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L 1099:2012  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験場所 ························································································································· 3 

5 試料及び試験片の採取及び準備 ··························································································· 3 

6 試験の種類 ······················································································································ 3 

7 試験方法 ························································································································· 3 

7.1 A法 ···························································································································· 3 

7.2 B法····························································································································· 5 

7.3 C法(発汗ホットプレート法) ························································································· 7 

8 試験報告書 ······················································································································ 8 

附属書A(規定)B-3法(酢酸カリウム法の別法II) ·································································· 9 

附属書AA(参考)透湿度−試験結果の適用 ············································································· 16 

附属書AB(参考)試験方法の背景としての物理的原理······························································· 17 

附属書AC(参考)ドライ乾燥剤カップ法 ················································································ 18 

附属書B(規定)C法(発汗ホットプレート法) ······································································· 19 

附属書BA(規定)素材の組織がルーズなものか又は厚さが不均一な試験片の装着方法 ····················· 27 

附属書BB(規定)熱供給量補正値の測定 ················································································· 28 

附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 30 

L 1099:2012  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人繊維評価

技術協議会(JTETC)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。 

これによって,JIS L 1099:2006は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

L 1099:2012 

繊維製品の透湿度試験方法 

Testing methods for water vapour permeability of textiles 

序文 

この規格は,1993年に第1版として発行されたISO 11092及び2004年に第1版として発行されたISO 

15496を基とし,我が国の使用実態を反映させるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格であ

る。 

なお,この規格で対応国際規格に規定されている方法は,箇条6のB-3法(酢酸カリウム法の別法II)

(附属書A参照)及びC法(発汗ホットプレート法)(附属書B参照)であり,A-1法(塩化カルシウム

法),A-2法(ウォータ法),B-1法(酢酸カリウム法)及びB-2法(酢酸カルシウム法の別法I)は,対応

国際規格に規定されていない方法である。変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。 

適用範囲 

この規格は,繊維製品の透湿度の試験方法について規定する。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 11092:1993,Textiles−Physiological effects−Measurement of thermal and water-vapour resistance 

under steady-state conditions (sweating guarded-hotplate test) 

ISO 15496:2004,Textiles−Measurement of water vapour permeability of textiles for the purpose of 

quality control(全体評価:MOD) 

なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”

ことを示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 8125 塩化カルシウム(水分測定用)(試薬) 

JIS K 8363 酢酸カリウム(試薬) 

JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1(PA及びPB) 

透湿度 

規定の温度及び湿度において,繊維製品を透過する水蒸気の質量(g)を,その繊維製品の1 m2・1時間

当たりに換算した値。 

なお,この用語は,A法,B-1法(酢酸カリウム法)及びB-2法(酢酸カリウム法の別法I)で用いられ

る。 

3.2 

空孔率 

体積に対する空間の割合。 

3.3 

透湿度(WVP) 

繊維生地を透過する水蒸気の量を単位面積(m2)・単位時間(h)・単位差圧(Pa)当たりで表した繊維

生地材料の特性値。 

なお,この用語は,B-3法(酢酸カリウム法の別法II)で用いられる。 

3.4 

温熱抵抗(Rct) 

素材表面のある方向に,単位面積当たり一定の量の熱流束を与えた際に,素材の両面に生じる温度差の

こと。乾熱流束は,伝導熱,対流熱及び放射熱のうちの幾つか又は全ての要素で構成される。m2・K/Wの

単位で表される温熱抵抗(Rct)は,定常条件下である面積に対して温度勾配を与えた際に,繊維素材及び

その複合材の両面を貫く乾熱流束を定量化したものとなる。 

なお,この用語は,C法(発汗ホットプレート法)で用いられる。 

3.5 

水蒸気透過抵抗(Ret) 

繊維素材を貫く方向に,単位面積当たり一定の量の蒸発熱流束を与えた際に,繊維素材の両面に生じる

温度差。水蒸気熱流束は,水蒸気の拡散と対流との双方の要素が関係する。 

m2・Pa/Wの単位で表される水蒸気透過抵抗(Ret)は,定常条件下である面積に対して水蒸気圧勾配を与

えたときに,繊維素材及びその複合材の両面を貫く潜在的な熱流束を定量化したものとなる。 

なお,この用語は,C法(発汗ホットプレート法)で用いられる。 

3.6 

水蒸気透過指数(imt) 

温熱抵抗と水蒸気透過抵抗との比。水蒸気透過指数は式(1)によって求められる。 

et

ct

mt

R

R

S

i

×

=

 ·············································································· (1) 

ここに, 

imt: 水蒸気透過指数 

S: 乾湿熱伝達係数比[60(Pa/K)] 

Rct: 温熱抵抗(m2・K/W) 

Ret: 水蒸気透過抵抗(m2・Pa/W) 

imtは単位がなく,0〜1の間の数をとる。imtが0の場合は,その素材は水蒸気を全く通さない。すなわち

水蒸気透過抵抗が無限大であることを意味する。imtが1の場合は,温熱抵抗及び水蒸気透過抵抗が,材料

とその厚さの同じ空気層とが同じ値を示すことを意味する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なお,この用語は,C法(発汗ホットプレート法)で用いられる。 

3.7 

透湿度(Wd) 

繊維素材及びその複合材の特性値。透湿度は式(2)にて求められることからも明らかなように,水蒸気透

過抵抗及び温度に依存されている。 

m

et

d

1

T

R

W

φ

×

=

 ··········································································· (2) 

ここに, 

Wd: 透湿度(g/m2・h・Pa) 

Ret: 水蒸気透過抵抗(m2・Pa/W) 

φTm: 測定時の温度における単位質量当たりの潜熱(W・h/g) 

ここで,φTmは35 ℃の場合の潜熱で,0.672 W・h/gである。透湿度は,g/m2・h・Paの単位で表す。 

なお,この用語は,C法(発汗ホットプレート法)で用いられる。 

試験場所 

試験場所は,JIS L 0105に規定する標準状態の試験室において行う。試験室が標準状態に保てない場合

は,できるだけ標準状態に近い場所で試験を行い,試験時の温度及び相対湿度を箇条8の試験報告書に記

載する。 

試料及び試験片の採取及び準備 

JIS L 0105の6.3(布状の試料及びその試験片)又は6.4[製品(縫製品)状の試料の試験片]によって

試料及び試験片を採取及び準備する。 

試験の種類 

試験の種類は,次による。 

a) A法 

1) A-1法(塩化カルシウム法)(7.1.1) 

2) A-2法(ウォータ法)(7.1.2) 

b) B法 

1) B-1法(酢酸カリウム法)(7.2.1) 

2) B-2法(酢酸カリウム法の別法I)(7.2.2) 

3) B-3法(酢酸カリウム法の別法II)[附属書A(規定)による。](7.2.3) 

c) C法(発汗ホットプレート法)[附属書B(規定)による。](7.3) 

試験方法 

7.1 

A法 

A法は,A-1法(塩化カルシウム法)又はA-2法(ウォータ法)のいずれかによる。 

7.1.1 

A-1法(塩化カルシウム法) 

A-1法(塩化カルシウム法)は,次による。 

a) 装置及び材料 

1) 恒温・恒湿装置 規定の温度及び湿度に調節でき,かつ,装置内の空気が循環できるもの。 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 風速計 恒温・恒湿装置内の風速を0.1 m/sまで測定できるもの。 

