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目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類及び等級 ··················································································································· 3
4.1 形態による区分 ············································································································· 3
4.2 繊維による区分 ············································································································· 3
4.3 反発弾性による区分 ······································································································· 4
4.4 耐久性による区分 ·········································································································· 4
5 品質······························································································································· 4
5.1 見掛け密度及び目付の許容差 ··························································································· 4
5.2 反発弾性 ······················································································································ 4
5.3 耐久性 ························································································································· 5
5.4 通気量 ························································································································· 5
6 呼び寸法························································································································· 5
7 外観······························································································································· 6
8 材料······························································································································· 6
9 試験······························································································································· 6
9.1 試験の一般条件 ············································································································· 6
9.2 数値の丸め方 ················································································································ 6
9.3 見掛け密度及び目付 ······································································································· 6
9.4 硬さ ···························································································································· 8
9.5 反発弾性 ······················································································································ 9
9.6 繰返し圧縮硬さ低下率及び繰返し圧縮残留ひずみ ································································ 12
9.7 乾熱圧縮残留ひずみ ······································································································ 14
9.8 通気量 ························································································································ 15
9.9 熱可塑性三次元網状繊維構造体の寸法··············································································· 16
10 検査 ···························································································································· 16
11 熱可塑性三次元網状繊維構造体の呼び方 ············································································ 17
12 試験報告書 ··················································································································· 18
13 表示 ···························································································································· 18
附属書A(規定)不定形品の試験片の作成方法 ········································································· 19
附属書B(参考)厚さ5 mm以下の単層品の試験片の作成方法 ····················································· 20
附属書C(参考)熱可塑性三次元網状繊維構造体の反発弾性試験装置の設計 ··································· 21
附属書D(参考)熱可塑性三次元網状繊維構造体の通気量試験装置の試験片容器の設計 ···················· 23
附属書E(参考)熱可塑性三次元網状繊維構造体の圧縮たわみ係数及びヒステリシスロス率の
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試験方法 ······················································································································ 25
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まえがき
この規格は,産業標準化法に基づき,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
産業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
注記 工業標準化法に基づき行われた日本工業標準調査会の審議等の手続は,不正競争防止法等の一
部を改正する法律附則第9条により,日本産業標準調査会の審議等の手続を経たものとみなさ
れる。
日本産業規格 JIS
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熱可塑性三次元網状繊維構造体
3D network structured fiber materials of the thermoplastic polymer
1
適用範囲
この規格は,熱可塑性樹脂の長繊維が三次元方向に融着又は連結することで立体構造を形成する繊維構
造体(以下,熱可塑性三次元網状繊維構造体という。)について規定する。
この規格は,寝具,椅子,移動体の座席などの耐荷重用品のクッション部分に用いる,熱可塑性三次元
網状繊維構造体に適用する。
なお,熱可塑性三次元網状繊維構造体の形態は,表1による。
ただし,この規格は,次のものには適用しない。
a) 厚さが5 mm以下の単層品1) 及び厚さが5 mm以下の積層品。
b) 面ファスナ,床敷物などに用いられる立毛繊維又はパイル繊維。
c) 三軸,四軸織物などの多軸織物。
d) 土木資材用として使用する熱可塑性三次元網状繊維構造体。
e) 熱可塑性三次元網状繊維構造体以外の材料と積み重ねた積層品。
注1) 厚さが5 mm以下の単層品については,試験片の特性値を評価することを目的として,附属書B
に示す試験片を用いて,箇条9で規定する試験を適用してもよい。ただし,箇条4で規定する
区分は適用できない。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7512 鋼製巻尺
JIS B 7516 金属製直尺
JIS K 6418 熱可塑性エラストマー−用語及び略号
JIS K 6899-1 プラスチック−記号及び略語−第1部:基本ポリマー及びその特性
JIS K 7248 発泡プラスチック及びゴム−寸法の求め方
JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則
JIS L 0204-2 繊維用語(原料部門)−第2部:化学繊維
JIS L 0205 繊維用語(糸部門)
JIS L 0206 繊維用語(織物部門)
JIS L 0208 繊維用語−試験部門
JIS L 0211 繊維用語−ニット部門
JIS Z 8401 数値の丸め方
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 6418,JIS K 6899-1,JIS L 0105,JIS L 0204-2,JIS L 0205,
JIS L 0206,JIS L 0208及びJIS L 0211によるほか,次による。
3.1
熱可塑性三次元網状繊維構造体
熱可塑性樹脂の長繊維が三次元方向に融着又は連結することで立体構造を形成する繊維構造体。
熱可塑性三次元網状繊維構造体には,次の3種類がある。
a) 三次元ランダムループ網状構造体 熱可塑性樹脂の長繊維のランダムループが三次元方向に互いに融
着して立体構造を形成する繊維構造体。
b) 三次元立体編物 熱可塑性樹脂からなる長繊維で構成される独立した複数の編組織層を,熱可塑性樹
脂からなる長繊維が連結することによって,三次元構造を形成する繊維構造体。
c) 三次元立体織物 熱可塑性樹脂からなる長繊維で構成される独立した複数の織組織層が,熱可塑性樹
脂からなる長繊維で連結されて三次元構造を形成する繊維構造体。
3.2
長さ
荷重を受ける面にある一軸であって,次に記す方向の先端から末端までの距離。
a) 三次元ランダムループ網状構造体の場合は,繊維の長手方向。
b) 三次元立体編物の場合は,ウエールの方向。
c) 三次元立体織物の場合は,経糸の方向。
3.3
幅
荷重を受ける面にある一軸であって,長さ方向の軸に直交する方向の,先端から末端までの距離。
3.4
厚さ
荷重を受ける面に直交する方向の,上面から下面までの距離。
積層品の場合は,最上層の上面から最下層の下面までの距離。
3.5
見掛け密度
単位体積当たりの質量。
注記 単位は,キログラム毎立方メートル(kg/m3)で表す。
3.6
目付
単位面積当たりの質量。
注記 単位は,グラム毎平方メートル(g/m2)で表す。
3.7
硬さ
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,厚さ方向に,一定の速度で定められた圧縮率まで圧縮したときの力。
3.8
圧縮たわみ係数
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,厚さ方向に,65 %圧縮での力を,厚さの25 %圧縮での力で除した値。
3
