L 0808:2005
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人スガウェ
ザリング技術振興財団 (SWTF)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格
を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格
である。
これによって,JIS L 0808:1994は改正され,この規格に置き換えられる。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 105-A01:1994,Textiles−Tests for
colour fastness−Part A01:General principles of testingを基礎として用いた。
また,令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標
準化法の用語に合わせ,規格中“日本工業規格”を“日本産業規格”に改めた。
JIS L 0808には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考)標準染色濃度表(色票)
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
L 0808:2005
(2)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 種類 ······························································································································ 1
4. 色 ································································································································· 2
5. 品質 ······························································································································ 2
6. 外観 ······························································································································ 2
7. 試験方法 ························································································································ 2
8. 検査方法 ························································································································ 2
9. 使用方法 ························································································································ 2
附属書1(参考)標準染色濃度表(色票) ············································································· 6
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ······························································· 8
日本産業規格 JIS
L 0808:2005
標準染色濃度表
Standard depths of shade
序文 この規格は,1994年に第5版として発行されたISO 105-A01:1994,Textiles−Tests for colour fastness
−Part A01:General principles of testingを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。変更の一
覧表をその説明を付けて,附属書2(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,染料の染色堅ろう度試験を行う場合に用いる供試染色物の染色堅ろう度表示
の基準となる標準染色濃度1/1及び補助として用いる淡色の標準染色濃度1/6の色濃度を示す標準染色濃
度表(以下,濃度表という。)について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 105-A01:1994,Textiles−Tests for colour fastness−Part A01:General principles of testing (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0801 染色堅ろう度試験方法通則
JIS L 0804 変退色用グレースケール
備考 ISO 105-A02:1993 Textiles−Tests for colour fastness−Part A02:Grey scale for assessing change in
colourからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS L 0809 計器による変退色及び汚染の判定方法
JIS P 8124 紙及び板紙−坪量測定方法
JIS P 8148 紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
3. 種類 濃度表の種類は,次による。
a) 標準染色濃度表1号 標準染色濃度1/1の色濃度を示す20色の色票と,紺及び黒の色濃度を示す4色
の色票で構成しており[附属書1(参考)参照],各色票の色度座標及び三刺激値を付表1に示す。こ