3) 化学はかり 試験体の質量を1 mgまでひょう量できるもの。 

4) 円形板 直径60 mm,厚さ3 mmの合成樹脂製の平状のもの。 

5) 透湿カップ 図1に示すものとし,その材質は,水蒸気が透過しないものであって,かつ,試験操

作において腐食したり,透湿面積の変化を生じないもの。 

6) 吸湿剤 JIS K 8125に規定するもの。 

単位 mm 

図1−透湿カップ A-1法(塩化カルシウム法) 

b) 操作 あらかじめ約40 ℃に温めた透湿カップに吸湿剤を約33 g入れ,カップに振動を与え均一にし

た後,薬さじで表面を平らにならし,円形板を用いて,吸湿剤と試験片の下面との距離が3 mmにな

るように調節する。 

次に,箇条5の試料につき,直径約70 mmの試験片を3枚採取し,図1のように試験片の表面を吸

湿剤側に向けて透湿カップに対して同心円になるように載せ,パッキン及びリングを順次装着し,ち

ょうナットで固定した後,装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とする。 

この試験体を温度40 ℃±2 ℃,湿度(90±5)% RH1)の恒温・恒湿装置内の試験片上約10 mm上

部の風速が0.8 m/sを超えない位置に置く。 

1時間後に試験体を取り出し,直ちに質量(a1)を1 mgまで測定する。測定後,再び試験体を恒温・

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

恒湿装置の同位置に置き,1時間後に試験体を取り出し,直ちに質量(a2)を1 mgまで測定する。 

注1) 必要に応じて温度及び湿度条件を変更してもよい。いずれの場合も温度及び湿度を試験報告

書に記載する。 

c) 計算 式(3)によって透湿度を算出し,試験結果は,3回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)

によって整数に丸めて表す。 

1

A

1

2

1

A

S

a

a

P

 ··············································································· (3) 

ここに, 

PA1: 透湿度(g/m2・h) 

a2−a1: 試験体の1時間当たりの質量の変化量(g/h) 

SA1: 透湿面積(m2) 

7.1.2 

A-2法(ウォータ法) 

A-2法(ウォータ法)は,次による。 

a) 装置及び材料 

1) 恒温・恒湿装置 7.1.1 a) 1) に規定のもの。 

2) 風速計 7.1.1 a) 2) に規定のもの。 

3) 化学はかり 7.1.1 a) 3) に規定のもの。 

4) 透湿カップ 7.1.1 a) 5) に規定のもの。 

b) 操作 あらかじめ約40 ℃に温めた透湿カップに約40 ℃の水を42 mL入れ,水と試験片の下面との

距離を10 mmとする。水は,日本薬局方の精製水又はJIS K 0050に規定するA2以上の水とする。 

次に,箇条5の試料につき,直径約70 mmの試験片を3枚採取し,試験片の裏面を水側に向けて透

湿カップに対して同心円になるように載せ,パッキン及びリングを順次装着し,ちょうナットで固定

した後,装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とする。 

この試験体を温度40 ℃±2 ℃,湿度(50±5)% RH1)の恒温・恒湿装置内の試験片上の約10 mm

上部の風速が0.8 m/sを超えない位置に置く。 

1時間後に試験体を取り出し,直ちに質量(a3)を1 mgまで測定する。測定後,再び試験体を恒温・

恒湿装置の同位置に置き,1時間後に試験体を取り出し,直ちに質量(a4)を1 mgまで測定する。 

なお,試験片を透湿カップ内の水でぬらさないよう,試験体の扱いには十分な注意を必要とする。 

c) 計算 式(4)によって透湿度を算出し,試験結果は3回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)

によって整数に丸めて表す。 

2

A

4

3

2

A

S

a

a

P

 ············································································ (4) 

ここに, 

PA2: 透湿度(g/m2・h) 

a3−a4: 試験体の1時間当たりの質量の変化量(g/h) 

SA2: 透湿面積(m2) 

7.2 

B法 

B法は,B-1法(酢酸カリウム法),B-2法(酢酸カリウム法の別法I)又はB-3法(酢酸カリウム法の別

法II)のいずれかによる。 

7.2.1 

B-1法(酢酸カリウム法) 

B-1法(酢酸カリウム法)は,次による。ただし,酢酸カリウム法は,試験時において水が浸透する試

料には適用できない。水が浸透する試料については,7.2.2又は7.2.3によって測定する。 

a) 装置及び材料 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1) 恒温装置 規定の温度に調節できるもの。 

2) 化学はかり 7.1.1 a) 3)に規定のもの。 

3) 透湿カップ 図2に示すものとし,その材質は,水蒸気が透過しないものであって,かつ,試験操

作において腐食したり,透湿面積の変化を生じたりしないもの。 

4) 試験片支持枠 内径約80 mm,高さ約50 mm,厚さ3 mmの合成樹脂製の円筒形のもの。 

5) 水槽 恒温装置に収納でき,試験片支持枠を固定できる構造をもつもの。 

6) 透湿度測定用補助フィルム 空孔率約80 %の微多孔質構造をもつ,厚さ約25 μmのポリテトラフル

オロエチレンフィルム。 

7) 吸湿剤 JIS K 8363に規定する酢酸カリウム300 gに水100 mLを加え,24時間放置して,結晶が

析出した状態のもの。 

単位 mm 

図2−試験体 B-1法(酢酸カリウム法) 

b) 操作 箇条5の試料につき,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し,図2のように試験片を試験

片支持枠に,試験片の裏面が支持枠の外側に向くようにゴム製バンドで装着する。この試験片支持枠

を,恒温装置中に置いた温度約23 ℃の水の入った水槽に図2のように試験片が十分に浸るような約

10 mmの深さの位置に固定し,15分間以上放置する。 

なお,この恒温装置には,温度30 ℃±2 ℃の空気を循環させておく。 

次に,透湿カップに温度約23 ℃に保った吸湿剤を透湿カップ容積の約3分の2まで入れ,約100 mm

×100 mmの大きさの透湿度測定用補助フィルムをゴム製バンドで装着して試験体とする。この試験

体の質量(a5)をフィルム装着側を上にして1 mgまで測定する。測定した後,直ちに試験体を倒立さ

せ,水槽に固定した試験片支持枠の中に置く。15分後に試験体を取り出し,反転させて質量(a6)を

1 mgまで測定する。 

c) 計算 式(5)によって透湿度を算出し,試験結果は3回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)

によって整数に丸めて表す。 

1

B

5

6

1

B

S

a

a

P

 ············································································· (5) 

ここに, 

PB1: 透湿度(g/m2・h) 

a6−a5: 試験体の15分間当たりの質量の変化量(mg/min) 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を1時間当たりのg数に換算した変化量(g/h) 

SB1: 透湿面積(m2) 

7.2.2 

B-2法(酢酸カリウム法の別法I) 

B-2法(酢酸カリウム法の別法I)は,次による。 

a) 装置及び材料 装置及び材料は,7.2.1 a) に規定するものを用いる。 

b) 操作 箇条5の試料につき,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し,図3のように約200 mm×

200 mmの大きさの透湿度測定用補助フィルムで試験片の裏面を覆い,透湿度測定用補助フィルムが

支持枠の外側に向くようにゴム製バンドで装着する。この試験片支持枠を,恒温装置中に置いた温度

約23 ℃の水の入った水槽に図3のように試験片が十分に浸るような約10 mmの深さの位置に固定し,

15分間以上放置する。 

なお,この恒温装置には,温度30 ℃±2 ℃の空気を循環させておく。 

次に,透湿カップに温度約23 ℃に保った吸湿剤を透湿カップ容積の約3分の2まで入れ,約100 mm

×100 mmの大きさの透湿度測定用補助フィルムをゴム製バンドで装着して試験体とする。この試験

体の質量(a7)をフィルム装着側を上にして1 mgまで測定する。測定した後,直ちに試験体を倒立さ

せ,水槽に固定した試験片支持枠の中に置く。15分後に試験体を取り出し,反転させて質量(a8)を

1 mgまで測定する。 

単位 mm 

図3−試験体 B-2法(酢酸カリウム法の別法I) 

c) 計算 式(6)によって透湿度を算出し,試験結果は3回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)

