L 1911 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これに
よってJIS L 1911 : 1996は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 1911 : 2002
ふとんの保温性試験方法
Test methods of heat insulating
characteristics of FUTON
序文 この規格は,対応するISO規格はないが,我が国におけるふとんの保温性試験方法として,1996
年(平成8年)に制定された。
今回の改正では,引用規格の改正に伴う引用規格の番号及び名称を変更し,更にJIS Z 8301(規格票の様
式)に基づき様式を変更している。
1. 適用範囲 この規格は,寝具として用いるふとん(1)の保温性を評価する試験方法について規定する。
注(1) 幅71cm,長さ120cm以上のもの。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0212-3 繊維製品用語(衣料を除く繊維製品)−第3部:寝具及びその他の繊維製品
JIS L 2001 綿ふとんわた
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0212-3によるほか,次による。
a) 保温性 睡眠時に人体から放散する熱を遮断する性能。
b) 充てん量 側生地に詰めた充てん物の質量。
4. 種類 試験の種類は,次のとおりとする。
a) 網台試験法(A法) 網で作った試験台にふとんなどを載せて測定する方法。
b) 畳台試験法(B法) 畳にふとんなどを敷いて測定する方法。
5. 共通的な条件 試験室は,温度20±5℃,湿度 (65±5) %とし,かつ,無風(0.1m/s以下)とする。
6. 装置 装置は,試験台,試験機本体及び表面温度制御装置によって構成する。
a) 試験台 試験台は,次のとおりとする。
1) 網台 図1のとおりとする。網は,縦・横それぞれ100mm間隔のものを用い,ふとん,試験機本
体などを載せても,網の緩みが中央部で50mm以下となるような材料を用いる。
2
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図1 網台試験法(A法)の試験台
2) 畳台 1)の試験台に床板(厚さ9mmの合板)を置き,この上に畳を敷いたもの。
b) 試験機本体 図2に示す寸法及び図3に示す構造で,全面を銅板で覆ったもの。
なお,発熱体,銅板,断熱材,熱流計並びに表面温度制御用及び安全装置用の熱電対は,次のとお
りとする。
1) 発熱体 シート状カーボンヒーターを用いる。
2) 銅板 厚さ0.1mmのもので,表面を黒体化塗料で塗ったもの。
3) 断熱材 発泡スチレンなどで断熱性能があるもの。
4) 熱流計 熱流量が±2%の精度で測定できるもの。
5) 表面温度制御用及び安全装畳用の熱電対 0〜300℃の温度範囲で,±0.1℃の精度で測定できるもの。
図2 試験機本体の寸法
3
L 1911 : 2002
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備考 ①,②,③,⑤,⑥及び⑦は表面温度制御用熱電対の位置を示し,④及び⑧は安全装
置用熱電対の位置を示す。
図3 試験機本体の構造
c) 表面温度制御装置 図4に示す制御回路をもち,上下の発熱体を別々に制御できる構造で,制御機器
は表1の仕様のものを用いる。
4
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図4 表面温度制御装置の制御回路
5
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表1 制御機器の仕様
記号
制御機器名
仕様
T/T1及びT/T2
温度変換器
0〜100℃
出力 1〜5V
CTR1及びCTR2 温度指示調節計
0〜100℃
入力 1〜5V
設定温度 33℃
警報温度 43℃
SCR1及びSCR2 サイリスタユニット 10A
入力 4〜20mA
