2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 2704-1992
ナイロンロープ
Nylon ropes
1. 適用範囲 この規格は,ナイロンマルチフィラメント糸を用いたナイロンロープ(以下,ロープとい
う。)について規定する。
備考1. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 1140 Three-strand polyamide multifilament ropes
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 品質
2.1
外観 汚れ,すれなどが目立たず,仕上げは良好でなければならない。
2.2
線密度及び質量 ロープの線密度及び質量は,付表1のとおりとし,その許容差は,三つ打ちのも
のは±5%,八つ打ちのものは±7%とする。
なお,染色又は樹脂加工を施した場合における線密度及び質量の増加は,付表1で定める線密度及び質
量の15%以下でなければならない。
2.3
長さ ロープ1条の長さは,特に指定されない限り200mとし,指定された場合はそれによる。ただ
し,許容差はマイナスを認めない。
なお,指定された場合に限り,引張強さ試験(切断試験)に必要な余尺を付けるものとする。
2.4
引張強さ 引張強さは,5.7によって試験したとき,付表1に示す値以上でなければならない。
2.5
伸び率 伸び率は,5.8によって算出したとき,45%以下でなければならない。
3. 材料及び加工方法
3.1
材料 原糸は,ロープ用に適したナイロンマルチフィラメント糸だけを使用しなければならない。
また,再生した材料は使用してはならない。
3.2
加工方法 ロープは,ロープのよりを安定させ,型くずれを防止するため,打ちあげた後,110℃以
上の温度で適切な熱処理を施さなければならない。
また,特に指定された場合は染色又は樹脂加工を施すことができる。
3.3
打ち方 打ち方は,次のとおりとする。
(1) ロープは,三つ打ち又は八つ打ちとし,特に指定されない場合は,図1のとおり三つ打ちとする。
2
L 2704-1992
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図1 三つ打ちロープの構造
(2) 八つ打ちロープは,Zよりストランド4本及びSよりストランド4本を,それぞれ2本ずつ引きそろ
え,図2のとおり交互に組み合わせて作る。
図2 八つ打ちロープの構造
(3) ロープを構成する各ストランドのヤーン数は,同一でなければならない。
(4) 三つ打ちロープのよりの方向は,特に指定されない限りZよりとする。
(5) ロープのストランドのリード(1)は,三つ打ちのものはロープの呼称太さ(2)の3.3倍以下,八つ打ちの
ものは呼称太さの3.5倍以下でなければならない。
注(1) リードとは,ストランドの1回のよりてい(程)をいう。
(2) ロープの呼称太さとは,ロープの直径を呼称するものであって,直径寸法そのものは規定値と
しない。
備考 ロープを打つとは,ストランドをより合わせ又は組むことをいう。
4. 初荷重 初荷重とは,ロープが伸張せずにまっすぐに張られる程度の荷重をいう。荷重が影響する場
合の試験(長さ,リード,伸び率)には,初荷重として付表1に示す荷重を用いる。初荷重の許容差は,
±5%とする。
5. 試験方法
5.1
試験室の状態 試験室の状態は,温度,湿度及び許容差が20±2℃,(65±2) %とする。ただし,試
験室が上記の状態に保たれない場合は,試験時の温湿度を試験成績表などに付記する。
5.2
試料の準備 各条の一端から5.7の引張強さ試験に必要な長さの試料片を切り取り,これを5.1の試
験室に放置し,1時間以上の間隔で質量を量り,その前後の質量差が後の質量の0.3%以内となったとき,
これを試料の質量 (m) (kg) とし,この試料を試験に供する。
5.3
質量 5.1の試験室において,1条ごとに質量を量る。
5.4
長さ 5.3の方法によって質量 (kg) を量った後,試料の両端を手で引っ張り,これを平面上に置き,
その長さ (l1) を測った後,その中央部分に30cm又は50cmの間隔で二つのマークを付け,その間の長さ
(d1) を測る。
次に,この試料を定速緊張形引張試験機にかけ,荷重を徐々に増加し,荷重が付表1に定める初荷重に
達したときに荷重の増加を中断し,先に試料の中央部分に付けた二つのマーク間の長さ (d2) を測る。
3
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試料の長さ (l) は,次の式によって算出する。
1
2
1
d
d
l
l
×
=
ここに,
l: 試料の長さ (m)
l1: 初荷重をかける前の試料の長さ (m)
d1: 試料の中央部分に付けた二つのマーク間の,初荷重をかける
前の長さ (cm)
d2: 試料の中央部分に付けた二つのマーク間の,初荷重をかけた
後の長さ (cm)
また,ロープ1条の長さ (L) は,次の式によって算出する。
m
M
l
L
×
=
ここに,
L: 1条の長さ (m)
M: 1条の質量 (kg)
m: 試料の質量 (kg)
5.5
線密度 線密度(d)は,5.2で得た試料の質量 (m) と試料の長さ (l) によって次の式から算出する。
3
10
×
=lm
d
ここに, d: 線密度 (g/m)
5.6
リード 5.4の方法によって長さ (d2) を測ると同時に,ストランドの1回のよりていを3か所にお
いてミリメートル単位で測り,その平均値とする。
5.7
引張強さ 5.6の方法によってリードを測った後,再び荷重を徐々に,連続的に増加して,ロープを
切断する。この際,ロープの切断が付表1に規定する引張強さ(以下,規定引張強さという。)に達しない
うちに試験機のつかみの箇所で起きた場合は,この試料による試験は無効とし,他の試料によって再試験
を行うことができる。
なお,試験機のつかみの速度は,そのロープの規定引張強さの50%までは300mm/min以内とし,それ以
上は150mm/min以内とする。
また,試料の有効長(3)は,ロープの呼称太さの30倍以上とする。ただし,その長さが0.5mを超えるも
のについては,0.5mにとどめることができる。
注(3) ここにいう有効長とは,試験機の両つかみ間の内側で測った長さをいう。ただし,試料の両端