によって整数に丸めて表す。 

B2

7

8

B2

S

a

a

P

=

 ············································································· (6) 

ここに, 

PB2: 透湿度(g/m2・h) 

a8−a7: 試験体の15分間当たりの質量の変化量(mg/min)

を1時間当たりのg数に換算した変化量(g/h) 

SB2: 透湿面積(m2) 

7.2.3 

B-3法(酢酸カリウム法の別法II) 

B-3法(酢酸カリウム法の別法II)は,附属書Aによる。 

7.3 

C法(発汗ホットプレート法) 

C法(発汗ホットプレート法)は,附属書Bによる。 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。ただし,B-3法(酢酸カリウムの別法II)は附属書A及びC法

(発汗ホットプレート法)は附属書Bによる。 

a) 試験年月日 

b) 規格番号 

c) 試験方法 

d) 試験条件(試験場所の温度及び湿度) 

e) 試験結果 

例1 試験年月日,JIS L 1099,A-1法(塩化カルシウム法),装置内40 ℃ 90 % RH,20 ℃ 65 % RH,

200 g/m2・h 

例2 試験年月日,JIS L 1099,A-1法(塩化カルシウム法),装置内35 ℃ 90 % RH,25 ℃ 75 % RH,

200 g/m2・h 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

B-3法(酢酸カリウム法の別法II) 

この附属書は,2004年に第1版として発行されたISO 15496を基に,技術的内容を変更することなく規

定したものである。 

A.1 一般 

この附属書は,生産工場内での品質管理のために比較的簡便な透湿度の測定方法を規定する。 

A.2 記号名称及びその単位 

記号名称及びその単位は,表A.1による。 

表A.1−記号名称及び単位表 

記号 

名称 

単位 

測定カップ開口部面積 

m2 

Δt 

測定時間 

Δm 

Δt時間の間の測定カップの質量変化 

Δmapp 

Δt時間の間の膜だけを装着した測定カップの質量変化 

Δp 

試料上下面の水蒸気分圧の差 

Pa 

psa 

試験室の温度Taでの飽和水蒸気圧 

Pa 

psb 

水槽温度Tbでの飽和水蒸気圧 

Pa 

酢酸カリウム飽和水溶液との平衡相対湿度 

Ta 

試験室の温度 

℃ 

Tb 

水槽の温度 

℃ 

WVP 

試験片の透湿度 

g/m2・Pa・h 

WVPapp 

装置の透湿度 

g/m2・Pa・h 

試験片の透湿度(WVP)は,附属書AA,試験室の温度Taでの飽和水蒸気圧(psa)及び水槽温度Tbでの

飽和水蒸気圧(psb)は附属書ABを参照する。 

A.3 原理 

試験片を耐水性の透湿度の高い疎水性微多孔質膜(以下,“膜”という。)と重ねてリングホルダ上に装

着し,膜が水面に接触するように水槽中に沈め,15分間そのまま浸せき(漬)する。試験片の上部表面を

約23 %の相対湿度に保持するための酢酸カリウム飽和水溶液を入れたカップを同種の膜で覆い,質量を測

定する。次に,試験片ホルダに装着されている試験片上に膜が試験片と接触するようにカップを逆さまに

して載せる。これによって試験片を通して水の側からコップ側へと水蒸気の実質的な移行が起こる(図A.1

参照)。15分後にカップを取り外し,質量を再び測定する。同時に試験片なしのコントロール試験を実施

し,2枚の膜だけの透湿度,直ちに装置自体の透湿度を測定する。このようにして,2枚の膜の影響を補正

して試験片の透湿度を算出することができる。 

10 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.4 装置 

試験設定の概念図を図A.1に示す。 

A.4.1 セロファン膜 

使用するセロファン膜は,耐水性で疎水性の微多孔質膜で,2枚重ねの透湿度が,1.2 g/m2・Pa・h以上の

透湿性とする。 

A.4.2 試験片ホルダ 

試験片ホルダは,研磨した溝をもった金属又はプラスチック製のリングで,図A.2に示すようにゴム輪

を用いて試験片と膜とを同時に溝に確実に固定する。 

ゴム輪は,ぴったりとは(嵌)めあい,試験片と膜とをしっかりと保持しなければならない。 

試験片ホルダの底面の外周は縁取りする(図A.2参照)。 

A.4.3 試験片ホルダ支持台 

支持台は,スペーサで30 mmの間隔に保たれた2枚のプラスチック板で構成され,水中での試験片ホル

ダの支持台となる(図A.3参照)。2枚のプラスチック板には,少なくとも六つの孔があり,上部の板の孔

は,試験片と膜とを保持している試験片ホルダが通り抜けるに十分な大きさで,下部の板の孔は,試験片

ホルダよりは小さいがカップの口よりは大きく,孔の中心は,上部プレートの孔と一致しているものとす

る。 

支持台には,試験片ホルダを水中5 mm±2 mmの深さにまで浸せき(漬)することができるように四つ

の高さ調整スクリューが備わっている。支持台の孔には,連続した番号を付ける。 

A.4.4 水槽 

水槽は,透明なガラス又はプラスチック製で,支持台が入る十分な大きさがあり,サーモスタット付き

の水中循環ポンプで水槽中の蒸留水を23.0 ℃±0.1 ℃に保持する。 

水温は,支持台の四隅に近い位置で,少なくとも4か所で同時に測定しなければならない。 

水温の温度分布を均一に保つために,サーモスタット付き循環ポンプの入口又は出口の配管は,サーモ

スタットと反対側のタンクの端までホースで延長する。使用する前に蒸留水を沸騰させるか及び/又はサ

ーモスタットかくはん(撹拌)機のスピードを減速することで,空気泡が発生しないように注意しなけれ

ばならない。 

A.4.5 透湿カップ 

±1 mmの精度で85 mm〜95 mmの内径と,少なくとも250 mLの容量をもつ透明なプラスチック製カッ

プ(図A.2参照)。 

A.4.6 酢酸カリウム溶液 

酢酸カリウム飽和水溶液は,純試薬級の乾燥した酢酸カリウムを蒸留水31 gに対して100 gの割合で加

えて,十分に混合して調製する。混合液は,均質で塊のない状態でなければならない。23 ℃±3 ℃で少な

くとも12時間以上平衡状態に放置しておく。また,混合液は試験に先立ち容器(カップ)を逆さまにした

時に流れ出して膜を十分に覆うだけの流動性がなければならない。 

溶液は,試験の間中白色又は不透明な外観から判断し,飽和状態を保たなければならない。 

A.4.7 はかり(秤) 