の標準染色濃度表1号には,色票の大きさによってA表とB表があり,次による。
1) A表 A表は,主として実際に標準染色濃度を求める場合など,精密な比較を行う場合に使用し,
隣接配置によって色が比較できるような標本形式とし,各色票の大きさを5 cm ×5 cmとしたもの。
2
L 0808:2005
2) B表 B表は,概念的に標準染色濃度を知る場合など,精密な使用条件を要求されない場合に使用
し,各色票の大きさを,縦2 cm,横1.4 cmとし,全色票を1枚の台紙に配列したもの。
b) 標準染色濃度表3号 標準染色濃度1/6の色濃度を示す20色の色票で構成しており[附属書1(参考)
参照],各色票の色度座標及び三刺激値を付表2に示す。この標準染色濃度表3号には,色票の大きさ
によってA表とB表があり,次による。
1) A表 a) 1) による。
2) B表 a) 2) による。
備考 A表及びB表には,それぞれの色票に応じた灰色マスクと灰色厚紙とが附属する。灰色マスク
と灰色厚紙の色は,JIS Z 8721に規定するN5とする。
4. 色 色は,濃度表の色度座標及び色の三属性の表示に合わせて,所定の染色処方で羊毛サージを染色
した染色物の調色した印刷インキによって印刷用紙(1)に印刷したもので,その色はJIS Z 8722の規定に
よって測定した標準の光C,2° 視野による色度座標x2,c及びy2,c,刺激値Y2,c並びにJIS Z 8721の規
定による色の三属性の色相H,明度V及び彩度Cで表し,付表1及び付表2による。
注(1) 原料にさらし化学パルプを用い,蛍光増白剤を含まない非塗工印刷用紙で,白色度はJIS P 8148
によって測定したとき,75 %以上とする。また,厚みはJIS P 8124に規定する坪量によること
とし,その範囲は80〜160 g/m2のものとする。
参考 この紙は,経済産業省大臣官房調査統計部編集による品目分類表の印刷用紙Aに分類される。
なお,坪量は紙又は板紙の面積1平方メートル(m2)当たりの質量をグラム(g)で表した
量。
5. 品質 濃度表の各色票は,付表1及び付表2に対して,次の許容範囲内になければならない。
a) 色相(H) 紺及び黒以外はH±2.0,紺及び黒はH±2.5とする。
b) 明度(V) 紺及び黒以外はV±0.2,紺及び黒はV±0.4とする。
c) 彩度(C) 紺及び黒以外はC±0.4,紺及び黒はC±0.8とする。
6. 外観 色票の外観は,表面が均一で,色むら,汚れ,きずなどがあってはならない。
7. 試験方法 標準染色濃度表の色は,JIS Z 8722の規定によって測定し,JIS Z 8721の規定による色相,
明度及び彩度を求める。
8. 検査方法 標準染色濃度表は,3.,5.及び6.について検査を行う。この場合,検査は,全数検査又は合
理的な抜取検査方式によって行う。
9. 使用方法 使用方法は,次による。
a) 標準染色濃度表1号は,染料の染色堅ろう度表示のときに基準濃度となる1/1及び紺,黒(2)の標準
染色濃度を決定する場合に用いる。
注(2) 紺,黒についてはそれぞれ2種類ある。
b) 標準染色濃度表3号は,染料の染色堅ろう度表示のとき,淡色に対する色濃度1/6の標準染色濃度を
決定する場合に用いる。
3
L 0808:2005
c) 試験する染料によって染色した供試染色物(3)に最も近い色相の色票を,標準染色濃度表の中から選
び,その供試染色物と色票を灰色厚紙上に置き,灰色マスクを使用してJIS L 0801の10.のa)(観察
及び照明条件)に規定する方法で比較する。ただし,明るさは,JIS Z 8720に規定する常用光源D65
を用い,600〜2 150 lxの範囲の照度とし,通常,1 200 lxを用い,明るいものは600 lxに近い低照度
で,また,暗いものは,2 150 lxに近い高照度で見てもよい。
また,観察する角度は,通常,試験片を45° に保持し,上方より照明して試料に対し,90° の方向
から観察する。
注(3) 標準染色濃度1/6の供試染色物を染色する場合には,標準染色濃度表3号に規定される色の濃
さが,標準染色濃度表1号の標準染色濃度1/1を与える染色濃度を1/6にしても得られるとは限
らないので,必ず標準染色濃度表3号を用いて染色濃度を決めなければならない。
d) 比較の結果,供試染色物と標準染色濃度表1号,又は標準染色濃度表3号のうち,最も近い色票との
明度と彩度によって知覚される色の濃さが,同等又は差が認められる場合であっても,JIS L 0804に
規定する変退色用グレースケール4号に相当する色の差又はJIS L 0809に規定する変退色用グレース
ケール等級4より小さければ,染料の染色堅ろう度試験に供することができる。
また,色の濃さが変退色用グレースケール4号に相当する色の差又はJIS L 0809に規定する変退色
用グレースケール等級4より大きければ,染色濃度を調整して再度染色を行わなければならない。
4
L 0808:2005
付表 1 標準染色濃度表1号(1/1)の色度座標及び三属性
色票記号
x
y
Y
三属性
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
0.451 4
0.502 4
0.545 0
0.566 4
0.465 3
0.382 4
0.294 7
0.251 7
0.228 2
0.183 1
0.210 6
0.238 1
0.314 5
0.378 0
0.334 3
0.425 2
0.277 4
0.253 9
0.274 8
0.326 4
0.276 2
0.299 2
0.304 5
0.305 0
0.480 2
0.448 6
0.399 7
0.337 0
0.252 2
0.225 8
0.215 9
0.199 1
0.186 3
0.179 5
0.294 9
0.367 1
0.469 9
0.389 3
0.322 4
0.322 4
0.225 7
0.267 2
0.350 8
0.351 8
0.258 6
0.306 8
0.310 7
0.311 1
57.59
40.43
32.40
20.65
14.08
9.38
6.56
5.83
5.51
8.30
10.04
14.56
27.02
11.13
6.71
6.04
4.33
5.30
7.14
7.90
3.65
2.49
2.82
2.26
5.5Y
9.5YR
3.0YR
7.5R
8.0RP
3.5RP
6.0P
0.5P
8.0PB
4.0PB
8.5BG
10.0G
9.5GY
5.0Y
0.5YR
6.0R
2.5P
1.5PB
8.0G
3.5GY
8.5PB
0.5PB
2.5PB
2.5PB
7.9/11.7
