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L 0891:2007 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 試験······························································································································· 2 

4.1 原理 ···························································································································· 2 

4.2 試験の種類 ··················································································································· 2 

5 装置及び材料 ··················································································································· 3 

5.1 耐候試験機 ··················································································································· 3 

5.2 ブルースケール ············································································································ 11 

5.3 変退色用グレースケール································································································· 11 

5.4 ステンレス板 ··············································································································· 11 

5.5 灰色下敷及びマスク ······································································································ 11 

5.6 判定用標準光源 ············································································································ 11 

6 試験片··························································································································· 11 

7 操作······························································································································ 11 

7.1 試験機の運転 ··············································································································· 11 

7.2 耐候堅ろう度を求める場合の露光方法 ··············································································· 11 

7.3 引張強さなどを求める場合の露光方法 ··············································································· 15 

8 判定方法 ························································································································ 15 

9 試験報告書 ····················································································································· 16 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人スガウェザリング技術振興財団

(SWTF)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

L 0891:2007 

キセノンアーク灯光又はサンシャインカーボン 
アーク灯光を用いた促進耐候堅ろう度試験方法 

Test methods for fastness to artificial accelerated weathering with xenon arc 

lamp light or sunshine carbon arc lamp light 

序文 

この規格は,繊維製品を対象とする降雨条件下における促進耐候堅ろう度試験方法を定めることを目的

とするもので,我が国における製品の品質管理のための試験方法として有効である。 

適用範囲  

この規格は,繊維製品の降雨条件下におけるキセノンアーク灯光及びサンシャインカーボンアーク灯光

による促進耐候堅ろう度(以下,耐候堅ろう度という。)試験方法について規定する。 

引用規格  

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 

JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則 

JIS L 0804 変退色用グレースケール 

JIS L 0809 計器による変退色及び汚染の判定方法 

JIS L 0841 日光に対する染色堅ろう度試験方法 

JIS L 0886 ホトクロミズムの検出及び評価に対する試験方法 

JIS L 1096 一般織物試験方法 

JIS Z 8701 色の表示方法−XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系 

JIS Z 8730 色の表示方法−物体色の色差 

CIE Pub. No. 85:1989,Solar Spectral irradiance 

用語及び定義  

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1  

促進耐候堅ろう度 

降雨条件下における人工光源の露光に対する物質の堅ろう度。 

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3.2 

標準退色 

露光した面と未露光面との色の差が変退色用グレースケール4号と同程度の色の差の変退色。 

試験 

4.1 

原理 

繊維製品の試験片をブルースケールとともに降雨条件下でキセノンアーク灯光又はサンシャインカーボ

ンアーク灯光に規定の方法で露光し,その変退色を調べ耐候堅ろう度を判定する。必要に応じ,露光前後

の引張強さ,色変化などを求める。 

4.2 

試験の種類  

試験の種類は,表1のA法(キセノンアーク灯光法)及びB法(サンシャインカーボンアーク灯光法)

の2種類とし,いずれかを選んで試験を行う。 

表1−試験条件 

種類 

A法 

B法 

光源 

キセノンアーク灯 

サンシャインカーボンアーク灯 

照射方法 

連続照射 

フィルタ条件 

内側:石英又はほうけい酸ガラス 
外側:ほうけい酸ガラス 

A形又はB形(表2参照) 

光エネル
ギー 

放電条件 
設定 

放射照度自動調節 

放電電圧:許容範囲50±1 V 
放電電流:許容範囲 60±1.2 A 
ただし,一定の入力電圧のときとする。 

試料面放射照度 

W/m2 

(測定波長範囲) 

60±2 又は 180±5 

(300〜400 nm) 

255±26 

(300〜700 nm) 

温度,℃ 
(照射時) 

ブラックパネル 
温度の場合 

63±3 a) 

ブラックスタンダー
ド温度の場合 

65±3 a) 

相対湿度%(照射時) 

50±5 b) 

