L 1021-17:2020
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 原理······························································································································· 2
5 A法 ······························································································································· 2
5.1 装置及び器具 ················································································································ 2
5.2 試験片の採取及び調製 ···································································································· 4
5.3 手順 ···························································································································· 4
5.4 試験報告書 ··················································································································· 5
6 B法 ······························································································································· 5
6.1 装置及び器具 ················································································································ 5
6.2 試験片の採取及び調製 ···································································································· 5
6.3 手順 ···························································································································· 5
6.4 試験報告書 ··················································································································· 7
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 8
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(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本カーペッ
ト工業組合(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS L 1021-17:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS L 1021の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS L 1021-1 第1部:物理試験のための試験片の採取方法
JIS L 1021-2 第2部:く(矩)形の繊維製床敷物の寸法測定方法
JIS L 1021-3 第3部:厚さの測定方法
JIS L 1021-4 第4部:質量の測定方法
JIS L 1021-5 第5部:単位長さ及び単位面積当たりのパイル数測定方法
JIS L 1021-6 第6部:静的荷重による厚さ減少試験方法
JIS L 1021-7 第7部:動的荷重による厚さ減少試験方法
JIS L 1021-8 第8部:パイル糸の引抜き強さ試験方法
JIS L 1021-9 第9部:剝離強さ試験方法
JIS L 1021-10 第10部:水及び熱の影響による寸法変化の試験方法
JIS L 1021-11 第11部:摩耗強さ試験方法
JIS L 1021-12 第12部:ベッターマンドラム試験機及びヘキサポッドタンブラー試験機による外観変
化の作製方法
JIS L 1021-13 第13部:外観変化の評価方法
JIS L 1021-14 第14部:改良形ベッターマンドラム試験機によるカットエッジの機械的損傷試験方法
