L 0846:2004
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人スガウェ
ザリング技術振興財団(SWTF)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。これによって,JIS L 0846:1996は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 105-E01:1994,Textiles−Tests for
colour fastness−Part E01 : Colour fastness to waterを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS L 0846には,次に示す附属書がある。
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
L 0846:2004
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 要旨 ······························································································································ 1
4. 装置及び材料 ·················································································································· 1
5. 複合試験片の調製 ············································································································ 2
6. 操作 ······························································································································ 3
7. 判定 ······························································································································ 3
8. 記録 ······························································································································ 3
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ····································································· 4
日本産業規格 JIS
L 0846:2004
水に対する染色堅ろう度試験方法
Test method for colour fastness to water
序文 この規格は,1994年に第4版として発行されたISO 105-E01:1994,Textiles−Tests for colour fastness
−Part E01 : Colour fastness to waterを元に,技術的内容を変更することなく作成した日本産業規格であるが,
対応国際規格にない項目(計器法による判定)を追加してある。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,染色した繊維製品の水に対する染色堅ろう度試験方法について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 105-E01:1994,Textiles−Tests for colour fastness−Part E01 : Colour fastness to water (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0803 染色堅ろう度試験用添付白布
JIS L 0804 変退色用グレースケール
JIS L 0805 汚染用グレースケール
3. 要旨 この試験は,複合試験片を規定の方法に基づいて水で処理し,次いで汗試験機を用いて加圧下
で処理した後,乾燥し,試験片の変退色及び添付白布の汚染の程度を,それぞれ変退色用グレースケール
及び汚染用グレースケールと比較するか,計器によって変退色等級及び汚染等級を求めて,その堅ろう度
を判定する方法である。
4. 装置及び材料 装置及び材料は,次のものを用いる。
a) 汗試験機 汗試験機は,試験片又は複合試験片を数片(1),ガラス板又は硬質プラスチック板で交互に
互いにずれないように挟み,規定の圧力を加えた状態で固定し,その規定荷重を保ったまま試験片又
は複合試験片を垂直方向に保持することができる装置で,次の規定に適合するものとする(図1参照)。
1) ガラス板又は硬質プラスチック板 試験液に影響を及ぼさない材質の平滑な面をもつもので,大き
さが約115 mm×約63 mm,厚さが1.5 mm〜3 mmのもの。
2
L 0846:2004
2) 加圧部分 水平方向又は垂直方向に保った複合試験片に無段階(ねじ式など)的若しくは段階(お
もり式など)的に約12.5 kPaの圧力,又は約45 N及び約50 Nの荷重がかけられるもの。
3) 保持部分 試験操作中,規定の圧力又は荷重で試験片を鉛直位置で止めることができ,37±2 ℃の
乾燥機中に保つことができるもの。
注(1) ガラス板又はプラスチック板に挟む複合試験片の数は,通常20枚とし,20枚に満たないとき
はその数を記録に記載する。
備考 試験液に接触する機会の多い部分は,JIS G 4303のステンレス鋼棒SUS316Lなどの耐薬品性材
質とする。
単位 cm
図 1 複合試験片の加圧保持状態図
b) 乾燥機 JIS L 0801の5. c)(乾燥機)に規定するもの。
c) 添付白布 JIS L 0803に規定するもの。
d) 変退色用グレースケール JIS L 0804に規定するもの。
e) 汚染用グレースケール JIS L 0805に規定するもの。
