2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 2706-1992
ポリプロピレンロープ
Polypropylene ropes
1. 適用範囲 この規格は,ポリプロピレンマルチフィラメント糸,ポリプロピレンモノフィラメント糸
及びポリプロピレン紡績糸を用いたポリプロピレンロープ(以下,ロープという。)について規定する。
備考1. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 1346 Three-strand (hawser-laid) and eight-strand (plaited) polypropylene monofilament or film
ropes−Required characteristics
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 種類 ロープは,次の3種類とする。
(1) ポリプロピレンマルチフィラメントロープ
(2) ポリプロピレンモノフィラメントロープ
(3) ポリプロピレン紡績糸ロープ
3. 品質
3.1
外観 汚れ,すれなどが目立たず,仕上げは良好でなければならない。
3.2
線密度及び質量 ロープの線密度及び質量は,付表1〜3のとおりとし,その許容差は,三つ打ちの
ものは,±5%,八つ打ちのものは±7%とする。
なお,染色又は樹脂加工を施した場合における線密度及び質量の増加は,付表1〜3で定める線密度及び
質量の15%以下でなければならない。
3.3
長さ ロープ1条の長さは,特に指定されない限り200mとし,指定された場合はそれによる。ただ
し,許容差は,マイナスを認めない。
なお,指定された場合に限り,引張強さ試験(切断試験)に必要な余尺を付けるものとする。
3.4
引張強さ 引張強さは,6.7によって試験したとき,付表1〜3に示す値以上でなければならない。
3.5
伸び率 伸び率は,6.8によって算出したとき,ポリプロピレンマルチフィラメントロープは45%以
下,ポリプロピレンモノフィラメントロープは40%以下,ポリプロピレン紡績糸ロープは50%以下でなけ
ればならない。
4. 材料及び加工方法
4.1
材料 原糸は,ロープ用に適したポリプロピレンマルチフィラメント糸,ポリプロピレンモノフィ
ラメント糸又は純ポリプロピレン紡績糸だけを使用しなければならない。
また,再生した材料は使用してはならない。
2
L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
加工方法 ロープは,特に指定された場合は染色又は樹脂加工を施すことができる。
4.3
打ち方 打ち方は,次のとおりとする。
(1) ロープは,三つ打ち又は八つ打ちとし,特に指定されない場合は,図1のとおり三つ打ちとする。
図1 三つ打ちロープの構造
(2) 八つ打ちロープは,Zよりストランド4本及びSよりストランド4本を,それぞれ2本ずつ引きそろ
え,図2のとおり交互に組み合わせて作る。
図2 八つ打ちロープの構造
(3) ロープを構成する各ストランドのヤーン数は,同一でなければならない。
(4) 三つ打ちロープのよりの方向は,特に指定されない限りZよりとする。
(5) ロープのストランドのリード(1)は,三つ打ちのものはロープの呼称太さ(2)の3.3倍以下,八つ打ちの
ものは呼称太さの3.5倍以下でなければならない。
注(1) リードとは,ストランドの1回のよりてい(程)をいう。
(2) ロープの呼称太さとは,ロープの直径を呼称するものであって,直径寸法そのものは規定値と
しない。
備考 ロープを打つとは,ストランドをより合わせ又は組むことをいう。
5. 初荷重 初荷重とは,ロープが伸張せずにまっすぐに張られる程度の荷重をいう。荷重が影響する場
合の試験(長さ,リード,伸び率)には,初荷重として付表1〜3に示す荷重を用いる。初荷重の許容差は,
±5%とする。
6. 試験方法
6.1
試験室の状態 試験室の状態は,温度,湿度及び許容差が20±2℃, (65±2) %とする。ただし,試
験室が上記の状態に保たれない場合は,試験時の温湿度を試験成績表などに付記する。
6.2
試料の準備 各条の一端から6.7の引張強さ試験に必要な長さの試験片を切り取り,これを6.1の試
験室に放置し,1時間以上の間隔で質量を量り,その前後の質量差が後の質量の0.3%以内となったとき,
これを試料の質量 (m) (kg) とし,この試料を試験に供する。
6.3
質量 6.1の試験室において,1条ごとに質量 (kg) を量る。
3
L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.4
長さ 6.3の方法によって質量を量った後,試料の両端を手で引っ張り,これを平面上に置き,その
長さ (l1) を測った後,その中央部分に30cm又は50cmの間隔で二つのマークを付け,その間の長さ (d1) を
測る。
