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L 1056:2006  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人繊維評価

技術協議会(JTETC)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業

標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。 

これによって,JIS L 1056:1987は改正され,この規格に置き換えられる。 

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。 

L 1056:2006  

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1. 適用範囲 ························································································································ 1 

2. 引用規格 ························································································································ 1 

3. 定義 ······························································································································ 1 

4. 試験場所 ························································································································ 1 

5. 試料及び試験片の採取及び準備 ·························································································· 1 

6. 試験の種類 ····················································································································· 1 

7. 試験方法 ························································································································ 2 

7.1 A法(衝撃形摩擦溶融試験機を用いる方法) ······································································· 2 

7.2 B法(ロータ形摩擦溶融試験機を用いる方法) ···································································· 3 

7.3 C法(円板形摩擦溶融試験機を用いる方法) ······································································· 4 

8. 試験報告書 ····················································································································· 5 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

L 1056:2006 

織物及び編物の摩擦溶融試験方法 

Testing methods for sliding frictional melting of woven and knitted fabrics 

1. 適用範囲 この規格は,主に合成繊維を使用した織物及び編物が体育館などの木材を使用した床面に

衝突したときに発生する,摩擦溶融の度合いを評価するための試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6718-1  プラスチック−メタクリル樹脂板−タイプ,寸法及び特性−第1部:キャスト板 

JIS K 8101 エタノール(99.5)(試薬) 

JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則 

JIS L 0208 繊維用語−試験部門 

JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS Z 2101 木材の試験方法 

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 0208によるほか,次による。 

a) 摩擦溶融 繊維製品が木材を使用した床面に衝突したときに生じる,摩擦熱による生地の溶融又は破

損。 

4. 試験場所 JIS L 0105の5.1(試験場所)によって試験を行う。 

5. 試料及び試験片の採取及び準備 JIS L 0105の6.3(布状の試料及びその試験片)又は6.4(製品(縫製品)

状の試料の試験片)によって試料及び試験片を採取及び準備する。 

6. 試験の種類 この試験には,次の3つの試験方法があり、試験を行う場合には、これらのうちから適

切な方法を選んで行う。 

a) A法(衝撃形摩擦溶融試験機を用いる方法) 一定の衝撃力によって試験片の擦過面に生じる外観変

化を評価する方法。 

b) B法(ロータ形摩擦溶融試験機を用いる方法) 主に摩擦熱によって試験片が破損するまでの時間で

評価する方法。 

c) C法(円板形摩擦溶融試験機を用いる方法) 摩擦する速さの変化に対応する試験片の摩擦溶融状態

を回転数で評価する方法。 

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L 1056:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7. 試験方法  

7.1 

A法(衝撃形摩擦溶融試験機を用いる方法)  

7.1.1 

装置及び材料 装置及び材料は,次による。 

a) 衝撃形摩擦溶融試験機 図1に示すように衝撃球が60度の斜面上を400 mm滑走し,取付角度50度

の擦過板に衝突させることができるもの。 

b) 衝撃球 図2に示すような形態で,質量を10 kgとし,鉄球の直径が120 mmで,試験片取付場所に

弾性部材として牛なめし革(厚さ2 mm)を使用したもの。 

c) 擦過板 JIS K 6718-1に規定されたセルキャスト板のもので,厚さ15 mmのもの。 

d) エタノール JIS K 8101に規定されたもの。 

        図1 衝撃形摩擦溶融試験機の例             図2 衝撃球 

7.1.2 

操作 4.の試料から,織物はたて糸方向及びよこ糸方向に,編物はウェール方向及びコース方向に

大きさ25 cm×6 cmの試験片をそれぞれ3枚採取し,図2に示す衝撃球に所定の荷重(1)で取り付ける。次

に,衝撃球を図1に示す試験機のスタート位置に置き,スタートレバーで衝撃球を案内レール上に滑らせ,

擦過板(2)に衝突させる。衝撃球から試験片を取り外し,試験片の擦過面の外観変化を表1に示す判定最低

限度によって判定する。試験結果は,6枚の試験片をそれぞれ試験し,たて糸方向(又はウェール方向)

及びよこ糸方向(又はコース方向)の6枚の試験片の等級の数値の平均値,並びに,たて糸方向(又はウ

ェール方向)及びよこ糸方向(又はコース方向)それぞれ3枚の等級の数値の平均値(小数点以下1けた

まで)を求める。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注(1) 所定の荷重とは,試験片の単位面積当たりの質量 (g/m2) ×0.3によって算出した荷重。 

(2) 擦過板は1試験片ごとにエタノールを湿した布でふき,溶融物を除去する。衝突位置に凹凸が

生じたときは,新しい位置に変更する。 

表1 判定最低限度 

等級(級) 

判定最低限度 

溶融跡がほとんどないもの 

溶融跡はあるが,引っ張っても糸切れが生じないもの 

溶融跡があり,引っ張ると糸切れが生じるもの 

溶融跡が破損し,裏面に小さな穴があるもの 

完全に穴あきがあるもの 

7.2 

B法(ロータ形摩擦溶融試験機を用いる方法) 

