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L 1092:2009  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 試験場所 ························································································································· 2 

5 試験の種類 ······················································································································ 2 

6 試料の採取及び調製 ·········································································································· 2 

6.1 試料の採取及び準備 ······································································································· 2 

6.2 試料の前処理 ················································································································ 2 

7 試験方法 ························································································································· 4 

7.1 耐水度試験(静水圧法) ································································································· 4 

7.2 はっ水度試験(スプレー試験)························································································· 6 

7.3 雨試験(シャワー試験)A法 ···························································································· 8 

8 試験報告書 ····················································································································· 10 

附属書JA(参考)防水性試験方法 ·························································································· 12 

附属書JB(参考)防水加工剤の部属判定方法 ··········································································· 16 

附属書JC(参考)本体及び附属書JAの補足事項 ······································································ 29 

附属書JD(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 34 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人繊維評価

技術協議会(JTETC)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ

きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS L 1092:1998は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

L 1092:2009 

繊維製品の防水性試験方法 

Testing methods for water resistance of textiles 

序文 

この規格は,1981年に第1版として発行されたISO 811及びISO 4920,並びに1991年に第1版として

発行されたISO 9865を基に対応する部分の技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である

が,対応国際規格には規定されていない内容で,従来日本工業規格に規定されていた規定項目及び技術的

内容を追加して作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JDに示す。 

適用範囲 

この規格は,繊維製品の防水性の試験方法について規定する。 

なお,防水性とは,耐水性,はっ水性,漏水性などの総称である。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 811:1981,Textile fabrics−Determination of resistance to water penetration−Hydrostatic pressure 

test 

ISO 4920:1981,Textiles−Determination of resistance to surface wetting (Spray test) of fabrics 

ISO 9865:1991,Textiles−Determination of water repellency of fabrics by the Bundesmann rain-shower 

test 

(全体評価:MOD) 

なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを

示す。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 1521 パークロロエチレン(テトラクロルエチレン) 

JIS K 2201 工業ガソリン 

JIS K 2246 さび止め油 

JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則 

注記 対応国際規格:ISO 139:2005,Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing (MOD) 

JIS L 0208 繊維用語−試験部門 

JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS L 1096 一般織物試験方法 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS L 0105及びJIS L 0208による。 

試験場所 

試験場所は,JIS L 0105の5.1(試験場所)による。 

試験の種類 

試験の種類は,次による。 

a) 耐水度試験(静水圧法) 主に通気性がない繊維製品に適用する。 

1) A法(低水圧法) 主に防水帆布,テント用布,靴用布及び防水加工したものに適用する。 

2) B法(高水圧法) 主に通常10 kPa以上の水圧に耐えるものに適用する。 

注記1 ゴム引布,プラスチック引布などは,JIS K 6404-7に規定する方法で試験することが望

ましい。 

b) はっ水度試験(スプレー試験) 主に通気性がある繊維製品に適用する。 

c) 雨試験(シャワー試験)A法 主に自然降雨に対するはっ水性,漏水性などの性能の確認を要する繊

維製品に適用する。 

注記2 

雨試験(シャワー試験)にはJA.3.2に記載するB法がある。 

試料の採取及び調製 

6.1 

試料の採取及び準備 

試料及び試験片の採取及び準備は,JIS L 0105の箇条6(試料及び試験片の採取及び準備)による。 

6.2 

試料の前処理 

6.1の試料について,必要がある場合は,次の各処理を単独又は組合せを行ってから箇条7の試験をする。 

なお,前処理を行った試料の防水性保持率は,次の式によって処理前及び処理後の試料の試験値から算

出し,JIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって小数点以下1けたに丸める。 

100

0

×

=AA

RW

ここに, 

RW: 防水性保持率 (%) 

A0: 前処理を行っていない試料の試験値 

A: 前処理を行った試料の試験値 

6.2.1 

洗濯処理 

洗濯処理は,次のいずれかの方法による。 

a) A法(かくはん形洗濯機を用いる方法) JIS L 1096の8.23.1[A法(かくはん形洗濯機を用いる方法)]

に規定する方法とし,乾燥方法はドリップ乾燥とする。 

b) B法(シリンダ形洗濯機を用いる方法) JIS L 1096の8.23.2 [B法(シリンダ形洗濯機を用いる方

法)]に規定する方法。 

c) C法(家庭用電気洗濯機を用いる方法) JIS L 0217の付表1[記号別の試験方法−洗い方(水洗い)]

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の番号103に規定する方法。 

6.2.2 

ドライクリーニング処理 

ドライクリーニング処理は,次のいずれかの方法による。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているとしても,安全及び健康に対する