50 gの質量を±1 mgの精度で計量可能なはかり(秤)。 

A.4.8 試験室 

23 ℃±3 ℃の温度に保持する。 

11 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

A.5 準備 

A.5.1 試験片 

約180 mmの直径をもつ円形の試験片3枚を切り取る。試験片ホルダで試験片をカバーする膜は,約200 

mmの直径に切り取る。 

試験片は,別途の要求がない限り製品使用の際に人体に接する側を膜に接触するように試験片をホルダ

に装着する。試験片及び膜は,ホルダ上でしわ又はねじれがないようにゴム輪で確実に取り付ける。また,

試験片と膜との間に空気のギャップがないようにしなければならない。装置の水蒸気透過性を測定するた

めに,膜だけを装着したコントロールホルダを準備する。 

A.5.2 透湿カップ 

約120 gの酢酸カリウム飽和溶液で透湿カップを満たし,円形の膜で密閉する。ゴムバンドで膜をピー

ンと張った状態にして透湿カップの縁に熱アイロン又ははんだごてを押し当てながら測定カップを回転さ

せる。余分の膜は,カップの中味が見えるように切り取る。測定に先立ち,漏れがないかカップの密閉性

を調べるために吸水紙の上にカップを約3分間倒立させて吸水紙が漏れないことを確認する。試験の間中

酢酸カリウムは,不透明又は白色の常時飽和でなければならない。 

A.6 試験手順 

A.6.1 試験片の挿入及び平衡 

試験片と膜とを装着した試験片ホルダ及びコントロールとしての膜だけの試験片ホルダを試験片ホルダ

支持台の連番を付した孔に,30秒±5秒間隔で挿入する。膜と水面との間に気泡がないことを確認する。 

10分±1分後,しわがないか試験片を確認し,要すれば,水槽から取り出さずに修正する。 

試験片ホルダを総計15分±10秒間水中に浸した後,透湿カップを試験片の上に載せる。 

A.6.2 透湿カップを水槽の上に設置 

透湿カップを計量(m0)し,逆さまにして緩やかに振とうして酢酸カリウム溶液を膜全面に均等に広げ

る。次いで,試験片ホルダを支持台に挿入したと同じ順序で30秒±5秒間隔で試験片表面の中央に透湿カ

ップを載せる。また,膜だけのコントロールホルダの中央に1個の透湿カップを載せる。試験片上に載せ

て15分±10秒経過後,それぞれの透湿カップを取り上げて計量(m15)する。 

A.6.3 試験片ホルダの膜の耐水性を検査 

試験片ホルダから試験片を取り外し,水漏れの痕跡がないか膜及び試験片を調べる。万が一,水漏れが

生じている場合は,その試験片についての測定値は評価から除外する。 

A.7 計算 

(A.1)〜(A.3)の式によって,試験片の透湿度(WVP)を求める(記号の説明は,表A.1参照)。 

0

15m

m

m

=

 ········································································· (A.1) 

t

p

a

m

WVP

×

×

=

app

app

 ································································· (A.2) 

1

app

1

×

×

=

WVP

m

t

p

a

WVP

 ···················································· (A.3) 

温度Taにおける酢酸カリウム飽和溶液及び平衡の百分率で表示した相対湿度は, 

F=22.438 8+0.156 288×Ta−(0.612 868×10−2)×T2a 

Ta=Tb=23.0 ℃であれば,F=22.8 %となる。 

12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

また,そのとき 

(

)(

)

Pa

168

2

Pa

640

808

2

100sa

sb

=

=

×

=

F

P

P

p

A.8 結果の精度 

A.8.1 繰返し精度(同一装置) 

6試験所で2種類の布地をそれぞれ3回繰り返し試験した。標準偏差の平均は0.007 g/m2・Pa・hであった。 

A.8.2 再現性(異なる装置間) 

6試験所で0.08 g/m2・Pa・h〜0.24 g/m2・Pa・hまでの範囲の透湿度の布地4種類について4枚の試験片を測

定した。標準偏差は,0.011 g/m2・Pa・hであった。 

A.9 試験報告書 

試験報告書は,少なくとも次に示す事項が含まれる。 

a) 試験試料を特定するに必要な全ての情報 

b) 規格番号 

c) 試験試料に関する説明 

d) A.6.1に従った試験片についての説明 

e) 1試験試料当たりの試験片の枚数 

f) 

試験中の試験室の温度:Ta及び水槽の温度:Tb 

g) 試料上下面の水蒸気分圧の差:Δp 

h) 試験片の透湿度:WVP 

i) 

試験装置の透湿度:WVPapp 

j) 

規定の手順から逸脱した事項 

k) 試験中に観察された異常な事項 

l) 

試験年月日 

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13 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

 1 透湿カップ 

2 膜 
3 試験片 
4 水槽 
5 水蒸気 
6 酢酸カリウム飽和溶液 
7 試験室の室温温度センサ 
8 試験片ホルダ 
9 ゴム輪 
10 水温温度センサ 

図A.1−カップ法の試験配置の概念図 

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14 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

a) 代表的な透湿カップ 

       b) 試験片ホルダ 

 1 透湿カップ 

2 ゴム輪 
3 試験片ホルダ 
a プラスチック 
b 金属又はプラスチック 
c 縁取り 
 

図A.2−代表的な透湿カップ及び試験片ホルダの寸法例 

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15 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

 1 M6の糸を通した棒 

2 グラスチューブ(Pt 100) 
a 金属 
b プラスチック 
 

図A.3−試験片ホルダ支持台の寸法例 

16 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書AA 

(参考) 

透湿度−試験結果の適用 

この附属書は,2004年に第1版として発行されたISO 15496のAnnex Aを基に,技術的内容を変更する

ことなく記述したものであり,規格の一部ではない。 

AA.1 概要 

表A.1のWVP透湿度の値は,試験条件が異なるので,ISO 11092に規定したWd(water-vapour permeability)

値とは実質的に相違する。したがって,WVPの結果を,ISO 11092が試験方法として引用している繊維製

品の生理学的効果の分類に使用することはできない。また,A.4.4で規定している水槽の水温23.0 ℃±

0.1 ℃及び試験室の温度23 ℃±3 ℃からずれが生じた場合は,試験結果が大きく変わる可能性があること

に注意する必要がある。 

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17 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書AB 

(参考) 

試験方法の背景としての物理的原理 

この附属書は,2004年に第1版として発行されたISO 15496のAnnex Bを基に,技術的内容を変更する

ことなく記述したものであり,規格の一部ではない。 

水蒸気は,高水蒸気圧の領域から低水蒸気圧の領域に移行する。 

高水蒸気圧は,恒温に保たれた水面によって維持される。水蒸気圧は,次の式によって計算されるが,

水槽の温度Tbに大きく依存していることが分かる。 

psb=133.3×10 exp{−[2 919.611/(Tb+273)−4.795 18×lg(Tb+273)+23.037 33]} 

例  

水槽温度(Tb) 

℃ 

水蒸気圧(psb) 

Pa 

20 

2 336 

23 

2 808 

水面の相対湿度(%)は,実用的な目的に対しては100 %と考えることができる。 

低い水蒸気圧は,恒温に保持された酢酸カリウム飽和水溶液によって膜の細孔内部の空気中に維持され

ている。相対湿度(F)は,次の式によって計算されるが,ほとんど温度に依存しない。 

F=22.438 8+0.156 288 Ta−(0.006 128 68)×T2a 

例  

空気温度(Ta) 

℃ 

相対湿度(F) 

20 

23.1 

23 

22.8 

水蒸気圧psaは,次のように計算される。 

psa=133.3×10 exp{−[2 919.611/(Ta+273)−4.795 18×lg(Ta+273)+23.037 33]} 

水蒸気分圧の差圧Δpは,水槽の温度Tbの変動に伴って大きく変動する。 

例  

水槽温度(Tb) 

℃ 

水蒸気分圧の差圧(Δp) 