W/T1及びW/T2
電力変換器
0〜100W
0〜1A
0〜1V
W1及びW2
電力計
0〜100W
入力 0〜5V
V1及びV2
電圧計
0〜150V
A1及びA2
電流計
0〜1A
TA
温度警報器
0〜300℃
d) 周囲空気温度測定用温度計 0〜60℃の温度範囲で,±0.1℃の精度で測定でき,かつ,温度が自動記
録できるもの。
7. 試料 試料は,敷きふとんと掛けふとんの一組とする。また,試料は,十分に乾燥して,かさ高が回
復してから試験を行う。
なお,敷きふとん又は掛けふとんをそれぞれ単独で試験したい場合は,表2の敷きふとん又は掛けふと
んと組み合わせて測定する。
表2 組合せ用ふとん
項目
大きさ cm
充てん材料
充てん量 kg 側生地
敷きふとん 100×200
JIS L 2001に規定する特級
3.8
綿
掛けふとん 150×200
2.0
8. 方法 網台試験法(A法)の場合は,網台を用い,畳台試験法(B法)の場合は,畳台を用い,次の
とおり行う。
a) 測定準備 測定準備は,次のとおり行う。
1) 試料及び試験機本体の設置 試験室内に網台又は畳台の試験台を置き,試験台の中心に敷きふとん
を置く。
次に,敷きふとんの中心に試験機本体を設置(2)し,この上に掛けふとんを掛ける。このとき,敷
きふとんと掛けふとんは,図5のように縦方向をそろえて重ね,試験台の中心に置く。
注(2) ふとん表面の温度測定箇所がさん立ての位置と一致する場合は,試験機をふとんの中心から
5cm程度ずらし,ふとんの縫い目を避けて設置する。
6
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図5 試料及び試験機本体の設置方法
2) 温度センサーの設置 試験機本体に,表面温度制御用及び安全装置用の熱電対をビニル粘着テープ
などを用い,図6の位置にはり付ける。また,掛けふとんの上面温度及び敷きふとんの下面温度測
定用温度計を図6の位置に,さらに周囲空気温度測定用熱電対を図6に示すように,掛けふとんの
15cm上及び敷きふとんの15cm下に,適当な方法で設置する。
7
L 1911 : 2002
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図6 温度センサーの設置位置
b) 測定 測定は,次のとおり行う。
1) 試験機本体,制御装置及び記録計が正しく接続されていることを確認した後,試験機本体の表面温
度の制御装置を上面及び下面共に33℃に設定する。また,警報温度は,試験機本体の表面温度より
10℃高く設定する。
2) 記録計及び試験機本体の電源を入れ,網台試験法(A法)の場合は1時間以上,畳台試験法(B法)
の場合は4時間以上そのままにする。試験機本体の温度が安定したら,温度が安定した状態の30
分間に掛けふとんの上面温度(θ12,θ'12及びθ''12),試験機本体の上面温度(θ11,θ'11及びθ''11),試
験機本体の下面温度(θ21,θ'21及びθ''21),敷きふとんの下面温度(θ22,θ'22及びθ''22)及び電圧を小
数点以下1けたまで10分間隔で3回測定し,これらの値をそれぞれ平均して測定値とする。
なお,このときの上部周囲温度(θ13,θ'13及びθ''13)及び下部周囲温度(θ23,θ'23及びθ''23)も同
様に測定し,参考として記録する。
c) 計算 計算は,次のとおり行う。
1
12
11
11
Q
A
I
θ
θ−
=×
8
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2
22
21
21
Q
A
I
θ
θ−
=×
3
1
1
U
Pq
A
U
Pw
Q
×
×
+
=
3
2
2
U
Pq
A
U
Pw
Q
×
×
−
=
ここに,
I11: 掛けふとんの保温性 (℃/W・m−2)
I21: 敷きふとんの保温性 (℃/W・m−2)
Q1: 試験機本体上面からの放熱量 (W)
Q2: 試験機本体下面からの放熱量 (W)
A: 試験機本体の断面積 (0.444m2)
11
θ: 試験機本体の上面温度θ11,θ'11及びθ''11を平均した値 (℃)
12