適切な処置を取らなければならない。パークロロエチレンは,吸引などによって人体に悪影響

を及ぼすおそれがあり,工業ガソリンは,取扱いの不備によって引火などのおそれがあるので

注意して扱う必要がある。 

a) A法(パークロロエチレン法) 図1に示すウォッシュシリンダ形洗濯装置のシリンダに約30 ℃の

JIS K 1521に規定するパークロロエチレンを約4 L入れ,その中へ約500 mm×500 mmの試料及び負

荷布1) を合わせて約450 gとなるように調整したものを投入し,10分間運転する。 

注1) JIS L 0803に規定する綿布(添付白布3-1号)を用い,周辺を縁取りしたもので,試験片と

同じ大きさとする。 

b) B法(石油系法) 6.2.2 a)と同様の方法による。ただし,試験液の溶剤は,パークロロエチレンをJIS 

K 2201に規定する工業ガソリン5号(クリーニングソルベント)に替えたものとする。 

図1−ウォッシュシリンダ形洗濯装置の一例 

c) ドライクリーニング処理の脱液及び乾燥 脱液は,遠心脱水機でほぼ液が流出しなくなるまで行うが,

それができないときは,軽く押さえて液を切り,ろ紙2) 又は布の間に挟み,押さえて脱液する。マン

グルで絞ってはならない。 

乾燥は,次の4種類のうちいずれか一つを選んで行う。 

1) スクリーン乾燥 脱液後,取り出した試験片をねじったり伸ばしたりすることなく不自然なしわを

除いて,水平なスクリーンメッシュ又は類似の孔の開いた面上に載せて広げて自然乾燥する。 

2) ライン乾燥 脱液後,たて方向又はウェール方向が垂直になるように,数箇所をつかみ,つるして

自然乾燥する。 

注記1 ライン乾燥は,ウェール方向に伸びやすい編地には用いない方がよい。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3) ドリップ乾燥 試験片を脱液することなく,たて方向又はウェール方向が垂直になるように,数箇

所をつかみ,つるして自然乾燥する。 

注記2 ドリップ乾燥は,ウォッシュ・アンド・ウェア性の生地に用いる。 

4) タンブル乾燥 脱液後,タンブル乾燥機に入れて50 ℃〜70 ℃の温度で30分間又は乾燥するまで

運転する。ただし,B法(石油系法)で処理した試験片は,引火などのおそれがあるのでタンブル

乾燥は行わない。 

注2) 

JIS P 3801に規定する定性分析用ろ紙の種類の“2種”とする。 

6.2.3 

耐候処理 

JIS K 2246の6.36(耐候性試験方法)に規定する方法とし,1回の処理時間は20時間とする。 

試験方法 

7.1 

耐水度試験(静水圧法) 

試験は静水圧法で行い,次のA法(低水圧法)又はB法(高水圧法)のいずれかによる。 

注記 静水圧法には,附属書JAに記載する一定水圧法及び漏水法がある。 

7.1.1 

A法(低水圧法) 

7.1.1.1 

装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 耐水度試験装置(低水圧用) 図2に示す装置又はこれと同等なもので,水準装置は,600 mm/min±

30 mm/min又は100 mm/min±5 mm/minの速さで上昇できるもの。また,クランプは試験片の水に当

たる部分が100 cm2の大きさのもの。 

b) 水圧計(マノメータ) 5 mm目盛で,水準装置を上昇させたときの最高水位が約1 000 mm以上のも

の。 

c) 水 イオン交換水又はこれと同等の水を用い,試験時の温度は20 ℃±3 ℃とするが,ほかの場合は,

そのときの温度を試験報告書に記載する。 

注記 水の温度は,試験結果に影響する場合がある。 

7.1.1.2 

操作 

箇条6の試料から,約150 mm×150 mmの試験片を5枚採取し,図2の耐水度試験装置に試験片の表側3) 

が水に当たるように取り付け,水を入れた水準装置を600 mm/min±30 mm/min又は100 mm/min±5 mm/min

の速さで水位を上昇させ,試験片の裏側に3か所から水が出たときの水位をmm単位で測る。記録する水

位の正確さは,次による。 

− 1 000 mmまで             : 5 mm 

− 1 000 mm以上2 000 mm未満:10 mm 

− 2 000 mm以上             :20 mm 

5回の平均値をJIS Z 8401の規則B(四捨五入法)によって整数位に丸める。ただし,水位を上昇させ

ても3か所から水が出ない場合は,1か所又は2か所から水が出たときまでの水位を測り,その旨を試験

報告書に記載する。 

なお,水滴が現れてから大きくならない非常に小さい水滴,又は同じ位置から通過してできる水滴は,

計算に入れない。 

注記 耐水度試験A法(低水圧法)は,ISO 811と同様な試験方法である。 

注3) 表側とは,防水面又は使用時に水が当たる側をいう。 

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単位 mm 

図2−耐水度試験装置(低水圧用)の一例 

7.1.2 

B法(高水圧法) 

7.1.2.1 

装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 耐水度試験装置(高水圧用) 図3に示す装置又はこれと同等なもので,1分間に100 kPaの割合で水

圧を加えることができるもの。 

b) 水 イオン交換水又はこれと同等の水を用い,試験時の温度は20 ℃±3 ℃とするが,ほかの場合は,

そのときの温度を試験報告書に記載する。 

7.1.2.2 

操作 

箇条6の試料から,約150 mm×150 mmの試験片を5枚採取し,図3の耐水度試験装置に試験片の表側3) 

が水に当たるように取り付け,シリンダに水を入れ,ピストンハンドルを回して1分間に100 kPaの割合

で水圧を加えて,試験片の裏側に3か所から水が出たときの水圧 (kPa) を圧力指示計の目盛の1/2まで読

み取る。 

5回の平均値を,JIS Z 8401 の規則B(四捨五入法)によって小数点以下1けたに丸める。ただし,水

圧を上げても3か所から水が出ない場合は,1か所又は2か所から水が出たときの水圧を測り,その旨を

試験報告書に記載する。 

なお,水滴が現れてから大きくならない非常に小さい水滴又は同じ位置から通過してできる水滴は,計

算に入れない。 

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単位 mm 

図3−耐水度試験装置(高水圧用)の一例 

7.2 

はっ水度試験(スプレー試験) 