Pa 

20 

1 799 

23 

2 168 

温度が低いと水蒸気の移動が少ないので,気圧の勾配もまた低くなり,測定質量差が小さいことを意味

し,試験方法の精度が下がる。この附属書で水槽の温度として23 ℃を選定し,許容範囲を±0.1 ℃に限定

した理由はこのためである。 

18 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書AC 

(参考) 

ドライ乾燥剤カップ法 

この附属書は,2004年に第1版として発行されたISO 15496のAnnex Cを基に,技術的内容を変更する

ことなく記述したものであり,規格の一部ではない。 

ドライ乾燥剤カップ法は多くの国で国家規格として規定されているが,次の理由から,繊維製品の透湿

度測定には不適切である。 

a) 通気性のある繊維製品では,カップの中に拡散する水蒸気の量が非常に大きいので,乾燥剤の表面が

飽和となり,試験結果は試験片の透湿度を表すものとはならず,乾燥剤の吸湿特性を示すことになる。

さらに,通気性がある一定水準を超えると,あらゆる繊維製品が透湿度の真の違いを示さず,ほぼ同

じ結果を示すことになる。 

b) 多くの場合,試験片と乾燥剤表面との間に空気の隙間が生じるのを避けられず,試験片よりもはるか

に低い透湿度となる。この空気の間隙の透湿度を十分な精度で測定することができないので,試験結

果を無効にする。 

c) 数時間の測定時間は,生産者が製造工程を的確に修正する機会を提供するための迅速試験の要求に反

する。 

d) 試験片を接着剤でカップに密閉しなければならないが,接着剤で必要な密閉を達成するのはしばしば

困難であり,しかも試験後にカップから接着剤を除去しなければならないので,この操作は面倒で時

間が掛かり,簡単な処方の迅速試験法の要求と相いれないものである。 

background image

19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

C法(発汗ホットプレート法) 

この附属書は,1993年に第1版として発行されたISO 11092を基に,技術的内容を変更することなく規

定したものである。 

B.1 

一般 

この附属書は,繊維製品及び繊維製品に用いられる繊維素材,フィルム,コーティング製品,フォーム

材,皮革及びそれらを組み合わせた積層品に対して,定常条件下で温熱抵抗や水蒸気透過抵抗を測定する

ための試験方法を定める。 

B.2 

記号名称及びその単位 

記号名称及びその単位は,表B.1による。 

表B.1−記号名称及び単位 

記号 

名称 

単位 

Rct 

温熱抵抗m2 

m2・K/W 

Ret 

水蒸気透過抵抗 

m2・Pa/W 

imt 

水蒸気透過指数 

− 

Rct0 

装置固有温熱抵抗 

m2・K/W 

Ret0 

装置固有水蒸気透過抵抗 

m2・Pa/W 

Wd 

透湿度 

g/m2・h・Pa 

φTm 

潜熱(温度Tm時) 

W・h/g 

面積 

m2 

pa 

水蒸気分圧(温度Ta時) 

Pa 

Ta 

空気の温度 

Tm 

測定部の温度 

Ts 

温熱ガードの温度 

pm 

飽和水蒸気圧(温度Tm時) 

Pa 

va 

空気流速 

m/s 

sv 

空気流速の標準偏差 

m/s 

相対湿度 

熱供給量 

ΔHc 

熱供給量補正値(Rct測定時) 

ΔHe 

熱供給量補正値(Ret測定時) 

α 

近似線の傾き 

− 

β 

近似線の傾き 

− 

B.3 

原理 

試料は,電気的に加温可能なプレートの上に載せられ,その試料表面と平行な方向に空気の流れを発生

させる。 

試料を貫く熱流束に対する温熱抵抗は,定常状態に達してから測定する。試料の温熱抵抗は,その表層

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にある空気層との合算で求められる温熱抵抗から,空気層単独で測定した温熱抵抗を差し引いて求める。 

水蒸気透過抵抗の測定装置は,まず電気的に温熱可能で孔の開いたプレートの上に,水蒸気透過性があ

り,液体の水を通さない厚さ40 μmのセロファン膜(図B.2の13)を被せた構造をもっている。温めたプ

レート上に供給される水は蒸発し,水蒸気としてセロファンを透過することから,試料そのものには液状

の水は触れない。 

セロファン上に置かれた試料とともに,プレート上の温度を一定に保つために供給される熱流束の量が,

水蒸気の透過速度と対応しており,この計測によって試料の水蒸気透過抵抗を算出する。また,試料その

ものの水蒸気透過抵抗は,素材の表層にある空気層と合算したものとして求められる水蒸気透過抵抗から,

空気層単独で測定した水蒸気透過抵抗を差し引いて求める。 

B.4 

装置 

B.4.1 温度及び水の供給可能な測定部 

温度及び水の供給可能な測定部は,少なくとも0.04 m2(例えば,一辺の長さが0.2 mの正方形)の面積

及び約3 mmの厚さの金属製のプレート(図B.1の1)からなる。金属製のプレートは,図B.1の6に示す

金属製のブロックに取り付けられている。この金属製ブロックは熱伝導性があり,内部に電熱線をもって

いなければならない。 

水蒸気透過抵抗を測定するために,図B.1の1に示すプレートには孔が開けられている。また,そのプ

レートは,図B.2の9に示す温熱ガードによって囲まれており,そのガードは測定台の開口部の内側にて

配置されている。 

プレート表面の放射率は,1次ビームが垂直であり反射が半球形をなす波長8 μm〜14 μmの電磁波を当

てた際,20 ℃の環境で0.35以上とする。 

電気的に加温可能なブロックの表面には,水注入口が取り付けられており,その表面では孔の開いたプ

レートと接して,外からの水供給部(図B.1の5)より水の注入が可能となっている。測定台に対する測

定部の位置は調節可能であり,それによって試料の上面と測定台とが平行になるように調節することがで

きる。測定部及び温度測定器へとつながるワイヤからの熱損失を最小化するため,ワイヤを温熱ガードに

できるだけ沿うように配線する。 

測定部にある温度センサ(図B.1の2)を含む温度制御器(図B.1の3)は,測定部(図B.2の8)の温

度をTmに対して±0.1 ℃の精度で制御しなければならない。 

電力量Hの測定は,その利用可能なレンジ全体の±2 %を超えない範囲で適切に測定できる装置を用い

る。水は,モータ駆動式のビュレットなどをもつ供給装置(図B.1の5)によって,孔の開いたプレート

上に供給される。供給装置は,プレートの表面から約1 mmを超えて水位が低下すると駆動し,一定の蒸

発速度が維持できるようになっている。 

測定部に水が注入されると,温熱ガード内に配されたチューブを水が通り,測定部と同じ温度に温めら

れる。 

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21 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

   

 
1 金属プレート 
2 温度センサ 
3 温度制御 
4 電力量測定装置 
5 水供給装置 
6 加温装置付金属製

ブロック 

図B.1−温度及び水の供給が制御可能な測定部 

B.4.2 温度制御付き温熱ガード 

温度制御付き温熱ガード(図B.2の9)は,熱伝導性の高い金属素材から成り,加温装置が付いている。

この加温装置によって,測定部の側部又は底部からの熱の漏れを防止する。 

温熱ガードの幅bは,少なくとも15 mm以上でなければならない。温熱ガードの上面と測定部に取り付

けられている金属プレートの上面との高さの隙間が,1.5 mmを超えてはならない。 

温熱ガードには,同時に水蒸気ガードの役割をはたすため,測定部にあるものと同様な孔の開いたプレ

ート及び水供給装置が付いている。温熱ガードの温度(Ts)は,図B.2の11の温度センサで測定され,図

B.2の10の温度制御器によって,測定部の温度である(Tm)と同じ温度で,かつ,±0.1 ℃の精度で維持

される。 

   