降雨の周期及び時間 

60分照射中12分降雨 

又は 

120分照射中18分降雨 

降雨に用いる水の水質 

蒸留水又はイオン交換水で,電気伝導率5 μS/cm以下 

及びシリカ1 ppm以下の水とするc) 

注a) 降雨なしの条件,すなわち照射だけの状態での温度。 

なお,他の温度,例えば83 ℃を用いた場合は試験報告書にその旨を記録する。 

b) 必要に応じ,他の相対湿度,例えば65 %を用いた場合は試験報告書にその旨を記録する。 

c) イオン交換樹脂(アニオン・カチオンによる。)若しくは逆浸透膜(Reverse Osmosis),又はこれらを組み合わせ

た装置による水は有効である。 

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装置及び材料  

装置及び材料は,次による。 

5.1 

耐候試験機 耐候試験機は,キセノンアーク灯光式耐候試験機(以下,キセノン耐候試験機という。),

又は,サンシャインカーボンアーク灯光式耐候試験機(以下,サンシャイン耐候試験機という。)とする。 

キセノン耐候試験機及びサンシャイン耐候試験機は,光源,試験槽,温度調節装置,湿度調節装置,降

雨装置,試験片ホルダなどから構成され,次による。その一例を,図1及び図2に示す。 

図1−キセノン耐候試験機の一例 

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図2−サンシャイン耐候試験機の一例 

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5.1.1 

光源 A法(キセノンアーク灯光法)及びB法(サンシャインカーボンアーク灯光法)における光

源は,次による。 

a) A法(キセノンアーク灯光法) 

1) 光源は,水冷式又は空冷式で,相関色温度が5 000〜6 000 Kのロングアーク式のキセノンアーク灯

とし,12 kW,7.5 kW,2.5 kWなどの容量が異なる各種のものがあり,いずれかを選択して用いる。 

2) キセノンランプからの放射は,太陽光(CIE Pub. No.85の表4)(図3参照)に近似させるため,石

英又はほうけい酸ガラスのフィルタを用い,目的に応じていずれかを内側及び外側に組み合わせて

用いる。 

3) フィルタは清浄で,欠け,ひびなどがあってはならない。また,用いた光フィルタの種類は,記録

する。 

4) キセノンランプは,使用するに従ってエネルギーが減衰し,フィルタは,ソーラリゼーション(光

による劣化)などによって,透過率が低下するため,エネルギーを自動的に調節し,放射照度を一

定に保持する。 

5) ランプ及びフィルタは,規定の放射照度が保持できなくなった場合には,それぞれ適宜交換する。

キセノンアーク灯の分光分布を図4に示す。 

図 3−CIE太陽光の分光分布(CIE Pub. No.85の表4から出典作図) 

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図 4−キセノンアーク灯の分光分布(一例) 

b) B法(サンシャインカーボンアーク灯光法) 

1) 光源は,開放空気中においてカーボン棒電極間に形成されるアークによって構成され,ピークが約

380 nmの波長域にある分光分布をもつサンシャインカーボンアーク灯とし,発光剤を混入したカー

ボン棒を上下に対にして用いる。 

2) 上下4対が放電する形式のものは,常に1対が放電し,4対が順次放電をして,通常約70時間連続

点灯する。上下1対が放電する形式のものは,カーボン自動交換装置によって約300時間連続点灯

する。 

3) アークの放射は,太陽光に近似させるため,フィルタを用いる。代表的なフィルタ2種類(A形及

びB形)の透過率を表2に示す。サンシャインカーボンアーク灯の分光分布を図5に示す。 

図 5−サンシャインカーボンアーク灯の分光分布(一例) 

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4) 直接日光を受ける屋外暴露を人工的に再現する場合には,通常A形フィルタを用い,必要に応じB