7.2.1 

装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) はっ水度試験装置 図4に示す装置又はこれと同等なもので,漏斗は250 mL以上の容量,スプレー

ノズルは250 mLの水を25秒〜30秒で散布できるもの。 

b) 試験片保持枠 直径150 mmの金属製のもの又はこれと同等なもの。 

c) 湿潤状態の比較見本 図5に示すように,湿潤状態によってその等級を定めてあるもの。 

d) 水 イオン交換水又はこれと同等の水を用い,試験時の温度は20 ℃±3 ℃とするが,ほかの場合は,

そのときの温度を試験報告書に記載する。 

7.2.2 

操作 

箇条6の試料から,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し,試験片保持枠にしわを生じないように

取り付け,図4のはっ水度試験装置を用いて,スプレーの中心を保持枠の中心に一致させ,試験片のたて

方向が水の流れに対して平行になるよう一致させる。水250 mLを漏斗に入れて試験片上に所要時間25秒

〜30秒で散布する。 

次に,保持枠を台上から外し,その一端で水平に持ち,試験片の表側を下向きにして他端を固い物に一

度軽く当て水滴を落とし,更に180°回した一端を持ち,前と同様に操作して余分の水滴を落とす。保持

枠に付けたまま試験片のぬれた状態を図5の湿潤状態の比較見本と比較し,判定する。ただし,中間の格

付けは行わない。 

注記 はっ水度試験(スプレー試験)は,ISO 4920と同様な試験方法である。 

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単位 mm 

図4−はっ水度試験装置の一例 

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1級:表面全体に湿潤を示すもの。 
2級:表面の半分に湿潤を示し,小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。 
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。 
4級:表面に湿潤しないが,小さな水滴の付着を示すもの。 
5級:表面に湿潤及び水滴の付着がないもの。 

図5−湿潤状態の比較見本 

7.3 

雨試験(シャワー試験)A法 

雨試験(シャワー試験)A法は,次による。 

7.3.1 

装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) ブンデスマン雨試験装置 図6に示す装置又はこれと同等なもので,シャワー部と試験部とからなる。 

シャワー部は,直径406 mmの円形部分(面積約1 300 cm2)に約300個の水滴発生ノズル(ノズル

の直径は4 mmで,約0.07 mLの水滴をつくる。)をもち,100 cm2に対して100 mL/min±5 mL/minの

量を降雨することができるものとする。 

試験部は,試験カップ4個をその中心軸が垂線に対し15°傾くように架台に取り付けられ,架台は,

1分間に約6回転するものとする。各試験カップは,外径100 mmで,上部に試験片保持環で試験片

(試験面積 80 cm2)を取り付けられ,試験片を透過した水はカップにたまるものとする。カップ内に

は,長さ4)  48 mm,幅約5 mm,末端の丸めの半径5 mmの,表面が滑らかなステンレス鋼製の摩擦

子があり,試験中,試験片に対し角度100°,押圧荷重2.5 Nで1分間に20回の往復回転運動をして,

試験片を裏側から摩擦するものとする。シャワー部の水滴発生ノズルから試験部に取り付けられた試

験片の中央までの距離(降雨距離)は,1 500 mmとする。 

1級 

4級 

5級 

2級 

3級 

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注4) 

長さ方向上方に半径630 mmで緩やかに曲がっている。 

b) 湿潤状態の比較見本 図7に示すように湿潤状態によってその等級が定めてあるもの。 

c) 遠心機 直径175 mmの水平な試験片保持面を備えた1分間に700回転する(運転開始後2秒以下で

この回転数に達する。)円盤で,回転部分の総質量が410 gのもの。試験片保持面には,約50の放射

状のうね(高さ1 mm)があり,また,試験片を止めるための長さ6 mmの鋼製ピンが,回転軸から

60 mmの箇所に等間隔で4本あるものとする。 

d) 天びん 0.01 gまで測定できるもの。 

e) 水 温度20 ℃±3 ℃とする。これ以外の場合は,試験時の温度を試験報告書に記載する。 

単位 mm 

図6−ブンデスマン雨試験装置 

7.3.2 

シャワーの準備 

試験装置の各部を点検した後,シャワー部から約15分間降雨して,各試験カップに2.5分間に200 mL

±10 mLの水がたまるように,シャワー部の降雨量調節バルブを調節する。 

7.3.3 

操作 

箇条6の試料から,直径140 mmの円形の試験片を4枚採取してその質量を0.01 gまで量り,試験カッ

プに取り付け,試験部の架台に固定して運転を始める。シャワー部から10分間降雨(降雨時間は,1分又

は5分で行ってもよい。)した後,降雨を止める。試験片の表面の湿潤状態を,比較見本と比較して採点し,

試験片を試験カップから取り外し,遠心機に取り付けて15秒間操作して試験片上の余分な水滴を除去した

後,直ちにその質量を0.01 gまで量る。さらに,試験片を透過してカップにたまった水の体積を量って漏

水量 (mL) とする。 

7.3.4 

試験結果 

7.3.4.1 

吸水量及び吸水率 

次の式によって試験片の吸水量V (g) 及び吸水率 R (%) を算出し,4枚の平均値をJIS Z 8401の規則B

(四捨五入法)によって,吸水量は,小数点以下2けたまで,吸水率は,小数点以下1けたに丸める。 

0

M

M

V

=

ここに, 

V: 吸水量 (g) 

