L 1908 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS L 1908 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 1908 : 2000
ジオテキスタイル試験方法
Test methods for geotextiles
序文 この規格は,適用範囲の備考に示す国際規格をもとに作成した日本工業規格であり,気圧及び厚さ
測定時の加圧時間の規定を除き,技術的内容を変更することなく作成している。今回の改正では,引用規
格の改正に伴い,引用規格の規格名称及び関係する規定内容を変更している。
1. 適用範囲 この規格は,ジオテキスタイルの試験方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 139 : 1973 Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing (MOD)
ISO 554 : 1976 Standard atmospheres for conditioning and/or testing−Specifications (MOD)
ISO 9862 : 1990 Geotextiles−Sampling and preparation of test specimens (MOD)
ISO 9863 : 1990 Geotextiles−Determination of thickness at specified pressures (MOD)
ISO 9864 : 1990 Geotextiles−Determination of mass per unit area (MOD)
ISO 10318 : 1990 Geotextiles−Vocabulary (IDT)
ISO 10319 : 1993 Geotextiles−Wide-width tensile test (MOD)
ISO 10320 : 1991 Geotextiles−Identification on site (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7721 引張試験機−力の検証方法
JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則
JIS L 0221 ジオシンセティック用語
JIS Z 8401 数値の丸め方
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0221によるほか,次のとおりとする。
a) たて引張強さ及びたて伸び率 試料のたて方向から採取した試験片を用いて測定した引張強さ及び伸
び率。
b) よこ引張強さ及びよこ伸び率 試料のよこ方向から採取した試験片を用いて測定した引張強さ及び伸
び率。
4. 種類 試験の種類は,次のとおりとする。
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L 1908 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 幅
b) 長さ
c) 厚さ
d) 単位面積当たりの質量
e) 引張強さ及び伸び率並びに割線係数
5. 共通的な条件
5.1
試料及び試験片の採取並びに準備 試料及び試験片の採取並びに準備は,次のとおりとする。
a) 試料は,試験片を採取するのに十分な大きさとする。
b) 試験片は,ジオテキスタイルのよこ方向の両端から全幅の101ずつ,たて方向の端から1m以上離れた
部分から採取する。
c) 採取した試料又は試験片は,標準状態とするために,標準状態の試験室又は装置内(1)に24時間以上放
置して,1時間以上の間隔で質量を測定し,その前後の質量差が質量の0.1%以内(2)となるようにする。
ただし,試料又は試験片を標準状態にするには,温度40±5℃の乾燥機中で予備乾燥を行い,乾いた
ほうの状態から吸湿させる。
なお,JIS L 0105の表1の繊維のうち公定水分率0%の繊維を用いたジオテキスタイルは,予備乾燥
を行う必要がない。
注(1) 標準状態の試験室又は装置内は,次のいずれかの状態とする。
(1) 温度20±2℃,相対湿度 (65±5) %
(2) 温度23±2℃,相対湿度 (50±5) %
(2) ISO規格では,標準状態において,2時間以上の間隔で質量を測定し,その前後の質量差が後
の質量の0.25%以内となった質量と規定しているので,この定義に従ってもよい。ただし,ISO
規格に従った場合は,その旨を記録に付記する。
5.2
試験場所 試験場所は,JIS L 0105の4.1(試験場所)による。ただし,標準状態の試験室又は装置