形フィルタを用いる。 

5) フィルタは,ソーラリゼーションなどによって透過率が変化するので,2 000時間使用後に交換する。

フィルタの交換は,照射の均一性が保持できるように,フィルタ全部を同時に交換せず,一定の時

間間隔ごとに一部を交換することが望ましい。 

表2−使用前のガラスフィルタの透過率 

A形 

B形 

波長 

nm 

透過率 

% 

波長 

nm 

透過率 

% 

   255 

≦1 

275 

≦2 

   302 

71〜86 

320 

65〜80 

≧ 360 

> 91 

400〜700 

≧90 

5.1.2 

試験槽 試験槽は,試験片取付け枠及び温度調節のために試験片面上に空気を通過させるための装

置を備える。試験片取付け枠は,光源の中心の回りを回転し,試験片を直接保持するか又は試験片を取り

付けた試験片ホルダを保持できるものとする。 

5.1.3 

放射照度の測定及び調節装置 放射照度の測定及び調節装置は,次による。 

a) キセノン耐候試験機は,放射照度計を用いるか,又は装置に装備された放射照度自動調節装置によっ

て放射照度を調節する。 

b) サンシャイン耐候試験機は,放射照度計を用いるか,又は放電電圧電流を一定に自動調節する。 

c) 放射照度計又は放射照度自動調節装置の受光器は,試験片取付け枠に試験片と並べて取り付け,試験

片表面の放射照度又は放射露光量が測定できるものとする。 

5.1.4 

温度調節装置及び表示装置 温度調節装置及び表示装置は,次による。 

a) 槽内空気温度を一定に調節し,ブラックパネル温度計又はブラックスタンダード温度計の温度を一定

に保持できるものとする。 

注記 ブラックパネル温度計は,Black panel thermometerの略称のBPTと表示してもよい。また,

ブラックスタンダード温度計は,Black standard thermometerの略称のBSTと表示してもよい。 

b) ブラックパネル温度計は,耐候性黒色エナメルを2回吹き付けて焼付け仕上げした金属板及び感熱部

からなり,板表面の反射率は5 %以下とする。ブラックパネル温度計の一例を,図6に示す。 

なお,ブラックパネル温度計は,使用に伴い光,温度及び湿度によって劣化するので,定期的に校

正する。校正は,測定用及び校正用の2個用意し,両方のブラックパネル温度計を試験片と同一位置

に並べて取り付け,照射条件下で行う。また,測定用ブラックパネル温度計は,光源及び温度が安定

したとき温度が規定値にあることを確認した後は,取り出して保管することが望ましい。また,校正

用ブラックパネル温度計は,校正終了後取り出し保管する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

単位 mm 

図6−ブラックパネル温度計の一例 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) ブラックスタンダード温度計は、耐候性黒色エナメルを2回吹き付けて焼付け仕上げした金属板の裏

側中央に感熱部を固定し,更に,断熱材(ポリふっ化ビニリデン)をはり付けた構造で,温度が表示

されるものとする。ブラックスタンダード温度計の一例を,図7に示す。 

単位 mm 

図7−ブラックスタンダード温度計の一例 

5.1.5 

湿度調節装置 加湿装置を用い,試験槽内を循環する空気の相対湿度を一定に調節する。そのセン

サは,光源からの光及び降雨から遮へいされていなければならない。 

5.1.6 

降雨装置 降雨装置は,作動するノズル及び降雨時間をプログラムする装置からなり,試験片の表

面に規定の時間水噴霧を均一に与え,試験片を十分湿らせることができるものとする。噴霧水量は,ノズ

ル1個当たり水圧0.1 MPaにおいて0.08 L/min±0.01 L/minとする。ノズル及び水配管系統は,水を汚染し

ない材料を用いる。 

5.1.7 

試験片ホルダ 試験片を取り付けるホルダで,耐食性アルミニウム又はステンレス製で,一例を図

8及び図9に示す。 

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10 

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単位 mm 

図8−試験片ホルダの一例(キセノン耐候試験機用) 

単位 mm 

図9−試験片ホルダの一例(サンシャイン耐候試験機用) 