次に,この試料を温度35±2℃の温水中に30分以上浸せきした後,これを定速緊張形引張試験機にかけ,
荷重を徐々に増加し,荷重が付表1〜3に定める初荷重に達したときに荷重の増加を中断し,先に試料の中
央部分に付けた二つのマーク間の長さ (d2) を測る。
試料の長さ (l ) は,次の式によって算出する。
1
2
1d
d
l
l
×
=
ここに,
l: 試料の長さ (m)
l1: 初荷重をかける前の試料の長さ (m)
d1: 試料の中央部分に付けた二つのマーク間の,初荷重をかける
前の長さ (cm)
d2: 試料の中央部分に付けた二つのマーク間の,初荷重をかけた
後の長さ (cm)
また,ロープ1条の長さ (L) は,次の式によって算出する。
m
M
l
L
×
=
ここに,
L: 1条の長さ (m)
M: 1条の質量 (kg)
m: 試料の質量 (kg)
6.5
線密度 線密度 (d) は,6.2で得た試料の質量 (m) と試料の長さ (l ) によって次の式から算出する。
3
10
×
=lm
d
ここに, d: 線密度 (g/m)
6.6
リード 6.4の方法によって長さ (d2) を測ると同時に,ストランドの1回のよりていを3か所にお
いてミリメートル単位で測り,その平均値とする。
6.7
引張強さ 6.6の方法によってリードを測った後,再び荷重を徐々に,連続的に増加して,ロープを
切断する。この際,ロープの切断が,付表1〜3に規定する引張強さ(以下,規定引張強さという。)に達
しないうちに試験機のつかみの箇所で起きた場合は,この試料による試験は無効とし,他の試料によって
再試験を行うことができる。
なお,試験機のつかみの速度は,そのロープの規定引張強さの50%までは300mm/min以内とし,それ以
上は150mm/min以内とする。
また,試料の有効長(3)は,ロープの呼称太さの30倍以上とする。ただし,その長さが0.5mを超えるも
のについては,0.5mにとどめることができる。
注(3) ここにいう有効長とは,試験機の両つかみ間の内側で測った長さをいう。ただし,試料の両端
にアイ加工(耳状の環を作ること。)を行って引っ張る場合における有効長は,アイとアイとの
間の加工していない部分の長さをいう。
6.8
伸び率 6.7の方法によって引張強さの試験を行う場合は,荷重がそのロープの規定引張強さの75%
に達したときに,先に試料の中央部分に付けた二つのマーク間の長さを測り,次の式によって伸び率を算
出する。
4
L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
()
100
%
2
2
3
×
−
=
d
d
d
伸び率
ここに, d3: 荷重が規定引張強さの75%に達したときに測ったマーク間の
長さ (cm)
7. 検査 検査は,合理的な抜取方法によって試料を採取し,6.によって試験を行い,3.の規定に適合した
場合は,そのロットを合格とする。
8. 表示 製品又は包装には,適切な方法で,次の事項を表示しなければならない。
なお,呼称太さが20mm以上のロープには,ストランドの1本に製造業者名入りのテープを挿入するも
のとする。
(1) 種類(4)
(2) 呼称太さ
(3) 長さ
(4) 質量(5)
(5) 製造番号
(6) 製造業者名
注(4) ポリプロピレンマルチフィラメントロープはPPマルチロープ,ポリプロピレンモノフィラメン
トロープはPPモノロープ,ポリプロピレン紡績糸ロープはPPスパンロープと略してもよい。
樹脂加工したものはその旨表示する。
例 ポリプロピレン紡績糸ロープ(樹脂加工)
(5) 樹脂加工したものの質量は,樹脂加工前の質量を表示する。
関連規格 JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
JIS Z 8401 数値の丸め方
5
L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1 ポリプロピレンマルチフィラメントロープ
呼称太さ
mm
初荷重
daN {kgf}
線密度
g/m
質量
(200mにつきkg)
引張強さ
kN {tf}
4
2.0 { 2}
7.90
1.58
2.06 { 0.21 }
5
2.9 { 3}
12.4
2.48
3.04 { 0.31 }
6
3.9 { 4}
17.8
3.56
4.31 { 0.44 }
7
5.9 { 6}
24.2
4.85
5.69 { 0.58 }
8
7.8 { 8}
31.7
6.34
7.35 { 0.75 }
9
9.8 { 10}
40.1
8.02
9.12 { 0.93 }
10
13
{ 13}
49.5
9.90
11.1 { 1.13 }
11
15
{ 15}
60.0
12.0
13.2 { 1.35 }
12
18
{ 18}
71.5
14.3
16.3 { 1.66 }
14
25
{ 25}
95.0
19.0
21.7 { 2.21 }
16
29
{ 30}
125
25.0
27.8 { 2.83 }