10 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

M0: 試験前の試験片の質量 (g) 

M: 試験後の試験片の質量 (g) 

100

0

=

M

M

M

R

ここに, 

R: 吸水率 (%) 

M0: 試験前の試験片の質量 (g) 

M: 試験後の試験片の質量 (g) 

7.3.4.2 

はっ水度 

はっ水度は,図7に示すように,湿潤状態によってその等級を定める。4枚の平均値をJIS Z 8401の規

則B(四捨五入法)によって整数位に丸める。 

注記 雨試験(シャワー試験)A法は,ISO 9865と同様な試験方法である。 

試験報告書 

試験報告書には,試験の種類別に次の事項を記載する。ただし,6.2の試料の前処理をした場合には,そ

の処理方法,処理回数及び処理時の条件を記載する。 

a) 試験年月日 

b) 規格番号 

c) 試験の種類 

d) 試験条件(試験場所の温度及び湿度,水温等) 

e) 試験結果 

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11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図7−湿潤状態の比較見本 

2級 

5級 

4級 

3級 

1級 

12 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JA 

(参考) 

防水性試験方法 

JA.1 適用範囲 

この附属書は,従来日本工業規格に規定されていた一定水圧法又は漏水法による耐水度試験及び雨試験

B法について記載する。 

JA.2 試験の種類 

試験の種類は,次による。 

a) 耐水度試験(一定水圧法又は漏水法) この試験は,主に通気性がない繊維製品に適用する。 

1) A法(低水圧法) 

2) B法(高水圧法) 通常,10 kPa以上の水圧を加えて試験できる試料に適用する。 

b) 雨試験(シャワー試験)B法 

JA.3 試験方法 

JA.3.1 耐水度試験(一定水圧法又は漏水法) 

試験は一定水圧法又は漏水法で行い,A法(低水圧法)又はB法(高水圧法)による。 

JA.3.1.1 A法(低水圧法) 

JA.3.1.1.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 耐水度試験装置(低水圧用) 7.1.1.1 a) と同等のもの。 

b) 水圧計(マノメータ) 7.1.1.1 b) と同等のもの。 

c) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

d) メスシリンダー 1 mL目盛のもの。 

e) 水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合は,そのと

きの温度を付記する。 

JA.3.1.1.2 操作 

箇条6の試料から,約150 mm×150 mmの試験片を次の各試験について,それぞれ5枚ずつ採取し,耐

水度試験装置(低水圧用)に試験片の表側1) が水に当たるように取り付け,水を入れた水準装置を600 

mm/min±30 mm/min又は100 mm/min±5 mm/minの速さで上昇させて,次のいずれかの方法で耐水度を求

め,5回の平均値を小数点以下1けたに丸める。この場合,用いた方法を付記する。 

注1) 表側とは,防水面又は使用時に水が当たる側をいう。 

JA.3.1.1.3 一定水圧法 

水位を一定水位に上昇させて放置したとき,試験片の裏側に3か所から水が出たときまでの時間を0.5

秒まで計る。試験結果には,一定水位を記載する。ただし,3か所から水が出ない場合は,1か所又は2

か所から水が出たときまでの時間を計るか,高い水位に変更して行い,その旨を付記する。 

なお,水滴が現れてから大きくならない非常に小さい水滴は,計算に入れない。 

13 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JA.3.1.1.4 漏水法 

水位を一定水位に上昇させた後,一定時間後に試験片を透過した水をメスシリンダーに入れてその体積 

(mL) を量り,面積 (cm2) 当たりで表す。試験結果には,一定水位及び一定時間を付記する。 

JA.3.1.2 B法(高水圧法) 

JA.3.1.2.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 耐水度試験装置(高水圧用) 7.1.2.1 a) と同等のもの。 

b) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

c) メスシリンダー 1 mL目盛のもの。 

d) 水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合は,そのと

きの温度を付記する。 

JA.3.1.2.2 操作 

箇条6の試料から,約150 mm×150 mmの試験片を次の各試験について,それぞれ5枚ずつ採取し,耐

水度試験装置(高水圧用)に試験片の表側1) が水に当たるように取り付け,シリンダに水を入れ,ピスト

ンハンドルを回して1分間に100 kPaの割合で水圧を加え,次の各方法によって耐水度を求め,5回の平均

値を小数点以下1けたに丸める。この場合,用いた方法を付記する。 

JA.3.1.2.3 一定水圧法 

一定水圧を加えて放置したとき,試験片の裏側に3か所から水が出たときまでの時間(0.5秒まで)を計

る。試験結果には,一定水圧(kPa)を記載する。ただし,3か所から水が出ない場合は,1か所又は2か所

から水が出たときまでの時間を計るか,高い水圧に変更して行い,その旨を付記する。 

なお,水滴が現れてから大きくならない非常に小さい水滴は,計算に入れない。 

JA.3.1.2.4 漏水法 

一定水圧を加えた後,一定時間後に試験片を透過した水をメスシリンダーに集めて,その体積 (mL) を

量り,単位面積 (cm2) 当たり小数点以下1けたに丸める。試験結果には,一定水圧(kPa)及び一定時間を付

記する。 

JA.3.2 雨試験(シャワー試験)B法 

注記 この試験で,試験片のはっ水度を7.3によって求めることができる。 

JA.3.2.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 人工降雨試験装置 図6に示すもの。 

b) 雨量計 降雨量を測定できるもの。 

c) ろ紙 JIS P 3801に規定する2種の円形ろ紙(直径150 mm)を用いる。 

d) カーペット 降雨時,水のはね返りを防止できるもの。 

e) 天びん 0.1 gまで測定できるもの。 

f) 