7 試料 
8 測定部 
9 温熱ガード 

10 温度制御器 
11 温度センサ 
12 測定台 
13 セロファン膜 
 

図B.2−測定部及び温度制御付き温熱ガード 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.4.3 試験室 

測定部及び温熱ガードを設置する試験室は,室内空気の温度及び湿度が制御されている。空気の流れの

影響を抑えるため,測定部及び温熱ガードの上面に対して空気の流れが平行となるように配置する。 

この空気の温度(Ta)は,試験時間の間は20 ℃±0.1 ℃を超える変動が生じないようにするため,測定

台上のダクトの高さは,50 mm以上とする。ただし,温熱抵抗又は100 m2・Pa/Wを下回る水蒸気透過抵抗

の測定においては,±0.5 ℃とする。この空気の温度(Ta)は,カバーされていない測定部の中心で,か

つ測定台の上面から15 mmのところで測定する。 

空気流の相対湿度は,試験時間の間は3 %を超える変動が生じないようにしなければならない。また,

このポイントで測定された流速(va)は,試験時間の間は1 m/s±0.05 m/sを超えないようにしなければな

らず,そのばらつきは,時定数1秒以下の装置で,少なくとも10分間で約6秒ごとの測定を行った場合に,

sv/vaによって表される値で,0.05〜0.1の範囲とする。 

B.5 

試料の準備 

B.5.1 5 mm以下の厚さの素材について 

試料は,測定部表面と温熱ガードとを完全に覆う大きさのもので,測定部(図B.2の8)の大きさが200 

mm×200 mmの場合,試料の1辺の大きさが200 mm+2b mm(bは図B.2の温熱ガードの幅)の正方形の

ものを3点準備する。試料は,試験を実施する前少なくとも12時間,B.6.3又はB.6.4に規定する温度及

び湿度条件にて保管する。 

B.5.2 5 mmを超える厚さの素材について 

5 mmを超える厚さの素材については,次による。 

a) 試料の端部から水分及び熱の漏れを防ぐため,次の補正を行う。 

温熱抵抗の測定の場合は,温熱ガードの幅bに対して約2倍以上の厚さのある試料は,端部からの

熱の漏れ分を補正する(図B.2参照)。温熱抵抗と試料厚さとの間の線形な相関からのずれは,フォー

ム材のような均質な素材では,図B.3にあるように試料の厚さ(d)について,その厚さに対するRct

を測定し,その結果から得られる補正係数[1+(ΔRct/Rct実測値)]によって補正する。 

b) 水蒸気透過抵抗を測定時,温熱ガードがプレート又は水供給システムにうまく適合しない場合は,試

料のカット断面を,置かれている試料と同じ高さの枠で囲う。 

なお,この枠は水蒸気を通さない材質で,その内寸はプレートと同一とする。 

c) 試料は,試験を実施する前少なくとも12時間,B.6.3又はB.6.4に規定する温度及び湿度条件で保管

する。 

d) キルト又は寝袋用素材のように,素材の組織がルーズなものか又は厚さが不均一なものは,附属書BA

に規定する装塡を行う。 

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23 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.3−試料の端部からの熱漏れ分の補正図 

B.6 

試験手順 

B.6.1 装置定数の決定 

この規格で規定する装置で得られる温熱抵抗及び水蒸気透過抵抗の値は,装置固有の値(定数)も含ん

でいる。これらの定数は,装置そのものの抵抗のほかに,試料の表層にある空気層がもつ抵抗も反映され

る。空気層がもつ抵抗は,試料の上を流れる空気流の速度又はぶれの程度に依存する。 

Ret0,Rct0などの装置固有の定数は,プレートの上に何も載せない状態で測定する。ただし,測定部の上

面が測定台と同一平面上にあるようにする。 

B.6.1.1 Rct0の決定 

Rct0の値は,測定部の温度(Tm)を35 ℃,空気の温度(Ta)を20 ℃及び相対湿度(F)を65 %に設定

する。また,空気の流速(va)を1 m/sとする。これらの値の設定値からのずれは,いずれもB.4で規定す

る範囲内とする。また,測定値Tm,Ta,F及びHが定常状態に至るまで,値の記録は行わない。 

装置固有の温熱抵抗(Rct0)は,式(B.1)によって求める。 

c

a

m

0

ct

)

(

H

H

A

T

T

R

×

=

 ··································································· (B.1) 

ここで,ΔHcは補正係数であり,附属書BBに規定する方法で求める。 

B.6.1.2 Ret0の決定 

Ret0の決定は,次による。 

a) Ret0を決定するためには,B.4.1に規定するプレートの表面は常に湿潤状態とする。また,表面が滑ら

かであり,水蒸気透過性をもち,液状の水が不透過である厚さが10 μm〜50 μmのセロファン膜を,

プレートに掛ける。 

セロファン膜は蒸留水で湿潤しておく。また,適切な方法によって膜の表面にしわがないようにす

る。測定用プレートに供給される水は蒸留水とする。この蒸留水は二度蒸留に掛けたものを使用前に

再度沸騰させたものがよい。これによって,膜の下でガスが凝集することを防ぐことができる。 

b) 測定部の温度(Tm)及び空気の温度(Ta)を35 ℃とし,また,空気流速(va)を1 m/sとする。空気

の相対湿度(F)は40 %に常に保たれており,この相対湿度は2 250 Paの水蒸気分圧(pa)に相当す

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

なお,測定部上面に直接接する水蒸気分圧(pm)は,この上面の温度での飽和水蒸気圧5 620 Paと

仮定することができる。 

Tm,Ta,va及びFの値の設定値からのずれは,いずれもB.4で規定する範囲内とする。また,Tm,

Ta,F及びHの測定値が定常状態に至るまで,値の記録は行わない。 

c) 装置固有の水蒸気透過抵抗(Ret0)は,式(B.2)によって求める。 

e

a

m

0

et

)

(

H

H

A

p

p

R

×

=

 ·································································· (B.2) 