18
39
{ 40}
158
31.5
34.5 { 3.52 }
20
49
{ 50}
195
39.0
42.1 { 4.29 }
22
59
{ 60}
238
47.5
50.2 { 5.12 }
24
69
{ 70}
282
56.5
59.0 { 6.02 }
26
83
{ 85}
330
66.0
68.5 { 6.98 }
28
93
{ 95}
385
77.0
78.6 { 8.02 }
30
108 {110}
438
87.5
89.3 { 9.11 }
32
118 {120}
500
100
101
{10.3 }
34
132 {135}
565
113
113
{11.5 }
35
142 {145}
595
119
119
{12.1 }
36
147 {150}
630
126
126
{12.8 }
38
162 {165}
705
141
138
{14.1 }
40
177 {180}
780
156
153
{15.6 }
42
191 {195}
855
171
167
{17.0 }
45
216 {220}
980
196
190
{19.4 }
50
265 {270}
1 220
243
231
{23.6 }
55
309 {315}
1 460
293
276
{28.1 }
60
378 {385}
1 740
349
325
{33.1 }
65
412 {420}
2 050
410
377
{38.4 }
70
500 {510}
2 380
476
432
{44.1 }
75
530 {540}
2 730
546
491
{50.1 }
80
647 {660}
3 100
621
554
{56.5 }
85
726 {740}
3 500
701
620
{63.2 }
90
799 {815}
3 930
786
689
{70.3 }
95
888 {905}
4 380
875
763
{77.8 }
100
951 {970}
4 850
970
838
{85.5 }
備考 表中に示していない呼称太さ12〜100mmのロープの初荷重などは,表中の近似の
呼称太さのものから比例配分で算出するものとする。
6
L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表2 ポリプロピレンモノフィラメントロープ
呼称太さ
mm
初荷重
daN {kgf}
線密度
g/m
質量
(200mにつきkg)
引張強さ
kN {tf}
4
2.0 { 2}
7.90
1.58
1.77 { 0.18 }
5
2.9 { 3}
12.4
2.48
2.65 { 0.27 }
6
3.9 { 4}
17.8
3.56
3.73 { 0.38 }
7
5.9 { 6}
24.2
4.85
5.00 { 0.51 }
8
7.8 { 8}
31.7
6.34
6.37 { 0.65 }
9
9.8 { 10}
40.1
8.02
7.94 { 0.81 }
10
13
{ 13}
49.5
9.90
9.71 { 0.99 }
11
15
{ 15}
60.0
12.0
11.6 { 1.18 }
12
18
{ 18}
72.0
14.4
14.1 { 1.44 }
14
25
{ 25}
97.0
19.4
18.8 { 1.92 }
16
29
{ 30}
126
25.1
24.2 { 2.47 }
18
39
{ 40}
160
32.0
30.1 { 3.07 }
20
49
{ 50}
198
39.5
36.6 { 3.73 }
22
59
{ 60}
240
48.0
43.7 { 4.46 }
24
69
{ 70}
284
56.7
51.4 { 5.24 }
26
83
{ 85}
336
67.2
59.6 { 6.08 }
28
93
{ 95}
386
77.3
68.5 { 6.98 }
30
108 {110}
442
88.5
77.9 { 7.94 }
32
118 {120}
505
101
87.8 { 8.95 }
34
132 {135}
570
114
98.1 {10.0 }
35
142 {145}
605
121
104
{10.6 }
36
147 {150}
640
128
109
{11.1 }
38
162 {165}
715
143
121
{12.3 }
40
177 {180}
790
158
133
{13.6 }
42
191 {195}
875
175
145
{14.8 }
45
216 {220}
1 000
200
166
{16.9 }
50
265 {270}
1 240
248
201
{20.5 }
55
309 {315}
1 500
299
240
{24.5 }
60
378 {385}
1 780
356
282
{28.8 }
65
412 {420}
2 090
418
328
{33.4 }
70
500 {510}
2 420
485
377
{38.4 }
75