JIS L 1021-15 第15部:ファイバーバインド試験方法
JIS L 1021-16 第16部:帯電性−歩行試験方法
JIS L 1021-17 第17部:電気抵抗測定方法
JIS L 1021-18 第18部:汚れ試験方法
JIS L 1021-19 第19部:クリーニング試験方法
日本産業規格 JIS
L 1021-17:2020
繊維製床敷物試験方法−第17部:電気抵抗測定方法
Textile floor coverings-Part 17: Determination of electrical resistance
序文
この規格は,2011年に第2版として発行されたISO 10965を基に,対応する部分(A法)については対
応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本産業規格であるが,対応国際規格には
規定されていない規定項目(B法)を日本産業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,繊維製床敷物の電気抵抗の測定方法について規定する。
電気抵抗の測定方法には,水平電気抵抗測定及び垂直電気抵抗測定並びに施工現場で電気抵抗を決定す
る方法(接地抵抗測定)がある。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10965:2011,Textile floor coverings−Determination of electrical resistance(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0212-1 繊維製品用語(衣料を除く繊維製品)−第1部:繊維製床敷物
JIS L 1021-1 繊維製床敷物試験方法−第1部:物理試験のための試験片の採取方法
注記 対応国際規格:ISO 1957,Machine-made textile floor coverings−Selection and cutting of
specimens for physical tests
JIS L 1021-16 繊維製床敷物試験方法−第16部:帯電性−歩行試験方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS L 0212-1によるほか,次による。
3.1
水平電気抵抗(表面電気抵抗)[horizontal resistance(surface resistance)]
床敷物の表面上に置かれた二つの電極間で測定した電気抵抗。
2
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3.2
垂直電気抵抗[vertical resistance(surface to back)]
床敷物の表面と裏面の間で測定した電気抵抗。
3.3
接地抵抗(resistance to earth)
床敷物の表面と接地との間で測定した電気抵抗。
3.4
幾何(相乗)平均(geometric mean)
数値n個の積のn乗根。
4
原理
高電気抵抗計及び金属電極を用いて,制御された環境下において調製された試験片の水平電気抵抗及び
垂直電気抵抗を測定する。水平電気抵抗測定は,帯電電荷の面内伝導に対する床敷物の性能を評価するの
に適している。垂直電気抵抗測定は,帯電電荷が床敷物の表面からその下へ通過する電荷の伝導を評価す
るのに適している。
接地抵抗測定は,その結果が,測定中の電気的な接地の質によるため,施工現場での測定を意図してい
る。
5
A法
5.1
装置及び器具
5.1.1
高電気抵抗計 電気抵抗値が1×103 Ω以上1×109 Ω以下の場合は±5 %の精度,かつ,電気抵抗
値が1×109 Ωより大きい場合は±10 %の精度で抵抗値を読むことが可能,かつ,開回路設定電圧が500 V
と100 Vの切り替えが可能,かつ,短絡電流が10 mAで制限されるもの。印加電圧は,表1から選ぶ。
注記1 同等な測定系としては,同等な性能をもつ電圧源と校正済みのミリアンメーターに分離され
たものがある。このとき抵抗値(R)は,電圧値(U)を電流値(I)で除して計算する。
I
U
R=
表1−回路電圧
電気抵抗R
Ω
電圧U
V
≦108
100
>108
500
注記2 測定の精度は,測定器によって異なる。
5.1.2
二つの金属電極 抵抗計に接続するための端子をもち,一つの電極の総質量は5.0 kg±0.1 kgとす
る。電極の材質はステンレスが望ましい。また,電極は平らな接触面をもち,その直径は65 mm±1.5 mm
とする。
なお,大きな円板(非導電性のもの)を追加のおもりの支持台として加えてもよい(図1参照)。また,
電極と試料との間の導電率(接触抵抗)を改善する目的で,電極の下に測定レンジの下限よりも100倍以
3
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上導電性のよい電気抵抗をもつ導電性のゴムで覆ってもよい。
単位 mm
1 非導電性のおもり支持台
2 金属電極
3 低抵抗のフレキシブルワイヤ
4 皿ねじ
5 電気コネクタ
注a) ワイヤ(3)を固定するための溝の底にエポキシ接着剤を利用する。ワイヤは20 mm以上むいて,皿ねじ(4)