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3.9
ヒステリシスロス率
変形及び回復の1サイクルにおける機械的エネルギーの損失率。
3.10
反発弾性
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,規定の高さから規定のおもりを落下させ,跳ね返った最大の高さを
落下した高さで除した値。
3.11
繰返し圧縮残留ひずみ
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,定められた温度の環境下にて,厚さ方向に,厚さの50 %まで繰り返
し圧縮することによって発生する厚さの低下率。
3.12
繰返し圧縮硬さ低下率
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,定められた温度の環境下にて,厚さ方向に,厚さの50 %まで繰り返
し圧縮することによって発生する硬さの低下率。
3.13
乾熱圧縮残留ひずみ
熱可塑性三次元網状繊維構造体に,一定の変形を与えた状態で,定められた時間及び温度で保持し,解
放後の厚さの低下率。
3.14
通気量
規定の面積,圧力差及び時間の条件下で,試験片を垂直に通過する空気流量。
4
種類及び等級
4.1
形態による区分
熱可塑性三次元網状繊維構造体は,形態によって区分し,表1による。
表1−形態による区分
区分
記号
形態
単層品
S
単数(1枚)の熱可塑性三次元網状繊維構造体で構成
したもの。
積層品a)
P
複数の熱可塑性三次元網状繊維構造体を積み重ねて構
成したもの。
注a) 縫製,結束,接着,熱融着などによって,単層品同士が分離しないようにした積層
品を含む。
4.2
繊維による区分
熱可塑性三次元網状繊維構造体は,繊維の種類によって区分し,表2による。
複数の種類の繊維で構成される熱可塑性三次元網状繊維構造体の場合は,組成成分の最も大きい繊維で
区分する。
4
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表2−繊維による区分
繊維の種類
記号
ナイロン繊維
NY
ポリエステル繊維
ES
ポリエチレン繊維
PE
ポリプロピレン繊維
PP
アミド系熱可塑性エラストマー繊維
TPA
エステル系熱可塑性エラストマー繊維
TPC
オレフィン系熱可塑性エラストマー繊維
TPO
スチレン系熱可塑性エラストマー繊維
TPS
ウレタン系熱可塑性エラストマー繊維
TPU
エチレン酢酸ビニル共重合体繊維
EVAC
その他の繊維
TPZ
4.3
反発弾性による区分
熱可塑性三次元網状繊維構造体は,反発弾性によって区分し,表3による。
表3−反発弾性による区分
等級
記号
高反発
H
中反発
M
低反発
L
4.4
耐久性による区分
熱可塑性三次元網状繊維構造体は,耐久性によって区分し,表4による。
表4−耐久性による区分
等級
記号
1級
D1
2級
D2
3級
D3
5
品質
5.1
見掛け密度及び目付の許容差
熱可塑性三次元網状繊維構造体の見掛け密度は,公称値で表示し,許容差は9.3で試験したとき,±10 %
以内とする。
厚さが15 mm未満の熱可塑性三次元網状繊維構造体,直方体でない不定形な形状の熱可塑性三次元網状
繊維構造体(以下,不定形品という。)など,見掛け密度の試験が困難なときは,目付の公称値で表示して
もよいものとし,許容差は9.3で試験したとき,±10 %以内とする。
5.2
反発弾性
熱可塑性三次元網状繊維構造体の反発弾性は,反発弾性によって区分し,9.5によって試験したとき表5
に適合しなければならない。
5
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表5−反発弾性
単位 %
等級
記号
反発弾性
高反発
H
50.0以上
中反発
M
15.0以上 50.0未満
低反発
L
15.0未満
5.3
耐久性
熱可塑性三次元網状繊維構造体の耐久性は,繰返し圧縮硬さ低下率,繰返し圧縮残留ひずみ及び乾熱圧
縮残留ひずみによって区分し,9.6及び9.7によって試験したとき,表6に適合しなければならない。
耐久性の区分については,繰返し圧縮硬さ低下率,繰返し圧縮残留ひずみ及び乾熱圧縮残留ひずみの要
件を,全て適合しなければならない。耐久性の区分は,繰返し圧縮硬さ低下率,繰返し圧縮残留ひずみ及
び乾熱圧縮残留ひずみそれぞれが適合する等級のうち,最も下位の等級で区分する。
例 繰返し圧縮硬さ低下率 15 %,繰返し圧縮残留ひずみ 8 %,乾熱圧縮残留ひずみ 30 %の場合,等
級は2級とする。
表6−耐久性
単位 %
等級
記号
繰返し圧縮
硬さ低下率
繰返し圧縮
残留ひずみ
乾熱圧縮
残留ひずみ
1級
D1
20.0以下
15以下
20.0以下
2級
D2
20.0を超え30.0以下
20.0を超え40.0以下
3級
D3
30.0を超え40.0以下
40.0を超え60.0以下
5.4
通気量
熱可塑性三次元網状繊維構造体は,9.8によって試験したとき,400 cm3/cm2・s以上でなければならない。
6
呼び寸法
熱可塑性三次元網状繊維構造体の寸法は,呼び寸法で表示し,許容差は9.9によって測定したとき,表7
に適合しなければならない。ただし,呼び寸法の許容差は,特に要求のある場合又は不定形品の場合には
受渡当事者間の協定による。
表7−呼び寸法の許容差
単位 mm
呼び寸法
呼び寸法の許容差
長さ及び幅
250未満
±5
250以上
500未満
±10
500を超え 1 000以下
±20
1 000を超え 2 500以下
±30
厚さ
10以上
100未満
±3.0
100以上
±6.0
6
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7
外観
熱可塑性三次元網状繊維構造体の外観は,使用上支障となる汚れ,きず,ほつれ,色むら及び変形があ
ってはならない。
8
材料
熱可塑性三次元網状繊維構造体に用いる材料は,表2に示す熱可塑性樹脂の繊維とし,その樹脂の定義
はJIS K 6418,JIS K 6899-1及びJIS L 0204-2による。
9
試験
9.1
試験の一般条件
9.1.1
単層品,積層品及び試験片の保管
単層品,積層品及び試験片は,直射日光の当たらない場所で保管する。
9.1.2
試験片及び採取する場所
試験片は,次による。
なお,不定形品の単層品又は積層品から試験片を採取する場合は,附属書Aによる。
a) 単層品から採取する場合 試験片は,各試験方法で規定する1辺の長さの正方形とし,試験片の厚さ
は単層品の厚さとする。単層品が表裏両面で性状が異なる場合は,試験する面は受渡当事者間での協
定による。
b) 積層品から採取する場合 試験片は,各試験方法で規定する1辺の長さの正方形とし,試験片の厚さ
は積層品の全体の厚さとする。試験片は,全ての層が積層品と同じ順序で配置されていなければなら
ない。積層品が表裏両面で性状が異なる場合は,試験する面は受渡当事者間での協定による。
試験片の採取は,特に指定がない限り,試験片は製造後48時間以上経過した単層品及び積層品から採取
する。一つの単層品及び積層品の幅方向の両端から100 mm以上内側の領域から採取する。試験片の1辺
