L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 装置······························································································································· 2
6 試験片の採取及び準備 ······································································································· 4
6.1 試験片の採取 ················································································································ 4
6.2 試験片の準備 ················································································································ 5
7 調製及び試験の温湿度条件 ································································································· 6
8 手順······························································································································· 6
9 評価······························································································································· 6
10 試験報告書 ···················································································································· 7
L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,日本カーペッ
ト工業組合(JCMA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を
改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産業規格で
ある。これによって,JIS L 1021-14:2007は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS L 1021の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS L 1021-1 第1部:物理試験のための試験片の採取方法
JIS L 1021-2 第2部:く(矩)形の繊維製床敷物の寸法測定方法
JIS L 1021-3 第3部:厚さの測定方法
JIS L 1021-4 第4部:質量の測定方法
JIS L 1021-5 第5部:単位長さ及び単位面積当たりのパイル数測定方法
JIS L 1021-6 第6部:静的荷重による厚さ減少試験方法
JIS L 1021-7 第7部:動的荷重による厚さ減少試験方法
JIS L 1021-8 第8部:パイル糸の引抜き強さ試験方法
JIS L 1021-9 第9部:剝離強さ試験方法
JIS L 1021-10 第10部:水及び熱の影響による寸法変化の試験方法
JIS L 1021-11 第11部:摩耗強さ試験方法
JIS L 1021-12 第12部:ベッターマンドラム試験機及びヘキサポッドタンブラー試験機による外観変
化の作製方法
JIS L 1021-13 第13部:外観変化の評価方法
JIS L 1021-14 第14部:改良形ベッターマンドラム試験機によるカットエッジの機械的損傷試験方法
JIS L 1021-15 第15部:ファイバーバインド試験方法
JIS L 1021-16 第16部:帯電性−歩行試験方法
JIS L 1021-17 第17部:電気抵抗測定方法
JIS L 1021-18 第18部:汚れ試験方法
JIS L 1021-19 第19部:クリーニング試験方法
日本産業規格 JIS
L 1021-14:2020
(ISO 10833:2017)
繊維製床敷物試験方法−第14部:
改良形ベッターマンドラム試験機による
カットエッジの機械的損傷試験方法
Textile floor coverings-Part 14: Determination of resistance to damage at
cut edges using the modified Vettermann drum test
序文
この規格は,2017年に第3版として発行されたISO 10833を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,繊維製床敷物のカットエッジの機械的損傷の試験方法について規定する。この規格は,ロ
ールカーペット及びタイルカーペットの全ての繊維製床敷物に適用する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10833:2017,Textile floor coverings−Determination of resistance to damage at cut edges using the