の頭に巻き付ける。
図1−電極の組立図
5.1.3
絶縁板[例 PMMA(ポリメチルメタクリレート)製又はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
製] 大きさが(600 mm±10 mm)×(600 mm±10 mm),かつ,5.3.2によって測定した垂直電気抵抗値
が1×1013 Ω以上のもの。
5.1.4
接地された金属板 大きさが(600 mm±1 mm)×(600 mm±1 mm),かつ,一端に電極端子をも
つもの。
a)
4
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5.2
試験片の採取及び調製
5.2.1
試験片の採取
試験片の採取は,JIS L 1021-1によって行う。いずれの試料からも(500 mm±50 mm)×(500 mm±50
mm)の大きさの試験片を3枚採取する。
接地抵抗を測定する場合は,試験片を6.0 m2±0.1 m2の大きさに切り出す。施工済みカーペットの場合
には,部屋の寸法を記録する。
5.2.2
試験片の調製
試験片は,温度23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±5)%の雰囲気下で,24時間以上予備調製する。
試験気候Dに対しては,温度23 ℃±2 ℃,相対湿度(25±2)%の雰囲気下で,試験片を7日間以上調
製する。
試験気候Nに対しては,温度23 ℃±2 ℃,相対湿度(50±5)%の雰囲気下で,試験片を7日間以上調
製する。
受渡当事者間の合意があれば,他の調製条件を用いてもよい。この場合,試験報告書にその旨を記載す
る。
5.3
手順
5.3.1
水平電気抵抗
各試験片に対して次の手順を実行する。
接地された金属板(5.1.4)の上に絶縁板(5.1.3)を置く。帯電しているものは全て除電する。
絶縁板上に,試験片を,表面を上に向けて置く。二つの電極(5.1.2)を中心間距離で500 mm±10 mm
離し,かつ,試験片上の対角線上に配置する。二つの電極(5.1.2)を抵抗計(5.1.1)に接続する。表1に
規定する値を使って試験電圧を選択する。二つの電極(5.1.2)に電位差を与えた後,抵抗値が安定したと
き又は1分後の値を読み取る。もう一方の対角線上で二つ目の抵抗値を読み取る。他の試験片に対しても
同様に抵抗値を読み取る。六つの抵抗値を記録し,幾何(相乗)平均を計算して,上位2桁に丸める。
電気安全の要求に対する評価のために,床敷物を横切る方向又はたてに通過する方向の最小の電気抵抗
のパスを決定する必要がある。このような場合,測定は,直線方向,すなわち,電極を生産方向に対して
平行に配置させた測定と電極を生産方向に対して直角に配置させた測定とを区別して行う。
5.3.2
垂直電気抵抗
各試験片に対して次の手順を実行する。
絶縁板(5.1.3)の上に接地された金属板(5.1.4)を置く。帯電しているものは全て除電する。
金属板上に,試験片を,使用面を上に向けて置く。試験片の端から100 mm以上離して二つの電極(5.1.2)
のうち一つを置く。その電極及び金属板を抵抗計(5.1.1)に接続する。
一つの試験片につき,200 mm以上離れた異なる二つの場所で測定することとし,かつ,電極及び金属
板に電位差を与えた後,抵抗値が安定したとき又は1分後の値を読み取る。他の試験片に対しても同様に
抵抗値を読み取る。六つの抵抗値を記録し,幾何(相乗)平均を計算して,上位2桁に丸める。
5.3.3
接地抵抗
各試験片に対して次の手順によって実施する。
試験片の上に電極(5.1.2)を一つ置く。その電極を他方で接地に接続した抵抗計(5.1.1)に接続する。
200 mm以上離れた異なる六つの場所で測定することとし,かつ,電極及び金属板に電位差を与えた後,
抵抗値が安定したとき又は1分後の値を読み取る。六つの抵抗値を記録し,かつ,その結果から幾何(相
乗)平均を計算して,上位2桁に丸める。
5
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施工場所による接地抵抗と試験室での測定による接地抵抗との差を減らすために,試験室の試験片は少
なくとも6 m2とし,かつ,床の接地された区画(例 金属板)に据え付ける。電極は,試験片の端から
100 mm以上離しておく。
5.4
試験報告書
試験報告書には,次の事項を含める。
a) この規格番号及び箇条番号
b) 試料明細など,試料に関する必要事項
c) 試料ごとの試験片の数
d) 正確な試料調製条件及び試験環境
e) 5.3.1,5.3.2又は5.3.3の手順による,印加電圧,個々の抵抗値及びその幾何(相乗)平均
f)
結果に影響を与えた,この規格にない全ての操作,参考にした国際規格の全ての操作又は追加とみな
せる全ての操作
g) 報告日
6
B法
6.1
装置及び器具
6.1.1
二つの金属円柱電極 各電極は,総質量が2.0 kg±0.2 kgで,直径が60 mm±2 mmの平滑な円形
接触面をもつもの。電極の材質はステンレスが望ましい。
6.1.2
絶縁板 JIS L 1021-16の6.1.2に規定するゴムマット。
6.1.3
金属板 金属板の大きさは,(600 mm±1 mm)×(600 mm±1 mm)とする。