が,単層品及び積層品の幅方向に平行になるように,試験片を裁断又は打ち抜く。
9.1.3
試験片の状態調節
試験片の状態調節は,試験前に次に規定するいずれかの条件で,16時間以上調整しなければならない。
a) 温度20±2 ℃,相対湿度(65±10)%
b) 温度23±2 ℃,相対湿度(50±10)%
9.1.4
試験場所の標準状態
試験場所の標準状態は,9.1.3と同じ温度及び湿度とする。
9.2
数値の丸め方
試験結果の数値の丸め方は,規定の数値より1桁下の位まで求めて,JIS Z 8401の規則B(四捨五入)
によって丸める。
9.3
見掛け密度及び目付
9.3.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.1.2による。試験片の寸法は,1辺190 mm〜200 mmの正方形とする。
9.3.2
試験片の数
試験片の数は,5個とする。一つの単層品又は積層品の異なる部分から5個採取する。
9.3.3
測定器具
測定器具は,次による。
7
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a) 長さ及び幅を測定するための測定器具
1) 鋼製巻尺 鋼製巻尺は,JIS B 7512に規定する2級又はこれと同等以上の精度をもつものとする。
2) 金属製直尺 金属製直尺は,JIS B 7516に規定する2級又はこれと同等以上の精度をもつものとす
る。
b) 厚さを測定するための測定器具
1) ダイヤルゲージ ダイヤルゲージは,JIS K 7248の3.1による。
2) 測厚器 測厚器は,0.01 mmの目盛をもち,かつ,測定面の面積が約10 cm2以上,測定圧力 100±
10 Pa及び精度が0.05 mm,又はこれと同等以上の精度をもつものとする。
c) はかり はかりは,試験片の質量を0.05 %の精度で測定できるものとする。
9.3.4
測定台
測定台は,測定する試験片よりも幅及び長さが大きく,表面が平滑なものを用いる。
9.3.5
試験片の寸法の測定
試験片の寸法の測定は,次による。
a) 試験片の1辺の長さの測定 測定台の上に試験片を平らに置き,9.3.3 a) の測定器具を用いて,1 mm
単位まで測定する。1辺の長さの測定位置は図1に示す線AB及び線CDの2か所とし,平均値を求
める。打ち抜いた場合の試験片については,打抜き刃の幅及び長さ(刃の内のり)をそのまま用いて
もよい。
b) 試験片の厚さの測定 測定台の上に試験片を平らに置き,9.3.3 b) の測定器具を用いて,0.1 mm単位
まで測定する。厚さの測定位置は図1に示す点E,F,G及びHの4か所とし,平均値を求める。
単位 mm
図1−試験片の1辺の長さ及び厚さの測定箇所
9.3.6
試験片の体積及び面積の計算
試験片の体積の計算及び試験片の面積の計算は,次による。
a) 試験片の体積の計算 9.3.5で測定した1辺の長さ及び厚さから,試験片の体積を計算する。
注記 見掛け密度の許容差を判定する場合の厚さは,呼び寸法の厚さを用いてもよい。
b) 試験片の面積の計算 9.3.5で測定した1辺の長さから,試験片の面積を計算する。
8
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9.3.7
質量の測定
9.3.3 c) の測定器具を用いて,試験片の質量(m)を0.01 g単位まで測定する。
9.3.8
計算及び結果のまとめ方
見掛け密度(ρa)及び目付(Sm)は,式(1)及び式(2)によってそれぞれ算出する。
試験片5個の個々の結果から平均値を求め,9.2によって,小数点以下1桁に丸める。
6
a
10
×
=Vm
ρ
············································································· (1)
ここに,
ρa: 試験片の見掛け密度(kg/m3)
m: 試験片の質量(g)
V: 試験片の体積(mm3)
6
m
10
×
=Am
S
············································································· (2)
ここに,
Sm: 試験片の目付(g/m2)
m: 試験片の質量(g)
A: 試験片の面積(mm2)
9.4
硬さ
9.4.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.3.1による。
積層品から採取した試験片で,試験中に受ける力によって各層が分離する場合は,ひもなどを用いて各
層を接合する。このとき,接合する領域は最小限として,各層の表面の中心から半径180 mmの円で囲ま
れる領域は接合しない。
9.4.2
試験片の数
試験片の数は,3個とする。同一種類の三つの異なる単層品又は積層品から,それぞれ一つずつ採取す
るか,又は一つの単層品若しくは積層品の異なる部分から3個採取する。
9.4.3
試験装置
試験装置は,a)〜c)で構成したものを用いる。
a) 試験機 試験機は,鉛直方向に速さ毎分100 mm±20 mmで動く加圧板と固定した試験台との間で試
験片を圧縮できるもので,力を±1 Nの精度で,圧縮下の試験片の厚さを±0.25 mmの精度で測定で
きるものを用いる。
b) 試験台 試験台は,試験片より大きく水平で平滑な固い表面をもつものを用いる。
c) 加圧板 加圧板は,直径 150 mm〜153 mmの平らな円板で下部のエッジは半径1.0 mm〜1.3 mmのも
のを用いる。加圧板の下部表面は,磨き加工をしていない平滑な表面とする。
9.4.4
初荷重
加圧板によって加える初荷重は,3 N〜5 Nとする。
9.4.5
初期厚さ
初期厚さの測定は,次による。
a) 9.1.3によって試験片を状態調節する。
b) 試験片の加圧を受ける面の中心と,加圧板の底面の中心とが合致するように支持板の上に試験片を置
く。
9
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c) 加圧板を速さ毎分10 mm以下で押し込み,初荷重の力を加えたとき,直後の試験片の厚さを0.1 mm
まで読み取り,初期厚さとする。また,このときの加圧板の位置を初期位置(変位のゼロ点)とする。
9.4.6
予備圧縮
9.4.5で初期厚さを求めた後,連続した操作で,速やかに次の操作を行い,予備圧縮とする。
a) 加圧板を速さ毎分100 mm±20 mmで初期位置から初期厚さの(75±1)%まで押し込む。
b) a) を行った後,連続した操作で,同じ速さで加圧板を初期位置まで戻す。
9.4.7
硬さの試験方法
9.4.6で予備圧縮を1回行った後,連続した操作で,速やかに次の操作を行い,硬さを求める。
注記 熱可塑性三次元網状繊維構造体の圧縮たわみ係数及びヒステリシスロス率を測定する場合の試
験方法を,附属書Eに示す。
a) 加圧板を速さ毎分100 mm±20 mmで初期位置から初期厚さの(75±1)%まで加圧する。
b) a) の操作において,初期位置から初期厚さの(40±1)%まで加圧したときの力を読み取り,40 %硬
さとする。
c) a) を行った後,連続した操作で,速やかに,同じ速さで加圧板を初期位置まで戻す。
9.4.8
