L 0850:2015
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 原理······························································································································· 2
5 試験の種類及び試験条件 ···································································································· 2
6 装置及び材料 ··················································································································· 3
7 試験片の調製 ··················································································································· 3
8 試験操作························································································································· 4
8.1 乾熱試験機法(A法)の場合···························································································· 4
8.2 電気アイロン法(B法)の場合 ························································································· 4
9 判定······························································································································· 5
10 試験報告書 ···················································································································· 5
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 6
L 0850:2015
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益財団法人スガ
ウェザリング技術振興財団(SWTF)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して
日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した
日本工業規格である。これによって,JIS L 0850:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
L 0850:2015
ホットプレッシングに対する染色堅ろう度試験方法
Test method for colour fastness to hot pressing
序文
この規格は,1994年に第4版として発行されたISO 105-X11を基とし,我が国の試験・評価の実態を反
映させるため技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,染色した繊維製品のホットプレッシングに対する染色堅ろう度試験方法について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 105-X11:1994,Textiles−Tests for colour fastness−Part X11: Colour fastness to hot pressing
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
JIS L 0105 繊維製品の物理試験方法通則
注記 対応国際規格:ISO 139,Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing(MOD)
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
注記 対応国際規格:ISO 105-A01,Textiles−Tests for colour fastness−Part A01: General principles of
testing(MOD)
JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布
注記 対応国際規格:ISO 105-F02,Textiles−Tests for colour fastness−Part F02: Specification for cotton
and viscose adjacent fabrics(MOD)
JIS L 0804 変退色用グレースケール
注記 対応国際規格:ISO 105-A02,Textiles−Tests for colour fastness−Part A02: Grey scale for
assessing change in colour(MOD)
JIS L 0805 汚染用グレースケール
注記 対応国際規格:ISO 105-A03,Textiles−Tests for colour fastness−Part A03: Grey scale for
2
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assessing staining(MOD)