f)
水 JIS L 0801の5. j)(試薬及び試験液)に規定する水。
5. 複合試験片の調製 複合試験片の調製は,次に規定する事項を除き,JIS L 0801の6.2(複合試験片の
調製)による。
a) 試料が布の場合 10 cm×4 cmの大きさ(2)の試験片を,これと同じ大きさの添付白布2枚の間に挟む
か,又はこれと同じ大きさの多繊交織布1枚に隣り合わせ,2短辺だけをそれぞれ縫い合わせて複合
試験片とする。
注(2) 多繊交織布を用いないときは,6 cm×6 cmの大きさのものを用いてもよい。
b) 試料が糸の場合 試料を長さ約10 cm(3)に切断し,この切断した糸から10 cm×4 cmの大きさ(2)の添
付白布2枚の約2分の1の質量になる本数を採取する。次に,採取した糸を添付白布2枚の間に並べ,
糸を保持できるように四辺又は二短辺だけをそれぞれ縫い合わせる。
なお,布状に編んで10 cm×4 cmの大きさ(2)として,a)と同様に複合試験片を調製してもよい。
注(3) 試験片が6 cm×6 cmの大きさのときは,試料の長さは約6 cmでよい。
c) 試料がばら繊維の場合 10 cm×4 cmの大きさ(2)の添付白布2枚の約2分の1の質量の試料をとり,
3
L 0846:2004
これをくしけずって押し付け,10 cm×4 cmの大きさ(2)の薄い層にし,添付白布2枚の間に挟み,四
辺をそれぞれ縫い合わせて複合試験片とする。
6. 操作 操作は,次による。
a) 複合試験片を水に室温で浸せきし,完全にぬらす。
b) 複合試験片を取り出し,2本のガラス棒の間に挟んで,余分の水がしたたり落ちない程度までしごき
取る。
c) 複合試験片をガラス板又は硬質プラスチック板2枚の間に挟み,汗試験機に取り付けて約12.5 kPaの
圧力(4)をかける。
d) 垂直位置に複合試験片を取り付けた汗試験機を,温度37 ℃±2 ℃の乾燥機中に入れて,4時間保持す
る。
e) 処理が終わったならば,汗試験機から複合試験片を取り離し,図2のように,縫い目の一辺で接触す
るように試験片と添付白布を離すか又は試験片と添付白布2枚を切り離して,60 ℃を超えない温度で
乾燥する。
注(4) 荷重で確認してもよい。この場合,10 cm×4 cmの試験片には約50Nの荷重をかけ,6 cm×6 cm
の試験片には約45 Nの荷重をかける。
図 2 乾燥方法
7. 判定 試験片の変退色及び添付白布の汚染の判定は,JIS L 0801の10.(染色堅ろう度の判定)のa)
(視感法)又はb)(計器法)による。
8. 記録 試験結果は,JIS L 0801の11.(記録)によって次の例のように記録する。
例1. 水試験 変退色4級,汚染3−4級(綿),4級(毛)
例2. 水試験 変退色4級,汚染3級(毛),3級(綿)(計器法)
4
L 0846:2004
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS L 0846:2004 水に対する染色堅ろう度試験方法
ISO 105-E01:1994 繊維−色堅ろう度試験−パートE01:水に対する色堅ろ
う度
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用範囲
ISO 105-E01
1.
IDT
2.引用規格
JIS G 4303
JIS L 0801
JIS L 0803
JIS L 0804
JIS L 0805
2.
−
ISO 105-A01
ISO 105-F
ISO 105-F10
ISO 105-A02
ISO 105-A03
MOD/追加
IDT
IDT
IDT
IDT
IDT
ISOにはステンレス鋼の
規格の引用がないので
追加。
技術的差異は軽微である。
3.要旨
試験結果を視感又は
計器で等級判定する。
3.
視感で等級判定する。 MOD/追加
JISは計器法を追加。
ISOはISO 105-A01で計器法を追加
したので,現在,対応規格のJIS L
0801を改正中。したがって,問題な
し。
4
L
0
8
4
6
:
2
0
0
4
5
L 0846:2004
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本文の左側
表示方法:傍線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
4.装置及び
材料
a)汗試験機
b)乾燥機
c)添付白布
d)変退色用グレース
ケール
e)汚染用グレースケ
ール
f)水
4.
4.1
4.2
4.4
4.5
4.5
4.3
汗試験機
MOD/追加
IDT
IDT
IDT
IDT
IDT
JISはステンレス鋼につ
いて,そのJISの引用。
また,“プラスチック板
に挟む試験片の数は,通
常20枚とする”を追加。
技術的差異は軽微である。
5.複合試験
片の調製
a)試料が布の場合
b)試料が糸の場合
c)試料がばら繊維の
場合
5.
5.1
5.2
5.2
MOD/追加
MOD/追加
IDT
6 cm×6 cmの試料を用
いてもよいことを追加。
6 cm×6 cmの試料を用
いてもよいことを追加。
6 cm×6 cmは日本では広く行われ
ている。
技術的差異は軽微である。
6 cm×6 cmは日本では広く行われ
ている。
技術的差異は軽微である。
6.操作
6.
6.1
6.2
6.3
IDT
5
L
0
8
4
6
:
2
0
0
4
6
L 0846:2004
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際規
格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本文の左側
表示方法:傍線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
7.判定
JIS L 0801を引用。視
感法又は計器法によ
る。
6.4
視感法による。
MOD/追加
ISOは判定の項は6.操作
の中に規定している。
JISは計器法を追加。
ISOはISO 105-A01で計器法を追加
したので,現在,対応規格のJIS L
0801を改正中。したがって,問題な
し。
8.記録
7.
MOD/削除
JISは判定結果だけ。ISO
は試験片の記述などあ
り。
JISは基本的にJIS L 0801を基にし
た記録によるので,技術的差異な
く,問題なし。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
6
L
0
8
4
6
:
2
0
0
4