結果のまとめ方
試験片3個の個々の結果から平均値を求め,9.2によって,整数位に丸める。
9.4.9
代表的な力−たわみ曲線の図
硬さの試験に用いる,代表的な力−たわみ曲線の例を図2に示す。
X:たわみ率(%)
Y:力(N)
F0:初荷重
曲線f:予備圧縮の加圧時及び減圧時のたわみ曲線
曲線g:試験時の加圧時及び減圧時のたわみ曲線
Ha:40 %硬さ(N)
図2−力−たわみ曲線の例
9.5
反発弾性
9.5.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.4.1による。
9.5.2
試験片の数
試験片の数は,3個とする。同一種類の三つの異なる単層品又は積層品から,それぞれ1個ずつ採取す
るか,又は一つの単層品若しくは積層品の異なる部分から3個採取する。
9.5.3
測定器具
測定器具は,9.3.3による。
10
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9.5.4
試験装置
試験装置は,a)〜f) で構成したものを用いる(図3及び図C.1を参照)。
a) 試験台 試験台は,9.4.3 b) による。
b) 落下おもり 落下おもりは,直径80 mm±1 mmの円柱で,試験片との接触する落下おもりの底面は,
表面が平滑な樹脂材とする。
注記 落下おもりの例を図C.3に示す。
c) 水平ブロック 水平ブロックは,落下おもりを保持し,2本の鋼製垂直支柱の間に橋渡しされている。
落下おもりの位置は,落下おもりが試験片に沈み込んだときに,水平ブロックと試験片とが接触しな
いように,スペーサーを介して下へ突き出している(図C.2参照)。落下おもりの中心線は,水平ブロ
ックの重心を通らなければならない。落下おもり,水平ブロック及びスペーサーの合計質量は,600 g
±10 g 2)とする。
水平ブロックの両端に,軸受を一つずつ取り付ける。軸受は,鋼製垂直支柱に沿って水平ブロック
の昇降を誘導する。軸受の摩擦係数は,0.002〜0.003とする。水平ブロックが鋼製垂直支柱に沿って
垂直に昇降することで,落下おもりも垂直に昇降する。
注記 スペーサー及び水平ブロックの例を,図C.4及び図C.5に示す。
注2) 水平ブロックの手動による昇降を容易にするために,水平ブロックの両端に持ち手を取り付
けてもよい。その場合,落下おもり,水平ブロック,スペーサー及び持ち手の合計質量は,
600 g±10 gとする。
d) 鋼製垂直支柱 鋼製垂直支柱は,表面が研磨されており,支柱の長さは,落下おもりの底面から試験
片の上面までの150 mmの落下距離が十分に確保できる長さとする。2本の鋼製垂直支柱の距離は,
9.5.1の試験片が入る距離とする。
e) 電磁開放装置 電磁開放装置は,電磁石などによって水平ブロックを初期位置に固定する。電磁開放
装置の中心線は,水平ブロックの重心を通らなければならない。電磁開放装置は,落下おもりの底面
から試験片の上面までの距離が150 mmとなるように,昇降できるものとする。
f)
落下おもりの位置を測定する機器 落下おもりの位置を測定する機器は,次による。
1) 落下おもりの近辺にあり,落下おもり及び水平ブロックの昇降に干渉しない位置に取り付けた定規。
2) 連続して撮影できる高速度デジタルカメラ又は高速度ビデオカメラ。高速度デジタルカメラ又は高
速度ビデオカメラの仕様は,次による。
− 記録画素数は,縦640 ピクセル以上,横480 ピクセル以上。
− 動画のフレームレートは,120 fps以上。
3) 高速度デジタルカメラ又は高速度ビデオカメラを固定する三脚。
11
L 4500:2020
1 鋼製垂直支柱
2 水平ブロック
3 落下おもり
4 試験片
5 試験台
6 電磁開放装置
7 スペーサー
8 定規
9 落下距離
図3−反発弾性試験装置の例
9.5.5
試験方法
試験方法は,次による(図4参照)。
a) 9.1.3によって試験片を状態調節し,9.3.5 b) によって試験片の厚さ(d0)を測定する。
b) 9.4.6によって,予備圧縮を2回行う。9.4の硬さ試験を予備圧縮として代用してもよい。
c) b) を行った後,試験片の加圧を受ける面の中心と,落下おもりの底面の中心とが合致するように試験
台の上に試験片を置き10〜15分間試験片を静置する。
d) 試験台の上面から落下おもりの底面までの距離が,d0+149 mm〜d0+151 mmとなるように電磁開放装
置及び水平ブロックの位置を動かし,初期位置とする。初期位置から水平ブロックを落下させ,高速
度デジタルカメラ又は高速度ビデオカメラで落下おもりの動きを連続撮影する。
e) 1個の試験片に対して,d) の動作を5分以内に更に2回繰り返す。
9.5.6
最初の沈み込み量及び最初の跳ね返り高さの求め方
最初の沈み込み量(s),最初の跳ね返り高さ(h)の求め方は,次による3)。
a) 連続撮影した画像から,落下おもりの最初の跳ね上がりにおいて,最高の高さに到達したときの画像
を選ぶ。その画像から,同一視野に収めた定規の目盛でもって跳ね上がった落下おもりの下面の位置
を読み取り,試験片上面から落下おもり下面までの距離を求める。1個の試験片に対して,得られた3
個の測定値から平均値を求め,最初の跳ね返り高さ(h)とする。
b) 連続撮影した画像から,落下おもりが最初に試験片に接触した後,最も深く試験片に沈み込んだとき
の画像を選ぶ。その画像から,同一視野に収めた定規の目盛でもって試験片に沈み込んだ落下おもり
の上面の位置を読み取り,落下おもりの厚さから落下おもりの下面の位置を求める。1個の試験片に
対して,得られた3個の測定値から平均値を求め,最初の沈み込み量(s)とする。
注3) 最初の跳ね上がり高さ(h)が0以下となった場合は,h=0とする。
12
L 4500:2020
図4−反発弾性試験時の落下おもりの変位の例
9.5.7
計算及び結果のまとめ方
反発弾性(R)は,式(3)によって計算する。
試験片3個の個々の結果から,平均値を求め,9.2によって,小数点以下1桁に丸める。9.5.8によって,
再試験を行った場合,全ての有効な試験結果から平均値を求める。
100
max
×
=hh
R
··········································································· (3)
ここに,
R: 反発弾性(%)
hmax: 落下距離=150(mm)
h: 最初の跳ね上がり高さ(mm)
9.5.8
試験の有効性及び再試験
次に示す試験結果は,無効とし破棄する。
− 最初の沈み込み量(s)が,初期厚さ(d0)の75 %を超えた場合。
− 落下おもりが試験片に沈み込んだときに,水平ブロックと試験片とが接触した場合。
− 積層品の試験片で,試験中に層間のずれが生じた場合。
次の場合は,同じ部位から採取した試験片で再試験を行う。再試験の回数は2回までとする。
− 試験片3個の結果のうち,1個が破棄となった場合。
− 試験片3個の結果から,反発弾性(R)の最大値と最小値との差を求めたとき,10ポイント以上ある
場合。
次の場合,試験結果全体を無効とする。
− 試験片の結果のうち,2個が破棄となった場合。
− 試験片の結果から,反発弾性(R)の最大値と最小値との差を求めたとき,15ポイント以上ある場合。
