L 0869 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS L 0869 : 1977は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
L 0869 : 1998
蒸熱に対する染色堅ろう度試験方法
Test method for colour fastness to steaming
序文 この規格は,1994年に第3版として発行されたISO 105-E11, Textiles−Tests for colour fastness−Part
E11 : Colour fastness to steamingを元に,対応する部分については技術的内容を変更せずに作成した日本工
業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目(変退色用グレースケール及び判定)を追
加している。
1. 適用範囲 この規格は,染色した繊維製品の常圧下における蒸熱の作用に対する染色堅ろう度試験方
法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 105-E11 : 1994 Textiles−Tests for colour fastness−Part E11 : Colour fastness to steaming
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布
JIS L 0804 変退色用グレースケール
JIS L 0805 汚染用グレースケール
JIS L 3201 羊毛長尺フェルト
3. 要旨 複合試験片を,ロール状に巻いてガラス管に差し込み,これを沸騰水の入ったフラスコ内のけ
い(頸)部に置いて蒸気に触れさせ,蒸熱の作用により添付白布が汚染した程度を汚染用グレースケール
と比較して,その堅ろう度を判定する。ただし,必要に応じて試験片の変退色の程度を変退色用グレース
ケールと比較してその堅ろう度を判定する。
4. 装置及び材料 装置及び材料は,次のものを用いる。
a) エルレンマイヤフラスコ 図1に示すように両端の開いたガラス管をけい部に差し入れた容量約2λの
もの。
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図1
b) 添付白布 JIS L 0803を参照し,試験片と同種の繊維と綿とを使用する。
c) 羊毛フェルト 未染色の羊毛フェルトとし,厚さ2mm,幅40mmのもの。
参考 これに該当する羊毛フェルトにはJIS L 3201がある。
d) 変退色用グレースケール JIS L 0804に規定するもの。
e) 汚染用グレースケール JIS L 0805に規定するもの。
f)
灰色下敷 JIS L 0801の4.(9)(灰色下敷及びマスク)に規定するもの。
5. 複合試験片の調製 複合試験片の調製は,次に規定する事項を除き,JIS L 0801の5.2(複合試験片の
調製)による。
a) 試料が布の場合は,試験片の大きさは100×40mmとし,これと同じ大きさの規定の添付白布2枚の
間に挟み,更に添付白布の綿を重ね,短い片の一方だけを縫い合わせ,複合試験片を調製する。ただ
し,第2添付白布は綿とする。
備考 試料が平織の場合で,添付白布のたて,よこ方向と同一の組合せをした場合には,汚染むらが
著しく現れることがあるから,その場合には添付白布は試験片のたて,よこと異方向に組み合
わせる。
b) 試料の表裏に差のある場合には,試験片の大きさは100×40mmとし,第1及び第2添付白布はそれ
ぞれ55×40mmのものを用いて両添付白布を縫い合わせ,100×40mmの大きさにし,この添付白布2
枚の間に試験片を挟み,更に添付白布の綿を重ね,短い片の一方だけを縫い合わせる。
c) 試料が糸の場合は,編んで布状にするか,又は平行に引きそろえて100×40mmの大きさとし,これ
を5.a)と同様にして複合試験片を調製する。
d) 試料がばら繊維の場合は,くしけずって押し付け,100×40mmの大きさの薄い層にし,これを5.a)と
同様にして複合試験片を調製する。
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6. 操作 操作は,次のとおり行う。
a) 複合試験片を羊毛フェルトとともに巻き,ガラス管に入れる。この場合,第1添付白布の付いている
面を上にして複合試験片を羊毛フェルト上に置きロール状にするが,その巻き方はガラス管に容易に
入り,しかもガラス管の周囲につけたくぼみで,ちょうど保持される程度とする。
ガラス管上部に,厚さ約6mm,幅約40mmの羊毛フェルト輪を入れる。
備考 試験片が厚くてガラス管に入らないときは,試験片の大きさは100mm以下にしてもよい。
b) エルレンマイヤフラスコに水約500mlと少量の沸石を入れ,フラスコ中の水を沸騰させる。この場合,
蒸発速度は,約300ml/hに調製する。
c) ガラス管を羊毛フェルトせんに差し入れ,エルレンマイヤフラスコに取り付ける。沸騰したとき,飛
まつが複合試験片にかからないように薄い布で覆った針金の輪を羊毛フェルトせんに取り付ける。
d) 30分間煮沸したのち,複合試験片を取り出し試験片と添付白布を離し,60℃を超えない温度で乾燥す
る。
7. 判定 添付白布の汚染及び試験片の変退色の判定は,JIS L 0801の9.(染色堅ろう度の判定)による。
8. 記録 試験結果は,原則として添付白布の汚染の等級だけを,JIS L 0801の10.(記録)により,例
1.のように表示する。ただし,必要に応じて,例2.のように変退色の等級も表示する。
例1. 蒸熱試験 4級(毛)3-4級(綿)
例2. 蒸熱試験 4級(アセテート)3-4級(綿)4級(変退色)
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染色堅ろう度試験方法JIS改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
須 賀 長 市
日本学術振興会染色堅ろう度第134委員会(財団法人
スガウェザリング技術振興財団)
(委員)
関 成 孝
通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫
工業技術院標準部
高 橋 孝 一
通商産業省製品評価技術センター
上 野 和 義
東京都繊維工業試験場
山 形 昭 衛
日本繊維技術士センター
近 藤 一 夫
元日本女子大学
越 川 寿 一
杉野女子大学
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
須 田 昌 男
財団法人日本産業技術振興協会
鈴 木 保 男
財団法人日本化学繊維検査協会
山 口 彪
財団法人日本染色検査協会
井 口 耕 一
財団法人日本紡績検査協会
下 谷 忠 義
財団法人日本繊維製品品質技術センター
森 数 馬
財団法人毛製品検査協会
児 玉 肇
日本毛整理協会
川 島 悟
日本羊毛紡績会
片 岡 邦 彦
片岡毛織株式会社
井 上 哲 夫
日本化薬株式会社
橋 爪 修 平
住化染料テック株式会社
藤 田 隆
ダイスタージャパン株式会社
赤 井 稔
保土谷化学工業株式会社
高 野 富士子
主婦連合会
川 又 幸 子
全国地域婦人団体連絡協議会
伊 藤 康 江
消費科学連合会
(事務局)
須 賀 冨士夫
財団法人スガウェザリング技術振興財団
三田村 勝 昭
財団法人スガウェザリング技術振興財団