水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合は,そのと

きの温度を付記する。 

JA.3.2.2 操作 

図JA.1の人工降雨試験装置を用いて,雨量計をカーペットの上に置いて降雨させたとき,降雨量が6 

mm/h〜8 mm/h 2) になるように人工降雨装置の給水量及び試験片保持台の設置場所を選定する。 

次に,箇条6の試料から,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し,その裏側に0.1 gの単位まで量

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

った質量既知の吸取り用のろ紙を1枚ずつ密着させて試験片保持台に取り付け,これを人工降雨装置の選

定場所に設置して,水を5分間3) 降雨する。降雨終了後,直ちにろ紙を取り出してその質量を量り,次の

式によって浸透量P 4) を算出し,3回の平均値を小数点以下2けたに丸める。降雨量又は降雨時間を変え

て行った場合は,それを記載する。 

0

M

M

P

=

ここに, 

P: 浸透量 (g) 

M0: 試験前のろ紙の質量 (g) 

M: 試験後のろ紙の質量 (g) 

注2) 降雨量6 mm/h〜8 mm/hは,通常の並雨程度の降雨であるが,大雨に近い状態を試験するときは,

降雨量を10 mm/h〜15 mm/hとする。 

3) かさ(傘)地などを試験する場合は,降雨時間を15分間とする。 

4) 透量が5 g以上になったときは試験を中止し,降雨量又は降雨時間を変えて行う。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図JA.1−人工降雨試験装置 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JB 

(参考) 

防水加工剤の部属判定方法 

JB.1 適用範囲 

この附属書は,防水加工された繊維製品上の防水加工剤の種類を,赤外分光分析によって判定する方法

について記載する。 

注記 この附属書による部属判定の対象となる防水加工剤を,表JB.1に示す。この附属書の操作によ

って,防水以外の目的で使用された加工剤の判定も可能となる。 

警告 この規格の利用者は,通常の実験室での作業に精通しているとしても,安全及び健康に対する

適切な処置を取らなければならない。抽出溶媒は,吸引などによって人体に悪影響を及ぼすお

それがあり,また,環境に悪影響を及ぼすおそれがあるので注意して扱う必要がある。 

表JB.1−防水加工剤の種類及び抽出溶媒 

抽出溶媒 

不通気性防水加工用 

(コーティング加工用)の加工剤 

通気性防水加工用 

(はっ水加工用)の加工剤 

a) 





























尿

















メタノール 

× 

× 

× 

× 

○ 

△ 

△ 

○ 

○ 

○ 

△ 

× 

ベンゼンb) 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

○ 

× 

× 

× 

○ 

△ 

トリクロロトリ 
フルオロエタン 

× 

× 

△ 

× 

△ 

× 

△ 

× 

× 

△ 

△ 

○ 

注記 ○は抽出可能,△は繊維の種類によっては抽出可能,×は抽出不可能を示す。 
注a) ゴム系の種類は,イソプレン系,ブタジエン系,スチレンブタジエン系,クロロプレン系,