11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.2 

ブルースケール ブルースケールは,JIS L 0841に規定した3級以上のものとする。 

5.3 

変退色用グレースケール 変退色用グレースケールは,JIS L 0804による。 

5.4 

ステンレス板 ステンレス板は,試験片及びブルースケールを固定するもので,JIS G 4305の7. (表

面仕上げ)に規定するNo.2B又はこれと同等のもの。試験片が少ないときに,試験片取付け枠を満たすダミ

ー試験片にも用いる。 

5.5 

灰色下敷及びマスク 灰色下敷及びマスクは,JIS L 0801による。 

5.6 

判定用標準光源 判定用標準光源は,JIS L 0801による。 

試験片 

試験片は,次による。 

a) 布の場合は,通常,耐候堅ろう度の判定及び測定が可能な少なくとも30 mm×45 mm以上の大きさが

望ましい。必要に応じ,他の寸法のものでもよい。色変化を測定する場合の試験片の大きさの代表的

な寸法としては,67 mm×150 mm,65 mm×55 mmがある。 

b) 糸及びばら繊維の場合は,JIS L 0801によって調製し,その他の形状のものは適切な寸法のものを用

いる。 

c) 試験後の試験片と比較するため未露光試験片とを別に用意し,暗所に保存する。 

d) 引張試験などを行う場合には,試験片の寸法及び個数は,関連の試験方法規格を参照する。 

操作  

7.1 

試験機の運転 

試験機の運転は,次による。 

a) 試験片は,そのまま試験片ホルダに取り付けるか又は薄手布のような場合には,ステンレス板に固定

し,それを試験片ホルダに取り付ける。試験片に噴霧した水が流れて,他の試験片を汚染しないよう

に,試験片を上下方向には取り付けないことが望ましい。 

b) 試験片を取り付けた試験片ホルダを,試験片取付け枠にすき間がないように取り付ける。試験片を取

り付けていない試験片ホルダがあるときは,ステンレス板などの不活性材料を取り付け,試験片取付

け枠を満たす。 

c) 必要に応じ,放射照度計を用いる。 

d) キセノン耐候試験機又はサンシャイン耐候試験機を,規定の条件で運転し,露光を開始する。 

7.2 

耐候堅ろう度を求める場合の露光方法 

露光方法は,表3に規定する5種類の中のいずれかを,試験の目的に応じて選択する。 

なお,キセノン耐候試験機によった場合にはキセノン耐候堅ろう度,サンシャイン耐候試験機によった

場合には,サンシャイン耐候堅ろう度と区別して呼称してもよい。 

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12 

L 0891:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3−露光方法の種類 

番号 

露光方法a) 

露光方法の目的 

第1露光法 

(試験片主義露光法) 

試験片の耐候堅ろう度(級)を厳密に決める最も基本的な露光方法で,
一つの試験片を1組のブルースケールとともに降雨条件下で露光し,
試験片の変退色を基にしてブルースケールの退色を調べて判定する。 

第2露光法 

(ブルースケール主義 

露光法) 

複数試験片の耐候堅ろう度を同時に求めることができる一般的な露光
方法で,複数の試験片を1組のブルースケールと同時に降雨条件下で
露光し,ブルースケールの退色を基にして試験片の変退色を調べて判
定する。 

第3露光法 

(性能判定法) 

試験片が所定の耐候堅ろう度性能をもっているかどうかを試験する露
光方法で,一つの試験片又は複数の試験片を,目的のブルースケール
及びそのブルースケールよりも1級低いブルースケールとともに降雨
条件下で露光し,判定する。 

第4露光法 

(見本判定法) 

試験片が目的とするブルースケール又は耐候堅ろう度既知の仕様見本
と同等の耐候堅ろう度をもっているかどうかを試験する露光方法で,
一つの試験片又は複数の試験片を,目的のブルースケール又は耐候堅
ろう度既知の仕様見本とともに降雨条件下で露光し,判定する。 

第5露光法 

(エネルギー法) 