6.8/12.9
6.2/14.1
5.1/14.7
4.3/14.1
3.6/10.4
3.0/ 6.1
2.8/ 6.2
2.7/ 6.8
3.4/ 9.1
3.7/ 5.6
4.4/ 6.5
5.7/ 8.3
3.9/ 2.8
3.0/ 0.8
2.9/ 4.2
2.4/ 4.1
2.7/ 2.5
3.1/ 3.0
3.3/ 1.3
2.2/ 2.1
1.7/ 0.4
1.9/ 0.2
1.6/ 0.2
標準染色濃度表1号(1/1)の色票を附属書1(参考)に示す。
5
L 0808:2005
付表 2 標準染色濃度表3号(1/6)の色度座標及び三属性
色票記号
x
y
Y
三属性
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
0.389 7
0.404 1
0.435 7
0.460 4
0.400 8
0.349 0
0.298 7
0.262 4
0.227 5
0.221 9
0.256 6
0.262 7
0.330 6
0.349 2
0.329 0
0.376 5
0.2829
0.272 1
0.296 8
0.317 6
0.431 1
0.410 9
0.387 6
0.333 0
0.273 7
0.246 1
0.221 1
0.212 8
0.193 5
0.237 8
0.310 0
0.351 9
0.415 9
0.364 7
0.321 5
0.327 7
0.252 9
0.277 0
0.337 6
0.344 0
72.20
65.64
56.24
37.79
31.73
21.03
20.98
19.78
16.53
21.82
27.23
34.37
57.84
28.16
14.48
17.99
14.40
16.14
22.85
21.47
9.0Y
3.0Y
5.5YR
6.0R
6.5RP
2.0RP
6.5P
1.5P
8.0PB
2.0PB
9.0BG
0.5BG
8.0GY
6.5Y
10.0R
7.0R
2.0P
4.5PB
6.0G
7.0GY
8.7/ 7.0
8.4/ 6.8
7.8/ 8.3
6.6/11.0
6.1/11.9
5.1/ 9.7
5.1/10.0
5.0/ 9.2
4.6/10.1
5.2/ 7.5
5.7/ 4.1
6.4/ 5.8
7.9/ 6.3
5.8/ 2.3
4.4/ 0.9
4.8/ 3.7
4.3/ 4.4
4.6/ 3.0
5.3/ 2.0
5.2/ 1.4
標準染色濃度表3号(1/6)の色票を附属書1(参考)に示す。
附属書2(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS L 0808:2004 標準染色濃度表
ISO 105-A01:1994 繊維−染色堅ろう度試験−パートA01:試験一般通則
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
1.適用
範囲
染料の染色堅ろう度試
験を行う場合に用いる
供試染色物の染色堅ろ
う度表示の基準となる
標準染色濃度1/1及び補
助として用いる淡色の
標準染色濃度1/6の色濃
度を示す標準染色濃度
表について規定する。
−
−
MOD/追加
JISは,ISOの標準濃度
表の規定項目(12.染料
の堅ろう度)を独立し
て,一規格としている。
ISOは詳細規定を困難なため行っていない
が,JISは具体的指針を示すため,詳細に
規定したので合理的。
将来,ISO提案を検討する。技術的には同
等で問題なし。
2.引用
規格
JIS L 0801
JIS L 0804
JIS L 0809
JIS P 8124
JIS P 8148
JIS Z 8721
JIS Z 8722
−
−
MOD/追加
JISは,各規定要素につ
いて,JISがあるものを
引用した。
3.種類
a) 標準染色濃度表1号
1) A表
2) B表
ISO 105-A01
12.1
1/1色濃度を18
色相に紺,黒の
20色。
MOD/追加
JISは20色相(色票)
に紺と黒の22色。JIS
の方が妥当。
ISOに提案を検討。
b) 標準染色濃度表3号
1) A表
2) B表
ISO 105-A01
12.2
1/2,1/3,1/6,
1/12,1/25色濃
度。
MOD/追加
JISは1/6色濃度だけ。 1/6以外を必要とする場合はISOを利用す
るので問題はない。
6
L
0
8
0
8
:
2
0
0
1
JIS L 0808:2004 標準染色濃度表
ISO 105-A01:1994 繊維−染色堅ろう度試験−パートA01:試験一般通則
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際規格
番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:側線又は点線の下線
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごとの
評価
技術的差異の内容
4.色
濃度表の印刷のしかた
及び色を規定。
ISO 105-A01
12.4
JISに同じ。
MOD/追加
ISOマット状物質(毛又
は印刷用紙)の上に作
成。
JISは色票を印刷用紙
に作成し,色票を参考と
して附属。
JISは,具体的に各色票
の数値を規定。
ISOに提案を検討。
5.品質
a) 色相(H)
b) 明度(V)
c) 彩度(C)
−
−
MOD/追加
JISは,具体的に色相,
明度,彩度を規定。
ISOに提案を検討。
6.外観
色表の外観を規定。
−
−
MOD/追加
JISは,具体的に外観を
規定。
常識的事項で問題なし。
7.試験
方法
試験方法を規定。
−
−
MOD/追加
JISは,具体的に試験方
法を規定。
ISOに提案を検討。
8.検査
方法
検査方法を規定。
−
−
MOD/追加
JISは,具体的に検査方
法を規定。
ISOに提案を検討。
9.使用
方法
使用方法を規定。
−
−
MOD/追加
JISは,具体的に使用方
法を規定。
ISOに提案を検討。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1.
項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
−MOD……………国際規格を修正している。
7
L
0
8
0
8
:
2
0
0
1
附属書1(参考)標準染色濃度表(色票)
標準染色濃度表1号 (1/1)
8
L
0
8
0
8
:
2
0
0
1
標準染色濃度表3号 (1/6)
9
L
0
8
0
8
:
2
0
0
1