アクリロニトリルブタジエン系及び天然ゴム系(イソプレン)とする。 

b) ベンゼンで抽出する場合,アセテート繊維などは溶解して試験の妨害となるので,カラム

クロマトグラフィなどによって分解する。 

JB.2 装置 

JIS K 0117に規定する性能の赤外分光光度計を用いる。 

JB.3 操作 

JB.3.1 抽出 

試料から約5 gの試験片を採取し,還流冷却器を付けた容量200 mLの丸底フラスコに入れ,これに抽出

溶媒1) を150 mL加える。 

抽出溶媒の沸点まで加温して1時間抽出を行った後,抽出液をガラスろ過器2) で温かい間にろ過する。

これを容量200 mLのなす形フラスコに入れ,ロータリーエバポレータを用いて抽出液が2 mL〜3 mLにな

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

るまで濃縮する。 

注1) 抽出溶媒は,JIS K 8858に規定するもの,JIS K 8891に規定するもの又は1, 1, 2-トリクロロ-1, 2, 

2-トリフルオロエタンを用いる(表JB.1参照)。 

2) JIS R 3503に規定するもので,ガラスろ過板は,細孔記号2のもの。 

JB.3.2 精製 

内径10 mm〜15 mm,長さ200 mm〜300 mmのカラムクロマト管にグラスウールを詰めた後のカラムク

ロマト用シリカゲル3) をヘキサン4) に混濁したものを約150 mmの高さになるまで詰める。これにJB.3.1

において濃縮した抽出液を入れた後,ヘキサン4),クロロホルム5),メタノールの順に各約100 mLをカラ

ムクロマト管に滴下する。カラムクロマト管を通過した流出液は溶媒ごとに容量100 mLのなす形フラス

コに受け6),ロータリーエバポレータを用いて留去する。 

注3) カラムクロマト用シリカゲルは,40〜80メッシュのものを用いる。高さを約150 mmにするに

は内径が10 mmの場合は約5 g,内径が15 mmの場合は,約10 gのシリカゲルが必要となる。 

4) ヘキサンは,JIS K 8848に規定するものを用いる。 

5) クロロホルムは,JIS K 8322に規定するものを用いる。 

6) JB.3.3で判定が困難な場合は,JB.3.1からの操作を再度行い,JB.3.2において同じ溶媒を細か

く分取することによって混合物を分離する。 

JB.3.3 判定 

JB.3.2において精製した抽出物を,抽出物が固体の場合は臭化カリウム錠剤法,抽出物に粘性がある場

合は薄膜法によって調製し,JIS K 0117に準じて赤外吸収スペクトルを測定する。次に,あらかじめ作成

しておいた標準防水加工剤スペクトル図と比較して判定する。臭化カリウム錠剤法によって得られたスペ

クトル図の例を,図JB.1.1〜図JB.12.2に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.1.1−イソプレンゴム系 

図JB.1.2−ブタジエンゴム系 

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19 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.1.3−スチレンブタジエンゴム系 

図JB.1.4−クロロプレンゴム系 

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20 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.1.5−アクリロニトリルブタジエンゴム系 

図JB.1.6−天然ゴム系 

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21 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.2−ポリ塩化ビニリデン系 

図JB.3−ポリ塩化ビニル系 

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22 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.4−ポリエチレン系 

図JB.5−ポリ酢酸ビニル系 

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23 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.6−ポリウレタン系 

図JB.7−パラフィン系 

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24 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.8−エチレン尿素系 

図JB.9−メラミン系 

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25 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.10−メチロールアミド系 

図JB.11.1−シリコン系 その1 

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26 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.11.2−シリコン系 その2 

図JB.11.3−シリコン系 その3 

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27 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.11.4−シリコン系 その4 

図JB.12.1−ふっ素系 その1 

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28 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図JB.12.2−ふっ素系 その2 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JC 

(参考) 

本体及び附属書JAの補足事項 

JC.1 はっ水度試験(水滴法) 

はっ水度試験として,7.2のスプレー試験以外に,この水滴法がある。 

JC.1.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 試験片保持枠 直径150 mmの金属製のもの。 

b) ビュレット 0.1 mLに分割できるもの。 

c) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

d) 水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は原則として20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合

は,そのときの温度を付記する。 

JC.1.2 操作 

箇条6の試料から,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し,直径150 mmの試験片保持枠にしわを

生じないように取り付け,水平状態において試験片上20 mmの高さからビュレットを用いて水を0.1mL

ずつ5か所に滴下し,水滴が試験片中に浸透するまでの時間(秒)を計り,3回の平均値を小数点以下1

けたに丸める。 

JC.2 雨試験(シャワー試験) 

雨試験として7.3及びJA.3.2以外に,次のA法及びB法がある。A法は,AATCC Test Method 35 (Water 

Resistance : Rain Test),及びB法は,BS 5066 (Method of test for the resistance of fabrics to an artificial shower) と

ほぼ同様な試験方法である。 

JC.2.1 A法(AATCC法) 

JC.2.1.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

a) 雨試験装置 図JC.1に示すもので,水柱の高さは600 mm〜2 400 mm間で300 mmを単位として上昇

できる装置。 

b) 吸取り用ろ紙 JIS P 3801に規定する2種の円形ろ紙(直径150 mm)を用いる。 

c) 天びん 0.1 gまで測定できるもの。 

d) 水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合は,そのと

きの温度を付記する。 

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30 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図JC.1−雨試験装置の一例 

JC.2.1.2 操作 

箇条6の試料から,約200 mm×200 mmの試験片を3枚採取し1),0.1 gの単位までひょう量した直径150 

mmの吸取り用ろ紙を1枚ずつ試験片の裏側に密着させて,試験片保持具に固定し,雨試験装置に試験片

の表面がスプレーノズルから305 mm離れてその中心が一致するように取り付ける。水柱の高さを調節し

2),スプレーノズルを水平にして給水口から水を注入して5分間ノズルから散布した後,吸取り用ろ紙を

取り出し直ちにその質量を量り,次の式によって浸透量 P (g) を算出し,3回の平均値を小数点以下1け

たに丸める。試験結果には,試験時の水柱の高さ (mm) を付記する。 

0

=

M

M

P

ここに, 

P: 浸透量 (g) 

M0: 試験前のろ紙の質量 (g) 

M: 試験後のろ紙の質量 (g) 

注1) 試験片は1枚もの,2枚重ねのもの,レインコートなどのように表地と裏地の組合せのものな

どによって調製してもよい。 

2) 水柱の高さは600 mm〜2 400 mmの間で300 mmを単位として設定する。必要に応じ,水柱の高

さを,浸透量が0 gとなる最大の高さからろ紙が破れるか又は浸透量が5 g以上となる最小の高

さまで300 mm単位で増して,それぞれの水柱の高さにおける浸透量を求める。 

JC.2.2 B法(BS法) 