530 {540}
2 780
557
428
{43.6 }
80
647 {660}
3 170
634
482
{49.2 }
85
726 {740}
3 580
715
540
{55.1 }
90
799 {815}
4 010
802
601
{61.3 }
95
888 {905}
4 460
893
664
{67.7 }
100
951 {970}
4 950
990
731
{74.5 }
備考 表中に示していない呼称太さ12〜100mmのロープの初荷重などは,表中の近似の
呼称太さのものから比例配分で算出するものとする。
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L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表3 ポリプロピレン紡績糸ロープ
呼称太さ
mm
初荷重
daN {kgf}
線密度
g/m
質量
(200mにつきkg)
引張強さ
kN {tf}
4
2.0 { 2}
7.60
1.52
1.77 { 0.18 }
5
2.9 { 3}
11.9
2.38
2.65 { 0.27 }
6
3.9 { 4}
17.1
3.42
3.73 { 0.38 }
7
5.9 { 6}
23.3
4.66
5.00 { 0.51 }
8
7.8 { 8}
30.4
6.08
6.37 { 0.65 }
9
9.8 { 10}
38.5
7.70
7.94 { 0.81 }
10
13
{ 13}
47.5
9.50
9.71 { 0.99 }
11
15
{ 15}
57.5
11.5
11.6 { 1.18 }
12
18
{ 18}
65.0
13.0
14.1 { 1.44 }
14
25
{ 25}
89.0
17.8
18.8 { 1.92 }
16
29
{ 30}
116
23.2
24.2 { 2.47 }
18
39
{ 40}
152
30.5
30.1 { 3.07 }
20
49
{ 50}
185
37.0
36.6 { 3.73 }
22
59
{ 60}
225
45.0
43.7 { 4.46 }
24
69
{ 70}
265
53.0
51.4 { 5.24 }
26
83
{ 85}
310
62.0
59.6 { 6.08 }
28
93
{ 95}
355
71.0
68.5 { 6.98 }
30
108 {110}
410
82.0
77.9 { 7.94 }
32
118 {120}
470
94.0
87.8 { 8.95 }
34
132 {135}
520
104
98.1 {10.0 }
35
142 {145}
550
110
104
{10.6 }
36
147 {150}
585
117
109
{11.1 }
38
162 {165}
655
131
121
{12.3 }
40
177 {180}
720
144
133
{13.6 }
42
191 {195}
790
158
145
{14.8 }
45
216 {220}
900
180
166
{16.9 }
50
265 {270}
1 100
221
201
{20.5 }
55
309 {315}
1 360
272
240
{24.5 }
60
378 {385}
1 600
320
282
{28.8 }
65
412 {420}
1 880
376
328
{33.4 }
70
500 {510}
2 200
439
377
{38.4 }
75
530 {540}
2 530
506
428
{43.6 }
80
647 {660}
2 880
575
482
{49.2 }
85
726 {740}
3 220
645
540
{55.1 }
90
799 {815}
3 620
725
601
{61.3 }
95
888 {905}
4 040
809
664
{67.7 }
100
951 {970}
4 460
893
731
{74.5 }
備考 表中に示していない呼称太さ12〜100mmのロープの初荷重などは,表中の近似の
呼称太さのものから比例配分で算出するものとする。
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L 2706-1992
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考
この参考は,本体の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
ロープの直径の測り方 JISで定める初荷重をかけてロープを緊張した状態とし,参考図1のとおり,
ノギスをできるだけ多くのストランドの頂点に当てて測る。
リードを測ると同時に,直径を測るとよい。
参考図1 ロープの直径の測り方
なお,八つ打ちロープにあっては,スチールテープでロープの周を測った後,次の式によって直径を算
出する。
(
)
(
)
14
.3
mm
mm
周
直径
=