一定の放射露光量で露光し,耐候堅ろう度を求める露光方法で,一つ
の試験片又は複数の試験片を所定量の放射露光量(又は所定の時間)
だけ降雨条件下で露光し,判定する。 

注記 ブルースケール及び試験片は,不透明覆いで一部を覆うことはしないで,別に保存した未露光のもの

を未暴露面として比較する。 

注a) ( )内は,一般的な呼称。 

a) 第1露光法(試験片主義露光法) 

1) ブルースケール及び試験片(1枚)をステンレス板の上に並べ,耐熱性・耐候性テープ1) で固定す

る(図10参照)。 

注1) テープは,ふっ素樹脂製のものが適している。 

図 10−第1露光法(試験片主義露光法)におけるブルースケールのセット 

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13 

L 0891:2007   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 露光開始後,時々露光した試験片と保存した未露光試験片とを並べ,変退色用グレースケールを用

いて露光した試験片の変退色を調べ2),標準退色していれば露光を終了する。 

注2) 試験片が乾燥している状態で比較する。 

3) 8級ブルースケールが標準退色しているにもかかわらず,試験片が標準退色に達しない場合は,試

験片の耐候堅ろう度を“8級以上”とみなし,露光を終了する。また,試験片のホトクロミズムに

ついては,JIS L 0886による。 

b) 第2露光法(ブルースケール主義露光法) 

1) ブルースケール及び試験片(複数)をステンレス板の上に並べ,耐熱性・耐候性テープで固定する

(図10参照)。 

2) 露光開始後,時々3級ブルースケールを調べ,標準退色をしたとき,試験片のなかで標準退色をし

ているもの(例えば,No.1及びNo.3が標準退色したとする。)があれば,その試験片(No.1及び

No.3)の耐候堅ろう度を3級とみなし,これらの試験片と3級ブルースケールを取り外して保管す

る。また,標準退色よりも大きい変退色を示した試験片があれば,3級未満とみなして取り外し,

保管する。 

3) 再び露光を続け,4級ブルースケールから8級ブルースケールの順で,2)と同様な操作を繰り返す。

すべての試験片の耐候堅ろう度を確認したとき,露光を終了する。 

なお,判定に当たっては,1級下のブルースケール(ただし,4級以上の場合)の変退色を参考に

する。 

4) 8級のブルースケールが標準退色しているにもかかわらず,試験片が標準退色しない場合には,そ

れらの試験片の耐候堅ろう度を“8級以上”とみなし,露光を終了する。  

c) 第3露光法(性能判定法) 

1) 試験片と目的のブルースケール及びそれより1級下のブルースケール(ただし,4級以上の場合)

とをステンレス板の上に並べ,耐熱性・耐候性テープで固定する(図11参照)。 

注記 1級下のブルースケールは,目的のブルースケールの性能(等級)の判定の補助に用いる。 

図11−第3露光法(性能判定法) 

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14 

L 0891:2007  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) 露光開始後,時々1級低いブルースケール(例えば,5級を目的とする場合には4級)の変退色を参

考にして目的のブルースケール(例えば5級)の変退色を調べ,目的のブルースケールが標準退色

をしたとき,露光を終了する。 

d) 第4露光法(見本判定法) 

1) 試験片及びブルースケール(又は耐候堅ろう度が既知の仕様見本。以下同じ。)各々2枚ずつをステ

ンレス板上に並べ,周囲を耐熱性・耐候性テープで固定する(図12参照)。 

図12−第4露光法(見本判定法) 

2) 露光開始後,時々ブルースケールの変退色を調べ,標準退色していれば,ブルースケール及び試験

片各々1枚を取り出して保管する。更に露光を続ける。 

3) 露光を続けたブルースケールの露光部分が変退色用グレースケールの3号と同程度に変退色したと

き,露光を終了する。このブルースケールは,保管した露光済みの試験片の変退色を判定するとき

の参考に用いる。 

e) 第5露光法(エネルギー法) 