内は,注(1)のいずれかの状態とする。
6. 方法
6.1
幅 幅の試験は,次のとおりとする。
a) 器具 0.01mまで測定できる測長器(スケール)。
b) 操作 試料を平らな台の上に置き,不自然なしわや張力を除いてたて方向に1m以上離れた3か所に
ついてたて方向と直角に測長器(スケール)を置いて,両端間の距離を0.01mまで測定し,その平均
値を算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2けたに丸める。
なお,両端末の不完全な部分は,測定から除く。
c) 記録
1) 幅 (m)
2) 試験時の温度 (℃) 及び相対湿度 (%)
3) 試料を対応ISO規格の定義に従った方法で標準状態とした旨(対応ISO規格の定義に従った方法で
行った場合に限る。)
6.2
長さ 長さの試験は,次のとおりとする。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 装置又は器具 0.01mまで測定できる測長器(スケール又は検尺機)。
b) 操作 試料を平らな台の上に置き,不自然なしわや張力を除いて測長器(スケール)で全長を0.01m
まで測定する。また,折りたたみ機を用いて測定してもよい。この場合には,一定の長さに折りたた
んだ試料の5か所以上をスケールで測定し,その平均値を算出し,JIS Z 8401によって小数点以下2
けたに丸め,折りたたみ数を乗じて全長を求める。
さらに,ロール巻の試料は,検尺機を用いて全長を測定してもよい。
なお,両端末の不完全な部分は,いずれの場合も測定から除く。
c) 記録
1) 長さ (m)
2) 試験時の温度 (℃) 及び相対湿度 (%)
3) 試料を対応ISO規格の定義に従った方法で標準状態とした旨(対応ISO規格の定義に従った方法で
行った場合に限る。)
6.3
厚さ ジオグリッド及びジオネットには,適用しない。
a) 器具 次の条件を満足する厚さ測定器。
1) プレッサーフットは円形で,面積は25cm2とする。
2) 2kPa,20kPa及び200kPaの圧力がそれぞれ±0.5%の精度で加えられるもの。
b) 操作 操作は,次のとおり行う。
1) プレッサーフットの直径の1.75倍以上の大きさの試験片について,一定時間(3)2kPaの圧力を加えた
後,厚さを0.01mmまで測定する。この操作を10枚の試験片について行う。
注(3) 加圧下で厚さが落ち着くまでの時間をいう。通常30秒間が望ましい。
2) 同様に,異なる試験片10枚を用いて,1)と同様に20kPa及び200kPaの圧力でそれぞれ厚さを測定
する。
なお,同一試験片に2kPa,20kPa及び200kPaの順で圧力をかけ,それぞれの圧力における厚さを
測定してもよい。この場合,その旨を記録に付記する。
3) 各圧力下における平均値を算出し,それぞれの値をJIS Z 8401によって小数点以下2けたに丸める。
c) 記録
1) 長さ (mm) 及び圧力 (kPa)
2) 試験時の温度 (℃) 及び相対湿度 (%)
3) 加圧時間 (s)
4) 各圧力の測定に同一試験片を使用した旨(該当する場合だけに適用する。)
5) 試験片を対応ISO規格の定義に従った方法で標準状態とした旨(対応ISO規格の定義に従った方法
で行った場合に限る。)
6.4
単位面積質量 単位面積質量の試験は,次のとおりとする。
a) 器具 1mmまで測定できる測長器(スケール)及び試験片の質量に対して0.1%の精度で測定できる
質量計。
b) 操作
1) 試験片の大きさは,原則として100cm2とする。ただし,ジオグリッド及びジオネットについては,
原則として1m2とするが,1m2の大きさに採取することが困難な場合にはできるだけ1m2に近い大
きさとする。
2) 試験片10個を5.1c)に従って標準状態とし,標準状態の質量に対して0.1%の精度でそれぞれ測定す
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る。
3) 測定値の平均値を算出し,1m2当たりの質量に換算してJIS Z 8401によって有効数字3けたに丸め
る。
c) 記録
1) 単位面積質量 (g/m2)
2) 試験時の温度 (℃) 及び相対湿度 (%)
3) 試験片を対応ISO規格の定義に従った方法で標準状態とした旨(対応ISO規格の定義に従った方法
で行った場合に限る。)
6.5
引張強さ及び伸び率
a) 装置 記録装置付定速伸長形引張試験機(4)(以下,引張試験機という。)。
注(4) 引張試験機の検証を行う場合は,JIS B 7721に規定する方法による。
備考 引張試験機は,当分の間,引張抵抗力(荷重)が従来単位によって表示されたものを使用して
もよい。
b) 操作
1) 試験片の状態 乾燥状態又は湿潤状態とする。
乾燥状態は,標準状態にした試験片を用いる。