7.2.1 

装置 装置は,次による。 

a) ロータ形摩擦溶融試験機 図3に示すように一定の回転速度で回転する木製回転体に試験片を9.8 N 

で,一定時間接圧摩擦することができるもの。 

b) 木製回転体 直径50 mmの円柱形で,桜材(3)を使用し,表面をJIS R 6252に規定されたP800番の研

磨紙によって仕上げたもの。 

注(3) 桜材は,ばら科の桜材とする。 

c) 試験片取付けバー 直径20 mmの円柱形で,試験片取付場所に弾性部材としてJIS L 0803の 表1に

規定された添付白布3号(綿布3-1号)を三重に巻き付けたもの。 

図 3 ロータ形摩擦溶融試験機の例及び摩擦部の拡大図 

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7.2.2 

操作 4.の試料から,織物はたて糸方向,編物はウェール方向に大きさ5 cm×8 cmの試験片を10

枚以上採取し,図3に示す試験片取付けバーに試験片を巻き付け(4),両面接着テープではり合わせる。次

に,木製回転体の回転数を1400 rpmとし,試験機を作動させて木製回転体に試験片を設定時間(5)で接圧摩

擦した後,試験片を取り外し,試験片の破損状態を確認する。5枚の試験片のうち3枚以上が破損してい

るとき(6)は,設定時間を短縮し,3枚未満の場合は,設定時間を長くして再度試験を行い,同一設定時間

で5枚の試験片のうち3枚以上が破損する最短時間を求め,これを試験結果とする。設定時間120秒で破

損しないときには,120秒以上とする。規定した回転数以外の回転数によった場合には,回転数を試験報

告書に付記する。 

注(4) 摩擦する面を指で押さえて,ずれない程度とする。 

(5) 試験開始時の設定時間とは,試験片が破損するときの時間を推測する時間をいい,120秒を限

度とし,20秒以下は5の倍数,20秒以上は10の倍数を用いる。 

(6) “破損しているとき”とは,摩擦面が溶融し,穴あきがあるもの。ただし,生地の表側が合成

繊維で,裏側にセルロース系繊維又は毛を使用したものは,表側に穴あきが認められたものと

し,裏側には繊維が残っていても破損しているとする。 

備考1. 試験を行うときは,1枚の試験片ごとにJIS R 6252に規定するP800番の研磨紙を試験片取付

けバーに取り付け,規定の回転数で木製回転体を3秒間研磨し,布でふき取る。 

2. 試験開始時の設定時間は,生地の表側が合成繊維100 %のものを5秒,耐摩擦溶融加工品及

び生地の表側が合成繊維70 %程度のものを40秒とすることが望ましい。 

7.3 

C法(円板形摩擦溶融試験機を用いる方法) 

7.3.1 

装置 装置は,次による。 

a) 円板形摩擦溶融試験機 図4に示すように49.0 N の力を加え,変速可能な回転円板に試験片を衝突さ

せることができ,そのときの1分間当たりの回転数 (rpm) が測定できるもの。 

b) 回転円板 ブリネル硬さ(7)3.0〜6.0 N/mm2 のけやき材を使用し,表面をJIS R 6252に規定されたP240

番の研磨紙によって平滑に仕上げたもの。 

c) 試験片把持具 図5に示すもので,ブリネル硬さ(7)3.0〜6.0 N/mm2  のけやき材を使用し,先端は直

径5 mmの円形を平面とする。表面はJIS R 6252に規定するP240番の研磨紙によって仕上げる。 

注(7) JIS Z 2101による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

     図4 円板形摩擦溶融試験機の例            図5 試験片把持具 

7.3.2 

操作 4.の試料から大きさ10 cm×10 cmの試験片を12枚以上採取する。試験片6枚を用いて,こ

のうちの2枚を,図5に示す試験片把持具2個にそれぞれ取り付け,これを図4に示す試験片固定台に取

り付ける。試験機を作動させ,回転円板が所期回転数(8)になったところで,試験片を回転円板に押圧し,

円板の回転を強制停止する。試験片を取り外し,残る4枚の試験片について同じ回転数で試験を行った後,

試験片の摩擦面を観察する。試験片6枚のうち,4枚以上破損しているとき(9)は,回転数を50回転減少さ

せ,破損している枚数が4枚未満のときは回転数を50回転増加させて再度6枚の試験片で試験を行い,限

界回転数(10)を求める。試験結果は限界回転数を用いて表す。 

注(8) 試験開始時の所期回転数とは,試験片が破損するときの回転数を推測する回転数をいい,50の

倍数を用いる。 

(9) “破損しているとき”とは,試験片の摩擦面を指で押し込み,直径1 mm以上の穴が確認でき

るものをいう。 

(10) 限界回転数とは,6枚の試験片のうち,4枚以上が破損する最少の回転数を求め,この回転数よ

り50回転少ない回転数をいう。 

備考1. 試験後,試験片把持具及び回転円板の表面に凹凸が生じたとき,及び/又は,布の溶融物が

付着したときは,JIS R 6252に規定するP240番の研磨紙によって研磨し,布でふき取る。 

2. 試験開始時の所期回転数は,合成繊維にセルロース系繊維又は毛を30 %以上混用したものに

ついては,1 050 rpm[薄地(厚さ0.3 mm以下)のものを除く。],その他の織物及び編物に

ついては,単位面積当たりの質量140 g/m2程度のときで450 rpm,240 g/m2程度のときで700 

rpm,280 g/m2程度のときで800 rpmにすることが望ましい。 

8. 試験報告書 試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) 年月日 

b)  規格番号 

c) 試験方法  

L 1056:2006  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

d) 試験条件(試験場所の温度及び湿度) 

e) 試験結果  

例1. 年月日 JIS L1056 A法(衝撃形)21

 63%RH 

3.5級(ウェール方向3.7級,コース方向3.3級) 

例2:年月日,JIS L 1056,B法(ロータ形),21℃ 63% RH,30秒 

例3:年月日,JIS L 1056,C法(円板形),21℃ 63% RH,350rpm 

例4:年月日,JIS L 1056,B法(ロータ形),21℃ 63% RH,10秒 (2800rpm)