6.1.4
直流電流計 ピコアンメータ,エレクトロメータ又はこれらと同等以上の性能をもつもの。
6.1.5
直流電源 開回路設定電圧が500 Vと100 Vの切り替えが可能,かつ,短絡電流が10 mAで制限
される直流安定化電源。
6.2
試験片の採取及び調製
6.2.1
試験片の採取
JIS L 1021-1によって,試料から(500 mm±50 mm)×(500 mm±50 mm)の大きさの試験片を4枚採
取する。
6.2.2
試験片の調製
試験片の調製は,温度23 ℃±1 ℃,相対湿度(25±3)%の雰囲気下で,24時間以上調製する。
なお,受渡当事者間の合意があれば,他の温湿度条件を使用することができる。この場合には,調製を
行った温湿度条件を報告書に付記する。
6.3
手順
6.3.1
水平電気抵抗
6.1に規定する装置及び器具を図2に示すように配置する。
試験片をその使用面を上にして絶縁板(6.1.2)の上に置く。次に,試験片の中央部に二つの金属円柱電
極(6.1.1)を,試料の生産方向に対して平行方向に150 mm離して置き,直流電源(6.1.5)を用いて,一
方の金属円柱電極に100 V又は500 Vの電位を与え続け,60秒経過後の直流電流計(6.1.4)の指示値を読
み取る。
同様に,試料の生産方向に対して直角方向に150 mm離して置き,直流電源(6.1.5)を用いて,一方の
金属円柱電極に100 V又は500 Vの電位を与え続け,60秒経過後の直流電流計(6.1.4)の指示値を読み取
6
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る。他の試験片についても同様の手順で,電極の配置が,試料の生産方向に対して平行な場合及び直角な
場合の指示値をそれぞれ読み取る。
得られた八つの指示値を電極の配置が生産方向に対して平行な場合と直角な場合とに分けて,それぞれ
の方向について,次の式を用いて四つの水平電気抵抗値を算出し,その平均値を計算し,上位2桁に丸め
る。
h
h
h
I
V
R=
ここに,
Rh: 水平電気抵抗値(Ω)
Vh: 印加電圧(V)
Ih: 直流電流計の読み(A)
単位 mm
図2−水平電気抵抗測定の配置及び接続方法
6.3.2
垂直電気抵抗
6.1に規定する装置及び器具の配置は,図3による。
絶縁板(6.1.2)上に金属板(6.1.3)を置き,かつ,試験片をその使用面を上にして金属板(6.1.3)上に
置く。次に,試験片の中央部に金属円柱電極(6.1.1)の一つを置き,もう一つの金属円柱電極(6.1.1)を
金属板(6.1.3)の上に置く。その後,直流電源(6.1.5)を用いて,試験片上の金属円柱電極に100 V又は
500 Vの電位を与え続け,60秒経過後の直流電流計(6.1.4)の指示値を読み取る。
他の試験片についても同様の手順で指示値を読み取る。
得られた四つの指示値から,次の式を用いて,四つの垂直電気抵抗値を算出し,その平均値を計算し,
上位2桁に丸める。
v
v
v
I
V
R=
ここに,
Rv: 垂直電気抵抗値(Ω)
Vv: 印加電圧(V)
Iv: 直流電流計の読み(A)
7
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図3−垂直電気抵抗測定の配置及び接続方法
6.4
試験報告書
試験報告書には,次の事項を含める。
a) 試験年月日
b) 試験実施者名
c) 生産方向に対して平行及び直角な場合それぞれの水平電気抵抗値の平均値,並びに垂直電気抵抗値の
平均値
d) この規格番号及び箇条番号
e) 印加電圧(V)
金属板
8
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS L 1021-17:2020 繊維製床敷物試験方法−第17部:電気抵抗測定方法
ISO 10965:2011,Textile floor coverings−Determination of electrical resistance
(I)JISの規定
(II)国際
規格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 引用規格
3 用語及び
定義
JIS L 0212-1による
3
−
追加
JISでは繊維製床敷物の用語の定義
JIS L 0212-1の規定内容を追加し
た。技術的差異はない。
−
5 A法
5.1.2 二つの金属電
極
5.2
JISとほぼ同じ。
変更
対応国際規格の電極直径の許容差2
mmに対してJISでは1.5 mmと厳
しくした。
5.3 手順
7
JISとほぼ同じ。
変更
JISでは5.3.1及び5.3.2(対応国際
規格の7.1及び7.2に対応)におい
て,理解を助けるために,他の試験
片の取扱いも同様であることを明
記した。技術的差異はない。
−
6 B法
−
−
追加
我が国独自の試験方法を追加して
いる。
我が国では広く利用されている試
験方法であるため,引き続きJIS
に規定を追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 10965:2011,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
L
1
0
2
1
-1
7
:
2
0
2
0