9.6
繰返し圧縮硬さ低下率及び繰返し圧縮残留ひずみ
9.6.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.4.1による。
9.6.2
試験片の数
試験片の数は,2個とする。同一種類の二つの異なる単層品又は積層品から,それぞれ一つずつ採取す
13
L 4500:2020
るか,又は一つの単層品若しくは積層品の異なる部分から2個採取する。
9.6.3
繰返し圧縮試験装置
繰返し圧縮試験装置は,試験片の1辺と同じ寸法か,それよりも大きい2枚の平行な平行板をもち,少
なくとも一方の平行板が,平行板の面に対して垂直な方向に往復運動をし,その振幅及び2枚の平行板の
間隔調整が可能な構造の繰返し圧縮試験機を用いる。
9.6.4
試験方法
試験方法は,次による。
a) 9.4.5〜9.4.7によって,試験片中央部の繰返し圧縮試験前の初期厚さ(da)及び繰返し圧縮試験前の40 %
硬さ(Ha)を求める。
b) 9.6.3の試験装置の2枚の平行板の間隔を調整する。2枚の平行板が最も開いたときの間隔は,da mm
〜da+5 mmとし,平行板の初期の間隔とする。2枚の平行板が最も閉じたときの間隔は,da×(50±1)%
とする。
c) 試験片を36±2 ℃の環境下で60±5分間放置する。このとき試験片は圧縮しないようにする。
d) 9.6.3の試験装置の平行板の間に試験片を入れる。
e) その後,36±2 ℃の環境下で,9.6.3の試験装置の平行板を使って,試験片を繰り返し圧縮する。試験
片を,平行板の初期の間隔からda×(50±1)%まで圧縮し,連続した操作で平行板の初期の間隔まで
戻す動作を1サイクルとして,このサイクルを毎分60±5回の速さで80 000回繰り返す。
f)
試験片を取り出し,9.1.3に規定する状態調節の環境下で30±5分間放置する。
g) 9.4.5のb) 及びc) の操作を行い,a) と同じ箇所の繰返し圧縮試験後の初期厚さ(db)とし,このと
きの加圧板の位置を初期位置(変位のゼロ点)とする。その後,繰返し圧縮試験後の初期厚さ(db)
を用いて,連続した操作で,速やかに9.4.6のa) 及びb) の操作を1回行い,予備圧縮とする。
h) 連続した操作で,速やかに9.4.7のa) 〜c) の操作を行い,繰返し圧縮試験後の40 %硬さ(Hb)を求
める。
9.6.5
計算及び結果のまとめ方
厚さの低下量(Δd),40 %硬さの低下量(ΔH),繰返し圧縮残留ひずみ(dw)及び繰返し圧縮硬さ低下率
(Hw)は,式(4)〜式(7)によってそれぞれ計算する。
試験片2個の個々の結果から,平均値を求め,9.2によって,小数点以下1桁に丸める。9.6.6によって,
再試験を行った場合,全ての有効な試験結果から平均値を求める。
b
ad
d
Δd
−
=
············································································· (4)
100
a
w
×
=dΔd
d
··········································································· (5)
ここに,
dw: 繰返し圧縮残留ひずみ(%)
da: 繰返し圧縮試験前の初期厚さ(mm)
db: 繰返し圧縮試験後の初期厚さ(mm)
b
a
H
H
ΔH
−
=
·········································································· (6)
100
a
w
×
=H
ΔH
H
········································································· (7)
ここに,
Hw: 繰返し圧縮硬さ低下率(%)
Ha: 繰返し圧縮試験前の40 %硬さ(N)
14
L 4500:2020
Hb: 繰返し圧縮試験後の40 %硬さ(N)
9.6.6
試験結果の有効性及び再試験
次に示す試験結果は,無効とし破棄する。
− 厚さの低下量(Δd)が,負の値となった場合。
− 40 %硬さの低下量(ΔH)が,負の値となった場合。
− 積層品の試験片で,試験中に層間のずれが生じた場合。
次の場合は,同じ部位から採取した試験片で再試験を行う。再試験の回数は2回までとする。
− 試験片2個の結果のうち,1個が破棄となった場合。
− 試験片2個の結果から,繰返し圧縮残留ひずみ(dw)の差を求めたとき,5ポイント以上ある場合。
− 試験片2個の結果から,繰返し圧縮硬さ低下率(Hw)の差を求めたとき,8ポイント以上ある場合。
次の場合,試験結果全体を無効とする。
− 試験片の結果のうち,2個が破棄となった場合。
− 試験片の結果から,繰返し圧縮残留ひずみ(dw)の最大値と最小値との差を求めたとき,8ポイント
以上ある場合。
− 試験片の結果から,繰返し圧縮硬さ低下率(Hw)の最大値と最小値との差を求めたとき,10ポイント
以上ある場合。
9.7
乾熱圧縮残留ひずみ
9.7.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.1.2による。試験片の寸法は,1辺100 mm〜105 mmの正方形とする。
9.7.2
試験片の数
試験片の数は,3個とする。同一種類の三つの異なる単層品又は積層品から,それぞれ1個ずつ採取す
るか,又は一つの単層品若しくは積層品の異なる部分から3個採取する。
9.7.3
測定器具
測定器具は,9.3.3による。
9.7.4
圧縮ジグ
試験片より大きな二つの平滑な平板からなり,平板を平行に保つためのスペーサー及びクランプを用い
る。
9.7.5
試験方法
試験方法は,次による。
a) 9.1.3によって試験片を状態調節し,9.3.5 b) によって試験片の厚さ(d0)を測定する。
b) 圧縮ジグの平板の間に試験片を置き,厚さ(d0)の(50±1)%に圧縮しその状態を保持する。
c) 15分以内に圧縮した試験片を70±1 ℃の恒温槽に入れ,22時間±5分間放置する。
d) 圧縮ジグを恒温槽から取り出し,1分以内に試験片を圧縮ジグから取り出し,9.1.4と同じ温度及び湿
度の環境下で30〜35分間静置させた後,9.3.5 b) によって,a) の測定を行った同じ箇所の厚さ(d1)
を測定する。
9.7.6
計算
乾熱圧縮残留ひずみ(Cs)は,式(8)によって算出し,試験片3個の結果から平均値を求め,9.2によっ
て,小数点以下1桁に丸める。
15
L 4500:2020
100
)
(
0
1
0
s
×
−
=
d
d
d
C
····································································· (8)
ここに,
Cs: 乾熱圧縮残留ひずみ(%)
d0: 試験前の試験片の厚さ(mm)
d1: 試験後の試験片の厚さ(mm)
9.8
通気量
9.8.1
試験片及び採取する場所
試験片及び採取する場所は,9.1.2による。試験片の寸法は,1辺100 mm〜105 mmの正方形とする。
9.8.2
試験片の数及び採取する場所