B法(BS法)は,WIRA法ともいわれ,試験は,次による。 

JC.2.2.1 装置及び材料 

装置及び材料は,次による。 

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31 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) シャワー試験装置 図JC.2に示すもの。シャワーヘッドは,図JC.3のような孔開きポリテトラフル

オロエチレン板とし,試験片保持台には,図JC.4のようなうね付きガラス受板 (81 mm×135 mm) を

用いる。 

b) 振とう器 重い台の上に立つ柱に沿って試験片保持枠が垂直に300 mm自由落下し,ゴム製のストッ

パに当たって試験片に衝撃を与えるもの。 

c) ストップウォッチ 0.5秒を計測できるもの。 

d) 天びん 1 mgまで測定できるもの。 

e) メスシリンダー シャワーヘッドに水を注入する50 mL及び500 mLのもの及び試験片を透過した水

量を測定する10 mL〜500 mLのもの。 

f) 

ろ紙 JIS P 3801に規定する2種の円形ろ紙(直径90 mm)を用いる。 

g) 水 蒸留水又はイオン交換水を用い,試験時の温度は通常20 ℃±2 ℃とするが,ほかの場合は,そ

のときの温度を付記する。 

単位 mm 

図JC.2−シャワー試験装置の一例 

 
 

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32 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図JC.3−シャワーヘッド部 

単位 mm 

図JC.4−シャワー水滴がうね付きガラス受板にかかる状況 

JC.2.2.2 試験の準備 

うね付きガラス受板を水3) で洗浄し,界面活性剤の洗浄液約1.5 Lを入れた2 Lのビーカ中に浸し15分

間放置した後10分間流水3) で洗浄し,更に約50 ℃の水を入れた2 Lビーカ中に1分間浸し,取り出して

乾燥する。 

シャワーヘッド部については,孔開きポリテトラフルオロエチレン板をティッシュペーパーで乾かして

からその上に直径90 mmのろ紙を置き,2 mL〜3 mLの水を入れて板とろ紙を密着させ,更にろ紙を板の

孔へ少し押し込み,これを貯水槽の底に取り付ける。貯水槽を水準器で水平にしてこれに50 mLの水を入

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33 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

れ,水位が約8 mmになるようにする。水滴がろ紙を通して各孔から一様に落下し4),2秒〜3秒間で水滴

落下が停止するが,そのときの水位が約5 mmになることを確認する。 

次に,箇条6の試料から,125 mm×250 mmの試験片を4枚採取する。その質量をmgまで量り,図JC.2

のようにうね付きガラス受板上に置いて試験片保持台に取り付け,試験装置の所定の場所に固定し,メス

シリンダー及びビーカに接続する。 

注3) JC.2.2.1 g) に規定する水を用いなくともよい。 

4) シャワーヘッドの各孔から水滴が一様に落下しない場合は,ガラス棒でろ紙の位置を調整する

か又はろ紙を取り替える。 

JC.2.2.3 操作 

図JC.2のシャワー試験装置を用い,漏斗に水500 mLを入れ,流量調節管の下のゴムバルブを開いて試

験片上に約7.5分間散布する5)。散布終了から8.5 min    s後に試験片を取り外し,振とう器を用いて試験

片上の余分な水滴を除去した後,直ちにその質量を1 mgまで量る6)。試験片の吸水率 (%) は,次の式に

よって算出し,更に,図JC.2のように試験片を透過しメスシリンダーに受けた水の体積を量って漏水量 

(mL) 7) とし,吸水率及び漏水量を4回の平均値で表す8)。 

100

0

=

M

M

M

R

ここに, 

R: 吸水率 (%) 

M0: 試験前の試験片の質量 (mg) 

M: 試験後の試験片の質量 (mg) 

注5) 流量調節管を500 mLの水が7.5 min±10 sで落ちるように調節しておく。ゴムバルブを開いて

漏斗の水が貯水槽に約7 mmの水位を保つようにすると安定したシャワーが落ちてくる(この

ときの水滴は約65 mgである。)。 

6) 吸水した試験片の水分の発散を防ぐため,試験片の質量は密閉器に入れて量る。 

7) 必要があれば,漏水量が10 mLに達するまでの時間を計る。 

8) 吸水率が10 %以下のときは0.5 %まで,10 %を超えるときは,%の単位まで,また,漏水量が

10 mL以下のときは0.5 mLまで,10 mLを超えるときは1 mL単位まで測定し,算出する。 

参考文献 JIS K 0117 赤外分光分析方法通則 

JIS K 6404-7 ゴム引布・プラスチック引布試験方法−第7部:防水試験 

JIS K 8322 クロロホルム(試薬) 

JIS K 8848 ヘキサン(試薬) 

JIS K 8858 ベンゼン(試薬) 

JIS K 8891 メタノール(試薬) 

JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布 

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用) 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

AATCC Test Method 35,Water Resistance : Rain Test 

BS 5066,Method of test for the resistance of fabrics to an artificial shower 

020

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34 

L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書JD 

(参考) 

JISと対応する国際規格との対比表 

JIS L 1092:2009 繊維製品の防水性試験方法 

ISO 811:1981,Textile fabrics−Determination of resistance to water penetration−
Hydrostatic pressure test 
ISO 4920:1981,Textiles−Determination of resistance to surface wetting (Spray test) 
of fabrics 
ISO 9865:1991,Textiles−Determination of water repellency of fabrics by the 
Bundesmann rain-shower test 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