湿潤状態は,非イオン界面活性剤を0.05%以下含む水の中に,24時間以上放置した試験片を用い
る。
2) 試験片の幅 織物,編物及び不織布は,5cm又は20cmとする。ジオグリッド及びジオネットは,
20cm以上とする。
なお,織物は,幅の両側から大体同数の糸を取り除いて5cm又は20cmとする。
3) 試験片の数 試料のたて方向及びよこ方向から各5枚以上とする。
4) つかみ間隔 原則として10cmとする。ただし,ジオグリッド及びジオネットは,20cm以上とし,
少なくとも3個の結節点と2個のリブを含むものとする。
5) 引張速度 つかみ間隔の (20±5) %/minとする。
6) 引張強さ 試験片を初荷重(5)の下で引張試験機に取り付け,引張抵抗力(荷重)の最大値を測定す
る。次に,試験片のたて方向及びよこ方向の引張抵抗力(荷重)の最大値の平均値をそれぞれ算出
し,幅1m当たりに換算して,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸める。ただし,つかみから
1cm以内で切れたもの又は異常に切れたものは除く。
注(5) 初荷重は,引張抵抗力(荷重)の最大値の1%とする。
備考 引張抵抗力(荷重)が従来単位によって表示された引張試験機を使用した場合は,幅1m
当たりに換算した引張抵抗力を1kgf=9.806 65NでSI単位に換算し,JIS Z 8401によって
有効数字3けたに丸める。
7) 伸び率 各試験片の切断時の伸びから伸び率を算出し,さらに試料のたて方向及びよこ方向につい
てそれぞれ平均値を算出し,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸める。ただし,つかみから1cm
以内で切れたもの又は異常に切れたものは除く。
8) 割線係数 図1のように荷重−伸長曲線を描き,この図の伸び率2%の引張抵抗力(荷重) (F2),
伸び率5%の引張抵抗力(荷重) (F5) 及び伸び率10%の引張抵抗力(荷重) (F10) をそれぞれ幅1m
当たりの引張抵抗力(荷重)に換算し,次の式によってそれぞれ割線係数を算出する(JIS Z 8401
によって整数に丸める。)。
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ε
100
sec
×
×
=
c
F
J
ここに, Jsec: 割線係数 (kN/m)
F: 各伸び率での引張抵抗力(荷重) (kN)
c: 次の式によって表される1m当たりの換算値
B
c
1
=
又は
s
m
N
N
c=
ここに,
B: 試料幅 (m)
Nm: lm当たりのストランド数(本)
Ns: 試料幅当たりのストランド数(本)
ε: 伸び率(2%,5%又は10%)
図1 荷重−伸長曲線
c) 記録
1) 乾燥状態又は湿潤状態の別
2) たて引張強さ (kN/m) 及びたて伸び率 (%) 並びによこ引張強さ (kN/m) 及びよこ伸び率 (%)
3) 試料のたて方向及びよこ方向における切断時の引張抵抗力 (kN)
4) 荷重−伸長曲線
5) 試験片の幅 (cm) 及びつかみ間隔 (cm)
6) 試験時の温度 (℃) 及び相対湿度 (%)
7) 試験片を対応ISO規格の定義に従った方法で標準状態とした旨(対応ISO規格の定義に従った方法
で行った場合に限る。)
8) その他必要な事項
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JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
福 岡 正 巳
東京理科大学
(委員)
堅 尾 和 夫
通商産業省生活産業局繊維企画官
岩 田 満 泰
通商産業省生活産業局原料紡績課
地 崎 修
工業技術院標準部
井 上 正 二
通商産業省通商産業検査所
三 木 博 史
建設省土木研究所
寺 師 昌 明
運輸省港湾技術研究所
壁 矢 久 良
東京農工大学
垂 水 尚 志
株式会社鉄道総合技術研究所
御 船 直 人
株式会社鉄道総合技術研究所
須 長 誠
社団法人土質工学会
岩 崎 高 明
国際ジオテキスタイル学会
角 田 知 己
社団法人繊維学会
阿 部 裕
鹿島建設株式会社
川 崎 廣 貴
清水建設株式会社
田 口 哲 男
株式会社丸東製作所
佐 藤 倭 敏
財団法人日本化学繊維検査協会
永 野 豊
東洋紡績株式会社
高 橋 修 三
ユニチカ株式会社
和 泉 隆
三井石油化学工業株式会社
新 井 克 彦
東レ株式会社
西 村 俊 勝
旭化成工業株式会社
森 下 公 雄
帝人株式会社
前 川 稔
株式会社クラレ
土 林 貞 雄
日本布織布工業会
古 屋 匡 蔵
日本フェルト工業組合
古 川 元 彦
日本化学繊維協会
(事務局)
湯 村 崇 男
繊維工業標準研究会
文責 福 岡 正 巳
壁 矢 久 良
角 田 知 己