ここで,ΔHeは補正係数であり,附属書BBに規定する方法で求める。 

B.6.1.3 装置間の照合確認 

装置間のクロスチェックは,あらかじめ計測された温熱抵抗測定用の試料,例えば熱伝導性が分かった

試料を用いて行うことができる。 

B.6.1.4 装置定数の確認 

装置固有の定数であるRct0及びRet0は,定期的に確認する。 

なお,確認されたぶれの程度が許容を超えている場合には(B.7参照),調整が必要となる。 

Rct0及びRet0に変化が起こる要因としては,試料上面を通る空気の流速(va)の変化がある。したがって,

この流速は,B.4.3に規定する方法によって定期的に確認する。 

試料の上面を通る空気の流速のぶれは,試料上面にある表層空気の抵抗値に影響する。したがって,試

験の結果にも影響を与える。 

B.6.2 測定部への試料の装着 

測定部への試料の装着は,次による。 

a) 空気の流れの向きに対し,適切な試料の向きを定める。また,その内容を試験報告書に記載する。 

試料は測定部を覆うように平たん(坦)に置く。その際,装置の側面は,装置に向き合う位置の測

定者と向かい側の位置にくる。試料が複層から成る場合は,実際にその試料を人が着用するのと同じ

重ね方で取り付ける。また,試料全体を平たん(坦)にするため,水蒸気不透過性の接着用テープ又

は軽い金属製の枠を用いてもよい。試料上面の毛羽立ちやしわ,試料と測定部との隙間及び複層の試

料の場合の各層の隙間は,それらがもともとの素材固有のものでない場合は,取り除く。 

b) 試料は,伸び又は負荷をかけず,また,試料が複層の場合は,その層間にて隙間がない状態で測定を

行う。ただし,伸び,負荷をかけるか,又は層間に隙間がある状態で試験を行った場合は,その内容

を試験報告書に記載する。 

c) 試料の厚さが3 mm以上ある場合は,測定部の高さを下げ,試料の上面が測定台と同一平面となるよ

うにする。 

B.6.3 温熱抵抗Rctの測定 

温熱抵抗Rctの測定は,次による。 

a) 測定部の温度(Tm)を35 ℃,空気の温度(Ta)を20 ℃及び相対湿度(F)を65 %に設定する。また,

空気の流速(va)は1 m/sとする。これらの設定値のずれは,B.4に規定する範囲内とする。空気流の

温度(Ta),相対湿度(F)及び流速(va)を異なる条件で試験を行った場合は,その結果へ影響も含

めて試験報告書に記載する。 

試料を測定部に据えた後,Tm,Ta,F及びHの測定値が定常状態になるまで測定は行わない。 

b) 温熱抵抗(Rct)は,式(B.3)で求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

0

ct

c

a

m

ct

)

(

)

(

R

H

H

A

T

T

R

×

=

 ····························································· (B.3) 

ここで,用いられる記号及び単位は,表B.1で定義されている。試験対象となる素材の温熱抵抗(Rct)

は,個々の測定結果の平均値で表す。 

B.6.4 水蒸気透過抵抗Retの測定 

水蒸気透過抵抗Retの測定は,次による。 

a) 水蒸気透過抵抗の測定は,B.6.1.2によって,測定部の上面に対して水蒸気透過性があり,液状の水が

不透過であるセロファン膜で被覆する。 

b) 測定部の温度(Tm)及び空気の温度(Ta)をいずれも35 ℃に,空気の相対湿度(F)を40 %に設定

する。また,空気の流速(va)を1 m/sに設定する。これらの設定値のずれは,B.4に規定する範囲内

とする。これらの等温状態の温度設定は,試料の内部で水蒸気の凝縮を発生させないためのものとす

る。相対湿度(F)及び流速(va)が異なる条件で試験を行ってもよい。その場合は,用いられた試験

条件とこの規格で定める試験条件とは異なる条件で試験を行ったことによって結果がどのように影響

を受けるか,という記述をも含めて試験報告書に記載する。 

仮に,空気流の温度(Ta)が変化すれば,等温状態が維持できなくなり,したがって,この規格の

適用要件を満たしていない。試料を測定部に据えた後は,Tm,Ta,F及びHの測定値が定常状態にな

るまで値の記録は行わない。 

c) 水蒸気透過抵抗(Ret)は,式(B.4)によって求める。 

et0

e

a

m

et

)

(

R

H

H

A

p

p

R

×

=

 ···························································· (B.4) 

ここで用いられる記号及び単位は,表B.1で定義されている。試験対象となる素材の水蒸気透過抵抗Ret

は,個々の測定結果の平均値で表す。 

B.7 

結果の精度 

B.7.1 結果の再現性(同一装置) 

温熱抵抗(Rct)は,繰り返し試験をして得られた値がいずれも50×10−3 m2・K/W以下のとき,単層の素

材の場合では,その誤差の範囲は3.0×10−3 m2・K/Wの範囲となることが分かっている。また,50×    

10−3 m2・K/Wを超えるようなフォーム材などのケースでは,7 %程度の誤差が生じることが分かっている。 

水蒸気透過抵抗(Ret)は,繰り返し試験をして得られた値がいずれも10 m2・Pa/W以下であれば,単層

の素材の場合,その誤差の範囲は0.3 m2・Pa/Wの範囲となることが分かっている。また,10 m2・Pa/Wを超

えるようなフォーム材などのケースでは,7 %程度の誤差が生じることが分かっている。 

B.7.2 結果の再現性(異なる装置間) 

3 mm,6 mm及び12 mmの異なる厚さのフォーム材を,4か所の試験所で試験評価を行った結果,Rctに

ついては標準偏差値で6.5×10−3 m2・K/W,Retについては,標準偏差値で0.67 m2・Pa/Wのばらつきが認め

られた。 

B.8 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) 規格番号 

b) 試験に供された素材に関する詳細な記述 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) B.6.2で規定された試料の準備に関する記述 

d) 試料から採取した試験片の数,それぞれの試料に対してなされた試験数 

e) 試験環境条件 

f) 

温熱抵抗の平均値及び/又は水蒸気透過抵抗の平均値 

g) この附属書と異なる条件が採られた場合のその内容 

h) 試験年月日 

27 

L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書BA 

(規定) 

素材の組織がルーズなものか又は厚さが不均一な試験片の装着方法 

この附属書は,1993年に第1版として発行されたISO 11092のAnnex Aを基に,技術的内容を変更する

ことなく規定したものである。 

BA.1 キルティング,寝袋のような素材の組織がルーズなものか又は厚さが不均一な試料から,試験片を

3枚採取する。もし採取できないときは,試験報告書に試験片の数を記載する。縫い止められて,厚さが

不均一になっているキルティング又は寝袋のような複合素材は,少なくとも2枚の試験片を,それぞれ温

熱抵抗及び水蒸気透過抵抗の測定用に準備する。 

BA.2 これらの試験片は枠内に装着する。この枠の厚さは,自然な状態に置かれた試験片の厚さとほぼ同

じとする。温熱抵抗(Rct)を測定するため,この枠の内寸は,少なくともl mm+2b mmとする(図B.1

及び図B.2参照)。 

水蒸気透過抵抗(Ret)を測定するために,この枠の内寸は,測定部の孔の開いたプレートの寸法と同じ

でなければならない。 

BA.3 2枚の試験片を選択する。その一つは,その試験片の中心部に可能な限り最大のキルティング数が

あるものであり,もう一つは,それが最小とする。 

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L 1099:2012  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書BB 

(規定) 

熱供給量補正値の測定 

この附属書は,1993年に第1版として発行されたISO 11092のAnnex Bを基に,技術的内容を変更する

ことなく規定したものである。 

BB.1 温熱抵抗及び水蒸気透過抵抗の測定を通して,測定部及び温熱ガードの温度は,同温となるように

する。B.4.1及びB.4.2で規定されている許容誤差は,実際には測定部と温熱ガードとの僅かな温度差に原

因している。そのような場合は,測定部に供給される熱供給量と試験片を透過する熱流速とは一致しない。

このため,温熱抵抗又は水蒸気透過抵抗の測定における熱供給量の補正値ΔHc又はΔHeがそれぞれ適用さ

れる。 

BB.2 熱供給補正値(ΔHc)は,測定部と温熱ガードとの間の温度差に関係し,次の式(BB.1)による。 

)

(

s

m

c

T

T

ΔH

 ··································································· (BB.1) 

ここに, 

α: 近似線の傾き 

Tm: 測定部の温度 

Ts: 温熱ガードの温度 

近似線の傾きαは,次による。 

測定部と温熱ガードとは断熱材によって覆われている(例えば,厚さ40 mmの発砲体)。空気の温度は,

20 ℃,測定部の温度は35 ℃に保たれている。また,温熱ガードの温度は,温度制御器によって常に34 ℃

〜36 ℃の間で0.2 ℃単位で制御される。それぞれが定常状態に達した後,測定部に供給される熱供給量を

測定する。熱供給量の回帰直線に対し,測定部と温熱ガードとの温度差から,近似線の傾きαが求められ

る。 

BB.3 熱供給補正値(ΔHe)は,式(BB.2)による。 

)