JIS L 0879 乾熱処理に対する染色堅ろう度試験方法
注記 対応国際規格:ISO 105-P01,Textiles−Tests for colour fastness−Part P01: Colour fastness to dry
heat (excluding pressing)(MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS L 0801の箇条3(用語及び定義)による。
4
原理
試験片をホットプレスし,試験片の変退色及び試験片とともに使用した白綿布の汚染の程度を,それぞ
れ変退色用グレースケール及び汚染用グレースケールと比較するか,又は計器によって変退色等級及び汚
染等級を求めて,その堅ろう度を判定する。
5
試験の種類及び試験条件
試験の種類及び試験条件は,表1の乾熱試験機法(A法)又は表2の電気アイロン法(B法)による。
なお,温度は,必要に応じて他の温度を用いてもよい。この場合,その温度を試験報告書に記録する。
表1−乾熱試験機法(A法)
試験の方法
温度区分
時間
圧力a)
区分の記号
温度
号
℃
s
kPa
乾燥試験
A-1
110±2
15
4±1
A-2
150±2
A-3
200±2
湿潤
試験
強試験
A-1
110±2
A-2
150±2
A-3
200±2
弱試験
A-1
110±2
A-2
150±2
A-3
200±2
注a) 圧力は,試験片面積に対する値である。
3
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表2−電気アイロン法(B法)
試験の方法
温度区分
時間
圧力a)
区分の記号
温度b)
号
℃
s
kPa
乾燥試験
B-1
110±5
15
2.5±0.5
B-2
150±5
B-3
200±5
湿潤
試験
強試験
B-1
110±5
B-2
150±5
B-3
200±5
弱試験
B-1
110±5
B-2
150±5
B-3
200±5
注a) 圧力は,試験片面積に対する値である。
b) 温度は,使用始めの電気アイロン底面中央部の表面温度である。
6
装置及び材料
装置及び材料は,次による。
6.1
乾熱試験機 JIS L 0879の5.a)(乾熱試験機)に規定するものとする。ただし,加熱は上部加熱板だ
けとし,下部加熱板の電源は切ったまま使用する。
6.2
電気アイロン 表面温度を110 ℃〜200 ℃の範囲で±5 ℃に調節できるものとする。
注記1 電気アイロンの表面温度の測定には,熱電対式表面温度計,抵抗式表面温度計などを用いる。
注記2 試験片に規定の圧力(2.5 kPa)を加えるには,電気アイロンの質量が1.0 kgのものを用いれ
ばよい。ただし,電気アイロンの質量が1.0 kgに満たない場合には,電気アイロンの上にお
もりを載せて1.0 kgにする。
6.3
ホットプレス台 厚さ3 mm〜6 mmの平らな断熱性のある板の上に,単位面積当たりの質量が約260
g/m2の羊毛フランネルを2枚重ねて厚さ約3 mmとし,大きさ100 mm×40 mmとなるようにしたものとす
る。ただし,羊毛フランネルに代えて,羊毛フェルト又は同等の滑らかな毛織物を厚さ約3 mmにして使
用してもよい。
なお,平らな断熱性のある板の大きさは,乾熱試験機又は電気アイロンの加熱板より大きいものとする。
6.4
白綿布 JIS L 0803に規定する綿の添付白布3-1号で,100 mm×40 mmよりやや大きいものとする。
6.5
変退色用グレースケール JIS L 0804に規定するものとする。
6.6
汚染用グレースケール JIS L 0805に規定するものとする。
6.7
水 JIS K 0557に規定するA1の水又はこれと同等以上の水とする。
7
試験片の調製
試験片の調製は,次によるほか,JIS L 0801の箇条6(試験片及び複合試験片の調製)による。
a) 試料が布の場合 試験片の大きさは100 mm×40 mmとする。
b) 試料が糸の場合 次のいずれかとする。
1) a) と同じ大きさに編んだものを用いる。
2) 長さ約100 mm,質量約0.5 gの試験片を採取し,これをa) と同じ大きさに白綿布上に薄い層にし
て並べ,両端近くを白綿糸で縫うか,セロハン粘着テープを貼るなど,適切な方法で留める。
4
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なお,白綿布は,必要に応じて試験片と同種繊維の添付白布に代えてもよい。この場合,添付白
布の繊維の種類を試験報告書に記録する。
8
試験操作
8.1
乾熱試験機法(A法)の場合
8.1.1
乾燥試験
乾燥試験は,次による。
a) 乾熱試験機の下部加熱板1)にホットプレス台を載せる。
b) ホットプレス台上に白綿布2)1枚を載せ,さらに,その上に試験片2)1枚を上部加熱板のほぼ中央部が
接するように載せる。
なお,箇条7 b) 2) で試験片を調製した場合は,試験片を留める白綿布をホットプレス台上に載せる。
c) あらかじめ表1のいずれかの温度に加熱した上部加熱板を重ね,試験片に4 kPa±1 kPaの圧力を15
秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出す。
注1) 下部加熱板の電源は切っておく。
2) JIS L 0105の5.1.1(標準状態)に規定する標準状態で4時間以上放置する。
8.1.2
湿潤試験
湿潤試験は,次による。
8.1.2.1
強試験の場合
強試験は,次による。
a) 乾熱試験機の下部加熱板1)にホットプレス台を載せる。
b) 試験片及び白綿布の各1枚をあらかじめ水に浸し,絞って標準状態の質量とほぼ同質量の水分を含ま
せ,湿潤試験片及び湿潤白綿布を作る。次に,ホットプレス台上に別の白綿布2)1枚を載せ,その上
に湿潤試験片1枚,さらに,その上に湿潤白綿布1枚を載せる3)。
c) あらかじめ表1のいずれかの温度に加熱した上部加熱板を重ね,試験片に4 kPa±1 kPaの圧力を15
秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出して自然乾燥させる。
注3) 箇条7 b) 2) で試験片を調製した場合は,これによって湿潤布(湿潤試験片及び湿潤白綿布を合