1) 試験片をステンレス板上に並べ,周囲を耐熱性・耐候性テープで固定する。 

2) 露光を開始し,所定の放射露光量(表4参照)に達したとき,露光を終了する。 

表4−各級のブルースケールが標準退色するまでの放射露光量(参考) 

単位 MJ/m2 

     試験の種類 
ブルー 
スケールの級 

A法 

(キセノンアーク灯光法) 

B法 

(サンシャインカーボンアーク灯光法) 

 2.6 

  5.5 

 5.2 

 13.8 

 9.7 

 23.0 

15.0 

 36.7 

30.0 

 71.6 

58.0 

147.0 

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L 0891:2007   

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

試験条件の一例 

A法 (キセノンアーク灯光式) 

放射照度:180 W/m2(300〜400 nm) 

測定距離:290 mm 

フィルタ:内側;石英 

外側;ほうけい酸ガラス(♯295) 

ブラックパネル温度:63 ℃±3 ℃ 

相対湿度:(50±5)% 

降雨条件:60分照射中12分降雨 

B法 (サンシャインカーボンアーク灯光式) 

放電電圧:50 V±1 V 

放電電流:60 A±1.2 A 

放射照度:255 W/m2(300〜700 nm) 

測定距離:480 mm 

フィルタ:A形(♯255) 

ブラックパネル温度:63 ℃±3 ℃ 

相対湿度:(50±5)% 

降雨条件:60分照射中12分降雨 

7.3 

引張強さなどを求める場合の露光方法 

引張強さなどを求める場合は,次による。 

a) 引張強さ 表1の試験条件で,所定の時間露光し,JIS L 1096によって引張試験を行い,引張強さ保

持率を,次の式によって求める。試験時間は,関連規格によるか,受渡当事者間の協議による。 

Sm=G1/G×100 

ここに, 

Sm: 引張強さ保持率(%) 

G: 露光前の引張強さ(N) 

G1: 露光後の引張強さ(N) 

b) 色変化 表1の試験条件で所定時間露光する。試験時間は,関連規格によるか,受渡当事者間の協議

による。 

判定方法 

判定方法は,次による。 

a) 耐候堅ろう度を判定する場合は,露光終了後の試験片及びブルースケールを2時間以上暗所に放置し

た後,灰色下敷上に並べ,JIS L 0801の10.(染色堅ろう度の判定)のa)(視感法)に従って,判定用

標準光源の下で判定する。試験片及びブルースケールの変退色は,変退色用グレースケールの4号に

よって比較する。 

露光終了後の試験片及びブルースケールの変退色を,JIS L 0801の10. b)(計器法)による変退色等

級4によって比較してもよい。 

なお,計器法は,JIS L 0809による。ただし,光源の条件は,JIS Z 8701に従って,C/2º の条件に

よることが望ましい。また,試験片にJIS L 0886に定義するホトクロミズムがある場合には,記録す

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

b) 引張強さの判定方法は,関連規格によるか,受渡当事者の協議による。 

c) 色変化は,測色計を用いて試験片の露光前後の三刺激値X10,Y10,Z10又はXC,YC,ZCを測定し,JIS Z 

8730によって色差 ⊿E*abを算出する。 

試験報告書 

試験報告書には,次の事項を記載する。 

a) この規格番号 

b) 試験の種類 

c) 耐候試験機の名称又は略称,製造業者名又はその略号,製造年月及び製造番号 

d) 試験条件 

1) 照射方法 

2) 光源の光フィルタの種類 

3) 放射照度及び波長範囲 

4) ブラックパネル温度又はブラックスタンダード温度 

5) 相対湿度 

6) 降雨の周期及び時間 

7) 試験時間又は放射露光量(引張強さなどを求める場合) 