(

s

m

e

T

T

ΔH

 ··································································· (BB.2) 

ここに, 

β: 近似線の傾き 

Tm: 測定部の温度 

Ts: 温熱ガードの温度 

近似線の傾きβは,次による。 

測定部は,B.6.1.2に規定する液体の水を通さないセロファン膜で覆われ,水供給装置によって,水が供

給される。測定部及び温熱ガードは,液体の水を通さない素材(例えばポリエチレンテレフタレートフィ

ルム)及び断熱素材(例えば,厚さ40 mmの発砲体)によって覆われている。空気の温度は35 ℃,湿度

40 % RHに保たれ,温熱ガードは35 ℃に保たれている。 

測定部の温度は,温熱ガードとともに0.2 ℃の単位で温められている。測定部への熱供給量は,それぞ

れが定常状態に達した後に測定する。熱供給量の回帰直線に対し,測定部と温熱ガードとの温度差から,

近似線の傾きβが求められる。 

BB.4 熱供給補正値の近似線の傾きα及びβは,装置を変更又は修理した時は,必ず確認する。 

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L 1099:2012  

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参考文献 JIS K 6549 革の透湿度試験方法 

JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法) 

ISO 2528:1995,Sheet materials−Determination of water vapour transmission rate−Gravimetric (dish) 

method 

background image

附属書JA 

(参考) 

JISと対応国際規格との対比表 

JIS L 1099:2012 繊維製品の透湿度試験方法 

ISO 11092:1993,Textiles−Physiological effects−Measurement of thermal and  
water-vapour resistance under steady-state conditions (sweating quarded-hotplate test) 
ISO 15496:2004,Textiles−Measurement of water vapour permeability of textiles for 
the purpose of quality control 

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

繊維製品の透湿度試
験方法を規定。 

ISO 11092 

繊維製品及び繊維製品に使
用される資材,フィルムコ
ーティング製品及びこれら
の積層品について熱抵抗及
び水蒸気抵抗を測定する試
験方法として規定。 

変更 

ISO規格は,製品の着用状態を
前提として,繊維及びその複合
素材の熱抵抗及び水蒸気抵抗を
測定しているが,JISは,繊維
製品の透過湿度を重量で測定す
る方法を規定。 

この規格の使用実態を踏まえ,規
定を変更しているが,今後ISO規
格との整合化を含め,再検討する。 

ISO 15496 

品質管理のための簡便な透
湿度測定法として規定。 

追加 

JISは,ISO規格以外の試験方
法を追加。 

2 引用規
格 

3 用語及
び定義 

3.1 透湿度 
3.2 空孔率 
その他各種抵抗値を
規定。 

ISO 11092 

透湿度(WVP)の他,各種
抵抗値を規定。 

変更 

JISは,ISO規格を変更し,JIS
の試験方法に基づく用語を規
定。 

この規格の使用実態を踏まえ,規
定を変更しているが,今後ISO規
格との整合化を含め,再検討する。 

ISO 15496 

透湿度(WVP)を規定。 

変更 

4 試験場
所 

JIS L 0105に規定す
る標準状態を前提
に,できるだけ近い
場所を規定。 

ISO 11092 

5.3 

室内空気の温度及び湿度が
制御可能な試験室と規定。 

変更 

試験法の違いによる。 

ISO 15496 

5.8 

温度を23 ℃±3 ℃と規定。 変更 

試験法の違いによる。 

− 

      

2

L

 1

0

9

9

2

0

1

2

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

5 試料及
び試験片
の採取及
び準備 

JIS L 0105による試
験片の採取及び準備
方法を規定。 

ISO 11092 
ISO 15496 


6.1 

JISとほぼ同じ 

追加 

JISは,布地及び製品からの試
料採取及び準備方法をJIS L 
0105の6.3及び6.4によって詳
細に規定。 

ISO規格の見直しの際に,今後
ISO規格との整合化を含め,再検
討する。 

6 試験の
種類 

A法,B法及びC法
を規定。 

ISO 11092 
ISO 15496 

− 

選択 

JISは,ISO規格の規定内容と
は異なる規定内容を追加し,そ
れらのいずれかを選択するとし
ている。 

ISO規格の見直しの際に,今後
ISO規格との整合化を含め,再検
討する。 

7 試験方
法 

この規格の使用実態を踏まえ,規
定を追加しているが,今後ISO規
格との整合化を含め,再検討す
る。 

7.1.1 

A-1法(塩化カルシ
ウム法) 

− 

− 

追加 

JISでは,A-1法(塩化カルシウ
ム法)を追加した。 

7.1.2 

A-2法(ウォータ法) 

− 

− 

追加 

JISでは,A-2法(ウォータ法)
を追加した。 

7.2.1 

B-1法(酢酸カリウ
ム法) 

− 

− 

追加 

JISでは,B-1法(酢酸カリウム
法)を追加した。 

7.2.2 

B-2法(酢酸カリウ
ム法の別法I) 

− 

− 

追加 

JISでは,B-2法(酢酸カリウム
法の別法I)を追加した。 

7.2.3 

B-3法(酢酸カリウ
ム法の別法II) 

ISO 15496  

B-3法(酢酸カリウム法の別
法II)を,附属書Aに規定。 

一致 

− 

− 

7.3 

C法(発汗ホットプ
レート法) 

ISO 11092 

C法(発汗ホットプレート
法)を,附属書Bに規定。 

一致 

− 

− 

附属書A
(規定) 

B-3法(酢酸カリウ
ム法の別法II) 

ISO 15496  

品質管理のための簡便な透
湿度測定法として酢酸カリ
ウムの別法IIの試験方法を
規定。 

一致 

− 

− 

附属書
AA(参考) 

透湿度−試験結果の
適用 

Annex 

ISO 15496に規定する透湿
度がISO 11092に規定する
透湿度とは実質的に相違す
る旨を記述。 

一致 

− 

− 

    

2

L

 1

0

9

9

2

0

1

2

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

background image

(I)JISの規定 

(II) 
国際規格
番号 

(III)国際規格の規定 

(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び題名 

内容 

箇条 
番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

附属書AB
(参考) 

試験方法の背景とし
ての物理的原理 

ISO 15496 Annex 

水蒸気分圧の温度依存性に
ついて記述。 

一致 

− 

− 

附属書AC
(参考) 

ドライ乾燥剤カップ
法 

Annex 

ドライ乾燥カップ法の問題
点について記述。 

一致 

− 

− 

附属書B
(規定) 

C法(発汗ホットプ
レート法) 

ISO 11092 

繊維製品及び繊維製品に用
いる繊維素材その他の温熱
抵抗及び水蒸気抵抗の測定
方法を規定。 

一致 

− 

− 

附属書BA 
(規定) 

素材の組織がルーズ
なものか又は厚さが
不均一な試験片の装
着方法 

Annex 

試験片の採取数及び装着方
法を規定。 

一致 

− 

− 

附属書BB 
(規定) 

熱供給量補正値の測
定 

Annex 

熱供給量補正値の算出方法
について規定。 

一致 

− 

− 

JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO 11092:1993,ISO 15496:2004,MOD) 

注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 一致………………技術的差異がない。 
  − 追加………………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更………………国際規格の規定内容を変更している。 
  − 選択………………国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD…………… 国際規格を修正している。 

2

L

 1

0

9

9

2

0

1

2

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。