わせたもの)を作り,ホットプレス台上に敷いた白綿布上に糸の方を下にして載せる。
8.1.2.2
弱試験の場合
弱試験は,次による。
a) 乾熱試験機の下部加熱板1)にホットプレス台を載せる。
b) あらかじめ白綿布を水に浸し,絞って標準状態の質量とほぼ同質量の水分を含ませ,湿潤白綿布1枚
を作る。次に,試験片2)をホットプレス台上に載せ,その上に湿潤白綿布1枚を載せる4)。
c) あらかじめ表1のいずれかの温度に加熱した上部加熱板を重ね,試験片に4 kPa±1 kPaの圧力を15
秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出して自然乾燥させる。
注4) 箇条7 b) 2) で試験片を調製した場合は,ホットプレス台上に糸の方を上にして載せる。
8.2
電気アイロン法(B法)の場合
8.2.1
乾燥試験
乾燥試験は,次による。
a) ホットプレス台上に白綿布2)1枚を載せ,さらに,その上に試験片2)1枚を載せる。
b) あらかじめ表2のいずれかの温度に加熱した電気アイロンを底面のほぼ中央部が接するように置き,
5
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試験片に2.5 kPa±0.5 kPaの圧力を,15秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出す。
8.2.2
湿潤試験
8.2.2.1
強試験の場合
強試験は,次による。
a) 試験片及び白綿布の各1枚をあらかじめ水に浸し,絞って標準状態の質量とほぼ同質量の水分を含ま
せ,湿潤試験片及び湿潤白綿布を作る。次に,ホットプレス台上に別の白綿布2)1枚を載せ,その上
に湿潤試験片1枚,さらに,その上に湿潤白綿布1枚を載せる3)。
b) あらかじめ表2のいずれかの温度に加熱した電気アイロンを底面のほぼ中央部が接するように置き,
試験片に2.5 kPa±0.5 kPaの圧力を,15秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出して自然乾燥させ
る。
8.2.2.2
弱試験の場合
弱試験は,次による。
a) あらかじめ白綿布を水に浸し,絞って標準状態の質量とほぼ同質量の水分を含ませ,湿潤白綿布1枚
を作る。次に,試験片2)をホットプレス台上に載せ,その上に湿潤白綿布1枚を載せる4)。
b) あらかじめ表2のいずれかの温度に加熱した電気アイロンを底面のほぼ中央部が接するように置き,
試験片に2.5 kPa±0.5 kPaの圧力を,15秒間加えた後,試験片及び白綿布を取り出して自然乾燥させ
る。
9
判定
試験片の変退色及び白綿布の汚染の判定は,標準状態又はこれに近い温度の空気中で約4時間放置した
ものについてJIS L 0801の箇条10(染色堅ろう度の判定)によって行う。ただし,試験終了直後の判定も
必要な場合は,試験片の変退色の判定に限り行うものとする。
乾燥試験は試験片の熱板接触側及び白綿布の試験片との接触側の面,湿潤試験は試験片と湿潤白綿布と
の接触側の面について判定する。
なお,湿潤白綿布の汚染が,熱板接触側の面の方が大きくなる場合は,熱板接触側の汚染の大きい面で
判定する。
10 試験報告書
試験結果の報告は,JIS L 0801の箇条11(試験報告書)による。
なお,試験終了直後の判定を行った場合には,括弧をつけて試験報告書に記録する。
例1
ホットプレッシング試験(A-2号)
乾燥
変退色
5級, 汚染
5級
乾燥(直後) 変退色
4級,
例2
ホットプレッシング試験(A-3号)
湿潤(強)
変退色
3級, 汚染
3級
例3
ホットプレッシング試験(B-3号)
湿潤(弱)
変退色
4級, 汚染
4級
6
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS L 0850:2015 ホットプレッシングに対する染色堅ろう度試験方法
ISO 105-X11:1994,Textiles−Tests for colour fastness−Part X11: Colour fastness to
hot pressing
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的
差異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義
JIS L 0801による。
追加
JISとして必要な用語及び定義を
規定した。
実質的な技術的差異はない。
5 試験の種
類及び試験
条件
乾熱試験機法(A法)
電気アイロン法(B法)
3
JISとほぼ同じ
選択
国内の現状に合わせ,選択とした。 ISO規格の見直しの際,提案を
する。
6 装置及び
材料
4
JISとほぼ同じ
追加
JISは6.2(電気アイロン)を追加
した。
電気アイロン試験方法を追加し
たためであり,ISO規格を見直
しの際,提案をする。
7 試験片の
調製
5
JISとほぼ同じ
追加
JISは糸及びばら繊維の場合を追
加するため,JIS L 0801の箇条6に
よる。とした。
ISO規格の見直しの際,提案を
する。
8 試験操作
6
追加
JISは8.2(電気アイロン法)を追
加した。
ISO規格の見直しの際,提案を
する。
9 判定
変更
JIS L 0801の箇条10を引用し計器
法を追加。
ISO規格の見直しの際,提案を
する。
10 試験報
告書
7
変更
ISO規格はa)〜e) までの項を規定
しているが,JISはJIS L 0801の箇
条11を引用。
ISO規格の見直しの際,提案を
する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 105-X11:1994,MOD
2
L
0
8
5
0
:
2
0
1
5
7
L 0850:2015
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択……………… 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD…………… 国際規格を修正している。
2
L
0
8
5
0
:
2
0
1
5