試験片の数は,3個とする。同一種類の三つの異なる単層品又は積層品から,それぞれ1個ずつ採取す
るか,又は一つの単層品若しくは積層品の異なる部分から3個採取する。
9.8.3
試験装置
試験装置は,a) 及びb) で構成したものを用いる。
a) フラジール形試験機 試験装置は,図5に示すフラジール形試験機とし,試験片を取り付ける試験片
容器,又はそれに類似するものを設置する。エアオリフィスは,1 500 cm3/cm2・s以上の流量が測定で
きるものを用いる。
b) 試験片容器 試験片容器は,次による。
1) 試験片容器の内寸法は,1辺98 mm〜100 mmの正方形で,高さ方向の内寸は,試験片の厚さ以上,
(試験片の厚さ+50)mm以下である。また,厚さ10 mm以上の試験片が固定できるものを用いる。
2) 試験片底面に接触する,試験片容器の下面には,空気流出口がせん(穿)孔されている。空気流出
口の直径は45 mm以上とする。
3) 試験片容器の上面には,空気流入口がせん(穿)孔された蓋が設置されており,空気流入口以外の
箇所からは,試験片容器内部に空気が流入しない構造とする。
4) 試験片容器と試験機本体との接続部分には,パッキンなどを設置して,接続部分の隙間からは,試
験機のチャンバ内部に空気が流入しない構造とする。
注記 試験片容器及び蓋の例を,附属書Dに示す。
1 傾斜マノメータ
2 垂直マノメータ
3 貯液槽
4 試験片容器
5 試験片
6 仕切壁
7 エアオリフィス
8 エアバッフル
9 圧力差発生装置(排気ファン又は真空ポンプ)
10 空気放出口
11 チャンバ
12 水準器
13 試験片容器蓋
14 パッキン
図5−フラジール形試験機の例
16
L 4500:2020
9.8.4
試験方法
試験方法は,次による。
a) 9.1.3によって試験片を状態調節し,試験装置の試験片容器底面に密着するように入れる。
b) 試験装置を始動し,傾斜マノメータの細管の水位を目盛上で125 Pa±1 Paになるように圧力差発生装
置の風量を調整し,そのときの垂直マノメータの水柱高さを読み取る4)。
c) 垂直マノメータの読み値及びエアオリフィスの種類から,試験装置に附属する換算表を用いて流量に
換算し,その値を試験片の通気量とする。
注4) 垂直マノメータの水柱の高さが目盛の上限を超えた場合,通気量は試験装置の流量上限値以
上と表記する。
9.8.5
結果のまとめ方
試験片3個の個々の結果から,平均値を求め,9.2によって,整数位に丸める。
試験片3個の結果のうち,1個が試験装置の流量上限値以上の場合,測定上限値を超えていない2個の
値から,平均値を求める。
試験片3個の結果のうち,2個が試験装置の流量上限値以上の場合,その単層品及び積層品の通気量は,
試験装置の流量上限値以上とする。
例 測定装置の流量上限値が1 500 cm3/cm2・sの場合,試験結果は“1 500 cm3/cm2・s以上”とする。
9.9
熱可塑性三次元網状繊維構造体の寸法
9.9.1
測定器具
測定器具は,9.3.3による。
9.9.2
測定台
測定台は,測定する単層品及び積層品よりも幅及び長さが大きく,表面が平滑なものを用いる。
9.9.3
長さの測定
a) 測定する単層品及び積層品は,測定台の上に,不自然なしわ及び張力を除いて平たく広げ,寸法が安
定するまで放置する。
b) 長さ方向の端に平行に鋼製巻尺又は金属製直尺を置いて1 mm単位まで測定する。幅方向に異なる3
か所を測定し,中央値を求める。
9.9.4
幅の測定
a) 測定する単層品及び積層品は,測定台の上に,不自然なしわ及び張力を除いて平たく広げ,寸法が安
定するまで放置する。
b) 幅方向の端に平行に鋼製巻尺又は金属製直尺を置いて1 mm単位まで測定する。長さ方向に異なる3
か所を測定し,中央値を求める。
9.9.5
厚さの測定
a) 測定する単層品及び積層品は,測定台の上に,不自然なしわ及び張力を除いて平たく広げ,寸法が安
定するまで放置する。
b) ダイヤルゲージ又は測厚器を用いて厚さ方向の距離を0.1 mm単位まで測定する。幅方向に異なる3
か所を測定し,中央値を求める。
10 検査
熱可塑性三次元網状繊維構造体の検査は,形式検査5) と受渡検査6) とに区分し,箇条9によって試験
17
L 4500:2020
を行い,箇条5〜箇条7の規定に適合しなければならない。検査項目は,次のとおりとし,硬さは報告だ
けとする。
なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査方法は,受渡当事者間の協定による。
注5) 製品の品質が,設計で示す全ての特性を満足するかどうか判定するための検査。
6) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める
特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
a) 形式検査項目
1) 形態(単層品又は積層品)
2) 見掛け密度又は目付の公称値
3) 硬さ
4) 反発弾性
5) 耐久性(繰返し圧縮硬さ低下率,繰返し圧縮残留ひずみ及び乾熱圧縮残留ひずみ)
6) 通気量
7) 呼び寸法
8) 外観
9) 材料(繊維の種類)
b) 受渡検査項目
1) 形態(単層品又は積層品)
2) 見掛け密度又は目付の公称値
3) 呼び寸法
4) 外観
11 熱可塑性三次元網状繊維構造体の呼び方
熱可塑性三次元網状繊維構造体の呼び方は,記号で表記してもよいものとし,次の例による。形態によ
る区分,繊維の区分,反発弾性による区分,耐久性による区分の順に表記し,各々の区分は,スペースで
区切る。
a) 単層品の場合。
例1 S TPC H D1
耐久性による区分(表4参照)
反発弾性による区分(表3参照)
繊維による区分(表2参照)
形態による区分(表1参照)
b) 積層品の場合。
繊維による区分は,試験した面から順に繊維の種類を全て表記する。各々の繊維の種類は,“/”で
区切る。
例2 P NY / NY / NY M D2
耐久性による区分(表4参照)
反発弾性による区分(表3参照)
繊維による区分(表2参照)
形態による区分(表1参照)
18
L 4500:2020
12 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号
b) 試験機関名,報告書番号及び報告日
c) 単層品又は積層品の名称又は品番
d) 形態による区分,繊維による区分,見掛け密度又は目付の公称値,及び呼び寸法
注記1 積層品の場合は,各層の繊維の種類,見掛け密度又は目付の公称値,及び呼び寸法の厚さ
を併記することが望ましい。
e) 試験の項目,試験結果及び判定結果(等級又は記号)
注記2 表裏両面で性状が異なる場合は,試験した面を記載する。
f)
その他必要事項
注記3 不定形品の場合は,製品の全体の写真及び試験片を採取した場所を記載する。
13 表示
この規格の全ての要求事項に適合した熱可塑性三次元網状繊維構造体には,外面,包装物又は受渡当事
者間の協定による方式によって,単層品及び積層品を汚したり害を与えたりすることなく,容易に消えな
い方法で,明瞭に次の事項を表示する。ただし,一荷口ごとに表示してもよい。
a) この規格の番号
b) 区分の呼称,等級又はその記号