にアイ加工(耳状の環を作ること。)を行って引っ張る場合における有効長は,アイとアイとの
間の加工していない部分の長さをいう。
5.8
伸び率 5.7の方法によって引張強さの試験を行うとき,荷重がそのロープの規定引張強さの75%に
達したときに,先に試料の中央部分に付けた二つのマーク間の長さを測り,次の式によって伸び率を算出
する。
100
2
2
3
×
−
=
d
d
d
(%)
伸び率
ここに, d3: 荷重が規定引張強さの75%に達したときに測ったマーク間の
長さ (cm)
6. 検査 検査は,合理的な抜取方法によって試料を採取し,5.によって試験を行い,2.の規定に適合した
場合は,そのロットを合格とする。
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7. 表示 製品又は包装には,適切な方法で次の事項を表示しなければならない。
なお,呼称太さが20mm以上のロープには,ストランドの1本に製造業者名入りのテープを挿入するも
のとする。
(1) 品名(4)
(2) 呼称太さ
(3) 長さ
(4) 質量(5)
(5) 製造番号
(6) 製造業者名
注(4) 樹脂加工したものは,ナイロンロープ(樹脂加工)とする。
(5) 樹脂加工したものの質量は,樹脂加工前の質量を表示する。
付表1 ナイロンロープ
呼称太さ
mm
初荷重
daN {kgf}
線密度g/m
質量(200mにつきkg)
引張強さ
kN {tf}
三つ打ちのもの
八つ打ちのもの
三つ打ちのもの
八つ打ちのもの
4
2.0 { 2}
9.85
−
1.97
−
3.24 { 0.33}
5
2.9 { 3}
15.4
−
3.08
−
4.90 { 0.50}
6
3.9 { 4}
22.2
22.3
4.43
4.46
6.96 { 0.71}
7
5.9 { 6}
30.2
31.0
6.03
6.21
9.22 { 0.94}
8
7.8 { 8}
39.3
40.5
7.86
8.10
11.9 { 1.21}
9
9.8 { 10}
49.7
51.0
9.94
10.2
14.8 { 1.51}
10
13 { 13}
61.5
63.5
12.3
12.7
18.1 { 1.85}
11
15 { 15}
74.0
76.0
14.8
15.2
21.7 { 2.21}
12
18 { 18}
88.5
91.0
17.7
18.2
27.5 { 2.80}
14
25 { 25}
120
124
24.0
24.7
36.6 { 3.73}
16
29 { 30}
156
161
31.3
32.2
46.9 { 4.78}
18
39 { 40}
198
204
39.7
40.9
58.3 { 5.94}
20
49 { 50}
244
252
48.9
50.4
70.9 { 7.23}
22
59 { 60}
296
305
59.2
61.0
84.6 { 8.63}
24
69 { 70}
352
362
70.4
72.5
100
{10.2 }
26
83 { 85}
413
426
82.6
85.1
116
{11.8 }
28
93 { 95}
479
494
95.8
98.7
132
{13.5 }
30
108 {110}
545
560
109
112
151
{15.4 }
32
118 {120}
625
645
125
129
170
{17.3 }
34
132 {135}
705
725
141
145
190
{19.4 }
35
142 {145}
745
765
149
153
201
{20.5 }
36
147 {150}
790
810
158
162
212
{21.6 }
38
162 {165}
880
905
176
181
234
{23.9 }
40
177 {180}
975
1 000
195
201
258
{26.3 }
42
191 {195}
1 080
1 100
215
221
281
{28.7 }
45
216 {220}
1 230
1 260
246
253
321
{32.7 }
50
265 {270}
1 520
1 560
304
313
390
{39.8 }
55
309 {315}
1 840
1 900
368
379
466
{47.5 }
60
378 {385}
2 190
2 260
438
451
547
{55.8 }
65
412 {420}
2 560
2 640
513
528
635
{64.8 }
70
500 {510}
2 980
3 070
596
614
729
{74.3 }
75
530 {540}
3 420
3 520
683
703
829
{84.5 }
5
L 2704-1992
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呼称太さ
mm
初荷重
daN {kgf}
線密度g/m
質量(200mにつきkg)
引張強さ
kN {tf}
三つ打ちのもの
八つ打ちのもの
三つ打ちのもの
八つ打ちのもの
80
647 {660}
3 880
4 000
777
800
935
{95.3 }
85
726 {740}
4 370
4 500
874
900
1 050
{107 }
90
799 {815}
4 900
5 050
980
1 010
1 170
{119 }
95
888 {905}
5 450
5 600
1 090
1 120
1 280
{131 }
100
951 {970}
6 050
6 250
1 210
1 250
1 410
{144 }
備考 表中に示していない呼称太さ12〜100mmのロープの初荷重などは,表中の近似の呼称太さのものから比例配
分で算出するものとする。
6
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参 考
この参考は,本体の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
ロープの直径の測り方 JISで定める初荷重をかけてロープを緊張した状態とし,参考図1のとおり,
ノギスをできるだけ多くのストランドの頂点に当てて測る。
リードを測ると同時に,直径を測るとよい。
参考図1 ロープの直径の測り方
なお,八つ打ちロープにあっては,スチールテープでロープの周を測った後,次の式によって直径を算
出する。
(
)
14
.3
mm
mm
周
)
直径(
=