θ: 掛けふとんの上面温度θ12,θ'12及びθ''12を平均した値 (℃)
21
θ: 試験機本体の下面温度θ21,θ'21及びθ''21を平均した値 (℃)
22
θ: 敷きふとんの下面温度θ22,θ'22及びθ''22を平均した値 (℃)
U1: 試験機本体の上面ヒーターの電圧 (V)
U2: 試験機本体の下面ヒーターの電圧 (V)
U3: 試験機本体の熱流計の出力値 (mV)
Pw: 電力変換器(W/T1及びW/T2)の感度 (W/V)
Pq: 試験機本体の熱流計の感度 (mV/W・m−2)
9. 記録 記録用紙には,次の事項を記載する。
なお,参考に記録用紙の様式の例を,付表1に示す。
a) 試験日時
b) 試験室の温度及び湿度
c) 試料の名称,大きさ(仕上がり寸法),充てん材の材質名(3)及び質量
注(3) 充てん材が2種類以上の場合は,混用率を記入する。
d) 側生地の材質,繊度,密度及び質量
e) 測定値
f)
結果
9
L 1911 : 2002
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付表1 記録用紙の例
試験日 年 月 日
時 間 時 分〜 時 分
試験室 温度 ℃ 湿度 %
試料 名称
掛けふとん:大きさ × cm 充てん材の材質名 質量 kg
側生地の材質,繊度,密度及び質量
敷きふとん:大きさ × cm 充てん材の材質名 質量 kg
側生地の材質,繊度,密度及び質量
記号
単位
1
2
3
平均
測
定
値
U1
V
U2
V
U3
V
θ11(平均)
℃
θ12(平均)
℃
θ13(平均)(参考)
℃
θ21(平均)
℃
θ22(平均)
℃
θ23(平均)(参考)
℃
計
算
値
W1=U1×Pw
W
W2=U2×Pw
W
Pq
A
U
W
×
3
3=
W
Q1=W1+W3
W
Q2=W2−W3
W
1
12
11
11
)
(
Q
A
I
θ
θ−
=
℃/W・m−2
2
22
21
11
)
(
Q
A
I
θ
θ−
=
℃/W・m−2
10
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
大 平 通 泰
明星大学
川 島 美 勝
横浜国立大学
高 橋 和 夫
通商産業省生活産業局
五十風 重 雄
通商産業省生活産業局
小 倉 悟
工業技術院標準部
高 橋 孝 一
通商産業省製品評価技術センター
磯 部 久 弥
財団法人日本染色検査協会
御法川 紘 一
日本化学繊維協会
米 山 恒 雄
全日本寝具寝装品協会
草 田 善一郎
日本羽毛寝具製造業協同組合
井 上 久 嘉
全日本わた寝装品製造協同組合
原 田 豊 也
全日本わた寝装品製造協同組合
高 野 富士子
主婦連合会
岩 下 好 恵
全国地域婦人団体連絡協議会
伊 藤 康 江
消費科学連合会
斉 藤 有 常
日本百貨店協会
池 谷 公 男
日本チェーンストア協会
蒲 谷 守 啓
日本寝具製造卸組合連合会
安 藤 一 夫
全日本わた寝装品製造協同組合
(事務局)
大 出 広
全日本わた寝装品製造協同組合
日本工業標準調査会 標準部会 消費生活技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
小 川 昭二郎
お茶の水女子大学
(委員)
秋 庭 悦 子
社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会
井 村 五 郎
千葉工業大学
入 江 稔 員
社団法人日本ガス石油機器工業会
長 見 萬里野
財団法人日本消費者協会
口ノ町 康 夫
独立行政法人産業技術総合研究所
小 熊 誠 次
社団法人日本オフィス家具協会
佐 野 真理子
主婦連合会
所 村 利 男
独立行政法人製品評価技術基盤機構
高 野 信 一
社団法人日本電機工業会
堤 暢 廣
社団法人繊維評価技術協議会
土 橋 明 美
文化女子大学
長久保 徹
財団法人製品安全協会
鍋 嶋 詢 三
社団法人消費者関連専門家会議
橋 本 享
株式会社西友
菱 木 純 子
全国地域婦人団体連絡協議会
肥 塚 忠 雄
社団法人日本住宅設備システム協会
万 代 善 久
財団法人共用品推進機構
村 田 政 光
財団法人日本文化用品安全試験所