1 適用範
囲 

繊維製品の防水性
の試験方法につい
て規定。 
 
 
 
 
 
 

ISO 811 
 
 
ISO 4920 
 
 
ISO 9865 


 
 

 
 

生地の耐水浸透性の測定
方法(静水圧法)につい
て規定。 
生地のはっ水性の測定方
法(スプレー法)につい
て規定。 
生地のはっ水性の測定方
法(ブンデスマン法)に
ついて規定。 

変更 

JISは,ISO規格を包含し,防
水性試験方法として範囲を変
更。 
 

実質的な差異はない。 

2 引用規
格 

3 用語及
び定義 

JIS L 0105及び 
JIS L 0208による。 

ISO 4920 
ISO 9865 


スプレー等級 
はっ水性 

追加 

JISは,試験方法の中で明示及
び包括的な用語規格を追加。 

実質的な差異はない。 

5 試験の
種類 

a) 耐水度試験(静水
圧法) 
2) B法(高水圧法) 

− 

追加 

JISは,試験の種類及び高水圧
法を追加。 

規格構成上の追加であり,問題な
い。 

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L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

6 試料の
採取及び
調製 
6.1試料の
採取及び
準備 
6.2試料の
前処理 

JIS L 0105による。 
 
 
 
 
 
6.2.1 洗濯処理 
a) A法(かくはん形
洗濯機を用いる方
法) 
b) B法(シリンダ形
洗濯機を用いる方
法) 
c) C法(家庭用電気
洗濯機を用いる方
法) 

ISO 811 
ISO 4920 
 
ISO 9865 
 
 
− 



 

 
 
 

試験片は,試料を代表す
るような箇所から採取す
る。 
試験片は,試料の端から
採取しない。 
 
 

変更 
 
 
 
 
 
追加 

JISは,ISO規格を包含し,試
料及び試験片の採取箇所を具
体的に規定するなど採取方法
を変更。 
 
 
JISは,実用性能上の試験方法
として洗濯及びドライクリー
ニング処理など前処理を必要
とする場合の具体的処理方法
を追加。 
 

実質的な差異はない。 
 
 
 
 
 
我が国は,洗濯及びドライクリー
ニング処理前後の防水性能を評
価する試験が定着しており,ISO
規格への追加提案を検討する。 

6.2.2 ドライクリー
ニング処理 
a) A法(パークロロ
エチレン法) 
b) B法(石油系法) 
c) ドライクリーニ
ング処理の脱液及
び乾燥 
1) スクリーン乾燥 
2) ライン乾燥 
3) ドリップ乾燥 
4) タンブル乾燥 
6.2.3 耐候処理 

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2

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L 1092:2009  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(Ⅰ)JISの規定 

(Ⅱ) 
国際規格
番号 

(Ⅲ)国際規格の規定 

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容 

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策 

箇条番号
及び名称 

内容 

箇条番号 

内容 

箇条ごと
の評価 

技術的差異の内容 

7 試験方
法 
7.1耐水度
試験(静水
圧法) 
 
 

 
 
7.1.1 A法(低水圧法) 
7.1.1.1 c) 水 
 
7.1.1.2 JIS Z 8401の
規則B 

 
 
ISO 811 
 
 

 
 


 
 
 

 
 
 
変更 
 
変更 

 
 
 
蒸留水を必ずしも必要としな
いため,実態に合わせる。 
我が国の使用実態に合わせた。 

 
 
 
技術的差異はない。 
 
技術的差異はない。 

7.1.2 B法(高水圧法) 
7.1.2.1装置及び材料 
a) 耐水度試験装置
(高水圧用) 
b) 水 
7.1.2.2操作 
7.3.1 e) 水 試験時
の温度 

− 

追加 
 
 
 
 
 
追加 

JISは,耐水度試験に高水圧法
を追加。 
 
 
 
 
我が国の使用実態に合わせた。 

我が国は,生地及び製品の高耐水
性,気密性等を評価する高水圧法
が定着しており,ISO規格への追
加提案を検討する。 
 
 
技術的差異はない。 

8 試験報
告書 
 

a)試験年月日 
b)規格番号 
c)試験の種類 
d)試験条件 
e)試験結果 

ISO 811 
ISO 4920 
ISO 9865 



11 

a)国際規格参照 
b)試験環境 
c)水温 
d)試験回数 
e)スプレー等級評価 
f)はっ水性の等級評価 な
ど 

変更 

JISは,報告書の必要事項に変
更。 

規格構成上の変更であり,問題な
い。 
 

附属書JA 
(参考) 

防水性試験方法 

− 

附属書JB 
(参考) 

防水加工剤の部属
判定方法 

− 

附属書JC 
(参考) 

本体及び附属書JA
の補足事項 

− 

 
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 811:1981,ISO 4920:1981,ISO 9865:1991(全体評価:MOD) 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

被引用法規 

関連する法規 

家庭用品品質表示法 

関連する外国規格 

AATCC Test Method 35及びBS 5066 

 
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。 

  − 追加 ··············· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。 
  − 変更 ··············· 国際規格の規定内容を変更している。 

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。 

  − MOD··············· 国際規格を修正している。 
 

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