8) 試験片及びブルースケールを固定した板の種類 

e) 試験結果 

1) 耐候堅ろう度の等級 

1.1) 第1露光法の場合:試験片が標準退色していることを確認し,標準退色しているブルースケール

の等級を耐候堅ろう度等級とし,露光方法を括弧の中に付記し,次の例のように記録する。 

例 

キセノン耐候堅ろう度(第1露光法) 7級 

ブルースケールの3級が標準退色よりも大きい変退色をしている場合には,“3級未満”と記録

する。 

ブルースケールの8級が標準退色しているにもかかわらず,試験片が標準退色に達していない

ときは,“8級以上”と記録する。 

1.2) 第2露光法の場合:ブルースケール(例えば6級)が標準退色しているとき,標準退色した試験

片があれば,そのブルースケールの級(この場合,6級)を,その試験片の耐候堅ろう度等級とし,

露光方法を括弧の中に付記し,次の例のように記録する。 

例 サンシャイン耐候堅ろう度(第2露光法) 6級 

3級ブルースケールが標準退色しているときに,標準退色よりも大きい変退色をしている試験片

は,“3級未満”と記録する。 

ブルースケールの8級が標準退色しているにもかかわらず,標準退色していない試験片は,“8

級以上”と記録する。 

1.3) 第3露光法の場合:試験片が目的のブルースケールと同程度の変退色(標準退色)を示したとき

には例1のように,少ない変退色を示したときには例2のように,変退色の程度が大きいときに

は例3のように,露光方法を括弧の中に付記し,記録する。 

例1 キセノン耐候堅ろう度(第3露光法) 4級 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

例2 キセノン耐候堅ろう度(第3露光法) 4級以上 

例3 サンシャイン耐候堅ろう度(第3露光法) 4級未満 

1.4) 第4露光法の場合:見本又は目的のブルースケールが標準退色したときに,試験片が見本又はブ

ルースケールと同程度の変退色を示したときには例1のように,少ない変退色を示したときには

例2のように,変退色の程度が大きいときには例3のように,露光方法の種類とともに,記録す

る。 

例1 キセノン耐候堅ろう度(第4露光法) 4級 

例2 キセノン耐候堅ろう度(第4露光法) 4級以上 

例3 サンシャイン耐候堅ろう度(第4露光法) 4級未満(堅ろう度既知の見本使用) 

1.5) 第5露光法の場合:所定の放射露光量(例えば,キセノンアーク灯光法で,ブルースケール5級

相当の9.7 MJ/m2)のときに標準退色している試験片は,例1のように,少ない変退色を示したと

きには例2のように,変退色の程度が大きいときには例3のように,露光方法及び放射露光量を

括弧の中に付記し,記録する。 

例1 キセノン耐候堅ろう度[第5露光法,放射露光量9.7 MJ/m2 (300〜400 nm)]5級 

例2 キセノン耐候堅ろう度[第5露光法,放射露光量9.7 MJ/m2 (300〜400 nm)]5級以上 

例3 サンシャイン耐候堅ろう度[第5露光法,放射露光量23.0 MJ/m2 (300〜700 nm)] 5級

未満 

2) 引張強さ,色変化(色差)など 

参考文献  

[1] JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験方法 

[2] JIS L 0842 紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法 

[3] JIS L 0843 キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法 

[4] JIS L 2703 ビニロンロープ 

[5] JIS L 2706 ポリプロピレンロープ 

[6] ISO 4892-2 Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 2: Xenon-arc lamps 

[7] ISO 4892-4 Plastics−Methods of exposure to laboratory light sources−Part 4: Open-flame carbon-arc lamps 

[8] AATCC 169 Weather Resistance of Textiles:Xenon Lamp Exposure 

[9] AATCC 192 Weather Resistance of Textiles:Sunshine-arc Lamp Exposure with and without Wetting 

[10] ASTM G 152 Standard Practice for Operating Open Flame Carbon Arc Light Apparatus for Exposure of 

Nonmetallic Materials 

[11] ASTM G 155 Standard Practice for Operating Xenon Arc Light Apparatus for Exposure of Non-Metallic 

Materials