c) 製造業者名又はその略称
d) 製造年月又はその略称
なお,b) について,記号で表示する場合は箇条11による。
19
L 4500:2020
附属書A
(規定)
不定形品の試験片の作成方法
A.1 一般
この附属書は,不定形品について,試験片の作成方法を規定する。不定形品には,加熱して軟化した熱
可塑性三次元網状繊維構造体を,金型などに押し付けることによって熱成形したもの,不定形な形に裁断
したものなどがある。
この試験片の作成方法は,厚さが均一ではない不定形品に使用する。
A.2 試験片の作成方法
特に指定がない限り,試験片は製造後48時間以上経過した不定形品から採取する。
試験片は,各試験方法で規定する大きさとし,試験片の厚さは単層品及び積層品の厚さとする。試験片
は,次の要件を満たさなければならない。
a) 試験片表面の中心から半径100 mmの円で囲まれる領域の厚さが均一である。
b) a) の円で囲まれる領域の厚さが均一である。
c) a) の円から外の領域の厚さが,a) の円で囲まれる領域の厚さと同じか,それより薄い。
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L 4500:2020
附属書B
(参考)
厚さ5 mm以下の単層品の試験片の作成方法
B.1
一般
この附属書は,厚さ5 mm以下の熱可塑性三次元網状繊維構造体の単層品について,試験片の作成方法
を記載する。
この試験片の作成方法は,厚さ5 mm以下の熱可塑性三次元網状繊維構造体の単層品において,次の場
合に使用する。
− 9.4及び9.6によって試験したとき,単数(1枚)の試験片では薄すぎて,試験装置の動作が規定のひ
ずみ量の精度を満たすことができない場合。
− 9.5によって試験したとき,単数(1枚)の試験片では薄すぎて試験が無効になる場合。
B.2
試験片の作成方法
特に指定がない限り,試験片は製造後48時間以上経過した単層品から採取する。
試験片は,各試験方法で規定する大きさとする。試験片の厚さは,厚さが10 mm以上になるまで重ね合
わせる。重ね合わせるときの厚さの上限は20 mmとする。このとき,試験中に受ける力によって試験片が
分離しないように,ひもなどを用いて各層の単層品同士を接合する。このとき,接合する領域は最小限と
して,各層の加圧を受ける面の中心から直径180 mmの円で囲まれる領域は接合しない。
単層品が表裏両面で性状が異なる場合は,試験する面は受渡当業者間での協定による。
注記 この試験片の作成方法で試験した場合,単数(1枚)の試験片で行った試験結果と一致すると
は限らない。
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附属書C
(参考)
熱可塑性三次元網状繊維構造体の反発弾性試験装置の設計
C.1 一般
この附属書は,9.5に規定する反発弾性の試験方法に適合する,寸法及び構造が適切な装置設計の例を記
載する。
C.2 試験装置の例
反発弾性試験装置の例を図C.1に示す。
図C.1−反発弾性試験装置の例
C.3 落下おもり,スペーサー及び水平ブロックの例
落下おもり,スペーサー及び水平ブロックの例を図C.2〜図C.5に示す。
1 落下おもり
2 スペーサー
3 水平ブロック
4 持ち手
図C.2−落下おもり,スペーサー及び水平ブロックの例
22
L 4500:2020
単位 mm
図C.3−落下おもりの寸法の例
単位 mm
図C.4−スペーサーの寸法の例
単位 mm
図C.5−水平ブロックの寸法の例
23
L 4500:2020
附属書D
(参考)
熱可塑性三次元網状繊維構造体の通気量試験装置の試験片容器の設計
D.1 一般
この附属書は,9.8に規定する通気量の試験方法に適合する寸法及び構造が適切な装置設計の例を,記載
する。
D.2 試験片容器の例
通気量の試験装置の試験片容器(全体),試験片容器の寸法及び試験片容器蓋の寸法の例を,図D.1〜図
D.3に示す。
図D.1−試験片容器(全体)の例
単位 mm
図D.2−試験片容器の寸法例
24
L 4500:2020
単位 mm
図D.3−試験片容器蓋の寸法例
25
L 4500:2020
附属書E
(参考)
熱可塑性三次元網状繊維構造体の圧縮たわみ係数及びヒステリシスロス率
の試験方法
E.1
一般
この附属書は,熱可塑性三次元網状繊維構造体の圧縮たわみ係数及びヒステリシスロス率の試験方法を
記載する。
圧縮たわみ係数は,熱可塑性三次元網状繊維構造体を圧縮するときの抵抗の目安として使用する。
ヒステリシスロス率は,熱可塑性三次元網状繊維構造体の回復性の目安として使用する。
E.2
試験片
試験片は,9.4.1による。
E.3
試験片の数
試験片の数は,9.4.2による。
E.4
試験装置
試験装置は,9.4.3による。
E.5
初荷重
加圧板によって加える初荷重は,9.4.4による。
E.6
初期厚さ
初期厚さの測定は,9.4.5による。
E.7
予備圧縮
予備圧縮の方法は,9.4.6による。
E.8
硬さの測定方法
E.7で予備圧縮を1回行った後,速やかに次の操作を行う。
a) 加圧板を速さ毎分100 mm±20 mmで初期位置から初期厚さの(75±1)%まで加圧する。
b) a) の操作において,初期位置から初期厚さの(25±1)%まで加圧したときの力を読み取り,25 %硬
さとする。
c) a) の操作において,初期位置から初期厚さの(65±1)%まで加圧したときの力を読み取り,65 %硬
さとする。
d) a) を行った後,連続した操作で,速やかに,同じ速さで加圧板を初期位置まで戻す。
e) ヒステリシスロス率を測定する場合は,次によって,図E.1に示す“力−たわみ率曲線”を記録する。
26
L 4500:2020
X:たわみ率(%)
Y:力(N)
曲線a:試験片を加圧したときの力の変化
曲線c:試験片を除圧したときの力の変化
S25:25 %硬さ(N)
S65:65 %硬さ(N)
図E.1−力−たわみ率曲線
E.9
計算及び結果のまとめ方
E.9.1 25 %硬さ及び 65 %硬さ
試験片3個の個々の結果から平均値を求め,9.2によって,整数位に丸める。
E.9.2 圧縮たわみ係数及びヒステリシスロス率
圧縮たわみ係数(Sf)及びヒステリシスロス率(Af)は,式(E.1)及び式(E.2)によって算出する。
25
65
f
S
S
S=
··············································································· (E.1)
ここに,
Sf: 圧縮たわみ係数
S25: 25 %硬さ(N)
S65: 65 %硬さ(N)
100
2
1
f
×
=AA
A
········································································· (E.2)
ここに,
Af: ヒステリシスロス率(%)
A1: 原点(0),曲線a,点b,曲線c,点d及び原点(0)を結ん
だ線で囲まれる面積
A2: 原点(0),曲線a,点b,点e及び原点(0)を結んだ線で囲
まれる面積
1個の試験片に対し1個の値を計算する。試験片3個の個々の結果から平均値を求め,9.2によって,小
数点以下1桁に丸める。