り捨てた整数とする。
3
M 3916-1983
抗折力 (kgf/mm
2
) {N/mm
2
}
=
2
2
3
bt
Pl
ここに,
P
: 破断荷重 (kgf) {N}
b
: 試料の幅 (mm)
t
: 試料の厚さ (mm)
l
: 支点間の距離 (mm)
8.
検査
8.1
外観検査 外観は,通常目視によって検査し,4.1 の規定に合格しなければならない。
8.2
形状・寸法検査 形状・寸法は,5.の規定に合格しなければならない。
8.3
硬さ検査 製品又は試料を用いて 7.1 によって検査し,4.2 の規定に合格しなければならない。
8.4
抗折力検査 抗折力試験試料を用いて 7.2 によって検査し,4.2 の規定に合格しなければならない。
8.5
内部組織検査 8.4 に用いた試料によって検査し,4.3 の規定に合格しなければならない。
9.
製品の呼び方 製品の呼び方は,チップの種類,使用分類記号(
2
)
,形及び呼び番号による。
注(
2
)
使用分類記号には,製造業者による材種記号を追加してもよい。
例 1 :
例 2 :
10.
表示 チップには,使用分類記号(
2
)
を原則として 1 個ごとに表示し,チップは適当な容器に納め,容
器ごとに次の項目を表示する。
(1)
チップの種類
(2)
使用分類記号(
2
)
(3)
形及び呼び番号
(4)
製造業者名又はその略号
4
M 3916-1983
付表 1 ロックビット用チップ
1.
形状・寸法
1.1
カービット用チップ
単位 mm
参考
形
呼び番号
G
h
b
α
°
R
124 24 10 6
126 26 10 6
128 28 10 6
130 30 10 6
132 32 10 6
232 32 12 8
234 34 12 8
236 36 12 8
238 38 12 8
240 40 12 8
242 42 12 8
332 32 14 8
334 34 14 8
336 36 14 8
338 38 14 8
340 40 14 8
342 42 14 8
434 34 15 10
436 36 15 10
438 38 15 10
440 40 15 10
442 42 15 10
444 44 15 10
446 46 15 10
534 34 18 10
536 36 18 10
538 38 18 10
540 40 18 10
542 42 18 10
544 44 18 10
1 000
546 46 18 10
100
∼110 80∼120
5
M 3916-1983
1.2
クロスビット用チップ
単位 mm
参考
形
呼び番号
G
h
b
α
°
110 10 10 6
111 11 10 6
112 12 10 6
113 13 10 6
114 14 10 6
115 15 10 6
210 10 12 6
211 11 12 6
212 12 12 6
213 13 12 6
214 14 12 6
215 15 12 6
312 12 12 8
313 13 12 8
314 14 12 8
315 15 12 8
316 16 12 8
317 17 12 8
318 18 12 8
90
∼105
418 18 15 10
421 21 15 10
424 24 15 10
427 27 15 10
430 30 15 10
521 21 16 11
524 24 16 11
527 27 16 11
530 30 16 11
2 000
536 36 16 11
100
∼115
6
M 3916-1983
2.
寸法許容差
2.1
カービット用チップ
単位 mm
寸法
許容差
G
+1.5
+0.2
h
+0.6
−0.2
b
+0.7
0
(
±0.1)
2.2
クロスビット用チップ
単位 mm
寸法
許容差
G
+1.0
−0.1
h
+0.5
−0.2
b
+0.6
0
(
±0.1)
備考 ( ) 内の数値は,研削又はこれに準じる仕様のものに適用する。
付表 2 メタルクラウン用チップ
1.
形状・寸法
1.1
4
角形チップ
単位 mm
形
呼び番号
A
B
C
557 5 5 7
558 5 5 8
668 6 6 8
778 7 7 8
4 000
88A 8 8 10
7
M 3916-1983
1.2
8
角形チップ
単位 mm
形
呼び番号
A
C
557 5 7
558 5 8
668 6 8
778 7 8
8 000
88A 8 10
2.
寸法許容差
単位 mm
寸法 A・B・C
許容差 js 15
6
以下
±0.24
6
を超え 10 以下
±0.29
参考表
化学成分%
使用分類
記号
W Co C
E1 87
∼90 4∼ 8
E2 85
∼89 5∼10
E3 83
∼87 7∼12
E4 82
∼86 8∼13
E5 78
∼85 9∼17
5
∼6
備考 TaC,TiC は 0∼3%添加されることがあ
る。
8
M 3916-1983
資源エネルギー部会 採鉱機器専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
速 水 博 秀
工業技術院公害資源研究所資源第 4 部
熊 野 英 昭
通商産業省機械情報産業局
安 藤 勝 良
資源エネルギー庁石炭部
卯 木 稔
工業技術院標準部
久 米 隆
三井石炭鉱業株式会社生産部
藤 本 正 敏
日鉄鉱業株式会社事業開発部
忠 平 健 一
大成建設株式会社技術研究所
浅 海 宣 慶
同和鉱業株式会社鉱山部
林 紀 夫
日本鉱業協会技術部
栗 井 康 雄
三菱石炭鉱業株式会社技術部
大 橋 脩 作
日本石炭協会技術部
猿 田 敏 郎
株式会社利根ボーリング
大 鹿 春 郎
鉱研試錐工業株式会社開発部
鶴 岡 泰 生
株式会社三井三池製作所産業機械営業部
安 部 強
三菱製鋼株式会社
三 上 芳 一
古河鉱業株式会社機械生産本部
引 地 康 夫
東洋工業株式会社さく岩機部
堀 越 弘 彦
大同特殊鋼株式会社
江 見 正 臣
社団法人日本産業機械工業会
葉 賀 七三男
社団法人日本鉱業会
(関係者)
宇 宿 徹
三菱金属株式会社
浅 野 克 彦
東芝タンガロイ株式会社工具第 2 部
土 肥 嘉 夫
住友電気工業株式会社粉末冶金事業部
関 野 等
超硬工具協会
(事務局)
時 山 聖 司
工業技術院標準部材料規格課
宮 崎 正 治
工業技術院標準部材料規格課