modified Vettermann drum test(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則
注記 対応国際規格:ISO 139,Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing
JIS L 0212-1 繊維製品用語(衣料を除く繊維製品)−第1部:繊維製床敷物
注記 対応国際規格:ISO 2424,Textile floor coverings−Vocabulary
JIS L 1021-1 繊維製床敷物試験方法−第1部:物理試験のための試験片の採取方法
注記 対応国際規格:ISO 1957,Machine-made textile floor coverings−Selection and cutting of
specimens for physical tests
JIS L 1021-12 繊維製床敷物試験方法−第12部:ベッターマンドラム試験機及びヘキサポッドタンブ
ラー試験機による外観変化の作製方法
注記 対応国際規格:ISO 10361,Textile floor coverings−Production of changes in appearance by means
2
L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
of Vettermann drum and hexapod tumbler tester
JIS L 1021-13 繊維製床敷物試験方法−第13部:外観変化の評価方法
注記 対応国際規格:ISO 9405,Textile floor coverings−Assessment of changes in appearance
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS L 0212-1によるほか,次による。
(対応国際規格では,この箇条において,WEBを利用した用語及び定義の参照方法について規定してい
るが,この規格においては不要であり,不採用とした。
なお,対応国際規格では,次の“用語”と“定義”の参照先が規定されている。)
− IEC Electropedia: available at http:// www.electropedia.org/
− ISO Online browsing platform: available at https:// www.iso.org/obp
3.1
剝離(delamination)
繊維製床敷物の使用面及び/又は基部・一次基布が,二次基布から分離すること。
3.2
フレイング(fraying)
繊維製床敷物の裁断部におけるパイル又は基部の損傷又は損失。
3.3
タフティングアウト(tufting out)
繊維製床敷物の使用面のタフトが損失すること。
3.4
スプラウティング(sprouting)
繊維製床敷物の製造中に,何らかの原因で発生した周囲と比較して長いタフト(パイル)が,使用中に
表面に出てくること。
3.5
伝線・シューティング(laddering/shooting)
繊維製床敷物の使用面における,同じたて方向に連続するループの損失。
4
原理
繊維製床敷物試験片を一列に並べて貼り付けたドラム内で,6個のゴム製突起物が付いた鋼球を不規則
に転がす。
ロールカーペットの場合は,試験片の長さ方向に沿って切込みが1本あり,その裁断部は試験で作用を
受けて生じる溝(作用面)の中にある。
タイルカーペットの場合は,タイルカーペット製造時の裁断部をつなぎ合わせ,その接合部が試験で作
用を受ける。
試験後,損傷した裁断部の外観を評価する。
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装置
同じ結果を示すものであれば,同等品を使用してもよい。
3
L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
5.1
ベッタ−マンドラム試験機 JIS L 1021-12の5.1.1(ベッターマンドラム試験機)に規定する装置。
ただし,真空掃除機は,ノズルのところでの空気吸引速度が25 L/s以上のものとする(図1参照)。
単位 mm
1 脱落した繊維の排出
2 金属製ドラム
3 ゴム製突起物
4 加硫した繊維製バッキングシート
5 鋼球(図2参照)
図1−ベッターマンドラム試験機
5.2
鋼球 6個の円柱状のゴム製突起物を等間隔で鋼球の表面に取り付けたもの(図2参照)。鋼球の質
量は,ゴム製突起物を取り外した状態で7 000 g±100 gとする。鋼球の直径は,120 mm±0.2 mmとする。
4
L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
単位 mm
図2−鋼球
5.3
ゴム製突起物 JIS L 1021-12の5.1.2(鋼球)に規定するもので,試験ごとに交換する。
5.4
直立形真空掃除機 直立形で,回転ブラシを装備したもの。
5.5
固定用テープ(片面粘着テープ) 繊維製床敷物の端部を固定するためのもの。幅50 mmのものを
推奨する。
5.6
両面粘着テープ 繊維製床敷物に対して一般的に使用されているもの。幅50 mmのものを推奨する。
5.7
刃物 繊維製床敷物を裁断するためのもの。例えば,カーペットカッター。
6
試験片の採取及び準備
6.1
試験片の採取
6.1.1
一般事項
試験片は,JIS L 1021-1によって採取する。
6.1.2
ロール物の場合
長さ(生産方向とする。)約570 mm,幅約265 mmの大きさの試験片を4枚採取する。
6.1.3
タイルカーペットの場合
500 mm×500 mm以下の大きさのタイルカーペットを4枚以上用意する。ただし,タイルカーペットの
大きさは265 mm×265 mm以上とする。
タイルカーペットを裁断する前に,試験片の裏面に,図3に示すように,角部を表す印及び生産方向を
表す矢印を付ける。
タイルカーペットから,幅約132 mmの試験片を全部で8枚採取する。そのうちの4枚は図3 a) に示す
ように,生産方向に対する幅とし,残りの4枚は図3 b) に示すように,生産方向に直角な方向に対する幅
とする。
ドラムに取り付けた試験片だけでは埋まらない隙間は,試験片と同等の高さ及び構造の詰め物(敷物)
によって埋める。
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L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
単位 mm
a) 生産方向
b) 生産方向に直角な方向
A,B,C,D 試験片ラベル
→ 生産方向
図3−タイルカーペット試験片の採取及び準備
6.2
試験片の準備
6.2.1
ロールカーペットの場合
繊維製床敷物の製造業者による生産方向の表示線がある場合は,生産方向に合わせて,試験片の中央に
切込みを1本入れる。表示線がない場合は,二つのループ列又は二つのパイル列の間に真っ直ぐに切込み
を入れる。織りカーペットの場合には,地組織の中のたて糸を損傷してはならない。この切込みは鋭い刃
物を用いてパイル層側からパイル層及び裏張り層を裁断する。このとき,一方の終端部は完全に裁断して
もよいが,もう一方は終端部から20 mmの部分は裁断しない。
裁断部を,裏側から50 mm幅の固定用テープによって結合する。固定用テープは確実に貼り付ける。こ
のとき,二つの端部をできるだけ密着させる。
必要に応じて,固定用テープの上から,試験片の長さ方向に沿って全体に両面粘着テープを貼り付ける。
試験中のフレイングを防ぐために50 mm幅の固定用テープで,試験片の両方の終端部を覆う。
必要に応じて,タフトが損傷してできたフレイング部分及びスプラウティング部分を鋭利な刃物で取り
除く。
実際の製品の裁断部にほつれ止め加工などが施されている場合は,試験片の裁断部を同様に処理しても
よい。
6
L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
6.2.2
タイルカーペットの場合
図3に示すように,繊維製床敷物から4枚の試験片を準備する。そのうちの2枚は生産方向に対して平
行となる製品製造時の裁断部(試験片A及び試験片B)を試験し,残りの2枚は生産方向に直角な方向に
対して平行となる製品製造時の裁断部(試験片C及び試験片D)を試験する。
製品製造時の裁断部が中央になるように組み合わせて,4枚の試験片を作製する。
試験片の中央の製品製造時の裁断部は,可能な限り密着させ,固定用テープで固定する。
必要に応じて,固定用テープの上から,試験片の長さ方向に沿って全体に両面粘着テープを貼り付ける。
タフトが損傷してできたフレイング部分及びスプラウティング部分は,必要に応じて鋭利な刃物で取り
除く。
7
調製及び試験の温湿度条件
試験片は,JIS L 0105の5.1.1(標準状態)によって,24時間以上表面を上にして調製する。試験も同じ
環境下で実施する。
8
手順
必要に応じて,試験片の裏面の両面接着テープから保護層(加硫した繊維製バッキングシート)を除去
する。ベッターマンドラム試験機(5.1)の内側に4枚の試験片を使用面がドラムの中心を向くように固定
する。
試験片を取り付ける際,試験片固定板が試験片の側部に確実に当たるように置く。試験片は,試験片固
定板と試験片固定板との間に置き,確実に固定する。
ドラムの中に鋼球(5.2)を置く。
回転回数計を11 000回に設定し,試験を開始する。
試験中,真空掃除機を連続で作動させる。
試験終了後,試験片を直立形真空掃除機(5.4)で清掃する。このとき,試験片のたて及びよこそれぞれ
の方向と平行に4回ずつ,最後の1回がパイルの毛並みの向きとなるように動かす。
9
評価
JIS L 1021-13の箇条7(全体的な外観変化の評価−A法)に規定する観察条件下で,詳細に観察する。
次の損傷があってはならない。
− 明確なタフティングアウト(試験片の準備中に発生した,タフティングアウト又はループの切断は,
タフティングアウトを評価する際,考慮しない。)
− ループパイル製品のループ一つ分よりも長く引き出されている糸,又は織りカーペットにつながって
いる糸
− ループパイル一つ分よりも長く引き出されているループ
− 1本のよこ糸の長さを超えて引き出されたたて糸
− 30 mmを超え,かつ,繰り返し現れるスプラウティング
− 幅が30 mmを超え,かつ,深さが10 mmを超える剝離
床敷物がフレイングに対して抵抗力があると考えられるのは,許容できない損傷を示すものが,4枚の
試験片のうち1枚までとする。
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L 1021-14:2020 (ISO 10833:2017)
10
試験報告書
試験報告書には,次の事項を記入する。
a) この規格番号
b) 型番,製造業者,製造番号を含む,試験した製品の詳細
c) 試験片の詳細,ロールカーペット又はタイルカーペットの別,試験片端部のほつれ止め処理など
d) 箇条9に規定する評価の結果。例えば,許容できないスプラウティング,許容できない剝離,又はそ
の他の許容できない損傷
e) 試験結果に影響を与えた可能性のある,この規格の手順と異なる操作の詳細